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修 士 論 文 概 要 書 Summary of Master’s Thesis

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Academic year: 2021

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修 士 論 文 概 要 書

Summary of Master’s Thesis

Date of submission: 02 / 13 /_2012_

専攻名(専門分野)

Department

表現工学専攻

Name

宗雪 史弥

導 教 Advisor

河合 隆史 Seal 研究指導名

Research guidance

先端メディアと人 間工学研究

学籍番号 Student ID

number

5111E021-0 CD

研究題目

Title 3D

モバイル端末におけるユーザの視覚特性と快適性

1.はじめに

近年、3D 映画や立体視ゲームが次々と登場し、3D 映像 が新しい映像メディアとして普及してきている。特に、3D テ レビや、スマートフォンやゲーム機などの

3D

モバイル端末 の登場は 、映像メディアを日常的に利用する現代の社会 生活に大きな影響を与えつつある。

3D

映像の観察では、自然視とは異なった視覚状況を強 いられるため、不適切な観察においては 眼精疲労や頭痛 が発生することが知られている。3D 映像は 視距離の違い により、快適性が異なり、輻輳と調節の観点から考えた場 合、3D モバイル端末のような短い視距離では、画面よりも 奥まる

3D

コンテンツの方が視覚負担は少ないと報告され ている

1 )

。また、3D モバイル端末では視距離が短いために 輻輳と調節に対する要求量が大きいことが、3D 映画や

3D

テレビなどの視環境とは 異なる点である。そのため、観察 者それぞれの視覚特性が、観察に依る視覚負担や見やす さ、快適性に影響を与えることが考えられる。そこで本研究 では、近見時の視覚特性として、観察者の斜位と瞳孔間隔 に注目し、観察者の斜位・瞳孔間隔と、眼精疲労や見やす さとの関係性について検討を行った。

2.方法

2.1 実験環境

モバイル

3D

として

3D

映像表示が可能なスマートフォン

(AQUOS PHONE SH-12C, SHARP)を用いた。ディズプレ イサイズは

4.2

インチであり、解像度は

960×540

ピクセルで あった。実験は 、実際の利用形態に即してディスプレイ本 体が見え るように、完全な暗室でなく薄暗い状態で行った。

観察者の頭部はあご台により固定し、自然に視線が下向き になるようにした。視距離は

30cm

であった。参加者は正常 な

41

名であり、ティトマス・ステレオテストにより両眼立体視 機能が正常であることを確認した。

2.2 実験条件と呈示刺激

呈示する刺激には 、3D テレビ向けに放送さ れた「T HE 世界遺産

3D GRAND TOUR

日光の社寺」(

BS TBS)を用

いた。左右映像を水平方向にシフトさせることで、3D 映像 が常に画面よりも手前に再生される条件

1

と、常に画面より も奥に再生される条件

2

を設定した(図

1)。条件1, 2

のい ずれにおいても、実験の観察環境において視差量

1

度に 相当する分をシフトさ せた。元の映像の両眼視差は 、交 差・同側方向の両方で

1

度以内の範囲にあるため、例えば

条件

1

では、立体像が常に画面よりも手前に再生された。

1:実験環境と再生される映像空間

2.3 測定項目と手続き

映像観察前に視距離

30cm

における斜位を

modified Thorington method 2 )

に基づいて

3

回測定し、その平均値 を参加者の斜位とした。ここでの斜位とは 、特定の視距離 にある刺激を片眼で見たときの輻湊位置のことを指す。つ まり、融像を妨げた場合の眼球の偏位であり、一眼の視線 が他眼の視線に対して外側に偏位していたら外斜位(exo)、

内側に偏位していたら内斜位(eso)である。もし偏位がない 場合は正位(ortho)となる。その後、瞳孔間隔を測定した。

刺激呈示は

5

分間であり、1 回目の映像観察後には

10

分 以上の休憩を入れ観察者の眼の疲労が回復したことを確 認し、その後に

2

回目の映像観察をさせた。条件の順序は ランダムであった。そして、2 回目の映像観察後に以下の

5

つの質問に対して

7

件法で回答させた。いずれも

2

回の映 像観察を比較して回答する形式の質問であった。

質問

1:

どちらの映像観察の方が目が疲れましたか?

質問

2:

どちらの映像の方が見やすかったですか?

質問

3: どちらの映像の方が空間的な広がりがありましたか?

質問

4:

どちらの方が自然な

3D

映像に見えましたか?

質問

5:

どちらの映像を好みますか?

3.結果

ここでは、質問

1

2

の結果について報告する。図

2

に、

質問

1(眼精疲労)と斜位との関係性をプロットした結果を

示す。横軸は視距離

30cm

での水平斜位であり、負の値は

外斜位であることを表す。つまり、負の値が大きくなるほど

外斜位が大きくなることを示す。殆どの参加者が外斜位だ

(2)

ったが、1 名だけ内斜位の参加者がいた。縦軸は質問

1

の 回答であり、0 の値は

2

条件間で同等であること、負の値は 負の方向に行くほど、条件

1(手前)の方が当てはまること、

逆に正の値は正の方向に行くほど条件

2(奥)の方が当て

はまることを表している。この結果より、外斜位が大きいほど 手前に飛び出す

3D

映像の観察(条件

1)で眼精疲労の訴

えが強くなる傾向であることが分かる。

2:眼精疲労と斜位の関係

3

に、質問

2(見やすさ)と斜位の関係性をプロットした

結果を示す。横軸と縦軸は図

2

と同様である。外斜位が大 きいほど画面よりも奥に再生される

3D

映像の観察(条件

2)

で見やすいと感じる傾向があることが分かる。

3:見やすさと斜位の関係

また、質問

1(眼精疲労)・質問2(見やすさ)と瞳孔間隔の

間にも相関が見られた。図

4

に眼精疲労と瞳孔間隔の関 係性をプロットした結果を示す。縦軸は図

2

と同様であるが、

横軸は瞳孔間隔の長さ になっている。瞳孔間隔が長いほ ど、手前に飛び出す

3D

映像の観察(条件

1)で眼精疲労

の訴えが強くなる傾向であることが分かる。

4:眼精疲労と瞳孔間隔の関係

最後に、質問

2(見やすさ)と瞳孔間隔の関係性をプロット

した結果を図

5

に示す。瞳孔間隔が長いほど、画面よりも 奥に再生される

3D

映像(条件

2)で見やすいと感じる傾向

があることが分かる。

5:見やすさと瞳孔間隔の関係

4.考察

結果から、外斜位が大きい、又は瞳孔間隔が長いほど 交差性視差の

3D

映像を見たときに眼精疲労の訴えが強く、

見にくく感じていることがわかった。これは、観察者の視覚 特性により、3D モバイル端末での

3D

映像視聴の安全性 や快適性が異なることを示唆している。交差性視差の

3D

映像を観察する場合は 、融像するために、眼球を映像呈 示面よりもさらに輻湊する必要がある。外斜位が大きい、ま たは瞳孔間隔の長い観察者はそれが眼精疲労や見づらさ に関与したことが考えられる。しかし、斜位や瞳孔間隔以 外にもその要因は考え られるため、観察者の他の視覚特 性や視聴時間、観察環境の観点から多角的に検討する必 要があるだろう。

参考文献

1) T. Sh ibata, J. Kim, D.M. Hoffman, and M.S. Banks, “The zone of comfo rt: Predicting visual discomfort with stereo displays,” Journal of Vision 11(8), 1-29, 2011.

2) D.A. Goss, B.J. Moyer, and M.C. Teske, “A Co mparison of Dissociated Phoria Test Findings with Von Graefe Phorometry & Modified Thorington Testing,” Journal of Behavioral Optometry, 19(6), 145-149, 2008.

-3 -2 -1 0 1 2 3

-20 -10 0 10

評定点

斜位(prism diopter)

-3 -2 -1 0 1 2 3

-20 -10 0 10

評定点

斜位(prism diopter)

-3 -2 -1 0 1 2 3

55 60 65 70 75

評 定 点

瞳孔間隔(mm)

-3 -2 -1 0 1 2 3

55 60 65 70 75

評 定 点

瞳孔間隔(mm)

参照

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