人間らしく生きるための学び

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人間らしく生きるための学び

大学院教育学研究院・大学院教育学院 教授

宮﨑

み や ざ き

隆志

たかし

(教育学部教育学科)

専門分野 : 社会教育学

研究のキーワード : 生涯学習,自己教育,探究的学習,創造的学習

HP アドレス : http://www.edu.hokudai.ac.jp/

何を目指しているのですか?

みなさんが通っている学校は楽しいですか?新しい世界への扉が次々と開かれ、他者と の刺激的な出会い繰り広げられる、そしてそれらを通して自分の変化・成長の確かな手応

えが得られる…。もしそうであれば、まるで冒険旅行でもしているかのようなワクワク・ ドキドキ感がそこにはあるはずです。

残念ながら、日本の多くの子ども・若者はそう感じていません。閉塞感に満ち溢れ、自 己肯定感が低く、学びへの意欲が低下しているのが現状です。これは大人が置かれた状況 の反映です。大人が探求的で創造的な人生を送れない社会で、子どもや若者が生き生きす

るはずがありません。

では、冒険旅行のように世界と自分が開かれていく学びはもはや成立しないのでしょう

か?否です。1985年にユネスコは「人々を、なりゆきまかせの客体から、自らの歴史をつ くる主体にかえていく」学習が、人間らしく生きるために不可欠であることを宣言しまし

た(「学習権宣言」)。誰もが自分の・自分たちの人生の主人公となれるような学習のありか たを解明することは時代の要請でもあります。私たちの研究室では、そのような学びの特

質とその学びを通した人間形成の論理を解明することを目指しています。

どのように研究を進めているのですか?

「ピンチはチャンス」とよく言わ れます。「ピンチ」はそれまでの支配 的なふるまい方や物の見方・考え方

では対処できない事態を指しますが、 実は、暗黙化されていた前提(=当

たり前と思っていたこと)が批判的 に吟味され、新しいもの(考え方・

生き方)を創発する機会にもなりま す。私たちは、人生に必ず訪れるそ

のような場面に、探求的・創造的な 学びの特質を解くカギがあると考

えています。

「ピンチ」を生きづらさや行き詰 札幌市むくどり公園。住民参加ワークショップによって障がいの有無

を超えた出会いの場として作られた。

出身高校:高槻高校(大阪府) 最終学歴:北海道大学大学院教育学研究科

教育

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まりと言い換えれば、例えば孤立した子育て に悩む親、高校中退や引きこもりを経験した

若者たち、さまざまな差異によって「マイノ リティ」とされている人々、あるいは過疎化

によって不安に押しつぶされそうな地域の 人々は、誰もが生きづらさに直面し、その限

りで同様の経験をしています。そして、人生 の転換点とも言うべき状況に遭遇し、価値観

が転換し、新たな社会や人生の構想を得た人 も数多くいます。私たちはそのような方々の 経験に学び、フィールド調査や実験的な実践

の組織化を通して、転換・創発に至る学びの プロセスの解明に挑戦しています。

次になにを目指しますか?

私たちは「誰もが人生の主人公になれる学び」を、主に学校外の場(生涯学習)で探求 していますが、最終的には、そのような学びを学校に埋め込み、これまでにない学校像を

描くことが目標です。また同時に、その学びによって職場や地域を「人が育つ場」につく り変える見通しも明らかにしたいと考えています。

むくどり公園に隣接するむくどりホームでの子育て交流 学習会

左:北アイルランドにおける若者の職 業教育・訓練の取り組み。日本では 高校中退にあたる早期離学者を地域 の教育福祉組織が支援している。 右:北アイルランドにおける早期離学 者へのライフストーリー調査

左:アイルランドのTransition Inishowenによる 持続可能なライフスタイル構築のためのワーク ショップ。化石エネルギーへ過度に依存した生 活から、地域内循環・協働の地域づくりをめざ す Transition Town Movement の一環として取り 組まれている。新たな価値創造をめざす住民 による生涯学習・自己教育運動。

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参照

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