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「難病疫学研究班」より「運動失調症政策班」への研究協力について

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金  難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)

運動失調症の医療基盤に関する調査研究班  分担研究報告書

「難病疫学研究班」より「運動失調症政策班」への研究協力について

研究分担者:大西  浩文     札幌医科大学医学部公衆衛生学講座

研究要旨

「難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究」班(「難病疫学研 究班」)は、「予防要因の解明」、「予後の解明」、「頻度分布の解明」の 3 本柱を目的 とし、全国の公衆衛生学、疫学研究者を中心とした研究班である。以前より着手し ている研究の継続以外に、本研究班の研究分担者・研究協力者を臨床班とのリエゾ ンとして配置し、臨床班と共同して疫学研究を進める体制を構築することも目的の 一つとしている。今年度より「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(運動失 調症政策班)に加わり、研究協力を行うことになるが、現在進行中のJapan consortium

of Ataxias(J-CAT)の特に自然史研究に関しては疫学班と共通する研究手法であり、

研究協力の可能性が考えられる。今回は今後の研究協力の可能性について報告する。

.研究目的

「難治性疾患の継続的な疫学データの収 集・解析に関する研究」班(以下、「難病疫学 研究班」)では、研究班の研究分担者・研究協 力者を臨床班に疫学リエゾンとして配置し、

臨床班と共同して疫学研究を進める体制を構 築することを目的の一つとしている。今年度 より、「運動失調症の医療基盤に関する調査研 究班(以下、「運動失調症政策班」)に加わっ たことから、今後の協力の可能性について報 告する。

.研究方法

難病疫学班においては、難治性疾患の患者 に関する疫学データの継続的な収集・分析を 行うことにより、難治性疾患の(1)予防要 因の解明、(2)予後の解明、(3)頻度分布 の解明を目指すこと、特定の難治性疾患を研 究対象とする臨床研究班と協力し、これらの

3課題に関する研究を実施していくことを目 的としている。症例対照研究を主体とした予 防要因の解明、全国疫学調査を主体とした頻 度分布の解明、疾病登録・患者追跡を主体と した予後の解明を行うための研究を進めてき ており、これらの経験を生かして臨床班で行 われる疫学研究に協力していくことになる。

運動失調症政策班では、現在、脊髄小脳変 性症(SCD)を対象に、1)必要な臨床情報を 伴う患者登録、2)遺伝子検査による診断精度 の向上、3)重要な病型の前向き自然歴調査、

4)遺伝子診断未確定における分子遺伝学的研 究を目的とした、Japan consortium of Ataxias

(J-CAT)の構築に向けた準備が進んでいる。

患者登録システムに関しては、既に筋疾患を 対象としてクラウドサーバーを用いた Web 患者登録システムが構築されており 1)、この システムを用いた登録を行うよう準備を進め ている。研究班協力施設、国立精神・神経医

(2)

療研究センター(NCNP)、難病情報センター、

患者友の会を通じての情報公開を行い、1,000 例を目標として登録を進める方針である。

臨床情報としては、診断名、発症年齢、初 発症状、家族歴、modified Ranking Scale、一 般 身 体 所 見 、 神 経 学 的 所 見 、Scale for the assessment and rating of ataxia (SARA)、unified MSA rating scale ( UMSARS )、 Motor Examination Scale、自律神経検査、血液検査、

髄液検査、画像検査所見を登録する。

登録後の追跡調査として、clinical research coordinator (CRC)がかかりつけ医療機関に定 期的な臨床情報の確認を行うことや、患者本 人にも電話インタビューを行っていく予定で ある。

(倫理面への配慮)

文部科学省・厚生労働省の「人を対照とす る医学研究に関する倫理指針」に基づき、十 分な倫理的配慮を行う方針である。J-CAT に ついては本年度、既に国立精神・神経医療研 究センターの倫理審査委員会の承認を得てい る。

.研究結果

J-CATは平成26年度より準備を進め、現在

までにWeb患者登録システムの構築、遺伝子 検査体制整備、プロトコールの作成および倫 理審査まで終了している。本格登録の開始に 向けて、説明資料やホームページの作成、ま たCRCのリクルートとトレーニング・バリデ ーション、追跡調査プロトコールの作成が今 後の作業として残されている。

.考察

  J-CAT の「自然歴調査」は、難病疫学研究

班の目的の一つである患者登録・自然歴調査 による「予後の解明」に該当することから、

本研究の準備段階からメンバーとして参画し、

円滑な研究遂行のため協力していく方針であ る。

  J-CATの患者登録の方法としては、SCD患

者が主体的に Web 上からシステムに登録し て参加することが可能になっている。医療機 関が主体となるレジストリ研究においては、

他疾患への罹患や転居・転院などのイベント のため登録時の医療機関の通院が中断となる ような場合に脱落となりやすいことや小さな 医療機関に通院中の患者が登録されにくいと いうデメリットがあるが、患者主体の登録が 行われる場合にはこうしたデメリットを解決 できる可能性が考えられる。ただし、患者主 体の登録方法だけでは、比較的罹病期間の長 く、疾病に対する知識があり、レジストリ研 究の重要性に理解のある患者中心の登録とな る可能性や新規診断例が登録されにくいと考 えられ、研究結果に選択バイアスの影響を受 ける可能性がある。そのため、運動失調症政 策班の班員の所属施設を含めた国内の主要な 医療機関の協力を得た登録も合わせて進めて いくことになる。

  その他にも登録対象者における選択バイア スの低減、ベースラインデータの欠損の予防、

追跡データ欠損の予防、脱落の偏りの防止に 向けた対策について検討する必要がある。ま た、CRCによる追跡調査方法や確認する情報 内容についての検討にも協力していく。

.結論

  J-CAT は遺伝子情報を含めた全国規模の患

者登録研究であり、遺伝学的未診断例の診断 確定や重要な病型の自然歴の解明という重要 な役割を果たすプロジェクトである。患者登 録数の増加や追跡率の確保などに加えて、登 録作業の簡便化や参加者のインセンティブ等 も考慮して継続性の高い登録システムとなる

(3)

よう検討を進めていくことが重要であり、今 後も引き続き協力を行っていく方針である。

[参考文献]

1) Nakamura H, Kimura E, Mori-Yoshimura M, Komaki H, Matsuda Y, Goto K, Hayashi YK, Nishino I, Takeda SI, Kawai M.Characteristics of Japanese Duchenne and Becker musclar dystrophy patients in a novel Japanese national registry of muscular dystrophy (Remudy).

Orphanet J Rare Dis. 2013; 8: 60.

.健康危険情報 なし

G.研究発表(2014/4/1〜2015/3/31発表)

1.論文発表

なし

2.学会発表

なし

.知的財産権の出願・登録状況 なし

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