YGR-5048
平成
17 年度
小型民間輸送機に関する調査研究
平成
18 年 3 月
ii まえがき 航空機産業は先端技術を駆使し、知識集約的で波及効果が大きく、産業構造の高度 化に有効なため、科学立国を目指す我が国にとって不可欠な産業として、その発展 と高度化には大きな努力が払われている。 そして今後、我が国の航空機産業を発展させていくためには、世界の民間航空機市 場に関する情報を調査し、それらの市場分析を行なうことが不可欠である。 弊協会では航空輸送、航空機材、航空会社、航空機メーカー等の世界の民間航空機 市場に関する情報を収集・調査し、その分析結果に基づき航空旅客や機材の需要動 向予測を実施しているが、今年度は今後発展すると見込まれる小型輸送機の需要予 測に焦点を当てて調査・分析を行った。 本書はその分析結果を報告書にまとめたもので、関係者に広く配布すると共に、イ ンターネットのホーページ(http://www.jadc.or.jp)を通じて、この業界関係者の みならず広く一般の用に供しようとするものである。 平成18 年 3 月 (財)日本航空機開発協会 この事業は競輪の補助金を受けて実施したものです。
iii 目 次 1. 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2. 航空業界の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 3. エアラインの市場調査 ・・・・・・・・・・・・・・・13 3.1 欧州エアライン調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・13 3.2 米国エアライン調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・17 3.3 アジア/太平洋エアライン調査 ・・・・・・・・・・・20 4. 航空旅客予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 4.1 航空旅客に及ぼす経済活動および航空運賃の影響 ・・・・23 4.2 経済予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 4.3 航空運賃の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 4.4 航空旅客の予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 5. 提供座席キロの予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・29 5.1 ロードファクター(座席占有率)の予測 ・・・・・・・29 5.2 地域別提供座席キロの予測 ・・・・・・・・・・・30 5.3 地域別距離帯別提供座席キロの予測 ・・・・・・・・・・31 6. 航空機の需要動向予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・35 6.1 機材の稼働率の向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・36 6.2 機材の大型化(平均座席数の推移) ・・・・・・・・・・37 6.3 機材の退役予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 6.4 機材の受注残 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 6.5 将来機材の想定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 6.6 メーカーの販売力の想定 ・・・・・・・・・・・・・・・44 6.7 小型機市場におけるジェット機シェア ・・・・・・・・・45 6.8 ジェット機の運航機数及び機材需要予測 ・・・・・・・・46 6.9 ターボプロップ機の運航機数及び機材需要予測 ・・・・・52 7. 航空機エンジンの需要予測 ・・・・・・・・・・・・・・57 8. 小型民間輸送機の需要分析 ・・・・・・・・・・・・・・59 9. 予測手法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62 10. 添付資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
1 1. 概要 z 2001 年 9 月の米国同時多発テロの影響で減少した世界の航空旅客は、2003 年に入っても イラク戦争や SARS の影響で、特にアジアのエアラインを中心に旅客が更に低下した。 世 界の航空旅客は、2004 年になって漸く回復に向かい、2000 年(テロの前年)を上回って、前 年比で 15%増となり、2005 年も 6%増と順調な伸びを示している。 -60.0% -40.0% -20.0% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 2001年1月 2001年7月 2002年1月 2002年7月 2003年1月 2003年7月 2004年1月 2004年7月 2005年1月 2005年7月 米国 欧州 アジア/太平洋 2000年同月からの RPK伸び率(%) 主要地域の月間旅客伸び率
RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)
SARS 2003年4月 米国同時多発テロ 2001年9月 イラク戦争 2003年3月
z このような中で、北米における Southwest や JetBlue、欧州における Ryanair や easyJet のよう な低コスト・エアライン(LCC)は、低運賃の提供によるシェアの拡大と新路線による市場開拓 で旅客を伸ばしており、アジアや中南米にも広がっている。 これらに対抗して、米国の United や Delta、アジア/太平洋の Singapore や Qantas 等の大手エアラインは、自ら低コスト・ エアラインを設立して運航しているが、これらによる運賃競争は実質運賃の低下につながり、 更に 2004 年からの燃料価格の高騰は、エアラインを業績悪化に追い込んでいる。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 1986年1月 1987年1月 1988年1月 1989年1月 1990年1月 1991年1月 1992年1月 1993年1月 1994年1月 1995年1月 1996年1月 1997年1月 1998年1月 1999年1月 2000年1月 2001年1月 2002年1月 2003年1月 2004年1月 2005年1月 2006年1月 0 30 60 90 120 150 180 210 240 原油 航空燃料 原油価格($/バーレル) 原油価格と燃料価格の変遷 燃料価格(¢/ガロン) 出典:ATA(米国エアライン) z 2000 年まで順調であった世界のエアラインの営業状況は、2001 年の米国同時多発テロ以 降赤字が続いており、2005 年も燃料価格の高騰により 60 億ドルの赤字となる見込みで、黒 字に転ずるのは 2007 年以降とみられている。 地域的には、特に旅客回復が遅く、実質運 賃の低い米国エアラインの業績が悪く、欧州エアラインは、僅かであるが 1998 年以来の黒 字になる見込みで、アジア/太平洋地域のエアラインでは、数社が黒字になっている。
2 世界のエアラインの純利益 -7.9 -0.2 5.3 8.6 8.2 8.5 3.7 -13.0 -11.6 -7.6 -6.0 4.5 -4.4 -4.2 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 純利益 (名目10億米ドル) z 航空旅客の成長を支える世界の経済は、テロの影響で 2001 年から 2003 年まで 1.5%前後、 の低い伸びで推移してその回復は遅く、漸く 2004 年になって 4%まで回復した。 今後 20 年の世界の実質 GDP は、過去と同じ年平均伸び率 3.1%を維持する。 z 旅客の伸びに影響を与えるもうひとつのファクターである実質運賃は、今後も年平均 1.2% で低下し、旅客の伸びを支えるであろう。 z 世界の航空旅客輸送量(RPK:有償旅客キロ)は、過去 20 年間年平均 5.5%で伸びてきたが、 今後 20 年間は平均 4.7%で成長し、2025 年には 9 兆 5410 億人キロと 2005 年の 2.5 倍の 旅客規模となる。 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2931 2581 3064 964 1323 1127 951 406 予 測 実 績 3807 9541 2005年 (シェア) 2025年 (シェア) 1985年 1314 世界の航空旅客予測 有償旅客キロ (10億人・キロ) 年平均伸び率(%) 1986-2005 2006-2025 北米 4.0 4.1 欧州 6.0 4.2 アジア/太平洋 7.8 6.0 その他 5.0 4.4 世界合計 5.5 4.7 世界合計 (35%) (30%) (25%) (10%) (31%) (27%) (32%) (10%) z 地域別にみると、現在三大市場の内北米と欧州は、今後20 年もほぼ過去と同じ年平均 伸び率4.1%および 4.2%を続けるが、世界平均の伸びより低いため、その市場シェア は北米が35%から 31%へ、欧州が 30%から 27%に縮小する。一方、アジア/太平洋 は、中国、東南アジアの経済発展を背景に、年平均 6.0%と大きな伸びを示し、そのシェア を現在の 25%から 32%へ拡大して、世界最大の市場に成長する。
3 2005年 1% 3% 7% 4% 4% 2% 4% 36% 29% 10% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 (30%) 欧州 アジア/太平洋 (25%) その他 (10%) 2025年 0% 3% 12% 4% 5% 2% 4% 30% 27% 13% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 (27%) 欧州 アジア/太平洋 (32%) その他 (10%) (31%) z 世界の航空輸送供給量(ASK:提供座席キロ)は、ロードファクターが 75%から 78%に上がる ことにより、旅客の成長より若干低い年平均 4.5%で伸び、2025 年には現在の 5 兆 0460 億 席キロから 2.4 倍の 12 兆 2010 億席キロとなる。 z 現在の輸送量を供給するための機材として、14,700 機のジェット機と 3,700 機のターボプロッ プ機が運航されているが、この内ジェット機は今後 20 年間に現在の運航機数の 55%である 8,000 機が退役し(内 79%は細胴機)、ターボプロップ機では 80%の 3,000 機が退役する。 z 20 年後の 2025 年末には、航空輸送の主体を占めるジェット機は現在の 2.2 倍の 32,300 機 となるが、一方ターボプロップ機は、リージョナルジェット機に置換えられて、現在の 46%の 1,700 機に減少する。 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 ジェット機の運航機材構成予測 リージョナル ジェット 100席クラス 400席クラス以上 150席クラス 180席クラス 250席クラス 350席クラス 機数 実 績 予 測 32300 14686 22739 9873 残存機 新規需要 328JET,ERJ135/145,CRJ200 CRJ700/900 737-600 A318 ERJ170/190 737-700/800A319/A320 737-900 767 A340 777 A380 727-200,737-300/400 A320,MD80/MD90 DC8,707 747 DC10,MD11 L1011 767 717,727-100,737-100/200/500,TRIDENT,DC9S BAC111,F28/F70/F100,DC9 A321 A330 A350 747 A310 A300 6307 787 757 A330 A321 ARJJ21,RRJ
4 1875 1303 944 1360 6326 2895 1228 526 1406 527 935 555 612 1432 4196 3868 7726 2256 3426 2128 585 436 275 166 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 2005 2025 2005 2025 2005 2025 2005 2025 2005 2025 2005 2025 2005 2025 2005 2025 サイズ別ジェット機運航機数および需要予測 残存機 新規需要 1875 2735 944 4632 1360 4143 6326 10621 1228 2782 1406 3953 935 2683 612 751 20-59席 60-99席 100-119席 120-169席 170-229席 230-309席 310-399席 400席以上 合計運航機数 2005年末: 14,686 機 2025年末: 32,300 機 2006-2025年需要機数 25,617 機 広胴機 細胴機 リージョナル・ジェット機 機数 z 2006∼2025 年の需要機数は、この間の退役機の代替需要を含めてジェット機が 25,600 機 であるが、この中には 2005 年末における受注残 3,700 機が含まれる。需要機数で最大なの は 120∼169 席クラスで 7,700 機、次いで 60∼99 席の 4,600 機である。又、ターボプロップ 機の需要は、970 機と少ない。 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 5000 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 ターボプロップの運航機材構成予測 機数 15-19席機 20-39席機 40-59席機 60席機以上 残存機 新規需要 3740 1712 2811 2863 4401 実 績 予 測 JET STREAM31, DHC6 BE99/MOD1900,METRO,EMB110 JET STREAM41,CN235 SD330/360 SAAB340 748,F27/F50 SAAB2000 DHC8-300 DHC8-300 ATR42 FD328,DHC8-100 EMB-120 FD228, MOD1900 ATR72, DHC8-400
5 1543 178 911 188 890 183 396 193 101 155 375 339 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2005 2025 2005 2025 2005 2025 2005 2025 1543 279 911 343 890 558 15-19席 20-39席 40-59席 60-79席 サイズ別ターボプロップ機運航機数および需要予測 機数 合計運航機数 2005年末: 3,740 機 2025年末: 1,712 機 2006-2025年需要機数 970 機 396 532 z 地域別には、現在最も運航機数が多い北米がジェット機需要の最大市場(34%、8,700 機) で、次が今後最も成長が見込まれるアジア/太平洋(28%、7,200 機)、その次が欧州(25%、 6,400 機)となる。 2956 1783 1345 599 8686 6420 7190 3321 1904 2964 3890 5928 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 2005 2025 2005 2025 2005 2025 2005 2025 既存機 地域別ジェット機運航機数および需要予測 機数 新規需要 11642 北米 欧州 アジア/太平洋 その他の地域 8203 8535 3920 合計運航機数 2005年末: 14,686 機 2025年末: 32,300 機 2006∼2025年需要機数 25,617 機
6 z それらの販売高は 2005 年価格で合計 1 兆 3660 億ドルで、最大が 230∼309 席クラスの 3,750 億ドル、次いで 310∼399 席の 2,910 億ドル、120∼169 席の 2,490 億ドルである。又、 ターボプロップ機は、134 億ドルで全体の販売高に占める割合は小さい。 2256 3868 7726 3426 4196 1432 585 2128 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 20-59 60-99 100-119 120-169 170-229 230-309 310-399 400-機材サイズ別ジェット機販売予測 (2006∼2025年) 機数 2005年価格10億米ドル 0 100 200 300 400 500 600 23 110 113 249 115 375 291 90 合計 25,617 機 1兆3660 億米ドル 座席区分(席) 細胴機 広胴機 700 800 900 z 2006∼2025 年のエンジンの販売基数は、ジェットが 62,900 基、ターボプロップが 2,200 基で、 合計 65,200 基となる。これを 2005 年価格の売上高で示すと、ジェットが 3,380 億ドル、ター ボプロップが 20 億ドルで、合計 3,400 億ドルとなる。 z エンジン市場で最も需要が大きいのは、A320 や 737 シリーズに搭載されている 12,000∼ 35,000 Lb クラスで、エンジン基数で 52%(33,800 基)、売上高でも 50%(1,690 億ドル)を占 める。 12943 3494 12725 33764 2231 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 T/P <12 12-35 35-65 65-100 A380 B777 A300/A310/A330 A340-500,600/A350 B747/B757/B767 B787 A318/A319/A320 A321/A340-200,300 B757/B767/B737 328JET CRJ-200/700/900 EMB135/145/170/190 ARJ21/RRJ 1900, ATR42/ 72 DHC- 8 航空機エンジンの需要予測 (2006∼2025年) エンジン基数 エンジン基数 エンジン基数 売上高 (10億ドル) ターボプロップ 2,231 2 ジェット 62,926 338 合 計 65,157 340 0 25 2 39 169 95 35 50 75 100 125 売上高 売上高 (10億ドル) 推力 (×1000 lbs) 150 200 250
7 z 小型民間輸送機の対象となる市場は、20∼99 席のリージョナル・ジェットで、今後 20 年間 (2006∼2025 年)の納入機数は 5,600 機となる。1996 年以降急激に拡大してきた 30 席/50 席リージョナル・ジェット機は一段落し、今後は経済性の良い 70 席/90 席機の市場が有望 で、座席区分別には 20∼39 席が 410 機、40∼59 席が 1,020 機、60∼79 席が 1,500 機、80 ∼99 席が 2,700 機となる。しかし、大きなサイズは需要は大きいが、機種も多く競合が厳し い。 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 小型機(100席機以下)の運航機数予測 20-39席機 40-59席機 60-79席機 80-99席機 ターボプロップ ジェット機既存 予測 実績 機数 1880 5028 8800 ARJ21, CRJ900, EMB190/195, MJ90, RRJ95 CRJ700, EMB170/175,MJ70 CRJ200, ERJ145 328JET, ERJ135 ジェット機新規需要 412 1020 1501 2695 2829 2335 2752 884 80−99席 2695 60−79席 1501 40−59席 1020 20−39席 412 合計 5628 小型ジェット機需要機数
8 2. 航空業界の状況 2001 年 9 月の米国同時多発テロの影響で減少した世界の航空旅客は、2003 年になって もイラク戦争、SARS の影響により回復せず、2004 年になって漸く航空旅客が 2000 年(テロ の前年)の水準に達し、前年比で 15%増となった。2005 年も欧州、アジア/太平洋地域が堅 調な伸びを示して世界合計で 5.6%増の見込みである。 世界の航空旅客輸送の推移 100 1,000 10,000 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 暦 年 出典:ICAO定期/不定期運航 有償旅客キロ(10億) 2005年 世界合計 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 3,807 406 951 1,127 1,323 137 1,589 306 1,314 503 年平均伸び率 1986-1990 1991-1995 1996-2000 2001-2005 北米 6.4% 2.5% 5.3% 2.0% 欧州 8.4% 6.9% 5.7% 3.2% アジア/太平洋 8.8% 10.1% 4.5% 7.8% その他 3.7% 5.9% 3.4% 7.0% 世界合計 7.0% 5.6% 5.1% 4.2% 1985年 世界合計 最も旅客の回復が鈍かった北米エアラインの月間旅客の推移は、2001 年のテロ以降 2000 年の水準まで戻らなかったが、2004 年になって漸くその水準を越え、2005 年は前年比で 4.3%となった。 欧州エアラインでは、北米より回復が早く、2003 年 11 月以降、旅客が 2000 年レベルを超 え、2005 年は前年比 4.7%増となっている。 アジア/太平洋のエアラインでは、テロの影響は上記 2 地域より少なかったが、2003 年の SARS の影響は、イラク戦争より大きく、同年 5 月の旅客は、前年を 50%近く下回った。しかし、 その回復は早く、同年 9 月にはほ 2000 年規模に戻って、2004 年以降前年比で 19.4%、 7.1%増と順調な伸びを示している。
9 -60.0% -40.0% -20.0% 0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 2001年1月 2001年7月 2002年1月 2002年7月 2003年1月 2003年7月 2004年1月 2004年7月 2005年1月 2005年7月 米国 欧州 アジア/太平洋 2000年同月からの RPK伸び率(%) 主要地域の月間旅客伸び率 RPK:Revenue Passenger Kilometers(有償旅客キロ)
SARS 2003年4月 米国同時多発テロ 2001年9月 イラク戦争 2003年3月
このような中で、北米における Southwest や JetBlue、欧州における Ryanair や easyJet のよ うな低コスト・エアラインは、低運賃の提供によるシェアの拡大と新路線による市場開拓で旅 客を伸ばしており、アジアや中南米にも広がっている。 これらに対抗して米国の Delta や United、アジア/太平洋地域の Singapore や Qantas 等の大手エアラインは、自ら低コスト・エ アラインを設立し運航しているが、これらによる運賃競争は実質運賃の低下につながってい る。更に 2004 年からの燃料価格の高騰は、2005 年には倍の 180¢/ガロンに上昇し、エアラ インはヘッジプログラムや割増運賃等を行なっているが、経営を圧迫している。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 19 86年 1 月 19 87年 1 月 19 88年 1 月 19 89年 1 月 19 90年 1 月 19 91年 1 月 19 92年 1 月 19 93年 1 月 19 94年 1 月 19 95年 1 月 19 96年 1 月 19 97年 1 月 19 98年 1 月 19 99年 1 月 20 00年 1 月 20 01年 1 月 20 02年 1 月 20 03年 1 月 20 04年 1 月 20 05年 1 月 20 06年 1 月 0 30 60 90 120 150 180 210 240 原油 航空燃料 原油価格($/バーレル) 原油価格と燃料価格の変遷 燃料価格(¢/ガロン) 出典:ATA(米国エアライン)
10 世界のエアラインの純利益は、2000 年まで米国エアラインの好調により 6 年間黒字を継続して いたが、米国同時多発テロがあった 2001 年以降赤字が続いており、2005 年も燃料高騰もあって 60 億ドルの赤字となる見込みで、黒字に転ずるのは 2007 年以降と予想されている。 地域的に は、特に旅客回復が遅く、実質運賃の低い米国エアラインの業績が悪く、2005 年には新たに Northwest と Delta が破産保護法を申請した。欧州エアラインは、僅かであるが 2005 年には 1998 年以来の黒字となる見込みであり、アジア/太平洋のエアラインでは、数社が黒字になっている。 世界のエアラインの純利益 -7.9 -0.2 5.3 8.6 8.2 8.5 3.7 -13.0 -11.6 -7.6 -6.0 4.5 -4.4 -4.2 -15.0 -10.0 -5.0 0.0 5.0 10.0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 純利益 (名目10億米ドル)
世界的なエアライン提携(Global Alliance)では、Air France と KLM の合併により KLM / Northwest Alliance は Air France の”Skyteam”に参入し、2005 年 3 月に Swiss を合併した Luftansa の"Star"、British AW の"oneworld"の 3 グループに集約された。 これらのグループ には世界の主要 37 社が含まれ、2004 年の旅客数および売上高は世界の半分を占めている。 日本のエアラインでは、全日空が 1999 年に Star Alliance に加盟したが、日本航空は 2006 年になって漸く Oneworld に正式に加盟した。
ALLIANCE名 エアライン地域 (結成)
北米 UNITED AMERICAN DELTA
AIR CANADA NORTHWEST(04年9月) US AIRWAYS(04年3月) CONTINENTAL(04年9月) 中南米 VARIG(97年10月) LANCHILE(00年6月) AEROMEXICO(99年9月) 欧州 LUFTHANSA BRITISH AW AIR FRANCE
SAS(97年5月) IBERIA(99年9月) KLM(04年9月) AUSTRIAN(00年3月) FINNAIR(99年9月) CSA(01年3月) BMI(00年7月) AER LINGUS(00年6月) ALITALIA(01年7月) LOT(03年10月) AEROFLOT(05年)* VIRGIN ATLANTIC* Air Malta* SPANAIR(03年4月)
BRAATHENS* TAP AIR PORTUGAL(05年3月) Blue 1(04年6月)
CROATIA AL(04年12月) ADRIA AW(04年12月)
中東/アフリカ SOUTH AFRICA(04年6月) ROYAL JORDANIAN ROYALl AIR MAROC* (05年10月)
アジア/太平洋 SINGAPORE(00年4月) QANTAS KOREAN AIR(00年7月) ANA(99年10月) CATHAY PACIFIC
THAI AIRWAYS(97年5月) JAL(07年7月予定) AIR NEW ZEALAND(99年3月)
ASIANA(03年2月) AIR CHINA* * : 準会員 2004年 ALLIANCE計 RPK(10億) (World Share) 670 (22%) 485 (16%) 606 (20%) 旅客数(百万) (W.S) 305 (18%) 205 (12%) 294 (18%) 売上高 (10億ドル) (W.S) 77.8 (25%) 46.9 (15%) 61 (19%) * : 準会員 上記ALLIANCEには加盟していないが、個々のエアライン同志でALLIANCEを結んでいる。 Air FranceとKLMが合併し、"STAR"、"ONWORLD""SKYTEAM"の三大グループとなった。 SKYTEAM 9社(1999年9月) STAR ALLIANCE 20社(1997年5月) ONEWORLD 8社(1998年9月)
11
中国では 2000 年以降エアラインのグループ化が進み、旧 CAAC から分割され、再編され た主要 3 グループに加え、Cathay を除けば Shaghai AL グループと Hainan AL グループの 5 グループとなっている。 また、2005 年になって、公共性の高い航空輸送事業を奨励する政 策により、OK 航空等の民間エアラインの設立が続いている。
グループ Fourth Group(3 Airlines) Fifth Group(5 Airlines) New Airlines 主要
エアライン Air China China Eastern AL (CEA) China Southern AL(CSA) (上海ベース)Shanghai AL (Haikouベース)Hainan AL*3 親会社 China National Aviation
Corp. Holding (CNAC) Eastern Air Group
China Southern Air Holding Co. *7
China Sky Aviation Enterprises
(CSAEG)
傘下の Air China Southwest China Eastern Xibei China Southern AL China Postal AL Grand China Air Datang Qili AL エアライン (Air China 100%) (CEA100%) Norhtern (CSA100%) (CSAEG51%) Xinhua AL(100%) Eagle AL
Air China Cargo (CA 51%) China Eastern Yunnan China Southern AL Shandong AL Changan AL(75%) East Star AL (Air China 51%) (CEA100%) Xinjian AL(CSA100%) Shanxi AL(100%) Eastrn Express Air China Zhejian China Eastern Wuhan China Southern Yangtze River Huaxia AL
(Air China 100%) (CEA40%) Zhuhai (CSA60%) Express Northeast AL Air Macau (CNAC51%) China Cargo AL(CEA55%) Guangxi AL (CSA60%) (Hainan 85%) Okay Airways (Macau Asia Express) China Eastern Jiangsu Shantou AL (CSA60%) Spring Int'l AL Dragonair (CNAC43%) China Eastern Northwest Sichuan AL (CSA39%) United Eagle AL Shenzhen AL (CNAC100%) Xiamen AL (CSA60%)
保有機数 209 123 179 80 104
CAAC 3 Divisions (20Airlines)
アジアにおける低コストエアラインの拡大は、2005 年は特にインドにおいて顕著で、伝統 的な Air India/Indian AL や 1990 年代に出現した Jet Airways に加え、最近の IT 産業の発 達と航空緩和政策により 2004 年以降 Kingfisher や IndiGo 等の低コストの新エアラインが参 入もしくは参入計画を発表し、2005 年の世界の機材発注機数の中でインドのエアラインが 大きなシェアを占めている。 エアライン名 機種 発注機数 Air India B777-200LR 8 B777-300ER 15 B787-8 27
Air India Express B737-800 18
IndiGo A320 70
A321 30
Jet Airways A330-200 10
Jet Airways B737-800 10
Jet Airways B777-300ER 10
King Fisher A319CJ 1
A320 34
A321 2
A330-200 5
A350-800 5
A380-800 5
Paramount Air EMB170 2
SpiceJet B737-800 10
262 合計
12 機材受注においては、2001 年テロ後の旅客激減とエアラインの経営不振で大手メーカー (エアバス、ボーイング)の年間受注数は、それまでの 1000 機台から 2004 年には 650 機に 減少していたが、2005 年は 2140 機と記録的なの受注となった。しかし、大半を占めるのは、 好調な低コストエアラインによるもので、機材は A320、737 ファミリーである。 そして、2001 年以降、年間受注機数でボーイングを上回っているエアバスが、引き続き占有率で優位に 立っている。 このような状況で、ボーイングの 2004 年 4 月にローンチした B787 は 2005 年 末で 291 機の受注を獲得しており、この市場では 1 年遅れでローンチしたエアバス A350 の 87 機より優勢となっている。 一方、100 席以下の CRJ や ERJ 等のリージョナル・ジェット機は、旅客がジェット機を好むこ とから、欧州、米国のリージョナル・エアラインでターボプロップ機の代替や新規路線の開拓 のための需要が続き、1997 年から毎年 300 機以上を受注し続け、2000 年には 630 機を記 録した。2002 年にはテロ後の輸送容量削減の影響を受けて 130 機に減少したが、2003 年以 降は米国エアラインにおけるメインラインの経営不振をベースとした Scope Clause の緩和で、 リージョナル機の市場は 50 席から経済性の良い 70∼90 席に移りつつあり、2005 年の受注 は 50 席ジェット 18 機、70∼90 席ジェット 162 機で合計 180 機となっている。 この他の動向としては、中国の ARJ21(80∼100 席ジェット)およびロシアの RRJ(60∼100 席 ジェット)の開発が決定され、特に ARJ21 は、中国の大きな国内市場の需要を満たす機材と して採用されることが見込まれる。 又 2005 年に Bombardier が新 100 席クラスである C-Series(C110 および C130)のエアラインへの提案を開始したが、ローンチのための受注が 得られず 2006 年 1 月に中止を決定した。 512 481 468 855 698 539 279 254 286 123 430 695 535 611 377 603 319 250 250 277 1029 115 108 109 152 249 195 87 125 36 131 81 285 400 443 379 479 419 351 331 370 1111 0 0 0 0 0 13 21 0 28 28 45 37 163 205 163 215 221 52 68 145 68 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 2 35 117 139 129 391 77 76 189 136 109 69 57 27 41 131 49 27 22 46 58 75 26 32 13 63 23 13 0 17 4 3 0 500 1000 1500 2000 2500 1985 1990 1995 2000 2005 その他 Embraer Bombardier Airbus Boeing ジェット機の受注機数変遷 機数 696 646 604 1048 1078 796 414 401 396 343 633 1078 1247 1411 1111 1711 1049 729 855 932 2320
13 3. エアラインの市場調査 民間航空機の需要動向を調査するため、世界の主な市場である欧州、北米およびアジア/ 太平洋地域の主要エアライン/メーカーを訪問し、航空業界の状況、将来動向および機材 について現地調査を行った。 3.1 欧州エアライン調査 (2005 年 10 月 実施) 3.1.1 訪問先 Finnair(AY) ヘルシンキ、フィンランド Lufthansa(LH) フランクフルト、ドイツ DBA(DI) ミュンヘン、ドイツ Austrian Airlines(OS) ウイーン、オーストリア Alitalia(AZ) ローマ、イタリア Iberia(IB) マドリッド、スペイン British Airways(BA) ロンドン、英国 Virgin Atlantic Airways(VS) ロンドン、英国
3.1.2 欧州航空業界全般 z 昨年から今年にかけマドリッドやロンドンで起ったテロでは、旅客はそれ程減少せず影響は少 なかったと言うエアラインが多かった。再建中で他に問題が沢山あったので、欧州のテロによ る影響は余り感じなかった(AZ)。予約は多少減少したが、矢張り影響は少なかった(BA)。 z 燃料価格高騰による収支も現在までは大きな影響を受けていないが、これが今後長期になる 事を殆どのエアラインが懸念していた。ただし、OS の今年上半期の損失は昨年同期比の 4 倍 にも達した。リストラ中の AZ は燃料価格上昇により、今年になって再建策を見直しコストカット も含めた計画追加を行った。 z 燃料費高騰による割増運賃は多少の旅客減をもたらしたが、トータルでは減少していないの で影響は小さい。2005 年全体では僅かではあるが、利益を計上出来る見通しである(AY、IB)。 18 ヶ月前頃はシリアスな状況であったが、最近は燃料価格上昇の影響は受けているものの、 旅客は増加しており、未だ健全な状況である(LH)。これまではヘッジと割増運賃で賄って来 られたが、もう限界である(BA、VS)。 z 今回初めて訪問した DI は、今年 Germania Express と合併したことにより売上高は約 40%アッ プした(DI)。 3.1.3 リージョナル機 z 12 機発注している Embraer170 の 2 機目を今週(10/3∼7)受領する AY は MD-82 /-83 の代替機としていくが、その MD-80 x 8 機は来年 6 月までには AY からフェイズ アウトさせて子会社のFly Nordick(前身は Nordick Airlink)の機材として運航する。 Embraer170 の Option 8 機は、今後 Embraer190 に変更する可能性がある。
z 子会社のLH CityLine が運航している RJ-85 は 2010 年頃までは使用するつもりで、 代替機の候補はBombardier や Embraer 等の機材となろうが将来の市場動向を見なが
14 ら決める(LH)。
z Embraer170 ファミリー、C-Series、ARJ21、RRJ 等は、DI にとっては小型過ぎて興 味はない(DI)。50 席の機材のうちターボプロップ機(Dash8)は使用していくが、リー ジョナル・ジェット(CRJ)は効率が悪いので代替したい(OS)。
z 子会社のAlitalia Express が運航する古い ATR42 の 5 機はいずれ無くなり、ERJ−145 は使用しつづける。AZ の Feeder として使う Embraer170 は、190 型も含め追加して いく。Bombardier の 100 から 130 席機(C-Series)は具体的には検討していないが、 Presentation には 4 月か 5 月頃に 2 回来ている。未だ、Paper Aircraft である(AZ)。 z Air Nostrum の F50 と ATR72 はいずれ退役させて、Dash8 と CRJ-200 に集約してい
く。MD-80 の代替機として Embraer170 が最適である。C-Series は非効率な機体だと 思う(IB)。 3.1.4 100 席機 z 航続距離;2,000(nm)位あれば良い(AY)。YPX のペイロード・レンジは、欧州域内の運航に対 してはレンジが長すぎて、米国大陸横断に対しては座席数が少ない(LH)。このクラスの長距 離型は、需要が少ないとか色々制約がある。また、4 時間以上の飛行で YPX のトイレが 2 つで は足りないと思う。ファミリー型が揃っていることは良い(OS)。1,000(nm)以下の路線が殆どで、 2,000(nm)で最適化した機材でよい(IB)。2,300(nm)が最適 Range である(BA)。
z 座席数;−12 型が最適サイズである(IB)。 z 目標の市場は欧州か米国かの問いは、BL が欧州で ER が米国と回答(VS)。 z 巡航マッハ 0.79 は、Aibus 機と同じ位でOK(BA)。 z 客席断面;5 列配置の MD−80 のキャビンは Excellent なので、同じ 5 列の YPX も良い。冬季 の旅客はオーバーコートや帽子等をオーバーヘッド・ビンに入れるので、大きいのが良い (AY)。5 列の客席配置は通路が中心がらずれて、身長の高いドイツ人にとっては 2 列側のオ ーバーヘッド・ビンが通路ギリギリで頭をぶつける危険がある(LH)。このサイズなら、5 列でよ い(IB)。 z 座席ピッチ;Embraer170 の座席はスリムシート採用でピッチは 31(in)、エアバス機は重く厚い 座席でビジネス席が 34(in)、ツーリスト席で 31(in) ピッチである。YPX もスリムシートで 32(in) ピ ッチなら良い(AY)。スリムシートで 31 (in) ピッチは良い(BA)。
z OverHead-Bin は非常に重要である。3 列側の OHB は特注して、深いサイズにしている(IB)。 z 床下貨物室; ロンドンやパリ等ビジネス客が多い路線では大きいカーゴベイは不要だが、ア ジア路線には団体客も多く大きなスーツケースがあるので広めの貨物室が必要である。フィン ランドにはスキービジネスもあり、多くの旅客がスキーを持ち込むので矢張り貨物室は大きい のが良い(AY)。コンテナーは非効率で不要だが、スライディング・カーペットのようなローディ ング・システムは必要である(IB)。2008 年供用開始の LHR の Terminal-5 は全てコンテナー化 となる(BA)。 z エンジンについて質問されたが、独自の検討だけでエンジン・メーカーとのコンタクトは未だし ていないと回答した(AY、DI)。着陸料や上空通過料は非常に Expensive なので、これらも運 航コストに含めて検討してほしい(OS)。
15
z Airbus や Boeing と競合することになるこの様な仕様を何故選んだのかとの指摘もあったが、何 時かは 737 や A320 の代替もやって来るので良い市場ではあるとの励ましとも受け取れる言葉 もあった(LH)。いつかは出る Airbus や Boeing の新型機と比較、競合すべきである(IB)。
3.1.5 200−250 席機 z MD−11 の代替機として 787 と A350 を検討しているが、導入は 2012 年まではないので急い でいない。仮に 787 を選定するならストレッチ型の−9 型か−10 型であるが、1機種ではなく 例えば−8 型と−9 型のミックスでの発注になるだろう。757 の代替としても、787 採用の可能性 もある(AY)。 z 747 は古いが、A340 は未だ若く代替機の決定は 2012∼2013 年頃でよくプレッシャーは未だ 無い。候補機は 787 だけでなく、全ての機材である(LH)。 z 767、777 及び A330/340 の代替機として、787 か A350 を 15 機以上発注して 2010 年か 2012 年から 5 年間位で代替することになろうが、777 は運航し続けるだろう(OS)。
z 当初は 787 の方が Advanced な機体であったが、A350 も Study の進展に伴い新型機になっ てきたので余り差が無くなってきた。導入するならばビジネス客が多い、ローマ−ニューヨーク やローマ−東京の路線である。航続性能は満席でミラノ−ブエノスアイレス間がノンストップで 飛べる 6,500(nm)あれば良い(AZ)。
z 787 や A350 は DI にとっては大き過ぎて興味はない(DI)。
z A340 中距離型や 747 の代替として 787 か A350 が 20 機以上必要になるだろう(IB)。 z このクラスの機材は、今後 20 年で 50∼60 機程度が必要になるだろう(BA)。 z 787 に 3 タイプがあるが、効率的な開発ではない。現有機があと 10 年はもつので、選定までは 充分時間がある(VS)。 3.1.6 300−400 席機 z B777 は、AF、BA、OS および AZ が既に運航しており、AY は MD-11 の代替として検討中で ある。 A340 も好調で、IB が 747 の代替機として発注、VS も現在運航している-300 に加え -600 型を長距離路線主力機として発注した。 3.1.7 超大型機 z A380 は AF、LH と VS が発注しており、大型機による座席当りのコスト優位性を期待している。 導入の可能性を検討したが、A380 の不必要は変わりない(AY)。ただ、冬季にダブル・デイリ ーで運航しているバンコク便は L/F も高いので、A380 の導入も有り得る(AY、LH)。 z 2 階をファーストとビジネス席に 1 階をエコノミー席にするかは知らないが、ファースト/ビジネス 席の割合は従来までの比率と変わらないだろう。受領時期の多少の遅れは、LH は最初の 受 領エアラインではないし影響はない(LH)。 z A380 については、検討していない(AZ)。大き過ぎて非効率である(IB、DI)。 3.1.8 超高速機および超音速機 z オールビジネス席の客席断面の 1−2−1 配置は、ナローボディー機でも検討したが良いと思
16 う。ただし、AY でのビジネス席の割合は 15(%)しかなく 85(%)がエコノミー席なので、この様な配 置での運航は難しい。ロンドン、パリ、東京等のビジネス客市場ならば有り得るのではないか (AY)。窓側の乗客にとっては良いが、真中 2 列のファーストやビジネスクラスのプレミアムな乗 客にとっては頭越しの手荷物の積み降ろしを嫌がるだろう(OS)。747 で 1−2−1 配置、A340 −600 で 1−1−1 配置の経験がある(VS)。 z 座席ピッチは速度が速いので、40(in)でよい(AZ、BA、VS)。 z ヘルシンキからの国際路線はオーバーランドが多いので、陸上をマッハ 1.2 で巡航出来る HSTP はどうかの問いに対しては陸上もマッハ 1.6 で飛べる方がベターとの回答であった (AY)。 z HSTP の割増運賃については、ファーストクラス並の運賃までかなという不確定な回答と併せ、 コンコルドの運賃は高すぎたとの発言もあった。この様な機材の導入はこのまま燃料価格上昇 が続くならば、エアラインにとってはタフなビジネスになろう(AY)。エコノミー客は余分な運賃 を払う気は全然無い(IB)。コスト及び割増運賃ともプラス 20%程度がベターである(BA)。 z HSTP の最大の課題は燃料消費(座席当り燃費)を最少に抑え、シートマイル・コストや運賃が どの程度になるかだ。30 年先にはエネルギー問題も深刻になるだろう。パリ−ニューヨーク間 2 往復出来るというが、それだけの旅客があるのか疑問だ。民間超音速機計画は、完全に消 滅(Dead)したのではないか。エアラインではなく、プライベートな運航しかないだろう(LH)。 z 巡航マッハ 1.6 や 2.0 と言っても、早すぎてよく理解出来ない。OS にとっては関係ない機材だ が、個人的には興味はある。しかし、OS のウィーンからアジア方面の路線は 80%位が陸上飛 行なので、この様な機材はなじまない。ニューヨーク方面なら良いだろう(OS)。 z 陸上マッハ 1.2 は可能なのかの質問に対しては、未だ研究継続中と回答した(VS)。 z A319 や BBJ のようなビジネス機仕様でなら、良いのではないか(IB)。 z 燃料消費等の課題を解決し実現までは、未だ 20 年位は必要だろう(BA)。 3.1.9 調査結果概括
今回は、欧州のナショナル・キャリアー6 社(AY 、LH、OS、AZ、、IB 、BA)、ドイツの Low Cost Carrier の 1 社(DI)、そして世界中にブランドで売る独立エアライン(VS)を訪問し調査し た。
効率の良いターボプロップ機は、引続き運航していく。一方、リージョナル・ジェットについて は、非効率な 50 席機は退役させる意向で、新 70 席の Embraer170 ファミリーは評判が良く導 入されている。100 席以上クラスは、Airbus 及び Boeing の新型機材が求められているが、 Bombardier の C-Series は余り評判が良くない。YPX については色々とコメントを頂いたが、搭 載エンジンに対する疑問やメジャーのメーカーとの競合も避けられないとの意見も示された。
787 や A350 の選定には未だ充分時間あり、直ちに発注しそうなエアラインはなかった。 M1.6 の超音速機は運航時間短縮の効果があり将来機としては興味が示されたが、コストと環 境が課題で解決までしばらく時間が必要との認識であった。
17 3.2 北米エアライン調査 (2005 年 11 月 実施) 3.2.1 訪問先 Air Canada(AC) モントリオール、カナダ American Airlines(AA) ダラス、米国 United Airlines(UA) シカゴ、米国 ExpressJet(BTA) ヒューストン、米国 Continental Airlines(CO) ヒューストン、米国 JetBlue(B6) ニューヨーク、米国 3.2.2 北米航空業界全般 3.2.2.1 米メジャー・エアラインおよびエアカナダ 北米の航空旅客輸送量はテロの影響から回復して伸びており、輸送容量を削減しているた め、ロードファクターが 80%を超えているエアライン(AC、AA、UA)もある。 しかし、エアカナダ、サウスウェストを除くメジャー・エアラインは、燃料価格の高騰と LCC(Low Cost Carrier)との競合で、利益が下がって赤字が続いており、最近の Delta と Northwest の破 産保護法申請により、Alaska と Ameircan を除き伝統的なエアラインのほとんどが、破産経験を したことになる。しかし、破産保護法は、エアラインのリストラのツールになっているという見方も ある。 ハリケーンの影響は、地域的なもので全体の旅客にはそれほど影響を与えていないが、ニュ ーオリンズの運航は、再開されたものの、まだ以前の便数に完全には戻っていない。また、製 油施設の破壊は、燃料高騰に影響を与えている。 3.2.2.2 低コスト・エアライン z 米国 LCC の JetBlue、Southwest、AirTran 等と同様、カナダにおいても WestJet が低運賃で 国内線と近距離国際線を中心に健全な経営をしており、LCC の旅客シェアは北米全体の 約 25%を占めている。 z LCC は、100∼150 席機の単一機材で Point-to-Point を高頻度で運航することにより、稼働 率をあげ整備費や訓練費をはじめとするコストを低く抑えている。これらによる低運賃の提供 は、旅客の人工的な誘発(Artificial Stimulation)をもたらしている。JetBlue は現有の A320 に 加え、2005 年 11 月から 100 席クラスのリージョナル・ジェット Embraer190 の運航を開始した。 z しかし、United のフィーダーであった Atlantic Coast は、United との関係を解消し、LCC の
Independence Air として運航を開始したが、50 席リージョナル・ジェットでの低運賃運航で利 益を出すのは難しく、2005 年 11 月に破産保護法を申請した。 3.2.2.3 リージョナル・エアライン z メインライン (メジャー本体)のハブへのフィーダー路線を運航するリージョナル・エアラインの 旅客の伸びは昨年同様今年も 10%以上の伸びを示して好調で、メインラインの不調を背景に スコープ・クローズが緩められてピークが過ぎた 50 席ジェットは制限なしとなり、経済性の良い 70 席ジェットの導入が進められている。また、破産申請した Northwest が 100 席以下のスコー
18 プ・クローズなしのリージョナル・エアラインを設立する計画を発表したが、他社はその試みが どのようになるか見守っている。 z しかし、このスコープ・クローズは、パイロット組合が強いため、緩和はそれほど急には進まな いだろうという見方もある。(UA) z (注)スコープ・クローズはメインラインのパイロット組合との労働協約の一部で、コストの安いパ ートナーのリージョナル・エアラインに運航が移管されると、自分たちの職場が失われるため、 リージョナルで運航する機材のサイズと機数を制限している。 3.2.3 機材について 全般的には、上記のエアライン経営状況から、LCC と健全な Air Canada、比較的良 いContinental を除き、現在、新機材を発注する状況に 3.2.3.1 リージョナル機 z 燃料高騰により、2005 年はターボプロップ機の受注が増加したが、短距離で他社との競合が ない路線に限られ、旅客はジェット機を好むので、現在のリージョナル・ジェットの運航路線が ターボプロップ機に変わることは殆どないであろう。(AC) z スコープ・クローズの緩和で、今後のリージョナル・ジェット機の導入は 50 席機より経済性の良 い 70 席機、90 席機へ移りつつある。このような状況から Bombardier は 50 席機の CRJ-200 の生産ラインを一時休止する処置を行なっている。 3.2.3.2 100 席機 z 航続距離:航続距離が長く、北米大陸横断能力があって良好である。(欧州エアラインの大半 は 2,000nm 以下で十分ということであり、明確な差が見られた。) z 室内仕様:室内断面及び機内配置もほぼ良好である。頭上荷物室(overhead bin)は広く、機 内持込荷物(roll-on baggage)が縦に置けて良いが、座席とのクリアランスが小さくなっている ので、十分評価するべきである。In-seat-video のような IFE をすべての席に装備しているエア ラインもあるが(AC、B6)、飛行時間が 4 時間以内であれば不要とのエアラインもあった(UA)。 z 洋上飛行能力:ETOPS は不要であるが、洋上飛行能力(over water capability)が欲しい。
(CO) z 床下貨物室:カーゴのコンテナは不要である。積み込み作業の軽減化のために、荷物移動装 置(moving carpet)の装備の評価を実施すべきである。 z 経済性:COC を従来機より 15%改善する目標を掲げているが、そのために機体構造に複合 材をもっと用いるべきではないか。重要なのは経済性である。 z 出現時期:運航開始 2012 年に対し、現有機の後継機の検討対象になりうるというエアライン が多かった(AA、UA、BTA、CO)。 z 機体サイズ:90‐130 席の小型機が必要である。Boeing、Airbus、Embraer には 20 年前の既存 技術だけ(only OK technology)の機体しかない。787 の新技術を適用した、より安い 100 席機 が必要である。
19 型機との重なりもあって challenging である。 3.2.3.3 200-250 席機 z 200∼250 席クラスの 767/A300 の経済性の良い代替機として、787/A350 を位置づけ ており、AC は今年6月に発注していた 18 機の 777 と 14 機の 787 をパイロット組合 の反対でキャンセルしたが、11 月初めに組合と合意に達し、再発注を行なった。又、 CO は、787 を 10 機発注している。(今回訪問していないが、破産保護下にある Northwest は、787 を 18 機、US Airwys は A350 を 20 機発注済)
z AA や UA は、代替時期が 2010 年以降のため時間的にまだ余裕があり、また現在経営 状況が悪いため、今年中には発注しないと思われる。UA は、787−3 と−8 に興味あ り。 3.2.3.5 超大型機 今回調査したエアラインで747 を運航しているのは、United のみであったが、破産 保護下にあることもあって、これを超大型機で代替する計画はない。他のメジャーエア ライン(AA、AC、CO)も B777-300 より大きな機材は必要ないと考えている。 3.2.3.4 超高速機 z 226 席(3クラス)/147 席(1クラス)の Mach1.6 の SST 機に対し、高速性は非常 に大きな魅力で実現すれば買いたいとする意見もあったが、SST の成否は経済性にあ るというのが大勢であった。 z 機体仕様:マッハ 1.6 が適正であり、大西洋線での 1 日 2 往復できることについては 納得の様子。座席数は767 クラスであり適当で、757 クラスでも良いとする意見有り。 z 室内仕様:オールビジネス仕様の1-2-1 配置、2 通路については好意的な意見が多かっ たが、座席数が少なくなることで経済性に懸念を示すところもあった。ビジネスだけ で 147 席は多すぎるという意見がある。また、3クラスは不要だが1クラスよりは 2 クラスのほうが良いという意見もあった。その場合でもファーストは不要と言うとこ ろと必要というところに分かれた。 z 座席ピッチについては、現状の国際線ビジネスクラスがフルフラットの60in になって きていることもあり、高速なSST でも提示した 36in や 40in では狭いという意見と、 短時間なのでそれで良いとする意見に分かれた。5 時間以上なら 60in フラットシート が必要であるようだ。 z ストウェージビンはやはり大きいほうが良く、中央配置でも問題ない。ただ、電動に するのには故障の原因として懸念を示す意見あり。 z その他:荷物室が大きく取れないことは理解を示したが、乗客手荷物だけでなく貨物 も重要とのこと。
20 3.3 アジア・豪州エアライン調査 (2006 年 2 月 実施) 3.3.1 訪問先 タイ国際航空(TG) バンコク、タイ ノックエアー(DD) バンコク、タイ マレーシア航空(MH) クアラルンプール、マレーシア カンタス航空(QF) シドニー、オーストラリア ニュージーランド航空(NZ) オークランド、ニュージーランド シンガポール航空(SQ) シンガポール キャセイ・パシフィック航空(CX) 香港、中国 中華航空 (CI) 台北、台湾 3.3.2 アジア航空業界全般 z 旅客は、SARS や津波の影響からほぼ回復し、特に中国やインドの旅客増加が大きく、順調 な伸びを示しているが、アジアでも欧州や米国のような LCC(Low Cost Carrier)が増え、国 内線や近距離国際線でシェアを拡大している。今後の旅客の伸びは、3.5%と保守的なエア ラインもあるが(NZ)、多くが 5%程度を見込んでいる。 z 経営状況は、上記 LCC との競合と燃料価格の高騰で厳しいものの、MH を除き黒字を続けて 健全である。 z TG、QF、SQ、NZ では LCC との競合のため、子会社の LCC を設立して対応をしており、今 回訪問した Nok Air は、TG の LCC である。LCC の急増は、一方ではパイロット不足の問題 も出てきている(MH)。 z コスト削減の最大課題は燃料高騰対策で、各社共 Fuel hedge を行ったり、運賃に割増料金 (surcharge)を設けている。その他の対策としては、人員削減や整備の外注等を行っている。 z 東南アジアでの環境問題は現在あまり厳しくないが、オーストラリア、ニュージーランド、香港、 台湾では空港の夜間運航規制もしくは騒音問題があり、また地球環境を考慮することが徐々 に広がりつつある。 3.3.3 リージョナル機 z 国内線の T/P(Turboprop)路線は、経済性の良い T/P 機を維持もしくは新 T/P で代替(TG、 QF、NZ)するエアラインが多く。RJ(Regional Jet)で代替する意向を示したのは MH のみであ った。 z 現在アジア地域で RJ を運航しているエアラインは少なく、今回訪問したエアラインで唯一 RJ (BAe146)を運航している QF では、100 席クラスの 717 で代替を開始している。 3.3.3 100 席機 z 各社共、現在 A320 や 737 を運航しており、その代替需要も含み 100∼150 席クラスの YPX の 説明を行い、下記のコメントをもらった。 z サイズ:QF は 717 の代替ということで YPX は最適サイズとのことであったが、他社(TG、DD、 MH)は現在運航している機材が、A320 か 737 の 150 席機ため、YPX はやや小さく、強いてい
21 えば最も大きな-12 が良いとのことであった。 z Range:Narrowbody は 3 時間位の飛行時間までとのことで 2300NM で十分(MH)。ただし、イ ンドシナ半島からインドやオーストリア路線では ETOPS が必要とのこと(TG、MH)。 z 運航速度:M0.79 で良いという意見(DD)と、今後は M0.8 が必要という意見(MH)、M0.79 で 良いが、2.5 時間以上の距離では M0.8 が必要である(CX)。
z Overhead Bin:現在の A320/737 では不十分としている MH には好評であったが、十分とする 意見(TG)、荷物持込の増加は TAT の増加に結びつくとの意見もあった(DD)。 z コンテナは、TG は国際線では必要であるが、国内線なら不要である。 z トイレは、148 席では 2 ヶ所では不足で、3 ヶ所必要と指摘を受けた(MH、SQ)。 z 複合材に関しては、将来機としてはもっと使用すべきとの意見があった。 z エンジンについては、何を使うのかとの質問(QF)のほか、技術はあるので日本製のエンジン にしたらどうかとの意見(CI)があった。 z 経済性の Target は各社とも良いとのことであったが、DD はそれを Guarantee するかが問題で、 リスクを取りたくないのでまず日本のエアラインが導入し、実績を見て検討するとの LCC らしい 厳しい意見であった。
z その他、Lufthansa が運航しているような YPX のビジネスジェット型の提案(CI)、Airbus、 Boeing 社の A350/787 の技術を適用した経済性の良い A320/737 後継機への期待もうかがわ れた(NZ)。 3.3.4 200-300 席クラス z ボーイングは 2002 年 12 月に 200∼300 席クラスの超高効率機 7E7 の開発計画を発表し、 2004 年 4 月に全日空からの発注を得てローンチした。今回調査の直前には中国からの受注 を機に正式名称を 787 に決定したことを発表した。 z 今回訪問したエアラインでは、QF と NZ が 787 をすでに発注しており、興味のない DD を除き、 その他のエアラインは、それほど導入を急いでおらす、下記のような意見であった。 z TG:A300-600、747、MD-11 の 2012 年からの代替として A350/787 の検討を開始したところ である。
z MH:A330 の 2010 年位からの代替として A350/787 を検討しているが、A330 が若いのでそれ ほど急いでいない。 z SQ:A350/787 を検討しているが、まだ決定には至ってないとのこと。 z CX:今後 3∼5 年かけて A350/787 を検討する予定で、787 は新システムを採用しており、良 い機材になるに違いないとのやや有利の意見であった。 z CI:A350/787 を現在検討中で、それについてはコメントできないが、共通性のみでなく新技 術も十分調査して決定する。 3.3.5 大型機 z 747-400 の代替機検討で、選択肢が増え、A380 よりサイズが小さく経済性が同じ位とのことで 特に旅客型を検討している。貨物型は、旅客機からの改造型の 747-400BCF があるので賛否 両論である。
22 z QF:787 のエンジンでサイズが大きくなり、航続距離も延びるので、A380 と同じ位のシート・マ イル・コストとなり、旅客型に興味を持っている。しかし、貨物型は価格が高いので興味がな い。 z NZ:2014 年頃に 747-400 の代替として検討する予定である。 z SQ/CI:747-400 および-400F の代替として、旅客型と貨物型両方を検討している。 z CX:747-400 の後継機として検討している。 3.3.5 超大型機 z QF、TG、MH、SQ の 4 社が A380 を発注しているが、各社とも最初の予定から初納入が 6∼8 ヶ月遅れとなっており、SQ:2006 年 11 月、QF:2007 年 1 月、MH:2007 年 7 月、TG:2009 年 となっている。 z いずれも、最初は高需要でスロット制限のあるロンドン路線やロスアンジェルス路線への投入 を考えており、成田路線はまだ計画にない。 z CX:747-400 の後継機として検討している。 z CI:747-400 および-400F の代替として、旅客型と貨物型両方を検討している。 3.3.6 超高速機 z 10 年以上先の機材であるため各社とも実感はなく、個人的な意見も含まれるが、エアラインの 立場にたった意見を述べてくれた。 z TG:ビジネス客が少なく(15%)、オールビジネスは成り立たないので 2 クラスか 3 クラス仕様に したい。 z MH:ロンドンやロスアンジェルスに飛ばしたいので 6000NM 以上必要。ビジネスクラスの 40 イ ンチは狭く 50∼60 インチである。フラットシートが必要かどうかは、昼の便か夜の便かにもよる。 オールビジネス席仕様は、ビジネス席のみでは大きすぎる。 z QF:ビジネスクラスの座席ピッチは 60 インチは必要。燃料消費が大きく、客はわずかな時間短 縮には金を払わないので、成り立たないだろう。ソニックブーム問題の解決が必要である。 z NZ:運賃が高くなるのでオールビジネス席が良いが、座席ピッチは 60 インチが標準。NZ の斜 め座席配置を参照。オークランド−ロスアンジェルスをノンストップで飛ばしたいので 6000NM では不足。30%の割増運賃では非常に難しい。 z CX:1−2−1 座席配列のオールビジネス席が良い。香港−ロスアンジェルスを飛ばしたいの で 6000NM では不足である。 z CI:HSTP ではオールビジネス席が良いが、時間短縮に対し旅客がどの程度割り増し運賃を 払うか疑問である。10 時間以上の飛行となれば、HSTP でもフラットシートが必要である。
23 4. 航空旅客の予測 航空旅客は、地域によりその地理的特徴、人口、経済活動等が異なるので、予測におけ る地域を下記の 10 区分に分類している。ただし、CIS は除く。 4.1 航空旅客に及ぼす経済活動および航空運賃の影響 過去の航空旅客の伸びを支えてきた主要因は、経済成長と航空運賃低下であった。 一 方、1991 年の湾岸戦争や 2001 年 9 月に起こった米国同時多発テロ、イラク戦争、SARS は 一時的に航空旅客を下げる要因となっている。 地域別にこの航空旅客(RPK)と経済活動(GDP)、航空運賃(YIELD)との相関関係を分析 し、RPK 予測にはそれらの相関関係と GDP および YIELD の予測を用いる。 ここで、航空旅 客はその地域に属すエアラインが輸送する RPK を、経済活動はその地域の GDP を、又、航 空運賃はその地域の定期運航エアラインの平均運賃を使用している。 -15 -10 -5 0 5 10 15 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 伸び率 (%) 湾岸戦争 RPK GDP YIELD 航空旅客と 経済活動、航空運賃の関係 米国同時多発テロ 航空旅客:RPK 経済活動:GDP 航空運賃:YIELD イラク戦争 SARS
24 4.2 経済予測(添付資料−A 参照) 経済予測は、2005 年末に Global Insight(米国経済予測機関)が行った国別 GDP 長期予 測を 10 地域に集計したものをベースとしている。 世界経済は、2001 年のテロの影響でその伸びは 1.3%に減速し、2002 年 1.8%、2003 年 も 2.6%の低い伸びで推移して、その回復は予想していたより遅く、2004 年になってようやく テロ以前の 4.0%に回復した。2005 年はリバウンド上昇からやや落ち着き 3.5%となってい る。 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 出典:Global Insight 世界経済の回復 GDP伸び率 暦年 実績 予測 米国同時 多発テロ 長期的には、先進地域の経済成長は現状維持もしくは鈍化するのに対し、他の地域は過去 より大きな伸びを示し、今後 20 年の世界の実質 GDP は、過去と同じ年平均伸び率 3.1%を 維持する。 地域別に見ると、北米・西欧は過去 20 年間とほぼ同じ 2.9%、2.0%の安定した成長を続け る。日本は 1990 年代初頭からの不況が長引いていたが、漸く 2003 年に 2%まで回復し、今 後は平均 1.4%と最も緩やかな成長となる。中国はこれまでのような驚異的な伸びより鈍くな るものの、依然 6.5%と高い成長率を示し、その他アジア(日本、中国を除く)も中国に続く 5.4%の高い伸びを持続する。 一方、中南米・東欧・中東・アフリカなどの諸国は、自由主義経済への移行(東欧)、政情安 定化による経済発展(中南米、中東、アフリカ)などの要因により、今後は経済が大きく発展 していくと予測され、中南米および東欧は 3.8%、中東は 4.1%、アフリカは 4.7%と過去より 高い成長となる。
25 4.7% 4.1% 8.6% 6.3% 2.1% 3.2% 3.6% 3.0% 2.5% 2.4% 2.6% 3.1% 3.0% 3.8% 3.8% 5.4% 6.5% 1.4% 2.5% 2.0% 2.9% 3.1% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 世界 北米 中南米 西欧 東欧 アフリカ 中東 オセアニア 日本 中国 アジア 1986-2005 2006-2025 地域別経済成長予測 年平均伸び率 出典:Global Insight
26 4.3 航空運賃の予測(添付資料−B 参照) 過去 20 年間に実質航空運賃を半減させてきた大きな要因は、経済性の良い新型機によ る運航コストの低減とエアラインの合理化努力であったが、最近の低コストエアラインの出現 やインターネットでの格安切符販売等で運賃競争が更に広がっている。今後もこのような機 材の経済性の追求やエアラインの企業努力、および競争により、航空運賃は低下していくと 考えられるが、一昨年からの燃料価格の高騰やエアラインのリストラや M&A を伴うコスト削減 も厳しい状況になっており、その傾向は今までより緩やかとなろう。 したがって、1984 年から年平均 4.0%で低下してきた世界の航空運賃は、今後は現在開 発中の A380 等の超大型機が出現しても、かつての 747 出現時のようなインパクトはなく、運 賃低下にそれほど影響を与えないと思われ、年平均 1.2%で低下するであろう。 地域別には、北米の運賃は世界平均より低いレベルにあり、今後の運賃低下も年平均 1.0%と鈍化するが、西欧の運賃レベルは高く、将来年平均 1.4%で低下する。 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 実質航空運賃の予測 2005 US cent/RPK 世界平均 北米 西欧 1986-2005 2006-2025 北米 -2.3% -1.0% 西欧 -1.8% -1.4% 世界平均 -3.5% -1.2% 年平均伸び率(%) 予 測 実 績
27 4.4 航空旅客の予測(添付資料−C 参照) 航空旅客(RPK:有償旅客キロ)の予測は、最初に過去の RPK と GDP, Yield の相 関関係を求め、次にそれらの関係を用いて GDP の予測と Yield(平均運賃:旅客収 入/RPK)の予測から RPK を地域別に求めている。 しかし、それらの関係とは別にテロ後の旅行控えの影響があり、1991 年の湾岸戦 争時に見られたように一時的な旅客減少の別の要因となっている。今回のテロによる 旅客の減少はイラク戦争、SARS で回復が長びき、約 4 年間(湾岸戦争時は回復に約 3 年)影響を受けている。 世界のRPK は、1986∼2005 年の間、年平均 5.5%で伸びてきたが、今後 2025 年 まで年平均4.7%で伸び、2005 年(3 兆 8070 億人キロ)の 2.5 倍(9 兆 5410 億人キ ロ)の旅客規模となる。 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2931 2581 3064 964 1323 1127 951 406 予 測 実 績 3807 9541 2005年 (シェア) 2025年 (シェア) 1985年 1314 世界の航空旅客予測 有償旅客キロ (10億人・キロ) 年平均伸び率(%) 1986-2005 2006-2025 北米 4.0 4.1 欧州 6.0 4.2 アジア/太平洋 7.8 6.0 その他 5.0 4.4 世界合計 5.5 4.7 世界合計 (35%) (30%) (25%) (10%) (31%) (27%) (32%) (10%) 地域別航空旅客では、現在二大市場の北米と欧州は、今後 20 年もほぼ過去と同じ 年平均伸び率4.1%および 4.3%を続け、北米は現在の 2.2 倍、欧州は 2.3 倍となるが、 世界平均の伸びより低いため、その市場シェアは北米が36%から 31%へ、欧州が 30% から27%に縮小する。
28 2005年 1% 3% 7% 4% 4% 2% 4% 36% 29% 10% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 (30%) 欧州 アジア/太平洋 (25%) その他 (10%) 2025年 0% 3% 12% 4% 5% 2% 4% 30% 27% 13% 北米 西欧 東欧 アジア オセアニア 中国 日本 中東 アフリカ 中南米 (27%) 欧州 アジア/太平洋 (32%) その他 (10%) (31%) 5.5 4.0 4.4 6.2 1.3 3.1 6.9 6.4 4.5 7.1 4.7 4.1 4.1 4.3 3.0 4.1 4.8 4.9 4.0 7.3 17.0 6.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 世界 北米 中南米 西欧 東欧 アフリカ 中東 オセアニア 日本 中国 アジア 1986-2005 2006-2025 航空旅客の伸び率予測 有償旅客キロ 年平均伸び率 (%) アジア/太平洋地域は、過去大きな経済成長を背景に年率 7.8%の旅客の伸びを維 持し、20 年前の 4.5 倍となったが、今後も中国や NIES/ASEAN が中心となって 6.0%の高い成長を続ける結果、現在の 3.2 倍に増え、そのシェアも 25%から 32%と なり、世界最大の市場となる。その中で日本は、成熟した市場であり、経済成長率の 見通しも低いため、過去より低い4.0%の伸びとなる。 その他の地域では、アフリカは経済成長があってもまだ市場が未成熟のためそれほ ど大きな旅客の伸びは見込めないが 4.1%の伸びに上昇、中東は政治の不安定さがあ り 4.8%に減少、中南米は近年政治や経済の安定化が進んでおり、4.1%を維持する。 また、東欧はEC への加盟等、西欧化が拡大しており、3.0%の伸びとなろう。
29 5. 提供座席キロの予測 予測された旅客(RPK)を運ぶのに必要な提供座席キロ(ASK)は、RPK を想定 したロードファクターで除することで求められるが、ロードファクターも将来向上す ると見込まれる。 5.1 ロードファクター(座席占有率)の予測(添付資料−D 参照) 世界の旅客ロードファクターは、1985 年に 64%であったのが、旅客の増減に対し 機材供給の過不足によりバラツキはあるものの、2005 年には 75%まで上昇し、北米 や西欧では平均より高い 78%を示している。これらの高いロードファクターの要因 は、運賃の低下によるロードファクターの採算ライン上昇に対応するため、提供座席 を削減したことと、急激な旅客の回復によると考えられる。
今後もエアラインは収入増加のためにRevenue Management System を駆使し、 またインターネットを利用した切符販売、Alliance による良質の同一サービス提供等 によりロードファクターの向上に努力すると考えられるが、平均ロードファクターが 80%を越えると繁忙時に多くの旅客が乗れない(スピル)状況となるため、ロードフ ァクターの上限に近づきつつある。 以上より、2025 年には世界平均で 78%程度まで上昇すると想定した。 50.0 55.0 60.0 65.0 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 北米 西欧 日本 アジア 世界平均 地域別座席利用率の予測 ロードファクター % 実 績 予 測
30 5.2 地域別提供座席キロの予測(添付資料−E 参照) 1985 年からの世界の ASK の伸びは、ロードファクターの向上で RPK の伸び(年 平均5.5%)より 0.9%低い年平均 4.6%で伸びてきたが、今後 2006∼2025 年の間は 前述のように平均ロードファクターが76%から 78%へ向上するため、RPK の伸び(年 平均4.7%)よりやや低い年平均 4.5%で伸びると思われる。 北米および欧州は世界の平均を下回る年平均3.9%および 4.2%と低く、シェアを下 げるが、アジア/太平洋は年平均5.7%の大きな伸びで北米、欧州を凌ぐ市場となる。 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 年平均伸び率(%) 1986-2005 2006-2025 北米 2.8 4.0 欧州 5.3 4.1 アジア/太平洋 7.5 5.7 その他 4.1 4.1 世界合計 4.6 4.5 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 1685 1487 1308 566 5046 世界合計 2005年 3673 3289 3980 1258 12201 2059 世界の提供座席キロの予測(地域別) 提供座席キロ 〔10億席・キロ) 暦 年 予 測 実 績 2025年 1985年
31 5.3 地域別距離帯別提供座席キロの予測 5.3.1 距離帯別区分 更に路線距離帯でもその伸びは異なる。需要予測において、旅客を運ぶための航空 機は路線距離に適した機材を選択するため、路線帯別にも細分する必要がある。 現在(2005 年 9 月の定期運航ノンストップ路線)の路線距離別 ASK 分布を見ると、 ターボプロップ機がほぼ1000km 以下、リージョナル・ジェット機が 2000km 以下、 100 席以上の細胴ジェット機が 4500km以下、広胴ジェット機が 4500km以上の路 線で運航されていることから、本予測における距離帯区分を下記のように分類した。 リージョナル 1000 Km 以下 短距離 1001∼2000 Km 中距離 2001∼4500 Km 長距離 4501 Km 以上 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 1000 0 1100 0 1200 0 1300 0 1400 0 1500 0 1600 0 Turboprop Regional Jet Narrowbody Jet Widebody Jet 0 50000 100000 150000 200000 250000 300000 350000 400000 450000 500000 Turboprop Regional Jet Narrowbody Jet Widebody Jet ノンストップ路線の距離 (KM) 路線距離区分と路線提供座席キロ 提供座席キロ (百万) 長距離 中距離 短距離 リージョナル