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論 文 内 容 要 旨 論文題目

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Academic year: 2021

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論 文 内 容 要 旨

論文題目

パーキンソン病の新規リスク遺伝子 Midnolin の発現調節機構と病態生理的な 役割の解明

責任講座: 薬理学 講座 名: 提箸 尚貴

【内容要旨】

1,200

字以内)

ES細胞において2000年に発見されたMidbrain Nucleolar Protein(Midnolin, MIDN)は,

胎生期のマウス中脳において強く発現する.成体になると様々な組織で発現し,細胞内 では主に核および核小体に局在する.詳細な役割は明らかになっていなかったが,2017 年および2019年にMIDNがパーキンソン病(PD)の新規リスク遺伝子であることを当 講座が報告した.しかし,個体レベルでのMIDNの役割は明らかではなく、またヒトの 細胞や組織で,MIDN遺伝子の発現がどのように調節されているかも解明されていない.

そこで,本研究ではヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞を用いて,MIDN 遺伝子の発現調 節機構を解明するとともに,Midn ノックアウトマウスを作製して,その病態生理学的 な役割を明らかにすることを目的とした.

SH-SY5Y細胞をインスリンで処置するとERK1/2, PI3K依存的にMIDN遺伝子の発現 が誘導された.レチノイン酸で分化誘導したSH-SY5Y細胞においてはBDNF処置によ っても,同様の発現誘導が確認された.MIDN 遺伝子の発現調節領域を同定するため,

様々な塩基長のプロモーターをルシフェラーゼと連結させたプラスミドを作製し,

MIDNプロモーター活性を測定した.その結果,MIDN遺伝子上流 -121/-99 bpMIDN 遺伝子の発現を抑制する領域が,-71/-57 bpに発現を促進する領域があることが判明し た.データベースを用いた解析により,前者の領域にはTFAP2が後者の領域にはAP-1 およびCREBが結合することが予想された.実際に,SH-SY5Y細胞をインスリンで処 置すると,ERK1/2依存的に AP-1ファミリーである c-FOS遺伝子の発現およびCREB のリン酸化が誘導された.

ゲノム編集法により2系統のMidnヘテロノックアウトマウスを作製した.マウス中 脳のMidn遺伝子の発現を定量したところ,26週齢のヘテロKOマウスでMidn遺伝子 の発現減少が確認された.また,8週齢マウスの黒質および線条体のドパミン作動性神 経細胞を観察したところ,ヘテロ KO マウスの線条体への投射が大幅に減少していた.

85 週齢マウスの自発運動量をオープンフィールド試験で測定したが,総移動距離や平 均速度には大きな変化はなかった.

これまでの結果をまとめると,1. MIDN遺伝子はインスリンによってMAPKおよび

PI3K/Akt 経路を介して発現が誘導されることが明らかになった.2. MAPK 経路は

CREB/ATF, AP-1を活性化し,MIDN遺伝子発現を調節することが示唆された.3. TFAP2 ファミリーが結合するMIDN遺伝子上流 -121/-99 bpは,MIDN遺伝子の発現を抑制的 に調節していることが示された.4. Midnヘテロノックアウトマウスでは,Midn遺伝子 の発現が減少し,ドパミン神経の投射が減少するPD 様の病理学的特徴が見られ,それ MIDNPDのリスク遺伝子であることを支持する所見と思われた.

(2)

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