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授業評価と結びつけた大学における遠隔授業実践研 究

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

授業評価と結びつけた大学における遠隔授業実践研

著者 小柳 和喜雄, 藤原 公昭, 柳沢 保徳, 小野 桂市, 

加藤 久雄

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 8

ページ 173‑181

発行年 1999‑03‑31

その他のタイトル A Practical Study on Distance Education Based on Evaluation of Lecture by Students in

Univeristy

URL http://hdl.handle.net/10105/4244

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授業評価と結びつけた大学における遠隔授業実践研究

小柳和善雄・藤原 公昭(教育実践研究指導センター) ・柳沢 保徳(理科教室) 小野 桂市(保健体育教室) ・加藤 久雄(国語教室)

A Practical Study on Distance Education

Based on Evaluation of Lecture by Students in Univeristy

Wakio OYANAGI, Kimiaki FUJIWARA, Yasunon YANAGISAWA, Keuchi ONO, Hisao KATO

(Nara University of Education)

要旨:本報告は、昨年度から進めているセンタープロジェクト「大学における遠隔授業実践研究」

の継続研究に位置する。教室での講義(オフラインの授業)に加えて、オンラインでの大学の授 業を並列実践していく際、どのような相補可能性があり、課題があるのかを継続的に明らかにし ていこうとしている。これまでのオフラインの授業内容・方法を、ただオンラインで行うという のではなく、教育内容の豊かな習得のためには、学生のニーズ、授業評価の反映された教育内容・

方法改善の試みが必要である。本報告は、インターネットを活用したオフライン・オンラインの 両授業が、このような学生の評価を即時的に反映できる可能性をもつことを報告している。

辛lワ‑ド:大学教育、授業評価、ネットワ‑ク 1.先行研究の概要と本研究報告の位置

大学におけるネットワーク(図書館などでのビデオ利用、インターネット、衛星通信など)を 用いた遠隔授業実践は、その内容、スケール、教育方法、単位認定の手続きなどの違いにより多 様な形態が見られる。あえて大きくまとめるなら2つに分かれる1㌦

1つは、あくまで大学教育の時間割に準拠し、受講する場所にバリエーションを持たせている ものがある。手短に言えば、大学における教育方法改善としてネットワークを活用するものであ る。例えば、 1)学外の学生が、インターネットを用いて開講されている科目を履修できるよう 工夫したもの、 2)学内の学生や教員が、離れた場所からでもコミュニケーションできるように 工夫したもの、 3)学内の学生が、教材をオンラインで利用できるようにしたものなどがある2)。

もう1つば、遠隔授業で学習する学生を想定し、そのために特別な内容・方法を用意し、提供 するものである。言いかえるならば、オープンユニバーシティ、放送大学モデルである。通常、

大学に通っている学生が受講する講義の時間割、教育方法とは別のシステムを構築する点で上記 のものとは異なる.例えば、インターネット上に自己学習教材や学習記録が残せる仕組みを用意 したり、衛星放送や貸し出しビデオによる講義、そして講義に関連する家庭でできる実験キット などを用意したり、質問や論議を行うために、電子メ‑ルや電子掲示板、電子会議室、テレビ電 話によるコミュニケーンの機会が提供されるなどである。

整理するなら、両者は、どんなところからでも授業が受講できること、学生と教員が親密なコ

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ミュニケーションを通して、授業内容を豊かにしていくことを目指している点が共通している。

しかし両者はそのねらいにおいて差異がある。一方は、現在ある大学教育のシステム(とくに カリキュラム遂行)をより有効にしていくためにネットワークを活用しようとし、もう一方は、

大学教育の質を維持しつつも、それを望む人に広く、柔軟に受講の機会を提供しようとしている。

本研究は、その位置づけからすれば前者の遠隔授業実践研究にある。つまりそれは、既存の大 学のカリキュラムの遂行を効果的に充実させていくためにネットワークの活用を考えているO

ただし、これは、授業の構想・展開がいっも教員にのみあることを意味していない。これは、

学生の授業評価、ニーズを受けて、授業の内容や展開も絶えず変えられる教育方法の改善を意味 している.大学の教員が、いくらネットワークを使ったり、オンライン授業を行っても、自分自 身が学生の授業評価やニーズを受けとめ、授業を振り返り、改善を試みる方向‑変わらなければ 意味がない。そのため、本報告は、インターネットを活用したオフライン・オンラインの両授業 が、このような学生の評価、ニーズを即時的に反映できる可能性をどのようにもてるか、本年度 進めてきた事例研究を中心に今後の展望を述べるものである。

(小柳 和善雄) 2.大学の授業を学生評価と結びつけるために、どのようなネットワークの活用法があるか

2.1.授業時間外での教育活動

過1コマという断続的な授業時間の制約の中で、持続的な課題を追求するためには、授業時間 以外の時間を有効に活用する必要がある。インターネットでの各種のアブ.)ケーションは、この 授業時間外での教育活動を支える有効なツールとなりうる。

詳細な授業内容の提示はWWWで行い、常に閲覧可能とすることで、授業時間ではポイント を絞った解説と、個人別の指導に当たることができ、 www上のシラバスは常時更新可能であ る点で、紙媒体を越えた物(Hyper‑Text)である。また電子メールを利用する事で、授業時間 外においても、恒常的に双方向のコミュニケーションが確保される。教員からは、随時、補足の 説明や指示事項を伝えることが可能であり、学生側からは、質問・課題提出が、時間・場所の制 約なしに行える。さらに、電子メールはマシンリーダブル(Machine‑Readable)なデータを運 ぶことから、提出課題やデータをさらに、情報処理の対象とするという、従来にはない展開が可 能となっている。

また、 BBS (BulletinBoardSystem :掲示板システム)は、授業参加者間での議論・意見交 換を授業時間外においても持続させるツールとして有効であるo ここでは、本学でこれらのツー ルがどのように利用可能であるかを、解説する。

2.2.メーリングリスト

授業参加者全員のメーリングリストを用意することで、一個のアドレスで全員‑のメールの送 信が可能となる。 UNIX環境で、メーリングリストを利用するためには、

1)専用のメーリングリスト管理ソフトウェア、を用いるか、

2)別名(Alias)ファイルの機能を利用するか、

のいずれかとなる。

専用のメーリングリスト管理ソフトウェアには、 Majordomo (メイジャードーモー: 「執事」

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授業評価と結びつけた大学における遠隔事業実践研究

の意)なるフリーソウトウエアがあり、もっとも広く利用されている。本学でも、 Majordomo を利用して、 naralocalというメーリングリストを運用している Maiordomoでは、メンバー への入退会が自動化されており、加入希望者は所定のアドレスにsubscribeと記したメールを送 付するだけでよい。退会は、同様にunsubscribeと記したメールを送付することで行われる。

また、メーリングリスト上で配布されたメールの通番管理が行われ、過去のメールの再配布を 受けることも可能となっている。本学では利用していない機能ではあるが、 Moderator (調停者)

を指定し、その許可を得ていないメールは、配布対象としない、とすることも可能ではある。

このようにMajordomoは多機能ではあるが、初期の立ち上げにシステム管理者権限が必要で あり、日常的な運用管理においても、ある程度のUNIXのスキルが必要であり、個々の教員の 管理とするには負担が大きい。授業受講者(と教員)を対象としたメーリングリストであれば、

履修登録時にメンバーは確定しており、途中での入退会を自動化するメリットはない。また、ター ムの終了後は全メンバーの消去あるいは交代が、容易にできることが必要である。このような、

目的には、 UNIXでのメール配送システムにすでに組み込まれているAlias (ェイリアス:別名) 機能を利用することが適している。 UNIXのAliasファイルにおいて、 [Mailing List名] : include: [教員ホームディレクトリ] / [メンバーファイル]なる設定を行うことで、 [メンバ‑

ファイル]に記されたメールアドレスを対象とした[MailingList名]が作られる。このAlias ファイルへの設定自体はシステム管理者権限が必要であるが、いったん設定が行われれば、個々 の教員は、自分のホームディレクトリにある[メンバーファイル]を自由に編集し、メンバーの 追加・削除を行うことが出来る。例えば、藤原の「システム工学II」では、 Aliasファイルで sys2: :include:/users/fujiwara/sys2‑1998.datと設定し、 sys2というメーリングリストを定 義するO メンバーのメールアドレスはfujiwaraのホームディレクトリ/users/fujiwaraに置

かれたsys2‑1998.datなるファイル(名称は自由)であり、その内容は [email protected]‑edu.ac.jp,

[email protected]‑edu.ac.jp,

・ ・略・ ・

fujiwara@nara‑edu.ac.ip

の様に、受講者と教員を含むMailAddressのリストである(最終行を除き、行末にカンマが必 要)。

受講者の数が多い場合、事務電算機の受講登録者ファイル出力をフロッピーまたは磁気テープ で入手し、エディターで編集することが望ましいが、この作業を支援するツールや事務管理セク

ションとの連携の体制作りが課題である。

2.3. BBS

Minibbsという名称の、簡易なBBSがFreeSoftwareとして流布している(WWWのサーチ エンジンで探し出すことができる)。

これは、 Perl言語を用いたCGI (CommonGatewayInterface)ソフトウェアであり、使用 環境に合わせて若干の編集作業を行うだけで、容易にBBSを立ち上げることができる。しかし

ながら、 CGIソフトウェアは時として、セキュリティ上の穴(Hole:弱点)となるおそれがあ り、 Mailsrv、 Studentなどの本学の正規のMailサーバー上では、個々の教員に利用を開放で きない。従って、 BBSを利用する教官は、 Libra、 Virgoなどの補助サーバー上にアカウント登

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録を行う必要がある。

BBSを用いた、授業時間外でのアクティビティの実例については、小柳の項を参照されたい。

(藤原 公昭) 3.実践事例報告およびその展望

3.1. WWWによる情報提供と電子掲示板を使った「教育方法及び技術」の試み 一授業評価に基づく学生参加型の授業を目指して‑

3.1.1.昨年度からの経過

昨年度は、 「教育の方法および技術」の1科目として開設している「教育技術学演習」で、講 義で学んだ内容が、絶えず振り返ることができ、現在の自分の課題に関連づけれるように情報の 共有を受講者全員ではかれることを目指した。そのために各グループが、講義で出された課題に 即して、調べた内容そして教室で実際に発表したときの質疑応答などをWWWに公開し、情報 の共有をはかる試みを行った。そして講義内容が一過性に終わらないために何が必要となるか、

どれだけの教育効果を持っか、何が課題となるかを見ようとした3)0 3.1.2.本年度の試みの概要

本年度は、情報の掲載と共有が、読み手にとって過去の情報の理解に収束してしまい、その場 その場のダイナミックなコミュニケーションや情報の響き合った共有となりにくい現状を課題と

して設定し、授業実践に取り組んだ。

その際、講義で問題としていることやそれに関する情報を共有する意味から、講義の内容は従 来通りレジメ形式でWWWに掲載し(PowerPointで作成‥‥ 講義で活用したものをほぼその まま掲載)、個人的な質問は電子メールで受け付けるというスタイルを昨年から引き継いだ。し かし、ダイナミックなコミュニケーションを誘発し、響きあった情報の共有を目指すために、今 回、新しく電子掲示板を講義で活用することを試みた(上記、 「2.3. BBS」 (藤原)を参照)0

掲示板の活用は次のように行った。小柳がまず教室での講義で、資料を提供・説明しながら疑 問点や問題点を投げかける。それに対して、次週の講義の時間までに、受講生全員(94名)が電 子掲示板に調べた内容や感想、気づきなどを投稿する。小柳は、それを参照しながら、投げかけ

られた問題と各コメントの関連、位置、意味づけを模索する。コメントから抽出される共通点と 差異の部分を整理しながら、教室での講義でそれを公表し、教室で問題について論議する。もち ろん、教室外でのネットワークの活用だけでなく、掲載されているコメントを授業中にインター ネットより引き出し、プロジェクタ‑の大画面に写す。そしてコメントを書いた本人に、追加の コメントや理由などを述べてもらう。また質問が出たり、根拠付けに必要な場合、関連する情報 をWWWから引き出したりしたする教室授業内でのネットワークの活用も行った。

このように、講義の前に自分の考えをみんなの前に公表した上で、授業に参加してくる、そし てそれをもとに問題となっていることを論議し、課題解決を目指すスタイルを実践してみた。

(http : //virgo.nara‑edu. ac.jp/‑oyanagi/cgi‑bin/minibbs.cgi)

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授業評価と結びつけた大学における遠隔事業実践研究

3.1.3.結果

学生が講義の内容に対してどのように理解し自分なりに考えているか、他の学生が言っている ことをどのように受けとめているか、潜在的に存在する講義に対する意見や態度が、掲示板に記 述されている文章内容や文体から様々に分析できた。

1)次第に書き方が変化してくる。

はじめの頃、似たような文体での投稿が多かった(自分にとって模範となる文章の模倣)。そ れが、次第に拡散していき、論理的に展開していこうとするもの、自分史を織り交ぜて語るもの、

他の情報を引用して語るもの、友達の意見を受けてそれに対するコメントを書いていこうとする もの(掲示板での論議)などが出始めた。また最初の頃、 1、 2行の文章で終わる投稿もあった が次第に少なくなり、かなり周りとの関係を意識した文章が出てきた。

2)教室での授業と掲示板がかなり相補的な関係になってくる。

学生は、教室での授業でいえなかったこと、自分の立場を掲示板を使って表明するようになっ た。そして教室での論議よりも過激なもの、洗練されたもの、教員や受講者への関連情報提供な どが投稿されるようになってきた。また、それを教室の授業で取り上げると相乗効果で、掲示板

も教室での論議も少しずっだが豊かになっていった。

3)掲示板に投稿するからと言って講義に積極的に参加するとは限らない。

以上のように述べると、掲示板の利用は非常に教育的可能性をもつように聞こえる。しかし必 ずしもダイナミックな授業展開、講義内容への興味から学生の積極的参加が増えてきたとはいえ ない面もある。掲示板は記録が残るため、成績評価に敏感な学生の配慮から投稿が促進されてい るという構図もある。投稿はかなりあっても講義への出席はいつも8割くらいであることがそれ を物語っている。授業改善のためのさらなる検討と工夫が必要である0

以上のように、学生の授業評価やニーズが即時に反映されやすく、ダイナミックな情報の共有 やコミュニケーションを目指すべく、掲示板を用いた。ある程度、最初の試みとして活用の可能 性は見えてきたが、同時に授業内容が揺れすぎる、評価方法が不明確など課題も見えてきた。オ ンラインでの学生の様子(掲示板の文章の横断的・縦断的)分析、オフラインでの授業の進め方、

評価方法の仕方などを明確にしていく研究を進めていく必要性が見えてきた。

(小柳 和善雄) 3.2. WWW教材および電子メールアンケートを用いた授業改善の試み

3.2.1.はじめに

前回の電子メール利用による授業改善の試みを継続・発展させ、教室における授業とともに授 業の予習・復習(授業外学習の支援)及び授業内容の改善に役立てる目的で、授業毎に電子メー ルを活用したアンケート調査を試行的に実施した。

3.2.2.方法

前年度に引き続き、一回生後期受講科目「ェネルギ‑科学II」 (科学情報コース物質科学専修 必修科目)の受講生のメーリングリストを作成した4)。登録学生は30名、その内必修科目として 履修する学生は18名である。電子メールの利用については、受講生のほとんどは一回生前期授業 科目「情報と社会」等で既に学んでいる。

(7)

授業の概要は、本学ホームページ授業計画欄に掲載した。授業は、 OHP資料を中心に進めて おり、受講生には、 OHP資料(1コマあたり平均6枚)の生コピーを授業開始時に配布した。

アンケ‑卜項目には、他大学で実施された授業評価に関するアンケートを参考にして、授業内 容への質問を含めて以下のような項目を取り上げた。

【Ql.今E]の授業に出席しましたか?、 Q2.どのくらい熱心に授業に取り組みましたか?

(回答例:熱心でなかった‑1‑2‑3‑4‑5‑熱心だった)、 Q3.授業の復習にどのくらい の時間を費やしましたか?、 Q4.この授業でわかりにくかった点、不明な点がありましたか?、

Q5.授業の内容に対して興味がもてましたか?、 Q6.授業内容の難易度は、適切ですか?、

Q7.配布した資料は、わかりやすいですか?、 Q8.理論の説明や概念は、わかりやすかった ですか?】

Ql、 Q4を除く質問には、 5段階の中から数値で回答させ、 Q4については授業内容に関す る具体的な質問を回答させた。質問Q lでは、欠席した場合にはその理由を記入させた。

3.2.3.経過と今後の課題

毎授業に対応して7回のアンケートを行い、延べ33件の回答を得たO後期終了時点で講義全般 にわたるアンケートを実施する予定であるO データ件数が十分ではないが、中間集計結果を以下 に示す。値5が最適値、値3が中間値である。

授業への出席率(Q l)は次第に低下し50%以下であった。受講生の中に高校理科の中で物哩 末履修者が多く含まれることが最大の理由と考えられる。受講登録時の学生の意欲を生かすため にも、今後、高校での理科教育の内容との接続について教官側で十分配慮する必要がある。

・学生の授業への取り組み姿勢(Q2)について、平均値は3.0±1.3であった。

・授業内容に興味が持てたか(Q3)については、平均値は3.4±0.8であった。

・授業の難易度(Q6)については、平均値は3.1±1.0であった。

・配布資料のわかりやすさ(Q7)については、平均値は3.4±0.7であった。

・概念のわかりやすさ(Q8)について、平均値は3.2±1.1であった。

授業の復習に要する時間(Q3)では、調査回数とともに時間が増加し、配布したプリントに 目を通すことや、レポート課題への対応など、着実に授業外学習を進めていることがうかがえた。

授業の進め方についての項目では、予習のためにプリント事前配布の希望があった。これに対 応してwww利用教材として本学ホームページ「授業計画」欄の当該ページにPDFファイル 形式で掲載した。 (しかし、現時点では学内LAN上の学生用クライアント機では日本語Acrobat Readerがインストールされていないため、必ずしも希望には沿えていない。)

授業の活性化のためには教室内での質疑応答が望ましいことは当然であるが、今回、メールに よる授業内容への質問(Q4)を行った。 「熱エネルギー」分野での概念把握の難しさから、 「カ ルノーサイクル」、 「エントロピー」等について質問や具体的な授業改善(板書、テキスト使用等)

‑の提案も寄せられた。これらの質問・指摘については、メーリングリストを通して全員に回答 した。

今回の授業アンケートの試行の結果、必ずしも双方向的とはいえないものの、継続的な回答に よって学生の授業に対する姿勢を自覚させることができた。今後、試験結果との関連を整理する ことによって、授業内容・展開の問題点が明らかとなり授業改善の具体化が進むものと期待され

る。

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授業評価と結びつけた大学における遠隔事業実践研究

今後の検討課題として、メールによるアンケート回収に替えて授業計画のページにフォーム形 式によるアンケート調査項目を掲載すること、授業に関する質問を受講生問で相互に出し合って 解決するための「電子掲示板」の開設などがあげられる。

(柳沢 保徳)

3.3.日本語学分野における実践事例報告

教師のための日本語情報処理(教養科目)や、国語学演習(教科専門科目)などの授業におい て、電子メールによる課題提出を行っている。前者では、電子メールの操作を習得することも授 業内容に含めているので、電子メ‑ルによる提出しか認めない場合もある。電子メールによる課 題提出の利点は、 「提出確認の確実性」 「印刷による読みやすさ」 「整理・保存のしやすさ」、提出

する側からは「提出時間や場所の自由性」などがあげられるが、これらは、おおむね形式的な利 点で、便利さから言えば程度の問題である。しかし、電子メ‑ル活用による課題提出は、そのマ

シンリーダブル性による、教育の本質の差異化につながる可能性があると思われる。

手書きのままでは電子メ‑ルすることができないため、電子メールによる提出は提出内容のテ キスト入力が前提となる。従って、提出者は提出内容をテキスト入力することをまず行うことに なる。テキスト入力は、単なる清書・印刷の作業ではなく、実は、提出内容をマシンリーダブル な形式に変換する作業である。このマシンリーダブルなコード上での提出内容の作成作業は、提 出内容を自らが推敵するうえで、最良の環境を提供する。マシンリーダブルになっている(なっ ていく)ことによって、例えば、 5回書き直すならばその5種類の古いバージョンを残しておく ことも可能であるし、 1回1回の書き直しを前のバージョンからの修正で行うこともできる。章 立ての変更、文章構成の変更、また、それを試しにいろいろやってみることなどの自由性と快適 性は、マシンリーダブルの環境無しには到底得ることができない。電子メールするために始まっ た提出内容のテキスト化は、提出内容の高度な推敵作業につながるわけである。その結果、提出 内容は手書きの作業による場合よりも、推敵を経たものとなり、自ずとその内容も良いものとなっ ていく。

また、テキスト化(推敵)の過程に、電子メールが活用されることになるのも必然で、推敵の 段階で電子メールによる相談、質問などが自然と寄せられることになる。そこには、自ら問題解 決に取り組む学ぶ姿勢を見ることができる。例えば、以下のようなメールがその代表例である。

おはようございます **I I****です。明E]の中間報告会のレジュメができました。

テキスト(ファイル添付にて)を送りますので、また、ご指導お撤い致します0 12/03からの変更点:

1.節の立てかたを統一しました。 「考察の進め方」で、国立国語研究所の「副詞の意味と 用法」にしたがって最初に分ける、としたので、それにあわせて節をつくりました。

2.検索作品数・用例数を載せました。 ‑)用例数については、昨日送ったものより、数が 減っています。考察の段階で考察対象から外れたものがあったからです。

それから、明日ですが、いっお伺いすればご都合がよろしいでしょうか?お知らせ下さい。

お願いします. ‑このメールにはファイルが添付されています‑

この例からもわかるように、提出や発表の事前に指導が受けられること。指導する側からは、

当日の発表に対する指導の準備ができることは、授業の質の向上に威力を発揮する。演習等で、

当日の発表者が、発表にならないほどできていないことも避けられる。発表者は発表前に、それ

(9)

を自ら回避するための学習について指導を受けることができる。発表内容の電子メール提出は、

テキスト化を前提とさせ、その過程で推敵を活発にさせ、さらに、その段階での電子メールの活 用につながるという一種の循環回路は、学習と教育という両面において有効な方法であることは 明らかである。電子メールを使わず手書き作業でも行えないことではないという考え方を否定は できないが、遠隔授業(時(時刻・所要時間)と場所(所・距離)を選ばない)という観点から は、電子メール活用の優位は否めない.また、 「距離」の観点からは、学ぶ側と教える側とのコ ミュニケーション上の距離が電子メールの活用によって相互に縮まっていることも見逃せない事 実である。

(加藤 久雄) 3.4.保健体育分野(体育A・B)における遠隔授業実践計画

3.4.1.日 的

教員養成学部学生のインターネットのニーズの高まりは「教育情報論」 「教育メディア」等が 受講希望者多数で抽選で落ちたとき筆者の講義を登録するとの申し出が毎年あることからも首肯 される。学生の当該能力を日常的に活用することが重要かっ習熟の最良の方法であろう。体育分 野(体育A・B各前半)でも、インターネットに取り組もうと計画した5)。それは平成10年度学 生の一人(小学校課程2回生)の批判に応えることにもなる.日く「  。これで私たちは

"小野桂先生の体育に対する考え〝を学んだと言えるのだろうか。結局、私たちは自分たちの体 育に対する考えを(自分の中では)深めたとはいえ、先生の体育に対する考えとの比較、共感、

批判をせずして自己完結に終わってはいないだろうか。このレポートにしてもそれはあてはまる。

同じ班の人たちのレポ‑トは一切見ていないし、見ていない以上、比較、共感、批判もしていな い。自分ではこのレポートは自分のオリジナルだと信じていても、全体から見るとその他大勢の 中の一つである可能性も大きい。  。」と提出させたレポートの中で鋭く批判している。

3.4.2.概 要

前半(小野桂市)と後芋(木村教授担当ダンス等/概要略)に分けて担当する。

前半は、小学校教諭が体育を指導するときに必要である最小限の内容(教採で課されることの 多い、鉄棒・マット・跳び箱)をモデルに取り上げる。学生自身が模擬の教諭および小学校児童

となり模擬授業を展開する。小学校体育に対する自己の情熱と力量を他人のそれにぶつけたとき、

どのような反応が生じるか、教員養成学部学生としての力量が問われるものとなる。

3.4.3.授業計画

O i‑H CV3 CO *=f LO cD

シラバスは閲覧可能である。 (アンダーラインはネットワーク使用等、以下同じ) 参考文献は「教育実習の手引き」である。随時、同手引きの内容を確認する。

可能な限り多様な専攻の学生で構成する均質集団を小野桂が4 ‑ 5班作成する。

班毎に次週以降の各人の役割担当を決定する。教員役を一度は担当する。

教員役担当者が模擬授業指導案を作成。小野桂に提出してチェック修整提案を受ける。

OKとなった模擬授業指導案を所属班員全員にメールする。

教員役が模擬授業を実際に展開する。担当でない者は児童役で受講する。

(10)

授業評価と結びつけた大学における遠隔事業実践研究

児童役は模擬授業後に批判・助言等を担当者および小野桂にメールでおくる。

教員役は受信した批判等および自己反省に基づき、改良指導案を作成する。

当該指導案および体育についてのタームレポートをネットワーク上の掲示板に張付け、他 の受講学生と小野桂に供覧する。小野桂は批評を個人的に伝え、掲示板にも張付ける。

10.班全員分を印刷して、製本して班員の署名等を受け、保持する。 (ll)以降は将来の目標。

(ll)掲示板は本学の保健体育科教員や他教科の教員の閲覧にも供し、批評を受ける。

(12)小野桂はホームページを開いて、他大学の保健体育教員等にも供覧する。

(13)学生は他大学のホームページに入って、同様の掲示板を探索するo (14)他教員養成学部・大学等との交流を教員・学生を問わず開始する。

(15)次年度学生のために、閲覧を工夫する。 (小野 桂市) 4.まとめ

学生の授業評価と連動した講義の模索は、これまでも自己点検評価活動の中で試みられてきた。

本研究報告は、そこで兄いだされてきた困難さを、ネットワークの即時応答性、情報の共有と公 開性を活用することで、克服できないかと模索してきた。それが同時にオフライン授業とオンラ イン授業の有効な連携実践の可能性を探ることにつながると考えたからである。この研究報告は 上述のようにまだ始まったばかりであり、試行や展望の域をまだ出ていない。そうであるが幾ら か可能性は見えてきた。大学の授業内容の質を維持し、それでいて学生と共に授業を創っていく という困難な課題を越えて行くには、何が求められるのか。さらに継続的に検討していきたい。

<註および参考文献>

1 ) Thomas PっCarswell L., Price B. and Peter M. (1998) A holistic approachtosupporting distance learning using Internet:transformation, not translation. BJET, Vol.29 No.2.

pp.149‑161.

2)妹尾ほか「メディアを活用したプロジェクト型学習環境の構築と運用:慶慮SFC 「社会調査

法の試み」」コンピュータ&コミュニケーション、 Vol.4 pp.64‑74.

3)小柳・藤原・菊池・柳沢(1998) 「大学における遠隔教育実践研究」教育実践研究指導セン ター研究紀要No.7 pp.209‑228.参照。

4)小柳ら、前掲書参照。

5)佐久間春夫は「コーチング・クリニック」において体育・スポーツ分野におけるインターネッ ト使用を紹介しつつ実践例を報告しており、よい参考となる。

佐久間春夫「連載・コーチのためのスポーツ情報処理」コーチング・クリニック、 Vol.9 No.5ベースボールマガジン社、 1995‑現在継続中。

参照

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