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「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」への研究協力

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Academic year: 2021

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- 122 - 

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)) 

難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究(H29-難治等(難)-一般-057 )  分担研究報告書 

 

「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」への研究協力

〜J-CATの進捗状況について〜

 

       

研究協力者:大西  浩文(札幌医科大学医学部公衆衛生学講座)

   

 

研究要旨:「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班(政策班)」への研究協力に ついて、現時点での進捗状況について報告する。運動失調症政策班では、脊髄小脳変 性症患者を対象に、

1)必要な臨床情報を伴う患者登録、 2)遺伝子検査による診断精度の

向上、

3)重要な病型の前向き自然歴調査、 4)遺伝子診断未確定における分子遺伝学的研

究を目的とした患者登録システムである Japan consortium of Ataxias(J-CAT)を進めて いる。2017

1

月より患者登録が開始され、2018

11

月時点までで 719例が登録さ れ、そのうちゲノム

DNA 482

検体、解析結果報告済み 323例となっている。今年度は、

日本神経学会と運動失調症政策班の監修で、『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガ イドライン

2018』が刊行され、その中に遺伝子検査先として J-CAT

の記載があること も登録件数の増加に影響していると考えられる。遺伝型の未診断例の登録が中心であ ることから、脊髄小脳変性症の頻度分布の検討は難しいものの、今後重要な病型につ いての予後調査の検討が進んでおり、今後も継続的な支援を行う予定である。

   

A.研究目的 

  本研究班においては、研究分担者・研究協 力者を臨床班に疫学リエゾンとして配置し、

臨床班と共同して疫学研究を進める体制を構 築することを目的の一つとしている。現在、

協力している「運動失調症の医療基盤に関す る調査研究班(以下、運動失調症政策班)に おける進捗状況について報告する。 

B.研究方法 

 

Japan consortium of Ataxias(J‑CAT)

は、必要な臨床情報を伴う患者登録、遺伝 子検査による診断精度の向上、重要な病型 の前向き自然歴調査、遺伝子診断未確定に おける分子遺伝学的研究を目的とする全国 患者登録研究である。既に筋疾患を対象と してクラウドサーバーを用いた Web 患者登 録システムが構築されており

1)

、このシス テムを用いて 2016 年 11 月より登録が開始 されている。患者本人あるいは主治医が Web 上で登録を行い、主治医が診断、検査 結果、SARA score 等の臨床情報を登録する。

登録医療機関に対して採血キットが送付さ

れ、採血後に国立精神・神経医療研究セン ターで遺伝子検査が行われる。また、重要 な病型については SARA score による運動失 調症状の進展や生命予後についての自然歴 も検討されている。

 

 

(倫理面への配慮) 

 

J-CAT

に関しては、文部科学省・厚生労働

省の「人を対照とする医学研究に関する倫理 指針」に基づき、十分な倫理的配慮を行う方 針である。本年度、既に国立精神・神経医療 研究センターの倫理審査委員会の承認を得て 行われている。

C.研究結果

 

2016

11

月より患者登録がスタートし、そ の後順調に登録数は増加している。2018

12

月時点では

719

例が登録され、そのうちゲノ

DNA 482

検体、解析結果報告済みが

323

となっている。登録患者の内訳は、男性

52%、

女性

48%で、登録患者の年代としては 50-60

歳が最も多く、一般的な年齢分布となってい る。遺伝型スクリーニングの内訳としては、

(2)

- 123 -  SCA31

12.9%、 SCA6

12%、 MJD

10.3%、

DRPLA

2.9%の順に多く、 Unknown

57.9%

となっていた。疫学的には

2/3

が孤発性、1/3 が遺伝性であるが、登録患者においては孤発 性:遺伝性がおよそ

1:2

であり、逆転している 結果となっていた。

D.考察

  患者登録数が順調に伸びている理由として は、第一に学会や患者会を通じて登録に関す る周知を行っていること、第二に

2018

5

に日本神経学会と運動失調政策班の監修で

『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイド ライン

2018』

2)が発刊されており、Clinical

Question 4-13

として、「脊髄小脳変性症, 痙性 対麻痺の遺伝学的検査はどこで実施している か」が設定され、脊髄小脳変性症の患者登録

・遺伝子検査・自然歴調査

J-CAT,

痙性対麻痺 の系統的全国調査・ゲノム解析

JASPAC

にお いて, 多施設共同研究による遺伝子検査体制 が整備されている。遺伝子検査サービスを行 っている検査会社もあるとの記載があり、こ れをみて登録が進んでいる可能性も考えられ る。

  また、疫学的には

2/3

が孤発性、1/3が遺伝 性であるが、登録患者においては孤発性:遺 伝性がおよそ

1:2

であり、逆転している結果と なっていた理由として、上記のようにガイド ラインにおいても遺伝学的診断未確定例に

J-CAT

への登録を進めていることから、遺伝

性の頻度が高くなっていると考えられる。現 在の登録の状況では、こうしたバイアスの影 響があることから、頻度分布の検討は難しい と考えられる。

 

SCA31

のような重要な病型について、自然

歴調査が検討されており、遺伝型未確定例に ついて検査で確定された対象に加えて、すで に確定されている症例も積極的に登録するこ とにより、比較的大規模な患者コホートが設 定できると考えられる。アウトカムは

SARA

score

や全死因死亡が考えられるが、SARA

score

は神経内科専門医によって行われる運動

失調検査に基づくものであり、介護施設への 入居や一般内科医による診察となるとアウト カムデータの収集が困難になることから、電 話での聞き取りも可能な

ADL

調査等も含めて 現在検討中である。

E.結論

 

J-CAT

は、遺伝型の未診断例の登録が中心

であることから、脊髄小脳変性症の頻度分布 の検討は難しいものの、今後

SCA31

といった 重要な病型についての予後調査の検討部会が 設置されたことから、今後も引き続き協力を 行っていく。

参考文献

1

)Nakamura H, Kimura E, Mori‑Yoshimura  M, Komaki H, Matsuda Y, Goto K, Hayashi  YK,  Nishino  I,  Takeda  SI,  Kawai  M. 

Characteristics of Japanese Duchenne and  Becker  musclar  dystrophy  patients  in  a  novel  Japanese  national  registry  of  muscular  dystrophy  (Remudy).  Orphanet  J  Rare Dis. 2013; 8: 60.

2)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイ

ドライン」作成委員会編. 脊髄小脳変性症・

多系統萎縮症診療ガイドライン

2018.

南江 堂, 東京, 2018.

F.研究発表 1.論文発表    なし 

2.学会発表    なし 

(発表誌名巻号・頁・発行年等も記入) 

G.知的財産権の出願・登録状況 

(予定を含む) 

1.特許取得    なし   

2.実用新案登録    なし 

 

3.その他    なし 

     

 

参照

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