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高濃度 CO 雰囲気を用いたガス浸炭の迅速化

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Academic year: 2021

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Technical Sheet 

キーワード:ガス浸炭、ガス組成、炭素濃度分布、浸炭速度、炭素流入量

はじめに

ガス浸炭処理は自動車や各種産業機械など におけるもっとも重要な動力伝達部品の表面 硬化法として多用されています。そのため品 質保証が優先され、省エネルギー・省資源へ の取り組みが後回しになっていました。しか し、最近の環境保護の観点からこれらに対処 することが急務となっています。

その対処法のひとつとして、雰囲気のガス 組成を調整することで、ガス浸炭を迅速に行 う方法が考えられます。鋼表面の炭素濃度

C

S

の経時変化に応じて浸炭挙動を大別すると、

浸炭開始から

C

Sがカーボンポテンシャル

C

P

に向かって上昇する過程

(

表面反応過程

)

と、

C

S

C

Pに達した後の鋼内部での炭素拡散に よって律速される過程

(

拡散律速過程

)

とに分 けることができます。表面反応過程において は、鋼中への浸炭速度はガス雰囲気と鋼表面 における炭素の活量差に比例することが知ら れています。したがってガス組成はこの過程 における浸炭速度に大きな影響をおよぼして いると考えられます。

本報告では、ガス組成を変化させたときの 炭素流入量や浸炭速度を測定し、それらの知 見を基にガス浸炭の迅速化を図るうえでの指 針を提示します。

CO-H

2

-N

2雰囲気における浸炭

ガス浸炭で用いる

RX

ガスの原料にはメタ ン(天然ガス)、プロパンおよびブタンが使用 されることがほとんどであり、そのため浸炭 雰囲気は

CO:20~24 %、H

2

:40~30 %、残り N

2 を主成分としたものになっています。そこで、

これらのガス組成の浸炭速度への影響を調べ るために、CO-H2-N2 雰囲気中で浸炭を行い ました。図

1

に市販の

S15CK(0.16 mass%C)

に対して浸炭を行ったときの炭素濃度分布を

示します。浸炭温度は

1173 K、ガス組成は (CO+H

2

):N

2

=1:1

と固定し、CO:H2の組成を変 化させています。ガス組成の

CO:H

2の比によ って炭素流入量が変化していることがわかり ます。この濃度分布から求めた炭素流入量を

CO/(CO+H

2

)

に対してプロットしたものを図

2

に示します。ガス組成の影響が顕著に現れ ていることがわかります。すなわち

CO

H

2

を添加することによって炭素流入量は急激に 増大し、

CO:H

2

=1:1 (CO/(CO+H

2

)=0.5)

のとき

0 0.1 0.2 0.3

0 0.2 0.4 0.6 0.8

COH2N2雰囲気

浸炭温度 1173K

浸炭時間 0.9ks

CO : H2 , CO/(CO+H2) 1 : 3 0.25 1 : 1 0.5 3 : 1 0.75 4 : 0 1

表面からの距離 / mm

/ mass%

(a)

浸炭時間:0.9 ks

0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2

表面からの距離 / mm

/ mass%

COH2N2雰囲気

浸炭温度 1173K

浸炭時間 7.2ks

CO : H2 , CO/(CO+H2) 1 : 3 0.25 1 : 1 0.5 3 : 1 0.75 4 : 0 1

(b)

浸炭時間:7.2 ks

1 CO

-

H

2-

N

2雰囲気中で浸炭した

S15CK

の炭素 濃度分布

高濃度 CO 雰囲気を用いたガス浸炭の迅速化

No.09020

地方独立行政法人

大阪府立産業技術総合研究所      〒594-1157 和泉市あゆみ野

2 丁目 7 番 1 号

http://tri-osaka.jp/   Phone:0725-51-2525 

(2)

極大値を示しています。しかし過剰の

H

2添加 は逆に炭素流入量を低下させています。

ところで、これらのガスが次に示すような 反応を起こすことによって浸炭は行われます。

ただし、

C

は鋼中に固溶した炭素を表してい ます。

O H C H

CO 

2

 

2

(1)

CO

2

C

2CO   (2)

2

4

C 2H

CH   (3)

2

CO/(CO+H

2

)=1

における炭素流入量は 非常に小さいにもかかわらず、

H

2を添加する ことによって急激に増大したことから、浸炭 は反応

(2)

および

(3)

が寄与する割合は小さく、

主に反応

(1)

によって行われたと考えられま す。その場合、反応

(1)

の左方向への反応が無 視できるとすれば、浸炭速度

v

は次式によっ て与えられることになります。

H2

CO

p p k

v    (4)

ここで、k は反応速度定数です。pCO

X

と 置くと、

p

H2

=1

-

X

となり式

(4)

は次のように変 形できます。



 



 

  

 

  

4 1 2 1 1

2

X k

X kX

v

( )

(5)

これより

v

X =1/2

すなわち

CO:H

2

=1:1

のと

き極大値となることがわかります。

以上は

(CO+H

2

):N

2

=1:1

、すなわち

N

2が組成 の半分を占める条件での結果です。

N

2は浸炭 反応に関与していませんので、

N

2を減らすこ とでさらに浸炭速度が向上することが予測で きます。そこで、浸炭速度が極大値となった

CO:H

2

=1:1

に固定し、(CO+H2

):N

2の比を変化 させて浸炭を行い、浸炭速度を調べました。

その結果を図

3

に示します。COと

H

2の比を 等しくしたまま

N

2 を減らすことで浸炭速度 が向上することがわかります。

ガス浸炭の迅速化に対する提案

以上の結果からガス浸炭の迅速化を図るに は、浸炭速度の向上が期待できる表面反応過 程において、①

CO

H

2の比を等しくした雰 囲気を用いること、②

N

2 を減らして

CO

H

2を高めることが推奨されます。通常の

RX

ガスは

CO:20~24 %

であり、

H

2

N

2と比べる と少ないので、表面反応過程では

RX

ガスに

CO

ガスを添加して高濃度

CO

とし、炭素拡散 過程では

CO

ガスの添加を止めるというよう な方法が有効であると考えます。しかし

CO

濃度を高くし過ぎると炉内に煤が発生しやす くなるため注意も必要です。

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

0 1 2 3

CO / (CO+H2+N2)

/ 1010 mol mm2 s1 COH2N2雰囲気

CO:H2=1:1

浸炭温度 1173K

3 CO-H

2-N2雰囲気中で浸炭した

S15CK

の浸炭速度とガス組成の関係

     









/ 106 mol mm2

CO / (CO+H2) COH2N2雰囲気

(CO+H2):N2=1:1 1173K

0.9 ks 浸炭時間 7.2 ks

2 CO-H

2-N2 雰囲気中で浸炭した

S15CK

の炭素流入量とガス組成の関係

作成者 金属材料系 横山 雄二郎   Phone:0725-51-2652  発行日  2010 年 3 月 30 日

参照

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