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八田昭平・西岡幸一 Development of the Materials and Computer

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95

応個的指導と評価のためのマテリアルと コンピュータ・システムの開発

八田昭平・西岡幸一

Development of the Materials and Computer System for Self‑pacing Learning

Hatta Shohei・Nishioka Kouichi

1.NIGHTシスデム開発の方向   (1)ソフトウェア開発の経過

 NIGHTシステムは,本紀薫別稿 NIGHTシステム開発のフィロソフィーと方法論 で述べたようにもともとハードウェア的な発想から生まれた。リスポンスアナライザーと

コンピュータとを当初は行政無線によって,結果的には電々公社のテレックスやファクシ ミリで結び,データ処理を速やかに行ない,フィードバックすることによって授業を改善 しようという考えであった。リスポンスアナライザーは,一年授業が普遍的な日本におい て,形成的評価を授業過程の中において行なおうとする意図から発明されたのであった。

したがって,ハードウェアとしてのNIGHTシステムにのせるべきソフトウェアとしてま ず要求されたものは,一斉授業のための学習プログラムであったし,また,一斉授業にお いて発生するデータをつかっての診断評価のためのコンピュータ・プログラムであった。

 ところでコンピュータを利用しての診断評価は,必然的に学習の個別化,すなわち能力 に応じての個別学習に行きつかざるをえない。しかしその場合も,あくまで一斉授業を基 本とし,個別学習は一定のレベルに全員を到達させるための補充的なものとするか,すな わち,個別学習を一斉授業のシステムの部分としそれに内包させるか,それとも,個別学 習は,その目標,内容までも個に応じて異ったものとするか,すなわち,個別学習を一斉 授業と独立させるか,そこには,根本的な立場の相異が生ずる。日本において,一斉授業 を無視するシステムを構想することは現実的ではない。しかしNIGHTシステムにおいて は,一斉授業の診断評価の結果を教師に帰し,教師の主導する一斉授業の中における個別 化のみを考えるという方向をとらなかった。すなわち,一斉授業と相対的に独立した個別 学習のシステムの開発を志向した。このような方向が明確になったのは,昭和48年12月,

図1のようなTota1−system図を作成した時点においてであった。この図は中央4つの実 行過程を支えるものとして,次の4つのサブ・システムの研究開発を要求する。

 i)一斉授業用学習プログラムの開発

 ii)一斉授業の診断評価のためのデータ処理システムの開発  iii)個別学習用マテリアルの開発

(2)

96

長崎大学教育学部教育科学研究報告 第25号  iv)個別学習の評価・診断・処方シ

  ステムの開発

 昭和48年1月から52年3月迄,私は

]NIGHTシステムのプロジェクト・チ ームのメンバーと共同して,主として 上記i)〜iv)のためのソフトウェアの 開発に関与してきた。それに関連して 発表した論文は次の通りである。

 a)八田昭平 NIGHTシステムの   方法論的考察一「離島教育情報総   合処理装置(コンピュータ)による   個別診断のたあのカリキュラム開   発」について 一長崎大学教育学   部教育科学報告第22号昭和50年  b)八田昭平 教育工学的アプロー   チをあぐる諸問題一 一斉授業と   個人学習の組合せによる教授学習   システムとその診断評価システム   長崎大学教育学部教育工学研究業   績報告 第3号 昭和50年

図1 NIGHTシステムのトータル・システム        闘16闘τ SYSτEM

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 c)八田昭平,四辻征雄,及川昭文(ICU):NIGHTシステムのEDPSについて 長   崎大学教育学部教育工学研究業績報告 第3号 昭和50年

d)KUBO.1., HATTA. S. :NIGHT SYSTEM:PREFECTURAL−WIDE CMI   SYSTEM, IFIP 2ND WORLD CO:NFERENCE℃OMPUTER I:N EDUCATIO:N   工NTER−GOVERNMENTAL BUREAU FOR:FORMATICS,1975

e)八田昭平,四辻征雄 NIGHTシステムにおけるソフトウェア開発について 長崎   大学教育学部教育科学研究報告 第23号 昭和51年

 f)1.K:11bo, S. Hatta, Y. Soeda, C. Suzuki and M. Miyamoto:NIGHT SYS−

  TEM AND ITS SOFTWARE 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第23号 昭和   51年

 9)八田昭平,西岡幸一 個別(応個)学習用マテリアルの開発試行とコンピュータに   よる個人診断表の作成について 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第24号 昭和   52年

目)八田昭平 :NIGHTシステム 大塚明郎編 教育工学の新しい展開 第2章第6節   第一法規 昭和52年

 i)久保為久麿,八田昭平 NIGHTシステム開発のフィロソフィーと方法論 長崎大   学教育学部教育科学研究報告 第25号 昭和53年         』

 a)はTotal systemとi)特に一斉授業用学習プログラムの形式について, b)は i)〜iv)の関係について, c)e)はii)について, d)f)はi)ii)について報告

(3)

97 応個的指導と評価のためのマテリアルとコンピュータ・システムの開発(八田・西岡)

し,9)において始めてiii)について詳説した。 h)はプロジェクトチーム久保班を代表 してハードウェア・システムおよびi)ii)iii)について報告したものである。

 しかし:NIGHTシステムのソフトウェア開発のための研究に関与して4年有余の経過に おいて,iv)個別学習の評価・診断・処方システムについては未完に終ってしまった。図

1Tota1−system図の左下,個別学習のEDPSのマテリアルについては,はじめ ? と したまま現在に至っている。これは,一斉授業のデータ処理をリスポンス・アナライザー やコンピュータを使って行なうのとかなり異なるのではないかと予見されたからである。

そして9)において,私たちの志向する個別学習をあえて 個別(応個)学習 と名づ け,個別(応個)学習用マテリアルの特徴:として, 「第三に,二二学習は,その学習の軌 跡がモニターされる様に工夫されていることが必要である。」 (p.58)と述べ,その「コ

ンピュータによるモニターシステム」(pp.70〜72)について若干言及しておいたのである が,同報告において発表した個人診断表は,なお一斉授業や個別学習の事前,事後のテス

トのデータによるものであった。

 今回はii)についてのその後のデータ処理方法iii)についての整備状況だけでなく特 に,iv)のためのタイム・シェアリング・システム(TSS)の開発に着手したのでそれに ついても報告する。

  (2)ハードウェアとの関係

 一斉授業のデータのコンピュータによる処理は,直接的には教師にフィードバックされ るものであり,CMIといえよう。そしてこのためには,リスポンスアナライザーが,同 時一斉に,学級全員のデータを採取する機器として有効である。NIG:HTシステムでは,

これに6ビットのペーパーテープ・パンチをつけたものが使われ,テレックスによって大 学にデータを伝送する方法がとられた。すなわち予め作成した学習プログラムによる授業 の,多数学級のいくつかの単元分のデータが,採取・集積され,統計処理され,フィード バックされたのである。しかしペーパーテープ・パンチ付のリスホンスアナライザーは高 価であり,電動タイプライター付のアナライザーも使われ,さらにそれもない場合,マー

クカードを使用した。

 マークカードは,一斉授業用には,1枚20問のチェックができ,余白は自由記述ができ る様に設計した。(チェックカード(1))しかしマークカードによって時間ごとのデータを とることは郵送に時間と費用がかかり必ずしも効率的ではない。後には診断区分という単 位も設け,数時間まとめて送る様にした。マークカードは,個人単位のカードであり,個 人ごとの多数データの記録に便利でありリスポンスアナライザーによるデータの集め方と 対称的である。別の多数問チェック用のカードを設計作成した(チェックカード②)。こ れは5選択肢用IOO問,10選択肢用IO問,記録できるものである。このマークカードを使 えば,1日,あるいは1定期間内に,個別学習用マテリアルとして用意された単元セット の中から,どのモジュールを選択・回答したか,記録されるが,ただし回答の順序まで は,記録できない。また,その期間内に同一問題を試行した場合,訂正記録するしかな い。むしろ,事前,事後のテスト用に使われることが多かった。マークカードは始め,マ ークテーパーによってペーパーテープに変換した上,コンピュータに入力していたが,後 に直接入力できるようになった。

(4)

98

長崎大学教育学部教育科学研究報告 第25号

 ところで,:NIGHTシステムのために導入された離島教育情報総合処理装置は,3台の CPUをもつシステムであり,バッチ処理用のシステムBのほか, TSS用のシステムA,

漢字入力装置,CRT・ディスプレイと,リモートバッチ用のCCUのついているコンセン トレーター用のシステムCから構成され,システムAとBとは,ファイル・シェアが可能 である。一斉授業のデータは,これ迄オフラインによるバッチ処理によっていたし,個別 学習のデータは,マークカードによって,やはりバッチ処理をしていたが,52年4月以 降,漸くTSSによる処理にとりかかった。その詳細については,4に述べるが,このこ

とは,単に,個別学習のデータが,個人単位に入力されるということにとどまるものでは ない。TSSはデータ処理の主導権を,データを入力させる所,ターミナルに移すことにな る。まだ離島現場までオンラインされてはいないが,コンピュータは,現場教師が,自ら ターミナルにおいて利用すべきであるという考え方に到達する。センターで作った学習プ ログラムで画一的に授業を行ない,同様にセンターで作った診断評価プログラムで,セン ター側の手によってデータ処理を行なうのではなく,データ・ファイルの方法や,処理プ ログラムのパッケージは,システムとしてできるだけ使いやすい形で,主としてセンター において整備されるが,それを最終的に使いこなすのは,ターミナルにいる教師であり,

さらに教師によって援助され,指導される子どもたちである。

  (3)個別学習のEDPS

 一斉授業あるいは,集団テストのEDPSは,結局ある時点における,一定の刺激(問 題場面)に対する反応データを統計処理し,得点,得点順位,平均点,標準偏差あるいは 目標達成度などを,個人別あるいは問題別に,フィードバックするものであった。いわば 予め指導しテストし,待ちかまえている教師に,結果だけを知らせればよかった。しかし,

個別(応個)学習のためのフィLドバック情報には,ひとりひとりに全く即したものが要 求される。したがってそのためのEDPSの内容には,次のようなことが要請される。む しろそのためにこそ,コンピュータによるデータ処理システムが必要となり,それがはじ めてその真に有効な機能を発揮するとさえいえるのである。

 まず第1に必要なことは,ひとりひとりの子どもたちが,一斉授業の中だけでなく,個 別に異ったマテリアルにもとづいて行なう学習の結果が,全て累積記録され,その軌跡が 追跡されうることである。集団の中で個人がいかに位置つくかだけでなく,過去のデータ の中にいかに新しいデータをつけ加えたか,その累績のしかた(ファイル・システム)が また重要である。

 第2に重要なことは,累績されたファイルの中から,必要なデータが,必要な時に,そ れを必要とする人に(許可条件のもとで)検索され,提示されることである。そのために はパーマネント・ファイルと共に,提示に便利な形でそれを一時的に保存するワーキング

・ファイルも設計されなければならない。

 第3に,各個人の評価・診断は,一定の予め設定した基準だけで行なうものにとどまら ない。教材論理にもとつく絶対的な達成値,集団における相対的な平均値などのほか,ひ

とりひとりによって異なる重みづけなども必要である。個に応じた可変的な評価基準を予 め設定するとともに,その可変度を操作することが必要である。

 そのためには,第4に,操作可能なデータの表示装置や一時保管装置も必要となる。デ

(5)

99 応個的指導と評価のためのマテリアルとコンピュータ・システムの開発(八田・西岡)

イスプレイや,ワーキング・ファイルは,

このために使われる。データを連続的に検 索し,比較照合しながら,有効なデータ を,試行錯誤的に発見するシステムを考案 することが大切である。

 第5に,その結果をコメントとして,行 動へのコトバとして表出することが必要と なる。データとしての評価結果から,診断 文,さらに処方箋を,学習者の情緒・心情 に訴え,意欲化するためには,予め,コト バとしてのコメントを準備し,それをも適 宜,検索,引用し,ディスプレイあるいは ラインプリンターに打出すことを考えなけ ればならない。

 以上,5つの要件をTota1−System図の

? の箇所に記入した

      図3 ものが図2である。過去

の累績データをもとに,

選択し,創造し,次の実 践へと意志決定していく ダイナミックなシステム の開発があらためて問題

になってきたのである。      _斉授業       個別学習  これは,Tota1−system      ブ・グラム そのものの,すなわちカ

リキュラムや教材を含め ての情報管理システム

を要求するものであり,齢㍊ ・養虎

さらにそのことを主体的 に可能とする教師の訓練

システムを要求すること     写真、晒、

となる.この関係を表示  騒ンデ、ア・監 したものが,図3であ

り,:NIGHTシステムを 基点としてさらに発展的

に構想された教育工学の      学習者の多靴 領域総合システムであ

る。

図2 NIGHTシステムにおける個別学習の        総:合評価・システム

  ↑物勤

E D P S

禽

PT

Summative Evaluation Materials

CUMULATIVE  RECORDS

乳協

ダ

OPERATIONAL TRIALS FOR DECISION

EVALUATION DIAGNOSIS PRESCRIPTION TABLE 躍

VARIABLE CRITERION

ノ 、承

COMMENTS

教育工学の領域関連図

       都市化・過疎化

晶晶ヨー一社会的要請一一[二三ヨ

NIGHTシステム

(教授学習システム)

鴇。 鷲,

 EDPS

(コンピュータ)

テレックス 電話プアックス データ通信

AVメディア ンステム

(GCTV)

DATABANK:

情報処理 システム

s矯,

教師教育  システム

教育的要請

評価診断 システム 統計的処理

方法

指導技術の複雑化

内容の高度化

(6)

lOO

長11奇大学教育学部教育科学研究報告 第25号

2.応個学習の探究

  (1)小学校算数「数と計算」領域の個別(応個)学習用マテリアルの整備

 昭和49年以降,NIGHTシステムのフ。ロジェクトチームの中で開発してきた個別学習用 マテリアルについては,先に列挙した論文中g)において各種紹介したが,今回は,もっ とも系統的に作成されている小学校算数「数と計算」領域のものの一部を写真で示すこと にする。これら個別(応個)学習用マテリアルの特徴は,問題マトリックスと,モジュー ルからできていることである。 「数と計算」領域の場合,問題全体の構造を示すマトリッ

クスは,縦軸・横軸に何らかの意味を与え,2次元的に構成することは無理があることが わかったので,マッフ。と名づけ,問題をグループごとにまとめることにした。モジュール は,単元ごとに,新しい形式を作成者に工夫してもらった。これはより良く,より使いや すい形を求めての試行であるが,同時に,単元ごとに特徴を出し変化をもたせることが,

学習者に興味をもたせ,新鮮な気持ちでとりくませることになり,かつ,とりくんだ単元 の種類を自覚させるのに役立つと考えたからである。板目紙と色画用紙をつかい,手づく

りの味を出させることに留意した。なお,52年度に新しく作成した 5年分数 には,新 しく 説明カード を作ってヒントを独立させ,モジュール学習中わからない所は,それ によって,学習させることにした。また 4年小数 は全てのモジュールを3枚つなぎの 板目紙に全部収容したので,その全体がいわばマップになっている。そして学習者には 小数学習たんけん を渡し,それにどのモジュールを何月何日にどの順序でやったか,

記入させ,また,自己評価を選択肢から選んで,□○に記入さ せる方法をとった。これま でマークカードに記入させたものであるが,TSSの利用では,これを, TTYから入力さ せることの方が,むしろ有効である。そのほか,これまで作成した他の単元用にも, が んばり教室カード1,2,3 などを作った。学習者の学習状況の情報をうることによっ て,評価・診断からさらに処方にまで,フィードバック情報をふやしていくための試みで ある。あとで述べるコンピュータによるモニタリングシステムの一環としてデータの準備 をはじめたものである。また,全ての単元の教材に事前・事後テストも準備した。

  (2)個別(努努)学習の効果

 個別(応射)学習の効果については,前掲論文g)において,小学校算数5年「小数:の かけ算」について,佐世保市戸尾小学校教諭の平鞘康彦氏が,作成し同校において試行し たものにういて報告した。同じ一斉授業の学習プログラムと個別(応個)学習用マテリア ルと使って,壱岐郡那賀小学校において中嶋弘氏が試行した例とあわせて,より詳細な分 析を3一(4)で行なうが,平国氏は,51年10月内地留学を終って現場に帰られたあと,同一 の原理にもとづいて「数と計算」領域だけでなく様々の個別(応個)学習用教材をつくっ て試行されている。いずれも2組のデータが出されている。以下その報告にもとづいて図

4,5にデータを掲載する。授業の基本型は,一斉授業後に第1次診断のためにP①を実 施し,その結果によって教師がひとりひとりのできかたを確認するとともに,コメントを つけて渡し,個別(応個)学習用教材の選択の助けとした。一定期間(ほぼ,1〜2週 間)の個個学習のあとP②を行ない,個別(応個)学習の効果の確認をされている。

 実践例Aについては,平均点の変化のほか,度数分布,領域別の正答率の変化もいれて

(7)

101応個的指導と評価のためのマテリアルとコンピュータ・システムの開発(八田・西岡)

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(8)

ユ02

長崎大学教育学部教育科学研究報告 第25号

おいた。実践例B〜Gについては,2学級の平均点の変化のグラフだけをのせた。実践例 Cは戸尾小学校の中野織枝,井平竹子,近藤幹男氏によるものである。詳細分析考察は省 略するが,同氏は,これらの実践をふまえ,個別学習の効果を次のようにまとめておられ       1)

るので,そのまま引用しておく 。

 1. 「学習とは何か」の自覚をもたせた。

   専科としていくつかの学級に接しながら個別学習を試みてきたが,当初はいろいろ   な学習ムードに出合った。その学級から生まれてくるムードである。しかし,いくつ   かの単元で個別学習を繰り返していくうちに,どの学級も同じ取り組みをするように   なる。はな歌まじりで楽しそうにしながら,そして学習効果をあげるようになる。自   分の学習効果を誇らしげに告げようとする満足そうな顔でいっぱいになる。そうきせ   る要因は, 「教材そのものの力」 「アタックしょうという意欲」 「征服した満足感」

  である。教材作成の技巧や紙質は悪くてもよい。素朴な手作りでよい。子どもを楽し   くひきつける教材,それが子どもの力を確実にするものであると同時に,「学習」を   考えさせ,身につけさせるよい教材となるのである。

 2.学習の効果を高めた。

   研究データから,学習効果が高まった事は確かにいえる。わかった子にはそれを確   実に深めさせ,わかりかけた子にはそれをわからせることができた。しかし「全くわ   からない子」にはどうする力もなかった事は,今後の問題点である。意欲だけを喚起   しても,「わからせる」役割を果たせない教材は意味がない。

 3.余裕をもった個別学習を。

   一斉学習と個別学習の特質を認識し,機器の利用等で出来るだけ一斉学習を効率化   し,余裕ある個別学習を進めていけば,子どもの力はたしかにのびていくに違いな   い。

 4.個別学習の特質に合った教材開発を。

   一斉学習用の教材の開発は充分に進んでおり,市販のものも多く出まわっている   が,個別学習教材の開発はこれからの感がする。「子どもをひきつける魅力をもち」

  「やっているうちに学習の意欲をおこさせ」「どこからでも気軽に手がつけられ」

  「子どもにわからせることのできる」という原理にもとづいた教材作成が今後の研究   問題であり,評価と指導を結びつける接点の研究もここにある。

 5.データの考察について。

   なお,本稿では,集団としての結果を追求することで考察を進あてきたが,今後は   児童個々のデータをある事項に焦点をあわせて継続的に追求して分析し,現在の集団   としての結果の裏づけをしていきたい。そのデータの処理に関しては,NIGH:Tシス   テムのコンピュータ処理に大いに期待したい。

1)平国康彦指導と評価を結びつけるための学習プログラムの作成(その二)MGHTシステム学  習プログラム研究Na4,1977.3.

(9)

103 応個的指導と評価のためのマテリアルとコンピュータ・システムの開発(八田・西岡)

図4 個別学習の効果(その一)

実践例A 5年「四角形と三角形の面積」13時間     昭和52年6月10日〜25日 A組37人、B組37人   データー①「R,Pr, P①, P②結果の平均値の変化 正答率%

 100

    A組 74.0 =7      11

62.1!べ\旦組

77.1  84.4 一一79.6

データー②「各テストの得点分布の変化」

80

60

40

20

0 メ

//@//

    7    / 27.1/

19.9!

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80

60

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A 組      100%

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B 組

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  24、 2房     、 /16     ㌔10

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1

区 ア ス

ト

旦 ア ス ト

一斉学習

(8時間)

9① ア ス ト

応個学習

(3時間)

20

ア ス ト

20   40   60   80   100 1  1  1  1   1 0   21  41  61   81    (得点域)

20   40   60   80   100 1  1  }  〜  } 10  21  41  61   81    (得点域)

応 個 学 習 前

応 個 学 習 後

データー③「領域別の正答のようす」

        (A組の結果)

71 58 71 40 45 54 32 43

・11・

聖 .44 5 き蓼

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・ ・ .

●.

E 9㌦・ 甲29: . o  ●

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3.

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二.・

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∴● 。: 11 11

④ ◎ ④ ◎ ④ ◎

公式 公式 公式 公式 公式 公式 w V 作る 使う 作る 使う 作る 使う 多角形ひし形 1平行四辺形 H台 形 nl三角形

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5 ●    ● 8㌧㌔:

100 97 95 89 90 89 76 76

        (B組の結果)

83 65 89 55 65 63 23 37

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6  ■ ・

・34 46

6・.D :・ 20● 40

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④ ◎ ④ ◎ ⑦ ◎

公式

・ 公式 gう 公式・

公式 gう

公式

・  一式 gう

w多角形Vひし形

1平行四辺形 II台 形 In三角形 5 。 10 5 5 3

:1(ゴ :ユ4㌦ }・㌔

D25:

㌦ヒ v㍗

A二 17

恷qi 32

42 22・ 3 。

く ∵:

..= .25

,●.

@.怐F・

 0R9 95 80 81 70 55 61 22 43

・帯グラフの中の数字は、人数を百分率で表わしたもの。

・判別は[==コ…正答∵ ・.・∴㌔…半酪懸…誤答・籍

・判別の基準は、正答(問題数の100〜90%が正解)

       半正答(問題の89〜33%が正解)

       誤答,無答(問題数の正解数が32%以下)とした。

(10)

104

長崎大学教育学部教育科学研究報告 第25号

図5 個別学習の効果(その二)

実践例B   R  テスト

小3算「かけざん(2}J R,         中 テストー斉学習テスト         ①   (5時間)

(51年10月…9時間分)

     中      P 個別学習 テスト 一斉学習 テ邸      ②

(2時間)   (1時間弘        〆  〆       1     1

実践例C

2年算「たしざん(2)」 (51年11月置5時間分)

       〈教材5種類〉

テスト 一斉学習

(3時間)

 

テスト 個別学習

①

、 、    /   / ! 正答率)

P00%

 /Y  ノ〆

噛舞容ミ1豊:

50 ●●..o●●・・● ● ・ 喝 o・● 9 巳・o ●● o ,9● P●o

0

(2時間)

 / / P テスト

②

100%

 90

 80

 70  10

 0

C組    92・3

一融!ζ88.9

㌔i乏壷

 A…31人  B…31人  C…30人

実践例D

小6算「拡大図と縮図」 (51年11月…11時間分)

 R   瑳      中      中

       テストー斉学習  テストテストー斉学習

      テスト個別学習        ①      ②       (5時間)  (2時間)   (3時間)

   \ぐ\      / ノ!ノ

100%

P テλ卜

50

     91.8  91.3r _          B組 A組       轄

     91・2  こh●81 3    84.2      79、0

   0

実践例F 小3算「かけざん(3)」

 R   恥  テ対テ計一斉学習       (4時間)

   \  \ 100%

(52年1月…8時間分)

 中         中 テ討 個別学習 テるトー斉学習   (2時間   一 濁        ノ

   !/  〆 1

    凸一一ノ

実践例E

小4算「小数のかけざん・わりざん」(12月…13時間分)

畏・テ受・済岳個別謬晴墨個別畠・隻・

     (4時間) (2時間) (4 趣、 (2時間        ノ    \ \      / 〆!1<ンてン1

100%

50

0

 B組  85.8

軌雨樋ll:1露)L孔

         6L4

50

テ婁ト

97.1 94・3『

   \         82.6  82.3     \  75.0      \

         ノ●一軸●

   A組 69.873・971・1        ノ

..........._∠._..._._..._

      1B組    34.8矛!一     !    24.3

実践例G

小4算「分数(1)」 (52年1月…11時間分)

        

        テ邸 テ対 一斉学習 テスト個別学習 テ瀞       ①         ②        (7時間)   (3時間2ノ

   \      1

      ! 100%

50

0

    A組

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(11)

lO5 応個的指導と評価のためのマテリアルとコンピュータ・システムの開発(八田・西岡)

3.:コンピュータによるデータ処理

  (1)TOSBAC−40Cデュアルコンピュータ・システムの構成とOS(オペレーション    ・システム)

 現在使用しているコンピュータは離島教育総合処理装置という名の3台のCPUから構 成されたものである。図6に示したように,これらはシステムA,システムB,およびシ

ステムCと名付けてい図6 離島教育情報総合処理装置システム図 る。システムAは通常

       馨OSBAC−40C  CO㎜2艮  S冨S2潤躍

TSSとして用い,シス

テムBはバッチ処理用     s7s,測3       s冨s捌^     s目測。

として使用されてい る。システムCはTSS 用のコンセントレータ        きれほ

一で,システムAと連  M山 結しており,TTY(タ

       ,97 イグライダー)端末や

CRTディスプレイ端 末,および漢字入力装 置につながっていて,

またその一部は図書館 の端末にもモデムを通 してつながっている。

TSSのためのOSは,

TOSBAC−40 TSS/40 システムと名付けら れている。バッチ処理

のためのOSとして FORTRANモニター,

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およびFACT/40が準備されている。その他, CR(カードリーダー), L P(ラインプ リンター),PTR(ペーパーテープリーダー)はスイッチの切替によって,システムAで も,システムBでも使用できる。特にFACT/40はTSS/40とのファイルシェアができる など高度の機能を持っているが,ユーザーのメモリーが少なく,FORTRANモニターと並 行的に利用されている。その他,MC(マークカード)の入力装置としてマークテーパー があり,ほかに外部記憶装置としてDISKを4台, M Tを3台もっている。

 それぞれのシステムで使用される言語は次の通りである。

  FORTRANモニター   FORTRAN(JIS 7000レベル), OS ASSEMBLER   FACT/40        FORTRAN(JIS 7000レベル), ASSEMBLER   TSS/40      TSS XFORTRAN, FORTRAN

       TSS XBASIC, BASIC, TSS ASSEMBLER

(12)

 106

      長崎大学教育学部教育科学研究報告 第25号

  (2)EDUPACK,および一斉授業と集団テストの処理

 EDUPACKというのは著者(西岡)が開発した教育統計処理用プログラム集団であっ て,単独でも処理できるように分散処理タイプに構成したものである。またリンケージな

どの結合の強くないパッケージの構造も一部に持ち合わせている。表1にEDUPACK:の 処理内容,および機能を示しておいた。実際の利用にあたっては,目的に応じて処理段階 でのレベルに設定を行っている。1一丑一皿一W−Vまでが一連のプロセスで,X, Y,およ びZはそれぞれ独立した構成となっている。レベル設定の目的は統計的処理のデータチェ ックを本質的に利用者に任せるとしても,そのデータがどこまで統計的処理に耐えるかと いう判断を利用者に任せるためである。これにより,設置された段階レベルの処理をして いく中で,利用者自身にどこまで処理を行うかということを判断させることによって,す

ぐさま高いレベルの分析を行うことを戒める意味がある。

表1.EDUPACKにおける処理内容および機能

データ処理の内容および機能

素点,総合点,平均,最:高,最低,順位,範囲など 標準偏差,変動係数,四分偏差,偏差値,SP表など

相関係数,回帰直線,回帰直線の式,分散分析など 線形計算:,成因分析,成分分析,ゲーム,OR 因子分析,クラスター分析,数量化1類など

一般数学的解法のプログラム(テストデータを含む)

CMI.CAI.教育工学的手法による分析(案内のた めのCAIを含む)MINIPACK

ユーザーのためのサービスプロ,コントロール用ファイ ルプロセッサー,DISK:・MT用ルーチンなど

備 考

学校,学年,クラス科目,

個人別

ラインプリンターに出力す る図形処理を含む 統計表のためのサブプログ

ラムを含む

開発途中のサブプログラム を含む

一般的因子解法およびクラ スター分析

科学計算用マトリックスな どの計算を含む

TSS/40におけるサービス を含む

EDUPACKの呼出し,お

よび開発のためのもの

 今回は,このEDUPACKをつかったデータ処理例を報告する。小学校5年算数「小数 のかけざん」について,前回個別診断表の作成の例として試行した佐世保市立戸尾小学校 5年1組,および2組のほか,壱岐郡那賀小学校5年ユ組も加えて合計3クラスについ て,その後コンピュータ処理をしたものである。図7からloまでは,佐世保市立戸尾小学 校5年1組における得点分布である。図7は,レディネステストと全体のテストとの比較 で,全体のテストとは7回行われたテストの総合平均点である。ここで,レディネステス

トを全体テストの中に含めるかどうか問題はあるが,今回は含あることにした。レディネ ステストの得点分布はバラツキが比較的多く見られ,他のクラスの場合もそうであった。

(13)

107 応個的指導と評価のためのマテリアルとコンピュータ・システムの開発(八田・西岡)

 図8は事前テスト,事後テストの関係を見るための比較であるが,事前と事後のテスト で約40点の差が出ている。図9は授業中のチェック1と2の比較であるが,このテストはテ スト問題が少なかったたあ,バラツキが多く,参考程度にしかならないが,他のクラスと の比較では,ある程度の内容の表現ができる。図10は中間テストの!と2の比較の図で,

この間に個別学習が行われたため,その効果を見ることができる。平均点の伸びはそう高 くないが,全体的に良い傾向で,中間より下のグループも良くなっている。

図7レディネステストと全体のテストの得点分布の比較

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図8 事前テストと事後テストの得点分布の比較

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(14)

108

     長崎大学教育学部教育科学研究報告 第25号

図9 授業チェック1と授業チェック2の得点分布の比較

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図10 中間テスト1と中間テスト2の得点分布の比較

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(15)

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 応個的指導と評価のたあのマテリアルとコンピュータ・システムの開発(八田・西岡)

図11から14までは,同じく佐世保市立戸尾小学校5年2組の得点分布である。この得点 分布表のグラフは上限が変化するため,ある程度の集団分布の特性を読みとることができ

る。

図11 レディネステストと全体のテストの得点分布の比較

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図12事前テストと事後テストの得点分布の比較

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参照

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