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同 時 方 程 式 モ デ ル と そ の 計 測 方 法 の 展 開 に つ い て

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(1)

│ 手 法 の 開 発 か ら モ デ ル の 大 型 化 ま

1l

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

一計量経済学の危機

二同時方程式モデルの開発 三計測方法の展開

四政策分折への適用

五計量経済学的手法の問題点

計 量 経 済 学 の 危 機

計量経済モデルの作成と︑経済予測ならびに経済政策分析へ

のその適用は︑今日︑先進資本主義諸国の政府機関ならびに民

間経済研究機関において︑ほほ日常業務としての定着をみせて

いる︒本稿の目的は︑このように普及している計量経済学的手

法の成立過程を歴史的にあとづけることである@

戦後︑近代経済学において支配的であった理論的潮流は︑ア

メリカ・ケインズ主義と計量経済学である@それらは︑それぞ

れ理論面と実証箇とを任務分担したかのように︑相ともない相

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

補って歩んできな︒しかし︑一九七0年代に入り︑世界経済が

インフレ︑資源危機︑国際通貨危機という相つぐ深刻な社会・

経済的危機におびやかされるようになって︑事態は変ってく

る︒資本主義のもとでも適当な財政金融政策によって経済過程

を効果的に制御するならば長期にわたる均衡成長を達成できる

と主張してきたアメリカ・ケインズ主義は︑その理論的破産を

おおい隠すととが不可能となってきたのである︒

こうしてアメリカ・ケインズ主義にたいしてはマネタリスト

( 1 )  

や合理的期待派などが批判の声をあげているように︑計量一経済

学においてはケインズ主義を理論的基礎としたマクロ計量モデ

ルにたいし不信の戸があがっている︒従来から計量モデルによ

る予測成績がかんばしくないことに頭を悩ませてきた一部の計

量経済学者は︑こうした事態に直面して︑さらに動揺の度を深

め︑計量経済学の方法的到達点である同時連立方程式体系によ

って経済過程を説明するという従来の方法にたいして︑公然と

二二

(2)

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

A

2疑問を投げかけるまでにいたっているQ

同時方程式モデル方式に基づいてはじめて作成されたマクロ

計量モデルは︑一九五O年の﹃クライン・モデル﹄であったQ

このモデルでは一六本の方程式が用いられていたに過ぎなかっ

たが︑このモデルに端を発するケインズ型マクロ計量モデル

は︑その後︑﹃多部門モデル﹄︑﹃世界経済モデル﹄というよう

に次第に大型化の傾向を強めてきた︒その今日的到達点である

﹃世界経済モデル﹄では突に千本以よもの方程式が用いられる

(3

) 

ものとなっている@

しかしながら︑モデルのこうした大型化は予測成績の向上へ

と結びつくことはけっしてなかった@近年︑予測成績が同程度

であるならばそデルは小型である方が良いという﹁ケチの原

(4

V 

理﹂(℃門戸宮門

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‑ )

を提唱する計量経済学者が増

えているのは︑この点の反省からきているわけである︒

では︑マクロ計量モデルは何故そうした反省が生まれるほど

までに大型化をみせねばならなかったのであろうか︒一国規模

のモデルとして大型化が飛躍的に進められた﹃多部門モデル﹄

は︑国民所得決定モデルと産業連関モデルをリンクさせたもの

であり︑その開発目的はマクロの政策とミクロの政策の諸効果

を整合的に分析することであった︒また︑最近流行している

﹃世界経済モデル﹄は︑海外取引部門を通じて各国経済のマク

ロ計量モデルをリンクさせ︑変動激しい海外要因を内生化し︑

囲内要因と海外要因との聞のフィード・パック構造をとらえよ

一 一 一 一

うとするものである︒

この限りでいえば︑モデルの大型化は︑取り扱う経済量を増

加させることによって分析内容を精激化させるための試みであ

ったということになる︒ところが︑モデルの大型化にたいして

必ずしもこのような評価を下し難い事態が生じているのは一体

何故であろうか︒

計量経済学の歴史を振り返ってみると︑同時方程式モデルに

たいする不信の戸は︑一部の計且一旦経済学者の聞でその開発当初

から存在していた@そして︑そうした批判を考慮すべく︑パラ

メータの推定方法などの面において同時方程式モデルは二疋の

変遷を見せてきている︒

こうした点かhりすれば︑同時方程式モデルはその開発当初か

ら何らかの国難をかかえていたと見なければならないであろ

う︒そして︑もし︑そうした図難の克服を目指した手法上の展

開のひとつの帰結として︑モデルの大型化という事態が生じて

きたのであるとすれば︑モデルの大型化によってただちに分析

内容が精激化するとはにわかには結論づけられないことにな

Qなぜならば︑その場合には︑同時方程式モデルのかかえて

いた困難が何であり︑それは今日では克服しえたのかどうかと

いうことがまず第一に問題になってくるからである@

こうして︑計量経済学の最近の混乱がどの程度深刻であり︑

また︑その将来展望がどうであるかを考えるにあたっては︑同

時方程式モデルを中心とする計量経済学的手法の歴史的成立過

(3)

程をあとづけ︑その特徴と問題点を整理しておくことが必要不

可欠の課題となっているのである︒

( 1 )

・・JRE‑ル1カλT︑

・ サ

lジエント等の合理的期待派に

よるアメリカ・ケインズ主義批判が近代経済学者の問に急速な浸透

を見せえたのは︑彼らの批判が一定のマグロ計量モデルに依拠して

展開されたからであった︒このように︑アメリカ・ケインズ主義ば

かりでなく︑新古典派理論への回帰を目指す潮流までもが︑計量分

析法への傾斜を強めているところに︑最近の近代経済学の特徴のひ

とつ

があ

る︒

( 2 )

逐次方程式モデルを擁護する見地︑単一方程式モデルを擁護す

る見地などから︑これまでも同時方程式モデルにたいする疑問は出

されてきていた︒最近の批判は︑多変数自己回帰モデルU

時系

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V﹃ケインズ派マクロ経済学を超

えて﹄(週刊東洋経済﹁近代経済学シリーズ第五

O

号﹂昭和五四年

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)︒

( 3 )

本文に掲げた三つのモデルは︑すべて︑L・R

・ク

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ンに

って︑あるいは︑彼の指導のもとに開発されたものである︒戦後︑

位界各国で作成されたマクロ計量モデルの多くは︑基本的には︑こ

れらを模倣したものである︒

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・を契機に︑多変数自己回帰そデルが計量

経済学において台頭してきているが︑いわゆる﹁ケチの原理﹂は︑

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

直接的には︑このモデルにおけるラグ次数の決定という方法上の要

請から生まれてきたものである︒

この具体化としては︑例えば︑﹁赤池の情報量基準(AICどの

適用

があ

る︒

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・ 同 時 方 程 式 モ デ ル の 開 発 計量経済学が一九二九年恐慌の落し子であることは︑今日よ く知られているところである︒一八七

0年代の限界革命以来の

﹁純粋経済学﹂がその理論的抽象性ゆえに現実経済の諸問題に

何ら具体的にコミットしえないことにたいする反省から︑抽象 的経済関係式の統計的計測をもとめる声は︑すでに前世紀末か

1

)

ら存在していた︒

そうした戸を背景に︑一九一0年代に入ると︑

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シュルツ等により︑個別商品の需要曲線の統計的計測が開

︿2

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︑ そ れ は

︑ さ ま ざ ま な 問 題 点 を か か え て お

り︑けっして大きな潮流といえるものではなかった︒

ところが︑大恐慌の発生により事態は変ヨてくる@経済学の 操作性を高めねばならないとする気還がいよいよ高まり︑その 頂点に達するのである︒その結果︑経済関係式の計測に生物学 の分野で開発された回帰分析法を利用するというム

1

アの方法

二二七

(4)

悶時方程式モデルとその計測方法の展開について

が多くの経済学者の注目を浴び︑

R ‑

フリッシヰ寺の努力によ

り︑経済理論に基づく統計的研究を組織的かつ大規模に推進す

ることを目標とした国際的学会組織U計量経済学会が創立(一

(3

九三

O年﹀されることになる︒

4)

w

・レオンティエフが計量経済学の﹁疾風怒議の時代﹂とよ

んだように︑計量経済学会創立後のはじめの一0年間は︑需要

曲線︑供給曲線︑生産関数︑景気循環モデル等の単一方程式モ

デルの計測が文字通り熱狂的に進められた︒しかし︑そうした

実践の結果︑この時期には︑単一方程式アプローチが計測結果

の認定にまつわる問題をかかえていることが明らかになるので

ある

そこで︑一九四

Q

年代に入ると︑それを克服するための研究 ︒

に計量経済学の力点が移り︑

T ‑

l

ヴェルモにより同時方程

式モデルという新しい体系的モデル・ビルディングの方法が開

発される︒そして︑一九四0年代の後半には︑

T

c

・ク

l

マンス等のシカゴ大学コiルズ委員会のメンバーにより︑それ

が数学的にも精激化されてくる︒こうして︑一九四0年代末に

は︑計量経済学は新たな方法の適当な応用舞台を捜すばかりの

態勢に入ったのである︒

ところで︑ホ

i

ヴェルモが同時方程式モデルを開発したの

︿5は︑直接的には︑フリッシュの﹃合流分析﹄(一九三四年﹀に

おける多元回帰モデルの計測方法の欠陥を克服するためであっ

9そこで︑ここでは︑まず︑開発当初の同時方程式モデルの 二二八

特徴を明らかにするため︑フリッシュによる多一冗回帰モデルの

計測方法がいかなる問題をかかえ︑ホiヴェルモがそれをどの

ように克服したのかという点から考察をはじめることにした

フリッシュが設定した多元回帰モデルは次のようなものであ

る ︒

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フリッシュは︑観祭変量し

F

の一部分しベデの間に線形関係

が存在すると仮定している︒すなわち︑モデルにおける関数型

の線形性と変数の結合様式の加法性とが︑フリッシュの試みの

基本的仮定となっているのである︒

フリッシュは︑各観察変量はそれぞれ誤差部分同ミ止を含ん

でいるとみなければならないと考え︑被説明変数の方向にのみ

偏差をとる通常の多元回帰法を退け︑①式のパラメータを対角

(6

) 

線回舟法を用いて推定しているq

ところで︑この場合の誤差部分しさ主であるが︑@︑③式か

ら明らかなように︑これは︑統計調査という一種の社会的実践

河内﹁

(5)

の結果として得られる経済統計資料に国有のいわゆる﹁統計の

誤差﹂とは異なり︑モデルを線形式として特定化することによ

って生じた︑いわばそれからの残差としての意味をもつもので

ある︒したがって︑対角線回帰法によるパラメータの推定結果

が科学的意義をもつかどうかは︑何よりもまず︑上記の碁本的

仮定が現実妥当性をもつかどうかにかかってくるのである@

フリッシュが推定結呆の信頼度の基準として掲げているの

は︑重相関係数であり︑方程式の標準偏差である︒すなわち︑

童相時四係数が一に近くなることをもって︑また︑方程式の標準

偏差が

O

に近くなることをもって︑計測結果を許容するための

根拠にしようとするのである@

だが︑そうすると︑一定の一ア

l

タ期間においては許容された

はずのモデルが他の期間においては許容されなくなるという問

題が生じてくる︒というのは︑使用する時系列デ

l

タの期間を

変えれば︑他の説明変数をモデルに組み入れた方が上記の基準

をより良好に満たすようになるという事態が︑しばしば発生す

るからである@このように︑フリッシュが採用した基準はあく

までも時間

( U

デi

タ期間)に関して相対的な評価基準であ

(7

) 

り︑少なくとも︑これらをもって先の基本的仮定そのものを正当化することは不可能である@

それゆえ︑フリッシュの試みじおいては︑先の基本的仮定は

ひょっの前提事項に他なちないのであるQ逆にいえば︑それら

の妥当性それ自体を経験的に明らかにすることが不可能である

問時方程式モデルとその計測方法の展開について にもかかわらず︑あたかもそれが実証可能であるかのように扱おうとするところに︑フリッシュの試みの最大の問題点があるということになる︒

ところで︑フリッシュ自身は︑みずからの方法の欠陥をこの

ようには認識しなかったが︑それでも︑上記の基準を採用する

ことによってモデルの計測が不可能となる場合があることは認

めざるをえなかった@というのは︑重相関係数が高く︑また︑

方程式の標準偏差が小さくなることをもってモデルの妥当性の

根拠にしようとすると︑説明変数の全部または一部に高い相関

関係が存在する場合には︑そこにも線形方程式が存在すると見

なければならなくなる︒そして︑もしこのようにモデルの一部

に他の線形方程式が合流するという事態が実際に生じていると

すれば︑回帰係数は不定形となり︑同帰法によってもとのモデ

ルを計測することは原理的に不可能となってしまうのである︒

( 8 V  

フリッシュは︑これを多重共線性の問題と名づけ︑多重共線

性を発生させるような変数をあらかじめ取り除くための手法と

(9

) 

してパンチ・マップ法という方法を提唱しているQ

すな

わち

との方法により多重共線性が発生していないことを確認した上

で︑対角線回帰法によりモデルを計測するというのが︑フリッ

シュの方法の基本的な方針となっていたわけである︒

以上が︑フリッシュの方法の概要であるが︑すでに述べたよ

うに︑こうした試みにたいして疑問をいだいたのが︑フリッシ

ュの弟子のホ

l

ヴェルモであった︒彼は︑フリッシュのいう合

ニ ニ 九

(6)

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

流の問題を一般化し︑説明変数の全部または一部にではなく︑

計測しようとする関係式全体に︑変数が全く同一である他の関

係式が合流しているとすればどうなるのかという問題を提起し

たの

であ

る︒

もし︑そのような事態が生じているとすれば︑回帰法によっ

てパラメータが決定されたとしても︑ぞれがいかなる関係式で

あるのかは認定不可能であることになる︒これは︑パンチ・マ

ップ法で多重共線性の発生が一示されなくとも︑また︑方程式の

標準偏差が

O

になったとしてもそうである@したがって︑フリ

ッシュの方法では︑計測結果が計測対象としての関係式である

ことを認定しえないのではないか︑というのがホ

l

ヴェルモの

(川川ぜ指摘であった︒

このホ

l

ヴェルモの指摘は︑計且一旦経済学にとっては大変深刻

な問題提起となった︒なぜならば︑ホ

l

ヴェルモのごとく考え

れば︑いかなる回帰法を用いようとも単一方程式モデルとして

の多元回帰モデルが計測できたことを確認することは不可能と

なってしまうからである︒

このような問題を克服するためい︑ホーヴェルモは︑同時方

程式モデルという新しい体系的モデル・ビルディングの方法を

開発した@これは︑﹃連立方程式体系の統計的意味﹄(一九四一二

年﹀で提唱され︑翌年の﹃計量経済学における確率的接近法﹄

( ロ ﹀

において方法論的に一一層厳密に論じられている︒

このホIヴェルモの方法は︑その後︑コールズ委員会のメン

二三

O

パーによって︑パラメータの推定方法︑モデルの認定方法など

の面において︑一一層数学的に精綾化されてくるQ

その

成果

は︑

( ロ ﹀

主に︑同委員会モノグラフ・シリーズ第一O号(一九五ワ年)

にまとめられている︒とうして︑今日では︑同時方程式モデル

といえば︑ホ

l

ヴェルモの名を冠するよりも︑むしろコ

i

ルズ

委員会の方法としてよく知られたものとなっているのである︒

そこで︑次に︑ホ

i

ヴェルモによって開発され︑コールズ委

員会のメンバーによって精激化された同時方程式モデルの計測

方法の特徴を見てみるととにしたい︒

同時方程式モデルは一般的には次のように設定される︒

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ここにいう︑同時従属変数とは当期の内生変数をさし︑先決変

数とはラグ付内生変数と外生変数をきしている︒

このように︑モデルの外見的形態からいえば︑同時方程式モ

デルとは︑あらかじめ複数の関係式を連立方程式体系として設

定したものであるQこれが︑単一方程式モデルの単なる寄せ集

めと異なるところは︑先決変数という新しい範鳴の変数が導入

されているところにあろ︒これは︑パラメータの推定に際して

(7)

不可欠の役割を果す変数である@

計測結果の認定が不可能になるという意味で︑④式のパラメ

ータの推定には︑もはや最小二乗回帰法を用いることはできな

い︒そこで注目されるのが最大尤度法という方法である︒これ

は︑未知パラメータを変数とみなしと尤度関数が最太となるよ

うにパラメータの推定値を定めるという方法である︒ただし︑

この方法を適用するためには︑国況乱項叫に一定の仮定を設けね

ばならなくなる︒還常撹乱項叫は︑時系列的に独立な確率変数

であると仮定される︒そうすると叫が与えられた時のめの条件

付尤度関数は次のようになる︒

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さらに︑叫が多変量正規分布に従っていると仮定すると︑尤度

Lの対数は次のようになる︒

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問時方程式モデルのパラメータは︑このHUを最大にする値と

してもとめられる︒すなわち︑計測材料として使用する待系列

デiタが実現値として最大確率をもつようにパラメータの推定

値を定めるのである︒しかも︑こうして得られたパラメータの

同時方程式モデルとその計測方法の展開について 推定値に関しては︑その適否を検討することが可能となる@というのは︑最尤法によってもとめられるパラメータの推定量

l

最尤推定量は︑標本数を増やしていくと漸近的に正規分布に従

うということが数学的に証明されている@したがって︑この性

質に依拠するならば︑推測統計学の方法に基づくパラメータの

推定値の仮説検定を行うことが可能となるからである︒

こうして︑モデルを連立方程式体系として設定し︑上記のご

とく最尤法を適用するならば︑それらの係数パラメータをすべ

て同時

ι

決定することが可能となり︑しかも︑それらの適否を

検討することも可能となることから︑単一方程式アプローチが

かかえていた計測結果の認定不可能性という問題は克服される

ことになると見なされるようになるのである︒そして︑こうし

た点を理由に︑多くの計量経済学者が︑計量モデルはあらかじ

め同時速立方程式体系として設定するのでなければならないと

考えるようになるのである@

( 1 )

こうした意見の存在を裏づけるものとして︑次の二つを掲げて

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︿邦訳﹀﹃経済循環期の統計的研究﹄他地川虎三訳︑大鐙関︑昭和三

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ここで詳漣する余裕はないが︑計量経済学が今日直面している諸

国難は︑ムーア︑シユルツが底雨した困難と根本的には向一のもの

ε

いうことに注意を喚起しておきたい︒

(3

0

年代のアメリカにおいて︑﹁純粋経済学﹂の抽象性に

たいする反動として︑従来の経済理論を退け︑統計資料の蒐集整理

のみより現実に役立つ経済学を作り出そうとする潮流が︑WM

パ1

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3S・)︒これは︑いわゆるハーバード

.メソッドという︑時系列解析法に基づく景気予測法を生み出す︒

ところが︑この景気予測は一九二九年恐慌の予測に失敗してしま

う︒その結果︑経済理論を無視した統計的研究から︑経済理論に基

づく統計的研究へという方向性が強く打ち出され︑﹁理論的数量的

アプローチと経験的数量的アプローチの統一﹂(計量経済学会規約

第一条)とか︑﹁統計学︑経済学︑数学の一二者の統合﹂

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などと定義さ

れた計量経済学が生み出されることになっためである︒

ところが︑半世紀以上のちの今日︑持系列解析法のモデル分析版

である時系列モデル日自己回帰モデルが︑計量経済学の内部におい

て次第に台頭してきているのである︒このような﹁理論なき計測﹂

一 一 一 一 一

への悶帰現象は︑半世紀以上にわたる計量経済学の展開がその自己

規定通りのものではけっしてなかったということを何よりも雄弁に

物語っているということができる︒

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( 6 )

この着想は︑シユルツによろ直交回帰法の採用を引き継いだも

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直交回帰法︑対角線回帰法を採用していることでわかるように︑

経済統計資料の特殊性に対する彼らの配慮は︑残差部分を被説明変

数のみでなく会変数に帰着させるという限りでなされていることが

( 7 )

これらの基準が時間に関して相対的な評価基準であるというの

は︑使用するデータが時系列デ!タであるという事情によるのであ

って︑これらの基準それ自体のもつ性格であるというわけではな

( 8 )

多重共線性の問題は今日的問題でもある︒というのは︑次節で

ふれる誘導型方程式にこの問題が生ずると︑モデルの計測が不可能

となってしまうからである︒

9﹀この方法の概要は次のごとくである︒すなわち︑まず︑多元回

(9)

帰モデルを構成する個々の変数を交互に被説明変数とし︑他の変数

を逐一説明変数とすることによって︑単純回帰係数をすべての変数

についてもとめる︒次に︑そうしてもとめた単純回帰係数を二次元

の直交座標上でパンチH線来として表わし︑その開きヱムロを調で

もし新たな変数を追加することによってパンチが著しく開いてしま

うようであれば︑多重共線性が発生したと考え︑そうした変数を取

り除

くの

であ

る︒

ただし︑この方法は︑パンチがどの程度開けば多重共線性が発生

したと考えればよいのかという点では主観的判断に仰がねばならな

いという問題をかかえていた︒

(叩)この点については︑後の注(臼)に掲げた文献に所収のホlヴ

エルモの論文を参照されたい︒

出血

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B

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経済学における砲率的接近法﹄山田勇訳︑一橋大学経済研究叢書︑

昭和三

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日 目 一

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・38・

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

計 測 方 法 の 展 開 同時方程式モデルのパラメータは︑尤度関数を最大にする値 としてもとめられる︒しかしながら︑その解法は︑計算の実際 的可能怯という点からいうと大空大きな困難をかかえていた@

前節⑤式のひを最大にするパラメータをもとめるためには︑

V

を係数行列の要素内で偏微分して

O

とおいた連立方程式を解 かねばならないが︑これは次のような形の式となってしまう@

3 ' ω

一 色呉 国

H '

白山山

1 2

含切.劃汁叫.叫引

1l c

ωI MF

eF

こ の 式 の 仏 兵 切 お よ び

F d v p

は非常に複雑な非線形式とな り︑モデルの変数が多い場合には︑これを解くことは実際上不 可能である@

そこで︑同時方程式モデルのパラメータのより街便な推定法 というものが必要となってくるのである︒一九四

0

年代の後半 から一九六

0

年代の前半にかけて︑そのためのさまざまな推定 法が開発されてくるが︑その多くは︑次のような誘導型方程式

体系を利用するものであった︒

MJ

Il

切IH

吋岡崎十回

iM gh

これは︑前節④式の同時従属変数を先決変数と撹乱項とに関し

て解くことによって得られたものである︒この誘導型一方程式体

P N

一 一

一 一

(10)

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

系にたいして︑前節の①式は︑経済の構造を記述した方程式で

あるという意味で構造方程式体系とよばれている︒

まず︑同時方程式モデルを開発した当のホ

l

ヴェルモ自身で

あるが︑彼は︑誘導型最尤法とよばれる特殊な方法を提唱して

いる@これは︑誘導型方程式体系のパラメーター誘導型パラメ

ータをあらかじめ最尤法によって推定し︑それを変数変換する

ことによって︑構造方程式体系のパラメーター構造パラメータ

(1

を決定するという方法である︒

ただし︑この方法が適用可能となるためには︑あらかじめモ

デル設定面で一定の制約が必要となる︒というのは︑この方法

で構造パラメータを決定するためには︑構造パラメータと誘導

型パラメータの個数が同一であるという条件が必要であり︑ど

のような場合でも構造パラメータが決定できるというわけでは

ないからである︒

前者の個数の方が多い場合には︑構造パラメータを決定する

ことは不可能(日認定不能)であるし︑逆に︑後者の個数の方

が多い場合には︑構造パラメータが複数個決定

( U

過剰認定)

されてしまう︒この両パラメータの個数は︑同時従属変数と先

決変数の個数に依存して決ってくるものである︒そこで︑コー

ルズ委員会の有力スタッフ・メンバーの一人であった

T

C‑

l

プマンスは︑両パラメータの個数の聞の関係を同時従属変

数の個数と先決変数の個数との簡の関係に還元し︑構造パラメ

ータを決定しうる条件を認定条件として整理している︒これが︑ 二三四

(2

) 

今日よく知られている認定問題の定式化である︒

ところで︑ここにいうモデルの認定の問題とは︑元来は︑計

測結果が経済理論によって導かれた関係式であるのか否か︑例

えば︑それが需要曲線であるのか供給曲線であるのか等を認定

(3

) 

する問題であったはずである︒しかしながら︑ク

l

プマンスの

定式化以来︑今日では︑この問題が同時従属変数の個数と先決

変数の個数との間の関係という極めて形式的な問題に還元され

てしまっているのである︒これは何故であろうか︒同時方程式

モデルの特質を考えるにあたって︑この点は決定的に重要な意

味をもっているように思われる@この問題については後述する

ことにしたい︒

ともかく︑このようなクiプマンスの定式化かりすれば︑ホIヴェルモが提唱した誘導型最尤法が適用可能となるのは︑構

造パラメータの個数と誘導型パラメータの個数とが同一となる

適度認定の場合のみということになる︒しかし︑そうすると︑

常にこの条件を満たすようにモデルを作成せねばならず︑した

がって︑計測方法という技術的条件によってモデルに含まれる

変数の個数が決められることになるため︑今度は︑モデルの客

観的妥当性にたいして疑問が生じかねないことになる︒

そこで︑計量経済学としては︑次に︑適度認定以外の場合で

も構造パラメータの最尤推定値が得られるような方法が必要と

なってくるのである@このような要請に応えるために開発され

た方

法が

T ‑ w

・アンダーソン︑

H

・ルビン(一九四九年)

(11)

︿4 )

による情報制限最尤法であった︒

これは︑計測しようとする特定の構造方程式に含まれる同時

従属変数についての誘導型方程式のみを集め︑それに最尤法を

適用することによって︑構造パラメータの最尤推定値を得ょう

とする方法である︒この方法が情報制限最尤法とよばれる理由

は︑計測しようとする構造方程式以外の構造方程式に含まれる

内生変数に関する情報を無視しているという点にある@したが

って︑この方法は︑前節でふれた最尤法U完全情報最尤法より

方法論的には下位に位置づけられることになる@

しかしながら︑情報制限最尤法は︑完全情報最尤法に比べる

とはるかに計算が簡単である︒しかも︑計測しようとする構造

方程式が過剰認定式であってもこの方法は適用可能である@そ

のため︑完全情報最尤法より実用的な計測法として︑また︑誘

導型最尤法より一般的な計測法として︑この方法は多くの計量

経済学者の注目を浴び︑一九五

0

年代に入ると実際にこの方法(5) を用いてモデルの計測が行われるようになるのである︒

ところで︑いま︑モデルを適度認定式のみに限定して作成し

たのでは︑モデルの客観的妥当性にたいする疑問が生じかねな

いことになると述べたが︑では︑計量経済学は︑客観的妥当性

を保証するようなモデルをいかにして作成しようとしてきたの

であ

ろう

か︒

計量モデル作成のためのさし当りの手掛りとなるのは︑経済

理論によって導かれた経済関係式である@その代表的なものと

同時方程式モデルとその計測方法の展閣について して︑需要曲線︑供給曲線︑消費関数︑投資関数などがあるが︑これらは︑通常の計量モデルに比べて︑説明変数が少数個であることが特徴的である@それは︑経済理論においては︑種々の要因を一定とした上でいくつかの経済諸量間の関係を説明するという方法がとられていることと関係している@

このように︑計測対象としての経済関係式は︑あくまでも同

質的な条件を前提して導かれた関数式である︒これにたいし

て︑計測材料である時系列デ

l

タは︑異なる時点における調査

結果であり︑異なる条件のもとでの生起結果であるという意味

で非同質的な経済資料である︒したがって︑このままでは雨者

(6

を結びつけることは不可能である@

そこで︑計量経済学においては︑経済理論で一定とされた穣

々の要因を追加的説明変数として陽表的にモデルに組み入れ︑

多変数方程式としてモデルが設定されることになる@しかも︑

このような追加的説明変数の導入は︑同時方程式モデルの場合

には︑認定条件を満たすためにも︑とりわけ不可欠の要件とな

ってくるのである︒

では︑同時方程式モデルの場合︑各構造方程式の追加的説明

変数は︑一体どのようにして選択されることになるのであろう

か@同時方程式モデルの計測方法として採用されたのは最尤法

であるが︑この方法それ自体は︑あくまでも︑時系列デ

l

タが

実現値として最大確率をもつようにパラメータの推定値を定め

るという方法に過ぎない︒このことは︑その計測方法そのもの

二三

(12)

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

の中から追加的説明変数の選択基準を導き出すことは不可能で

あることを意味している@

そのため1同時方程式モデルの開発以来︑追加的説明変数の

選択をいかに行うかということが︑計量経済学者にとって大き

な悩みの種となってきていたのである@適当な方法が見つから

なかったため︑実際にモデルを作成する個々の計量経済学者

は︑モデルの追加的説明変数の選択基準として︑単一方程式モ

デルとしての多元回帰モデルの説明変数の選択基準を援用する

ことを余儀なくされてきた︒というのは︑追加的説明変数が経

済理論によって導き出されない以上︑その選択は経験的基準に

委ねる以外なく︑そのようなものとしては︑単一方程式モデル

としての多元回帰モデルの説明変数の選択基準以外ありえなか

ったからである︒

同時方程式モデルの計測方法の開発にともない︑計量経済学

︿7

)

に推測統計学の諸用具が導入されていたため︑多元回帰モデル

の説明変数の選択は︑係数パラメータの推定値をその標準誤差

で除したt値による検定︑および︑残差平方和の平均をとった

決定係数

(U

重相関係数の平方)による

F

検定などによって行

われるもの主なっていた︒

個々の計量経済学者は︑あらかじめこのような方法で構造方

程式の追加的説明変数の選択を行うことによって︑モデルの客

観性にたいして疑問が生ずることを回避しようとしてきたので

ある︒そして︑その代償として︑計量経済学は︑過剰認定モデ

一 一一 二

ルをも計測しうるようにしておかなければならないという新た

な問題をかかえることになったのである︒

ところで︑上記の

t

検定量および決定係数は︑いずれも最小

二乗原理に基づく基準であることが特徴的である︒前者は︑パ

ラメータの推定値に最小分散性を確保しようとするものであ

り︑後者は︑方程式の標準偏差の最小性を確保しようとするも

ので

ある

これらの基準によって追加的説明変数を選択することを方法

論的に首尾一貫させるためには︑個々の構造方程式を単一方程

式モデルとみなし︑それを直接最小二乗法で計測することが必

要となるはずである︒しかし︑個々の構造方程式を単一方程式

モデルとみなして計測するのでは︑計測結果の認定不可能性と

いう問題に直面せざるをえなくなる︒そのため︑モデルを同時

方程式モデルであるとする要請はみたさなければならないので

ある

こうして︑計量経済学は︑ホ

l

ヴェルモの方法の開発以来︑ ︒

モデルが同時方程式モデルであることをつらぬけば追加的説明

変数の選択基準を設けることができなくなり︑また︑追加的説

明変数の選択基準として上記の基準を採用すれば同時方程式モ

デルという枠組を崩さねばならなくなるという二律背反に悩ま

され続けてきていたのである︒このような二律背反を克服する

ためには︑同時方程式モデルという枠組を崩さずに個々の構造

方程式を実質的に最小二乗法で計測するという方法が是非とも

(13)

必要であった@

このような要請に応えるために開発された方法が

H

・タ

イル

(一九五五年﹀による二段階最小二乗法である@これは︑ま

ず︑先の誘導型方程式体系に最小二乗法を適用し︑誘導型方程

式の係数パラメータおよび分布パラメータの最小二乗推定値を

もとめ︑次に︑それらの推定値を用いて構造方程式に最小二乗

法を適用することによって︑構造方程式の係数パラメータおよ

(8

ぴ分布パラメータの推定値をもとめるという方法である@

この方法によって得られる推定値は︑最尤推定値と同様︑標

本数が無限大となるならばその推定値は未知母数にほぼ一致す

るようになるという一致性という漸近特性をもっている︒しか

も︑この方法は︑過剰認定のモデルであっても適用可能であ

り︑情報制限最尤法より計算が簡単である@こうしたことか

ら︑タイルは︑二段階最小二乗法は情報制限最尤法より実用的

( 9 )  

な同時方程式モデルの計測法であると考えたのである︒

この方法の利点は︑計算の容易さもさることながら︑なによ

りもまず︑この方法を用いることによって︑構造パラメータの

決定基準と構造方程式の追加的説明変数の選択基準との整合性

を実質的に確保することが可能になるという点にある︒そのた

め︑一九五

0

年代の後半から︑多くの計量経済学者がこの二段

階最小二乗法を採用するようになるのである︒

しかしながら︑このことは︑すべての計量経済学者が常に二

段階最小二乗法のみを採用するようになったということを意味

同時方程式モデルとその計測方法の展開について するものではけっしてない︒というのは︑この方法の採用により構造パラメータの決定を実質的に最小二乗原理に基づいて行うことが可能になったとはいえ︑そのこと自体を方法論的に前面に掲げることは難しいのである︒とれは計測結果の認定にまつわる前節での議論を思い起こしてみれば明らかであろう@

この方法が容認されるのは︑あくまでも︑この方法によって

最尤推定値と同様の一致性という特性をもった推定値が得られ

るからである︒そのため︑方法論的には二段階最小二乗法が情

報制限最尤法に優ると位置づけるわけにもいかず︑多くの計量

経済学者は両方の方法じよる計測結巣を並置して発表せざるを

えなくなってきたのである︒

だが︑そうすることは︑事態を一層複雑にした@というの

は︑二段階最小二乗法による計測結果と情報制限最尤法による

計測結果との聞には一定の開さがあり︑前者は個々の構造方程

.式を直接最小二乗法で計測した結呆に極めて近い値となってし

J a

︑7

二段階最小二乗法による計測結果が直接最小二乗法による計

測結果に極めて近いものになるということは︑タイルの意図か

らすればむしろ当然の結果である︒しかしながら︑二段階最小

二乗法と情報制限最尤法とが同じく同時方程式モデルの計測方

法として位置づけられていながら︑その計測結果には一定の関

さがあり︑そのうち一方が単一方程式モデルの計測方法を適用

した結果に極めて近い偏となってしまうというのであれば︑一

(14)

同時方程式モデルとその計測方法の展開について

般的には︑同時方程式モデルの計測方法そのものにたいする不

信が生まれてきてもいたしかたないところである︒そのため︑

二段階最小二乗法の採用は︑同時に︑最適計測方法確定のため

の研究に︑計量経済学が一定の力をさかねばならなくなること

を意味していた@

タイル(一九六二年)は︑最小二乗法の段階的適用により構

造方程式を計測するという方法を一一層徹底させる見地から︑新

( )

たに三段階最小二乗法という方法を提唱する︒そして︑すでに

開発されているいくつかの計測方法の関連性を統一的に説明す

るた

めに

k

クラス推定法という範障を設け︑各計測方法をそ

(

の一形態と位置づけるという見方を導入する@

しかし︑このような形式的な整理は︑いずれの一計測方法を採

用すべきかという問題には全く答えるところがなかった︒そこ

で︑このタイルによる成果をも含めて︑最適計測方法の確定に

一定の努力が傾けられるようになるのである︒

計測方法の選択問題の解決には推測統計学者も動員され︑理

論的側面と経験的側面の両面から研究が進められてきたQ

ここ

にいう︑理論的側面の研究とは︑各方法によるパラメータの推

定量を漸近的に展開することによって︑その漸近効率を比較し

(

ょうとするものである︒しかし︑これはあくまでも標本数が無

限大となった時の推定量の収束速度に関する研究であって︑少

数デ

l

タであることを特徴とする経済統計デ

l

タを扱わねばな

らない計量経済学者にとっては︑この研究は計測方法選択の判

一 一 一 一

了 八

断材料とはなりえなかった@

他方︑ここにいう経験的側面の研究であるが︑これは︑あら

かじめパラメータの真値宏定めておいて︑乱数表等をもとに︑

いくつかの変数データを作成し︑それを用いて各計測方法の推

定精度の比較を行うという︑いわゆるそンテ・カルロ実験であ

︿ 臼﹀

る︒しかし︑これも︑データの作成の仕方次第で異なった結果

が得られることになるため︑実際にモデルの計測にたずさわる

計量経済学者にとっては︑計測方法選択の判断材料とはなりえ

なか

った

こうして︑最適計測方法の確定には成功することなく︑今日

にいたるも︑個々の計量経済学者は各種方法による計測結果を

並置して発表することを余儀なくされているのである︒

( l )

前節

( 9 )

の一

九四

三年

の論

文お

よび

次の

論文

を‑

参照

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前者

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題に

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定式

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おい

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参照

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