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中学校技術科における 送配電教材の開発

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(1)

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(2)

三重大学大学院教育学研究科教科教育専攻技術教育専修

中学校技術科における 送配電教材の開発

奥村 幸司(207MO33)

2009年2月9日

指導教員:松岡

(3)

目次

第1章 緒論 1.1研究背景

1. 1.

1エネルギー教育について

1.2

研究目的

1.3

研究方法

第2章 先行研究の整理 2.1緒言

2.2

先行研究の分類

2.2.

1エネルギー発生技術に関する教材と実践

2.2.2

エネルギー輸送技術に関する教材と実践

2.2.3

エネルギー変換技術に関する教材と実践

2.3

結言

第3章 中学校技術科教員‑のアンケート調査 3.1緒言

3.2

調査目的

3.3

調査方法

3.4

調査結果

3.5

考察

3.6

結言

第4章 電気エネルギーの輸送に関わる教材の開発 4.1緒言

4.2

教材の構成と特徴 4.2.1送配電演示用教材

4.2.2

屋内配線演示用教材

4.2.3

変圧器の演示用教材

4.3

結言

(4)

第5章教材の評価 5.1緒言

5.2

教材の評価 5.2.1評価目的

5.2.2

評価方法

5.3

評価結果

5.4

考察

5.5

結言 付録

第6章結論

6.1各章の結論

6.2

今後の課題

謝辞

(5)

1章 緒論

1.1研究背景

18世紀から19世紀にかけて、人類は産業革命を契機に大量生産、大量消費の時代に入り、

物的に豊かな現代社会を構築してきた。しかしながらエネルギーを含む資源は有限である。

また、地球の環境に目を向けてみると、地球温暖化や大気汚染、化石燃料の減少、といっ

た問題が次々に起こっている。地球に存在する全てのエネルギーを使い切るまで消費し続 けるのか、それともエネルギーの今後について考え、より効率的で効果的なエネルギーの 利用方法を考えるのか、人類のありようを見直さなければならない転機に至っている。

経済産業省の資源エネルギー庁がまとめたエネルギー白書1)によれば、 「18世紀頃まで は非常に緩やかなカーブをたどっていた世界人口は、産業革命を契機に増加のテンポが速 まりました。中でも20世紀に入ってからの増加は著しく、 1830年には10億人だった世界 の人口は、1930年に20億人、1980年に44億人、 2003年には約62億人と急増しています。」

とし、さらに「人類全体としてのエネルギー消費量は、人口増加と、文明の進歩に伴う1

人当たりのエネルギー消費量の増加との相乗効果によって増大することが見込まれます。

と指摘している。また、我々の直面しているエネルギー問題として、 (1)世界全体で使って いるエネルギーのうち、約9割は化石エネルギーであり、埋蔵量には限りがある。 (2)環境 問題に配慮したエネルギーの利用が求められている。 (3)経済の活力や我が国の国際競争力 とかかわりがある。以上3点を示し、貴重なエネルギー資源をできるだけ効率的に用いて いくことが必要であるとしている。

さらに、文部科学省がまとめた教育改革プログラム2)によれば、学校教育における環境教 育の充実として、 「地球環境問題に対応するためには、今後、我が国社会が大量生産・大

量消費・大量廃棄型の社会から省資源・省エネルギー・リサイクル型社会‑と転換してい ことが必要であり、学校においても、地球環境‑の負荷の低減を図るため、省エネルギ ー点検等を実施し、一層の省エネルギーの推進を図っている。また、教育においても、そ

うした視点が重要となることから、新学習指導要領においては、環境やエネルギー‑の理 解を深め、環境保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動する実践的な態度や資質、

能力を育成するため、各教科等における環境に関わる内容の一層の充実を図る」とある。

このように、学校教育において環境問題やエネルギー問題をこれまで以上に取り上げるこ とが求められている。

平成20年度に告示された中学校新学習指導要領では、 「技術・家庭科技術分野について は、ものづくりを支える能力などを一層高めるとともに、よりよい社会を築くために、技 術を適切に評価し、活用できる能力と実践的な態度の育成を重視し、目標や内容の改善を

‑EE

(6)

図る」という基本方針3)のもと、 「教育基本法や学校教育法の改正などを踏まえ、 「生きる 力」をはぐくむという学習指導要領の理念を実現するため、その具体的な手立てを確立す

る観点」 4)を基に、技術・家庭科技術分野の学習指導要領を現行から大きく改訂している。

現行の学習指導要領における技術分野の目標は「実践的・体験的な学習活動を通して,も のづくりやエネルギー利用及びコンピュータ活用等に関する基礎的な知識と技術を習得す

るとともに,技術が果たす役割について理解を深め,それらを適切に活用する能力と態度 を育てる。」 5)であるが、新学習指導要領における、技術分野の目標は「ものづくりなどの 実践的・体験的な学習活動を通して,材料と加工,エネルギー変換,生物育成及び情報に 関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得するとともに,技術と社会や環境とのかかわ

りについて理解を深め,技術を適切に評価し活用する能力と態度を育てる。」 6)となってい る。両者を比較すると「基礎的な知識と技術」が「基礎的・基本的な知識及び技術」に、 「技 術が果たす役割」が「技術と社会や環境とのかかわり」に、 「適切に活用する能力と態度の 育成」が「技術を適切に評価し活用する能力と態度の育成」 ‑と変更されており、現行の 学習指導要領よりもさらに「生きる力」の育成を重要視していることが伺える。これは、

現行の学習指導要領が「生きる力」の意味や必要性についての共通理解や、授業時数の確 保などに課題が存在したため7)である。

新旧の授業時数(表1.1、 1.2)を見ると分かるように、国語、社会、数学、理科、保健体 育,及び英語の授業時数が増えていることが分かる。これは、近年行われているPISAの学 力調査など各種の調査結果によるものだと考えられる。しかし、技術科における総授業時

間数は現行も改訂後も同じ175時間であり、技術科が抱える時間数の少なさに対する変更 はなされていない。

表ー.ー旧学習指導要領の時間数 学校教育法施行規則別表第2(第55条関係)

区分 第一学年 第2学年 第3学年

各教科の授

業時数

国語

140 105 105

社会

ー05 ー05 85

数学

ー05 ー05 105

理科

ー05 105 80

音楽

45 35 35

美術

45 35 35

保健体育

90 90 90

技術.家庭 70 70 35

外国言吾

lO5 105 105

道徳の授業時数 35 35 35

総合的な学習の時間の授 70‑100 70一‑ー05 70‑ー30

特別活動の授業時数 35 35 35

総授業時数

980 980 980

表1.2新学習指導要領の時間数

学校教育法施行規則別表第2(第74条関係)

区分 第一学年 第2学年 第3学年

各教科の授 業時数

国語

140 ー40 105

社会

105 105 ー40

数学

ー40 ー05 140

理科

105 ー40 ー40

音楽

45 35 35

美術

45 35 35

保健体育 105 105 ー05 技術.家庭 70 70 35

外国話

140 ー40 140

道徳の授業時数 35 35 35

総合的な学習の時間の授

50 70 70

特別活動の授業時数 35 35 35

総授業時数

ー015 ー0ー5 1015

新学習指導要領解説編の(ii)改善の具体的事項の技術分野には、技術分野の目標6)とし て「ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して,材料,加工,エネルギー,生

物,情報に関する基礎的な知識と技術を習得させるとともに,技術と社会・環境とのかか

(7)

わりについて理解を深め,よりよい社会を築くために技術を適切に評価・活用する能力と 態度の育成を重視する」と記されている。そして「(ア現代社会で活用されている多様な技 術を, ①材料と加工に関する技術, ②エネルギーの変換に関する技術, ③生物育成に関す

る技術, ④情報活用に関する技術等の観点から整理し,すべての生徒に履修させる。 」と

している。 6)ここで注目すべきは、現行の指導要領において、選択であったエネルギー変換

と栽培が必修扱いとなったことである。

エネルギーや栽培に関する分野が必修になった理由として、上野8)は、現行の学習指導要 領において選択して履修されているエネルギーや栽培に関する技術について、活用しよう

とする意欲が低下しているといった課題に対応した。としている。さらに、 4つの分野に分 かれて記載されている事実に対して、 「これは平成元年の学習指導要領で示された領域が 復活したわけではない」とし、あくまで現代社会において利用されている技術を考えた結

果であるとしている。

安東9)は、 「わが国のエネルギー利用や環境保全の重要性を理解させ、トレードオフ(複 数の要素が互いに相反する利害を伴い、どれかのメリットを選択するとそれによって別の デメリットやリスクが発生するような事柄)やその活用のあり方について判断できる能力

を育成する。 」としている。さらに、 「これまでは、主として技術分野の学習を生活にお ける技術をもとに展開してきたが、技術を工学と位置づけ、産業で用いられている技術を 社会・環境とのかかわりについて展開する方向性を強調した。 」としている。

以上から、今後の技術科の方向性としては、より生産技術の意識が濃いものになると考 えられる。特に、必修扱いとなったエネルギー変換と栽培は重要視されるといえる。本研 究ではこの内、エネルギー変換に焦点を当てて研究を行う。

1. 1.

1エネルギー教育について

それでは、技術科教育におけるエネルギー教育が今までどのように議論されてきたのか、

先行研究を見てみたい。まず、小川、堀田、福田10)は、学校教育におけるエネルギー教育の 体系として、 「エネルギー需給の歴史的変遷」 「エネルギー変換の原理・法則」 「省エネ ルギー」 「将来の課題と展望」の4つの柱を示し、小学校・中学校・高等学校それぞれにお ける指導内容を提案している。ここで小川らは、エネルギー教育を「科学技術的側面と政 治経済的側面の学習内容を同時進行させていくことが可能である生活科と同様な総合的な 教育である。 」としている。しかし、小川、堀田、福田の考えるエネルギー教育とは、小 中高を総合的に考えたGlobalEducationであり、技術科を対象としたものではないと考える。

小川、松浦、林11)は、学校教育におけるエネルギー教育を実施するにあたり、 「エネルギ ー科」のような専門的に取り扱う教科の必要性を指摘している。しかし、 「教科の新設は早 急に実現するものではない。」として、 「その実現までの間、エネルギー教育の一環として、

まず技術科に<エネルギー>領域を設置し、少しでも体系的なエネルギー教育の実現を提 言したい。」と述べている。さらに小川らは、このエネルギー領域の目標を「エネルギーに

・3‑

(8)

関わる適切な情報を与え、エネルギーに関する正しい理解と、その効果的な利用について の能力や態度を育成し、今後のエネルギー問題に対して責任ある対応ができる能力を育て る」と設定している。この目標に沿った指導項目として、 「1.エネルギーの定義と種類」

「2.エネルギー利用の歴史と今後の需給見通し」 「3.エネルギー変換」 「4.省エネル

ギー」 「5.エネルギーと環境」 「6.まとめ」の6項目を作成している。小川、松浦、林の

考えるエネルギー教育は技術科を対象としているものの、その学習内容は多く、現段階の 技術科における学習内容としては、さらに内容を厳選しなければならないと考える。

有川12)は、エネルギー変換を取り入れた理由や背景を「①他国の普通教育としての技術 教育の内容」 「②我が国の技術科領域構成等に関する研究の動向」 「③技術科の学習指導 要領における位置づけ」から明らかにした。そして、

「エネルギー変換の仕組みと性能」

については関連が深いものの、合目的・実用的な視点は殆ど含まれておらず、 「仕組み」

と「性能」については技術科が主体となって学習指導を行うべき内容である」として他教 科にはできない、技術科の役割の重要性を指摘している。このような研究がなされ、エネ

ルギー教育の重要性が語られてきたことを考えると、今回の学習指導要領改訂は、まさに エネルギー教育が大きく前進した出来事と捉えることができる。

1.2研究目的

1.

1項に示した通り、エネルギー教育の重要性が語られ、特に技術科における新学習指導 要領においてはエネルギー変換が必修として取り扱われることとなった。今後エネルギー 教育はますます重要になると考えられ、そのために、よりよい教材の開発が求められてい る。そこで、本研究では、中学校技術・家庭科技術分野(以下、技術科)担当教員を対象 に実施した、電気・エネルギー関係の実践に関する聞き取り調査を基に、技術科における 送配電教材の開発を目的とする。

先行研究の調査では、エネルギー関係の先行実践や教材を論文等から調査し、現状と課 題を明らかにすることを目的とする。

聞き取り調査では、技術科教員を対象に、エネルギー教育に関するアンケート調査を行 い、その実態を明らかにすることを目的とする。

教材開発ではアンケート調査から教材開発の要件を決めだし、教材の実践を行うことで その有効性を検証することを目的とする。

1.3研究方法

本研究は、技術科担当教員を対象に実施した、電気・エネルギー関係の実践に関する聞 き取り調査を基に、技術科における送配電教材の開発とその評価を目的とする。教材の有 効性を検証するために、以下の3点の方法をとる。

1)先行研究の整理

技術科における電気、エネルギー変換の分野に関わる教材や実践などの先行研究を整

(9)

理し到達点と課題を明らかにする。

2)技術科担当教員を対象にしたエネルギー変換の授業に関するアンケート調査

三重県A市、 B市、 c市内、三重県技術・家庭科研究会、技術・家庭科研究会東海北 陸大会における中学校技術科教員を対象に、エネルギー変換の授業に関するアンケート 調査を実施し、技術科の授業における現状と課題を明らかにする。

3)電気エネルギーの変換に関する教材の開発

技術科教員対象のアンケート結果を基に、技術科におけるエネルギー変換の授業での 使用を目的とした電気エネルギーの変換に関する教材を開発する。

4)開発した教材の評価

開発した電気エネルギーの変換に関する教材の有効性を、三重県内の中学校3校にお ける実践を通して検証する。

‑5・

(10)

参考引用文献

1)経済産業省資源エネルギー庁:エネルギー白書(2006)

2)文部科学省:教育改革プログラム(5)環境教育の充実等‑地球環境問題‑の対応(1999) 3)文部科学省:中学校学習指導要領解説技術・家庭科編(2008)p3

4)文部科学省:中学校学習指導要領解説技術・家庭科編(1998)p13

5)文部科学省:学習指導要領改訂の基本的考え方(最終アクセス2009/01/25) (http

:

//www. next. go. jp/a̲menu/shotou/new‑cs/idea/index. html) 6)文部科学省:中学校学習指導要領解説技術・家庭科編(2008)p14

7)文部科学省:学習指導要領改訂の基本的考え方(最終アクセス2009/01/25) (http

:

//www. next. go..]'p/a̲menu/shotou/new‑cs/idea/index. html)

8)上野耕史: 「技術分野の改定の方向」日本産業技術教育学会誌第49巻第4号(2007) 9)安東茂樹: 「新学習指導要領全文とポイント解説」教育開発研究所p85(2008)

10)小川武範、堀田謙一、福田芳行: 「学校教育におけるエネルギー教育のあり方に関する 研究」日本産業技術教育学会学会誌第33巻第4号(1991)

ll)小川武範、松浦正史、林俊文: 「中学校技術・家庭科における技術関連領域の再編成と

<エネルギー>領域の創設」日本産業技術教育学会学会誌第34巻第1号(1992) 12)有川誠: 「技術科におけるエネルギー変換の学習指導研究」風間書房(2007)

(11)

第2章 先行研究の整理

2.1緒言

本章では、技術科におけるエネルギー変換の教材に関する先行研究の整理を行い,教材 の現状と到達点を明らかにする。

まず、産業における生産技術の分類として、門脇1)は生産技術を直接技術と間接技術とに 分類し、直接技術を「物体生産技術」、 「エネルギ注)技術」、 「情報技術」に分類している。

さらに、それぞれの技術についての分類も行っており、産業における技術の基本分類を明 確にしている。そもそも、新学習指導要領によれば、技術科の対象とする学習内容は「生 活や産業の中で利用されている技術」と明記されており、換言すれば社会における産業の 技術ということである。これについて上野2)は、 「技術と社会・環境とのかかわりを踏まえ て技術の価値を認識させ、技術について学習する意味を認識させる。」と述べていることか

らも、技術科において学習すべき内容は、門脇が分類した「物体生産技術」 「エネルギ技術」

「情報技術」に分類できると考えた。本研究を例にとれば、技術科における送配電教材の 開発とその評価を目的としており、送配電教材は主に電気エネルギーの輸送に関する技術 を取り上げた教材であることから、門脇の分類に従えば「エネルギ技術」分類される。門

脇によれば、 「エネルギ技術」は「所要のエネルギを大量に生産するエネルギ生産技術が存 在する。たとえば、火力発電所などがこれに相当する。発生した動力を必要なところ‑分

配、移送する技術が必要となるが、これがエネルギ輸送技術である。電力を動力や熱に変 換する技術が存在し、これをエネルギ変換技術とする。」と定義されていることから、送電 時の電圧損失の理解を目標とした本教材は「エネルギ輸送技術」に分類される。

注:門脇は「エネルギ」という表現を使っているが現在では通常「エネルギー」という表 現が用いられる。本論文でも門脇の文献引用部分以外は「エネルギー」という表現を 用いた。

2.2先行研究の分類

技術科におけるエネルギー変換の教材を開発するために、既存の教材に関する先行研究 を整理することとした。調査の対象は、日本産業技術教育学会の学会誌に掲載されたエネ ルギーの技術に関する論文3)

、国内論文検索サイトciNiiを調査した。それらを門脇が提 言したエネルギー技術の分類にそって、それぞれの先行研究を分類したものを以下に示す。

2. 2.1エネルギー発生技術に関する教材と実践

ー7・

(12)

山本ら4)は、太陽光発電の長所、短所を太陽電池による発電を通して学習させる教材を 開発し実践を行った。実践では、教材を用いて発電時の電圧や電流の値を測定させるこ とを通して太陽電池の原理や発電の原理を理解させている。アンケート結果から太陽電 池の長所、短所についての理解も得られている。しかし、この教材では効率に関する知 識や概念は得られていない。また、太陽光発電は現在の発電方法において、それほど多

くの発電量を占めている方法ではない。このことも実践の中で言及していく必要がある と考える。

綾ら5)は、自然エネルギーを題材に、エネルギー変換の過程を示す演示用模型と、生徒 用の発電実験用装置を開発し実践を行った。エネルギーに関する知識理解を促し、興味 関心を持たせること、省エネルギー意識を深めることができたとしている。しかし開発

した教材は、風力発電演示模型、風力発電生徒用実験装置、水力発電演示用模型、太陽 熱利用機器、となっており、エネルギー発生技術に関する教材を多く開発している。

小川ら6)は、自然エネルギーの一つ風力エネルギーに注目し、風車実験装置、揚力実験

装置の2つを開発した。風力実験装置は、(風力エネルギー ‑風車の回転エネルギー 電気エネルギー 一光のエネルギー)‑の変換過程の演示が可能だと示されている。揚力 実験装置は、翼に作用する揚力の概念を学習する装置であり、 (流体の運動エネルギー

‑位置エネルギー)‑の変換過程の演示が可能だと示されている。また、ベルヌーイの定 理や飛行機の飛行の原理まで発展ができるとしている。しかし、中学校段階で揚力を扱

う事に対しての効果や課題が示されておらず、また教材の実践に対する評価が記されて いない。以上2つについて検証する必要があると考える。

山崎ら7)は、火力発電所のモデル教材の開発を行い、その測定実験から教材に対する安

全性と、教材の十分な性能を明らかにした。また、 「エネルギー」領域と題した指導計画 についても論文中で言及しているが、この指導計画は小川らによって作られたものであ

る。さらに、この教材と小川らの指導計画を用いた実践は行われておらず、教材と指導 計画の有効性の検証には至っていない。

宮下ら8)は、電動カートと太陽電池パネル、自転車を利用した人力発電機を組み合わせ た体験学習を中心とした指導計画を作成した。実践結果から、電動カートはカートの構 造やエネルギー消費量、運転感覚に生徒達は興味を持っ事が分かった。自転車発電は自 分たちが作った発電量や人力発電の限界に生徒達が興味を持つことが分かった。太陽光 発電は、他の教具より興味が低いものの、実用性や発電特性などを理解する上での効果 は見られたとしている。

2. 2.2エネルギー輸送技術に関する教材と実践

変圧器は本来変換技術に相当するが,電気エネルギーの輸送技術にも使われる技術で あるためとこの項にまとめた。

本多ら9)は、既存の先行研究をもとに1)変圧器による電圧降下の低減2)変圧器‑の直

(13)

流実験から変圧器の仕組み3)誘導起電力の発生を可能とする交流、の3つからなる教材 を開発し実践を行った。その結果、送電における変圧器の働きと仕組みに関する認識の 定着が向上することを明らかにした。変圧器の仕組みや働きを学習するための教材とし ては評価できる。また、教材にニクロム線を用いることで、短距離において電圧降下を 起こしていることも参考にしたい。課題としては、中学校理科の「電磁誘導」技術・家 庭科「エネルギー伝送」 「交流」を複合しているため、技術・家庭科のみで実践ができな

いか検討する必要があると考える。また、新学習指導要領においてもこの学習が効果的 であるかどうかについても検討する必要がある。

内田ら10)は発電・送電を中心とした授業展開例を教材とともに考案した。全15時間の 内容でテーマ1生産とエネルギー、テーマ2発電、テーマ3発電の技術、テーマ4送電

配電、テーマ5電気エネルギーと環境問題、テーマ6エネルギー変換を利用した製 作実習の6テーマで構成している。全15時間という時間数が確保できるかは検討の余地 があるが、生産現場からエネルギーの利用、技術について学習する一連の流れは、本教 材の指導計画の参考になると考える。しかし、送配電教材を使用しているテーマ4にお いて、教材の構成や外観が示されておらず、再試を行うことができない点が指摘できる。

また、内田らが用いている送配電教材は、戸舘3)が考案した教材であるが、詳しい資料 がなかったため今回は内田らの論文より参考にすることとした。この戸舘が考案した教 材は豆電球同士の距離を離し、並列に接続して交流電源を与える簡単な構造である。距 離が離れるごとに、豆電球の明かりが暗くなっていくため送電の電圧ロスについて理解

させることができると内田らは分析している。しかし、送電時の熱損失までこの教材で 言及することはできない点が指摘できる。

屋内配線の教材としては、トップマン11)から屋内配線展開板、安全・ブレーカ学習パ ネルなどが発売されている。しかし、これらの教材は一番安い教材で50200円と高価で ある。もっと安価な教材を製作することができないか検討する必要がある。

2. 2.3エネルギー変換技術に関する教材と実践

有川12)は、技術科における機械や電気機器の効率に関する学習を行う教材として「電 熱器」に着目し、熱効率の測定・比較する実験と効率や機器選択に関する調査を行った。

電気コンロと電気ポットのどちらがお湯を沸騰させやすいか、電気代の節約になるのは どちらか、といったように具体的な質問項目を設けている。評価結果を見ると、熱効率 実験は生徒に比較的容易に「効率」を認識させる事ができ、一定の概念を形成しうる。

ということが明らかになっている。

加藤13)は、エネルギー変換学習用風力発電機を開発し、風から風車、風車から発電機

‑のエネルギーの伝達、ならびに発電機による機械エネルギーから電気的エネルギー‑

の変換特性を明らかにした。また、この教材を使用することにより期待される学習内容

として、 1)材料の剛性、部品間の摩擦・がた、 2)風車の役割、 3)工学単位系と国際単

‑9・

(14)

位系、 4)エネルギー、動力、トルクの概念、 5)発電機の内部抵抗、 6)負荷抵抗と発電電 力の関係、 7)エネルギーの変換効率、以上7項目を挙げている。しかし、この7項目を

実際に教育現場で検証するには至っていない。

小川ら14)は、中学校技術科における効率の概念の学習の提言を行い「効率」という単 元の設定を提案し、その指導目標、指導内容、指導目標を達成するための実験教材を2 種類開発している。教材A)は、変換の度に損失が生じること、全効率は各変換ステップ の効率の積に等しいことを理解させるのに有効であるとしている。教材B)は、同じ目的 のエネルギー変換機器を省エネルギーの観点から選択する際に、効率を判断基準にする

ことができることを理解させるのに有効であるとしている。

小川らは指導内容や指導目標を設定する際に、省エネルギーの学習の必要性を述べ、

エネルギー変換の学習において、 「有効エネルギー」 「損失」が簡単に客観的に判定でき ることが望ましく、定量的にしめすことができれば理想的であるとしている。また、指

導の際には、エネルギー変換を一次エネルギーの投入から最終消費段階までのシステム として捉えさせ、理解させる必要があるとしている。これらは、本研究にも共通する考 え方であり、教材の実践時における指導計画に参考にすることを考えている。

新妻ら15)は、中学校における電気洗濯機用電動機の学習を行っている。電動機の分解 や回路図の学習、配線といった電気に深く関わる学習を行っている。授業の指導計画に は、エネルギーの変換などの記述はないが、教材として身近な機器を選択している点や 興味関心を引いている点は評価できると考える。しかし、現在の技術科においてこのよ

うな実践が可能であるとは考えにくい。

山本ら16)は、太陽電池で発電した電気エネルギーを利用して、家庭電化製品を動作さ せるまでの過程を学習する太陽光発電システムを開発し、それを用いて授業実践を行っ

た。その結果、太陽光発電の長所や短所‑の理解、太陽電池の仕組みについての理解、

インバータの役割などが理解できたとしている。しかし、効率や損失といった概念の学 習には至っていない。

2.3結言

本章では,技術科におけるエネルギー変換の教材に関する先行研究の整理を行い,教材 の現状と到達点を明らかにすることを目的とした。その結果以下4点が明らかとなった。

1)エネルギー発生技術に関しては、太陽光発電や風力発電、水力発電といった自然エネル ギーを用いた発電方法を対象とした教材が多く見られる。

2)エネルギー輸送技術に関しては、変圧器対象とした教材があるものの、全体の数は少な く、また再試のための情報が得られなかった実践が見られた。

3)エネルギー変換技術に関しては、熱効率やエネルギーの変換効率といった「効率」の概 念を学習させる教材が多く見られた。

4)本研究の目標とする送配電教材を開発するにあたり、開発要件として(1) 「有効エネル

(15)

ギ‑」 「損失」を簡単に客観的に判定できるo (2)エネルギー変換を一次エネルギーの 投入から最終消費段階までのシステムとして捉え理解させることが必要である。以上2 点が知見として得られた。

‑i]円‑

(16)

参考引用文献

1)門脇重道: 「技術発達のメカニズムと地球環境の及ぼす影響」 p8‑9山海堂(1992) 2)上野耕史: 「技術分野の改定の方向」日本産業技術教育学会誌第49巻第4号(2007) 3)日本産業技術教育学会学会誌1977年‑2006年

4)山本利一,牧野亮哉: 「太陽光発電を学習する教具の開発」日本産業技術教育学会誌第 40巻第3号(1998)

5)綾美幸、小川武範: 「中学校におけるエネルギー変換学習用教材の開発と授業実践一自 然エネルギーを中心として‑」理科教育学研究

vol.47 No.1

(2006)

6)小川武範、吉田治夫、川崎寛: 「エネルギー変換機器教材としての風車実験装置の製作」

日本産業技術教育学会誌第29巻第3号(1987)

7)山崎博司、北村健治、藤田幸二: 「エネルギー変換教材の開発」愛媛大学教育学部紀要 第45巻第2号(1999)

8)宮下晃一、松岡慎也、長松正康「電動カートを利用したエネルギー教育実践とその分析」

日本産業技術教育学会誌第47巻第1号(2005)

9)本多満正、田遠康夫、村石幸正、小松寛、前田香織、山岡寛人「送電における変圧器の 働きと仕組みの教材開発」日本教科教育学会誌第28巻第3号(2005)

10)内藤徹、木下龍、平舘善明、疋田祥人: 「「エネルギーの技術」の授業をどうする?‑

発電・送電を中心として授業展開例‑」技術教育研究会第34回全国大会(2001) ll)トップマン:技術教材カタログ

p228‑229

平成19年度

12)有川誠: 「技術科における効率の概念学習の授業実践」日本産業技術教育学会誌第35 巻第2号(1993)

13)小川武範、久光傾文、鍋島浩: 「中学校技術科における効率の概念の学習について」日 本産業技術教育学会学会誌第35巻第3号(1993)

14)新妻陸利、五頭昇: 「中学校における電動機学習について一単相誘導電動機の回路学習

‑」日本産業技術教育学会学会誌第19巻第2号(1977)

15)山本利一、牧野亮哉: 「太陽光発電システムの教材化と授業実践」日本産業技術教育学 会学会誌第42巻第4号(2000)

(17)

3章 中学校技術科教員へのアンケート調査

3.1緒言

本章では,中学校技術科担当教員を対象に質問紙調査を実施した結果を報告する。前章 で整理したように、技術科におけるエネルギー変換教材の例は多く示されているが、技術 科担当教員が授業をどのように実施しているのか、その現状や課題について明らかにした 研究は、国内論文検索サイトciNii、日本産業技術教育学会誌を調査したが、調査した範囲

では見あたらなかった。

そこで、技術科におけるエネルギー変換教材を開発する上で、技術科担当教員の日々の 授業における現状と課題を明らかにする必要があると考えた。

3.2調査目的

本調査は,技術科におけるエネルギー変換教材の導入を検討するために、技術科担当教 員を対象に質問紙調査を行い、エネルギー変換に関する授業の現状と課題を明らかにする

ことを目的とする。

3.3調査方法

(1)調査の詳細

本調査は,平成19年10月‑平成20年4月の間に、 (1)三重県津市、四日市市、鈴鹿市 の中学校(2)三重県技術・家庭科研究会(3)技術・家庭科研究会東海北陸大会を対象に質 問紙調査を実施した。 (1)三重県内の中学校には郵送で配布し、結果返却のために、回答者 名と e‑mallアドレスを記入してもらい、期日までに郵送にて回収した。 (2)三重県技術・

家庭科研究会、 (3)技術・家庭科研究会東海北陸大会には、手渡しで回答を依頼し当日回収

した。

(2)質問項目

中学校技術・家庭科「技術とものづくり」 (5)エネルギー変換を利用した製作品の設計・

製作における教授内容における、本年度の実施内容、電気領域の学習状況について前24項 目を設定した。 (表3‑1)

ー13・

(18)

表3.1アンケ‑ト調査項目

同埋 書号

二iーrt≡' 国召こ

間1 先生こ自身についてお伺いしま (I)罪(2)女 間2 所Jnする学校の所在地を教えてく

+‑‑±l̲し

郵便番号をお腰いします.〒‑

間3 ‑学年あたリの学級数を敢えてく

ださい. 1.2.3.4.5.6.7.8.9̲それ以上

間4 教職経験は何年ですか. (l)10年未満(2)10年以上(3)2(】年以上(4)30年以上 問5 取得している教員免許状を教えて (1)小学校

ください○ (2)中学校(Eil吉富一社会.数学一理科.音楽.美術.保健体育

・技術.家庭.英語) (3)その他()

間6 教員になる前の椎葉を数えて<だ さい.

(1)学生(2)言暮師(3)一般企薬(4)公務員(5)その他(

)

間7 学習】苛⊇書要領における.A技術と A:技術とものつくり時間 ものづくりーB情報とコンピュータに

ついて、それぞれ何時同ずつ実 施されていますかD

B:情報とコンピュータ時間

間8 A技術とものづくりにおいて、中学 (1)生5舌や産業の中で技術の果たしている役割暗闘 枝3年間での学習内容をどれだけ (2)製作[.E][lの設計時間

の割合で実施されていますかoそ (3)製作r=関するエ具や機器の使用方;去及び加エf支衝時間 の時間配分を教えてください. (4)製作に使用する機器の仕組み及び保守時間

(5)=ネルギ一変換学習時間 (6)栽培学習時間 (7)その他()時間

間9

授業のモチベーションを高めるた

めにどのようなエ夫をしています か.ご自由にお書き下さい○

田lO 生徒が理解に悩むところはどこで すか.

その理由も併せてお書き下さい.

間ー1 現在の技衝科の授業にどのよう な課圧があるとお考えですか.

ご自由にお暮き下さい.

間12 現在の7支両村の教材f=どのよう な課題があるとお考えですか.

ご自由にお書き下さいD

学習籍iI要領l=おける【技術分野】A技術とものつくり(5)エネルギ‑の変換を利用した製作晶の設計.製作 [=ついておfyfきします.

間13 上記r=蘭して、アrとイ̲それぞれの時間配分と授業内容を敢えてください.

ア̲エネルキーの変換方法や力 の伝達の仕一組みと、それらを利用

した製作晶の設計. 授業内容時間

イ.製作晶の租み立て.調整や.

電気回路の看己線.点検. 授業内容時間

PE,ll4 エネルギ‑変換の授業ではどの (l)座苧(2)教師の演示(3)実験(4)教育機器の利用(5)製作 ような授業形態で実施されていま

すか.(複数回答可能)

(6)その他()

間ー5 エネルギ‑変換の書受集ではどの (l)自作プリント(2)教材会社等の教材キット(3)教科書のみ ような教材を使用していますか.

(複数回苔可)

(4)その他() 間l8 他の分野と比重交して.生徒のエネ

ルギ‑変換に対する興味.意欲, 感心の度合いはどうですか○

(1)高い(2)やや高い(3)どちらでもない(4)やや低い(5)低い

間17 エネルギ‑変換の壬受菓でエ夫さ れている点はありますか.

ご自由にお書き下さい.

(19)

エネルキーf花の7肇Iにおける苛二うナ一計についてまヨⅥきしzす.

間18 電気に関して何を中学攻技術分 野で数えるぺきだとお考えです か,ご自由におIき下さい○

間19 電気に関する池袋葺があるとす (1)講覇(2)襟帯授弄(3)封建(4)ワ‑クシ∃ツフ(5)貫首 れぱどa)ような内容を望み手す

か○(棟数回答可)

(6)その他() 問2() f受薫でr莞t.■t』に関する艮 (1)はい(2)いいえ

菓を行つていますか.

(2)と答えられた方は理由も併せて お書き下さい○

理由:

聞2ー 改めてお聞きし‡す.電気0)授業 (りはい(2)いいえ 内容にF先tL*tJla)必要性を

感じますかむ併せてその理由もお 暮き下さしヽ.

理由:

間22 現業でr送t.EIJr=関する投

(1)はい(2)いいえ

菓を待つていますか○

(2)と答えられた方は理由も併せて お暮き下さい○

L=;=̲=

間23 改めてお開きし貫す白電気の授弄

(1)はい(2)いいえ

内容にF送t.配tJの必要性を

感じますか.併せてそ0)理由もお 書き下さい.

理Etl:

間24 】究在のエネルキ‑実7製や電気の 授業L=どのような課確があるとお 考えですか,ご自由にお書き下さ

こ協力あL)がとうこさいました○お墓し支えがzJければ.調査精巣こ返送のためにe‑mairアドレス菅こ配入下さい○

宛先Ei‑rI7ail@

3.4調査結果

調査の回答は,質問祇を発送した(1)三重県内の中学校では52件発送中12件の回答を得

ることができたo (2)三重県技術・家庭科研究会では5件依頼中5件(3)技術・家庭科研究 会東海北陸大会では5件依頬中5件の回答を得ることができた。

(1)プロフィールについて

回答者の割合は,間1

:

22件中22件が男性であったo

間3:一学年あたりの学額数は2学級4学級が4件と最も多く、次に6学級が3件、 5学 級が2件、 3学級が1件、そして、 3学級7学級9学殻、それ以上がそれぞれ1件であった。

間4:教職経験については、 (1)10年未満が4件, (2)10年以上がo件、 (3)20年以上が 13件、 (4)30年以上がo件であったD

問5 :教員免許取得状況は、技術科教員免許以外で最も多く取得していたのは小学校教員 免許17件中11件であったD その他の取得状況としては,社会が5件、数学が3件、理科 と高校が2件、工業が1件であった。

間6:教員になる以前の職業は、学生が17件中14件と最も多く、次いで講師が2件、そ の他として青年海外協力隊が1件であったo

間7:旧学習指導要領における「A技術とものづくり」 「B情報とコンピュータ」それぞ れの授業時間数は、回答に差はあるものの、 A50時間: B30時間程度であることが分かっ

たo (表3‑2)

問8:旧学習指導要領における「A技術とものづくり」内の各内容(1)‑(7)の実施時間数

‑15‑

(20)

は、 「(3)製作に関する工具や機器の使用方法及び加工技術」がもっとも多く実施され

ており、以降順に「(5)エネルギー変換学習」 「(2)製作品の設計」 「(4)製作に使用す る機器の仕組み及び保守」 「(1)生活や産業の中で技術の果たしている役割」 「(6)栽培 学習」 「(7)その他」であった。 (表3‑3)

間9:授業のモチベーションを上げる工夫としては、 「世の中の様々な具体的な物を取り 入れる。

「やり方や道具の使い方をできるだけ少なくし、 「まずやってみる」ことを大 切にしている。

「生徒が興味関心を持つための教材等の工夫」といったように、生徒た

ちの興味を引く物や実生活に密着したもの、身近な題材を取り上げるという記述が多く見 られた。

間10:生徒が理解に悩むところとしては、 「キャビネット図の奥行き半分。平面図を立 体にとらえること」 「電気に関する内容は理科でもやっているが、理解は発しいようであ

る。

「知識理解に関するところ、理科等の基礎知識が不足している。

「製作の順序や 見通しがもてない。 」など、基礎的な知識やものづくりの経験が不足している生徒がいる

ということがわかった。

間11 :現在の技術科の授業に対する課題としては、 「製作をしたいがそれをできる環境 (道具不足、費用)がととのっていない。

「時間数が減り、内容に深まりがないためお もしろさもない。

「体験的な学習をより充実させたいが、時間が足りない。指導者の実 力が不足している。 」といった回答が見られた。

間12 :現在の技術科の教材に対する課題としては、 「ものづくりの材料が木材、金属、

プラスチックと多岐にわたり、指導が深められない。

「幅が広くて、理解なく作ること が多い。

「新学習指導要領に準拠した教材の不足」 「授業時数を考慮するとどうしても"

小ぶり"な作品になる。

「材料費を低価にすること。 」といった回答が見られた。

間13:学習指導要領における〔技術分野〕 A技術とものづくり(5)エネルギーの変換 を利用した製作品の設計・製作のうち、ア)イ)それぞれについての実施内容と授業時間 数については、ア)エネルギーの変換方法や力の伝達の仕組みと、それらを利用した製作品

の設計については、 「動くおもちゃ」 「エネルギーの変換の仕組み、方法」 「蛍光灯の製 作」 「電気エネルギー」 「身の回りのエネルギー、電気エネルギーの利用、光、力、力の

伝達」といった回答が見られた。イ)製作品の組み立て・調整や、電気回路の配線・点検に

ついては、 「音楽作り」 「配線実習」 「たこ足配線、手回し充電式キット」 「テーブル

タップの製作」 「ダイナモ発電ラジオの製作」 「組立て、エネルギー変換のその利用、

LEDダイナモライトの製作」

間14:エネルギー変換の授業における授業形態としては、製作が17件と最も多く、座学 が16件、教師の演示が12件、実験が7件、教育機器の利用が4件、その他が1件であっ た。 (表3‑4)

間15 :エネルギー変換の授業で使用している教材は、自作プリントが15件と最も多く、

教材会社の教材キットが14件、教科書のみが5件、その他が2件、無回答が3件であった。

(21)

間16 :他の分野と比較したエネルギー変換に対する興味・意欲・感心の度合いは、どち らでもないが11件、やや高いが6件、やや低いが3件、無回答が4件であった。

間17 :エネルギー変換の授業で工夫されている点としては、 「先端の技術、知識に触れ る機会を増やしたい。難しいことをできるだけ身近な知識に置き換えて理解できるように

している。

「生活に直接関わる内容を中心に教えている。演示や製作を多くしている。

「生活の中での電気エネルギー利用との比較、コンピュータの授業で電気代の計算」 「で きるだけ製作実習を多くとる。班別学習をこころがけている。

「東京電力のパンフレッ

トをもらって活用している。できるだけモデルを活用する。 」といった回答が見られた。

問18 :電気に関して何を中学校技術分野で教えるべきかに対しては、日常生活に関する ものが5件、漏電感電に関するものが4件、屋内配線に関するものが3件、家電の修理が2 件、それ以外(粒子性、電気の理論、生活の範囲内で使える知識と技術、身近な電気電子 製品のしくみなど)が1件であった。 (表3‑5)

間19:電気に関する勉強会に求める内容としては、実習が11件、ワークショップが10 件、討議、模擬授業が4件、講義が3件、その他が1件であった。

間20: 『発電、変電』に関する授業の実施の有無については、実施が16名、未実施が 6名であった。実施内容とその理由としては、 「風力発電の模型を作った」 「コンセント に来ている電気を学習する上で必要だから」 「使える電気をどう作りどう活用するか?

製作実験を通して学習している」 「電気エネルギー‑の変換を中心に進めているから当 然入ってくる。 」などであった。未実施の理由としては、 「内容が難しい」 「時数が足り ない」という回答が見られた。

間21

:

『発電、変電』に関する授業の必要性については、 20名が必要、 2名が不必要と 答えた。必要と答えた理由としては、 「未知の分野だから」 「これからのエネルギーを 考えるためにも必要」 「エネルギーの有効活用を考える時ベースになるから」 「電気エ ネルギー‑の変換を中心に授業を進めるから当然入ってくる。 「電気がどのように作

られているか知ることにより、環境に関することなど‑広げられるから」 「環境問題と も関連するから」などであった。不必要と答えた理由としては、 「優先順位が低い」 「家 庭で安全に使えることを教えることがまず第一歩」という回答が見られた。

間22: 『送電、配電』に関する授業の実施の有無については、実施が11名、未実施が 11名であった。実施内容とその理由としては、 「発電を学習すれば送電・配電の学習が 必要」 「最低限必要」 「エネルギーを無駄なく伝えること。安全に使用すること」 「電 気エネルギー‑の変換を中心に授業を進めるから当然入ってくる。 」などであった。未 実施の理由としては、 「工業高校で十分」 「家庭で安全に使えることを教えること」 「電 気の時間をとってない」 「特に必要と感じない。 」という回答が見られた。

間23

:

『送電、配電』に関する授業の必要性については、 16名が必要、 6名が不必要と 答えた。必要と答えた理由としては、 「家でブレーカーがなぜ落ちるかとか実生活で知 っていく必要があるので」 「知っておいても良い内容」 「発電があれば送電配電はつき

・17・

(22)

もの」 「屋内配線程度ぐらい」 「家庭生活の中で、知っている必要がある」 「電気がど のように作られているか知ることにより、環境に関することなど‑広げられるから」「電

気エネルギー‑の変換を中心に授業を進めるから当然入ってくる。 」などであった。不 必要と答えた理由としては、 「中学校では難しい」 「送る前に身近な屋内のことを」

「ニ

ュースで取り上げられても生徒がしっていない。 」という回答が見られた。

間24 :現在のエネルギー変換や電気の授業における課題については、 「知識・経験、興 味関心の少ない生徒が多い。

「機器や材料の予算が少なく、持ち出しが多い。

「木

工、金工等の製作に時間がかかる傾向にある。指導力不足も感じられる。

「教科書が 丁寧さに欠け、補助プリントを準備しなければならない。

「材料費」 「3年で週一時

間は成績や、製作に必要な時間のことを考えると難しい」 「他の内容より興味関心が低

い」

「カリキュラム上の理科との兼ね合い」 「電気、通信を統合した系統立てた授業が できるのではないかと研究中ですo 」という回答が見られたo

表3.2授業時間数

A技術とものづくり、B情報とコンピュータについて、

それぞれ何時間ずつ実施されていますかo

問7

A:技術とものづくリ B:情報とコンビユ‑タ

50 37.5

52.5 35

52.5

35

55 50

45

43

45

40

50

37

44 44

75 30

52

35

52.5 35

80

70

52 35

35 52.5

1 0.5

20 10

52.5 35

43 44

20

15

50 35

35 35

(23)

表3.3各内容における授業時間数

A技術とものづくりにおいて、中学校3年間での学習内容をどれだけの割合で実施されていますかo (1)生活や産 (2)製作晶の (3)製作に関 (4)製作に使 (5)エネル (6)栽培学習 (7)その他

実の中で技 設計 するエ具や 用する機器 ギ一変換学 術の果たし

ている役割

機器の使用 方法及び加 エ技術

の仕組み及 ぴ保守

間8

5 5 10 10 20 0

0

7

8 15

5

17.5

0

0

2

9 20

4 17.5 0 0,

2

10

20

3

20 0 0

4 7

6 6

14

0 8

5 20

8

2 5

0 0

2

4 47 8 26

0 0

2

2

2 4 2 0

0

8 20 18 3 3

0

0

5

5

30

10

2.5

0

0

5

10 40 5 10 0

0

2

20

30 18 8

2 0

1 10

35

1 5 0

0

1 6

30 3

5 5

0

6

8 6 5 5 0 0

2 8

25 6

2 0

0

6 8 20

8.5 6

0

4

10 5 ー5 2 10

0

0

2 1

20

10 20

10

0

2 4

14

14 1

0

0

蓑3.5技術料で教えるべき内容

電気に関して何を中学校技術分野で教えるべきだとお考えですかo

間18

漏電.感電 4

日常生活に関するもの

5

屋内配線

3

基本的な回路 1

教科手程度 1

家電の修理 2

粒子性 1

電気の理論 1

保守

1

生活の範囲内で使える知識と技術

1

学習指導要領にのつていることぐらいは 1

理科でも学習しているが,当然実生活では技術科の中

での授業のほうが生活に密着していると考えている○

身近な電気電子製品のしくみ 1

生活に密着したところ 1

実際に家でも使える技術の習得 1

発電の基本、エネルギー変換の基本のようなもの

3.5考察

まず、技術科の授業における現状として間11、 12から、道具不足や費用不足、時間数の

‑19‑

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