ふりかえり
技術倫理のケーススタディ
- スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故 -
スペースシャトル・プログラムとは、廉価(部品はできるだけ再利用)に、頻繁(年 間数回の頻度)に、機材(軍事衛星、通信衛星など)を大気圏外に送り出すための計 画です。1986年1月28日、チャレンジャー号が発射後、73秒で炎上爆破発して乗 員7名(民間人1名を含む)全員が死亡するという事故がありました。アメリカの国家 的な惨事であり、はじめてシャトルに乗り込んだ一般市民である、高校教師クリスター
・マコーリフ(Christra McAuliffe)さんも亡くなりました。気温2.2℃での打ち上げは、そ れ以前の打ち上げの時の最低気温よりも約 10 ℃も低かったという特異な条件下の打 ち上げでした。
NASA とモートン・サイオコール社(以下 MT 社)は、ロケット・ブースターのフィール ド・ジョイントを密閉するO-リングが低温下では期待される機能を果たさないという問 題を打ち上げ前に知っていました。現場のエンジニアであるロジャー・ボジョレーらが 危険性を指摘していたため、 MT 社は打ち上げ前日に発射の延期を提案しました。し かし、さまざまな理由から予定どおりの打ち上げを望んでいた NASA から、打ち上げ の延期するだけの根拠が不明確であるとの指摘を受けて、会社としての意思決定を 変えます。最後まで決断を躊躇していた技術担当副社長に向かって、経営責任者が いった言葉、「技術者としての帽子を脱いで、経営者としての帽子をかぶりたまえ」は
、技術倫理の世界ではもっとも有名な言葉になりました。
MT 社 社内会議で再検討中!
打ち上げ前夜の電話会議
打ち上げ前夜の電話会議
•寒冷前線の通過により、異常な低温が予想されていた。
•打ち上げ場所に駐在するMcDonaldが予想される低い気温下での懸念を表明して、会議が開かれる。
•BoisjolyやThomsonなどの現場のエンジニアたちは打ち上げに反対した。
•Lundは、予想されるような低温でのはっきりとしたデータがないことを理由に、打ち上げ延期を提案する。
•NASAのMulloyや他のエンジニアは、確実な証拠がないことを理由に、MT社の意見に反対。MT社Kilminster に意見を求める。
•Kilminsterがオフラインでの会議を提案。Boisjolyたちは、打ち上げに反対。
•社内会議で再検討。気温とBlow-byの間にはっきりとした相関関係がないことを理由に打ち上げを承認する方向 に会議が進む。
•反対していたLundに対して、Masonが”Take off your engineering hat and put on your management hat.”と発言。Lundは意見を変え、MT社は打ち上げ賛成の結論。
•フロリダのMcDonaldは結果に驚く。
チャンレンジャー爆破事故からの示唆
1. 技術者として活躍するが、将来経営者として技術 の能力を生かすように、経営センスを磨く。
2. 利益中心を改め、倫理的考えを重要と思える人間 になる。
3. 自由に意見を述べ、自由に意見を聞き、最善の方 法を考えることができる。 正義と勇気!
4. 失敗など、これから起きることを予想できる洞察力 をやしなう。
5. 必要であれば、利己心・自己保身に流れず、責任
を取れる人間。
情報倫理
情報倫理とは
• 情報倫理とは、本来、情報を扱う上での「人 のとるべき道」であって、ネットワーク社会に 限らず、現実社会でも重要な意味を持つ。
– 例: 会計コンサルタントが、職務でお世話をする 会社の経営情報を無断で第三者に漏らすこと。
• インターネットの普及によって、誰もが手軽に 様々な情報を受発信できる(安易)ネットワー ク社会となり、情報倫理感をさらに強めないと 大きな災いに簡単につながる。
– 例: サイバーテロ
クイズ1
• 他人の悪口などの、悪意のある内容のポスタ ーを作製して、道端に掲示した場合と、
インターネットWEBページで公開した場合、
おおよそどの程度の影響の大きさに差がある
か、影響の尺度を自分なりに定義して、2つ
の場合の影響の大きさを比較せよ。
クイズ2
• 法律であれば、悪い行為に対して強制的に 刑事罰などを与えることができるが、
倫理(道徳)では外的強制力はなく、個々人 の内面的原理として働くものであり、外的強 制力はないが、法律と並んで倫理(道徳)も非 常に重要であるのは何故か?
– (ヒント)価値、明確な基準、明文化、強制のコスト
心の器を広げよう!
• 団体生活での自分勝手な行動は慎み、お互いを尊 重する必要がある。
• ルールや法律だけでは、社会生活は円滑にはなら ない。
– 譲り合い、相手の立場を考える、思いやり、気配り
• 道徳実行は損?
– 心づかいで、結局は全体が丸く、平和に
• 道徳実行での重要事項
– 心づかいを添える
– 自分の成長、職場・組織の改善
– 自分のモラルが全体に良い影響をもたらす。
情報倫理の歴史
• インターネット以前
1. 1960年代にかけて、コンピュータ犯罪の増加により、コンピュータ倫 理に対する関心が高まる。
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実例
)あるニューヨークの銀行員が、顧客の預金利子を計算するプログラムに手 を加えて、利子の端数を四捨五入ではなく切り捨てで計算し、そこで生じた剰余利 息を自分の講座に振り込むようにプログラムして、巨額の不正資金を入手。
2. 1980年代、コンピュータ専門家による、研究機関のコンピュータへ の侵入事件(ハッキング)
• インターネット以後
1. 1990年代までは、コンピュータ技術者にとっての専門職倫理の性格 が強かったが、インターネット時代の到来とともに、すべての市民を対 象とした倫理「情報倫理」となってきた。
2. また、社会全体のインターネットへの依存度が急速に高まったことに より、情報ネットワークシステムに対する攻撃がそのまま社会システ ム全体の危機につながる可能性が強くなった。
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