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介護職員のストレスと職場環境に関する研究 : ストレス尺度を用いた年代比較分析

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Academic year: 2021

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*1:聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科・教授/*2:聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科・教授 *3:聖徳大学心理・福祉学部社会福祉学科・講師

1.はじめに

 わが国は人口高齢化の進展に伴い,介護ニーズが増大するな かで,サービス提供を担う介護人材を確保することが喫緊の課 題となっている。  介護人材は,団塊の世代が75歳以上になる2025年には253万 人が必要になると見込まれ,向こう10年間で約38万人前後の介 護人材を確保する必要がある1)。急増する介護ニーズに対して, 介護人材の慢性的な人手不足というギャップが解消されなけれ ば,「介護難民」を増大させることになる。  ところが,介護職員は離職率が高く,人材確保が困難な状況 にあり,現在でも介護現場は深刻な人手不足に悩まされている。 離職率をみると,介護職員の離職率は16.6%(全産業平均15.6%) で,全産業を上回る高水準にある。介護職員の離職率の高さは, 介護職の賃金の低さや労働環境の厳しさ等,マイナス面が強調 されている。賃金は,経験年数,平均年齢等の要素の違いがあ り,単純比較はできないが,介護分野の平均賃金水準は産業計 の平均賃金と比較して低く,他の職種の平均賃金と比較しても 低い傾向にある。  ヒューマンサービス従事者の離職は,実際の離職行動に至ら ずともその意向行動を抱くだけで利用者の生活の質に影響を及 ぼすとされている(Hockwater,et al.,1993; Bradley and Suther land,1995)。また,対人援助職に携わる専門職は,他の職種に比

介護職員のストレスと職場環境に関する研究

−ストレス尺度を用いた年代比較分析−

高尾 公矢

*1

  赤羽 克子

*2

  宇佐美 尋子

*3 要旨  本研究の目的は,介護職員のストレスとその関連要因を解明することである。905名の介護職員を対象に,年代 によるストレッサー,コーピング(ストレス対処),ソーシャルサポート,心理的ストレス反応の差異の検討など を行った結果,ストレッサーでは「上司(施設)ストレス」を除く全てのストレスにおいて,年代による有意差が 認められた。コーピングでは「積極的な問題解決コーピング」を除く全てのコーピングにおいて,ソーシャルサポー トではすべてのソーシャルサポートにおいて,心理的ストレス反応では,「疲労感」を除く全ての心理的ストレス 反応において,有意差が認められた。  研究結果より,介護現場での様々な経験の蓄積によってソーシャルスキルが獲得され,利用者への対応や他職 種や同僚間における問題に対し自分自身で解決できる対処力が高まり,ストレッサーの解決及び心理的ストレス 反応の低下につながっている可能性が指摘できる。 キーワード  介護職員,ストレス,ストレス対処,ソーシャルサポート,ソーシャルスキル Abstract

 This study aimed to shed light on stress and its associated factors in nursing care staff.

 We investigated age-related differences in stressors, coping styles, social support, and psychological stress responses in 905 staff. All types of stressors significantly differed among age groups except stress from bosses (institutions). Significant age differences were also found in all types of social support, all psychological stress responses except feeling of fatigue, and all coping styles except proactive problem-solving.

 The results suggest that accumulation of various experiences in nursing care practice may promote acquisition of social skills and enhance the staff s ability to independently solve problems about responses to service users as well as problems with other professionals or colleagues. This will result in resolution of stressors and reduction in psychological stress responses.

Key words

 Nursing care staff, stress, coping style, social support, social skills

Stress in Nursing Care Staff and Their Workplace Environment:

A Comparative Analysis Among Age Groups Using a Stress Scale

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による負担の蓄積)につながり,心理的ストレス反応の増加に つながっていることを示唆する。40代以下においても,50代以 上と同様,ソーシャルサポートよりもソーシャルスキルがスト レスプロセスに大きな影響を及ぼしていることが指摘できる。 40代,30代では,ソーシャルスキルの獲得によって,適切な相 談希求をし,問題解決につながる支援を得ながらストレッサー の解決につなげていくことが重要であるといえる。特に30代は, 他職種や同僚間のストレスといった対人関係の負担を最も自覚 する年代であることが本研究結果から示されていることから, ソーシャルスキルによってストレッサーそのものの解決につな げていくことの重要性が指摘できる。また,20代以下は,スト レス反応の増加につながるとされる消極的コーピングの採択も 高いことから,まずは,ソーシャルスキルの獲得によって適切 な相談希求をすることで,放置している問題に向き合うことが 必要であるといえる。  本研究の結果から,介護現場の雇用管理上の対応としては, 職員の年代ごとにストレッサー・ソーシャルスキル・コーピン グ・ストレス反応に差異がみられるため,年代ごとのストレス に配慮することが求められる。また,介護職員全体の傾向とし て,ストレスプロセスにおけるソーシャルスキルの重要性が指 摘できることから,介護現場での様々な経験の蓄積によってソ ーシャルスキルを獲得していくことで,ストレス対処力を高め, ストレッサーの解決及び心理的ストレス反応の低下につなげて いくことの有効性が指摘できる。 謝辞  本研究にご協力いただきました介護施設・事業所の長様はじ め皆様に深く感謝いたします。 注 1) 厚生労働省(2015)は,2025年の需給推計(確定値)を発表し,2015年2 月に発表した暫定値は不足数を約30万人としていたが,確定値は約38 万人で不足数が拡大している。 参考・引用文献 江口信枝,1998,「介護職の仕事の満足度に対する生活ストレスが及ぼす 影響」足利短期大学紀要,18,103-108.

Bradley,j.and Sutherland,V. 1995 Occupational stress in social service:a comparison of social workers and home help staff, British Journal of Social Work,25.

Hockwater, W. A., Perrewe, P. L .,and Kent, R. 1993 The impact of persistence on the stressor-strain and strain-intention to leave relationships: A field examination, Journal of Social Behavior and Perosonality, 8(3). 介護労働安定センター,2014,「平成26年度 介護労働実態調査結果につ いて」 金原京子・岡田進一・白澤正和,2012,「介護老人福祉施設に従事する介 護職が感じる「役割ストレッサー」のストレス反応への影響と職種 間ソーシャル・サポートの効果について」メンタルヘルスの社会学, 18,50-58. 久保田則夫,1997,「恐怖の不完全燃焼症候群」『月刊総合ケア』9,86-89. 小杉正太郎,2003,「Co-Labo」ヒューマネージ,東京 小杉正太郎・齋藤亮三,2009,『ストレスマネジメントマニュアル』弘文 堂. 小杉正太郎・田中健吾・大塚泰正・種市康太郎・高田未里・河西真知子・ 佐藤澄子・島津明人・島津美由紀・白井志之夫・鈴木綾子・山手裕子・ 米原奈緒,2004,「職場ストレススケール改訂版作成の試み −スト レッサー尺度・ストレス反応尺度・コーピング尺度の改訂」産業ス トレス研究,11,175-185.

参照

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