1 6 7
雇用保険,解扉規制と雇用創出の 動学的一般均衡理論*
一手法と展望一
山田知明
t2 0 0
9
年
1月
6日 概要
本論文では. 日本経済が直面する雇用問題を分析できる理論的フレームワー クについて展望する.分析フレームワークに対する要求として.以下の 5 点に 注目する.まず労働市場に対する政策として. ( ) 1 雇用保険. ( ) 2 解雇規制と退職 手当及び日本に固有の事情である
)3(新卒採用制度を考慮する.加えて,
)4(事業 所が作り出す雇用創出・喪失を明示的に扱うことと.
)5(家計貯蓄の役割につい ても分析する必要がある事について言及する.
Keywords:
雇用保険.解雇規制,雇用創出.扉用喪失
JEL notiaciifssaCl : E24
1 はじめに
1 .
1
研究動機
2008
年
9月に発生したいわゆるリーマンショック以降世界経済は深刻な 景気後退に直面した. トヨタやソニーといった世界的企業も例外ではなく.中 小企業だけでなく日本を代表する大企業までもが大規模な雇用調整を行うこと となった.不況期における雇用調整は.景気循環に伴うコストとして.常にマ クロ経済学の中心的課題であった.日本において雇用調整の影響を大きく受け
•本研究は立正大学経済研究所から助成を受けている.
t
立正大学経済学部:
2068-141東京都品川区大崎
.61-2-4 E- m a i
l p.j.ca.is: tr@admaay Phone .9323: -7845-30
1 6
8
立正大学経済学季報第
58 巻 4号るのが,非正規労働者及びこれから新卒採用で労働市場に参加しようとしてい る高校生および大学生である
.1*雇用調整のかなりの割合が新卒採用で行われ ている
H本の労働市場の特殊性を考えた場合,景気後退の影響を大きく受ける のがまだ労働市場に参加していない学生である*
_2ところが,日本の労働市場 の特殊性に関する実証研究は非常に多いものの,この点を理論的に分析するこ とはそれほど注目されてこなかった.一方,非正規雇用者の問題に関しては,
ヨーロッパ諸国を中心に理論的研究の蓄積がある*
.3ヨーロッパ諸国,例えば スペインなどは高失業率に悩んでおり,その原因の一部は非正規雇用問題であ ると考えられている. B本経済は 9 0 年代以降に扉用環境が急激に悪化し,失 業率はアメリカを逆転するまでに至った. しかし,
80年代までは一貫して
2%程度という低失業率をほこった.これが,結果的に,失業問題を深刻に考える 制度的基盤作りが遅れるという結果をもたらしたことは皮肉である.
本論文では,山田
5)200(第 3章及び
Yamada 06)(20に基づいて,現在の 日本経済が直面する雇用問題を分析できる理論的フレームワークについて展望 する.表
1は,労働市場における経済政策を動学的一般均衡理論のフレームワー
クで分析した研究の(不完全な)リストである.
Alvarez and Vrtoraciee) 9 9 9 ( 1 は ,
escottucas-PrLモデルを拡張して労働市場に対する政策として,
)a(雇用保
険 (Unemployment ce),suranIn )b(解扉規制
(Employment )onctiteProと退職
* I新卒採用予定者が景気後退の影響を受けることは始めての経験ではない. 09年代後半か ら0020 年前後に就職活動を行った.いわゆる「ロスト・ジェネレーション(失われた世 代)」と呼ばれる世代は現在の高校生・大学生が直面している状況と同じ状況を経験し たといえる.
•2Kondo )7002( や,andGe te.la)7002( は.景気後退期に労働市場に参加するコホートが 長 期 に わ た っ て 所 得 低 下 す る 可 能 性 が あ る 事 を 実 証 的 に 明 ら か に し て い る . O
r e o p o u l o
s te.la)8002( やon Wv terach Band ender ,)6002( Kahn )7002( は.アメリ 力やドイツにおいても同様に景気後退期に就職活動を行うことが生涯所得やキャリア 形成にマイナスの影響を与えることを明らかにした. Mi,akazyi te.la)9002( は,景気後 退期に経済に参加するコホートが他の世代とリスクシェアリングを行う際,資本市場が 重要な役割を果たす事を理論的に明らかにしている.
• and Stnegra ,9991( ,a7002 )7b002 による一連の研究は.ヨーロッ パにおける扉用問題を分析している.また,,ogerroBo-snolA te.la)7002( はスペインに おける正規・ 非正規雇用者が混在するモデルを構築している.
雇用保険、解雇規制と扉用創出の動学的一般均衡理論
169手当
encaerve(S ),tsnmeayP )c(最低賃金
(Minimum Wage)及 び
)d(労働組合 の役割の重要性を分析している.一方,
o,gerorB-osonlA ate.l )7002(は同様 の動学一般均衡理論のフレームワークに基づいて ' ( e ) 企業サイドの雇用に関す る意思決定を明示化し, ) 家計貯蓄による失職時の自己保険の役割を加えて, f ( スペインにおける ) 非正規雇用問題 g (
mer-TrtoSh( )boJを分析するフレームワー クを提供している.本論文では , ) a ( , ) b ( , ) e ( ) に加えて.日本に特有の( f ( ) h 新卒 採 用 を 考 慮 し な が ら 分 析 可 能 な 動 学 的 一 般 均 衡 の フ レ ー ム ワ ー ク を 考 え て い
<.我々の分析対象は定常均衡のみであり. ) i ( マクロ経済ショックの影響につ いてはその対象外である.
分析対象 ( a ) 雇用保険
( b ) 解雇規制
( c ) 最低n金
( d ) 労働組合
( e
) 企業の迂思決定 (
f ) 貯蓄行動
( g
) 非正規燿用者 (
h ) 新卒採用
( i ) 賃金格差
G
)マクロショック
表 1 先行研究リスト
代表的先行研究 S
h a v e l
l and Weiss ),979(1 Hansen and lmrohoroglu ,92)(19 Atkeson and Lucas ),995(1 Hopenhayn and N
i c o l i n
i ),9719( Alvarez and Vrtoacieer 9),199( glu,adirobdulkA ate (.l),0022 Wang and 如liamson ,02)20( Werning ,02)(20 Kochertakota ,03)20( Young ,04)(20 Costain and R,ertre Blanchard and Teolri 07),(20 Pavoni (
2 0 0 7 ) B e n t o l i l
a and Blartoe ),990(1 Lazear ,990)(1 Alvarez and Vrtoacieer 1998,( 99,2001),19 olartBe (2004) A
l v a r e
z and Viertoerac (1999) A
l v a r e
z and Vrertoerac (1999)
Hopenhayn 2),(199 Hopenhayn and Rogerson 3),(199 Alvarez and Vtoacierer (1998,2001) L
e n t
z ,03)(20 Lentz and Tranaes ,05)(20 Alonso-Borrego et a (.l),0720 Shimer and Werning (2005) S
l e e
t and Ykinltee ,01)(20 Alonso-Borrego ate (.l,07)20 Alvarez and Vtoacierer (2006) Yamada (2006)
Acemoglu ).999,2002(1 Acemoglu and Shimer (1999ab,2000). Gomes t ae (.l2000) C
a b a l l e r
o and Hammour 4).(199 Campbell 8),199( Campbell and Fisher 00,2004),(20 den Haan et a (.l.00)20 V
e r a c i e r t
o ).004,2008(2 Samaniego ,(2006.2008) Lee and Mukoyama (2007}
1 .
2
最 適 雇 用 保 険
バプル期以前の日本経済において.失業問題は決して深刻なものでなかった.
こ の こ と は 結 果 的 に 雇 用 保 険 制 度 を 脆 弱 な も の に し て し ま っ た*
.4しかし.
• を る . を る る.
( 2 0 0 0
. 2,020 4)002
は.日本における扉用保険制度の効果に関する希少な実証研究であ る.小原
)0002(によると.失業給付が切れる時点で再就職確率は最大となり.雇用保 険給付者は非受給者よりも
58.5%も再就職確率が低く.扉用保険の給付は失業を長期化 させている. しかし.「給付期間」や「給付水準」の影欝はないと結論付けている.
L a z e a
r )0991(
はアメリカにおける雇用保険の実証分析を行っており.扉用保護を促進
する事が失業率を高めることを明らかにしている.
yhettC )8002(は.流動性制約とモ
ラルハザードを考慮した部分均衡モデルを用いて.賓産がゼロに近い失業者の行動を定
式化して実証している.彼の研究によると.流動性制約に直面した失業者が失業保険に
よって職発見確率が低下するのは.モラルハザードではなく.流動性効果である.
1 7
0
立正大学経済学季報第
85 巻4号ヨーロッパを中心に深刻な失業問題を抱える国では.最適扉用保険制度
(O p t i m a
l Unemployment )ecnarusnI
をどのように設計すべきかは,非常に多
くの先行研究が存在する重要な課題の一つである.
Shaven and Weiss )9791(や
Hopenhayn and inilociN )7991(は最適雇用保険制度に関する代表的先行研 究である.扉用保険制度を設計するうえで重要になってくるのは,政府が職探 しの努力
hrcaeS( )troffEを観察出来ないため,常にモラルハザードの恐れが あるという点である.雇用保険額を高く設定しすぎたり,長期間にわたって提 供することは,職探し期間を長期化させたり留保賃金を高めに設定する事が知 られている.
ionvPa )7002(はモラルハザードの問題を取り扱った近年の研究 であり.最低保障水準の導入を提案している.また,
teelS nda niketleY )1002(は.私的情報制約の下で.一時的なレイオフを含む最適契約を取り扱っている.
失業者がそれなりの貯蓄を持っている場合と.まった<貯えがなく流動性制 約に直面している場合では.扉用保険の効果は違ってくるであろう. しかし,
職探しの努力や貯蓄額といった情報は通常は私的情報であることから.最適雇 用保険制度の設計は私的情報
etavirP( )noitamrofnI制約における最適契約と いう性質の問題となる.
aotklarechoK )3002(や
Werning )2002(は.
-tsriFOrder Approach
に基づいて,サーチ努力だけでなく貯蓄が観察出来ない環境
における最適雇用保険を分析している.
Werning )2002(は,最適雇用保険は 期間に関する増加関数となるが.給付水準は非常に低くなると結論付けている.
若い失業者は貯蓄が少なく.厳しい借入制約に直面している可能性がある.
Shimer nda Werning )5002(
は.そのような経済環境における最適扉用保険を
デザインする必要性を議論している.
yttehC )8002(もモラルハザードの問題 と流動性制約の関係性を理論的及び実証的に分析している.近年では.
B l a n c h a r
d and eloriT )7002(
のように最適な雇用保険と扉用の安定性の両 面から失業問題を分析する必要性が議論されている.
一方,数値解析分析に基づいてに最適な雇用保険制度の設計に関する議論も 多くなされている.
Hansen and uoglorohimr )2991(や
,ulgoridakuldbA te al
. .)2002( Wang and nsomiallWi ,)2002( Young )4002(
は数値解析的に最
適 雇 用 保 険 率
almitOp( mentaceRepl )etaRを 計 算 し て い る .
Hansen and雇用保険、解屈規制と雇用創出の動学的一般均衡理論 171
imrohoroglu )299(1 は.モラルハザードの影響を考慮しない場合.最適所得
代 替 率 は65% と非常に高くなるものの.モラルハザードの影響を考慮すると 5 % にまで低下する事を明らかにした.Abdulkadiroglu, te.la)2020( は. Hansen and imrohoroglu 2)991( とHopenhayn and iinolcNi )7991( の研究を一般化し.
期間に依存した失業保険がDGE モデルの中で厚生改善になるかを分析してお り.失業手当を歴史依存 y(Histor Dependent) にしたとしてもそれほど厚生 改善は見込めないことを明らかにしている.また政府が貯蓄を観察出来ない場 合.長期間の失業保険が正当化させるが.貯蓄環境を観察出来ない場合.長期
問の失業保険は厚生改善しないと結論付けた. Wang and Williamson 2)00(2 では.アメリカ経済における Experience Rating (失業保険の財源の一部を企 業に負担させる制度)を考慮している.以上の研究は定常状態間の比較である
が, Young )4002( は分析を移行過程にまで拡張しており,最適雇用保険(ゼ
ロに近い所得代替率)に移行する事は資産水準が非常に低い家計と失業者以外 には厚生改善となる事を明らかにした.数値解析的に分析されたこれらのモデ ルは.動学的一般均衡理論に基づいているため実際的な数値を求めることが出 来るが,モデルの性質から最適な保険料「率」を求めるにとどまり, より複雑 な制度設計にまで踏み込む事は困難である.
1 .
3 解雇規制と退職手当
通常のRBC モデルのように. Cobb-Douglas 型(一次同次)生産関数を持つ 企業が無数に存在する経済において.企業の参入・退出行動は実質的な意味を 持たず.企業が雇用を創出しているか否かといった問題を明示的に考えること は で き な い *.5 Hopenhayn and Rogerson )9391( は, Hopenhayn )2991( の
*5RBC スタイルのモデルにサーチ活動を導入した研究は数多く存在している例えば.
Merz )5991(
や
ottaflodnA ,)6991( niatsoC and retieR )6002( はRBC モデルにサーチ 活動を導入して.マクロ経済とマッチングを試みている.niatsoC nda retieR )6002( によると.サーチを使っても通常のRBC モデルのままではマクロ経済変動を説明出来ない.
マッチを良くするためには,ykcitS Wage とEmbodied lacigolonhceT ssergroP が大切で あると結論付けている. Moen )7991( もサーチが含まれた一般均衡モデルを構築して いる. den ,anaH Ramey nsotWad'an )0002( は雇用創出・喪失の景気変動をDGE モデル で 分 析 し て い る . ま た .otreicareV ,a8002( )b はRBC モ デ ル にtnemhislbatsE
D y n a m i c
s を導入して.労働市場の変動を説明している.近年のoreicareV )7002( によ る研究では,dnalsI モデルとHopenhayn and onersRog )3991( モデルを統合したアプロー
1 7
2
立正大学経済学季報第
85巻
4号
フレームワークに基づいて,雇用調整に費用(解雇費用)がかかる経済環境で 無数の企業によって作り出される扉用ダイナミクスの一般均衡モデルを提案し ている*
6.彼らのモデルによると調整費用が存在する事によって企業は採用 をためらうことになり,例えば解雇費用が給与の一年分であった場合,失業率 を2 . 5 % 上昇させる事を明らかにしている.このとき.企業の最適意思決定は
.sCS
) ルールとなり,現在の雇用水準が一定水準を大きく下回る(上回る)場合 には一気に調整されるが.最適水準からの乖離が小さい場合には全く調整がな されない.一方,
orellaabC and Hammour )4991(は,景気悪化局面における 雇用創出・喪失のポジティブな役割に注目している.
A l v a r e
z and Votreicare )8991(
によると退職手当は家計への保険というより は企業へのペナルティであり,退職手当の存在により厚生改善が見込まれる.
解雇規制が非常に厳しい国では,正規社貝を減らす代わりに短期間の非正規扉 用者を受け入れる場合がある.実際,
oregBorso-lonA ate.l )6002(の
leTab 1によると,
OECDの多くの国で短期雇用が存在している.
orreg-BoonsoAl te al
. )6002(
によると.退職手当が必要な経済環境で解雇が容易な短期間契約社 員の存在を認めないと.失業率は低下するが.厚生へのインパクトは曖昧にな る .
stivqgunjL and Stentra ,a6002( )bも同様のフレームワークを用いて.ヨー ロッパにおける失業問題を分析している.一方,
zreavAl and Votreicaer )6002(は ,
zearlvA and Votreiacre )9991(を拡張して,短期雇用を含む動学的一般均 衡モデルを構築している.
チを提案している.また.伝統的な労働サーチモデルに関しては.
nesnetroM dna Pi s s a r i d e
s )4991(
を参照してほしい.
,esmoG te. l a
)0002(は
RBCスタイルにジョプサー チと賃金格差を導入して.雇用保険の役割及び景気循環の費用について分析している.
• る 研究 て
alilotneB Bdnaalotre )0991(がある.彼らは退職
手当によって厚生を劣化させる可能性を指摘している.
orellabaC ate.l)7991(は.調整
は非線形・ 非凸であり.調整が行われるときには一気に変化するがそれ以外では全く調
整されないモデルを提示している.
雇用保険、解雇規制と雇用創出の動学的一般均衡理論
731 1.
4
雇用創出・喪失と企業の意思決定
近年の労働市場に関する議論は,
,isavD aet.l 6)99(1以 降 こ れ ま で マ ク ロ 経済学が扱ってきた自発的・非自発的失業といった問題から離れ,企業あるい は事業所単位の雇用機会の創出
bJo( n)tioCreaと喪失
ob D(J n)uctioestrと いうミクロ的な視点へと注目が移ってきた*
7.言い換えると,マクロ経済に おける失業率を低下させるために公共事業などを行うという発想ではなく.扉
• 消失が発生するメカニズムを通じた雁用変動の原因と結果からマクロ 経済における失業問題を捉えるという考え方である.そのためには企業による 新規雇用の創出及び雇用機会の消失に関するミクロ的なモデル化と.そのマク
ロ経済学的なインプリケーションが必要となる.
雇用創出及び喪失は次で定義される*
8. t期時点において,ある企業が雇用 していた扉用水準が
- 1,nであり,今期の雇用水準を
,nとする.
-n,n - 1,が 正 値であればその企業はネットで雇用創出をしており,逆に負値であれば雇用喪 失 を し て い る と 呼 ぶ 雇 用 創 出 率
b CJo( reation Rate:JCR)及び雇用喪失率
b(Jo De s t r u c t i o
n Rate ; JDR)
は .
~max(n, -n- 1, 0, )~max(n,-1-n 0,, ) JCR= JDR=
~Ilt-1~Ilt-1
で定義される.すなわち,屈用創出率とは全雇用に占める雇用の純増率であり.
雇 用 消 失 率 は 全 雇 用 に 占 め る 雇 用 の 純 減 率 で あ る.
Campbell )98(19や
Campbell and Fisher ,000(2 2004)は,企業のミクロ的意思決定を含む動学的 一般均衡モデルを構築し,マクロショックを導入して景気循環における雇用創 出 ・ 喪 失 の 説 明 を 試 み て い る*
9. Samaniego ,060(2 2008)や
Lee and• は. 日本経済における雇用創出及び消失に関する実証研究を詳細に行って いる.また.太田・玄田・照山
)8002(は.雇用創出・喪失を含む.
0919年代以降の
H本における失業問題をサーベイしている.アメリカにおける雇用創出・喪失に関しては.
D a v i
s te
. l a
.)6991( sivaD d Hanregnawitla ,)9991( sivaD ate (.l)6002及ぴ
Fabennan )4002(を参照せよ.
• 正 ては
sivaD te. l a
)6991(及び玄田
)4002(を参照せよ.
• . る は . を
在している.例えば.
Khan a Tnd homas ,7002( )8002は無数の企業が存在するモデル で調整費用とマクロ経済を分析している.調整費用については.
Hamennesh Pndannaf (1 9 9 6
)
がサーベイしている.
,olellabaC te. l a
,5991( )9991も企業レベルでの投資の調
整費用とマクロ経済を分析している.
onestkA d Kan ehoe )3002(は.企業ダイナミクス
モデルは第二次産業革命以降の生産益の動きを説明できることを明らかにしている.
1 7
4 立正大学経済学季報第 58 巻4
号
Mukoyama )7002( も企業の参入・退出行動と景気循環の関係をモデル化して いる.
本論文では,動学的一般均衡理論のフレームワークに基づいて表1に関する 問題をいかに統一的に扱うべきかについて考察していく.基本になるのは,
Y
amada )6002( に よ る モ デ ル で あ る. Yamada )6002( は,zeravAl and V
e r a c i e r t
o ,8991( )1002 及び,goerro-BosnloA ate.l)6002( を簡単化し,企 業レベルでの雇用ダイナミクスと家計の失業リスクをモデル化している.この モデルに基づいて,雁用創出及び喪失という視点から雇用ダイナミクスを記述
し,家計が直面する扉用問題を分析する.
各事業所は固有の生産性ショックに直面している下で,生産のための労働投 入量を決定する. しかし,雇用調整には費用がかかるため,個別企業の雇用に 関する意思決定が扉用創出あるいは消失を作り出す.家計は,無数に存在する どこかの企業で働くことによって賃金を得て消費活動を行う. しかし,企業の 意思決定次第で失職する可能性が存在する.雇用リスクに関する保険市場は不 完備なため予備的貯蓄が存在し,内生的に資産分布が生成される.失業者は雇 用保険を受け取りながら,職探しの為にサーチ活動に時間を費やす.よって,
ここで考える労働市場の問題は,サーチ活動に伴う労働供給と企業が作り出す 労働需要の両面を明示的に考えていると考えられる.従来のサーチモデルでは 自らのサーチ努力不足によって職が見つからないという状況であったが,我々 のモデルでは新規雇用が足りないため, しかたなく失業を続けるという可能性 が生じる.
本論文の構成は以下の通りである.まず第2節で基本モデルを説明する.第 3節ではモデルのパラメターをどの様に設定すれば良いのかについて議論す る.第4節ではモデルのパフォーマンスがどの程度優れているのかについて,
考察する.第5節では今後の展望を議論する.
2
モデル
•
) e (
企業の意思決定及び()f貯蓄行動を含んだフレー扉用保険、解雇規制と雇用創出の動学的一般均衡理論
571ムワークで.
)a(雇用保険及び
)b(解扉規制の役割を考えていきたい.本論文で紹 介するモデルは,
zervalA and Votreicare, 9 8 1 9 ( 0 0 1 ) 2 及び
goreBoro-nsloA te al
.
) 0 4 2 0 ( を簡単化した
Yamada) 0 6 2 0 ( に甚づいている.
2 .
1
企業行動と解雇規制
経済には無数の企業が存在し,各企業は生産性
tSESに関する固有リスク に直面している.各企業は,前期にどれだけの労働者を雇っていたか
1-,n ENと現在の生産性
,sの組
, _ n( s,1)1によって区別される.固有リスク
,sはマル コフ過程
Q1s( s+ ,1)1に従うとし,
,sに関する定常分布の存在を仮定する.
t期期初に生産性
,sを観察した企業は,前期の労働投入量
, -n iを所与として,
利潤を最大化すべく現在の労働需要
,n及び資本投入量
,kを決定する.生産活 動に必要な資本は資本市場を通じて市場金利で自由に調達することが可能であ り,前期の資本保有最は意思決定に影響を与えない.各企業は生産性
,s以外は を . を
+ ]7く1を仮定する
* _01
前期に雇用した労働者
, -n iの一部
1-1n1<0 (
< J<く) は定年退職する. 1
そのため,前期に
, -n iだけ扉用していた企業にとって,新規雇用をしなければ,
利用可能は労働力は
t期期初で 1 -a ( )
1nとなる.
各企業は資本投入量を自由に調整できるため,もし雇用水準も前期の水準に 関わらず自由に選択できれば,摩擦が一切ない一時点の利潤最大化問題となる.
しかし,一般に日本でも欧米においても解雇規制が存在する事から解雇には費 用がかかる.そのため,前期の労働投入から扉用水準を変更する時には,次の
ような雇用調整費用が必要になるとする.
h ( n ,
, nか)1= n,ll[w( >
( 1 -
-dn,a) --,n[II く( 1 -
n)a- d, () -n,n - 1,)/ [・ ]は指示関数
rotacidnI( )onitcnFuで[・]内の条件が成立している時には , 1
•sac1°uL )8971( は.無数の企業が存在する経済における企業分布の内生的決定問題を考 えている.
z
をランダムに決まる各企業に固有の生産性としたときに.生産関数y
,= -1z,k(f" ")nのKを"Span Cf"loortno と呼んでいる. Span Cfolortno は. O< K< 1 の範囲を取り.企業が投入量としてコントロール出来る部分を示している.O<K<l の仮定により個別企業のサイズは微小)lamisetinifnI( となる.
1 7
6 立正大学経済学季報第58 巻4号
そうでなければ 0 の値を取り,
Wは現在の賃金水準,ては賃金を基準にした雇 用調整費用である.例えば,前期の雇用水準
_,n 1に対して現在の雇用最
,nを 減らそうとすれば,解雇をするために一人当たり費用
wlを支払う必要がある.
ただし,定年退職によって辞めていく労働者達に対しては一切,費用がかから ない.そのため,余剰人員に悩む企業にとって,時間をかけて定年退職者によ る雇用調整を行うか,それとも費用を払ってでも大幅な人貝削減を行うかは生 産性に依存して決まる.
orlealbCa ate.l )7919(は,アメリカ経済において調 整費用が線形に近いことを明らかにしており,我々のモデルでも費用関数は線 形である*
.11解雇費用の典型的な例は,退職手当である.欧米では,レイオ フに対して課税
gniriF( Tax)することで安易な解雇を避けたり,解扉暦に応 じて屈用保険負担が変更される制度
eencrixpe(E )ngitaRが存在している*
.21以上から,市場で決まってくる貨金を
,wとして資本レンタルに発生する利 子率を
nとした時,
t期における企業1n( _ 1, )1sの利潤
7f 1n( _ 1, )1sは.生 産最からコストを引いた
J f ( n , - 1
, ),s =s,k~n?-,r(
+
,k)o - w,n, ,,-h(n )1-,nとなる.ただし, 8 は資本減耗率である.労働者は生産性に関して同質的であ り,労働者側から企業タイプは区別できないと仮定する.このとき,異なる賃 金オファーを行うインセンティブはなく,賃金は企業間で一定となる.固有リ スク
,sに関する保険市場は一切存在せず,企業の固有リスクは一切シェアする ことが出来ないとする.そのため,企業の生産性に関するリスクは,労働者が 直面する雇用リスクとなる.
生産活動の維持に必要な固定費用は一切かからないと仮定する.また,生産 性 は
,s >0 とし,新規企業の参入・ 退 出 行 動 は 考 え な い も の と す る .
Hopenhayn and Rogerson )3991(は,生産活動に必要な固定費用の存在によっ て,企業の参入・退出行動を企業の意思決定行動の一部として認めている.一
• hesrmeam1H1 and nnfaP )6991(
は.アメリカにおいては解扉よりも新規扉用の方が費用 がかかることを示している.
* 21
スペイン等のヨーロッパの一部の国では.退職手当として
1年分の給与を支払う必要が
ある場合もある.詳しくは Lazear
)0991(を参照せよ.
雇用保険、解雇規制と雇用創出の動学的一般均衡理論
717方 .
Alvarez and Vertoeraci ,8991( は• tSが
0となる確率を含めるこ
とで,企業の退出行動を明示化している.一般に景気循環における企業の参入・
退出行動が雇用に与える影響を分析することは重要であるが.定常均衡のみに 注目する場合には.事業所の新設・閉鎖と現存企業の新規雇用創出・喪失の区 別をすることは意味を持たない.そのため.企業の雇用ダイナミクスは現存し ている企業のみによって作り出されているものとする.
各企業は無限期間の利潤を利子率で割り引いた現在価値を最大化するように 行動している.再帰的な経済環境を考えると.時間に関するサプスクリプトを 無視する事が出来る.企業の状態変数を ( , s n ) とした時.利潤最大化問題は 次のベルマン方程式の形で書く事が出来る.
V ( n
, = m)s .qx{ 冗, sn( )+ 1
!
r EV(n', })'s )1(ただし,
V(n, )sは価値関数であり,
,'n( )'sは次期の状態である.企業利潤 は内部に留保されて企業家の消費活動に用いられると仮定し,家計への分配は 考えないものとする*
3.1雇用に関する意思決定は現在の状態のみに依存して 決定するため.意思決定を表す政策関数を
n'= g(n, )sと書くことにする.
各企業の政策関数と生産性に関する推移確率から,企業タイプの分布が生成さ れる.
2 . 1 .
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