奈良教育大学学術リポジトリNEAR
自閉症児の応答性の指さし行動獲得過程における発 達連関
著者 田辺 正友, 田村 浩子
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 47
号 1
ページ 243‑251
発行年 1998‑11‑10
その他のタイトル Developmental Relations with the Acquisition of Answering Pointing Behavior in Autistic Children
URL http://hdl.handle.net/10105/1500
Bull. Nara Univ. Educ, Vol. 47, No. 1 (Cult. & Soc), 1998
自閉症児の応答性の指さし行動獲得過程における発達連関
田 辺 正 友・田 村 浩 子*
(奈良教育大学障害児教育教室) (平成10年4月20日受理) キーワ‑ド:応答性の指さし、発達連関、自閉症児
問題の所在
自閉症児の指さし行動の獲得の困難さを指摘した研究 報告は多く、自閉症児にあっては、指さし行動がみられ ない、あるいは、獲得が遅いということは、いずれの結 果にも共通している(星野ら、 1980;小泉ら、 1985;小
松、 1982a・1982b・1982c・1985; Lovelandら、 1986;
Mundyら、 1986;名和、 1979;山上、 1978)。 Mundy ら(1986)は、指さしなどの前言語的コミュニケーショ ンの有無が、自閉症児と健常児や精神遅滞児とを弁別す る最も大きな指標であることを明らかにしている。
筆者らも療育や教育相談活動で関わってきた自閉症児 の質的な発達変容の姿を跡づける作業を通して、対人的 共感関係が結びにくい自閉症児にあっては、指さし行動 はことば以上に獲得されにくい、また、指さしという行 動が相互的なコミュニケーションの発達に結びっきにく
いのではないかといった問題を指摘してきた(田村ら、
1993・1995;田辺ら、 1984)。筆者ら(田村ら、 1994) は、指さし行動を、離れた外界のさまざまな対象(距離 化‑「間接性」)からある特定の対象を選択抽出(「図の 地からの分離化」)して相手に指でさし示して伝え、共 に眺めようとする行動(「共有関係」、 「静観的認識」)と 位置づけているが、指さし行動といっても多くの研究者 がさまざまな形態・種類と機能を兄いだしており、一律 に論じ得ない問題がある。また、療育場面や検査場面に おいて、指さし行動が出現した場面や文脈を考慮に入れ ても、指さし行動の種類や機能(例えば、要求の指さし と定位の指さし)が混在していたり、指導者の働きかけ や解釈によって途中でその機能が変化することも多く、
客観的に分類することが容易でないといった問題がある。
そこで、本研究では、発達検査場面での応答性の指さ し行動の問題を中心に敢り上げ、応答性の指さし行動獲 得前後の諸機能・行動の発達連関を横断的および縦断的
資料によって分析するなかで、指さし行動接待における 発達機制についての検討を試みた。
方 法
対象児 筆者らが実施している療育教室および発 達・教育相談に通宝している自閉症児のうち、療育また は経過観察中に応答性の指さしを獲得した20名である。
その内訳は、表1に示した。なお、 I群は応答性の指さ し行動を5歳台までに獲得した児、 Ⅱ群は、 6歳以降に 接待した児である。すべての対象児は、 3歳までの幼児 期には、 DSM‑m‑Rの自閉性障害の診断基準を満たす 臨床症状・特徴を有していた。
分析資料 本研究では、各対象児の応答性の指さし行 動獲得前後の発達連関の検討を中心に行うが、分析資料
は以下によった。
1) 3か月から1年の間隔で随時実施してきた各対象児 の新版K式(以下、 K式)発達検査での通過項目。
2 )療育場面、発達診断・教育相談場面での行動観察記 録(筆者らの記述法による記録)およびVTR記録。
3)母親の記録または事情聴取による日常家庭場面での 生活の様子。
指さし行動獲得の評価方法 応答性の指さし行動の接 待の指標としては、 K式発達検査での「絵指示」 (例:
絵図版を呈示して「犬はどれ?」等)、 「身体各部」 (例:
「目はどれ?」等)の両項目を通過したとき、応答性の指 さしを獲得したと評価した。また、指さし行動と初期言 語獲得の継起的順序性を検討するために自発的指さし行 動(要求または定位の指さし)の獲得年齢を調査した。
自発的指さし行動は、子どもが自発的に自己の要求表現 として(欲しい物、行きたい方向) ‑要求の指さし、
あるいは、自己の興味・関心を相手と共有または知らせ るために‑定位の指さし、離れた対象を揺さLで伝
* 現在 本学非常勤講師
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田 辺 正 友・田 村 浩 子 表1 対象児N 0 性別 現 在 の 通 過 牛 齢
歴年齢 発達年 齢 「絵指示」
「身体各部」
「形 の弁別 n 8/ 10」
「大小 . 長短比較」
備 自発的指さし
要求・定位
考
初期言語獲得年齢
「語嚢3語」
A 男 1 0 : 3 9 ‥1 0 3 : 6 4 : 1 0 4 : 1 0
4 : 9
2 歳 後 半 0 : 1 0
n 男 7 : 4 3 : 7 4 : 0 5 ‥ 1 3 歳 中 頃 1 : 0
C 女 4 : 9 3 : 4 3 = 2 3 : 2 2 歳 中 頃 1 : 7
D 男 8 : 8 4 : 6 4 : 3 4 : l l 5 : 2
6 = 3
4 : 7
3 歳 前 半 0 : l l
K 女 7 : 1 3 ‥4 5 : 0 6 : 0 4 歳 後 半 4 : 0
F 女 1 8 : 4 6 : 2 5 : 7 8 : 1
5 : ・'
4 歳 前 半 1 : 6
G 男 4 : 0 2 ‥6 4 : 0 3 歳 前 半 1 : 0
H 男 5 : 6 2 = 4 4 = 8 3 歳 前 半 1 : 6
I 男 8 : 2 2 ‥3 5 : 6 6 : 5 4 歳 中 頃 4 ‥6
∫ 男 5 : 3 3 : 1 4 : 3 a : 3 3 歳 前 半 1 : 0
K 女 5 : l l 2 : 7 5 : 5 5 : l l 3 歳 前 半 1 : 5
L 女 5 : 2 3 : 6 3 = 5 3 : 9 1 歳 後 半 0 : l l
M 男 3 : 9 2 : 8 3 : 9 3 : 9 3 歳 前 半 2 ‥0
N 男 8 : 5 2 : 3 7 = 5
6 : 8
1 2 : 4
4 歳 中 頃 1 : 0
0 男 8 : 0 3 : 7 6 : 8 5 歳 後 〜 6 歳 前 6 ‥0
P 女 l l : 8 2 : 3 1 0 : 9 歳 〜 1 0 歳 1 : 0
Q 男 1 3 : 4 3 : l l 8 : 9 7 歳 後 半 8 = 0
R 女 1 2 ‥ 7 3 : 3 l l : 1 1 2 : 7 9 歳 前 半 2 ‥0
S < c 1 0 : 3 2 ‥9 9 ‥ 7 9 : 7 8 歳 中 頃 0 : l l
T 男 1 0 : 5 2 : 6 7 : 4 8 : l l 5 歳 前 半 1 : 5
群
oi C‑ O O <M IO
cs
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群
co ‑<# o t‑
言 肘
注)一不通過
達する指さしととらえ、そのいずれか一方が出賀した時 に自発的指さしを獲得したと評価した。要求・定位の指 さしの獲得についての資料収集は、療育場面(週1回1 時間半、または、月1回3時間)での直接観察と日常家 庭場面での母親の記録の両方を利用した。本研究では上 記理由から要求の指さしと定位の指さしを分類しないで 合わせて判断した。
結 果
1応答性の指さし行動獲得前と後の比較検討 応答性の指さし行動獲得前と後のK式発達検査項目 の通過率を、図1に示した。獲得前と後の通過人数につ いてカイ自乗検定がなされた。
まず、 K式発達検査における「絵指示」、 「身体各部」
の基準通過年齢は、両項目とも1:6‑1:9であるが、表 1に示したように、本研究での対象児の両項目の通過年 齢は、早い例で3歳台(A,C,L,M児)、最も遅い例は 11歳1か月(R児)であった。自閉症児にとって、応 答性の指さし行動の獲得は非常に困難な課題であること が確認される。 Lovelandら(1986)は、指さしなどに
よって大人との「joint attention」を成立させる能力は、
自閉症児の場合、二語発話水準の子どもでも容易でない と指摘している。
ここで、指さし行動と初期言語獲得の継起的順序性に ついて検討しておきたい。 I、 0、 Qの3名の対象児は 要求または定位の自発的指さし行動と初語の獲得年齢が ほぼ同時期であったが、他の17名の対象児が自発的指
長短比較 大小比鞭 Il m唱1.‑3 十字模写(例解) 十字模写(例後) 円模写 サUl#別Ta‑ io MMJ旧PKM 盲EaunsmE 蒙の秩倣
IKZ由3M>3
絵の名称11 5/6 絵の名称II 3/6 絵の名称1 5/6 絵の名称1 3/6 請い3藷 絵指示4/6 身体各部3/4 形の弁別I 3/ち 3個のコップ 2個のコップ 予期的追視 ハメ夜(回.全) 搬棋搬 横線模倣 麗rHM
0 1り 40 60 連鼻串(I)
* 詛 # *
*
*
*
*
*
*
*
80 〔D
注) **P<.01 *P<.05
図1応答性の指さし獲得前/後の「新版K式発達検査」項 目の通過状況
さし行動(要求の指さし行動と考えられるケースが圧倒 的多数であった)の獲得前に初語を表出している。しか し、 「語嚢3語」の獲得は、現段階では未獲得のN、 P、
T (いずれもⅡ群)の3名を除く他の17名の対象児が 自発的指さし行動の獲得後あるいははぼ同時期であった。
さらにその後(3か月‑25か月)に、応答性の指さし行 動の獲得がなされている。この段階に至って、ことばで 表現するから伝達する、つまり、ことばがコミュニケー ション手段として一定の役割を果たすようになっている。
応答性の指さし行動獲得前と獲得時で通過率において 有意差がみられた検査項目は、 「予期的追視」、 「3個の コップ」、 「絵の名称I ・Ⅱ」、 「縦線模倣」、 「トラック 模倣」、 「家の模倣」、 「円模写」であった。なお、 「円錯 画」 (通過率、 90%)、 「ハメ板回転・全」 (100%)、 「形 の弁別I 3/5」 (80%)は、応答性の指さし行動を獲得 する前から通過率が高い項目であった。
2 応答性の指さし行動獲得時の年齢における比較検 討
応答性の指さし行動を5歳台までに獲得した児(I 群)と6歳以降に獲得した児(Ⅱ群)の応答性の指さし 行動獲得時のK式発達検査項目の通過率を、図2に示
した。 I群とⅡ群の通過人数についてカイ自乗検定がな された。
応答性の指さし行動獲得年齢は、 I群では3:2‑5:7 (平均、 4:4)、 Ⅱ群では6:8‑ll:1 (平均、 8:9)で あった。表1に示したように、応答性の指さし行動獲得 時にI群とⅡ群間で通過率での有意差がみられた項目は、
「語嚢3語」と「絵の名称I ・Ⅱ」であった。 I群では、
長短比較 大小比較 2致復唱l/3
㍍szjaszm 十字供写(触) 円棋写 形の弁別wlO 招コ'3EfM 門の模倣(搬) tmjy トラック榔 絵の名糖1 5/6 絵の名称Ⅱ 3ル 絵の名称1 5/6 nsraaE哩 f│HE巳
i‑uc
EEEE38G 形の弁別I班 3 'stEEmi 2題のコップ 予期的遣観 ハメ概(回・全)
^Ti JiJ :n..i i 円錐繭
荏) **P<.01 *P<.05
図2 応答性の指さし獲得時の「新版K式発達検査」項目の 通過状況
「語嚢3語」は92%の通過率を示し、 「絵の名称I ・ Ⅲ」
では対象児の2/3以上の児が通過しているのに対して、
Ⅱ群では、 「語嚢3語」は7名中の3名の児、 「絵の名称 I」、 「絵の名称 Ⅱ」では、それぞれ2名と1名の児の 通過であった。
E^^^^Ei
l 自閉症における応答性の指さし行動蕃得の発達的 意義
1 )自閉症における指さし行動獲得時の発達連関 応答性の指さし行動接待前と獲得時でK式発達検査 での通過率において有意差がみられた項目は、 「予期的 迫視」、 「3個のコップ」、 「絵の名称I ・Ⅱ」、 「縦線模 倣」、 「トラック模倣」、 「家の模倣」、 「円模写」であった。
「予期的迫視」と「3個のコップ」は、一定の鬼とおし を持って次の動きを予測したり、見えなくともそのもの の存在を頭の中に思い浮かべる力、つまり、見えないも う一つの世界を認識していく力を必要とし、これらの項 目の通過は、 『イメージ的認識力』の形成と関わり、 「絵 の名称I ・ Ⅱ」の通過は、 『命名的な自発語』の拡大と 関わるものであると考えられる。また、 「縦線模倣」、
「円模写」、 「トラック模倣・家の模倣」は、それぞれ、
例示によって設定された方向を自ら2次元空間に再生す る、出発点と終止点が合致して閉じた円になる、水平・
垂直(よこ・たて)の2成分からなるモデルを自己領域 で構成する、といった力を必要とし、 『2次元の構成・
描画』能力ととらえられよう。こうした検査項目の通過 状況からみて、自閉症における応答性の指さし行動の能 力と『イメージ的認識力』、 『命名的な自発語』、 『2次元 の構成・描画』能力とが連関して存在していることが考 えられる。
しかし、 『命名的な自発語』に関しては、 I群とⅡ群 とで違いがみられる。応答性の指さし行動獲得とともに、
I群では、 『命名的な自発語』が拡大するといえるが、
Ⅱ群では、そうした傾向はみられ難い。そして、 I群で は、言語領域での検査課題・項目の通過・達成によって、
K式発達検査における「言語・社会」と「認知・適応」
との領域間による達成度のズレが収縮し、応答性の指さ し行動猿得前にみられた発達的な「アンバランス」と いった発達連関の様相が解消されていく傾向がみられる のである。
なお、 「形の弁別Ⅱ」は、形態の同一性を指さしで指 示する課題で、呈示された刺激図形と同一図形を10図 形から成る弁別図版から選択して指さしで応答すること が求められるといった点で「絵指示」、 「身体各部」と同 一要素を含む課題である。しかし、 「絵指示」、 「身体各
部」通過時に「形の弁別n 8/10」を通過した児は4名
246
田 辺 正 友・田 村 浩 子 (20%)であった。不通過のほとんどの児が、刺激図形を弁別図版の上に直接のせるマッチングで答えようとし て、促してもポインティングで示すことができなかった。
「形の弁別 n 8/10」は、 K式発達検査での基準通過年 齢は2:3‑2:6で「絵指示」、 「身体各部」より発達的に は高次な課題ではあるが、この時点での応答性の指さし 行動の獲得は、場面・対象が、まだ限定されているので はないかといった問題が残るのである。
2)指さも行動獲得時の行動特徴・対人関係における 変容一事例検討
応答性の指さし行動獲得に至る発達経過および獲得後 の行動特徴、対人関係の変容の問題を検討するために事 例検討を試みたい。本研究では、発達経過が良好で高機 能自閉症と考えられるA児と8歳になる現在、まだ有 意味語を獲得していないN児の事例を取り上げる。
事例1‑A児
現在、 10歳3か月の男児。小学校障害児学級在籍。
生下時体重3,296g、満期産、自然分娩。始歩11か月。
10か月に「マンマ」と初語があってから1歳6か月頃 までは語嚢数の増加(10語程度)がみられたが、その 後、徐々に消失している。この頃、 「視線が合わない」、
「呼んでも振りむかない」、 「ひとり遊びが多い」、 「人み しりをしない」、 「クレーン現象が長く続く」といった行 動特徴が見られていた。脳波異常、てんかん発作等の問 題は現在までみられていない。 2歳時に相談に来室し、
2歳9か月から本学の就学前障害児療育教室での過1回、
1時間半の療育に参加、小学校入学と共に月1回、 3時 間の療育活動に参加している。
A児のK式発達検査通過項目および行動特徴の変容 を、表2に示した。指さし行動の発達経過をみると、 2 歳0か月に志向の指さし行動(児が直接対象を指さすの ではなく、相手の指示する物・方向を見る行動)が初出 している。その後、 2歳10か月に本児が当時「固執」
していた換気扇、電車を指さして「カンキセン」、 「ポッ ポ」の発語がみられる。 「語嚢3語」通過。同時期に母 親を愛着対象として形成している。しかし、この時期は、
まだ特定の物との結びつきが強く、人への志向性は高ま りをみせるに至らない。その後、本児にとって興味ある 物(固執の対象)への指さしが増加し、語乗数も増加し ていく。 3歳3か月時には不通過であった「絵指示」、
「身体各部」を、 3歳6か月時に両項目とも通過し、応 答性の指さしを獲得する。応答性の指さし行動の獲得時、
先に指摘した『イメージ的認識力』、 『命名的な自発語』、
『2次元の構成・描画』能力の形成・拡大がみられる。
また、 「バイバイ」、 「検者とのポール遊び」の項目を通 過し、乳児期後半の対人関係における発達課題を克服し
ていく。
さらに、本児の興味・関心のある描画活動では、例え
ば、ことばで指導者に「カンキセン カイテ」と要求し、
指導者が「ジブンデ カイテ」と応ずるとグルグル丸を 描く。そして、指導者が「ナニ?」と問うと、 「カンキセ ン」と応答する。このように、まだ、人・場面は限られ たものではあるが、指導者からのことばかけによって簡 単なやりとりができるといったように、ことばがコミュ ニケーション機能として一定の役割を持ち始める。しか し、この時期は、即時反響言語であったり独語様の発語 (遅延反響言語と考えられる家庭場面での再現)が多く、
要求の相手が明確でないとか自分の持ち物を取られた時 など、それを取った他児にことばで「アカン カシテ」
と要求するものの、手を出す行動が伴わず、相手に要求 が伝わりにくいといった問題を有していた。
また、自分のやり方に固執する場面もみられるが、指 導者の言語指示で活動を転換したり、積木遊びや描画活 動では、指導者からの働きかけによって積み木や措かれ た線や円を、トラック、電車といった本児がこの時期関 心を持っていた乗り物にみたてて、 「ポッポ」、 「サヨナ ラ」と発声を伴って遊ぶ行動も芽生えている。しかし、
この時期のこうした行動は、まだ、限られた対象・活 動・場面での、他者からの働きかけによって展開される といったものであった。換気扇への固執も、特定の場所 の換気扇を「じっとみる」から様々な場所の換気扇をみ ることへと広がる。それも、覗き込んだり、見えない部 分を見ようとする「探索行動」がなされる。そして、ひ もを引っ張って「動かす一止める」といった「操作」
する対象へと変容していく。
4歳10か月に、発達検査で「形の弁別 n 8/10」、
「大小・長短比較」を通過するが、その頃から反響言語 が減少し、換気扇への固執が消失していくといった経過 をたどる。反響言語に関わるこうした経過は、 C、 D、
L児でもみられるが、 F児の場合、 18歳の現在でも反 響言語が目立っており、かなり長期間にわたる反響言語 がみられる。反響言語の消長については、知的機能や認 識機能の問題とも関連させてさらに検討を試みたい。
事例2‑N児
現在8歳5か月の男児。養護学校小学部在籍。生下時 体重3,860g、満期産、自然分娩、新生児黄痘強。 12か 月に始歩および「マンマ」、 「プープー」の初語。 2歳頃 まで5‑6語の語嚢を表出する。 「人みしりをしない」、
「奇声を発する」、 「クレーン現象が長く続く」、 「呼んで も振りむかない」といった行動特徴がみられていた。そ の後、ことばは消失し、現在も有意味語の表出はみられ ていない。
N児のK式発達検査通過項目および行動特徴の変容 を、表3に示した。 2歳9か月に本学の就学前障害児療 育教室に参加し、 3歳7か月から障害児通園施設に通園 する。養護学校入学と共にA児と同様、月1回の療育
表2 A児のK式発達検査通過項目および行動特徴の変容
氏 名 A (男) 周 生下時梱 3,260 g 乳 定 額 = 芸月 な 既
教 ①C A 2 : 9 障害児通園事業
な し 育 ②C A 4 : 8 公立幼稚園
歴 ③C A 6 : 9 小学校 (障害児学級) 生年月 日 1986 年 7 月 Ⅹ 日 産 ロ 40 l
這 行 7 カ月 後 追 い 28 カ月 往 家族舶 父 . 母 欄 期 出生状況 正常 期 品か ま。立 ち 9 カ月 始 語 10 カ月 歴
歩 11 カ月
K 式 結 果
C A 2 = 0 2 : 4 2 : 8 2 : 10 3 : 3 3 : 6 3 = 9 4 = 2 4 : 10
D 全 領 域 1 = 4 1 = 7 1 : 8 1 : 9 1 : 9 2 = 4 2 : 6 2 : 8 3 : ll
姿勢 . 運動 1 :ll 2 = 4 2 : 4 2 = 4 2 :ll 2 :ll 2 :ll 2 :ll 3 : 6
認知 . 適応 1 = 3 1 : 8 1 : 8 1 :10 1 :10 2 = 4 2 : 9 3 : 0 4 : ll
A 言語 . 社会 1 = 0 1 = 1 0 : ll 1 = 1 1 : 1 2 = 1 2 ニ1 2 こ1 3 : 1
過
過
状
況
両足跳 び + 十 + + + 十 + 十 +
飛 び降 り + + + + + + + +
交互 に足 を出す + + + 十 +
積木 の塔 8 + + 十 + + + + +
トラ ック模倣 + 十 + + +
家 の模倣 + + + 十
門の模倣 例 後 + +
例 前 + +
な ぐりがき + + + + + + + + +
円錯画模倣 十 + + + + 十 十 + 十
横線模倣 + 十 + +
縦線模倣 + 十 十 +
円模写 + + + +
十字模写 例 後 + + +
例 前 + + +
はめ板 円板回転 + + + 十 + + + 十 十
全 例 無 + + + 十 + + + +
回 転 全 十 + + + 十 + + +
形 の弁別 I 1 / 5 + + + +
3 / 5 4 + + +
予期的退視 + + 十 十
2 個 のコップ + + + + + 十
3 個 のコップ 十 + +
バイバ イ + + + +
メ ンメ + + + + + + + + 十
チ ョウダイで渡す + 十 十 十 + + + +
検者 とポ一ル遊び + 十 + +
指 さ しに反応 + + + + + + + 十 +
指 さ し行動 要求 + + + + + +
定位 + 十 十 +
身体各部 3 / 4 十 + + +
絵指示 4 / 6 + + + +
g * 3 is + + + + + + + +
絵 の名称 I 3 / 6 + 十 + +
5 6 + + + 十
11 3 6 + 十 + 十
5 6 + + A 十
大小比較 +
長短比較 +
姓名 +
性 の区別 +
行
動
特
戟
検 査 場 面
‑ 視線の共有なし . 「賛木の堵8」課 . 課題遂行は一方 .rlトラLy ク模倣」. 「トラック模倣」 . 課題に失敗して . 自分の遊びを展 . 描画課題の後、 . ことばでの応答
‑ 「はめ板」「積木」 題は積みきった 的、パタI ン的 課題は通過する 課題では、発声 も積木を支えに 開 しなが らも検 播 いたグルゲル が成立 を呈示すると着 後たおれると離 で交換性がみ ら が、みたて活動 を伴ったみたて 気持ちの立て直 査者の誘いがけ 丸で 「グルゲル . 「了解問題」(‑ ) 席し課題を遂行 席する0 復元力 れない はみ られない 活動がみられる L ができる に応 じて活動を プッチン」 と換 . 「形 の弁別 Ⅱ」
しよう とす る 共有、達成感は ‑表情が硬い . 換気扇への固執 . 物、 とくに積木 転換できる 気扇をひっぼる 「正方形模写」
が、すぐに離席 する
みられない ‑視線の共有なし がある をきちんと並べ
る
みたて遊びを展 開する
「階段再生」
「色の名称4/4」
1+ ) . 「ケンケン」(+ )
日 常 場 面
. 乳児期、手のか . ミニカI 、 自転 . ことばが消失す . 興味のあるもの . 興味のあるもの .二語発話表出 . ことばで要求す l エコラリアが滅
からないおとな 車のタイヤへの る (換気扇 . 電車) ヘの指さしが増 . 伝達意図が不明 る場面が増加す 少する
しい児であった 固執がある ‑ 機韓のスイッチ ヘの指 さしが表 加、語負数増加 唯で、要求が相 るが、要求が相 . 換気扇へのB l執
. テレビのコマI . ボタン. まわる 出する . エコラリアあり 手に伝わりにく 手に伝わりにく か消失する
シャル、マーク への固執がある .高い所を好む .描画でのぬりこ
めがみられる
ものへの固執が ある
. 「ボツポ(電車)」
「カンキセン」の 発語がある
. 要求はクレI ン 表 出 が多 いが
「ギユウニユウ」
等 ことばでの要 求がみられる
い い . 興味ある遊びで
はことばで 「や りとり」 しなが らの遊びを展開 する
対
人
特定の第 2 着形成 十 + + + + +
母子分離不安 + + + 十 + + + +
模倣 十 + + + + + + + +
特 徴
. 母親への後追い .母親への後追い . 母親を愛着対象 . 相手の行為を自 l 遊びの共有に弱 . ことばでの要求
はない、父親に 分離不安がみ ら として形成する 分の中に取りこ さを残しつつも 対象 (人 . 物)
は 「タカィ、タ れ賠める . 他者、 とくに姉 んで活動する場 三項関係が成立 が明確でなく伝
関
係
カイ」を要求す る
.他児が寄って く ると、 その場を 離れる
のしていること を 「じ っ とみ る」ことが増加 する
面 もみられ始め る
する .要求のことばが
相手に向かって 乗せ られる (ら のを取られると
「アカ ン、カ シ テ」等)
通性に乏 しい
248
田 辺 正 友・田 村 浩 子表3 N児のK式発達検査通過項目および行動特徴の変容
氏 名 N ( 男 ) 周 生 下 時体 重 3 ,8 6 0 g 乳 定 頚 3 l5 カ 月 1 1 既
教
C A 4 : 10 て ん か ん発 作 育 霊 3 2 : …; 豊 富 等 漂 票笠 霊 K
生年 月 日 19 8 9 年 9 月 Ⅹ E] 産 分娩 経 過 . 正 常 E 這 行 8 カ 月 後 追 い な し 往 家族 構 成 孟 妄 ㌔ 芸 欄 耕 地 状 況 (l& 霊 い) 蟻 か ま り立 ち 12 カ 月 始 語 12 カ月 歴
歩 12 カ 月
K 式 結 果
C A 2 こ9 3 こ2 3 : 1 0 4 : 0 4 こ6 5 : 1 5 : 5 b : 5 7 : 5
D 全 領 域 1 = 3 1 : 6 1 = 7 1 : 9 1 = 9 1 こ10 1 : l l 2 : 0 2 : 4
姿 勢 . 運 動 2 こ4 2 : l l 2 : l l 2 : l l 2 : l l 2 : ll 2 : l l 2 : l l 2 : l l
認 知 . 適 応 1 こ3 1 : 6 1 = 7 1 = 9 1 : 9 1 : 10 2 : 0 2 : 2 2 : 8
A 言 語 . 社 会 0 ‥8 0 ‥1 1 0 : l l 0 : l l 0 : l l 1 : 4 1 = 4 1 : 4 1 : 7
過
過
状
疏
両 足 跳 び + + + + + + + + 十
飛 び降 り + 十 + + 十 + + + +
交 互 に足 を 出 す + + + 十 + + + +
榎 木 の 塔 8 + + + + + 十 + + +
トラ ッ ク模 倣 家 の 模 倣 門 の 模 倣 例 後
例 前
な ぐ りが さ + + + + + + 十 十 十
円 錯 画 模 倣 + + + + + +
横 線 模 倣 + + +
縦 線 模 倣 +
円 模 写 +
十 字 模 写 例 後 + +
例 前 十
はめ 坂 円 板 回 転 + + + + + + + +
全 例 無 + + + + + + +
回 転 全 + + + + +
形 の 弁 別 1 1 ′5 十 + + 4 ‑ +
3 / 5 + + + +
予 期 的 迫 視 + + + +
2 個 の コ ップ +
3 個 の コ ップ +
バ イ バ イ + + + + + 十 + +
J ・. i + + 十 + 十 + + +
チ ョ ウ ダイ で 渡 す + + + + + + + +
検 者 とポ ー ル 遊 び + + + +
指 さ しに 反 応 + + 十 十 + + +
指 さ し行 動 要求 + + + +
定位 + + + +
身 体 各 部 3 / 4 +
絵 指 示 4 / 6 + 十 + +
語 嚢 3 語 絵 の 名 称 I 3 / 6
5 / 6 n 3 / 6 5 / 6 大 小 比 較 長 短 比 較 姓 名 件蝣iT tド 判
行
戟
特
徴
検 査 場 面
. 視 線 の共有 な し . 視 線 の共有 の芽 . 時間 の経 過 と と . 呈示 され た堵木 . 要 求 を手 さ しで . 発声 量 が多 くな . 「絵の名 称」 課 . 課題呈 示 に対 し . 増 木の 「トラツ ばえ がみ られ る もに着席 時 間場 等 の 「モデ ル」 示す る 題 は指 さ しで応 て、 期待 して待 ク」 「家」 の構
面 多 くなる を 注視す る 「オ ヨヨ〜」
「オヤオ ヤ、」
答 は可能 とな る . 検査 者 の行為 へ の注視 場面 が増 大 す る
つ姿 勢が み られ る
成 はで きないが みた て活動 は展 開す る
日 常 場 面
. 特 定 の物へ の固 . 手 の 常 同 行 動 . 自分 か らの要求 . 同 じ津 頬の物 を . 機嫌 の 善 し悪 し . 理 解言 語が増 大 戟
. 語 嚢が消失 す る
( 手 を か ざ して 発声 )
表 出時 には視線 を共 有す る場面 が増 大す る
集め並 べ る . 「〜 と って きて」
の言語 理解 が可 能 となる
で発声 の質 . 量 が異な る
す る
対
人
関
f*
特 定 の第 2 者 形 成 十 + + + 十 + +
母 十 *> ォ f 蝣ォ蝣 + + 十 + + + +
模 倣 + + + + + + +
特 徴
. 身 体接触 を伴 う 関わ りは喜 ぶ
‑ 母親 に対 す る後 追 いが み られ始
める
. 母 親 を愛着 対象 として形成 す る
. 要 求表 出場 面が 増大 す る . 母 親だ けで な く
家人 への甘 えが ろ られる
. 三項 関係 が成 立 す る
活動に参加している。 4歳10か月時にてんかん発作が 初発し、 4歳11か月時に2度目の発作がみられ、フェ ノバール服用。その後、発作はコントロールされている0
3歳10か月に志向の指さしがみられ、同じ頃、母親 を愛着対象として形成していく。 4歳中頃に要求の指さ しが初出しているが、クレーン現象での要求表出場面が 圧倒的に多かった。 4歳後半頃から応答性の指さし行動 がみられ始め、 5歳1か月の発達検査場面で「絵指示」
を通過している。 「絵指示」と「身体各部」の両項目を 通過したのは、 7歳5か月であった。応答性の指さし行 動獲得時に、 「3個のコップ」および「縦線模倣」、 「円 模写・十字模写 例前」を通過し、 K式発達検査にお ける「認知・適応」領域での著しい伸長がみられる。積 木構成課題の「トラック模倣・家の模倣」は、ここ」∃、
⊂]:も といった非対称性あるいは間隔のある「2次元の 構成」はできず、 1次元の構成(mコ)あるいは対象 性の2次元の構成(ロ)であったが、検者のトラック にみたてて遊ぶ活動を自分の活動に取り込む行為が示さ れている。
「絵の名称」はカードを数枚呈示しておいて、 「何々は どれ?」に指さしで適切に応答できており、言語理解も 急激に伸長している。発声(後期噛語)も多いが物や人 に定位した有意味語は表出されていない。しかし、検査 場面だけでなく、療育場面や日常生活場面でもサインや 身振り動作で要求を表出できる場面が多くなり、さらに、
相手の行為を注視する力も増大し、相手と一つの対象を 共有する力が形成されてきている。この時期の本児の指 さし行動の特徴としては、指を対象に付けて直接指すと いう密着・近接の指さしであって、遠くの対象を指す空 間の定位の指さしが出現していないことが指摘できる。
2 応答性の指さし行動猿得時の年齢と発達的予後 自閉症の発達的予後を規定する要因として、 5歳時の 言語発達の程度を重要な指標とする研究報告がある (Eisenberg, 1956; Rutterら, 1967)c 応答性の指さし 行動獲得後、 「大小・長短比較」の検査項目の通過に示 される「対の関係概念の認識」を獲得する児やその獲得 において発達の「停滞」がみられる児といった転帰がみ られる。自閉症の発達的予後は多様な転帰がみられ、群 としての特徴をみることは困難ではあるが、本研究での
Ⅱ群の児の場合には、現段階で「大小・長短比較」を通 過している児はいない。 I群では、現段階で13名中5 名(A、C、 D、F、L児)が通過しており、さらに、不 通過の8名中の5名は、現在の年齢が4‑5歳であるこ
とを考慮すれば、さらに経過観察が必要ではあるが、早 い時期(5歳台まで)に応答性の指さし行動を獲得した 児は、発達的予後は良好といえよう。しかし、 「大小・
長短比較」通過後、事例検討で取り上げたA児の場合、
「了解問題」や「重さの比較」を比較的短期間(4か月 後)で通過していく。しかし、 F児の場合には、その通 過に5年を要しており、その間、行動特徴として、いわ ゆる「自閉」症状が顕著に現れた非常に不安定な時期で あった。 「了解問題」は現前にある絵を支えにことばを 発していた時期を脱して、眼前にないことについての説 明や報告が求められるものであり、 「重さの比較」は、
「大小・長短比較」といった視覚的手がかりに支えられ た対の関係概念認識を、視覚的世界といった外界だけで なく、自分の内面で展開していくことが求められる課題 である。自閉症児にとって、この両項目の通過はかなり 困難な課題であると考えられる。こうした発達的予後の 問題については、 I群の若年の児(C、 G、 H、 K、 L、
M児)の経過観察によってさらに検討を加えていきた い。
3 まとめと今後の課題
最後に、自閉症における指さし行動獲得の発達的意義 とこうした指さし行動の獲得困難さが、自閉症の様々な 障害のなかで、いかなる意味を持っているのだろうか、
といった点についてのまとめと若干の考察をしておきた い。
まず、応答性の指さし行動獲得時の発達検査通過項目 における発達連関および行動特徴・対人関係における変 容の分析から、自閉症における応答性の指さし行動の獲 得は、 「ことばあるいはサイン・動作を媒介にして、相 手と一つの対象を共有し、しかもイメージ的認識力に基 づく活動を展開する力」の獲得と位置づけることができ
るのではなかろうか。こうした力は、 Bruner (1974) の指摘する「joint attention」、 「joint action」といっ た概念と共通するものであると考えられる。次に、自閉 症の中核的症状は対人関係の障害にあるが、このような 障害は何によってもたらされるのだろうか。自閉症の基 本障害がどのようなものであるのか、それらがどのよう なメカニズムに基づいて生じるのかについては、様々な 仮説が提唱されてきた。その一つに「心の理論(the‑
ory of mind)」障害仮説がある。 Baron‑Cohenら (1985、 1986)は、自閉症にあっては「心の理論」が障 害されていると主張する。つまり、自閉症児の対人関係 障害は、自閉症児が他者の心の状態・他者の考えを推測 できないためであると仮説しているのである。この仮説 をめぐって、現在も論争が展開されているが、現時点で は、自閉症にあっては「心の理論」が根本的に障害され ているのではなく、その発達に遅れあるいは偏りがある と考えた方がいいのではないかと思われる。また、自閉 症の「心の理論」は年齢や言語能力と関連しているよう である(Bowler, 1992; Happe, 1995; Ozonoff, 1991;
Sparrevohn, 1995 ; Tager‑Flusberg, 1994)c
'2511 田 辺 正 友・田 村 浩 子 そして、この「心の理論」の前段階・先行形態として、
Baron‑Cohen (1989, 1991)は「指さし」を、 Leslie (1987, 1988)は「みたて」、 「ごっこ遊び」を考えてい るのである。自閉症の発達的予後における多様な転帰も 考慮しつつ、 「心の理論」の形成過程を他の認知機能の 発達と連関させながら縦断的に検討していくことが重要 であり、こうした検討は、自閉症の基本障害の解明に一 つの手がかりを与えてくれるものと恩われる。
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Developmental Relations with the Acquisition of Answering Pointing Behavior in Autistic Children
Masatomo TANABE and Hiroko TAMURA
{Department of Education for Handicapped Children, Nara University of Education, Nara, 630 ‑ 8528, Japan) (Received April 20, 1998)
Autism is a neurodevelopmental disorder, characterized by severe impairments in the ability to relate social‑
ly and in communication. Many researchers have pointed out that one of the major deficits in autistic children is in the area of communication. Communication deficits are a central symptom of the autism syn‑
drome. Communication problems seem to be intertwined with the social and cognitive difficulties that also characterize the autism syndrome. The acquisition of communication ability is one of the most important prac‑
tical problems in the education of autistic children.
In the previous studies, we examined the developmental problems from the prelinguistic to the linguistic communicative functions of autistic children in relation to their cognitive development. Their communica‑
tive skills became more complex with the progress of their cognitive development, but they had still dif‑
ficulties in the prelmguistic communicative abilities.
Pointing behavior is the most typical prelinguistic communicative functions. In the present research, we at‑
tempted to analyze the problems of the developmental relations with the acquisition of pointing behavior in au‑
tistic children. In the communicative functions of pointing behavior, we directed our attention to the answer‑
ing pointing behavior.
Subjects were 20 autistic children enrolled in our class of remedial education for handicapped children.
The 20 autistic children had been diagnosed according to currently used criteria (DSM‑m‑R, 1987). Their pres‑
ent chronological ages ranged from 3 years 9 months to 18 years 4 months. In this study, we estimated the ac‑
quisition of answering pointing behavior when subject passed both "pointing the drawing objects" and "point‑
ing the parts of face on the items of Kyoto Scale of Psychological Development. This study was attempted, first, to compare the percentages of passing between before the acquisition and after the acquisition of answer‑
ing pointing behavior for the items abovementioned developmental scale, and second, to analyze the develop‑
mental prognosis with the period of acquisition of answering pointing behavior (before or after 5 years old).
Furthermore, we examined the case study attempting to clarify the developmental process of the acquisition of answering pointing.
The results indicated that the number of children who pass the some items of the developmental scale in‑
crease, and the interpersonal relationships changes remarkably with the acquisition of answering pointing be‑
havior, On the basis of these results, we discussed the developmental meaning on the acquisition of answer‑
ing pointing behavior in autistic children from the viewpoint of the developmental relations. Finally, the pos‑
sibility that impaired pointing behavior may be a precursor to autistic children's impaired "theory of mind"
(the ability to understand other people's mental states) is discussed.
Key Words : answering pointing behavior, developmental relations, autistic children