著作権 による資金調達 をめ ぐる最近の動向
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〈論 説 〉
著作権 に よる資金調達 をめ ぐる最近 の動 向
著作権信託 の可能性
中 島 正 寿
目 次
1.は じめ に一 知的 財産権 と金 融の 問一 2.著 作権 担保 の現状
2‑1序 説 一著 作権 担保 にお け る基礎 的 な 課題 一
2‑2著 作 権質
2‑3著 作権 の譲 渡担保 2‑4小 括
3.著 作 権 等管理 事業 法 と信 託 業法 3‑1序 説
3‑2著 作権等 管理 事業 法 と著 作権信 託
① 著 作権 等 管理 事業 法 の概 要
② 著 作権 等管 理 事業 法上 の管 理 信託 と信 託業 法
(3}信 託業 法 改正 をめ ぐる動 向 4.著 作権 の流 動化 と信 託
ml総 説
4‑2信 託 にお けるビー クル(Vehicle)機 能 の有効 性
4‑‑3信 託 業 法改正 の概 要 と流 動 化 型信 託 1他 の関連 法制 と今 後 の動 向
5.結 び にか えて
1.は じめ に 一 知 的 財 産 権 と金 融 の 間 一
近年 、 知 的財 産 の財 産 的価 値 に着 目 した さ まざ まな施 策 が矢 継 ぎ早 に打 ち出 され て い る。小 泉 首相 直轄 の下 に作 成 され た 「知 的財産 戦 略大 綱 」 に も とづ き 平成14年ll月 に成 立 した 「知 的財産 基 本 法」 は知 的 財産 の創 造 、保 護 お よび 活用 とい う知 的創造 スパ イ ラルの構築 につ いて謳 って お り、 かか る施 策 を集 中 的か つ計画 的 に推進 す るた め に 「知 的財産 戦 略本 部 」 が 内閣 に設 置 され た(同
i)
法第24条)。
筆 者 は、 知 的財産 をめ ぐる様 々 な法 的問題 の うち、知 的財 産権 担保 融 資 の可 能性 とか か る問題 点 につ いて研 究 を進 めて きたが、新 た に"知 的財産 の流 動化 ・
2)
証 券 化"を 通 じた資 金 調達 をめ ぐる法 的問題 が こ こ数年 注 目 され て い る。 そ し て、 それ は さ らに政 府担 当官 庁 の主 導で"知 的財 産 の信 託"の 方 向へ 収 敏 しよ
3}
う と して い る。 これ に っ い て は、 す で に 知 的 財 産 研 究 所 を は じ め、 主 に 実 務 家
が総 論 的 な諸 問題 につ いて積極 的 に指摘 され て お られ るので 、今後 は その よ う な問題 点 に関 す る理 論 の深化 が必 要 で あ る とともに、 知 的財産 の各種権 利 にか か る個 別 の問題 す なわ ち各論 的 問題 につ い て も丁 寧 に議論 す る段 階 にあ る とい え よ う。
そ こで、本 稿 は後 者 の各論 的 問題群 の うち、著 作権 に よ る資 金 調達 とい う側 面 か ら著 作権 担保 の現状 を概 観 した上 で、近 年注 目を浴 び て い る著作権 信 託 を
め ぐる法律 上 の問題 を中心 に論 じよ うとお もう。著作権 の信 託 につ いて は、2001 年 に 「著 作権 等 管理 事業 法 」が施 行 され、他 の知 的財 産 権 に先駆 けて独 自の管 理信 託 を規 定す る立法 を行 って い る。 また、本年6月 には 「コンテ ンツの創 造、
保護 及 び活用 の促 進 に関す る法律 」(以 下、 コ ンテ ンツ促進 法)が 公布 され た こ とに加 えて、信 託法 関連 にお いて も資産流 動 化 を視野 に入れ た法 的 な問題 につ
4)
いて論 点整 理 を行 うな ど周辺 の法 整備 も漸次 進行 して お り、 こ うした動 向 は著 作 権 を活用 した資金 調達 の環 境形 成 に顕 著 な影響 を与 え るもの とお もわれ る。
なお 、著 作権 と並 列 して論 じ られ る こ とが多 い特 許権 は特 許登 録令 で当該担 保 お よび信 託 に関 す る規 定 をお いて い るが、 資金 調達 を積極 的 に支援 す る規定 建 て に はな って いな い。 したが って、上 記著 作権 信 託 を め ぐる立法 の動 向は興 味深 いス テ ップ として注 目されて お り、 その意 味で は著 作権 と特 許権 、 双方 の 信 託 につ いて その法 的問題 点 につ いて比較検 討 す るこ とは有 意義 で あ るが、 「特 許 権 の信 託 」 につ い て は紙 幅 の関係 もあ るので本 稿 で は著作 権信 託 の説 明 に関 連 す る限 りふ れて 、 それ以 外 の 内容 につ いて は別 稿 に譲 ろ う とお も う。
2.著 作 権 担 保 の 現 状
2‑1序 説 一一 著 作 権 担 保 に お け る基 礎 的 な 課 題 一
わ が 国 の 著 作 権 法 は 「著 作 物 」 につ い て 「思 想 又 は感 情 を創 作 的 に表 現 した もの で あ っ て、 文 芸 、 学 術 、 美 術 又 は音 楽 の範 囲 に属 す る もの」(同 法2条1項
1号)と 定 義 し、 ア イ デ アや 理 論 で は な く 「表 現 物 」 を保 護 す る と明 定 して い る。 著 作 権 は有 体 物 を媒 体 と した 「表 現 物 」、 す な わ ち視 覚 的 な 観 点 か らい え ば
「無 体 物 」 を 客 体 とす る。 した が っ て 、 そ れ は 同条 に規 定 す る 「思 想 又 は感 情 を 創 作 的 に表 現 した もの 」 を要 件 と して 、 有 体 物 の所 有 権 とは別 個 に成 立 す る こ
著作権 に よ る資金調 達 をめ ぐる最 近 の動 向65
とに注 意 を要 す る。 また、著作 権 の保護 期 間 は原 則著 作者 の死後50年 で あ り、の
権 利行 使 の側 面 におい て もベ ル ヌ条約 等 の手 当 て は あ る一 方 属地 主 義 の原 則 が はた らい て い る。つ ま り、著作 権 は所 有権 と比較 す る と、 時 間 的 お よび空 間 的
ラ
制約 の施 され た人 工 的 な権 利 とみ る ことがで き る。
著 作権 担保 は、 この よ うな著 作権 を客体 とす る権 利 質 、権 利 の譲 渡担 保 の一 形 態 とい え るが 、無体 物 で あ るか ら動産 、 不動産 の よ うに占有 す る こ とがで き
ない。 また 、著作権 は別途 著作 者 人格権 も併 有 して い るこ とか ら、 これ を担保 に とる場 合 は格 別 の配慮 を要 す る。かか る著作 権が 担保 の対象 とな りうるの は、
少 な くとも当該 人格権 を捨 象 した著 作財 産権 に属 す る部分 が譲 渡 性 を有 し、 か
の
つ換価 可 能 な財産 で あ るか らで あ る。 また、著 作権 は特 許 権 の よ うに権 利 の発 生 要件 として登録 を要 せ ず 「創 作 」 を もって直 ち に成 立 す る権 利 で あ り、 当該 権 利 の成 立 した後 も特 許 法 の よ うに権利 付与 後 の異議 申 し立 てや 無効 審判 な ど
の よ うに権 利 が い った ん発 生 して も事後 的 に権 利 が無効 と判 断 され る事 態 を想 定 した規定 建 て にはな って いな い。著作 権 の場 合、 いわ ゆ る 「盗 作 」 の場 合 は 別 に して、既 存 の(他 人 の)著 作物 に類 似 して いた として も、 これ を全 く参照 せ ず独 自に創 作 した もので あ る ときに は著 作権 が成 立 す るか ら、特 許 権 とは異
な る文 脈 にお いて権 利 の不安 定 要素 が あ る。
以下 、著 作権 質 と著作 権 の譲 渡担保 につ い て分 説 しなが ら基礎 的 な論 点 をた どって み る。
2‑2著 作 権 質
著 作 権 質 は、 民 法 上 「権 利 質 」 の 一 種 とみ る こ とが で き る。 と ころ が 、 周 知
g}
の よ う に民 法 典 は 「債 権 質 」 を 中心 と した 規 定 建 て とな っ て お り、 わ ず か に民
9)
法362条 が 「財 産 権 」 を質 権 の 目 的 とす る と規 定 す る に止 ま る。 した が っ て 、 著 作 権 質 に 関 す る規 定 につ い て は専 ら著 作 権 法 を 参 照 しな くて は な ら な い 。 著 作 権 質 の 場 合 、 民 法 上 の 質 権 規 定 と異 な る と こ ろで は要 物 性(民 法344条)は
fa)
観 念 され ず 、 質 権 設 定 契 約 の み に よ って 効 力 を発 生 す る。 そ して 、 か か る著 作 権 質 の 設 定 、 移 転 、 変 更 、 消 滅 若 し くは処 分 の 制 限 につ い て は 「登 録 」 を しな け れ ば、 当 該 未 登 録 を主 張 す る こ とにつ き正 当 な利 益 を 有 す る第 三 者 に対 抗 す る こ とはで き な い 旨規 定 す る(著 作 権 法77条2号)。 また 、 著 作 権 質 に お い て
質権者 あ るい は著作権 者(質 権 設定者)の いずれが"著 作権 を行使 しうる者"で あ るか とい う問題 につ いて は原 則"著 作権 者"に 留保 す る とい う特 則(著 作権 法66条)を 設 けて、実 質 的 には抵 当権 に近 い性質 を与 え る規定 内容 とな って い
II}l2)
る。 これ にっ いて は旧著 作権法 以来議 論 されて きた問題 で あったが、 昭和45年 の全 面 改 正 の際 、上述 の よ うに明規 して立法 的 な解 決 を図 って い る。 質権 一般
におい て は経 済 事情 の変 遷 に よって留置 的機 能 よ りも優先 弁済 機 能 の方 を中心
13}
と した 質 権 が い くつ か 現 れ て お り、 そ の 意 味 に お い て は 「無 体 物 」 を客 体 とす る著 作 権 質 も また 実 質 上 優 先 弁 済 機 能 を 中心 とす る質 権 で あ る と見 る こ と もで き よ う。 一 方 、 著 作 権 法 第66条2項 は民 法362条2項(304条 、350条)に 準 じ 「物 上 代 位 」 に つ い て確 認 的 に規 定 して い る が 、 従 来 の 質 権 の 効 力 と同 様 に 当 条 項 但 書 で 差 し押 え る必 要 性 に つ い て規 定 して い る点 は疑 問 な し と しな い 。 無 論 、 一 般 に説 か れ る よ う に、 債 務 者 の 一 般 財 産 に これ らの 金 銭 が 混 入 し他 の 債 権 者 を 阻 害 す る こ とを 防 ぐ趣 旨 で あ る こ とは 理 解 で き る が 、 反 面 、 金 融 を得 る方 途 と して は煩i雑な手 続 を要 す る こ とに も な るか ら、 こ こに実 務 で 著 作 権 質 が あ ま り利 用 され て い な い とい う現 象 も首 肯 で き るの で あ る。 上 述 した よ うに 民 法362条 は権 利 質 に つ い て 総 論 的 に規 定 す る一 方 、 そ れ 以 外 の 具 体 的 事 項 に つ い て は特 別 法(著 作 権 法)に 譲 っ て い るの だ か ら、 民 法 上 の質 権 規 定 の枠 組 に拘 泥 す る こ とな く、 著 作 権 の性 質 に即 した質 権 制 度 を設 計 す るべ きで あ ろ う。
2‑3著 作 権 の譲渡 担保
ユ4)
著 作権 の譲渡 担保 は、権 利 の譲 渡 担保 の一種 で あ る。 一般 に、 譲 渡担 保 は慣 習法 お よび判例 に よって是認 され た担保 権 で あ り、 法定 され た質権 と較 べ る と 取 引上 フ レキ シ ブル な担保機 能 を有 して い る。 その反面 にお いて、 著作 権 の譲 渡 担保 にお いて は(権 利客体 が無体 物 で あ るか ら問題 の次元 は異 な るの で あ る が)、 動産 の譲 渡 担保 と同様 第 三者 に対す る公 示方 法 の問題 が存 す る こ とや 、前 記著 作権 質 でふ れた よ うに著 作権 を(質 権 者 と著作 権者 の)ど ち らが行 使 す る
のか とい う議 論 について も著作権 法第66条 の よ うな規 定が な いた め結局 の とこ ろ当事 者 の合 意 に よ る こ とに な る。 これ につ いて は譲渡 担保 契 約 で担保 設 定者 に対 し 「自己使用 」 に限 る と規 定 す る場 合 と、担保 設定 者 が他 者 に使用 許 諾 し て収 益 を あげ る こ とを許容 す る場 合 あ るい は これ を許 容せ ず質 権者 自身 が収益
著 作権 に よる資金 調達 を め ぐる最近 の動 向67
ユらラ
行為 を行 い、 当該収 益 を弁 済 に充 て る場 合 等 の形 式が想 定 され るの で あ る。譲 渡担保コ・ のメ リッ トが簡 便 な 「私 的実 行 」 にあ り、 加 え て著 作権 の譲 渡 担保 の場 合 手続 費用 とい う側 面 にお いて著作 権質 よ りも負 担 が少 な い こ とか ら、実 務 で は当該 譲 渡担保 の法形 式 を採 用 す る場合 もあ る よ うで あ る。 た だ し、 実務 にお いて は著作 権質 と併 せ て設 定 す る こ とが通 常 の よ うで あ る。
2‑4ノ 」曽舌
上 述 して きた よ う に、 著 作 権 は0般 に時 間 的 、 空 間 的 な 制 約 が 自ず か ら設 定 され 、 当 該 権 利 成 立 後 の 法 的 安 定 性 に お い て 不 安 定 要 素 も あ る こ とか ら、 権 利 と して は脆 弱 な側 面 を 有 して い る こ と も否 め な い 。 そ れ は、 他 の 知 的 財 産 権 に つ い て も同 様 で あ る。 それ に もか か わ らず 、 著 作 権 担 保 が 着 目 され て い る点 は 他 の 知 的 財 産 権 と比 較 した場 合 、 以 下 の よ うな メ リ ッ トが 存 す るか らで あ る。
す な わ ち、 ① 権 利 の 成 立 につ い て 無 方 式 主 義 を と り手 続 を要 しな い こ と、 ② 当 該 権 利 の保 護 期 間 が 他 の 知 的 財 産 権 に較 べ て比 較 的 長 い こ と、 また ③ 著 作 権 成 立 の後 も(例 え ば特 許 権 の よ う に)権 利 を否 認 さ れ る よ うな危 険 が 少 な い こ と、
④ 著 作 権 にか か る商 品 は、 例 え ば著 名 な歌 手 に よ る音 楽CDの 販 売 を想 起 す れ ぼ 分 か る よ う に、 過 去 の 実 績 か ら将 来 の 一 定 の 収 益 を 見 込 む こ とが 比 較 的 可 能 な こ と、 な どで あ る。 しか しな が ら、 著 作 物 は芸 術 作 品 か ら実 用 的 作 品 、 そ し て機 能 的 作 品 に至 る まで そ の 範 囲 は非 常 に 幅 広 く、 プ ロ グ ラ ム の 著 作 物 な ど は 特 許 権 と同様 に製 品 上 の 「保 守 」 を行 わ な け れ ば な ら な い 。 そ の 意 味 で は 、 上 記 に挙 げ た4点 は あ くまで も著 作 権 一 般 に み られ る概 括 的 内容 に 止 ま る。 そ こ で 、本 稿 で 以 後 「著 作 物 」 とい う場 合 、 上 記4点 が 比 較 的 適 合 す る音 楽 、 映 画 、 ゲ ー ム 等 を 主 な 対 象 と して稿 を進 め て い く。 次 章 以 下 で は 、 著 作 権 に よ る資 金 調 達 を従 前 の 担 保 で は な く"著 作 権 の流 動 化"に よ っ て 実 現 す る試 み 、 と りわ
け信 託 の 手 法 につ い て み て い く。
3.著 作 権 等管 理事 業 法 と信 託業 法
3‑1序 説
す で にふ れ た よ うに、 「知 的財 産 権 信 託 」 にか か る法 的基 盤 の整 備 作 業 が 着 々 と進 行 して い る。 当 該 信 託 に お け るニ ー ズ に つ い て は、 ① 一 元 的 管 理 を 目的 と す る信 託 と② 流 動 化 して 資 金 調 達 を 目的 とす る信 託 、 の2つ の形 態 を み と め る
16)
こ とが で き る。本 稿 で は、 以後 便 宜 上 ① を 「管 理 型 信 託 」、 ② を 「流 動化 型 信 託 」 と呼 称 す る。 な お 、 後 者 の 信 託 類 型 につ い て は第4章 で 説 明 す る。
わ が 国 で は 、 い わ ゆ る プ ラー ゲ 旋 風 を 契 機 と して 古 くか ら著 作 権 の一 元 的 管
17)
理 を行 っていた。そ して、2001年 には著作権等管理事業法(以 下、 「管理事業法 」) を新 た に成 立 させ て著 作権 又 は著 作 隣接権 にお よぶ管理 型信 託形 態 を提 示 して
I8)
い る。 管理 事業 法成 立 の経緯 と内容 につ い ては以下 に説 明 す るが、 当該 信託 的 譲 渡 を用 いた一元 的管 理 の運用 が他 の知 的財産 権 におい て も参 考 とされ てい る
19)
な ど、 知 的財 産 権 一般 の信 託 ス キ ー ム を検 討 す る に は重 要 な資 料 の一 つ とな る。
また 、 信 託 を業 と して 行 う場 合 、 規 制 法 で あ る信 託 業 法 との 関 連 につ い て どの よ う に規 定 して い るの か 、 確 認 して お く こ とは重 要 で あ る。 以 下 、 同 法 の 管 理 型 信 託 の 有 効 性 と限界 に つ い て 説 明 す る。
3‑2著 作権 等 管理 事業 法 と著作 権 信託 (D著 作権 等 管理 事業 法 の概 要
著作 権 又 は著作 隣接 権(以 下 、 「著作 権等 」)の 管理 は 自身 で行 うこ とが原則 で あ るが 、音 楽 や小 説 な ど著 作物 の種 類 や利用 形 態 に よって は他 人 の無 断利用 を防 ぐこ とが 困難 な場 合 が 多 い。 そ こで、本 人 に代 わ って著作 権 等 を集 中的 に 管 理 す る団体 が 発達 して きた。 わ が国で も、古 くか ら音 楽、 文芸 、美 術作 品 等 の分 野 で管理 団体 が 発達 して お り、 と くに音楽著 作権 分野 にお け る社 団 法人 日
Za)
本 音 楽 著 作 権 協 会(JASRAC)の 存 在 は広 く知 られ て い る。 か か る著 作 権 管 理 団 体 を保 護 、 育 成 す る こ とを 目的 と して 「著 作 権 に関 す る仲 介 業務 に関 す る法 律 」
(以 下 、 「仲 介 業 務 法 」)が 昭和14年 にす で に制 定 され て い たが"一 分 野 一 団体"の 方 針 を とっ て 、 同法 の 規 制 対 象 分 野 も 「小 説 」、 「脚 本 」、 「楽 曲 を伴 う場 合 にお け る歌 詞 」、 な らび に 「楽 曲 」 と制 限 を して い る(仲 介 業 務 法 に関 す る勅 令 第835
著 作権 に よる資金 調達 をめ ぐる最近 の動 向69
z1)
号)。 また 、 団 体 設 立 や 著 作 権 使 用 料 規 程 につ い て も厳 しい規 制 を 設 け て い た 。 と こ ろが 、 近 年 のIT(InformationTechnology)化 の進 展 に伴 い 、 委 託 者 等 の 多 様 な ニ ー ズ に応 えた 管 理 事 業 が 次 第 に要 望 され る よ う に な っ た こ とか ら 仲 介 業 務 法 を廃 止 し、 代 わ っ て平 成13年10月 に 「著 作 権 等 管 理 事 業 法 」 を施
22)
行 して い る。 同 法 に い う 「著 作 権 等 管 理 事 業 」(以 下 、 「管 理 事 業 」 と省 略)と は 、 「管 理 委 託 契 約 に基 づ き著 作 物 等 の 利用 の 許 諾 そ の他 の 著 作 権 等 の 利 用 の 管 理 を行 う行 為 で あ っ て 、 業 と して行 う もの 」 と規 定 す る(同 法 第2条2項)。 た だ し、 当該 管 理 委 託 契 約 上 、 委 託 者 と受 託 者 が 人 的 関 係 、 資 本 関 係 等 に お い て 密 接 な 関 係 を 有 す る もの は除 い て い る(同 法 施 行 規 則2条)。
管 理 事 業 法 で は 、 当 該 事 業 を 旧来 の 許 可 制 か ら 「登 録 制 」 へ 変 更 す る と と も に、 そ の適 用 対 象 を す べ て の 著 作 物 、 実 演 、 レ コー ド、 放 送 、 有 線 放 送 に広 げ て い る。 同 法 に よ る規 制 対 象 の 拡 大 は規 制 強 化 で は な い か とみ る こ と もで き る が 、 管 理 事 業 を 円 滑 に 実 施 す るた め に は一 定 の法 的基 盤 の整 備 を 必 要 とす る と
23)
考 え られ て い る。 もっ と も、IT化 に対 応 す るた め に は仲 介 業 務 法 の よ うな 強 い 規 制 まで は 必 要 で はな い と思 わ れ る。
管 理 事 業 を行 うた め に は、 「管 理 委 託 契 約 約 款 」 お よび使 用 料 の 上 限 を定 め た
「使 用 料 規 程 」 の"届 け 出"を 要 す る。 同 法2条1項 が 定 義 す る管 理 委 託 契 約 と は 、 委 託 者 が 受 託 者 に 著 作 物 等 の管 理 を行 わ せ る こ と を 目的 とす る"信 託 契 約
(同 第1号)"お よび 取 次 また は代 理 に よ る"委 任 契 約(同 第2号)"で あ っ て、
当 該 許 諾 に際 して 委 託 者 が 使 用 料 の 額 を 決 定 す る こ と と され て い な い もの を い う。仲 介 業 務 法 の時 代 は、業 務 実 施 にっ い て 「許 可 制 」、使 用 料 規 程 につ い て 「認 可 制 」 を とっ て い た の で 、 行 政 裁 量 の 余 地 が 広 く規 制 が 多 か っ た が 、 管 理 事 業 法 で は これ を 上 記 の よ うに 改 め て 規 制 の 緩 和 を 図 っ た 。 こ う して 従 来 の 一 分 野 一一団 体 の枠 組 み をi撤廃 し、 当 該 事 業 の 新 規 参 入 につ い て 許 容 す る方 針 を採 用 す
る0方 、 使 用 料 に 関 す る協 議 、 紛 争 処 理 制 度 お よ び著 作 権 等 管 理 事 業 者 に(委 託 者 お よ び 利 用 者 へ 当 該 管 理 事 業 に 関 す る)情 報 提 供 等 の義 務 を課 して 、 管 理 事 業 自体 の 透 明 性 につ い て も確 保 で き る よ う努 力 して い る 。 以 下 に お い て は、
上 記 の うち 管 理 信 託 契 約 と信 託 業 法 との 関 係 に焦 点 を あ て て 説 明 す る。
② 著作 権 等 管理 事業 法 上 の管理信 託 と信 託業 法
上述 の よ うに、管理事業 法 の下 で は"同 法 の登録'と"所 定 の届 け出"を もっ て管理 事業 を行 うこ とがで き るが、 ここで は本稿 のテー マで あ る"信 託 契約"を 採用 した場 合 につ いて みて い く。
従 来 、著 作 権 等 の管理 にかか る信 託業務 につ いて は、業 務 主体 と客 体(信 託 引受財 産)に 関 して制 約 が あ りこれ を行 う こ とがで きなか った。信 託 業法 第1 条 の規 定 に よれ ぼ、 一般 に信 託 の 引受 けを業 として 営 も う とす る者 は 内閣 総理 大 臣 に よ る免許 を受 けな けれ ばな らず、 さ らに同法第2条 において 当該業務 主 体 が株 式 会社 に限定 されて い る。 また、 同法 第4条 は受 託可 能財 産 を金銭 や有
24}
価 証券 等 のわず か6種 類 に限定 して著作権 等 の知 的財 産 を含 めて いな い。 とこ ろが 、信 託 法第1条 に よ る と"信 託"と は 「財産権 ノ移 転其 ノ他 ノ処分 ヲ為 シ 他 人 ヲシ テー定 ノ目的二 従 イ財産 ノ管理 又 ハ処分 ヲ為 サ シム ル」 こ とをい うと 定 義 して お り、 移転 ・設定等 をな しうる財産 権 はすべ て信 託 の対象 として い る。
つ ま り、 同法 に よれ ば著 作権 等 の 知 的財 産権 も信 託 可能 な財 産 とな る。 かか る 信 託 法 と信 託業 法 間 の"齪 酷"は 信 託業 法制 定 時 にお け る信 託 会社 の乱 立 を防
25)
御 しよ う と した大蔵 省(当 時)の 政 策 意 図が背 景 に あ る といわれ てい る。 その た め、仲 介 業務 法 の 時代 は条文 上 明 らか で はな いが、 同法 を信 託業 法 の特 例 法 と位 置 づ けて信 託業 法 の規 制 が 同法 の対象 分野 に及 ばな い と解 して いた。 す な わ ち、仲 介 業務 法 の規制 対 象分 野 で あ る前 記小 説等 につ いて のみ信 託業 法 の規 制 は及 ぼず、 それ以外 の著作物 等 の管理信 託 につ いては事実 上実施 がで きなか っ た。 そ こで、管 理事業 法 で は第26条 第1項 において 「著作権等 のみの信 託 の 引 き受 けを業 と して行 う者」 にっ き信 託 業法 所定 の条 項 を適用 除外 とす る旨明文
2&)
化 を行 った の で あ る。 これ に よって、信 託 業法 第4条 の規 定 に もかか わ らず、
管理 事 業 法 上 の登録 を行 えば広 範 な著 作物 等 の管 理信 託 が可能 とな った。 た だ し、 以下 の2点 につ いて は同法 において も規制 外 とな る こ とに注 意 を要 す る。
す なわ ち、① 管 理事 業法所 定 の管 理委 託 契約 に も とつ く契 約 で あ って も利用 の 許諾 に際 して委託者 が使用 料 の額 を決定 す る こ ととされて い る 「非一任 型契 約」
につ いて は 同法 の規 制 も及 ばな い(同 法第2条 第1項)。 また、② 前述 した よ う に委託 者 と受託者 間 にお いて密接 な関係 が認 め られ る場合 も同様 で あ る。 この
2点 につ いて 同法規 制 の例 外 とした趣 旨は、 自己管理 類似 の行 為 で あ る と解 し
著作権 による資金調達をめ ぐる最近 の動向 刀
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て これ を規 制 す る必 要 を認 めな い とい うこ とで あ る。 けだ し、 前者 の場合 は委 託者 自身 に経 済的利 益 に関 す る決定 権 が留保 され て い るか らで あ り、後 者 の場 合 も密 接 な人 的関 係、資 本 関係 が存 す るゆ え に委託 者 の意 思 に沿 った管 理 を行
う蓋然 性 が高 い と考 え られ るか らで あ る。
なお、 わが 国 の商事信 託 を担 って い る信 託銀 行等 の金 融機 関 は、信 託 業 法、
兼 営法(金 融機 関 ノ信託 業務 ノ兼 営等 二 関ス ル法律 〔昭和18年 法律43号 〕)、
銀 行法(昭 和56年 法律59号)を 根 拠 と して信 託業 務 を行 え る位 置 に あ る。 し か し、信 託 業 法第4条 の規制 が あ るた め金 融機 関 も同様 に著作 権 の信 託 業務 を 行 う こ とがで きなか った が、管 理 事業 法 上の登 録 を行 えぼ受託 可 能 で あ る とし
た(管 理 事業 法第26条 第2項)。 信 託 一般 の ノウハ ウ を有 す る信 託銀 行 等 の金 融機 関が 当該信 託 に参 入 で き る よ う明規 す る こ とは当然 の処置 で あ ろ うが、金 融機 関 に よ り資金 運用 を行 う一 般 的 な信 託 業務 と管 理事 業 法 の規 定 す る管 理型 信 託 とは広 い意 味で の 「信 託行 為 」 に該 当す る として も後者 の方 は資 金 運用 に
つ いて まで策 定 され た もので はない。 しか し、 近年 勃興 して きたIT関 連企 業 等 にお いて は金融機 関 に対 し知 的財 産権 を信 託 の 対象 に して事 業 資金 を調 達 す る とい う期 待 を もって い る とお もわれ る。 そ こで管 理 事業 法上 の登録 の み に と
どま らず 、前 記信 託業法 第4条 自体 を改正 して著作 権 等 の知 的財産 も受 託 可能 財産 に含 め る こ とが課題 として議 論 され る よ うにな った。 それ は、 あ らゆ る財 産 ない し財 産権 を流 動化 して資 金 を調達 しよ う とす る資 産流 動 化 の潮 流 の一環
とい うこ とがで き る。 以下 、信 託 業法 を中心 にその動 向 をみ て い く。
(3)信託 業法 改正 をめ ぐる動 向
上述 して きた よ うに、 現行 信 託業 法 で は信 託 の担 い手 が信 託銀 行 に限定 され てお り、受 託 可能 財産 に著作 権 が 明記 され て いな いた め、経 済産 業 省 は小 回 り の き く一〇般事業 会社 の参入 と受託可 能財産 の拡 大 を金 融庁 に も とめた。 そ して、
こ う した要 望 を全 面 的 に盛 り込 んだ信 託 業 法改 正法 案 が本年 度 第159回 国会 に 提 出 され たが 、結局 金融 庁 は今 国会 で の成 立 を見送 り、 次期 国 会 で の継 続 審議
28)
に委 ねた。 同改 正 法案 に至 る まで には、 各 方面 か ら信 託 業法 改正 に関 す る報 告 な い し提 言 が な され て い る。 以下 、簡 潔 に説 明 してお きた い。
昨年3月 、経 済産 業省産 業構 造 審議 会 知 的財産 政 策部 会経 営 ・市 場環 境 小 委
員 会(以 下 、 「小 委 員 会 」)は 「知 的 財 産 の 信 託 に関 す る緊 急 提 言 」(以 下 、 「第
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1次 提 言 」)を 発 表 して い る。 同提 言 で は、 資 金 調 達 の ッー ル とい う角 度 か ら信 託 活 用 の 有 効 性 と課 題 に つ い て 列 挙 して い る ほ か 、 信 託 業 法 第4条 の 受 託 可 能 財 産 に 知 的 財 産 を含 め るか あ る い は 同条 の制 限 自体 を撤 廃 す る こ と、 また 、 知 的財 産 権 に 精 通 した 事 業 会 社 の 信 託 へ の 参 入 、 信 託 受 益 権 証 券 の 有 価 証 券 化 な ど、 踏 み 込 ん だ 提 言 を して い る。 著 作 物 に つ い て は、 映 画 等 の コ ン テ ン ツ産 業 にみ られ る資 金 調 達 の 閉 塞 状 況 に つ い て 指 摘 して お り、 資 金 流 動 化 法 上 のSP Cを 利 用 した証 券 化 ・流 動 化 の案 件 を紹 介 しな が ら資 金 調 達 の コス トや 知 的 財 産 権 の 管 理 面 な どに お い て 信 託 機 能 の 方 が 優 れ て い る こ とを強 調 して い る。 続 い て 、 小 委 員 会 は 同 年5月 に も 「知 的財 産 の信 託 に 関 す る第 二 次 緊 急 提 言 」(以 下 、 「第2次 提 言 」)を 発 表 し、 前 記 第 一 次 提 言 と同 様 、 知 的 財 産 権 の 戦 略 的 な 管 理 ・運 用 体 制 の 構 築 と当 該 財 産 権 の 流 動 化 手 段 の 拡 充 が 急 務 で あ る と報 告 し て い る。 併 せ て 、 産 業 財 産 権 に対 す る信 託 法 制 の あ り方 につ い て は著 作 権 等 管 理 事 業 法 に倣 っ た 制 度 設 計 が 必 要 で あ る と提 言 す る。 す な わ ち 、 ① 委 託 者 ・受 託 者 問 がTLO(TechnologyLicensingOrganization,「 技 術 移 転 機 構i」)な ど密 接 な 関 係 に あ る場 合 に は原 則 規 制 の対 象 外 とす る こ と、 反 対 に② 委 任 者 が 不 特 定 多 数 で 、 受 託 者 との 関 係 が 薄 い場 合 は(委 任 の場 合 も併 せ て)登 録 制 又 は届 出 制 と し、 当 該 受 託 者 に お い て は株 式 会 社 へ の 限 定 お よ び他 業 制 限 に つ い て 緩 和 す るべ きで あ る、 とい う こ とで あ る。 ま た 、 同 年7月 に知 的 財 産 戦 略 本 部 は これ らの 提 言 に ほ ぼ 沿 っ た 内 容 で 「知 的財 産 の創 造 、 保 護 及 び 活 用 に関 す る推 進 計 画 」 を公 表 し、 上 記 第2次 提 言 で 指 摘 され た 諸 問 題 点 につ い て 配 慮 す るぺ きで あ る と発 表 して い る。 また 、 同 月28日 に は金 融 審 議 会 金 融 分 科 会 第 二 部 も 「信 託 業 の あ り方 に 関 す る中 間報 告 」(以 下 、 「中 間報 告 」)を 公 表 し、 信 託 に お い て"受 託 可 能 な財 産 の 範 囲"と"信 託 業 の 担 い手"の 双 方 を 拡 大 して い く方 向性 につ い て具 体 的 に 示 して い る。 前 者 に っ い て は信 託 法 第1条 と平 灰 を あ わ せ るた め に信 託 業 法 第4条 を 削 除 す る こ とを提 言 す る と と もに 、 後 者 につ い て は信 託 業 務 の 内容 ・機 能 に よ って 「維 持 管 理 型 信 託 」 「流 動 化 型 信 託 」 「運 用 管 理 型 信 託 」 の3つ に類 型 化 し、 そ れ ぞ れ 参 入 基 準 につ い て差 を設 定 し よ う
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とす る とい うもので あ る。
以上 の信 託業 法 改正 に向 け られ た提言 ・報 告 は、 知 的財産 権 の信 託 を実現 す
著作権 による資金調達 をめ ぐる最近の動向
73
る に あ た り、 概 ね 同 法4条 の 改 正 あ る い は 削 除 とい っ た 手 当 て が 必 要 で あ り、
また か か る参 入 条 件 が 緩 和 され るべ きで あ る とい う こ とに集 約 され た 。 そ して 、 そ の議 論 に お い て は著 作 権 等 管 理 事 業 法 にみ られ る法 的枠 組 も参 照 され 、 さ ら に上 記 「中 間 報 告 」 に お い て は信 託 業 務 の 中 身 に つ い て 区 分 す る とい う方 向性 まで もみ られ る。 現 在 進 行 中 の 信 託 業 法 改 正 の 内容 につ い て は 以 下4‑3で 説 明 す る。 しか し、 こ こで 懸 念 され る の は、 知 的 財 産 権 個 々 に お け る権 利 の 性 質 につ い て検 討 が 余 りな され て い な い こ とで あ る。 当 然 の こ とな が ら、 知 的 財 産 権 は それ ぞれ 、 共 通 す る側 面 と異 な る側 面 を併 せ もっ て い る。 そ の 共 通 の側 面 を抽 出 し金 融 取 引 、 と りわ け信 託 の 視 点 か ら捉 え 直 して どの よ うな ス キ ー ムづ く りが 妥 当 な の か 、 とい う議 論 を深 化 させ て い く こ とが 必 要 で は な い だ ろ うか 。
4.著 作 権 の 流 動 化 と信 託
4‑1総 説
知 的 財 産 一 般 の流 動 化 ・証 券 化 の 内 容 とか か る法 的 問 題 一 般 に つ い て はす で に 前 稿 で 論 じて い るの で 、 本 章 で は これ を 前 提 に著 作 権 に特 化 した 内容 と法 的 問題 につ い て ふ れ て お きた い。
わ が 国 に お け る知 的財 産 権 の 流 動 化 ・証 券 化 事 例 は ま だ 端 緒 に つ い た ば か り で あ るが 、 著 作 権 につ い て は映 画 ・音 楽 等 の コ ンテ ン ツ を活 用 した い くつ か の 案 件 が 現 れ て い る。 た とえ ば平 成12年 の ゲ ー ム 「と き め きメ モ リア ル 」 の 小 口 証 券 化 や 、 平 成13年 の映 画 「フ ァイ ナ ル フ ァ ン タ ジ ー 」 の配 給 権 の証 券 化 が 話
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題 に な っ た 。 しか し、 これ らの 事 例 は証 券 化 モ デ ル とい う レベ ル ま で に は至 ら ず 、 わ ず か に松 竹 映 画 「男 はつ らい よ」 シ リー ズ の テ レ ビ放 映 権 を流 動 化 した
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ケ ー ス が 一 定 の成 功 例 と して 伝 え られ る の み で あ る。 この こ とは証 券 化 ス キ ー ム を構 築 す る 困難 さ を示 す証 左 とな っ て い る。 そ れ は、 一 定 の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー を 生 む(著 作 権 に か か る)コ ンテ ン ツ で あ っ て も、 ス キ ー ム の 構 築 自体 に 多 額 の コ ス トを 要 す るた め 、 相 当 規 模 の 対 象 資 産 で な くて は割 に合 わ な い とい
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う事 情 が 背 景 に あ る。
また 、 当該 証 券 化 の ス キ ー ム を選 択 す る際 に も そ れ が 一 義 的 に定 ま る とい う も の で は な く、 コ ンテ ン ツ成 立 にか か る それ ぞれ の 業 界 の 事 情 に よ り選 択 肢 が
る製 作 委 員 会 方 式 は、 民 法 上 の 任 意 組 合 を ス キ ー ム と して 採 用 して い るが 、 い わ ゆ る純 粋 な投 資 とい う よ り も、 映 画 業 界 関 係 者 の 枠 に止 ま る共 同 事 業 の性 格
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を帯 びて い る。 当該 方 式 におい て は、 制作 された映 画 の著作 権 が製 作委 員会 に 帰属 す る。 そ して、 そ こで は映画 制作 の出資者 が配 給会 社 、 テ レビ局 、広 告代 理店 とい う業 界 関係者 で 組合 を構 成 して い るので それ ぞれ 「無 限責 任 」 を負担 す る反 面、 映 画 が完成 すれ ば テ レビ局 は放 送権 を確 保 し、広 告 代理 店 は広 告業
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務 を 受 注 で き るな ど、̲̲̲̲定の メ リッ トを相 互 に享 受 しあ う し くみ とな っ て い る。
そ のr方 で 、 当 該 出資 者 か ら映 画 を 作 成 委 託 され た 制 作 会 社 が 下 請 け化 す る き らい も あ る こ とを 指 摘 され て お り、 場 合 に よっ て は 当 該 利 益 の 分 配 に与 れ な い
ss)
とい う事情 も存 す る よ うで あ る。 この よ うに、 製 作委 員会 方式(組 合方 式)は 一定 の利 害関 係 の うえ に資金 調達 をす るので 当事者 間 に相 当 の信 用 度 が あ るこ
とは確 か で あ るが、 直接金 融 に よ る広 範 な資金 調達 環境 の形 成 とい う観 点 か ら い えぼ業界 完 結型 の閉 ざ された資 金調 達 手法 で あ る とい う印象 は否 め ない。実 際 に、 欧 米 の証券 化 ・流 動化 事例 にお いて も、 流 動化 の手 法 は ともあれ資 金調 達 の規 模 は依 然小 さな もので あ る こ とが課 題 とな って い る。
目下 、 わが 国 で は国 際競争 力 の強化 、 経済 の活性 化 とい う観 点 か ら知 的財産 権 の管 理 や活 用 を 目的 とす る信託 制 度 の設計 に力 を入 れ て い る。 そ して、 当該 制度 を活用 して わが 国 の企 業 に活力 を与 えてい くとい う法 政策 的意 図 を もって 担 当官 庁 ほか委託 研 究機 関 が 当該 制 度 の法 的問題 、 あ るい は実務 にかか る問題
につ い て と りくんで い る ところで あ る。 以下 、 その動 向 につ いて説 明す る。
4‑2信 託 に お け る ビー ク ル(Vehicle)機 能 の 有 効 性
信 託 は 経 済 的 ニ ー ズ に こた え る た め の 法 技 術 と して 民 法 上 の代 理 、 委 任 、 寄 託 お よ び 組 合 、 ま た 商 法 上 の 会 社 、 匿 名 組 合 、 問 屋 お よ び保 険 、 そ して 、 資 産
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流 動 化 法 上 の 特 別 目的 会社 、 特 別 目的 信 託 な ど と競 合 す る関 係 に あ る。 と くに 、 組 合 や 会 社 、 匿 名 組 合 、 特 別 目的 会社 、 特 別 目的信 託 につ い て は、 流 動 化 ス キ...̲
ム に お け る受 け 皿 と して どの よ うに機 能 す るの か(以 下 、 これ を便 宜 上 「ビー クル 機 能 」 と呼 称 す る)と い う問 題 が あ る。
流 動 化 な い し証 券 化 に際 して は、 オ リジ ネ ー タが 倒 産 した場 合 に投 資 家 を保
著作権 に よる資 金調達 を め ぐる最近 の動 向
75
護 す る とい う観 点 か ら倒 産 隔離(bankruptcyremote)の シ ス テ ム を講 じな く て は な らな い。 信 託 を ビ ー ク ル と して 採 用 す る場 合 、 そ の 法 的 性 質 に よ り以 下
の よ うな 点 を具 有 す る こ とに な る。 す な わ ち、 ① 信 託 を設 定 す る こ と に よ り、
信 託 財 産 は委 託 者 か ら受 託 者 へ 名 義 が 移 転 し、 受 託 者 は排 他 的権 限 を取 得 す る。
② ビ ー ク ル が 倒 産 した 場 合 で も信 託 財 産 に は独 立 性 が あ る の で 、 これ に対 し受 託 者 の債 権 者 は強 制 執 行 を す る こ とが で き な い(信 託 法 第16条)。 ③ 原 資 産 の ま まで 流 動 化 す る こ とが 困 難 な もの で も、 信 託 を利 用 す る こ とに よ っ て 「受 益 権 」 に転 換 し投 資 対 象 にす る こ とが で き る。 ④ か か る信 託 の 受 益 権 につ い て は 元 本 ・収 益 、 優 先 ・劣 後 等 の ク ラ ス 分 け を行 い デ フ ォ ル ト ・リス ク等 に 対 応 す る こ とが で き る。 これ は 「受 益 権 の複 層 化 」 とい わ れ る。 ま た 、 ⑤ 信 託 財 産 か ら生 じ る所 得 は(実 質 的 な所 有 者 で あ る)受 益 者 に 対 して 課 税 さ れ 、 受 託 者 に は及 ぼ な い 。 す な わ ち、 信 託 は受 益 者 に利 益 を分 配 す る"導 管(パ イ プ)"と 考
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え られ て 二 重 課 税 を され な とい うメ リ ッ トを もつ 。
そ こで 、 この よ うな 信 託 機 能 と上 記 法 技 術 に つ い て 関連 す る部 分 に 限 り若 干 の ビー クル 比 較 を行 う と、 まず 民 法 上 の代 理 、 委 任 、 寄 託 お よ び組 合 に つ い て は い ず れ も信 託 制 度 と同様 、 一 定 の信 認 関 係 を基 礎 に した 「他 者 の た め の財 産 管 理 」 とい う機 能 を有 して い る とい え るが 、 上 記 ① の よ うな排 他 的 権 限 は原 則
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と して取得 しない。 また、信 託 は私 的 自治 に基 づ いて設定 され る任 意 的 な制 度
40l
で あ りなが ら受益 者 の利益 保 護 を図 るた め一 定 の裁判所 の関 与 が み られ る。 こ れ に対 し上記 代理 等 には ほ とん ど裁判所 の関 与 は考 え られ な い。 これ は商 法 上 の匿名 組合 にお いて も同様 で あ る。 した が って、他 者 のた めの財産 管 理 とい う 意 味 で は信 託制 度 の方 が これ を貫徹 して い る とい え よ う。 商法 上 の匿名 組 合 、 問屋 はいず れ も上記信 託機能① と同様、財 産管 理者 に名義 が移転 す る。 しか し、
財産 が移 転 した後 は信 託 の よ うに継 続 的 な財産管 理 は な く、 出資 とい う側 面 に とどまって いた り(匿 名組合)、 一時 的 な取得 ・処分 を 目的 とした財 産 管理 に と
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どま る(問 屋)。
これ らの 諸 制 度 に対 し、 資 産 流 動 化 法 は文 字 通 りあ らゆ る資 産 を流 動 化 す る し くみ に つ い て 準 備 して い る。 主 要 点 につ いて 列 挙 す る と、(ア)対 象 資 産 を 財 産 権 一 般 と し、(イ)上 記 の よ うな 会 社 型 、 信 託 型 の よ うな 流 動 化 ス キ ー ム を 導 入 した 。 また 、(ウ)そ れ に か か る受 益 権 は私 法 上 な らび に証 券 取 引 法 上 の 「有
価証 券 」 と規 定 して い る。 なお、(エ)オ リジネ ー タ と特別 目的会社 問 の資 本 関 係 を切 断 す る倒産 隔離性 につ いて も確 保 で きる よ う信 託 の手 法 も一部 導入 して
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い る。 同法 上 の これ らの規定 の うち、(ア)お よび(ウ)の2点 につ いて は信 託 業法 にお いて改 正 すべ き論 点 として指摘 されて お り、 その意 味 で信 託 業法 よ り
も先 行 した規 定 内容 となって い るが、 一方 、資産 流動 化 法上 の特 定 目的信 託 の 場 合 一定 の条 件 が 付 され て い る とはい え信 託 自体 を課 税 対象 として お り、二 重 課税 の問題 を生 じる場 合 もあ る こ と、 資産流 動化 計画 を作成 して事 前 に金融庁 へ提 出す る義務 が あ る こ とや 、契 約 の変更 や信託 の終 了時 な どの際 も同様 に届
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け 出 を 要 す る と して お り、 事 務 負 担 が 少 な くな い こ とも指 摘 され て い る。
4‑3信 託 業法 改 正 の概 要 と流動 化型 信託
前 述 した よ うに、 国会 に上 程 され た信 託 業法 案(以 下 、 改正 法案)は 成 立 を 見送 られ、 次期 国会 で継続 審議 とな った。 改正 法案 で は全 文改正 を行 ってい る
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が 、 主 た る改 正 内 容 は以 下 の2点 で あ り、 これ に よ っ て 知 的 財 産 権 の 流 動 化 に 大 き な 影 響 を及 ぼ す こ とが 考 え られ る。
まず 、 改 正 法 案 は懸 案 と され て い た 受 託 可 能 財 産 につ い て 拡 大 を 図 っ て い る。
す な わ ち 、 改 正 法 案 第2条1項 は 「信 託 業 とは 、 信 託 の 引 受 け を行 う営 業 を い う」 と規 定 し、 そ の種 類 に つ い て 限定 して い な い。 つ ま り、 知 的 財 産 権 に つ い て も信 託 の 引 き受 け が 可 能 とな っ た 。 た だ し、 著 作 権 に 関 して い え ば 、 第3章 で ふ れ た よ う に著 作 権 等 管 理 事 業 法 第26条 が 現 行 信 託 業 法 第4条 につ い て 適 用 除 外 とす る 旨規 定 して い る の で 、 著 作 権 等 の"管 理 信 託"に お い て はす で に許 容 さ れ て い る。
̲̲̲̲.方、 改 正 法 案 は信 託 業 の"担 い 手"に つ い て も拡 大 して い る。 す な わ ち 「管 理 型 信 託 業 」 お よび 「管 理 型 信 託 会 社 」 制 度 の 新 設 、 さ ら に 「信 託 受 益 権 販 売 業 」 の 新 設 につ い て 規 定 した 。
管 理 型 信 託 業 とは、 「委 託 者 又 は指 図権 者 の み の指 図 に よ り信 託 財 産 の 管 理 又 は処 分 が 行 わ れ る信 託 」、 あ るい は 「信 託 財 産 につ き保 存 行 為 又 は財 産 の 性 質 を 変 え な い 範 囲 内 の 利 用 行 為 若 し くは 改 良 行 為 の み が 行 わ れ る信 託 」 の い ず れ か に該 当 す る信 託 の み の 引 き受 け を行 う営 業 を い う(改 正 法 案2条3項)。 内閣 総 理 大 臣 の 登 録 を う けた 者 は 、 当 該 信 託 業 を行 う こ とが で き るが(同7条1項)、
著 作権 に よる資金 調達 をめ ぐる最近 の動 向
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この登録 を受 けた者 が 「管 理型信 託会社 」 で あ る(同2条4項)。 な お、 当該信 託会 社 は株 式会社 に限定 され て い る(同10条1項1号 ・5条2項1号)。
また、信 託 受益 権販 売 業 とは、証 券 取 引法 上 の有価 証 券 を除 く信 託 受益 権 の 販 売 また は その代 理 も し くは媒介 を行 う営業 を い う(同2条10項)。 そ して、
当該販 売 業 を行 うた め には内閣総 理大 臣の登 録 を要 す る とし、 当該 登 録 を受 け た者 を信 託受 益権 販 売業者 とい う(同2条11項)。 従 来 、証 券 取 引法 上 の有価 証券 で はない信託 受益 権 の販 売主 体 につ い て は必 ず しも明確 で はなか った が、
上記 登 録 を行 う こ とに よって誰 で もこれ を販 売 す る こ とが で き るよ うに配 慮 し て い る。
改 正法 案 で は、以 上 の よ うに受 託可 能財 産 と受 託者 につ い て、 い わゆ る規制 緩和 を図 って お り、 前記 金融 審議 会金 融分 科会 第 二部 の公 表 した 中間報 告 とほ ぼ 同様 の方 向性 を とって い る。 ただ し、後 者 につ いて は上 記 で説 明 した2つ の 信 託 業務 の形 態 に ま とめて い る。 これ に よ り、信 託業 務 一般 につ いて経 験 を有 す る金 融機 関 や知 的財 産権 の管理 につ いて ノウハ ウ を もつ管 理 型信 託会 社 が受 託 者 とな るこ とがで き るの で、 ライ セ ンシ ーの管 理や 知 的財産 権 侵 害 に対 して も適切 な対応 を とる こ とが可 能 で あ ろ う。 著作権 の場 合 は音 楽CDな どの海賊 版 の問題 が 国際 的 な規 模 で生 じう るこ ともあ りライ セ ンス契約 締 結 の段 階 か ら 十 全 な対応 を迫 られ る こ とか ら、 改正 法案 のかか る規 定 内容 は有 効 で あ る とお
もわれ る。 ただ し、委 託者 、 受託 者、 指 図権 者 は それ ぞれ どの よ うな義 務 を有 す るのか な ど、改 正法 案成 立後 の政 省令 で明確化 され る諸 点 につ いて は不 明 な 部 分 も存 して い る。改 正法 案 の 内容 は ほぼ固 まって い る とは い え、今 後 の改正
45}
法 案 の推移 を注 意深 く見守 る必 要 が あ ろ う。
II他 の 関 連 法 制 と今 後 の 動 向
4‑1で 映 画 制 作 の例 を 取 り上 げ た よ う に、 わ が 国 の コ ンテ ン ツ制 作 の 資 金 調 達 手 法 と して は 民 法 上 の任 意 組 合 を利 用 した製 作 委 員 会 方 式 が 主 流 で あ っ た が 、 当 該 ス キ ー ム で は制 作 側 に 利 益 が 還 流 しに くい もの とな っ て い る。 そ の た め次 回作 品 の 創 作 に連 結 せ ず 、 ま た ス キ ー ム に参 画 す る メ ンバ..̲.が限定 して い る こ とか ら 巨 額 の 費 用 を要 す る作 品 に も向 い て い な い とい う指 摘 が あ っ た 。 そ こで 、 経 済 産 業 省 で は コ ンテ ン ツ ・フ ァイ ナ ン ス研 究 会 を立 ち 上 げ、 業 界 関 係
者 だ けで はな く一一般 の投資 家 か ら資金 を調達 す る方 向性 を模 索 す るな ど、 多角 的な分 析 を行 って い る よ うで あ る。 と りわ け、 テ レ ビ番組 の二 次利 用 につ いて は当該 著作 権 の権 利 の所在 が業界独 自の慣 行 か ら錯 綜 して不 明瞭 にな って い る よ うで あ り、 その二次 利用 にか か る権 利 処理 の煩雑 さにな って い る と批 判 され
46)
てい る。
そ こで 、 昨年政 府 は 「下請代 金 遅延 等 防止 法」 を改正 し、 同法 の対 象物 に コ ンテ ンツ等 の 「情報成果 物作成 委託」 を含 めて その適用 を拡大 した。 同法 によっ て、上 記 で述 べ た よ うな テ レビ局 や 制作 者側 双方 の取 引 にお いて不 当 な経 済 上
イの
の不利 益 を被 らない よ うに一定 の義務 等 につ いて定 めて い る。 なお、本 年3月 に公正 取 引委 員 会 も同法 の改正 を踏 まえて 「役務 の委 託取 引 にお ける優越 的地 位 の濫 用 に関 す る独 占禁止 法上 の指 針」 を改訂 した。取 引上優 越 的地 位 にあ る 者 が 当該 地位 を利用 して コンテ ン ツ等 の情報 成果 物 に係 る権 利等 の一 方 的扱 い につ いて規制 す る とい う独 占禁 止法 上 の考 え方 をい っそ う明確 化 す る趣 旨で あ る。 もっ と も、 当該規 制 に あた って は、 正 常 な商 慣 習 に照 らして個 別 具体 的 に 判 断 を行 う もので あ り、業 種別 に よ り画 一 的 に判 断 をす る こ とはない として い
48)
る。 また、 経済 産業 省 で は 「映像 コ ンテ ンッにかか る著 作権 の帰 属 に関 す る研 究 会」 で、 著作権 法第2条1項10号 の 「映画 製作者 」 の解釈 を明確化 す る こ と が放送 局 と制作 事業者 間 の契約 関係 に も資 す る とい う観 点 か ら レポー トを公 表
49)
して い る。 す な わ ち 、 原 始 的 な 著 作 権 者 とな る に は どの よ うな フ ァ ク ター を 満 た す 必 要 が あ るの か とい う問 題 で あ るが 、 著 作 物 成 立 の プ ロセ ス に お い て は様 々 な ケ ー ス が 考 え られ るの で基 本 的 に は私 的 自治 に よ り製 作 委 託 契 約 の 内 容 を確 定 して い く方 が よ い と思 わ れ る。
そ して 、 冒頭 に も述 べ た よ うに本 年6月 に政 府 全 体 の コ ン テ ン ツ政 策 の基 本 方 針 を定 め た 「コ ン テ ン ッ促 進 法 」 が公 布 され た 。 内容 の 多 くは プ ロ グ ラム 規
定 で あ るが 、 い わ ゆ る コ ンテ ン ツ ・バ イ ドー ル条 項 とされ る25条 が 「国 の 委 託 等 に係 る コ ンテ ン ツ に係 る知 的 財 産 権 の 取 り扱 い 」 に つ い て 規 定 して お り画 期 的 で あ る 。 国 が 政 府 広 報 等 の製 作 を民 間 会 社 に 委 託 す る こ とが 多 い が 、 従 来 当 該 コ ン テ ン ツ の 著 作 権 は 国 に す べ て 譲 渡 させ る一 方 、 そ の使 用 は一 回 限 りで 後
は 活 用 さ れ な い ま ま死 蔵 され た 状 態 に な っ て い た 。 そ こで 、 か か る コ ン テ ン ツ の 有 効 利 用 を促 進 させ るた め 、 一 定 の場 合 に受 託 者 等 か ら譲 り受 け な い と した
著作権 による資金調達 をめぐる最近の動向
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もの で あ る。 これ に よ っ て 、 民 間 の 事 業 活 動 の 活 性 化 を 図 ろ う とす る趣 旨で あ る。
以 上 の よ うな 法 律 の 改 正 お よ び成 立 を み る と、 潜 在 的 な 国 際 競 争 力 を もっ と み な され て い る映 像 ・音 楽 等 の コ ン テ ン ツ事 業 を 重 視 して い る こ とは 明 瞭 で あ る。 著 作 権 に か か るデ ジ タル ・コ ン テ ン ツ の保 護 、 活 用 を促 進 す るた め 法 整 備 を行 う と と も に、 当 該 業 界 の 取 引行 為 に み られ る障 害 を規 制 して 周 辺 の 環 境 づ
く りに つ い て も法 整 備 が は じ ま っ て い る。
な お、 本 年 、 中小 ベ ンチ ャ ー企 業 や 事 業 再 生 に取 り組 む企 業 の 受 け皿 と して 、
「投資 事業有 限責任組 合契約 に関す る法律 」が改 正され、同法3条1項6号 に よっ て投資 事業 有 限責任 組合 が 中小 企業 の ほか 、法 人 お よび個 人 の もつ知 的財産 権 を保 有 し、 利用 許諾 を行 う こ とが で きる よ うにな った。 したが っ て、 同組合 は 知 的財産 権 の資 金調 達 にお け るビー クル として利用 可 能 で あ り、信 託 ス キー ム と連 動 させ て信 託 受益権 の機 能 を活用 す る方途 とその問題 点 につ いて模 索 され
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て い る と こ ろ で あ る。
5.結 び に か え て
本 稿 は、著 作 権 に よ る資 金調 達 に着 目 し、従来 の著作 権 担保 か ら著 作権 の証 券化 ・流 動化 、 そ して著 作権 の信 託 に至 る動 向 を傭 鰍 して、現段 階 に お け る こ れ らの法 的 問題 の状 況 につ い て概 観 して きた。知 的財産 戦 略本 部 お よび担 当官 庁(さ らに その委託機 関)の 主 導 に よ り、知 的財 産 法制 は も とよ りそ の周辺 の 法律 が次 々 と改正 され、 あ るい は立 法 され る こ とに よって法 基盤 の整備 が着 々 とな され て い る。 ところで、 知 的財産 権 に よ る資 金 調達 にかか る問題 は著 作権 だ け に焦 点 を あて て もなお尽 くしきれ ない ほ どの問題 点 が み られ た。 そ こで 、 本 稿 で は主 に映画 ・音楽 コンテ ンツ ビジネ ス を念 頭 に置 い て流動 化 ・証 券 化 の
問題 、 そ して、 その文脈 上 に位 置づ け られ る信 託 法制 にか か る法 的 問題 点(と これ に付 随 す る若 干 の実務 上 の問題)へ さ らに しぼ っ て本 稿 を進 めて きた次 第 で あ るが 、著 作権 の内容 か ら知 的財産権 全 体 の説 明 に及 ん で い る箇所 もあ るな ど、一 部錯 綜 して分 か りづ らい ところ もあ る とお もわれ る。 その点 につ いて は 大 方 の批判 をい ただ きた い。
著作権 の流動化 ・証 券化 の文脈 上 にあ る信 託活用 につ いて は、継続審議 とな っ た信 託業 法 改正 案 の成 立 とこれ に付随 した政省令 の 内容 が確 定 しな い と明確 な 議論 はで きないが 、信 託 ス キー ム には4‑2に おい て説 明 した よ うに一 定 の有 効性 を もつ こ とが 認 め られ る。 す なわ ち、 信託 は私 的 自治 に基 づ い て設 定 され る任 意 的法 制度 で あ り、一 定 の信 認 関係 を基礎 に 「他者 の ため の財 産管 理 」機 能 を もつ もので あ るが、 その反 面 にお いて受益 者 の保護 を図 るため一 定 の裁判 所 の関 与 も認 め るな ど、他 の諸制 度 に くらべ て フ レキシ ブルな構 造 を有 して い る。信 託 は欧 米 にお いて古 い歴史 を もって お り、 著 作権 管 理 団体 につ いて も発 達 して い る。 これ らの 内容 につ い て紹介 し、 わ が国 の制度 との比較 検 討 を お こ な う とい う作 業 は非 常 に有意 義 で あ るが 、本稿 で は紙 幅 の関係 で これ を割 愛 し た。 わが 国 にお け る今 後 の著 作権 信 託 の進 捗 状況 と欧米 の管 理 団体 との比 較 に つ いて は、本 稿 にお け る検討 をふ まえて次稿 に譲 る こ とに した い。
注