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フーリエ変換を用いた歩行解析のための信号処理法

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Academic year: 2021

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卒業論文要旨

フーリエ変換を用いた歩行解析のための信号処理法

知能機械力学研究室 駒居 泰成

1. 緒言

子供から高齢者に至るまで多くの人間が行う身近な運動と して,歩行が挙げられる.歩行解析を行う場合,ウェアラブ ルな3次元動作解析装置は小型の携帯型床反力計や,加速度 センサ,ジャイロセンサ及び地磁気センサからなる複数個の モーションセンサで構成されており,これを使用することで 歩行解析を行う.ウェアラブルな3次元動作解析装置は,従 来の設置式床反力計と3次元動作解析装置を使用する方法で 問題となった,設置するためのスペースや歩行制限といった 問題を改善でき,一部の限られた場所で研究目的として行わ れていた歩行解析が,医療の現場などで利用できるようにな り,利用者の範囲を大きく広げることができた.

本研究では,さらに少ないセンサ数であっても,センサか ら得られる出力に対して,目的に応じた力学的な知見を加え ることによって,多くの情報が得られる計測システムを構築 することを目指す.そのためには,フィルタや積分で誤差が 生じにくい信号処理法が必要となる.ここでは,そのための 一手法としてフーリエ変換を用いた処理法について検討す る.

2.フーリエ変換を用いた速度導出

歩行時の速度を求める際は,理論的には,得られた加速度 を積分し,そのデータを速度として用いることが考えられる が,時間と共にドリフトしてしまい,誤差が大きくなってし まう.また,高周波成分をローパスフィルタでカットすれば 位相ずれが問題となる.

そこで歩行は周期的な運動であることに着目し,1周期分の データを用いてフーリエ変換(フーリエ積分)を行えば,ウ インドウを用いることなく変換が可能となる.そのなかで直 流成分を除去して周波数で除したものを逆フーリエ変換す れば,ドリフトを抑えての積分が可能となる.また周波数領 域で高周波成分をカットして逆フーリエ変換を行えば,位相 遅れなしに高周波のカットが可能となる.

一般的にFFTを用いれば,変換に用いるデータ数が2のn 乗である必要があり,丁度1周期だけ取り出すことは困難で ある.そこで,本研究ではFFTを用いず,1周期分をフーリ エ積分により求める.

3.提案法検証のための歩行実験 3-1. 実験内容

トレッドミル(ランニングマシン)上で2.5m/sの速度で歩 行を40秒行い,その際,提案法で用いる腰に装着した慣性 センサと検証用に3次元動作解析装置でもデータを取得し,

比較検討する.

3-2.実験結果

慣性センサによって得られた歩行時の横方向の加速度を 0 秒から12秒の部分を抜粋し,単純な積分(第一軸),3次元 動作解析装置(第一軸),フーリエ変換(第二軸),それぞ れの方法で得られた速度を図1に示す.図1より,フーリエ 変換を行った場合,導出される速度が小さくなることが分か る.そこで,図1の1秒付近における積分値と3次元動作解 析装置の速度は近い値を取っているため,フーリエ変換値の 1秒付近におけるピークを積分値に一致させることで係数補 正を行った.係数補正後の値,積分値,3次元動作解析装置 の速度を図2に示す.正解値となる3次元動作解析装置の速 度と係数補正後の値がほぼ一致することが図2より分かり,

提案法であるフーリエ変換を用いて,3次元動作解析装置と 近い精度の速度を導出することができた.

図1 3次元動作解析装置,積分,フーリエ変換の比較

4.結言

慣性センサから得られる加速度から速度に導出する際に,

積分するだけでは大きくドリフト誤差が生じるが,積分とフ ーリエ変換の情報を用いて信号処理することで,慣性センサ 一つで,従来法である3次元動作解析装置と近い精度で速度 を導出することが可能になった.

2 3

次元動作解析装置,積分,係数補正後のフーリエ変換の比較

-0.00015 -0.0001 -0.00005 0 0.00005 0.0001 0.00015

-0.5 -0.3 -0.1 0.1 0.3 0.5

0 5 10

速度(m/s)

時間(s)

3次元動作解析装置 積分

フーリエ変換

-0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

0 10 20 30

速度(m/s)

時間(s)

3

次元動作解析装置

積分

係数補正後のフーリエ

変換

参照

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