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(1)

Bul l .Fac.Educ.Hi r os akiUni v.7 2:47 ‑67 ( Oct .1 994)

教 育調査 と教 育運動

‑ 教職員の 「多忙化」問題 を事例 に ‑

Th eS i g n i f i c a n c eo fEd u c a t i o n a lRe s e a r c hf o rEd u c a t i o n a lMo v e me n

t:

ACa s eS t u d yo f" Ov e r wo r k"Te a c h e r sPr o b l e msi nAo mo r iPr e f e c t u r e

大 坪 正 一 *

Shoi c hiOTSUBO

論文要 旨

青森県教職員組合が実施 した 「在職 中死亡多発 に対す る緊急ア ンケー ト調査

( 1 9 93

年11月) を題材 に して,教育運動 にお ける教育調査 の位置づ けや意義 を実証的 に検討す る事 を目的 とし た論文である。多忙化問題解決の課題 とされている管理主義の強化 と教員文化 の質 をめ ぐる意 識調査 の結果か ら,特 に調査 をどう生かすのか とい う点 について,(∋抽象的数値 と実感 をつな げること,② この まま何 もしないでいるとどうなるか とい う 「地獄図」 を描 くこと,(卦 「子 ど ものために忙 しいの は当た り前」・「努力すれば解決で きる」 とい う意見 の見方等 を指摘 した。

さらに,教育運動 にお ける調査 の意義 として,(∋自分達 の実態 を科学的 に知 ることが教職員 と しての主体形成 につなが ること,(参多 くの人々の結合 の条件 を切 り拓 くことによって運動 自体 の発展 につなが ること,(卦調査 の実施者が地域 の教育主体 としての成長 ・発達 してい く上での 教育 ‑自己教育的課題であること, な どを提起 した。

1.は じめに

教職貞組合運動 の方向をめ ぐる議論 と闘いの中か ら全 日本教職員組令 (全教)が結成 され,

1 9 93

7

月 に機 関誌 『ェデュカス』 (季刊)創刊号が発行 され た。 この創刊号 での特集 は 「あ あ,せわ しい一週間」 と題 した教職員 の多忙化問題であったが, そ こで はかな り多 くのページ をさいて,92年11月に全教が行 った「教員 の生活 と勤務 に関す る調査」 (労働科学研究所 による 無作為抽 出による留置調査,有効 回答

1 2 6 8

,回収率93%)結果の速報 と分析がなされている。

機関雑誌の創刊号 に, この ような実態調査 の企画 を くみ,示 されている数字 をもとに 「みんな で考 えよう」 とい う取 り組 みを行 うことは,職場 や生活 の足元か ら運動 を組 み立 て ようとする 労働組合運動 の本 旨に沿 っているもの として評価 され よう。

とい うの は,職場 での労働 の実態 は,組合員であ ろうがなか ろうが, どの組合 に所属 し何党 を支持 しているか どうかに関わ りな く,全体 に一様 に関わ っているか らである。労働組合運動 の今 日的問題点 として語 られている若者 の労働組合離れ とか,「組合員意識 の低下」な どとい う 問題 は,職場 にお ける団結が困難 になっている とい う事実の正確 な分析 を求 めているのであっ て,「敵 の力 の大 きさ」 ましてや,「路線 の対立」 とか運動理念 の対立 にすべてが解消 され るわ けで はない。

*

弘前大学教育学部教育学科教室

De pa r t me ntofPe da go gy,Fac ul t yofEduc a t i on,Hi r o s akiUni ve r s i t y

(2)

大 坪 正 一

理念」を共有す るので はな くて事実判断 を共有す ること,事実認識 を共有す ることが大事 で あ り, それが共同‑団結 のための決定的条件 になることを重視す る必要がある。事実 に基づ く 判断 にどんな場合で もたつ こと,事実判断 に基づかない価値判断 を排除す る活動 のスタイルを 作 り上 げることが求 め られてお り,事実調査や分析 はその第一歩 なのである。以上 の ような活 動スタイル を続 けない限 りその組織 が信用 を失 ってい くことは目に見 えてお り,ハ ッタ リで多 少人が動 くことはあって も,息の長 い活動 に耐 えることはで きない と思 える

多忙化」とい う問題 は,教職員の労働 をめ ぐる課題,特 に 「労働 の人間化」や働 きがいのあ る職場づ くり (労働 を通 じての人づ くり)な ど,今 日にお ける階級的労働組合運動 の理念的課 題 とされているものを象徴 しているテーマである。 (富沢

・ 1 9 84)問題が大 きす ぎて どこか ら手

をつけて行 けばわか らな くなっている状況があるな らば, 「多忙化」とい う言葉 に示 され る事実 を正確 に把握す ることによって,職場 や教育労働 のあ り方 に もつなが る課題 を発見す ることが 求 め られ よう。 そのために も,調査 の役割が よ り鮮明 にされ る必要がある。

本稿 で は,「多忙化」問題 を対象 として,93年11月に取 り組 まれた青森県教職員組合 「在職 中 死亡多発 に対す る緊急 アンケー ト調査」 を題材 にして,教育運動 における教育調査 の意義や, 教育調査が果たすべ き役割 を検討す る。調査結果 とその分析か ら,調査 を運動 に生かす とはど の ような ことを考 えれ ばよいか,以下,調査 の事例 を通 して述べ ることにす る。

2.これ までの多忙化調査が示 して きた もの

ェデュカス』創刊号 には全国で行われて きた教職員 についての最近 の調査が掲載 されている が, ここで は前述 した全教 「教員 の生活 と勤務 に関す る調査

( 1 9 93)と青森県内で実施 された

教員の 『多忙化』 に関す る意識調査」 (青森県国民教育研究所 ‑青森民研編

・ 1 990)を同 じ教

員組合 の行 った先行調査研究 として取 り上 げてみる

まず, それぞれの調査研究 の問題意識 ‑調査課題 を示 してみ る全教調査 での問題意識 は,

教職員の長時間勤務,多忙化が進 み, その ことが教職員 の生活か ら人間 らしさを奪い,教育 活動 にも重大 な支障 を及 ぼ している」 ことにあ り, この点で はこの間の多忙化調査 に も共通す る事柄 である。 また,青森民研 の調査 は久富善之氏 の調査研究 (久冨編

・1 9 88)

をうけて,今 日の 「教育 の危機的状況」の中での多忙化 の新 しい質 を明 らか にす ることを目的 とし, それ に 対する教員の意識 の実態 を問題 にし,多忙化解消のための具体 的改革,改善 の方向一教員定数 増や男女平等,担 当時間数や生徒数 を改善 す ることな ど‑を検討 している。

これ らの調査 に共通す るの は,調査で現れた実態 ‑変化や新 しい質か ら,学校 のあ り方 を問 い直す とい うことである。 た しか に,以前 の調査や他産業 と比べてみて も,仕事時間や休暇 の 取 り方な どで 日本 の労働者の中で 「トップクラスの長時間」になってお り,「切れめない 日々の 生活指導上 の問題 に追われ」 また 「教育的意味 を兄 いだせない仕事 とその蓄積」 な ど,学校 内 でのゆ とりのない生活 の実態 も明 らかにされている。 そ して最大の問題 として,特 にベ テラン 教師の

bur nout

(もえっ さ)現象 といわれ る状況,若手教員や停年前 の教員の転退職意識 の増 大がある。 自分 の一生 の仕事 として きた教育労働 その ものか ら撤退 し,あるい はその発展 をめ ざせないあ きらめの状況 を創 り出 している とい うことである。若 い うちか らの管理職志向 はこ の亜流 だ とい う説 にもうなず けるものがある。

以上の先行調査か ら,多忙化や多忙感が増大す る職場 にお ける実践的課題 として,

2

つの事 柄が指摘 されている とみて よいであろう。一 つ は,指導要領 の押 しつ けや教育実践 の監視 な ど

(3)

教育調査 と教育運動

4 9

に代表 され る管理主義 の強化 (教育科学研究会編

・1 9 9 3 )

であ り, もう一つ は, こうした職場 内の空気 を醸成 して きた 「教員文化」の質 (稲垣,久冨編

・1 9 9 4 )

である。運動 の課題 として は,一方で はや りたい ものがやれずや りた くない ものをや らされているとい う 「無念の思い」

をどうしてい くのか とい うことであ り, もう一方で は,職場 の集 団 自体が, それぞれの 「多忙 化」 を促進す るように足 を引 っ張 りあっていることをどうす るか とい うことである。後者 に関 して は,多忙化 の原因 は調査 されな くて もわかっているし解決方法 もわか っているのだが,結 局 はいつになって も解決 されない とい う意識 の根拠 になっている と考 えられ るものである。原 因 と解決策がわかっているのに力 にな らない状況, これ らを問題 にす ることこそが多忙化研究 として求 め られている。普段 の生活 の中で は意識 されない ものを客観的 にデータ として示す こ とによって,解決 のための力 を引 き出す こと,調査 はそのために有効 に使われねばな らない し, 運動 はこの点か ら学ぶ ことが多 くある

3.

調査結果 とその特徴

今回の青森県教職員組合での調査 は,「在職 中死亡多発 に対す る」とい うそのタイ トルに もあ るように

,9 3

年度 の

4

月か ら

1 0

月 までにさまざまな原因で青森県の教員が

1 6

人 も死亡 してい る

( 9 2

年度 までの

4

年間の年間平均 は

2 5

人 だが,例年死亡が多 くなるのは

1 0

月か ら

3

月の期間で あるため,本年 は 「異常」な事態であるとい う認識がある。)ことか ら,緊急 に取 り組 まれた も のである。 その意味で は,調査項 目を限定 (全体 で

1 0

項 目,

B4

1

枚 に収 まるように作成 さ れた) した こともあ り,多忙化問題 を全面的 に検討で きる もので はないが,関心 を持つ多 くの 教職員か らの回答 を得 ることを優先 して取 り組 まれた。組合貞 のいる学校 を中心 に

1 2 0 0

票 を配

1

1月下旬 か ら

1 2

月上旬 の間 に組合貞が回収,県内の小中学校教員 の約

1

割 に当たる

1 0 2 1

の有 効 回答 を得 た。配票 は学校 の全員 を対象 にした無作為であるが,回答者 は組合員 をはじめ組合 活動 に関心 を持 つ,ない しは協力的な教員が中心 となっている と思 える。 しか し,中には管理 職 (校長)か らの回答 もあ り,多 くの教員 の関心 を引 くテーマであった ことは疑 い得 ない。

前述 した

2

つの先行調査 に比べて,小,中教員の回答数が多い とい うことか ら (全教調査 ‑

8 2 4

,青森民研調査

‑4 2 9 )

,労働 の実態 については意味 あるデータが提示 されている と思 えるの で,結果か らみたその特徴 を検討 してみる。

( 1 )

労働時間 (

1

週間に

5 8

時間働 く‑平 日

1 0. 5

時間労働 ‑産業革命期並み)

藤本武氏 の分類 (藤本

・1 9 8 4 )

を参考 に,労働者 の生活時間の うち収入生活時間 (企業 に雇 われ拘束 されて不 自由な時間 ‑他有時間) として上 げ られ るものを教貞 の実態 に合わせて,( 学校 内仕事時間,(卦家 での仕事時間,③通勤時間 に分 けて 「仕事関連時間」 とし,

1

週間単位 で集計 したのが図1‑ 4である

(4)

1 1週間の仕事関連時間

4.3.58

; 4.7 4,6 ざま+a‑i:ttLt1 I..l一 蒜 A 岳

A52.5% 萎方

w a d

囲 学校内仕事時間 団 自宅仕事時間 団 通勤時間

2 1

週間の仕事時間 (学校別)

小学校 中学校

E:)男 E3女 囚 平均

3

年代 による仕事時間 (校内仕事時間+自宅仕事時間)

50

(5)

4

仕事関連時間の分布 (通勤、 自宅仕事時間含 む)

5 4 ‑ 6 0 6 6 ‑ 7 2

6 0 ‑6 6 7 2‑7 8 7 8‑8 4 8 4‑9 0

一 男 ‑・女

合計 は男性で

6 3. 3

時間,女性で

6 2. 1

時間であるが, ここか ら通勤時間 を差 し引いた 「仕事時 間」 は男性 で

5 8. 8

時間,女性 で

5 7. 4

時間で余 り大 きな男女間の違 いはない。 しか し,男女平均

5 8

時間 とい う数字 は,学期末 とい う調査時期 の影響がある とはいえ,定 め られた週労働時間で ある

4 4

時間 を大幅 に越 えるものであ り,全教調査 の全国平均

( 5 4. 9

時間) に比較す る と,男女 とも約

3

時間以上長 く働 いていることがわか る定時帰宅 をす ることが

遇 1

回 もない教貞が全 体 の

5 8. 4%

であるな ど,青森 の教員 は全国の教員 よ りも毎 日約

3 0

分 ほ ど長 く学校 に残 って仕辛 をしている とい うことになる。 自宅仕事時間 はさほ ど変わ らず

( 4. 3

時間),通勤時間が約

2

間ほ ど平均すれば短 い

( 4. 6

時間 ‑片道約

1 0

分程度短 い)。 これ は青森県の地理的条件,小規模 校が多いな どの条件 によるもの と考 えられ るが,都会 と違 い電車やバス時間 に拘束 されない分 だけ長 く残 って しまうとい う傾 向があるのだ ろうか。校種別 にみる と特 に中学校が平均で

4

間 も上回っている。後 で述べ るように,「部活」が多忙化 に果 たす要因 を考 える とき,青森県 は 全国 と比べて この

4

時間に当たる くらいの 「熱心 な」指導が展開 されている とい うのだろうか。

年齢別で は男女 とも

2 0

代 が最 も長 く,特 に

2 0

代 男性 は

6 0. 8

時間 (通勤時間 を入れ ると

6 5. 7

間) とい う驚 くべ き結果 となっている。 また男性 は

3 0

,4 0

代 も同様 の長 さを示 している。全 教調査で は家族構成 によるクロスを分析 して,親 と同居 な どの単身者 の男性 の仕事時間が極端 に長 い こと

( 6 3. 2

時間)か ら,「条件が許せ ば限 りな く仕事時間が延 びて行 く」傾 向を指摘 して いるが,今後検討 してみ る課題 となろう。

通勤時間 を含 む仕事関連時間が

遇7 2

時間 を越 える (実 に

1 3

時間労働)教貞 は男女平均で

2 4. 7

%,なかで も

2 0

代男性 は

3 3. 8%

3

人 に

1

人 に も達 している。未熟であるか ら時間がかか ると い う傾 向 は否定で きない として も,「若 さ,情熱」が もて はや され,「若 く独身の先生 ほ ど部活 の担当 を断れない」 とす る状況 は問題 にな らないのだ ろうか。

(2)仕事時間 と多忙意識(休養 したい」は仕事時間が増す ごとに,「やめたい」は時間に関係 な く)

仕事時間の増大 は日常の仕事 において どの ような意識 を生み出 しているか。 この点 について のデータを見 ることにす る。

学校 内での仕事時間 を 4段階 に分 けて,多忙意識 の 4項 目とのクロスを取 ったグラフが図 5

(6)

大 坪 正

である。多忙意識 として表 されているもの は,「忙 しい 」 は 「非常 に忙 し

」 ( 21. 6%)

と 「 な り忙 しい」 (

5 5. 7%)の合計, 「ス トレス」は 「

かな り感 じている

( 1 4. 4%)と 「ある程度感

じている」 (

4 3. 7%)

の合計, 「休養 したい」は 「よ くある

」 ( 6. 3%)と 「しば しばある」 ( 31. 2

%)の合計,「やめたい」は 「ある」 (

4 3. 3%)の数値である。全体 を通 じてみて も,「

休養 した い」,「やめたい」は半数近 くであ り,「忙 しさ」,「ス トレス」は半数以上 とい う高い割合である ことを注 目すべ きである。 また, た とえ

4 8

時間以下の仕事時間であって もけっして低 い割合 で あるとはいえない ことも特徴である。

5

仕事時間 と多忙意織

6

忙しい,ス トレス,休養,やめたい 全ての該当者 と仕事時間

3 5

30

2

5

2 1 0 5

10

30.2

̲■

23 .5 .十 ′■

1 1 2 整 . 8 ・ ̀

1 一 / / ′ 思

し 一

/ 三 シ / Ei

/ .21.18

48時間未満 54時間未満 60時間未満 60時間以上

□ 全休での割合 + 該当者中の割合

4

項 目すべての該 当者 と仕事時間の関連 のグラフは図

6

である

。6 0

時間 を越 える と,

2

割以 上がすべてに該当す る意識 を持 つ ことにな り, また,該 当者 の

3

分の

1

以上 は

,6 0

時間以上働 いていることな どがわか る。

・忙 しさ (P

<0. 01

で有意)

8 0%

近 くが 「忙 しい」とい う意識 を持 って 日常生活 してお り,「ある程度 ゆ とり有 り」が

21. 6

(7)

%,「充分 ゆ とりあ り」 はわずか1.

1%である。校 内仕事時間が4 8

時間以下であると 「ゆ とり」

を感 じるものが37.

7%

もいるのに対 して,54時間 を越 えると

80%以上が 「

忙 しい」 とい う意識 をもち,平均 を越 える。

・ス トレス

半数以上がス トレスを感 じている生活 を送 っていることになるが,6

0

時間以上 の校 内仕事時 間になる と

60%を越 えるようになる。4 8

時間以下 だ とス トレスを感 じているの は半数以下

( 47. 7

%) になる。

・休養 したい (P

<0. 01

で有意)

3

分 の 1強が休養 したい とい う意識 を持 っているが,54時間 を越 える と

4 0%以上 にな り,時

間が増す ごとに高 くなってい る。

・やめたい

忙 しす ぎて体が持 たないか らやめたい と思 った ことがあるの は4割強であるが,6

0

時間 を越 えると

47. 8%

に も上昇す る。「休養」に比べて 「やめたい」とい う意識 は校 内仕事時間の多 さに はあ ま り影響 されていないようである。

( 3)

多忙化の原因に対す る意識 (子 どもに直接関わ る項 目で2

0

代 と50代 が近似)

近年で は 「生涯学習 の時代」 をキャッチフレーズ として,新 しい教育政策が展開 されている が,教職員の多忙化 の実態 は改善 されているか。調査時の1年前か ら始 まった新学習指導要領 実施 と五 日制実施 とい う新 たな試 みについて,現場 での実感 を答 えて もらってい るので, その 結果 を見 ることにす る。新学習指導要領 は低学年直撃 の詰 め込みの強化であって,基礎学力の 定着 を困難 にし教育実践 自体 をよ り複雑 にす るとい う側面が実施以前 よ り指摘 されていたが, 予想通 り 「忙 しさが減 った」 とい う回答 は1名 のみであった。 む しろ 「増 した」 とい う回答が

3 6. 8%に も達 している

(変わ らない」が3

8. 5%) 。「

教職員のゆ とり‑人並みの労働」の実現が 期待 されていた五 日制実施 に至 って も,「減 った」 と答 えているの は

2. 3%にす ぎず,「

増 した」

のほ うが41.

4%で最高値 を示 している

(変わ らない」 は4

0. 4%)

。生涯学習社会 を実現すべ き 政策 の中で教職員の多忙感が増大 している とした ら, こんな皮肉な ことはないであ ろう。

そ こで,何が多忙 を促進 させているのか,原因 についての意識 を検討 してみる。表

1

は多忙 化の原因 と考 えるもの2

8

項 目を複数回答で答 えた ものである。

予想 され るように半数近 くが 「部活」や 「期末年末事務」 を上 げてお り,意識 された原因の トップを占めている。次が,地教委や教育事務所 の 「訪問」,「校 内研修」な どの学校経営 ・管 理 に関わ るもの と 「文化祭」が30%台であ る

。20%を越す ものの中には 「問題 ある子への対応」

授業準備「テス ト処理学級事務」 といった子 どもに直接関わ る教育上 の項 目が入 って く る。管理 ・経営 に関す る項 目は全体 として高いが, これ は 「校 内研修 のあ り方 を見直すべ きだ」

とい う意見

( 7 4. 3%)や,「それによって体調 を崩 した」 ( 33. 7%)

とい う意見 によって も裏付 けられ る。 また,本来教職員の労働 の実態 を調べ改善 のための力 となるべ き地教委や教育事務 所 の訪問 も,多忙化 の実態把握 につなが ってお らず

( 3 8. 9%)

,逆 に多忙化 を促進す る原因に も なっているので 「毎年や る必要 はない」 (

47. 8%)

とす る意見 も多い。

(8)

1

多忙化の原因

全体 小学校 中学校

2 0

3 0

4 0

5 0

部活

4 9. 5 4 6. 5 5 7. 7 5 9. 7 5 0. 8 4 2. 8 4 6. 8

期末年末乗務

4 0. 2 3 9. 8 4 2. 3 4 2. 0 4 2. 2 4 4. 8 3 2. 9

訪問

3 4. 2 3 7. 6 31. 1 2 7. 7 3 5. 6 3 7. 1 3 6. 3

校 内研修

3 3. 8 3 9. 2 2 5. 2 2 6. 4 3 3. 7 4 1. 2 3 4. 2

文化祭

3 0. 2 2 8. 3 3 3. 9 3 1. 2 3 0, 8 3 0. 4 2 9. 2

各会議

2 9. 2 3 4. 5 2 2̲ 7 1 9. 5 3 4. 6 31. 4 2 9. 2

問題 ある子の対応

2 9. 0 1 6. 8 ** 4 6. 2 1 9. 0 2 8. 6 3 0. 9 3 6. 7

指定校発表

2 6. 8 3 0. 9 2 2. 7 1 6. 5 3 3. 7 3 1. 4 2 5. 4

授業準備

2 4

.

4 2 2. 6 2 7. 7 2 9. 4 1 8. 1 2 3. 2 2 7. 5

テス ト処理

2 3. 0 2 0. 6 2 5. 8 2 7. 7 1 7. 8 2 4. 2 2 6. 7

学級事務

2 1. 5 2 7. 5 * 1 3. 2 1 6. 0 2 5. 7 2 3. 7 1 8. 8

自主発表

1 8. 3 2 2. 8 * 1 0. 9 1 0. 0 2 2. 9 2 1. 6 1 7. 5

小 .中体連

1 7. 1 1 4. 7 2 2. 1 1 3. 4 1 4. 0 2 0. 1 2 3. 3

学校五 日制

1 6. 8 1 6. 2 1 8. 5

l

l. 3 1 5. 9 2 3. 2 1 8. 3

研修会 出張

1 6. 7 1 9. 2 1 6. 2 7. 4 1 6. 5 21. 1 2 2. 5

受験指導

1 4. 5 2. 6 ** 31. 1 1 0. 4 1 2. 7 1 6. 5 1 8. 8

初任研

1 4. 4 1 5. 2 1 4. 3 1 4. 7 1 1. 4 1 3. 9 1 7. 9

提 出物

1 4. 3 1 8. 0 1 0. 9 5. 6 1 4. 9 1 7. 5 1 8. 8

学級指導

1 3. 2 9. 9 1 8. 8 1 6. 5 1 2. 1 1 1. 3 1 3. 8

PTA

1 3, 2 1 5. 4 1 0. 1 9. 5 9. 8 1 6. 5 1 8. 3

教育課程編成

9, 8 9. 3 1 0. 1 3. 9 9. 5 1 1. 3 1 4. 2

遇案簿提出

9. 4 1 5. 4 ** 2. 8 6. 5 1 2. 4 1 0. 3 7. 9

児童 (生徒)会

7. 8 7. 3 9. 8 7. 8 1 0. 2 7. 2 5. 8

給食指導

7. 1 5. 1 9. 8 2. 6 6. 3 9. 8 1 0. 8

修学旅行

6. 9 3. 4 * 1 1. 2 3. 5 5. 7 7. 2 1 0. 4

家庭訪問

6. 9 3. 8 * 1 2. 9 4. 8 7. 9 8. 8 5. 4

教育相談

6. 3 3. 0 * 1 1. 8 3. 5 6. 3 7. 2 7. 9

* P<0. 0 5

で有意

** P<0. 01

で有意

もち ろん これ らは校種 によって異なる側面がある。両者 を比較 して,小学校 に多 い ものが「 案簿提 出」 (P<0.

0

1で有意)と 「学級事務「自主発表」 (

P<0. 0 5

で有意)であ り,中学校 に 多 い もの は,「問題 ある子への対応受験指導」 (P<0.

01

で有意)と 「修学旅行家庭訪問」

教育相談」 (P<0.

0 5

で有意)である。「問題 ある子への対応」は中学校で は

4 6. 2%で 「

部活」

に次 いで

2

番 目になっている

年代別 にみる と,統計的 に有意差が認 め られ るの は 「研修会出張」のみであるが

( 4 0

代,5

0

代が高 い), それぞれの内容 を項 目ごとに分類 してみ ると以下の ような特徴がある。

全体で1

5%以上 の値 を示 している上位1 5

項 目を①学校経営管理 に関わ る管理的項 目,②学校 行事,対外活動 に関わ る行事的項 目,③子 どもに直接関わ る教育的項 目に分類 して,年代 ごと の値 を示 したのが図

7‑ 9

である管理的項 目に関 しては,20代 は一貫 して低 く,多忙 の原因 として余 り感 じていない ことがわか る。指摘 された項 目をそれぞれの年代 の 「負担意識」 とし てみる と,「校 内研修」 は4

0

代,「訪問指定校発表各会議」 は3

0

代,5

0

代 は 「出張」 に関 して高 い ことがわか る行事的項 目に関 して はさほ ど差がない もの として認 め られ るが,2

0

の 「部活」の高 さが注 目され る。教育的項 目においては項 目によって年代 ごとの違 った意識が あることがわか る授業準備「テス ト処理」 といった授業 を通 じて子 どもに直接対応す る項 冒で は

,2 0

代 と

50

代が高い。「学級事務」 は両者 とも低 いが,「問題 ある子への対応」で は両者 が分解 し

50

代が最 も高 くなっている。授業実践 に未熟 な20代 と,新 しい学習指導 に苦労 してい

5 0

代 とい う中身 を示 しているのだろうか。30代,4

0

代 は同 じような傾 向である。 なお, ここ

(9)

で は取 り上 げなか った 「学級指導」 とい う項 目で も

,2 0

代が

1 6. 5%

で トップで

,5 0

代 が

1 3. 8%

で これ に次 いでいる (平均

1 3. 2 %) 0

7

管理的項 目

小 ・中体連 文化祭 学校五 日制

ロ2 0

+3 0

◇4 0

△5 0

9 教育的項 目

ロ2 0

+3 0

◇4 0

△5 0

(10)

男女別で は,統計上 の有意差 は認 め られないが,割合 の差 の大 きい ものを上 げる と以下 の通 りである男性 が高い もの として は,「部活

」( 5 8. 8>4 2. 7 )

,「問題 ある子 へ の対 応

」( 3 5. 5>

2 3. 1 )

,「受験指導

」( 2 0. 2>1 0. 1 )

であ り,女性が高い ものは,「授業準備

」( 2 8. 2>2 0. 7)

「テ ス ト処理

」( 2 6. 0>2 0. 2)

である。

その他 の多忙化 の原因 と考 えられ る意見 はオープンアンサーで書いて もらってあるが,「市町 村 や地域 の行事参加」や 「新学習指導要領」な どの意見があった。 なかには 「組合の仕事」 と い う回答 もあったが, 自分で選 んだ項 目は 「本来 の業務 なので多忙 の原因 と考 えてはいけない

と思 うのですが‑‑・」 とい う但 し書 きをつけての回答 もあった。

4.

調査 をどう生かすのか

今 回の調査で は,調査票の最後 に多忙化問題や県教組 にたいす る意見 ・要望 を自由に書いて もらう質問 を設 けてある回答 の中の何人か は 「アンケー トに答 える時間 も惜 しい ぐらい忙 し い」とい う声や,「この調査項 目には書 ききれない くらいの多忙化の中身がある」とい うものが あった.実態調査 を何度やって も解決 されないむな しい思いや,「部活問題一つ解決で きな くて 何が組合 だ」 とい う率直 な指摘 もあった。確かに,統計数値 とい う抽象的な ものをい くら取 り 上 げて も, それが直接実際の力 になる とい うことはあ りえない。 に もかかわ らず,短期間の内 にこれ までの調査 にない数が,組合員内外か ら寄せ られていることに, まず注 目す る必要があ るだろう。 そ こには,何 とか して もらいたい,何 とか しなければ とい う多 くの教職員の意志 を 感ぜざるを得 ないのである。

調査票 を作 り,配票回収 をし,集計分析 をする とい うことには,県教組 自身多 くの労力 を注 いでいる内外 に多 くの課題 を抱 えている今 日の情勢下 にあって,何 のために苦労 して調査 を 実施 したのか。 それ は,科学的調査 自体が学習であ り運動である とい うこと,調査 を組織す る ことが多忙化問題解決 とい う実践 の力 になることにつなが る とい う確信か らであると思 える。

調査 に協力 して くれた調査参加者 は,単 なる対象者 とい う客体で はな くて,直面 している問題 を解決 し現状 を変革 してい く主体 になる とい う見通 しか らである調査活動 の成否 は,結果 と してでて きた数値 の衝撃で はな くて, その数値 をもとに主体的エネルギーを組織 し得 るか どう か にかかっているといえる

多忙化解消 は息の長い闘いである。調査 に現れた結果 は次 の課題 の発見であるにす ぎない と した ら,調査結果か ら共通認識 を作 りだ し,実践 的課題 を確認す ること, それ らを一貫 して追 求 してい く姿勢が大事である。労働組合運動が, まさに民主主義 の運動であるな らば,次の課 題 を発見 しなが ら原因を調査で解明 してい くこと,途中で投 げ出 さないで次々 とでる課題 に立 ち向か う姿勢, これ らは民主的な運動の系統性 につなが るものである。 また, どの ような少数 意見 も無視 しない こと(悪意的解釈や切 り捨てを取 らない こと), これ らは民主主義の原点で も ある。 自覚 を促 し連帯 を育 てることと,民主的な運動 の内実 を創 り出 してい くこと, これ らの 追求の中に現実 に働 きか ける主体的エネルギー は組織 される といえよう。 よって,調査の実施 よワも,調査結果 (客観的数値) をどう有効 に活用す るかが,最 も問われ る点である といえる

組合執行部が読 むので はな くて一人一人の教職員が どう読 むかである0

そ こで,問題解決 のための主体的エネルギーを組織す る とい う課題 に向 けて,回答者 の多忙 化 に対す る意見 を中心 に, この調査 を有効 に活用す るためのい くつかのコメン トを述べてみた

(11)

5 7

(1湘】象的数値 と実感 をつなげる

結果 をもとに討議 をす る場合, その材料 となるの は数値 であるこの数値 は結果 として現れ た ものであるが,職場 の実態 として 「当然」であるか 「意外」であるかの感想 を持つ ことにな る。多忙化 の原因や実践的課題 を求めるために討議す るわ けであるか ら,「当然」とい う感想 を もつ場合 は職場 の状況 として は否定的状況がある とい う認識 にたっての ことである意外」と い うの はむ しろ,「こんな もので はな くて もっ とひ どい はずだ」 とい う認識 の現れである「当 然」とい うの はその数字がで る根拠がわかっている とい う場合であ り,「意外」はわか らない と い うことである意外」ということで現 された数値 と実感 の食 い違 い, これ は正体不明の力で はな くて, どれだけ各 自の体験や事例 の中で砕 いてい くことがで きるか,根拠 を発見す ること がで きるのか, それが集団討議 の役割である個人 の経験 ・体験か らだけ判断す るので はな く て,集団的な経験,体験 でその認識 を深 めてい くことが,科学的な分析 につなが るのである。

となる と, む しろ問題 は 「当然」の方の意識である。 ここか らは討議 は深 まらない。 しか し, 考 え方 を変 えてみる と,「休養 したい」が9割,「やめたい」が 7割 とい う現状 で は,否定的現 状 の数値 こそが当た り前の数値であって,残 りの

1

割,

3

割 とい う数値 こそが 「否定的数値」

になるので はないか。「充分 ゆ とりがある

1. 1 %

,新学習指導要領実施後忙 しさが 「減 った」

0. 1 %

,「変わ らない

」3 8. 5%

, これ らは 「意外」な数字で はないのか。 自分が これ こそが多忙 化 の原因だ と思 っていることがあるとして も,全体 で は多 くて も 「部活」の

5 0 %

である。なぜ 残 りはそ う感 じていないのか。 これ らの数値 をどう説明で きるのか。 ア ンケー トはや らな くて も大体わか るで はな くて,「当然」の裏 に潜 んでいる 「意外」をどれだけ発見 し実感 す るのかが まず問われていると思 える。

そ こには,多忙化 の実態 は一様 で はな くて様々な条件があることが認識 され るはずである。

例 えば,多忙化原因についての意識 についてみる と,前章であげた上位

1 5

項 目を忙 しさの意識 で クロス してみる と,「非常 に忙 しい」 と 「ゆ とりあ り」 (ある程度,充分 の両者の合計)で は 違 った傾 向のあるもの とない ものがある。(

1 0 )

部活指定校発表授業準備「自主発表」

図1

0

多忙原因意護の差 (全体平均‑ 0)

10

5

0

‑ 5

0 5 1 1

5 l . 1

9.3 6 .6

J . t J

7

8

913

B l . 3 i 7 2 8. 7. 4 2 i22i 62i 5 1 i 2

‑0, 2

,7

. I 2. 2 ‑1 5

8‑1

1.l ̲o6

u

.4

1‑ ' 4 u

‑B1

‑3.6 ‑3.2‑3.7

5,4

‑6.8

1ーー l8 l l l l l

訪問

T 非常に忙 しい Eヨ ゆとりあ り

(12)

大 坪 正 一

小 ・中体連五 日制研修会 出張」 は変わ らないが,残 りの

8

項 目は1

0

ポイン ト以上の差 がある変わ らない もの は条件 に関わ りな く大体 の ものがそ う思 っていることとみて よいであ ろうが,変わっている もの は学校や個人 のおかれている条件 によって,負担意識や過重意識が 異なって くることを示 してはいないだろうか (校 内研修」が2

2. 3

ポイ ン ト,「会議」が1

9. 8

イ ン トな ど)。この条件 を見つ けだ し条件 を新 しい条件 に置 き換 えること,すなわち,「変 える」

とい うの は今 ある事実 を新 しい 「事実」 に置 き換 えることであるか ら,何が この条件 を作 り出 しているのか とい う事実 を発見す ることが求 め られている と思 える

(2)地獄図」 を描 く

宮本憲一氏 は,地域 開発政策 の展開の中で, それに対抗す る運動 を作 り上 げるための第一歩 として,「この まま何 もしないでいる と地域 はどうなるか」のイメージを共有す る事 を提起 し, その作業 を 「地獄図描 き」 と称 した。 (宮本・

1 9 86)今 回の調査結果で は, その項 目が全面的で

ない とはいえ, い くつかの 「地獄図」 を見通す ことが可能である。

多忙化 の中に長 く仕事 をしている とどの ような意識 を持つ ことになるか。年齢 と多忙化 につ いての意見 のクロスを取 り上 げてみる。 (% は 「その他 ・不明」 を除いた もの‑図11)多数意見 である 「ゆ とりを持つべ きだ」 (

62. 2%)を 「当然」の意識 とした場合,20

代 はいちばん この意 識が低 く,「考 えた こともない」が11%いる他 に,「当た り前」や 「努力」 の意見が相対的 に高 い。 しか し,「努力すれば何 とかなる」 とい う意見 は

30

代,40代 になるに連れて減少 して くる。

若 さや情熱 だけで何 とかなるような状態で はない くらいの状況があることが推察 され るが,40 代か ら

50

代 にかけて この傾 向が変わって くることがみ られ る。一方 は 「当た り前」が上昇 し,

もう一方で は 「無理 して もしょうがない」 とい うあ きらめや疲れを見せ る傾 向に分解 してい く のである

。50

代 は管理職的立場 の人 の回答が多 くなっていると思われ るが,「努力」は一貫 して 減少 している。 また,「やめたい」 は

32%か ら 5 5%へ と年代 を追 って一貫 して上昇 し,「

休養 し たい」 も

20

代 をす ぎる と高 くなって くることも, この状態 を裏付 けている。 (図1

2)

図11 多忙化 に対す る意見 (年代別)

0 2 0 4 0 6 0 8 0 1 0 0

2 0 代

3 4 5 0 0 0 1 . 1 8■ [ EE :

コ ゆとり声 考えないヨ当り前

1 . 4 9. 1 E W 2 Ⅶ f l L . 8

I . . . 一 2 . . . \ O ; … … :

6 6. 1 肺H 盆. : 6 I 1 K4 . \: 6! . , , , ̲ . 3 慧

霊宝て; ニ J

. 8 7 4, 1 1 5 . 8 3. 7

3. ヽ 6' ヽ ̲ ̲‑ : , . : : : . 8 6 8 E H B82 2. 2‡ 肝O二 4.

: : : : : : : : :

(13)

1 2

休養したい,やめたい,忙 しい (年代別)

9 0 8 0 7 0

% 6 0 5 0

4 0 3 0

5 9

□休養 したい +やめたい ◇†亡しい

無理 して もし ょうが ない」は少数派 で はあ るが,決 して不真面 目な層 で はな く,忙 しさが「 常 に「か な り」合 わせ て

8 2. 6 %

を占めてい る む しろ,忙 しさ意識 で は 「努力」は

6 3. 9 %

, 「当 た り前」 は

7 0. 2 %

で あ る ことを見 る とき, これ らの層 はまだ余裕 が あ るのであ り,余裕 がな く なって きたか らこそのあ きらめ意識 で ある ことが い える と思 える。 (

13)

図1

3

多忙化に対する意見と忙しさ

%

oo9080706050403020100r:

ゆとり持つべき

当 り前

考えたことない してもしょうがない

田 非常に忙 しい 団 かなり忙 しい 田 ある程度ゆとりあり 図 充分ゆとりあり 若 さだ けで は長 く続 かず,教育 実践 に対 してあ きらめにつなが ってい く傾 向 を見 せ る とした ら,多忙化 は解決 され ない まま残 ることが予想 され よう なぜ な らば,前述 した青森民研調査 の報 告書 で も引用 され てい る教 師 タイプの調査 で示 されてい るように,「いわ ゆるサ ラ リーマ ン 的 な先生」 は住民 か ら支持 はされていないか らであ る。 (矢野峻編

・ 1 9 7 9 )8 0

年代 の行政改革 の 時期 に問題 とされ た ように,住民 に とって役 に立 ってい る とい う意識 のない もの は, どん どん 削減 され る ことはあって も定員が増 えた りす る こ とはあ りえない。逆 に, どの よ うに攻撃 され て も住民 に支持 されてい る公務労働 者 は,住民 の力 に よってその攻撃 を跳 ね返 す ことがで きた。

(行革 の中で 「消 防署 や警察 を減 らせ」とい う声 はついぞ聞かれ なか った。)多忙化 の解決策 が 教員 の定数増 や学級 の担 当子 ども数 を減 らす こ とにあ る とすれ ば, この ままのあ り方で は不可 能 とい う結論 にな らざるを得 ないであ ろう

(14)

残 された道が,教員 をやめるか教育実践か ら身 をひ く形での管理職志向だ とした ら, ます ま す職場 の教職員の団結 は 「競争」 とい う形で破壊 されてい くといえよう

( 3 )

当た り前 ・努力」 とい う意見 をどうみるか

幸 いな ことに,「無理 して もしょうがない」 は2.

4%

とまだ少数であるそ こで問題 となるの が 「子 どものために忙 し くなるのは当た り前」 (

20. 8%)と 「

努力すべ きだ」 (

4. 7%)とい う意

見であるこの 「当た り前 ・努力」 とい う意識 は,歴史的にみて も教職 の使命感や職業倫理 を 代表す るもの として伝統的 に存在 していた し,「聖職論」として教員政策 に利用 されて きた もの で もある

回答者が組合運動 に対 して協力的であった とい う事実か らみて も,

4

人 に

1

人 とい う数字 は 決 して無視 で きない ものである。 しか し,前述 したように, これ らの意見 を持 つ人 は相対的 に は低 い とはいえ,64.

6% (

非常 に忙 しい」「かな り」の合計)が多忙 な状態で仕事 をしている

多忙化 に対 す る意見の相違 はどこで作 られ るのか。 この点 を深 く検討す る中で,意見 の違 う教 職員間での共同 ・団結の基盤 を兄 いだす討議が可能 になって くると思 える。

2

多忙化原 因意義 の違 い

全体 考 えない 当たり前.努力 ゆ とり 無理 しない

部活

4 9. 5 +

+ ‑

期末年末事務

4 0. 2 ‑

+ +++

訪 問

3 4. 2 ++ +++

校 内研修

3 3. 8 + ‑

文化祭

3 0. 2 + + ++++

各会議

2 9. 2 + ++

問題 ある子 の対応

2 9. 0 ‑ + +++

指定校発表

2 6. 8 ‑ +

授 業準備

2 4. 4 ++ ‑

テス ト処理

2 3. 0 + ‑ +++

学級事務

21. 5 + +

自主発表

1 8. 3 +

小 .中体連

1 7. 1 ‑ +

学校五 日制

1 6. 8 ‑

+

研修会 出張

1 6. 7 ‑ + ++

受験指 導

1 4. 5 ‑ + + ++

初任研

1 4. 4 ‑ +

提 出物

1 4. 3 +

学級指導

1 3. 2 ‑

+

PTA

1 3. 2 ‑ + + ‑

教育課程編成

9. 8 ‑ + +++

遇案簿提 出

9. 4 + ++

児童 (生徒)会

7. 8 ‑ + +

給食指導

7. 1 + +

家庭訪 問

6. 9 ‑ + ‑ ++++

教育相談

6. 3 +

健康調査

2. 3 + ‑

5

ポイ ン ト以上 の差 (一一)

( ++)

5

ポイ ン ト差 が出 るごとに+一記号 を増 やす

(15)

教育調査 と教育運動

6 1

多忙化 に対 する意見 と多忙化 の原因に対す る意識 のクロスが表

2

である。(「当た り前努力」

は総計)全体 の平均

( TOTAL5 3 6. 8 %)

と比較 してみると,「ゆ とりを持つべ きだ」は

6

割 を占 めていることか ら全項 目を通 じて平均値 に近 く,

5

ポイ ン ト以上上回っているものは 「訪問」

( 3 9. 4 %)

のみである。‑(平均以下 は 「授業準備学級指導「テス ト処理教育相談家庭 訪問」,

TOTAL5 6 9. 5 %)

無理 して もしょうがない」 は多 くの項 目で平均値 を上 回ってい る。

(5

ポイン ト以上 ‑ 「訪問研修会出張捷出物文化祭修学旅行会議「テス ト処 期末年末事務問題 あ る子へ の対応家庭訪 問教育課程編成過案簿 の提 出」,

TOTAL6 2 4. 9 %)

すなわち自分が関わる多 くの種類 の仕事が多忙 ‑負担や加重 の原因 として意 識 されている とい うことになるこれに対 して,「当た り前 ・努力」 は全体 として割合が低い。

( TOTAL4 8 3. 4 %)

平均 を

5

ポイ ン ト以上上 回っているの は 「授業準備

」( 3 2. 7 %)

のみであ る。

以上 の結果か らみて,「ゆ とり」 と 「当た り前 ・努力」の原因に対す る意識 の決定的違 い は, 管理的・経営的項 目を多忙化 の原因 と認識 しているか どうかである。「ゆ とり」 は 「訪問」 を始 め とす る管理的・経営的項 目の多 くを原因 としているのに対 し,「授業準備学級指導「テス ト処理」 といった子 どもに直接関わ る教育的項 目は低 くなっている。教育的項 目が多忙 の原因 とす るので はない とい う回答者が多いのに対 し,「当た り前・努力」 はそれ らの項 目を原因 とし て しまう意識 である。 もっ と子 どもに直接関わ りたいのに管理的項 目のために時間 を奪われざ るを得 ない とい う無念 の想 いをもつ多忙感 か, そ うは思 っていないのか という点 の相違 とい う ことになろう「当た り前 ・努力」 とい う意見 は,図

1 4 .1 5

にみ られるように

,2 0

代 は技術的な 未熟 さを考慮 して数値が高い ことを認 めるとして も,年代 を追 うごとに上記 3項 目で数値が上 昇 してい く傾向を示 している. 一見 「サラ リーマ ン的」で はない まじめな教員 の意見 も,多忙 化 の現状 の中で は子 どもに直接関わ る項 目に対 して否定的意識 を生み出 してい く傾向があるこ

とを重視すべ きであ ろう。

図1

4

教育的項 目を原因 とする多忙意護 (ゆとりを持 つべ き)

口授菓準備 +学級指導 ◇テス ト処理 △問題 ある子への対応

(16)

1 5

教育的項 目を原因 とする多忙意護 (当た り前,努力)

口授菓準備 +学級指導 ◇テス ト処理 △開港ある子への対応

「ゆ とり」の実現 は教員が楽 をす る事 で はな くて,子 どもたちのためによい教育 をしてい くた めに必要不可欠な ものであること,職場 の人間関係 を競争的で はな くて信頼や思いや り,未熟 な教師 を助 けベ テランが十分力 を発揮で きる,「労働 の人間化‑労働 における人づ くりの課題 として取 りくまれなければな らないので はないか。時間の問題 は当然有 る として も,や りがい のない仕事 をや らされているほ ど多忙感 を増す ことはない。「当た り前 ・努力」が, そのままで は子 どもと関わ ることにや りがいを兄いだせな くなった教員 の労働 や仕事 につながってい くと した ら,い くら使命感 や倫理か らこうした意見 を表明 した として も,本意で はない結果 に結 び つ くことに警戒が必要であろう大 いに職場 の中で討議 を巻 き起 こして もらいたい点である

5.

教育運動 における調査の意義 ‑ まとめにかえて一

以上,調査結果 を見て気づいた ことを述べてみたが,実態 をより性格 につかむためにはさら に詳細 な分析 や,一歩踏 み込 んだ次の調査が必要 になって くる と思 える。 ここで は最後 に, 連 の調査結果分析 と活用 に対す る提案 の事例 をふ まえ,教育運動 と教育調査 の関係 をめ ぐる課 題 を提示 してみたい。

調査す ることが教育である」 とい うような社会教育 の学習論 (大坪

・ 1 9 88)がある中で,特

に,地域 での運動体が地域 の教育 の主体 として発達 してい くことを目的 にす るな らば,調査 に 取 り組 む特別 の意味 を集団 自らが獲得 しなければな らない。

そ こで考 えられ る意義 の第一 は,調査 の実施が 自分達 の実態 を科学的 に知 ることに結 びつ く 点である。 この場合仲間同志の実態な ら日常の観察で充分である とも考 え られ るが,調査 とい う特別 の方法 を持 って捉 え直す ことにはどのような意味があるのか。すなわち,「競争」とい う 労働 の基本主義的形態 の もた らす弊害 とともに,

ME

化,

OA

化 といわれ る 「情報革命」の中 で,職場 の人間が見 えな くなっている状態 を克服 してい くとい う課題 である鈴木敏正氏 は現 代人 の主体形成 を自己実現 と相互承認 の過程 の意識的編成 として とらえているが,教職員 の成 長 ・発達 (自己実現) を問題 とす る上 において も, 自分達 自身 をお互 いに科学的 に知 ることは 第一義の課題であ ろう。 (鈴木

・ 1 9 92)それ こそ,ふだん 「

忙 しさ」 にか まけて見過 ごしている 新 しい動 きや,表面で は見 えない ことな どを改 めて問題 にす ることの もつ現代的意義 を認 めね ばな らない。

図 1 1週間の仕事関連時間 4. 3. 5 8;彰 ● 一 一 日 ● ■ 、 ■ 4. 7 4, 6 ざま + a‑ i: う t tLt 1 I . ‑ . ■ ■ l 一 一 蒜 A 岳 A5 2
図 4 仕事関連時間の分布 ( 通勤、 自宅仕事時間含 む) 5 4 ‑ 6 0 6 6 ‑ 7 2 6 0 ‑6 6 7 2‑7 8 7 8‑8 4 8 4‑9 0 一 男 ‑・女 合計 は男性で 6 3
表 1 多忙化の原因 全体 小学校 中学校 2 0 代 3 0 代 4 0 代 5 0 代 部活 4 9. 5 4 6. 5 5 7. 7 5 9. 7 5 0. 8 4 2
図 1 2 休養したい,やめたい,忙 しい ( 年代別) 9 0 8 0 7 0 % 6 0 5 0 4 0 3 0 5 9 □休養 したい +やめたい ◇† 亡しい 「 無理 して もし ょうが ない」は少数派 で はあ るが,決 して不真面 目な層 で はな く,忙 しさが「 非 常 に 」 「か な り」合 わせ て 8 2
+2

参照

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