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硫黄及びヨウ素を用いる含フッ素化合物の合成

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Academic year: 2021

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名古屋工業大学学術機関リポジトリ Nagoya Institute of Technology Repository

硫黄及びヨウ素を用いる含フッ素化合物の合成

著者 松崎 浩平

学位名 博士(ナノメディシン科学)

学位授与番号 13903甲第1097号 学位授与年月日 2017‑03‑23

URL http://id.nii.ac.jp/1476/00006026/

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学位の種類 学位記番号

学位授与の日付 学位授与の条件 学位論文題目

マツザキ コウヘイ

松崎 浩平

博士(ナノメディシン科学)

博第1097号 平成29年3月23日

学位規則第4条第1項該当 課程博士

硫黄及びヨウ素を用いる含フッ素化合物の合成

(Synthesis of Fluorinated Co{羽poul玉ds usiI]g Sulfur and Iodine)

論文審査委員 主査 教授

教授 教授

山下 啓司 柴田 哲男 林 秀敏

(名古屋市立大学)

論文内容の要旨

含フッ素有機化合物は機水擬油性の高分子材料から低分子医薬品など,我々の身の回りの機能 性製品の一端を担っている。これらのフッ素化合物に見られる機能は,フッ素原子の電気陰性 度は全原子中で最大であるという性質と,フッ素の原子半径が水素の次に小さいという性質に 帰属できる。即ち,これらの性質が軸となり,強固なC−F結合を形成して分子の熱的安定性が 拘上し,ひF結合の分極率の低さから分子間力が低下して脂溶性が相対的に向上するといった機 能が発現する。しかしながら,フッ索の電気陰性度が最大であるという性質は,溶媒和などに

よってフッ素アニオンの求核性の低下を招くと同時に,求電子的なフッ素カチオン等化体試薬 設計には強力な電子求引性置換基を要する。そこで,これまでにフッ素官能基導入試薬として DAST(D撤hylaminosul血r tri日uoride)などの含硫黄試薬もしくは, IF5などの含ヨウ素試薬が数多 く開発されてきた。硫黄原子とヨウ素原子がフッ素官能基導入試薬に好まれて用いられる理由 として,化合物が比較的安価で入手可能であると共に,この二原子が様々な酸化数をとること で結合数と電子密度の調整が可能であることが理由として挙げられる。本論文では,硫黄及び ヨウ素原子を駆使することによって達成されるフッ素化合物の合成を論じた。各章は次のよう にまとめられる。

 第1章では,当研究室によって独自に開発された求核的モノフルオロメチル化試薬(FBSM:

1−Fluoro−bis(phenylsulfbnyl)methane)を用いた,2一アリールインドール誘導体に対する不斉モノ フルオロメチル化反応を検討した。その結果,シンコナアルカロイド由来の相間移動触媒を用 いることでFBSMの付加体を高エナンチオ選択的に得ることに成功した。さらに得られたFBSM

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付加体に対して金属マグネシウムを用いた還元的脱スルホニル化反応することで,光学活性な モノフルオロメチルインドール類の合成を達成した。

 第2章では,超原子価ヨウ素化合物であるジアリールヨードニウム塩を用いてペンタフルオ ロフェニル基を,炭素求核剤へ求電子的に導入する手法を開発した。ペンタフルオロフェニル 基を炭素求核剤に対して導入する場合,従来法では高価な遷移金属を用いる必要があり,金属 を用いない場合であっても求核剤によってペンタフルオロフェニル基への芳香族置換反応が過 剰に進行した副生成物の問題が懸念された。そこで,より穏和な条件でカップリング反応が可 能なジアリールヨードニウム塩に着目し,ジアリールヨードニウム塩型の新規求電子的ペンタ フルオロフェニル化試薬を合成し,β一ケトエステル類へのペンタフルオロフェニル化を達成し た。さらに得られたペンタフルオロフェニル化合物を用いて,不斉アルキル化反応を行うこと で,光学活性なペンタフルオロフェニルケトン類への誘導にも成功した。

 第3章では,ペンタフルオロスルファニル(SF5)基を有するアレーン類の効率的合成を目指 し,超原子価ヨウ素試薬であるジアリールヨードニウム塩構造を有した求電子的SF,アリール化 試薬を開発した。SF5基は硫黄上にフッ素原子を5つもち,医農薬品に頻繁に見られるトリフル オロメチル(CF3)基と同様に高脂溶性・電子求引性の性質を示す含フッ素官能基である一方,

SF5基の化合物への導入法は限られている。本試薬は穏和な条件にて,炭素・酸素・窒素・硫黄 求核剤と良好な反応性を示すことが明らかとなり,種々の新規SF,アリール化合物の合成を達成

した。また,本試薬によって抗炎症作用をもつU允namateのCF3基をSF5基に置き換えた生理活 性物質様化合物の合成にも成功した。

 第4章では,含フソ素官能基であるトリフルオロエトキシ(CF3CH20)基によって修飾された サブフタロシアニンを光触媒として用い,赤色光を照射することでヨウ化トリフルオロメタン

(CF3Dの還元を伴う,オレフィン類への光ラジカル型のCF3化反応を開発した。本研究では,

サブフタロシアニン色素が比較的低エネルギーである赤色光照射下においても駆動する光触媒 であることが明らかとなった。一方で,興味深いことにRu(bpy)3錯体や e◎sin Yといった従来の 色素を用いた場合,赤色光を用いる本条件下では反応が進行しなかった。本研究はサブフタロ シアニン色素を有機合成化学的に光触媒として用いた初の例である。

 第5章では,フルオロビススルポニル骨格を有するヨウ素化合物を新規ハロゲン結合供与体と して設計・合成し,本ハロゲン結合供与体をLewis酸として用いることで向山アルドール反応 を始めとする種々の有機反応へ応用した。特に単結晶X線構造解析やNMR測定によって,本 化合物がハロゲン結合供与体として機能することを実験的に明らかにした。

第6章は,総括であり,本研究の成果をまとめた。

以上のように,本論文では硫黄・ヨウ素原子を用いた含フッ素化合物の合成についてまとめた。

これらは,3編の有審査論文(うち,第1著者3編)としてまとめられている。よって,本論文 は,学位論文として十分価値あるものと認められる。

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含フッ素有機化合物は嬢水擬油性の高分子材料から低分子医薬品など,我々の身の回りの機能性製品の 一端を担っており,含フッ素有機化合物の合成法の開発は重要である。本論文では,硫黄及びヨウ素.

子を駆使することによって達成されるフッ素化合物の合成を論じた。各章は次のようにまとめられる。

 第1章では,当研究室によって独自に開発された求核的モノフルオロメチル化試薬(FBSM

1−Fluoro・bis(phenylsulfbny1)methane)を用いた, 2一アリールインドール誘導体に対する不斉モノフ ルオロメチル化反応を検討した。その結果,シンコナアルカロイド由来の相間移動触媒を用いることで FBSMの付加体を高エナンチオ選択的に得ることに成功した。

 第2章では,超原子価ヨウ素化合物であるジアリールヨードニウム型の求電子的ペンタフルオロフェ ニル化試薬を開発し,本試薬を用いたβ・ケトエステルに対するペンタフルオロフェニル化反応を達成し た。さらに得られたペンタフルオロフェニル化合物を用いて,不斉アルキル化反応を行うことで,光 活性なペンタフルオロフェニルケトン類への誘導にも成功した。

 第3章では,ペンタフルオロスルファニル(SF5)基を有するアレーン類の効率的合成を目指し,超.

子価ヨウ素試薬であるジアリールヨードニウム塩構造を有した求電子的SF5アリール化試薬を開発し た。本試薬は穏和な条件にて,炭素・酸素・窒素・硫黄求核剤と良好な反応性を示すことが明らかとプ

り,種々の新規SF5アリール化合物の合成を達成した。

 第4章では,含フッ素官能基であるトリフルオロエトキシ(CF3CH20)基によって修飾されたサブフ タロシアニンを光触媒として用い,赤色光を照射することでヨウ化トリフルオロメタン(CF3Dの還  を伴う,オレフィン類への光ラジカル型のCF3化反応を開発した。本研究では,サブフタロシアニン 素が比較的低エネルギーである赤色光照射下においても駆動する光触媒であることが明らかとなった。

本研究はサブフタロシアニン色素を有機合成化学的に光触媒として用いた初の例である。

 第5章では,フルオロビススルポニル骨格を有するヨウ素化合物を新規ハロゲン結合供与体として謬 計・合成し,本ハロゲン結合供与体をLewis酸として用いることで向山アルドール反応を始めとする種々 の有機反応へ応用した。特に単結晶X線構造解析やNMR測定によって,本化合物がハロゲン結合供与亡

として機能することを実験的に明らかにした。

 第6章は,総括であり,本研究の成果をまとめた。

 以上のように,本論文では硫黄・ヨウ素原子を用いた含フッ素化合物の合成についてまとめた。

 これらは,3編の有審査論文(うち,第1著者3編)としてまとめられている。よって,本論文は,

位論文として十分価値あるものと認められる。

論文審査結果の要旨

参照

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