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銀 行 の 附 随 業 務 に つ い 河 て

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(1)

銀 行 の 附 随 業 務 に つ い 河 て

本 博 介

一︑ 序

銀 行 の 営 む 諸 業 務 に は ︑ 普 通 一 般 に 規 則 的 業 務 と 不 規 則 的 掌 務 ︑ 或 い は 主 要 業 務   ︵ 患 u p t 的 e S C h 賢 ︶   と 附 随 要 務

︵慧ぎーgeSCh嬰︶と呼ばれるものがある︒銀行の営む業務として本質的なものが︑規則的業務乃至主要業務と呼ば

れるもので︑銀行本来の固有の業務とされるものである︒

銀行の主要業務には︑資金を受入れる面とこれを供与する面とから︑受動的業務と能動的業務︑叉は受信業務と授

信業務とにわかれ︑預金の受入れ︑借入金︑銀行券の発行等は前者に属する業務であり︑手形割引︑諸貸付︑証券投

資等は後者に属する業務であることはいうまでもたい︒

然し銀行は︑これら本質的な業務だけしか行えないわけではなく︑固有業務を行うことに伴う附随的業務をも営む

ものである︒即ち不規則的業務或いは附随業務は従属的な業務と考えられるものである︒

ところで銀行にも分兼を生じ︑各種銀行の種別が成立する︒従って銀行の種類が異るによってその主要業務は異る

ことになる︒例えば為替業務は為替銀行について見れば主要業務であるが︑その他の銀行に於いては通常附随業務と

銀行の附髄業務について

(2)

経 営 と 経 済

される︒叉銀行券の発行業務にクいていえばそれは中央銀行にとっては主要業務であるが︑その他の銀行については

銀行券の発行はとれを認められてい危い︒銀行に於ける令業の結果︑或る銀行にとっては主要業務であっても他の銀

行にとっては必やしも然ら宇︑従ってとれは一応のわけ方であって︑絶対的方意味をもつものとい L 得設いととは看

過し得ない点である︒

銀行業務の介類については︑我閣でも多くの論者によって述べられているが︑

( 註

1 )

附随業務が具体的には何で

あるかにクいては︑推移する経済社会の中に於いて銀行の占める経済的職能によって︑本質的な業務に関連してその

範囲が決定されるものであらう︒

普通銀行を中心に見れば︑ 一般に附備業務と呼ばれるものは︑為替業務︑代理業務︑引受業務︑保証業務︑信託業

務等であるが︑具体的には次の如きものが考えられるであらう︒

( 9 )   ( 8 )   ( 7 )   ( 6 )   ( 5 )   ( 4 )   ( 3 )   ( 2 )   ( 1 )  

保護預り 両

地金銀の売買

代金︑債権の取立

有価証券の引受︑売買及び貸付

官金︑公金及び諸会社の金銭出納取扱

他金融機関の業務代理

債務の保証︑手形の引受

信用状に関する業務

(3)

U 俳 社債登録法による社債等登録に関する事務

乙れら諸業務のうち保護預りについては︑銀行法の規定すると乙ろの明文がある︒即ち銀行法第五条の規定に

﹁銀行ハ担保附社債信託法ニ一依リ担保附社債ニ関スル信託業ヲ営ミ叉ハ保護預リ其ノ他ノ銀行ニ附随スル業務ヲ営

ムノ外他ノ業務ヲ営ムコトヲ得ズ﹂

とある︒又有価証券に関する業務には︑現在証券取引法第六十五条による制限があって︑銀行は有価証券の売買︑売

買の媒介︑取次又は代理︑証券市場に於いて売買取引の委託の媒介︑取次又は代理︑有価証券の引受︑売出︑募集又

は売出の取扱行為を営業とする乙とは認められない︒

( 註

2 )

銀行法第五条は銀行が主要業務及び附随業務以外の他業を営むととを原則として禁止しているものであるが︑例外

的に兼営を認められる業務がある︒即ち担保附社債信託法による祖保附社債の信託業務の兼営である︒乙れはとの種

業務が銀行の能力と信用とから︑銀行をして行わしめるに適当していると考えられるためである︒

更に﹁普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営等に関する法律﹂に基づくとれら業務の兼営が認められてい

る︒乙の法律は昭和一八年三月に制定されたものである︒従来金融機関の八司業主義によって︑普通銀行業務︑貯蓄銀

行業務及び信託業務は︑夫え別個の金融機関によって夫え独立にその固有業務が営まるべきものとされていたのであ

るが︑戦時に於いて金融機関の整理統合を促進し且つ貯蓄増進の企図かち令離主義が放棄せられた︒かくて貯蓄銀行

の普通銀行への合併︑或いは兼営普通銀行への転換が進められ︑叉普通銀行の信託業務の兼営が行われるに至った︒

戦後のインフレ 1 ションを背景として︑金融機関の再建整備が図られ︑専業の貯蓄銀行と信託会社はいやれも消滅し

て普通銀行に転換し︑普通銀行が貯蓄銀行業務及び信託業務を兼営する状態である︒

以上述べた附随業務は銀行の本質的な業務ではなく︑叉現在殆んどその意味を有しないものも考えられるが︑とれ

銀行の附随業務について

(4)

経 営 と 経 済

四 らのうち若干のものについて述べる乙とにしたい︒

( 註

1 )

例えば高垣寅次郎氏﹁銀行論﹂︑高木暢哉氏﹁銀行通論﹂︑町田義一郎氏﹁銀行論﹂︑丹後愛二郎氏﹁銀行論﹂︑服部

文四郎氏﹁銀行原論﹂︑山崎覚次郎氏﹁銀行論﹂︑青木得三氏﹁銀行論﹂等

︹ 註

2 )

証券取引法第六十荒条に.﹁銀行︑信託金社その他証券取引委員会規則で定める金融機関は第二条第八項各号に掲げる

行為をなす事を営業としてはならない︒但し銀行が顧客の書面による注文を受けてその計算において有価証券の売買をなし

叉は銀行︑信託会社その他証券取引委員会規則で定める金融機関が他の法律の定めるととろにより投資の目的を以て叉は信

託契約に基づいて信託をなす者の計算において有価証券の売買をなすのは

ζ

の 限 り で な い ﹂ と あ る ︒

二︑保

護 預 り 銀行は取引先その他の依頼によって一定の手数料︑保管料を徴して︑有価証券︑貴金属等の貴重品の保管を行ろ︒

乙れは銀行がその有する堅牢危施設を利用し︑或いは保管のための保護曲を利用者に貸与する乙とにより行う業務で 銀行の一種のサービス業務である︒

保護預りは銀行業務の初期の時代に於いては︑為替︑両替と並んで主要業務の一つであったが︑

一方では通貨制度

の整備︑他方では銀行業務の令化発展に伴い︑預金︑貸付業務がその中心となるに及んで︑保護預りの重要性は殆ん どとれを失う乙と

L

危った︒往時社会秩序のと

L

のわざる時代には財産保護のための銀行の重要業務であったが︑現 在では附随的方意味しか考え得られ危い︒然し方がら信用制定の発達に伴って資産の証券化が進み︑有価証券の占め る割合が大と危り︑保護預りの必要性が増加して来たとも考えられるであらう︒

我国では明治初年頃より保護預りが行われたが︑明治一五年の日本銀行条例(第十一条)に明文で規定された︒

( 設

l )

普通銀行については慣習上附随業務として認められていたが︑昭和二年の銀行法及び犬王一一年の信託業法

(5)

に於いて乙の業務左認めている︒

( 註

2 V

保護預り業務には︑銀行が完備ぜる保護預り施設を用いて︑顧客の有価証券その他貴重品を保管する狭義の保護預

りと保護画自体左貸与する貸金庫との業務がある︒

前者は更に開封保護預りと封繊保護預りとの二種類にわかたれ

る︒その各々について述べる︒

( 1 )  

開封保護預り

披封預り又は開封寄託ともい L ︑銀行が株券︑公社債等受託物の内容を知って保管するもので︑銀行は寄託物を封 織する乙となく披封のま L 預かる︒従って保管の目的物は多くは有価証券で︑貴金属︑宝石等の開封預りは乙れを受

付けたい︒有価証券の開封保護預りには︑附随的に証券の元利金︑配当金の取立委任を受けるととが多く︑叉とれら

取立金による他有価証券の購入︑株券引換及び名義書換等の代理事務を兼ね行うとともある︒

( 2

)  

封繊保護預り

密封保護預り又は封繊寄託ともい L ︑寄託者が寄託物を封織して預けるもので︑銀行がその内容を知り得ない保管

の形式である︒保管の対象物となるものは︑有価証券の外に貴金属︑宝石︑契約書類等で保管中変形や変質の心配の

ないものであればよく︑その範囲が広い︒銀行は封械のま L 保管すればよいもので︑従って返却も封織のま L で行え

ばよく︑その結果内容の如何に関しては責任を負わ友いものである︒

以上二クの形式はともにその性質上は法律上寄託行為で︑銀行は一定の手数料を定めている︒乙の両者の形式の何

れを選択するかは顧客の意図により︑叉預り品の内容によって異るものである︒開封預りは銀行は保管の外に依頼に

よって保管物の管理主も行うので寄託者にとり甚だ便宜である︒叉封械預りは寄託者が寄託物の内容を他人に知られ

る乙とを望まない場合に於いては︑便宜危保管の形式と方り得るわけである︒

銀 行 の 附 随 業 務 に つ い て

(6)

経 営 と 経 済

ー‑L.

、 ( 3 )  

貸 金 庫 銀行が金庫その他銀行内に設けた保管曲を貸与し︑預け主をして有価証券その他貴重品の保管に利用せしめるもの である︒預け主は専用鍵在所有し︑営業時間中自由に開閉し得る︒保管物は封繊保護預りの場合と同様に内容につい て銀行は責任が設い︒前二者が既に述べた如く︑法律上の寄託行為であるに対し︑乙れは施設の賃貸借で乙れが利用

について一定の使用料を徴する︒

( 註

1

日 本

銀 行

条 例

に は

次 の

如 く

あ る

日 本 銀 行 ノ 営 業 ハ 左 y

如 シ

第五諸預リ勘定ヲ為シ叉ハ金銀貨貴金属詑諸証券類ノ保護預リヲ為ス事

銀行法第五条についてはとの小論の﹁一︑序﹂に於いて既述

信託会社ハ左ニ掲グル業務ニ限リ之ヲ併セ営ムコトヲ得

第 十

一 条

戸 註

2 )

信託業法第五条

保護預り

三︑代

金 取 立 商取引の上で手形の使用が盛んとなるにつれて︑商人の受取る手形も増加し︑且つ手形支払地が遠隔の地であった り︑叉種々の手続を要する等の理由から︑商人が自らその取立を行ろととたく︑通常取引銀行に依頼して銀行をして とれが取立を代行せしめる︒乙れが代金取立

( 8

= 0

百巴)である︒代金取立の依頼人は取立のための裏書をなして 2

手形を銀行に提出し︑銀行は期日にその取立を行うものである︒代金取立には二方法がある︒即ち一つは銀行の所在

地に於いて支払われるものであり︑他は当該銀行の所在地以外に於いて支払われるものである︒即ち当所代金取立と

他所代金取立の場合がそれである︒乙の後者の場合に於いては︑銀行は更に自行支庖或いは取引先銀行に依頼して代

(7)

金取立を行うものである︒

取立の対象とせられるものは手形の外に︑公社債の元利金叉は株式の配当金等を

dh

︐含む︒乙れにより取立依頼者は

自ら一取立を行うに要する時間と費用とを節約し得て︑速かにこれを自己の当座勘定に繰入れることを得る︒隔地者の

依頼によるものは送金を必要とするから︑為替業務として取扱われるとと R 怠る︒代金取立は委任契約であって︑銀

行が自ら債権者となるのでは危く︑単に代金の請求及び受領の権限と義務とを有するだけである︒

銀行は叉取立とは反対に取立てられる側の支払銀行としての支払事務をも行うものである︒銀行が取立先の委託に

よって︑金銭の受払を伴う会社の事務を代行するのが所謂代理業務である︒との代理業務は業務の性質上︑受入代理

業務と支払代理業務とがある︒株式申込証拠金及び払込金の受入︑受託債払込金の受入事務は前者であわ︑株式配当

金の支払︑公社債元利金の支払は後者の業務である︒叉地方自治体の金庫事務取扱︑日本銀行の代理庖業務等をも行

う︒銀行の代理業務は一定の手数料を徴して行う委任契約に基づく業務であるが︑銀行にとっても比較的僅少危費用

を以て支払基金が預金として増加し︑従って銀行の貸出能力を増加させる意味をも有するととにたる︒

友お銀行の代理業務にづいては︑信託業務に於ける代理業務の如き明確た規定はたいが︑銀行が信託業務を兼営し

ている場合に於いては︑信託業法第五条によってその代理業務が次の如く規定されている︒即ち

(イ)財産の取得︑管理︑処令叉は貸借

(ロ)財産の整理又は清算

(ハ)債権の取立

(ニ)債務の履行

︑ 債 務

の 保

銀 行 の 附 随 業 務 に つ い て

(8)

経 営 と 経 済

J I . 、

一般に銀行の保証業務というは︑銀行が取引先の支払を保証する乙とによって︑取引を円滑友らしめんとするため

の業務である︒保証業務は銀行の授信業務であるが所謂貸付と具るととろは︑貸付が実際に資金を供給するに対して

保証は直接に資金を融通するものではなくして︑只単に銀行がその信用を貸与するととろにある︒然しながら銀行が

取引先に対して保証左友した場合︑保証債務を負担する乙とにたり︑従って万一保証依頼者がその債務を履行しない

ときには︑銀行がその保証した債務を履行しなければならないので︑銀行は保証に際しその危険に備えるため︑それ

に相当する確実な担保を提供せしめ︑或いは保証人を立てしめ且つ保証料を徴してとれをたすのである︒

保証業務にはその種類が多い︒これには次の如きものがある︒即ち

(イ)売買契約の保証商人閣で売買契約を締結せんとする場合︑相互に信用状態が不明のため取引が円滑さを欠

ぐ場合がある︒かふる時銀行が一方に対し︑他方の依頼によってその者の信用を保証するが如きである︒

商人が取引に際し︑手形を振出さんとしても信用状態が相手方に不明友場合︑銀行に依頼して ︿ロ)手形の保証

手形の保証を受けると︑銀行の保証により手形に信用がつき︑市場に於ける流通性を高める乙とに怠る︒手形受領者

も銀行の保証した手形の故に容易に割引し得る乙とになり︑手形による売買取引を円滑に行い畑作る︒

(ハ)信用状の発行

は銀行宛に為替手形を振出したとき︑その手形の引受︑支払を保証する証書である︒要するに貿易取引の円滑化をは 外圏貿易に於いて例えば輸入商のために︑銀行が自己の信用を提供して︑輸出商が輸入商叉

かるための手段として信用状の制賓が発生したものである︒商業信用状の今ち荷為替信用状が最も重要である︒

(ニ)運送貨物引取の保証 貨物証券が未到着のために︑既に貨物は到着せるにも拘らや侍受人が引取をなし得友

い場合︑銀行が侍受人のために保証して貨物の仮渡しを受け得るようにする保証である︒実際には貨物受取保証状を

作成して︑待受人と銀行とが署名をたし︑運送業者に渡して貨物の引取を行うものである︒

(9)

貨物証券在喪央した場合無論待受人はその貨物の引取が出来友いので︑貨物証券 によらやして引渡しを求める方法として︑銀行が侍受人のために運送業者に対し保証左行う︒即ち荷物引渡保証書に (ホ)貨物証券喪失による保証

荷受人と連署して貨物の引渡しを受けるものである︒

(へ)担保貨物保管証の保証 信用状により侍為替が取組まれると︑宛名銀行は為替手形の引受を注すと同時に︑

手形権利を取得して侍為替貨物の担保権を得る︒信用状依頼者は貨物を処令して換金せんとする場合︑為替手形担保

貨物保管証を差入れ︑取引銀行が保証をすれば貨物の引渡しを受け得るのである︒

(ト)その他の保証

力の保証等がある︒ 保証業務にはその外税金延納のための保証︑社債元利金の支払の保証及び起債会社の支払能

︑ 有 価 証 券 の 受 託 責 買

有価証券の受託売買というのは︑銀行が取引先の依頼に応じて有価証券を購入し叉は売却する乙とである︒有価証

券の売買は元来証券取引所仲買人の専業とすると乙ろで銀行の本来的業務では友いが︑取引先の委託によって証券売

買を行うととがある

n

英米に於いては銀行は原則として自ら取引所に出入せや︑仲買人に命じて売買を行わしめるの

を慣行とするが︑独逸の銀行は自ら取引所仲買人として取引先のために売買を行う︒

我国では有価証券に関する業務には︑現在証券取引法第六十五条による制限規定のあるととについては既に述べた

と乙ろであるが︑乙の有価証券の売買も営業として行われる証券売買とは区別さるべきである︒乙の第六十五条の規

定するところも︑

( 1

)  

金融機関が投資の目的から証券の売買を注す乙と︒

銀行が取引先の書面による依頼によって︑委託者の計算に於いて証券の売買をなすと在︒

( 2

)  

銀行の附随業務について

(10)

経 営 と 経 済

は乙れを例外として認めているととろである︒銀行の証券受託売買はとの後者の場合にして︑それ上り生やる損誌は

委託者に帰し︑銀行は手数料のみ取得するものである︒

た沿銀行の貸借対照表に貸付有価証券たる項目があるう 乙れは銀行が顧客の依頼によって︑ 本来の利子︑配当を

得る外に貸付料を徴して手持有価証券の貸付を行ろものである︒乙の貸付有価証券の型式には次の二種類のものがあ

る︒即ち

( 1 )  

特定の有価証券を貸付け︑そのものを返還せしめる場合

( 2

)  

一定の種類及び数量の有価証券を貸付け︑同種同量の証券を返還せしめる場合

乙の二通りにして法律上の性質は︑前者が賃貸借であるに対して後者は消費貸借である︒通常行われるのは乙の前者

の型式によってどある︒乙の貸付の対象となる証券は国債︑地方債︑社債及び株式であるが︑国債と社債とが主であ

戦後の我国では貸付有価証券の量は減少を示している︒乙れら証券は官庁へ納付する供託金又は保証金に充当する る ︒

ため︑或いは借入金の担保として提供するためのものである︒戦後は銀行の保証によって担保の提出に代える乙とが

行われるに至り︑貸付有価証券業務の大部令が支払承諾業務にかわってきたのである︒

銀行は銀行法(第五条)の規定によって︑担保附社債信託に関する信託業務を営む乙とを認められている︒我国で

は明治三八年に担保附社債信託法が︑外国資本の導入を容易たらしめる目的で以て制定されたが︑とれは信託の原理

を応用して社債に担保を附する制度であって︑銀行業によって兼営が行われてきたのである︒乙の法律制定の当時は

六 ︑ 信

未だ有力主信託会社は存在してをらや︑銀行に兼営を許した乙とが日本の信託制度の濫阪と怠るものであった︒(註

l )

(11)

担保附社債信託制度は社債の発行を容易にするために担保を附する場合︑銀行が担保の受託者と友るものである︒

事業会社が資金調達のため社債を発行するに際し︑物上担保を供する乙とは社慣権者の利益を保護し︑且ク社債の信

用を維持する上に於いて望ましく︑会社もそれにようて比較的有利友条件を以て社債の発行を行うととを得る︒然し

たがら実際上は社債権者は多数にのぼり︑ぇ社債の転売が行われるので一々担保を供する乙とは不可能であり︑総て

の債権者のために一括して共同担保とする外はないが︑社債権者が総て共同的に担保権を保存︑実行するととは閣雑

である︒そ乙で銀行は社債発行会社と信託契約を結び︑会社は所有する企業財産を以て財団を組織し︑信託会社に提

供して乙れに担保権を設定する︒かくして社債の発行が行われるが︑銀行は受託者として担保権の名義人とたり︑総

ての社債権者のために担保権を保存し且つ実行する義務を負う︒従って社債の償還利子の支払が遅延するが如き場合

は︑会社に催告する等又社債権者のために弁済を得るに必要友行為の一切を行うものである︒

担保附社債信託法は明治三八年に制定以来︑物上担保の種類の増加及び信託会社の兼営を認める以外に根本的主改

正が行われなかった︒乙の法律の不備の点が社債金融の円滑を阻害し︑やがて昭和八年五月の同法の改正によって︑

の制度が認められるととに怠った︒即ち同一担保権で以て

担保する社債の令割発行が認められ友かった乙とよりする社債金融の不円滑が︑産業界︑金融界からの要望によって

1 プン・エンド・モ l ゲ ー ジ

( ︒ ヨ ロ

0

仏 自

z m ︒ ω

句 ︒

)

その改善が乙の新制度によって実現せられたのである︒社債担保の方式に巳︒

a p

g 品目

o z m ω m o

C 3

ロ ・

0

品 目

2 ・

仲間品︒とがある︒前者は同一担保物件の上に将来同順位の担保権をもっ社債を︑現在発行する金額以上に発行すると

とを行わたいと約するものであるが︑後者は同順位の社債を将来発行し得るものである︒従って同一担保物件に時期

を異って社債が発行されても総て同一順位に友る︒との社債の令割発行は発行会社にとり頗る便宜なものとたる︒昭

和八年我国で新たに採用したのはオープン・エシド・モ l ヂ 1 ジであるが︑最高発行額の限度が明かに示されている

銀行の附随業務について

(12)

経 営 と 経 済

方式のそれであった︒

元来信託制度は英国に於いて個人の民事信託として発見し︑多種にわたる財産の信託を引受け個人信託業として成

長したが︑とれが米閣に導入されて営業信託の性格を有するものとして非常な発達を見るに至った︒即ち担保附社債

信託︑動産設備信託︑投資信託︑その他企業の広範囲に及ぶ諸種の事務に関する信託等法人信託業を発達せしめると

ころと友った︒

我国では明治中葉以後︑経済の発達に伴って漸く信託に閣する関心が深全るに至った︒然し友がら経済基盤の相異

からその発展の形態を異にするものがあった︒我南の信託業は米国のそれを導入したものであるが︑法人信託業であ

った︒担保附社債信託が一般信託よりも先んじて発展を見たととは重要友特徴をなすものであらう︒既に述ペた如く

担保附社債信託法は明治三八年に制定され︑信託の引受を行う者が出現し︑特に第一次大戦後はその数が非常に増加

するに至って(註

2 v

︑信託の概念も明確となり︑信託業の監督とその発展策の重要性が感ぜられるに至った︒

大正一一年に信託法︑信託業法が公布され︑信託業の内容が規定せられるととにたった︒然し我国では信託会社は

英米に於けるが如き十

A T‑ ‑

な発達は見令︑叉その営む主要業務が金銭信託に重点があったととは注目すべき点である︒

本来信託業法の立法に際しては︑信託会社の銀行業務の兼営は乙れを禁止する立前で︑信託会社と銀行とは別個の活

動領域にあって両者併存したのである︒但し担保附社債信託法による信託業務については何れもとれを営み得るもの

で あ

る ︒

昭和一八年に﹁普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営等に萌する法律﹂に基づいて普通銀行の信託業務が

認められる乙とになった︒元来信託業は我国では十八すな発展が見られや︑戦後もその経営は振わなかったが︑金融機

関再建整備法に基づく再建整備によって︑信託会社は新しく銀行業務を兼営するととに友り︑ついで昭和二三年に銀

(13)

行法による普通銀行に改組され︑信託業務は乙れを兼営‑とする形をとることになった︒かくて信託専業の会社は全く

存在したく友り︑総て信託銀行として発足するに至った︒

( 註

3 )

信託銀行又は銀行の信託部の行う信託業務は︑種々のものがある︒信託業法(第四条)の規定する信託業務は︑受

託財産の引受の場合にその種類によって金銭の信託︑有価証券信託︑金銭債権の信託︑土地及びその定着物の信託並

て い

な い

ぴに地上権及び土地の賃借権の信託がある︒たお動産信託は信託業法の規定する信託の一種であるが実際には行われ

更に我国の信託業法は︑その本来の業務たる各種財産の信託の引受の外に︑併営業務として次の如き範囲を規定し

て い

る ︒

(第五条)即ち普通銀行に於ける所謂附随的な業務に相当する意味のもので事る︒

( 1 )  

保護預め

( 2

債務の保証

( 3

)  

不動産売買の媒介又は金銭もしくは不動産の貸借の媒介

( 4

公社債もしくは株式の募集︑その払込金の受入又はその元利金もしくは配当金の支払の取扱 ( 5 )  

財 産

に 鳴

・ す

る 遺

‑ 一

一 一

口 の

執 行

( 6

)  

会計の検査

( 7 )   左の事項に関する代理事務︑ ︿イ)財産の取得︑管理︑処八 γ

叉 は

貸 借

(ロ)財産の整理又は清算︑(ハ)

債権の取立︑ つ一)債務の履行

以上の如く広範囲にわたるものであるが︑とれらは必十しも固有の信託業務とい L 得たいもので︑信託会社としての

サービス業務で既に関説したものもあるが︑と L では信託業務として本来的友業務として前述した範囲のものについ

銀 行 の 附 随 業 務 に つ い て

(14)

経 営 と 経 済

て述ぺる乙とにしたい︒

(‑) 

金銭の信託

乙れには金銭信託と金銭信託以外の金銭の信託との二種類がある︒金銭信託というは︑信託引受の際に信託財産と

して金銭を受入れ︑契約期間中の管理︑運用の財産的形態はとれを問わや︑元本たる信託財産の返還は金銭を以てな

されなければ注ら友い信託であるの金銭信託以外の金銭の信託とは︑信託引受の際信託財産として金銭を受入れるが

元本たる信託財産を受益せしめる場合に金銭を以て給付すると定めないととろの信託である︒即ち信託終了の際はそ

の金銭が投資せられている財産の状態で返還する信託である︒委託者が専問的知識を要する投資を欲する場合に利用

せられ︑主としてそれは株式と不動産とである︒

金銭信託は我国信託業務の中で最も重要注地位を占めるものである︒戦前に於いては信託会社は︑金銭信託による

巨額の資金を蒐集して長期金融を行う有力部円であったが︑戦後イ γ

プレ 1 ションの時期に於いては当然金銭信託は

不振であったが︑経済の恢復︑成長とともに重要性を増してきた︒とれに対して金銭信託以外の金銭の信託は左程発

達を見ない状態にある︒金銭信託左中心として信託業務が発達したところに我同信託業の特殊性があらわれているの

それはともかくとのこつの信託の相異は︑元本たる信託財産の受入れは同じく金銭であるが︑返還の際の財

( 註

4 d

産の種類の相異によるものである︒

金銭信託は一定の目的から金銭の所有権を信託会社に移転し︑乙れが運用管理を委託するのであるが︑その運用方

法の如何によって次の三種類にわかれる︒

( イ ) 特定金銭信託

乙れは運用の方法及び目的物を具体的に定め‑たもので︑例えば︑貸付の運用方法についていえば︑その金額︑債務

(15)

者︑期間︑利率︑担保等が具体的に定められるものである︒信託終了の際に信託財産の返還は金銭で注されねぽなら

ないが︑元本に損失が生じたとしても信託会社に過夫がない限り受益者の負担に帰し︑元本及川叶利益の補填又は補足

の契約をたすととは出来怠い︒

( )

指定金銭信託

運用の方法及び目的物の種類を委託者から指定されるものである︒その指定の意味は信託財産を有価証券或いは貸

付金という如き︑投資について一定の範宙を指示するだけで︑乙の点に於いて具体的にその運用を特定する前述の特

定金銭信託とは異る︒

( )

特定及び指定なき金銭信託

乙れは信託財産の運用について特定及び指定の友いもの︑即ち何らの契約なく受託者の任意に運用せらる L もので

あるが︑委託者の利益保護の見地から運用方法が厳重に制限されてをり︑実際上行われていない︒

我国の信託が金銭信託を中心としている点は既にふれたが︑乙の金銭信託のうちでその大半を占めるものが指定金

銭信託であって︑多く合同運用が行われている︒元来信託の本質からいえば︑受託者は各委託者毎に受託財産を個別

に管理運用するのが原則であるが︑金銭信託に限り個々に管理運用する乙との煩雑を‑避ける目的で合同運用が認めら

乙れが指定合同運用金銭信託である︒乙の合同運用に反信託性が問題とされるが︑との運用方法

れ て

い る

︒ ( 註

5 )

によって危険の介散が行われ︑とれが認められ注いと信託業の活動は資金運用に於いてその効果を甚だしくそがれる

であらう︒乙れに対し委託者毎に個別運用をなすものが指定単独運用金銭信託と呼ばれるものである︒

たお︑金銭信託については︑銀行預金との競争を避け︑金融機関の分業によって信託会社をして長期金融を扱わし

める意図から︑信託財産の引受金額及び引受期間にクいて夫々制限を設けている︒

( 註

6 )

指定金銭信託は信託期

銀行の附随業務について

一 五

(16)

経 営 と 経 済

'.... 

間を二ヶ年以上と定められているが︑二年以上五年未満のものは︑通常短期信託といわれ︑五年以上のものが長期信

託といわれている︒との区別は信託利益配当率に差異を設けるための区別で︑それまでは指定金銭信託は年限に関係

たく信託利益配当率が一律であったが︑殆んど全部の信託会社によって昭和二一年から長短期の区別が設けられてい

る ︒ ( 註

7 )

信託契約に従い受託者が過失放く信託行為を行った一場合に於いて︑損失が生じ或いは予想利溢が得られ友かったーと

しても受託者にその責任はないのであるが︑運用方法の特定の怠い金銭信託に限って︑元本に損失を生じたときとれ

を補填し︑又一定額の利益を得られ中広かった場合乙れを補足する契約を結び得る乙とを定めている︒(註

8 )

乙れは

利殖的預金としては元本なる信託財産の安全と恒活的な利荏とは極めて重要友乙とで金銭信託を発達せしめる上の重

要注要因と友るものであった︒

乙の元本補境︑利益補足の契約及び合同運用によって︑金銭信託は銀行の定期預金とその性質が類似しているが︑

定期預金が消費寄託であるに対し︑金銭信託は信託関係にして一定の目的のもとに金銭の管理︑運用を行わしめるた

めに︑その所有権を受託者に移転するものである︒元来元本補墳及び利荏補足の取りきめの友い金銭信託にあっては

損失を生じた場合も乙れを補償する義務は友いが︑定期預金にあっては銀行は常に元利を支払う義務を有する︒その

他引受金額︑引受期間等についても夫え異るととろがある︒信託財産には銀行預金に見られたい保護規定があり︑金

銭信託の受益者は銀行の預金者に比し手厚く保護されているの

( 註

9 )

左希証券投資信託及び貸付信託も金銭信託の一部正見られるの

(註叩)

ロ 有 価 証 券 信 託

乙れは信託を引受けるに際し︑信託財産として有価軒券を受入れた信託である︒受託にあた勺て金銭を受入れ︑・後

(17)

有価証券を購入して信託財産とするは︑とれを有価証券信託とは呼び得ない︒又信託財産より生やる利益はその信託

財産に属する科目に組入れられる︒従って証券より生じた利子︑配当金は有価証券信託として処理せられ︑証券を処

分するととにより得られた金銭及びその金銭により得られた債権︑

不動産等もすべて有価証券信託として取扱われ

る︒故に有価証券信託は︑受託当初より一貫して信託財産が有価証券のみを以て構成せられるとは限ら友い︒有価証

券信託の目的が主として管理にあるか或いは利殖にあるかによって︑管理有価証券信託及び運用有価証券信託にわか

れ る

︒ (イ)管理有価証券信託

公社債︑株式の管理を目的とするもので︑具体的にいえば利札や償還金の取立︑配当金の受取︑株主権の行使友ど

である︒有価証券に関する知識の乏しい者︑或いは日常多忙にして自ら管理する繁雑さを避けたいという人々によっ

て利用される形態のものである︒乙れは法律的には表示有価証券信託といわれる︒それは有価証券に信託財産たると

との表示を行い︑登録公社債や記名の社債︑株式は原簿に信託財産たる乙との記載をさせるからで喝る︒その目的は

信託財産の安全を図り︑信託会社の債権者友どの第三者に対抗させるためからである︒但し表示や記載はたくとも信

託行為そのものは有効で実際にはとれが行われない場合もある︒との種信託は性質及び目的から自然に受託期間の長

期のものが多い︒

運用有価証券信託

とれは受託証券を貸付或いは借入金の担保に供する如き方法で運用し︑それから得られた利益のうち信託報酬を差

引いて︑委託者に対し受託証券の利息の外に利益の配当を行うものである︒信託の性質上受託証券は流通性のある確

実た証券であるととが必要とされる︒我国では従来主として国債に限られ︑例外的に一流の地方債︑社債が信託され

( ロ )

銀行の附随業務について

(18)

経 営 と 経 済

て来た実状にあった︒受託期聞にクいては管理有価証券信託と同様に法律上の制限はないが︑前者に比し比較的短期

のものが多いよ

R

ん で

あ る

金銭債権信託

( 三 )

信託の設定に際し委託者が信託財産として金銭債権を移転する信託である︒受託者は信託の引受によって︑自ら債

権者として債権の保全及び取立にあたるものである︒金銭債権信託には一般金銭債権信託と生命保険債権信託とがあ

一般金銭債権信託は信託会社が︑債権の取立︑督促︑時効中断︑祖保の保全等を行うが︑我国では乙の信託は不振 る

の状態にあった︒思うに確実在金銭債権であれば︑信託料を払って委託する必要は友く︑叉それが不確実友不良金銭

債権であれば︑信託会社がとれを引受ける乙とを拒否するであらうからである︒

生命保険債権信託は保険契約者たる委託者が︑信託会社を保険金受取人に指定又は変更し︑保険事故の生じた際に

信託会社が保険金を受取り︑且クそれを信託契約に従って管理もしくは支払うものである︒乙の種保険は米国に於い

ては信託会社によって甚だ盛んに行われている︒我国でも金銭債権の信託のうちでは︑従来生命保険債権信託の方が

その犬部分を占めて来た状態であった︒

( 四 )

動産信託及び不動産信託

あるが︑実際には我国で行われてい友い︒米国に於ける動産設備信託(註日) 動産信託は信託引受の際に︑信託財産として動産主受入れた信託である︒信託業法第四条に規定する信託の一種で

の実際から︑近来我国でも信託銀行の

重要問題の一っとたっている︒

不動産信託というのは土地及びその定着物の信託にして︑管理又は処分を目的とするところの信託である︒信託の

(19)

目的物と在るものは︑不動産の所有権にしてその抵当権は含まれない︒信託財産たる不動産を信託会社の名義にする が︑不動産の管理︑処分は有価証券等に比しより一層の知識︑経験を要するもので︑知識の乏しい者或いは多忙注者

にとっては︑との種信託の利用価値は甚だ犬きいものがあらう︒

不動産の管理信託は︑地代︑家賃の取立をはじめ︑租税公課の支払在行い︑その外修繕︑賃貸等契約によっては一

切の管理事務を行わしめるものである︒又処八すを目的とする信託は︑土地の令譲その他公正在価格で迅速た処分を行

う乙と勿論であるが︑更に契約の如何によっては例えば土地に上下水道等の工事を施行する等を附帯せしめる乙とを

得る︒只実際の取扱いとしては管理事務を含む乙とが多いので︑乙の両者を兼ねる信託が多い︒

信託業法第四条は土地及びその定着物の信託と地上権及び土地の賃借権の信託とを別個に規定している︒地上権は 他人の土地に於いて︑工作物又は立木を所有するためにその土地を使用し得る物権であり︑土地の賃借権は賃借料を 払って他人の土地を使用︑収益し得る債権である︒従って実際には地上権のみの信託︑或いは土地賃借権のみの信託

が行われる乙とは稀であって︑普通建物とともに行われる乙とが多いので不動産信託として処理されるのである︒

不動産信託では︑不動産の所有権は委託者から信託会社に移転するから不動産所有権の移転登記が必要とたる︒且 っその不動産が信託財産であるととを︑信託会社の債権者などの第三者に対抗するために信託の登記をも行うのであ る︒との信託の登記は管理有価証券信託に於ける表示と同様の意味をもクもので︑要するに第三者︿の対抗条件であ って︑信託財産の安全を図ゎ︑委託者の利益保護にあるが︑登記を行わ往くとも信託の効力には変

h

りがたいが︑不動 産信託の場合に於いては所有権移転登記と共に必宇信託の登記を行うものである︒乙の点にクいて管理有価証券信託

が信託の表示を行わたい場合のあるととに対し異ると乙ろである︒

銀行の附随業務について

(20)

経 営 と 経 済

二 O

( 註

1 )

担保附社債信託法は明治三八年七月施行された︒これよりさき明治三五年日本興業銀行が設立され︑営業の一部として

有価証券に関する信託事務が認められたが︑担保附社債信託法の公布によって同年︑日本興業銀行法の改正が行われて︑一

般信託業務及び担保附社債信託業務の兼営が認められることになった︒ついで明治三九年東京信託株式会社が設立された︒

とれは信託なる名称をもっ株式組織の会社の最初のものと考えられる︒担保附社債信託業者は銀行を除いては︑他業の兼営

を禁ぜられ︑大正一一年の信託法︑信託業法公布前に於いては︑特殊銀行︑普通銀行によって営まれた︒信託業法の制定に

よって信託会社の業務として認められたが︑銀行の既得権としてそのま

L

兼営が認められていた事情にある︒

( 註

2 }

明治三九年の東京信託株式会社の設立にっぽいて︑大正三年には信託会社の設立数は二八六社︑大正一 O 年にはその数

四入入社に達した︒大正一二年一月に信託法︑信託業法が施行され︑同年一二月はじめて新法による信託会社が五社認可さ

れた︒白井規短雄氏日本信託業論一九六 l 七 頁

( 註 3

﹁普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営等に関する法律﹂が施行された昭和一八年五月に︑信託会社は二一社 あったが︑昭和二 O 年戦争終了までに一三社が銀行に合併せられ︑七社が存在するに過ぎなかった︒このうち一社は証券会

社に転換し︑残存六社が信託銀行として発足し︑現在信託専業会社は一社もない︒従って信託業法も前詑法律によって準用

される第四条︑第五条及び第七条乃至第十条の規定を除いてその存立の意味を有しない状態にある︒

( 註

4 }

との理由についてはど

L

では関説しなかったが︑種々検討せらるべき問題を含んでいる︒白井規短雄氏日本信託業論一

O ー一二頁参照

︹ 註

5 )

信託法第二十八条﹁信託財産ハ固有財産及ピ他ノ信託財産ト分別シテ之ヲ管理スルコトヲ要ス但シ信託財産タル金銭‑一付

テ ハ 各 別 一 一 其 ノ 計 算 ヲ 明 ‑ 一 ス ル ヲ 以 テ 足 ル ﹂

︹ 註

6 )

信託業法施行細則第八条に﹁信託会社ハ五百円未満ノ金銭信託ノ引受ヲナスコトヲ得ズ﹂として引受金額の最低限を定

め︑更に同細則第九条に﹁信託会社ハ信託期間二年ヲ下ル金銭信託ノ引受ヲナスコトヲ得ズ但シ運用方法ノ特定セルモノニ

(21)

付テハコノ限リニア一プズ﹂と規定している︒

( 註

7 )

銀行研究社編 信託会社の実際知識 五 頁

︹ 註

8 )

信託業法第九条﹁信託会社ハ命令ノ定ムル所‑一依リ運用方法ノ特定セザル金銭信託ニ限リ元本ニ損失ヲ来シタ場合叉ハ

予メ一定シタル額ノ利益ヲ得サリシ場合‑一於テ之ヲ損補シ叉ハ補足スル契約ヲ為スコトヲ得﹂とある︒実際には元本補損の

特約を結んでいるが︑利益補足の特約を結ぶ方は殆んど行われていない︒

(註9)﹁銀行の取得した財産は自己の財産と何らの差異がないが︑信託会社に移転された金銭は固有財産と対立する信託財産

﹂にして︑固有財産とは厳密に区別して管理され︑信託財産に対する強制執行︑競売禁止等信託財産は手厚く保護されて︑

信託は財産の安全地帯とされている︒白井規矩雄氏日本信託業論三七 l 入 頁

(註叩}昭和一六年に野村証券株式会社によってはじめられた投資信託は︑米国の基金型投資信託の方式をとり入れたもので︑

これは証券会社が投資証券を売却して︑一般投資家から資金を集め︑信託会社と契約を結んでとれに預託し︑証券会社は自

らは出資する

ζ

となく︑只専 h 知識に基づいて証券投資を行うもので︑信託会社はその計画に従って資金の管理運用をなす

ものである︒戦後昭和二六年に証券投資信託法が制定され再出発がなされるととになった︒叉貸付信託は昭和二七年の貸付

信託法に基づいて︑信託銀行が貸付信託業務をも蛍むとと

L

なった︒これは電力︑石炭︑造船︑鉄綱等の基礎産業の長期資

金を供給する目的から︑信託銀行が受益証券を発行して資金を集め︑とれを指定せる貸付にあて︑

ζ

れから受益証券所有者

に牧益を分配せんとするもので︑指定合同運用金銭信託の一種である︒

(註日)米国に於いて法人信託業として担保付社債信託と並んで盛んに行われている︒車輔信託とも呼ばれ︑鉄道︑石油︑鉄鋼︑

航空会社等の信託会社との契約によるところの動産設備の金融方式として行われるもので︑特にフイ一フデルプイヤ・プラン

qEZ 宕

‑ z z z g )

として知られている︒体系金融辞典﹁設備信託﹂の項参照

銀行の附随業務について

参照

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