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東京大学医学部附属病院

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Academic year: 2021

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S3-1

医療的ケアを抱える重症心身障害児者の家族の思いと求められる 支援~きょうだい児としての体験を通して~

千葉 真也

東京大学医学部附属病院

 私は小児系の病棟で働く看護師であり、そして重症心身障害児のきょうだいでもある。幼い頃より、

母の手伝いの一環として障害のある弟のケアに関わり、“療育”を肌で感じながら生活してきた。小学 生の頃より、弟の入浴や食事の介助などを行っていたが、誰かに強要されたことではなく、普段の生 活中で自然と行うようになった。また、弟の診察やリハビリにも一緒に連れて行ってもらい、訓練士 がどのようなことをしているのかを見学し、自宅に帰ってから弟の関節の曲げ伸ばしなど、リハビリ の真似事をすることが、弟との遊びの一つとなっていた。このことは、私が看護師としての道を歩む ことになるきっかけとなった。弟は身体の成長の過程で、呼吸状態の悪化や嚥下機能の低下などによ り、生活の中に医療的ケアを必要とするようになった。現在、弟は気管切開を施行した上での終日人 工呼吸器管理、胃瘻からの経管栄養を実施している。弟の声を奪うことになった気管切開の選択は、

我々家族にとって辛く苦しいものであり、家族の生活を大きく変化させることにもつながった。医療 的ケアを必要とする子どもの家族には、様々な支援が求められる。365日休まずにケアを強いられる 介護者には、負担を軽減させるための施設へのレスパイト入所や訪問看護などの利用、そしてそれら を利用するための情報提供などが必要である。また、重症心身障害児者に対する気管切開や胃瘻造設 などの手術は、多くの場合家族が決断することになるが、家族は子どもの代わりに決断したことが正 しかったのかと、いつまでも問い続けることになる。医療的ケアを必要とする子どもがその子らしく 生活ができ、家族自身の生活をも充実できるように環境を整えていくとともに、家族の選択を肯定し ていくような働きかけが必要である。一方できょうだい児は、両親の目が同胞にばかりに集中してし まうことで、孤立感や疎外感を抱えてしまうこともある。私自身、弟の入院時に母が付き添いをしな ければならず、寂しい思いをした経験がある。しかし、その様な時に医療スタッフから声を掛けられ、

褒められたことで自信がつき、障害児のきょうだいとしての自分を肯定することができた。医療的ケ アを抱える子どもに関わる医療スタッフは子どもに対してだけでなく、家族やきょうだい児に対して もどのような支援が必要なのか検討していく必要がある。

シンポジウム

座長:上別府…圭子(東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 家族看護学分野)

… 小沢…浩(島田療育センターはちおうじ)

きょうだい・家族支援を考える:重症心身障害・医療的ケアのある事例から

シンポジウム

94 The 66th Annual Meeting of the Japanese Society of Child Health Presented by Medical*Online

参照

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