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インホイールエンコーダレスサーボを有する移動ユニットの開発

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Academic year: 2021

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(1)

インホイールエンコーダレスサーボを有する移動ユニットの開発 

−移動ユニットの機構に関する研究− 

奥村 克博

*1

  末廣 利範

*2

  西村 圭一

*1  

Development of Robot Vehicle Using In-Wheel Encoder-less Servo Motors

−Research on the Mechanism of Robot Vehicle− 

Katsuhiro Okumura, Toshinori Suehiro and Keiichi Nishimura

 

 

車輪を用いた従来型のロボット用移動ユニットは車輪駆動用モータの寸法が大きいため,車体内スペースを効率 的に使用できないという問題があった。これは,モータが軸方向に長い形状で,車輪とモータ・減速機・エンコー ダが別配置になっているためである。また,路面から受ける衝撃によりエンコーダが破損するという問題もあった。

本研究は,ロボット産業振興会議ロボット開発技術力強化事業の助成を受け,(株)安川電機,八幡電機精工(株),

機械電子研究所の三者で共同開発を行ったもので,著者は移動ユニット機構の検討や特性の解析を担当した。 

 

1  はじめに 

国内のロボットの市場規模は,H15年の0.5兆円から,

H22年には1.8兆円,H37年には6.2兆円と,大きな成長 が見込まれている。この成長の要因としては,従来の 製造業分野から生活支援・医療福祉・公共サービスな どの新規分野でのロボット市場の創出と拡大が考えら れている。これらの分野では,ユーザの多種多様なニ ーズに対応するために,ロボット全体を一つの企業が 開発するのではなく,ロボットを移動機構・アーム・

視覚といった機能(ユニット)単位に分割したものを 様々な企業が製品化し,ユーザ自身が好みや用途にあ わせてユニットを組み合わせることでロボットを構成 する手法が主流になると予想されている。 

このような流れの中,ロボット開発に力を注ぐ福岡 県において,(株)安川電機,八幡電機精工(株),機 械電子研究所は,ロボット産業振興会議ロボット開発 技術力強化事業からH16〜17年の2年間の助成を受け

「インホイールエンコーダレスサーボを有する移動ユ ニットの開発」を行った。一連の開発の中で,(株)

安川電機はインホイールエンコーダレスサーボの開 発・評価,八幡電機精工(株)は移動ユニットの開 発・評価,機械電子研究所は移動ユニットの解析・設 計支援という分担で開発を進め,本事業の開発の中で 世界で初めて速度センサが不要で位置速度制御が可能 なインホイールモータを搭載した移動ユニットの開発

に成功した。また,開発したロボットの有効性を検証 するために,新北九州空港での実証実験を行い,製品 化に向けたデータ収集を行った。 

  本研究では,企業での移動ユニット設計を支援する 目的で移動ユニットの特性解析を行い,ユニットに要 求される十分な移動位置精度を得るために,設計上精 度が必要とされる箇所を明らかにした。また,解析結 果を検証するために,H16 年度に開発を行った移動ユ ニット試作機の三次元測定を行い,測定結果と解析結 果の比較・検証を行った。 

 

2  移動ユニットの解析 

2-1  移動ユニットの三次元測定 

H16 年度に開発を行った全方向型移動ユニットを用 いた作動実験では,ユニットをその場回転させた際に 回転中心の位置が徐々に変化していくことが問題とな った。その場回転で中心位置の変化が発生することか ら,直線移動でもロボットへの指令位置と実際の移動 位置の誤差が生じ,移動位置決め精度に悪影響を与え ることが予想された。この移動位置の変化の原因とし て,移動ユニットが持つ車輪の直径が厳密に同寸法で ないために車輪周長がそれぞれ異なることや,真円度 を出すことが困難であるために車輪の回転と共に誤差 が蓄積していくことが原因と考えられた。そのため,

製作した全方向型用のオムニホイールの直径及び真円 度の測定を図 1 に示す三次元測定器を用いて行い,寸 法の確認を行った。使用しているオムニホイールは 1 輪あたり 2 列のローラ配列を持つタイプであるので,

 

*1  機械電子研究所 

*2  財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 

(2)

測定はウレタン製と天然ゴム製の各 3 輪,計 6 輪 12 列分を行った。測定した結果を表 1 に示す。 

図 1  三次元測定器(Mitsutoyo LEGEX707) 

 

表 1  オムニホイールの測定結果  ホイールの測定結果 

質 

直径[mm]  真円度[mm] 

201.22  2.38  201.58  2.50  201.38  2.69  201.41  1.73  201.55  2.12 

ン 

201.26  2.07  201.15  2.38  201.39  1.80  201.54  2.58  201.24  2.11  201.77  2.30 

ム 

201.50  1.84   

測定の結果,オムニホイールの直径は大きな差では ないものの各列毎に差があった。真円度については,

2[mm]前後という結果であった。 

また,移動ユニット自体の組立精度を測定するため に,ホイールを本体に取り付けた状態での各ホイール と地面の関係,ホイール同士の位置関係を測定したが,

設計値との寸法差は僅かしかなく,組立精度は移動誤 差の原因ではないと考えられた。 

以上の結果より,H16 年度開発の移動ユニット試作

機の移動位置変化の原因としては,直径の差や真円度 が悪いため,車輪の回転ごとに生じる誤差が蓄積した ことが原因であると推測された。 

2-2  移動ユニットの数値解析による特性解析 

移動位置の誤差の蓄積を防ぐには,ジャイロセンサ や超音波センサ等によって自己位置や周辺環境との相 対位置を割り出すことで補正する手法を用いなければ ならないが,それらの補正量を出来るだけ低くするた めにも移動ユニット設計・製作時に機械的精度を高め ることが必要である。しかし,全ての部品の高精度化 は部品の加工コストを高めてしまう。そのため,移動 ユニットをモデル化し解析を行うことによって精度が 必要な箇所の絞込みを行った。解析では,オムニホイ ール半径,ホイールの取付角度やユニット中心からの 位置について寸法値を変化させることで,各値が移動 位置へ与える影響について調べた。 

解析に用いた全方向型移動ユニットのモデルを図2

 

に示し,数式モデルを以下に示す。 

図 2  全方向型移動 ットのモデル   

ユニ

3 3 3

3 3

3

2 2 2

2 2

2

1 1 1 1

1

r 1

cos )

90 cos(

) 90 sin(

cos )

30 cos(

) 30 sin(

cos )

30 cos(

) 30 sin(

α φ α

α ω

α φ α

α ω

α φ α

α ω

&

&

&

&

&

&

&

&

&

L y x

r

L y x

r

L y x

m m

m m

m m

+ +

° + +

°

=

+ +

°

− +

°

=

+ +

° + +

°

=

 

ここで,オムニホイール半径を

r

,ユニット中心か

m

ホイールまでの半径設定値を

L

,ホイール取り付け 誤差角を

α

とし,

x

m

x m

方向のユニットの速度,

y

m

y

方向のユニットの速度としている。ホイールは三等配 置なので

θ

は30°である。このようなタイプの移動ユ ニットの研究は過去に行われている が,本研究のよ うに取付誤差や寸法誤差を加味した研究はない。 

解析は

r

L

α

のそれぞれの値を変化させた場合

1)

置移動量へどの程度影響を与えるかの計算をそれぞ

(3)

れ行い,移動ユニットがその場で10回転した際に中心 がどの程度移動するかを計算した。移動量は

x

方向へ の移動量と

y

方向の移動量,及び移動ユニット中心の 直線移動量について解析した。解析結果は,縦軸を移 動ユニットの移動量[mm]とし,横軸を各パラメータと し,図3〜6に示す。また,共通の凡例を表2に示す。 

 

表2  凡例番号と移動方向の対応 

① 

x

方向移動量 

② 

y

方向移動量 

③  移動ユニット中心の直線移動量   

  ホイール半径の変化と移動位置精度の関係 

    関係 

 

  ホイール取付誤差角と移動位置精度の関係 

 

     

 

  半径設定値と移動位置精度の関係 

定値と移動

動量の関係   

3  数値解析の有効性の検証 

を行ったが,2-1 節に

2-2-1

ホイール半径の変化と移動位置精度の関係を調べる めに,3 個ある内の 1 つのホイール半径

r 1

を 99〜

101.5[mm]まで変化させた場合(

r 2

=

r 3

=100)について 解析を行い,結果を図 3 に示す。結果より,ホイール 半径が 1[mm]変化すると,移動ユニットの中心が 100[mm]移動することから,ホイール半径が変化す と移動ユニットの位置精度に大きな影響が出ることが 分かった。 

                 

図3  ホイール半径

r

の変化と        移動ユニット位置移動量の

2-2-2

ホイール取付誤差と移動位置精度の関係を調べるた に,ホイール取付誤差角

α 1

のみを,−2.0〜2.0  [deg]まで変化させた場合の解析結果を図 4 に示す

α 2

=

α 3

=0 [deg])。この結果より,ホイール取付 差角

α

の変化に関しては,特に大きな誤差でなければ 移動ユニットの移動位置精度への影響は少ないことが 分かった。 

 

               

図4  ホイール取付誤差角

α 1

の変化と          移動ユニット位置移動量の関係

2-2-3

ユニット中心からホイールまでの半径設

置精度の関係を調べるために,半径設定値

L

を 260

〜267[mm]間で変化させた場合の結果を図 5 に示す

L 2

=

L 3

=263.5[mm])。解析の結果,

L

の値が 1.5[mm]変 化すると,移動ユニットの中心が 60[mm]近く移動し た。従って,半径設定値

の変化は移動位置精度へ大 きな影響を与えることが分かった。 

                   

図5  半径設定値

L

の変化と  移動ユニット位置移

2-

2-2 節はモデルを用いた解析

測定したH16 年度に八幡電機精工(株)にて製作し た移動ユニット実機の寸法測定結果をモデル式に代入 し,ユニット中心のズレ量の計算を行い,解析結果と 実機の移動実験結果との比較を行った。モデル式に代 入する値は,実機の測定結果より,

α 1

=−0.18

°

α 2

=

α 3

=0

°

L 1〜3

=263.5mm,

r 1〜3

は,ウレタンオムニ

ールの測定データから各ホイールのローラ 1 個毎に -200

-150 -100 -50 0 50 100 150 200

99 99.5 100 100.5 101 101.5 ホイール半径r

1

[mm]

移動ユニ]

-8.0 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0

-2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 ホイール取付誤差角

α 1

[deg]

ニットの移]

ットの移動量[mm 移動ユ動量[mm

-150 -100 -50 0 50 100 150 200

260 262 263.5 265 267 半径設定値

L 1

[mm]

移動ユニットの移動量[mm]

(4)

ホイールの平均半径を出し,さらに自重によるローラ 変形量(1.2mm実測値)を考慮した値を用い,全方向 型ユニットをその場で 1 回転させた場合の中心移動量 の計算を行った。結果のグラフを図 6 に示す。 

                   

図6  移動ユニット回転時の中心移動量   

解析の結果,移動ユニット1回転させた場合の中心

とめ 

に八幡電機精工(株)にて製作した全方向

 

謝辞 

は,(株)安川電機,八幡電機精工(株),福

参考文献 

,  Y.SHIRAISHI,  S.TZAFESTAS,  J.TANG,  動量は,(Δx, Δy)=(-1.3, 1.5) [mm]となり

実機を用いた走行試験結果に近い数値であった。した がって,その場で回転させる動作の場合では,この解 析モデルが有効であることが分かった。 

  H16年度

動ユニットの移動位置精度の問題を解決するために 移動ユニット実機の三次元測定機によるオムニホイー ルおよび移動ユニットの組立精度の測定と,移動ユニ ットをモデル化し数値計算による特性解析を行った。 

オムニホイールの測定の結果,オムニホイールの直 は大きな差ではないものの各列毎に差があった。真 円度については,2[mm]前後という結果であった。 

解析による検討では,オムニホイール半径

r

,ホイ ルの取付誤差角度

α

や,ユニット中心からホイール までの半径設定値

L

の寸法値を変化させることで,各 パラメータが移動位置へ与える影響について調べた。

その結果,ホイール半径が変化すると移動ユニットの 位置精度に大きな影響が出ることが分かった。また,

ホイール取付誤差角は,移動位置精度への影響は少な いことが分かった。さらに,半径設定値

L

の変化は移 動位置精度へ大きな影響を与えることが分かった。 

従って,移動ユニットを設計する際に特に精度が必 とされる箇所は,ホイール半径,ユニット中心から

ホイールまでの半径設定値であることが分かった。 

また,解析の有効性を確認するために,移動ユニッ 実機の寸法測定結果を用いた解析を行い,実機の移 動実験結果との比較を行った。その結果,実機での実 験結果に近い値を得ることが出来,その場で回転させ る動作の場合では,解析が有効であることを確認した。

 

-2.0 -1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

0 35 69 104 138 173 208 242 277 312 346

ユニットの回転角度[deg]

ットm

本研究

県工業技術センターの産官連携プロジェクトとして H16年度ロボット産業振興会議ロボット開発技術力強 化事業助成金の交付を受けてH16年9月からH18年3月ま での期間実施したものであり,研究にご協力頂きまし た各位に厚く御礼申し上げます。 

 

1)K.WATANABE

T.FUKUDA:  Journal  of  Intelligent  and  Robotic  Systems, Vol.22, pp.315-330(1998) 

動ユニの移動量[m]

参照

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