• 検索結果がありません。

胚体内胚葉を誘導する方法は複数報 告されている

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "胚体内胚葉を誘導する方法は複数報 告されている"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1. 研究の背景

胚体内胚葉は、ヒト iPS 細胞から内胚葉系細胞を誘導するための最初のステップとされ ている。そして、胚体内胚葉より様々な誘導因子を用いて各種内胚葉系細胞(肺、肝臓、

膵臓、胃、小腸や大腸など)へ分化誘導されている。胚体内胚葉を誘導する方法は複数報 告されている。しかし、それぞれの方法での胚体内胚葉マーカーである SOX17, FOXA2 を指 標とした胚体内胚葉の誘導効率については論じられているものの、異なる誘導方法で作製 される胚体内胚葉細胞の性質、分化指向性の差異についてはよく分かっていなかった。そ こで、異なる方法で誘導した胚体内胚葉の分化能力を検証し、胚体内胚葉にサブタイプが 存在するどうかを調べた。

2. 研究方法・結果

1 ) 異なる分化誘導法で作製される胚体内胚葉は異なるタイプの内胚葉細胞である 胚体内胚葉はヒト iPS 細胞より前方原始線条を経て誘導される。私たちは、同一の方法 で誘導した前方原始線条より Activin A(細胞誘導因子の一つ)のみで誘導した胚体内胚葉 A (論文中の AADE) と Activin A と BMP(bone morphogenetic protein; 骨形成因子)阻害 剤の両者で誘導した胚体内胚葉 B (論文中の PADE) は、いずれも胚体内胚葉マーカーであ る SOX17、FOXA2 が共陽性であることを確認した。この2つの内胚葉より既報の肝臓への 誘導法を付加したところ、胚体内胚葉 A では肝芽細胞マーカーである AFP の発現を認めた が、胚体内胚葉 B では AFP の発現を認めなかった。この結果は、異なる分化誘導法で作製 される胚体内胚葉 A と B は分化能力が異なることを示している。

2 ) 胚体内胚葉 A は後方前腸、胚体内胚葉 B は前方前腸へ分化する能力がある

次に胚体内胚葉 A, B の分化能力の違いを検証するために、胚体内胚葉 A, B を誘導因子 なしで培養した。その結果、胚体内胚葉 A は後方前腸マーカーである HNF4α, HNF1βの発 現を認め、胚体内胚葉 B は前方前腸マーカーである SOX2 の発現を認めた。胚体内胚葉 A, B は誘導因子なしでも自発的に後方前腸と前方前腸に分化する能力を有することが確認され た。

3 ) 中後腸となる後方の胚体内胚葉は後期の前方原始線条より誘導される

中胚葉領域では、後方の中胚葉は後期の原始線条から発生するとの報告があり、中後腸 となる胚体内胚葉も後期の前方原始線条より発生することが考えられた。そして、Activin A と高濃度の CHIR99021 の両者による新規の分化誘導法を開発し原始線条を作製したところ、

原始線条マーカーである BRACHYURY 、前方原始線条マーカーである EOMES、後期の原始線 条マーカーである CDX2 の発現を認め、後期の前方原始線条を誘導できることを見出した。

さらに、後期の前方原始線条より Activin A 処理のみで胚体内胚葉 C (論文中の PDE) を 誘導したところ、SOX17、FOXA2 が共に陽性であることを確認した。胚体内胚葉 C の分化能 力を調べるために 2) と同様に誘導因子なしで培養したところ中後腸マーカーである CDX2

(2)

の発現を認めた。この結果は、胚体内胚葉 C は自発的に中後腸へ分化する能力を有するこ とを示している。

3.考察、結論

現在 SOX17 と FOXA2 の2つのマーカーで定義されている胚体内胚葉の細胞集団は同一の ものと考えられている。発生学的には胚体内胚葉には複数の種類があることが示唆されて いたが、これを分化誘導系で再現された報告はなかった。本研究では、その胚体内胚葉の 中に3つのサブタイプがあることを示し、それらを作り分ける方法を初めて開発した。ま た、今回誘導された胚体内胚葉 A, B, C は、それぞれ自発的に後方前腸、前方前腸、中後 腸へ分化する能力を有することが示された。今回の方法で胚体内胚葉を作り分け、その後 に従来の誘導方法を組み合わせれば、より質の高い内胚葉系の臓器構成細胞の作製に貢献 することが期待できる。

参照

関連したドキュメント

ƒ ƒ (2) (2) 内在的性質< 内在的性質< KCN KCN である>は、他の である>は、他の

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

るエディンバラ国際空港をつなぐ LRT、Edinburgh Tramways が 2011 年の操業開 を目指し現在建設されている。次章では、この Edinburgh Tramways

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しない こと。動物実験(ウサギ)で催奇形性及び胚・胎児死亡 が報告されている 1) 。また、動物実験(ウサギ

解析の教科書にある Lagrange の未定乗数法の証明では,

つの表が報告されているが︑その表題を示すと次のとおりである︒ 森秀雄 ︵北海道大学 ・当時︶によって発表されている ︒そこでは ︑五

(注)本報告書に掲載している数値は端数を四捨五入しているため、表中の数値の合計が表に示されている合計