1 . は じ め に
日本建築学会は,2015 年 2 月に「コンクリートの品 質管理指針・同解説」1)(以下,品質管理指針)を改定し た。品質管理指針は,当初,1976 年に「コンクリート の調合設計・調合管理・品質検査指針案・同解説」の一 部として制定されたが,1991 年に同指針から調合管理 および品質検査を独立させて新たに品質管理指針(第 1 版)として制定され,さらに 1999 年に ISO 9000 シリー ズの考え方を導入して最初の改定(第 2 版)がなされた。
その後,2000 年の建築基準法第 37 条(以下,法第 37 条)の改正や 2004 年の工業標準化法の改正,2005 年の JIS マーク表示制度の改正など各種関連法令の大改正に 続いて,2007 年の JIS A 5308(レディーミクストコン クリート)の改正,2009 年の建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事2)(以下,JASS 5-2009)の改定 が行われた。これにより,コンクリートの品質とその管 理方法を取り巻く環境が急速に変化し,社会資本を形成 する重要材料としての信頼性および指定建築材料に対す る品質保証のあり方とその方法を再度検討する必要が生 じてきた。本稿では,第 2 回目の改定となる品質管理指 針・第 3 版の概要について紹介する。
2 . 主な改定点
今回の主要な改定点は以下の事項であるが,これらを 含め大幅な改定となっている。
(1) コンクリートの種類および品質が,法第 37 条に 基づいて JIS A 5308 適合品および国土交通大臣認 定品に分類され,さらに JIS A 5308 適合品は JIS マーク表示製品と JIS マーク表示製品以外のものと
に区別された。
(2) コンクリートの圧縮強度の各種検査が 10 章にま とめられた。また,受入検査および構造体コンク リート強度の検査における供試体の採取方法およ び養生方法について,併用する場合の規定が追加さ れた。
(3) 設備配管をあと施工する際に鉄筋が切断される問 題があるため,設備工事に係る事項が追加された。
(4) 乾燥収縮率やヤング係数などが設計図書で要求さ れた場合の生コン工場の選定やコンクリートの性能 の確認方法が追加された。
(5) かぶり厚さの検査,スラッジ水や回収骨材の扱い 方法が追加された。
3 . 1 章 総 則
3.1 適 用 範 囲旧版の 1 章と 2 章が合わさり,適用範囲,用語および 品質保証・品質管理体系などが示されている。コンク リートの分類は上記したように 2000 年の法第 37 条と 2005 年の JIS マーク表示制度の改正に基づいて,次の 3 種類に分類された。
1) JIS マーク表示製品:JIS Q 1001(適合性評価-
日本工業規格への適合性の認証-一般認証指針)お よび JIS Q 1011(適合性評価-日本工業規格への適 合性の認証-分野別認証指針(レディーミクストコ ンクリート))に基づいて JIS A 5308 への適合を性 能評価機関から認証されたコンクリート
2) JIS マーク表示製品でないもの:JIS A 5308 の品 質基準に適合するが,性能評価機関からの認証を受 けていないコンクリート
3) 国土交通大臣の認定を受けたもの(以下,大臣認 定品):JIS A 5308 の規定に適合しないが,法第 37 解説
日本建築学会「コンクリートの品質管理指針・同解説」
の改定について
棚 野 博 之
*概 要 日本建築学会「コンクリートの品質管理指針・同解説」が 16 年ぶりに改定された。今回の改定は,2000 年以 降の建築基準法や工業標準化法など関連法令・基準類の改正や JASS 5 等の関連技術資料の改定に伴うコンクリートの品 質とその管理方法を取り巻く環境の急速な変化が背景にある。コンクリートの種類と品質は,法第 37 条に基づき JIS A 5308 適合品と国土交通大臣認定品に分類された。また,受入検査および構造体コンクリート強度の検査用供試体の併用方 法が規定された。その他,乾燥収縮率やヤング係数などが設計図書で要求された場合の生コン工場の選定方法やコンクリー トの性能確認方法が規定された。本稿では,この他主要な改定点および内容について解説する。
キーワード: 品質管理,JIS 適合品,大臣認定品,受入検査,構造体コンクリート強度,かぶり厚さ
* たなの・ひろゆき/国立研究開発法人 建築研究所 材料研究グ ループ長(正会員)
条に基づき指定性能評価機関から認証され,国土交 通大臣が認定したコンクリート
JIS マーク表示製品および JIS マーク表示製品でない ものは,品質基準の面では JIS A 5308 に適合するもの だが,管理方法や製造実績が異なる。一方,大臣認定品 は,品質基準や管理方法が JIS A 5308 および JIS Q 1011 等と一部相違しており,製造実績も少ない。よって,前 の 2 種類とは異なった品質管理が必要となる。2 章から 6 章では,この 3 種類を使用する際の品質管理における 確認事項や確認方法が示されている。
配管設備や機器固定用アンカー,貫通孔等の位置・寸 法が工事途中で変更され,配筋状態が当初配筋図と異 なった場合には,型枠加工やコンクリート打込み方法,
仕上材料・工法等の変更を検討する必要があるが,設備 配管のための貫通孔をあと施工する際に鉄筋を切断する などの事象が問題化している。このため,新たに設備工 事についてもその進捗状況や品質管理状況を常時把握 し,状況に応じ当初計画の変更・修正を行うための規定 が追加された。
3.2 用語・品質保証と品質管理体系
品質管理において実施される試験や検査の実施能力お よび結果の公平性を担保することは非常に重要である。
JASS 5-20092)では「試験および検査を外部の試験機関 に依頼して行う場合は,依頼する試験機関は特記によ る。特記がない場合は,施工者は適切な試験機関を定め て工事監理者の承認を受ける。」と定めているが,その
“適切な試験機関” の内容については,解説に止めてい る。今回の改定に伴って,“第三者試験機関” を「検査 に際して当事者以外の第三者の立場で試験を行う機関 で,JIS Q 17025(試験所及び校正機関の能力に関する 一般要求事項)に適合する機関またはこれと同等の技術 力を有すると認められる機関」として定義された。また,
この条件に該当する試験機関の一部が付録の 3 ~ 5 に例 示されている。
4 . 2 章 設計図書の確認
指定建築材料としてのコンクリートに適用する建築基 準法第 37 条の 1 号,2 号の区別が新たに追加され,コ ンクリートの種類ごとの確認事項とその方法が示されて いる。その他,2.2 項で “計画供用期間” と “設備機器 の設置および配管”,2.4 項で “ヤング係数および乾燥収 縮”,2.5 項で “設備機器・配管用スリーブおよび耐震ス リットの設置位置と設置方法” が,新たな規定として追 加された。
5 . 3 章 品質管理計画書の作成
5.1 品質管理組織および品質管理責任者旧版や JASS 5-20092)の品質管理組織は,施工者,専 門工事業者,生コンの生産者および第三者の試験者で構 成されていたが,今回の改定では試験者が試験機関に変 更され,さらに品質管理の向上を目的として,工事監理 者が品質管理組織に加えられた(図-1)。
5.2 品質管理項目の確認,品質管理計画書の作成 品質管理項目の確認事項としては,新たに使用するコ ンクリートの JIS 規格適合および JIS マーク表示製品の 要否,または建築基準法第 37 条 2 号に基づく国土交通 大臣の認定の要否および大臣認定品を使用した場合の 特殊な施工法に適合させるための使用材料および調合 の変更が追加された。また,品質管理計画書に記載する 事項を,品質管理計画の立案の段階,コンクリートの発 注・製造の段階,コンクリートの施工の段階および構造 体コンクリートの評価の段階,に分類し詳細に示されて いる。
Revision of the “Recommendations for Practice of Quality Control in Concrete Work” of the Architectural Institute of Japan
By H. Tanano
Concrete Journal, Vol.53, No.8, pp.679~684, Aug. 2015
Synopsis The “Recommendations for Practice of Quality Control in Concrete Work” of the Architectural Institute of Japan have been revised after sixteen years. This was done against the backdrop of rapid changes in the environment for concrete quality since the year 2000, including revisions of related laws and standards such as the Building Standards Act and the Industrial Standardization Law, and the revision of various related technical data such as JASS 5. Concrete is now classified according to type and quality into JIS A 5308 compliant products and Minister of Land, Infrastructure and Transport approved products, based on Article 37 of the Building Standards Act. Further, a method that combines the use of acceptance inspections and specimens for testing structural concrete strength is also specified. Other specified content includes methods for the selection of ready-mixed concrete plants when factors such as drying shrinkage and Youngʼs modulus are part of the design specifications, and methods for verifying concrete performance. In addition to the above, this paper discusses the major revision points and content of these latest revised “Recommendations for Practice of Quality Control in Concrete Work”.
Keywords: quality control, JIS compliant products, ministry approved products, acceptance inspection, structural concrete strength, cover thickness
6 . 4 章 レディーミクストコンクリート工場の 調査および選定
6.1 材料の調査および選定,生コン工場の調査 旧版までは,コンクリートの性能に大きく影響を及ぼ すコンクリートに使用する材料の要求性能やその使用実 績が工場選定時には考慮されておらず,場合によっては 選定した工場でそれらの要求条件に適合する材料が得ら れない場合に,材料の種類や品質を変更することになっ ていた。これは,設計図書の確認時に行ったコンクリー ト工事に対する要求条件や工事監理者と協議し確定した 内容を工事途中で変更する行為であり,品質管理計画が 適切に実施されていない可能性がある。今回の改定では,
まずコンクリートに使用する材料の要求品質や使用実 績,入手の可否および継続性等を確認し,4.2 d 項で要 求条件に適合する材料が得られない工場は選定対象から 除外することを趣旨とし,最初に材料の調査および選定
(4.2 項)を行った後に工場の調査(4.3 項)を行うよう 改められた。
6.2 コンクリートの性能の調査
JASS 5-20092)の改定に基づき,2.4 項で新たに規定 されたヤング係数や乾燥収縮など JIS A 5308 に定めら れていない性能については,データの有無の調査やデー タが無い場合の性能の確認方法等が 4.4(コンクリート の性能の調査)として新たに追加された。
7 . 5 章 レディーミクストコンクリートの発注
以下の 5.2 c および 5.2 f 項で示されるように,大臣 認定品を発注する際の指定事項が新たに追加された。5.2 c 建築基準法第 37 条 2 号に基づく国土交通大 臣の認定を受けたコンクリートを発注する場合,コ
ンクリートの強度は圧縮強度の基準値,または圧縮 強度の基準値に構造体強度補正値を加えた強度で指 定する。圧縮強度の基準値を指定する場合は設計基 準強度以上とし,圧縮強度の基準値に構造体強度補 正値を加えた強度を指定する場合は,調合管理強度 以上とする。
5.2 f 建築基準法第 37 条 2 号に基づく国土交通大 臣の認定を受けたコンクリートを発注する場合は,
セメントの種類,圧縮強度の基準値に構造体強度補 正値を加えた強度,スランプまたはスランプフロー,
空気量の組合せ,その他必要な事項を指定する。
なお,JIS A 5308-2014 で取り入れられた回収骨材は,
現在まで建築構造物への使用実績がなく,実構造物への 影響が不明な部分が多い。このため,発注を予定してい る生コン工場の回収骨材の管理記録を確認し,管理が十 分でないと考えられる場合には生産者と協議して,回収 骨材は使用しないこととしている。
8 . 6 章 レディーミクストコンクリートの製造 の管理
8.1 コンクリートの材料および製造の管理
旧版では,材料管理の具体的な方法は解説でしか記さ れていなかった。このため,検査の方法や頻度,判断基 準等が管理者によって異なる場合もあり,その結果,試 験や検査の結果責任も不明瞭になっている可能性が指摘 されていた。改定に伴って,コンクリートに使用する材 料の具体的な管理方法を本文に戻すとともに,JIS A 5308 等の現行基準に合わせ見直しがなされた。
8.2 コンクリートの製品の検査
例えば,呼び強度が同じでスランプが異なる 2 種類の コンクリートを 2 日以上にわたって複数の工事現場に出 工事監理者
施工管理者(作業所長)
品質管理責任者 第三者試験
機関
品質管理担当者
(設備係員)
設備工事
専門業者 仕上工事
専門業者 鉄筋工事 専門業者
型枠工事
専門業者 コンクリート 打込み業者
コンクリート 圧送業者ポンプ
レディーミクスト コンクリート
工場 品質管理担当者
(仕上げ係員) 品質管理担当者
(鉄筋係員) 品質管理担当者
(型枠係員) 品質管理担当者
(コンクリート係員)
報告・提出
依頼
報告
協議 協議
協議 協議
協議 協議
指示 指示 指示 指示 指示 指示 指示
協議
【施工者】
【鉄筋コンクリート工事関係者】
【専門業者】
指示・協議・検証・承認
図-1 鉄筋コンクリート工事の品質管理組織の例
荷した場合でも,JIS A 5308 の規定では製品検査におけ る 1 回の試験の量をこれら 2 種類のコンクリートの合計 とすることが可能である。一方,JASS 5 では納入され たコンクリートが発注したコンクリートであることを確 認するために受入検査(圧縮強度の場合)を行い,その 時期・回数は打込み工区ごと,打込み日ごと,かつ 150 m3またはその端数ごとに 1 回,としている。この ため,上記事例のような場合には,受入検査を製品検査 によって行うことはできない。しかし,旧版では下記の ように製品検査が受入検査の計画に盛り込まれていたた め,上記事例のような場合でも誤って受入検査を製品検 査によって行う問題が発生していた。
8.2 c 受入検査のための試験を生産者の製品検査 のための試験によって行う場合は,施工者は試験に 立ち会う。
このような間違いが起こらないよう,今回の改定では,
生産者の製品検査が 6.6(レディーミクストコンクリー トの製品の検査)で別途明記された(表-1参照)。
表-1 荷卸し地点における製品の品質管理試験
工程 管理項目 品質特性 試験方法 試験回数 備考
製品検査 製品の品質
スランプまたは
スランプフロー JIS A 1101, 1150
必要に応じ適宜 -
空気量 JIS A 1116, 1118, 1128 - 強度 JIS A 1106, 1108, 1132, 5308
附属書 E(規定) 標準は 1 回/150 m3, 高強度は 1 回/100 m3 - 塩化物含有量 JIS A 1144 または精度が確
認された塩分含有量測定器 適宜 工場可
9 . 7 章 レディーミクストコンクリートの受入 検査
旧版の 8 章に相当する章である。ただし,圧縮強度の 検査の規定は,強度に関わる他の検査事項と合わせて 10 章にまとめられた。
9.1 コンクリートの受入検査
単位水量の検査については,下記のように定めている。
7.4 c ⑤単位水量は製造管理記録によって確認する。
また,単位水量を試験によって確認する場合は,検 査方法および検査基準をあらかじめ定めておく。
検査方法としては,鉄筋コンクリート造建築物の品質 管理および維持管理のための試験方法3)で提案されてい る乾燥法(高周波加熱乾燥法:CTM-1)や容積法(簡 易エアメータ法:CTM-3)が一般的に適用されている が,適用する試験方法はあらかじめ品質管理計画書等に 明記しておかなければならない。
検査基準については,表-2に示すように 2003 年 11 月に国土交通省大臣官房官庁営繕部より出された官庁営
繕工事の管理方法が解説されており,これを参考に実施 することとなる。
表-2 単位水量の管理目標値と設計値の関係 設計値との差 <-20 指示値
-20≦ 管理目標値 設計値 管理目標値
-15 ≦ ±0 ≦ +15 指示値
≦+20 +20<
措置 持ち帰り 改善 打設 改善 持ち帰り
試験頻度 全車 1 回/3 台 1 回/150 m3 1 回/3 台 全車
10 . 9 章 コンクリートの仕上がりの検査
旧版の 10 章に相当する章である。かぶり厚さの検査 については,JASS 5-20092)で示された方法に準じ,補 完内容が加えられている。10.1 かぶり厚さの検査
判定基準等は表-3に示すように JASS 5-20092)で示さ れた基準であるが,補完内容を含め検査の手順はおおよ そ図-24)に示すとおりである。
表-3 かぶり厚さの判定基準
項 目 判 定 基 準
測定値と最小かぶり厚さとの関係 x≧Cmin-10 mm 最小かぶり厚さに対する不良率 P(x<Cmin)≦0.15
測定結果の平均値の範囲 Cmin≦X≦Cd+20 mm ここで, x:個々の測定値(mm)
X:測定値の平均値(mm)
Cmin:最小かぶり厚さ(mm)
Cd:設計かぶり厚さ(mm)
P(x<Cmin):測定値が Cminを下回る確率
d. 柱,梁,壁,床 or スラブから 10%
の部材を選定し,おのおの 10 本以上 のかぶり厚さを測定
f. さらに 20%の部材を選定し,おの おの 10 本以上のかぶり厚さを測定
g. 全数検査
i. 耐久性,耐火性および構造性能の検証と必要な補修 判定e.
e.
判定
判定e.
合格
合格
合格 h. 構造性能の
検証と措置 不良率 15%以下
不良率 15%以下
不良率 15%以下 不良率 15%超え
不良率 15%超え 不良率 15%超え 最小かぶり-10 mm 以下
平均値が設計かぶ り+20 mm 以上
図-2 かぶり厚さの検査のフロー
11 . 10 章 コンクリートの圧縮強度の検査
旧版の 11 章と 9 章,および 10 章の圧縮強度の検査に 係る部分を整理・取りまとめた章で,レディーミクスト コンクリートの受入検査,型枠取外し時および湿潤養生 の打切り時の確認検査,構造体コンクリート強度の検査 の 3 つの方法が示されている。なお,構造体コンクリー ト強度用の供試体と受入検査用の供試体を併用すること が,工事監理者の承認のもとで可能となった。10.1 g 構造体コンクリートの圧縮強度の検査用の 供試体の養生方法を標準養生とする場合は,受入検 査用の供試体と併用することができる。併用する場
合は,品質管理計画書に明記し,工事監理者の承認 を得る。
11.1 構造体強度の検査のロッド
1 回の試験の単位(ロット)について,JASS 5-20092)
や旧版1)では「打込み工区,打込み日ごと,かつ,コン クリートの打込み量 150 m3またはその端数ごと」とし ていた。しかし,150 m3を超えた場合の取り扱い方法 が不明瞭であるとの意見が多いことから,後述の併用を 除き,「打込み工区ごと,打込み日ごと,150 m3を超え る場合は,150 m3以下にほぼ均等に分割した単位ごと」
と改められた(図-3)。また,1 日の打込み量の目安が 50 m3以下となるような場合については,新たに解説で
「受入検査用の検査ロットを工事監理者と協議の上,例 えば 1 検査ロットを 3 回ではなく,3 個の供試体を用い た 1 回の試験で構成し,試験結果が,購入者が指定した 呼び強度の強度値以上であることを確認する方法」を示 している。
650 m3
150 m3 不適当
130 m3
適 当 130 m3
〃
〃
〃
〃
〃
〃 1
1
2
2
3
3
4
4
5
5
-検査ロット 50 m3
-検査ロット 図-3 構造体コンクリートの検査ロットの区分け方法
11.2 構造体強度の検査と受入検査との併用
前述のように,今回の改定では,受入検査および構造 体コンクリート強度の検査における供試体の採取方法お よび養生方法について,併用する場合の供試体の採取方 法が新たに規定された。
10.4 a 構造体コンクリート強度の検査は,以下の A 法(構造体コンクリート強度の検査と受入検査 を併用しない場合)および B 法(構造体コンクリー ト強度の検査と受入検査を併用する場合)のいずれ かによる。
供試体を併用しない場合(A 法)は,従来からの方法
(JASS 5-20092))と基本は同じであるが,供試体を併用 する場合(B 法)は,下記 10.4 c と表-4および解説を 熟読し十分に理解して取り扱わなければならない。な お,A 法は構造体の打込みに用いられる運搬車全体を代 表するように各運搬車から試料を採取する,いわゆる
“運搬車間のばらつき” を考慮した方法である。一方,
受入検査は運搬車内のばらつきを考慮した方法で,これ らを併用する B 法を適用する場合には,選定した生コ ン工場が,図-4に示すような “運搬車間のばらつき” と
“運搬車内のばらつき” に有意差がないような適切な品 質管理が行われていることを確認しなければならない。
表-4 B 法における構造体コンクリート強度の判定基準 養生
方法 試験材齢
判定基準 1 運搬車から 3 個ずつ採取
した場合 1 運搬車から 1 個 ずつ採取した場合
標準養生
調合強度を定める ための基準とする 材齢(28 日)
① 1 回の試験結果は,調合管理 強度の 85%以上であること。
② 3 回の試験結果の平均値は,
調合管理強度以上であること。
調合管理強度以上
2-① 2-② 2-③ 3-① 3-② 3-③ 4-① 4-② 4-③ 5-① 5-② 5-③ 6-① 6-②6-③ 55.0
50.0 45.0 40.0 35.0 30.0 25.0
2材齢4週標準養生圧縮強度(N/mm) 20.0
供試体採取 No.(車-供試体)
呼び強度:30 N/mm2
例)2-①:2 車目から採取した同一試料における 1 個目の供試体
図-4 運搬車から採取した供試体強度の変動
10.4 c B 法(構造体コンクリート強度の検査と受 入検査を併用する場合)による構造体コンクリート 強度の検査は,以下による。
(1) 1 回の試験は,1 検査ロットをほぼ均等に 3 分割して行う。
(2) 1 検査ロットは,打込み工区ごと,打込み日 ごとに構成する。ただし,1 日の打込み量が 450 m3を超える場合は,450 m3以下にほぼ均等 に分割した単位ごとに構成する。また,高強度コ ンクリートの場合は,1 日の打込み量 300 m3を 超える場合は,300 m3以下にほぼ均等に分割し た単位ごとに構成する。
(3) 採取した試料については,スランプまたはス ランプフロー,空気量,コンクリート温度を測 定する。
(4) 圧縮強度試験の方法は,下記①~⑥による。
① 供試体作製のための試料は,7.4 節で採取し た試料と同一の試料とする。
② 1 回の試験のための供試体は,同一試料から 3 個採取する。ただし,1 日の打込み量が 150 m3以下の場合は,1 個とすることがで きる。
④供試体の養生方法は,標準養生とする。
⑤ 圧縮強度試験の材齢は,調合強度を定めるた めの基準とする材齢とする。
⑥ 圧縮強度試験は,JIS A 1108 による。試験結果 は,3 個の供試体の試験結果の平均値で表す。
例えば,1 日の打込み量が 450 m3の場合,A 法と B 法の試料採取の数は表-5(表中の○は供試体 1 個を表 す)のようになり,B 法で行った場合,供試体の合計本 数は A 法の半分になる。
12 . お わ り に
冒頭にも記したように,今回の改定は 2000 年以降の 関係法令・基準類の改正や JASS 5 等の関連技術資料の 改定によってコンクリートの品質とその管理方法を取り 巻く環境が急速に変化したことが背景にある。コンク
リートの信頼性および指定建築材料の品質保証のあり方 を示したものであるが,新しい取組みも示されており,
活用に当たってはその趣旨をよく理解し,十分な準備の もと行っていく必要があるだろう。
参 考 文 献
1) 日本建築学会:コンクリートの品質管理指針・同解説,2015 2) 日本建築学会:建築工事標準仕様書・同解説 JASS 5,2009 3) 日本建築学会:鉄筋コンクリート造建築物の品質管理および維持
管理のための試験方法,2007
4) 日本建築学会:「コンクリートの調合設計指針ならびに品質管理指 針」改定講習会・講義補助資料,2015. 2
表-5 試料採取の「併用」と「併用しない」場合の比較
1 日の 打込み量の
目安
試料採取
従来の方法(パターン①) 完全併用型(パターン②)
受入検査 構造体コンクリート検査
合計個数 検査ロット
構造体
(標準養生)
=受入検査 個数 検査ロット 標準養生 検査ロット 現場水中養生
現場封かん養生
0 ~450 m3
0 ~150 m3
450 m3
○○○ 150 m3
○
18 450 m3
○○○
9
○
○ 0 ~150 m3 ○○○ 150 m3
○
○○○
○
○ 0 ~150 m3 ○○○ 150 m3
○
○○○
○
○