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タクシーの計画的な減車が利用者,社会に及ぼす影響に関する研究

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Academic year: 2021

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タクシーの計画的な減車が利用者,社会に及ぼす影響に関する研究   

田口  健太郎・吉田聡・佐土原聡   

 

Preliminary survey of fleet size effects on

"Ond day experiment of reducing taxis"

 

Kentaro  TAGUCHI, Satoshi YOSHIDA, Satoru SADOHARA   

 

ABSTRACT: The oversupply of number of taxis has caused serious effects on the availability and quality of service as well as on the economic viability of the taxi business. It is expected that a taxi user, a driver, a taxi company and society will be profited, if we can properly fleet size control of taxis without reducing their convenience. In this paper, we tried to estimate how taxis move and where the oversupply has occurred in Tokyo. As per the analysis of GPS data collected by the taxi probe by using GIS, number of vehicles can forecast beforehand the impacts on taxi user's waiting time, empty car congestion, accident and fuel consumption. As for the results of this research, it is scheduled to be verified later by a large-scale social experiment.

 

Keywords:

タクシー・プローブ

(taxi probe),

車両規模

(fleet size),

需給調整

(Demand-Supply Adjustment)

      1.はじめに 

タクシー市場に関する国際的な既存調査では,

過去の参入規制緩和によってタクシーの車両規 模が増加したことが報告されている(Annex, J.,  2003).アメリカ,カナダの 43 の地域を対象と した調査では,流し市場,タクシー乗り場市場 における供給過剰は,乗務員やサービスの質の 低下をもたらすことが指摘されている(Schaller,  B., 2007).現在では,主な先進国では地域を管 理主体としたタクシーの需給調整が行われてい るが,日本では交通圏レベルでの需給調整の方 法論に関して検討の余地がある.本研究では大 量に得られたタクシー・プローブ情報をもとに 下記の2つに取り組むことを目的とする. 

1) 東京都において,どのようにタクシーが利用 されているのかを地理情報システム(GIS)を活 用して分析し,実車時間,走行時間の要因となる 地域特性を把握する. 

 

2) 単位時間あたりの乗車数(人/時),タクシ ーの需要量と空車の供給台数(台/時)とを比 較すること によって ,現状の主要道路に関して どこで供給過剰が生じているのかを分析する. 

  今後,社会実験を通じて検討した内容の妥当性 を検証する予定である. 

2.タクシー・プローブ・データの概要  プローブカーは,自動車を移動体の交通観測 モニタリング装置と捉え,きめ細かな交通流動 や交通行動,位置情報,車両挙動さらには気候 や自然に係わる状況をモニタリングする車両と 定義される.GPS 搭載タクシー車両の場合,タ クシーの車両測位情報・メータ器など車両動態 情報を継続的に収集することが可能である. 

対象地域を東京特別区・武蔵野・三鷹地区と して,複数タクシー事業者から日時,車両番号,

車 両 の 緯 度 ・ 経 度 座 標 , 空 車 , 実 車 , そ の 他

(タクシーが稼働していない状態など)の3つ のメータ器状態,走行速度が記録された原デー タを入手して加工し,GIS で利用可能なポイン トデータを作成した. 

田 口   健 太 郎 :240-8501 横 浜 市 保 土 ヶ 谷 区 常 盤 台

79-7 横浜国 立大学大学院環境情報研究院佐土原研究

TEL:045-339-4247 FAX:045-338-1016 Email:[email protected]

(2)

 

3.実車時間,走行時間の要因となる地域特性 の把握 

3.1.集計方法 

実車時間,走行時間と地域特性との相関係数 を求めるために,各メッシュにおける 14 種類の 建物の用途別延べ床面積,主要駅の一日平均乗 降数の総和,主要道路の総延長を集計した.駅 の一日平均乗降数は JR 東日本のデータを用いた. 

2009 年 2 月 1 日から 2 月 7 日までの一週間を 分析対象期間としてサンプル車両 1000 台をラン ダムに抽出し,対象地域を 500m メッシュに分割 し,各メッシュを起点・終点とする実車時間の 総和,各メッシュの走行時間の総和を集計した. 

実車時間はメータ器状態が実車時の時間であ る.走行時間は走行時(メータ器が実車時・空 車)の時間であるが,データの都合上,空車時 の正確な時間を求めることができないため,実 車・空車であった GIS 上のポイント密度を各メ ッシュに関して集計したものを走行時間の代わ りとして用いた. 

3.2.地域特性の把握 

実車時間 ,走行 時のポ イン ト密度 をそれ ぞれ時 帯 別 に 集 計 し , 地 域 特 性 と の 相 関 係 数 を 求 め た

(図1,図2,図3).メッシュを起点とする場合,

そのメッシ ュで乗 車した場 合の実 車時間の 総和と なる.メッ シュを 終点とす る場合 ,そのメ ッシュ で降車した 場合の 実車時間 の総和 であり, 降車し た時間帯に関する集計となる.時間帯は,A 早朝

5

8

時),

B

午前の通勤時間帯(

8

11

時),

C

午前 (

11

12

時),

D

昼休み(

12

13

時),

E

午 後(

13

17

時),

F

午後の通勤時間帯(

17

21

時),

G

夜  (

21

23

時),

H

夜遅く終電前(

23

1

時),

I

終電直後しばらく(1〜3 時),J 夜中から明け方

-0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

A B C D E F G H I J

時間帯

官公庁 教育 文化 厚生 医療 事務所

商業 宿泊 遊興 スポーツ 興行 住商併用

専用住宅 集合住宅 駅乗降数 主要道路

 

図1. メッシュを起点とする実車時間との相関  

-0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

A B C D E F G H I J

時間帯

官公庁 教育 文化 厚生 医療 事務所

商業 宿泊 遊興 スポーツ 興行 住商併用

専用住宅 集合住宅 駅乗降数 主要道路

  図2.メッシュを終点とする実車時間との相関 

-0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

A B C D E F G H I J

時間帯

官公庁 教育 文化 厚生 医療 事務所

商業 宿泊 遊興 スポーツ 興行 住商併用

専用住宅 集合住宅 駅乗降数 主要道路

 

図3.走行時のポイント密度との相関 

3

5

時)の

10

種類とした.メッシュを起点と する実車時 間に関 しては, 商業施 設,駅乗 降数,

宿泊施設と やや相 関が存在 してお り,午後 以降,

商業施設の 多い地 域から乗 車する 利用者が 増加す る傾向が見 られる .メッシ ュを終 点とする 実車時 間に関して は,相 関係数の 値は低 いものの 傾向と しては終電 直後し ばらくの 時間帯 に集合住 宅にて 降車してい ると思 われる. 走行時 のポイン ト密度 に関しては ,無相 関に近か った主 要道路と の相関 の値が向上 してい ることか ら,空 車時に主 要道路 を流してタ クシー が地域間 を移動 している 状況を 想定できると考える.  

4.供給過剰の地域的な分析  4.1.集計方法 

単位時間あたりの乗車数(人/時),タクシー の需要量と空車の供給台数(台/時)とを比較 することによって,どこで供給過剰が生じている のかを地域的に分析する. 

タクシー 市場は ,流し 市場 ,タク シー乗 り場市

場,無線配 車市場 の三種類 が存在 する.大 都市で

は流し市場とタクシー乗り場市場は全体の

9

割を

占めている .実際 に配車指 示を行 う際は, どの道

路を流せば よいか といった 具体的 なルート に関す

る指示が重 要であ ると考え るため ,主要道 路を集

(3)

計単位とした分析を行う.

2009 年 1 月〜3 月末までの月曜日朝 6 時〜火 曜日朝 6 時までのうち,祝日を除外した 12 日間 を分析対象期間としてサンプル車両 1000 台をラ ンダムに抽出した.月曜日に関して集計を行っ たのは,タクシーの稼働率の変動が平均値に近 く,今後の一日減車を行う際の候補曜日として 想定されているからである. 

主要道路の間の交差点から交差点までの道路 区間の両車線(2927 か所)に関して,単位時間 あたりの乗車数(人/時)を集計した.道路区 間を空車が通過したかどうかを検出するプログ ラムを作成し,空車の通過頻度をカウントする ことによって単位時間あたりの空車の供給台数

(台/時)を求めた(図4). 

空車の到着率λ,空車の供給台数 n,空車の 平均通過間隔 T(秒)は次のような関係となる. 

3600 / n

2 1

1

n t t

T t L n

 

t2 t3

t1

図4.道路区間の供給台数,平均通過間隔 4.2.平均通過間隔の分布 

サンプルの日平均稼働台数 

815(台)に対して,

対象地域の稼働台数を求めた結果

33,748

(台)で あった.サ ンプル 車両にて 集計し た供給台 数を約

41.4

倍することによって実際の供給台数を推定し た.甲州街 道,山 手通り, 明治通 りの3か 所に関 して,歩道橋の上から空車タクシー20 両が通過す るのに要す る時間 を計測し ,平均 通過間隔 を求め た.サンプ ル拡大 によって 得られ た平均通 過間隔 の推定値と実測値を比較した(表1).

表1.平均通過間隔の推定値と実測値の比較

推定値

(秒)

実測値

(秒)

甲州街道下り 8 27

甲州街道上り 17 7

山手通り内回り 18 41

山手通り外回り 12 60

明治通り渋谷方面 5 21

明治通り古川橋方面 47 16

平均値 17 29

おおむね 1分以 内のず れで あるが ,平均 値を比 較すると実 測値が 長くなっ ている .それぞ れの平 均値の比を 用いて 単位時間 あたり の補正後 の待ち 時間を次式のように補正した.

17 29 3600

空車の通過頻度

補正後の推定値  

補正後の推定値を用いて 0 時台の都心の主要 道路では通過間隔が平均 240 秒以内となってお り,周辺の主要道路では 480 秒以上の場所も存 在している(図5.).それぞれの道路の需要が どの程度であるかを考慮することによって,利 用者の待ち時間を推定することも考えられるが,

乗車数に対して空車の供給台数が十分に大きい ならば,利用者が待ち行列に並ぶことは考えに くいため,平均通過間隔は利用者の待ち時間に ほぼ等しくなると思われる. 

 

  図5.平均通過間隔の分布(0 時台)  

4.3.乗車数,供給台数の比較 

各道路区間の乗車数,空車の供給台数の全道

路に関する平均値を時刻別に求めた.需要がピ

ークとなる時刻であっても,全道路の平均供給

台数が平均利用者数をはるかに上回っているこ

とがわかる.平均して乗車数の約 11.5 倍の空車

が供給されていることがわかった. 

(4)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 1 5 16 17 18 1 9 20 21 22 2 3 乗車数( 人/h) 供給台数(台/h )

図5.乗車数と供給台数の全道路平均  乗車数の 11.5 倍以上の空車が供給されている 道路は供給台数の多いと考えられるため,その ような道路だけを抽出した(図6).商業施設な どが多い地域においても供給過剰となっている ことがわかる. 

 

 

 

  図6.平均よりも供給台数の多い道路と商業施 設(左上から 8 時,14 時,19 時,23 時台) 

 

5.まとめと今後の展望 

  東京都において,どのようにタクシーが利 用されているのかを分析した結果,商業施設,

宿泊私設,駅乗降数などが実車時間に影響を与 えていると考えられる. 

単位時間あたりの乗車数(人/時),タクシー の需要量と空車の供給台数(台/時)とを比較 することによって,現状の主要道路に関してど こで供給過剰が生じているのかを分析した.東 京では一日だけ減車を行う社会実験の実施が予 定されている.今後,待ち時間などの利用者利 便性を考慮した計画的な減車方法へと発展させ たい.

 

参 考 文 献 :  

1.Annex J(2003)Impact of taxi market regulation -  an  international  comparison,  office  of  fair  trading, UK 7-14. 

2 . Bruce  Schaller  (2007)  Entry  Controls  in  Taxi  Regulation  Implications  of  US  and  Canadian  experience  for  taxi  regulation  and  deregulation,  Transport Policy 14 490-506.1. 

参照

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