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著者 加藤 巌

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シンポジウムを終えて (公開シンポジウム 越境す る少子・高齢化 : 子どもと高齢者をめぐる日本と アジアの新しい潮流)

著者 加藤 巌

雑誌名 東西南北

巻 2013

ページ 79‑80

発行年 2013‑03‑19

URL http://id.nii.ac.jp/1073/00001973/

(2)

今世紀の半ばにかけてアジアの新興諸国でも少子高齢化が急速に進む。とりわ け、東アジアでは深刻化だ。2010年に東アジアの人口は約15

.

7億人。このうち高 齢者は1

.

5億人だった。2050年になると、東アジア人口は15

.

1億人へ減少する。

一方で、高齢者は 4 億人へ増大する。つまり、高齢者比率が26

.

5

%

に達する。東 アジア域内では 4 人に 1 人以上が高齢者といった「超高齢社会」が到来するのだ。

すでに韓国、台湾、香港などで高齢化が顕在化している。とくに日本は今世紀 中ごろ、高齢化のピークを迎える。驚くべきことに2055年、日本の高齢化率は 40

%

に達する。はたして100人中、高齢者が40人を占める社会とはどのような姿 なのか。今後はアジア各国で日本の「高齢者雇用」をはじめとする、人的資源活 用策が有効なお手本となっていくだろう。

シンポジウムでも紹介されたように、今後は、東南アジア諸国も少子高齢化が 急速に進むことが予測されている。いまは若さを謳歌する東南アジアでも、これ からの30~40年の間に社会の平均年齢が20歳代から40歳代へ上昇していくので ある。

こうした東南アジアの高齢化は、その進行の速さゆえに、 2 つの点で一層の深 刻さがある。まず、急速な高齢化のゆえに対策を講じる時間的余裕が限られてい ることだ。つぎに、社会保障制度の構築が十分でない中で少子高齢化が進む可能 性もあり、先進国の経験からは予測のつかない事態が起こることも懸念される。

小峰教授が指摘したように、今世紀半ばにかけて東南アジア各国でも生産年齢 人口の減少が始まる。とくに2019年から減少が始まるシンガポールをはじめ、

タイ(2020年開始)やベトナム(2034年開始)、インドネシア(2037年開始)では減 少率も大きい。当然の帰結として、働く人々の減少が起こるのであれば、高齢者 雇用、すわなち「高齢者にも経済社会を支える担い手になってもらう」ことや

「女性や障害者らの雇用促進」といったことが現実味を帯びてくる。

したがって、労働力人口の減少を補う観点から、日本の豊富な高齢者雇用の経 験などを学び取り入れることは、東南アジアの将来の労働需給逼迫を緩和する一 助となるだろう。また、社会保障制度が不十分な場合、高齢者が自らの賃金収入 で生活を支えるという望ましい選択肢を指し示す。このことからも、東南アジア の人々が高齢者雇用をはじめとする、日本の経験知について学ぶことは少子高齢 化対策の仕組みづくりの面で「後発性の利益」を享受することにつながる。

同時に、日本はアジア各国が持つ伝統的社会の「相互扶助」の仕組みから学ぶ

公開シンポジウム:越境する少子・高齢化──

079

シンポジウムを終えて

──────────────────────

公開シンポジウム:越境する少子・高齢化

(3)

ことができるだろう。日本では失われつつある地域共同体の相互支え合いの仕組 みを再び活性化させる契機なども与えられそうだ。また、東南アジアから、日本 とは異なった高齢者の定義を入れることで、対策そのものの変化を促すことも可 能かも知れない。

こうした少子高齢化対策の相互学習は、日本とアジアの新しい関係の萌芽とも いえるだろう。今後とも日本とアジア諸国の間で少子高齢化に関する学び合いが 有望な国際協同研究として育っていくことを願っている。

加藤 巌(所員/経済経営学部)

080

──和光大学総合文化研究所年報『東西南北2013』

参照

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