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Academic year: 2021

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(1)

気候及び地理条件に着目した塩害の影響要因の分析

芝浦工業大学大学院 学生会員 ○伊藤 孝文 元芝浦工業大学大学院 学生会員 石田 博貴 芝浦工業大学 正会員 伊代田 岳史 芝浦工業大学 正会員 安納 住子

1.はじめに

鉄筋コンクリートの劣化原因の一つである塩害は 海洋付近や凍結防止剤が散布される地域で発生し,

コンクリートの内部の鉄筋が腐食し膨張することに より,かぶりの剥落や構造物の機能低下を引き起こ す.その中でも,海洋付近にある構造物の塩害は風 向きや波浪の程度などの自然条件による外的要因が 支配的である.また,日本は海に囲まれた島国であ ること,太平洋側と日本海側で気候や波浪の程度が 異なることから,その地域毎で構造物に対して適切 な設計・補修をすることが重要である.

本研究では,日本の地理や気候及び海洋環境を整 理し,地域毎での塩害危険度を算出した.これを用 いることで,新設構造物の塩害対策設計や海洋構造 物の適切な補修などに繋がることが期待できる.

2.研究手法 2.1 使用データ

気候データとなる風速,風向は気象庁の

AMeDAS

より取得した.使用したデータは月毎

30

年平均のデ ータとした.また,標高は国土交通省の数値標高モ デルを利用した.海洋環境における気候データとな る有義波高,有義周期は国土交通省港湾局が日本全 国で観測を行っているナウファスを利用した.使用 したデータは季節毎

5

年以上の平均のデータとした.

2.2 マップ作成ツール

本研究では,地域毎の特徴を整理するために日本 のマップを作成することにした.そこで,地理や気 候などの多様なデータを地図上に統合するために,

Geographic Information Systems(GIS)を用いた.ま

た,2.1に記したデータは各地点での点データであり,

点間の距離が

10km

以上離れている.そのデータを 利用する際に,最近隣点を利用するのが適切でない 可能性があるため,内挿手法を用いて面的データを

図-1 マップ作成手法(概略図)

表-1 表面塩化物イオン量の値

海岸からの距離〔m〕 0 50 250 500 1000 表面塩化物イオン〔kg/m

3

〕 13 4.5 3 2 1.5

減衰比 1.000 0.346 0.231 0.154 0.115

作成した.図-1にマップ作成の手法の概略図を示す.

3.塩害の影響要因の整理

本研究では,塩害の影響要因を整理するために海 洋部分の気候条件が支配的なマクロ環境と,対象コ ンクリート構造物の地理的条件が支配的なメゾ環境 の二つに分けて影響要因の整理を行った.

3.1 マクロ環境

マクロ環境では,飛来塩分量との相関が既往の研 究 1)より報告されている波エネルギーを季節毎に算 出し,それに季節毎の風速と海風の有無をかけ合わ せた数値の合計を飛来塩分ポテンシャルと定義した.

飛来塩分ポテンシャルの計算式を(1)に示す.そして,

この飛来塩分ポテンシャルを用いて,汀線付近の塩 分供給量を上原子 2)らが行った結果を応答変数とし 構築したモデルの式を(2)に示す.

飛来塩分ポテンシャル

=∑ (冬季波エネルギー×冬季風速×冬季海風の有無+春季波エネルギー×・・) (1)

log 汀線付近塩分供給量 =4.765+(0.017 ×飛来塩分ポテンシャル) (2)

キーワード

GIS,塩害,波エネルギー,

表面塩化物イオン濃度

連絡先〒135-8548 東京都江東区豊洲

3-7-5 芝浦工業大学 TEL:03-5859-8356 E-mail:[email protected]

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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(2)

3.2 メゾ環境

ミクロ環境では,コンクリート標準示方書に記さ れているコンクリート表面における塩化物イオン濃 度の距離による減衰の減衰比を利用した.また,こ こでは水平距離と標高を考慮した換算距離を距離と する.表-1に距離毎の減衰比の関係を示す.

4.解析結果

ここでは,上原子2)らが行った

12

点の観測地点の 観測値と本研究での解析から算出したその

12

点の 推定値を比較した結果を図-2 に示す.これらの結果 から,高い精度で推定できていることが確認できる.

しかし,観測点

2

や観測点

7

のように,推定値と実 測値で大幅な差異が生じた点も確認できた.つまり,

換算距離以外のミクロな要因が作用していることが 考えられる.そこで,この差異が生じた点のミクロ 環境について

Google Earth

を用いて調査を行った.

図-3に観測点

2

のミクロ環境の詳細を示す.観測 点

2

では推定値よりも観測値の方が高い結果となっ ている.この原因として,観測点は海岸からの距離 は

392m

で標高は

5m

程度だが,高架に測定する機 器を設置したため実際の標高は更に高く,海岸付近 の家屋は遮蔽物とならない.また,観測点

2

が面し ている津軽海峡は風速が強く海風が多い.そのため,

遮蔽物がほぼ無い状態で飛来塩分が直接吹き付けて いる可能性が高く,観測値が大きくなったと考えら れる.

図-4に観測点

7

のミクロ環境の詳細を示す.観測 点

7

では推定値よりも観測値の方が低い結果となっ ている.この原因として,写真手前の対象構造物に 対して,奥側の海岸方向に鉄道橋が沿うように存在 していることが確認できる.この鉄道橋が観測対象 構造物の遮蔽物となり,観測値が小さくなったと考 えられる.

5.まとめ

本研究で得られた成果を以下に示す.

(1)

飛来塩分ポテンシャルから算出した汀線付近供 給塩分量に距離の減衰を合わせることで,概ねの 飛来塩分供給量を算出することができる.

(2)

飛来塩分供給量を解析から求める際はマクロ環 境とメゾ環境以外に,対象構造物付近の遮蔽物の 有無などのミクロ環境の影響要因を考慮する必 要がある.

0 100 200 300 400 500 600

0 100 200 300 400 500 600

観測値g/cm2/

推定値〔g/cm2/日〕

観測点2

観測点

7

図-2 推定値と観測値の関係

観測点2

図-3 観測点

2

のミクロ環境

観測点7

図-4 観測点

7

のミクロ環境

参考文献

1)

青山實伸,鳥居和之,松田哲夫:厳しい塩分環境 下におけるコンクリート構造物の塩分浸透性に 関する実証的研究,土木学会論文集,Vol 61,

No.746, pp251-264,2003.1

2)

上原子晶久, 皆川浩, 久田真, 鈴木基行: モ ルタル円盤供試体による青森県沿岸部の飛来塩 分調査, コンクリート工学論文集, Vol.37,

No.1, pp.757-762, 2015 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

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