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高齢者の住宅火災による死者数の低減を図るための調査分析事業 消防本部の実施施策と高齢者の実態に関する調査研究 報告書 平成 26 年 3 月 住宅防火対策推進協議会

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高齢者の住宅火災による死者数の低減を図るための調査分析事業

消防本部の実施施策と高齢者の実態に関する調査研究

報告書

平成 26 年 3 月 住宅防火対策推進協議会

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はじめに 日本は世界一の超高齢社会に突入しているといわれており、このような社会的背景の中 で住宅火災発生件数は年々減少傾向にあるものの、その死者数(放火自殺者を除く)は平 成 15 年以降、毎年 1,000 人を超えています。特に高齢者死者数の割合は、高齢化の進展の 中で、死者数全体の 6 割以上を占めており、さらに今後増加することが予想されています。 こうしたことを背景として、高齢者への住宅防火施策や広報の実施が喫緊の課題となっ ていますが、その普及啓発に必要となる高齢者が関与した火災の実態、高齢者の居住実態、 高齢者やその家族の防火意識などの情報が不足しているという声が消防本部から上がって います。 このため、住宅防火対策推進協議会では、「高齢者の住宅火災による死者数の低減を図 るための調査分析事業」を平成 25 年度事業として実施し、全国の消防本部や高齢者家族な どのご協力をいただき、高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ハット、消防本部の実施 している高齢者住宅防火施策や広報、高齢者の住まい方、高齢者やその家族の防火意識な どの実態を調査いたしました。 本報告書はその調査結果をまとめたもので、消防本部に求められる、高齢者に対する住 宅防火の施策や広報の参考になれば幸いです。 最後に、本調査にご協力いただいた全国の消防本部、さらには高齢者の家族の方々、ま た、多忙な中、調査項目や調査方法及び報告書の取り纏めにあたった作業部会員の方々に 対して、この場を借りて心より感謝申し上げます。 平成 26 年 3 月 住宅防火対策推進協議会

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目次

1 調査研究の概要 ... 1 1.1 目的 ... 1 1.2 調査研究の手法... 2 1.3 報告書の構成 ... 2 1.4 調査研究体制 ... 2 2 高齢者の住宅火災の現状と課題 ... 3 2.1 高齢者の住宅火災の現状 ... 3 2.2 高齢者の住宅防火対策の課題 ... 7 3 消防本部に対するアンケート調査 ... 9 3.1 調査の概要 ... 9 3.2 高齢者住宅防火施策及び高齢者住宅防火広報の調査項目 ... 9 3.3 高齢者住宅防火施策及び高齢者住宅防火広報の調査結果 ... 10 3.4 高齢者が死傷した住宅火災の調査項目 ... 8 3.5 高齢者が死傷した住宅火災の調査結果 ... 9 4 高齢者の家族に対するアンケート調査 ... 18 4.1 調査対象 ... 18 4.2 高齢者の特性、住まい方及び防火意識に関する調査項目 ... 20 4.3 高齢者の特性、住まい方及び防火意識に関する調査結果 ... 21 4.4 住宅火災及びヒヤリ・ハット経験者の調査結果 ... 38 5 まとめ ... 43 5.1 消防本部に対するアンケートで得られた知見 ... 43 5.2 高齢者の家族に対するアンケートから得られた知見 ... 45 5.3 今後の課題 ... 48

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1.1 目的

(1) 本事業の背景 日本は世界一の超高齢社会に突入しているといわれている1。そうした社会的背景の中で 住宅火災(放火を除く。以下同じ。)に目を向けてみると、発生件数は年々減少傾向にあ るものの、その死者数(放火自殺者を除く。以下同じ。)は平成 15(2003)年以降、毎年 1,000 人を超えている2。特に高齢者死者数の割合は、平成 20(2008)年以降毎年 60%を超 えている。今後、さらなる高齢化の進展が見込まれる中で、住宅火災における高齢者の死 者数の割合は増加することが予想される。 こうしたことを背景として、全国の消防本部には住宅火災から高齢者を守る、言い換え るならば高齢者への住宅防火施策の実施が喫緊の課題となっている。総務省消防庁におい ては、平成 16(2004)年に戸建を含む全ての住宅を対象として住宅用火災警報器の設置を 義務付ける消防法の改正が行われた。平成 23(2011)年 6 月までには既存住宅に対する住 宅用火災警報器の設置義務化が全国展開され、普及啓発の取り組みが行われている。高齢 者の住宅火災における死者数を低減するためには、住宅用火災警報器の設置のみならず住 宅防火対策の普及啓発は重要な施策と考えられる。しかしながら、その普及啓発に必要と なる高齢者が関与した火災の実態、高齢者の居住実態、高齢者やその家族の防火意識など の情報が不足しており、有効な施策の実施が難しいという声が消防本部から上がっている。 (2) 本事業の目的 そこで、本事業では次の点を目的とする。 ① 高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ハット、消防本部の実施している高齢者住宅 防火施策や広報、高齢者の住まい方、高齢者やその家族の防火意識などの実態を調査 し、その特徴を明らかにする。 その上で、消防本部に求められる高齢者住宅防火広報のあり方を検討する。 ② ①によって得られた結果を、消防本部へ提供する。 ③ それによって、高齢者に対する住宅防火対策の普及啓発が図られ、高齢者の住宅火災 による死者数低減に資する。 1 内閣府『平成 25 年版 高齢社会白書』10 頁を参照。 2 総務省消防庁『平成 25 年版 消防白書』50 頁を参照。

1 調査研究の概要

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1.2 調査研究の手法

(1) アンケート調査 本調査研究では、次のようなアンケート調査を実施した。 ① 消防本部に対するアンケート調査 (Web または Fax 回答によるアンケート調査) 全国 767 の消防本部に対して、高齢者の関与した住宅火災事例及び消防本部の実施して いる高齢者住宅防火施策や広報に関するアンケートを実施した。 ② 高齢者の家族に対するアンケート調査 (Web 回答によるアンケート調査) 高齢者の家族(合計 2,058 サンプル)に対して、高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ ハット事例、高齢者の住まい方、高齢者やその家族の防火意識等に関するアンケート調査 を実施した。 (2) 消防本部の住宅防火施策等、高齢者火災及びヒヤリ・ハットに関する分析 アンケート調査結果をもとに、消防本部が実施している住宅防火施策、高齢者の住まい 方、高齢者やその家族の防火意識などの特徴、さらには高齢者の関与した火災及びヒヤリ・ ハットに関する分析を行った。

1.3 報告書の構成

本書の構成は以下の通りである。 第1章 本調査研究の目的及び手法等を明らかにし、その概要について述べていくことに する。 第 2 章 住宅火災の現状と課題を明らかにする。 第 3 章・第 4 章 消防本部に対するアンケート結果及び高齢者の家族に対するアンケート結 果を集計し、高齢者の住宅火災及びヒヤリ・ハット事例、高齢者の特性及び住まい方、消 防本部の実施している施策について分析する。 第 5 章 第 3 章から第 4 章までの考察をもとに、高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ ハットに関する分析を行う。特に消防本部が実施している住宅防火施策、高齢者の住ま い方、防火意識などにどのような特徴があるのかを明らかにする。

1.4 調査研究体制

本調査研究の実施に際し、「高齢者の死者数の低減を図るための調査分析作業部会」を 設置し、本調査研究に関する専門的かつ客観的な立場からの助言等をいただくものとした。 委員名簿及び作業部会の開催概要を資料 1 及び資料 2 に添付した。

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2.1 高齢者の住宅火災の現状

1.1 目的で触れたように、本調査研究は、高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ハット、 消防本部の実施している住宅防火施策、高齢者の住まい方、高齢者やその家族の防火意識 などの実態を調査し、その特徴を明らかにする。その上で、消防本部に求められる高齢者 住宅防火広報のあり方を検討する。さらに、これらによって得られた結果を消防本部に提 供することで高齢者に対する住宅防火対策の普及啓発が図られ、高齢者の住宅火災による 死者数低減に資することに期待したい。 それでは、なぜ住宅火災における高齢者死者数の低減を課題とするのであろうか。ここ では、日本社会の高齢化という社会的背景に触れながら、本調査研究における問題の所在 を指摘する。 (1) 社会的背景 日本は高齢化率、高齢化のスピード、平均寿命の 3 点から世界一の高齢社会であるとい える。ここでは、日本の高齢化率の推移について概観していくことにしたい。 日本の 65 歳以上の高齢者人口は、昭和 25(1950)年には総人口の 5%にも満たなかった。 しかし、図 2-1-1 に示したように昭和 45(1970)年に 7%を突破し、さらに平成 6(1994) 年にはその倍の水準である 14%を超えることとなった。 そして、平成 24(2012)年 10 月 1 日現在、日本の総人口は 1 億 2,752 万人であった。 そのうち 65 歳以上の高齢者人口は 3,079 万人となり、総人口に占める 65 歳以上の人口の 割合(高齢化率)は 24.1%に達している。これが「超高齢社会」といわれる所以3である。 3 国連や WHO(世界保健機構)では、高齢化率 7%以上が「高齢化社会」、高齢化率 14%以 上が「高齢社会」、高齢化率 21%以上が「超高齢社会」とされている。

2 高齢者の住宅火災の現状と課題

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4 ※内閣府『平成 25 年版 高齢白書』より作成 図 2-1-1 高齢化率の推移 (2) 住宅火災の現状 こうした社会的な状況の中において、住宅火災の現状はどのようになっているのであろ うか。平成 3(1991)年版の消防白書から「住宅火災」という区分で統計が取られているが、 平成 3 年(1991)年の 1 年間で住宅火災は 19,531 件発生していた。以降、図 2-1-2 で示し たように、住宅火災の件数は概ね減少傾向にある。特に平成 17(2005)年からの住宅火災 の減少スピードは著しく、平成 21(2009)年以降は 15,000 件を下回る結果となっている。 ※総務省消防庁『消防白書』より作成 ※平成 2(1990)年以前のデータは、消防白書において「住宅火災」という区分が存在しないため、用途 「居住」の火災件数を表示している 図 2-1-2 住宅火災(放火を除く)の件数の推移 4.9% 5.3% 5.7% 6.3% 7.1% 7.9% 9.1% 10.3% 12.1% 14.6% 17.4% 20.2% 23.0% 24.1% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 高齢化率の推移 19,241 17,531 17,308 14,044 12,832 12,000 13,000 14,000 15,000 16,000 17,000 18,000 19,000 20,000 21,000 住宅火災(放火を除く)の件数 (件)

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5 一方、住宅火災による死者数は、昭和 55(1980)年には 994 名であった。以降、図 2-1-3 で示したように毎年 800 人から 1,000 人程度で推移していたが、平成 17(2005)年には 1,200 人を突破し、1,220 人を記録した。平成 18(2006)年以降は 1,000 人から 1,200 人程度で 推移し、平成 24(2012)年は 1,016 人であった。平成 17(2005)年から住宅火災の件数が 著しく減少したことにともない、住宅火災による死者数も減少傾向がみられる。 では、住宅火災による死者数が減少した要因は何であろうか。これは、平成 16(2008) 年の消防法改正以降、住宅用火災警報器の設置が義務付けられたことが考えられる。新築 住宅については平成 18(2006)年 6 月から設置が義務化され、各市町村の条例に基づき、 平成 23(2011)年 6 月までに全国すべての市町村において義務化された。 総務省消防庁によれば、平成 25(2013)年 6 月 1 日時点での全国推計設置率は 79.8%で、 前年の 77.5%から 2.3 ポイント上昇している4 ※総務省消防庁『消防白書』より作成 図 2-1-3 住宅火災による死者数(放火自殺者を除く) (3) 住宅火災における高齢者死者数の状況 先に指摘したように、平成 17(2005)年から住宅火災の件数が著しく減少したことにと もない、住宅火災による死者数も減少傾向がみられる。そのなかで高齢者はどのような状 況にあるのであろうか。 昭和 55(1980)年においては、住宅火災による死者数は 994 名で、そのうち高齢者死者 数は 457 名でその割合は 46.0%であった。以降、図 2-1-4 で示したように毎年 40%から 55% 4 総務省消防庁「住宅用火災警報器の設置状況の推計結果(平成 25 年 6 月 1 日時点)」平 成 25 年 8 月 13 日報道資料を参照。 994 859 837 939 936 1,038 1,220 1,022 1,016 800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 住宅火災による死者数(放火自殺者を除く) (件)

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6 程度まで概ね微増しながら推移していたが、平成 20(2008)年には 60%を突破することと なった。平成 24(2012)年には住宅火災による死者数 1,016 人のうち、高齢者死者数は 677 人に達し、66.6%を占める状況になっている。 ※総務省消防庁『消防白書』より作成 図 2-1-4 住宅火災における高齢者死者数の割合 これを高齢率との関係について表に整理したものが表 2-1-1 である。 表 2-1-1 高齢化率と住宅火災における高齢者死者数の割合 ※内閣府『平成 25 年版 高齢白書』及び消防庁『消防白書』より作成 994 859 837 939 936 1,220 1,022 1,016 457 399 398 503 517 691 641 677 46.0% 46.4% 47.6% 47.3% 53.6% 55.2% 56.6% 62.7% 66.6% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 300 500 700 900 1,100 1,300 住宅火災による死者数(放火自殺者を除く) 住宅火災による高齢者死者数 65歳以上の高齢者の割合 1980年 1985年 1990年 1995年 2000年 2005年 2010年 2012年 高齢化率の推移 9.1% 10.3% 12.1% 14.6% 17.4% 20.2% 23.0% 24.1% 住宅火災における65歳以上の 高齢者死者数の割合 46.0% 46.4% 47.6% 53.6% 55.2% 56.6% 62.7% 66.6% (人)

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7 これらの相関関係をグラフ化したものが図 2-1-5 である。 図 2-1-5 高齢化率と住宅火災における高齢者死者数の割合 高齢化率の推移と住宅火災における高齢者死者数の割合の相関係数は約 0.978 であった。 相関係数は 1 に近いほど正の相関が強く、-1 に近いほど負の相関が強い。また 0 に近いほ ど相関関係は弱いとみる。また、決定係数は約 0.957 であった。ここから読み取れるのは、 高齢化率の上昇が、住宅火災において高齢者が犠牲になる割合と強い正の相関関係にある ということである。 また、図 2-1-3 に示されているように、平成 17(2005)年から住宅火災による死者数に は減少傾向がみられるにもかかわらず、高齢者死者数はほぼ横ばいであり、高齢者死者数 の割合は増加傾向にある。これはすなわち、主に高齢者を除いた年齢階層の死者数が減少 していることを意味する。したがって、高齢者を除いた年齢階層に対する住宅防火対策が 効果を上げていると考えられるが、一方で高齢者に対する効果は限定的であると思われる。 従って、今後の住宅防火対策は、高齢者を対象とした施策が必要であるという問題意識 につながるのである。

2.2 高齢者の住宅防火対策の課題

ここまで見てきたように、住宅火災における高齢者死者数の割合は増加傾向にある。特 に、高齢化は今後さらなる進展が予測されており、高齢者死者数の割合が右肩上がりを続 ける可能性は否定できない。そうした状況の中で、各消防本部は、住宅火災から地域の高 齢者を守るための施策を展開していかなければならない。 y = 1.2966x + 0.3314 R² = 0.9574 30.0% 35.0% 40.0% 45.0% 50.0% 55.0% 60.0% 65.0% 70.0% 7.0% 9.0% 11.0% 13.0% 15.0% 17.0% 19.0% 21.0% 23.0% 25.0% 高 齢 者 死 者 数 の 割 合 高齢化率

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8 しかしながら、消防本部からはその普及啓発に必要となる高齢者が関与した火災の実態、 高齢者の居住実態、高齢者やその家族の防火意識などの情報が不足しており、有効な施策 の実施が難しいとの声が上がっている。 そこで本調査研究では、高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ハット、消防本部の実 施している高齢者住宅防火施策や住宅防火広報、高齢者の住まい方、高齢者やその家族の 防火意識などの実態を調査し、資料として整理することで、高齢者に対する住宅防火対策 の普及啓発のための情報不足を補完することができるものと考えている。

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9 第 1 章、第 2 章では本調査研究の目的と高齢者の住宅火災の現状について述べてきた。 第 3 章及び第 4 章ではアンケート調査の結果を示していく。まず本章では、消防本部に対 するアンケート調査に基づき、消防本部が実施する高齢者住宅防火施策や高齢者住宅防火 広報、及び高齢者が死傷した住宅火災事例について、その結果を示す。

3.1 調査の概要

高齢者の特性や住まい方を踏まえて、各消防本部がどのような高齢者住宅防火施策を実 施しているか、またどのような高齢者住宅防火広報を実施しているか、さらに高齢者が死 傷した住宅火災事例について調査を実施した。調査対象及び実施方法は以下のとおりであ る。 (1) 調査対象とした消防本部 全国の全 767 の消防本部に対して Web 及び郵送によるアンケートを実施した。前述した ように、日本において高齢化率は約 24%に達するが、地域間によってかなりのばらつきが 存在する。多様な地域性を反映した消防本部の施策を収集するために、全国の消防本部を 対象とした。 (2) 回答結果  調査対象者:全国の消防本部(767 本部)  調査事項:高齢者住宅防火施策及び高齢者住宅防火広報 高齢者が死傷した住宅火災事例  調査方法:Fax または Web による併用型調査  実施時期:2013 年 10 月 11 日 ~ 2013 年 11 月 2 日  有効回答数:674/767 サンプル(回答率 87.9%)

3.2 高齢者住宅防火施策及び高齢者住宅防火広報の調査項目

各消防本部がどのような高齢者住宅防火施策を実施しているかについて調査を実施する にあたり、実施している施策のみならず、実施の手法、連携相手、必要とされる情報など についても調査を行った。また、具体的な高齢者住宅防火広報の内容についても調査した。 調査項目は以下のとおりである。

3 消防本部に対するアンケート調査

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10 住 宅 防 火 訪 問 防 火 診 断 高 齢 者 関 連 団 体 へ の 啓 発 市 町 村 部 局 の 給 付 補 助 事 業 等 へ の 参 画 給 付 補 助 事 業 等 の 実 施 高 齢 者 住 宅 防 火 モ デ ル 地 区 の 設 定 そ の 他 % 71.8 50.3 31.3 13.7 10.2 9.3 4.1 10.2 n数 670 664 654 657 656 656 656 596 特 定 地 区 へ の 重 点 的 取 り 組 み 71.8 50.3 31.3 13.7 10.2 9.3 4.1 10.2 0% 20% 40% 60% 80% 100% (1) 消防本部の実施する高齢者住宅防火施策 ① 住宅防火施策の実施率 ② 住宅防火施策の実施状況 ③ 各種団体との連携状況 (2) 消防本部の実施する高齢者及び家族向けの住宅防火広報 ① 使用している広報媒体 ② 効果的だと思う広報媒体 ③ 希望する家庭向け住宅防火広報用資料

3.3 高齢者住宅防火施策及び高齢者住宅防火広報の調査結果

消防本部が実施している施策に関する調査結果の概要を以下に示す。 (1) 消防本部の実施する高齢者住宅防火施策 ① 住宅防火施策の実施率  住宅防火施策で実施率が最も高かったのは「住宅防火訪問」(71.8%)であった。 次いで、「防火診断」(50.3%)、「高齢者関連団体への啓発」(31.3%)の順で 続いている。(図 3-3-1 参照)  「特定地区への重点的取り組み」(9.3%)、「高齢者住宅防火モデル地区の設定」 (4.1%)については、実施率が 1 割を下回った5。(図 3-3-1 参照) ※n数は回答のあった消防本部数で、各施策ごとに母数は異なる。(未回答を除く。以下同じ。) 図 3-3-1 住宅防火施策の実施率 5 「高齢者住宅防火モデル地区の設定」は特定地区をモデル地区として一定期間指定し、住宅防 火訪問や住宅用防災機器の給付事業などの住宅防火に対する諸施策を集中的に講じるもの。「特 定地区の重点的取組」は「高齢者住宅防火モデル地区の設定」に準じる施策である。

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1  その他の施策を列記すると、次の通りである。 ・住宅用火災警報器取り付け支援(4 本部) ・防火ゲートボール大会(2 本部、外郭団体主催など) ・防火アドバイザー研修(介護サービス事業所や高齢者福祉施設関係者を対象) ・ヘルパー向け講習会 ・高齢者等防火推進週間 ・高齢者を対象とした防火防災訓練  消防本部管内人口別にみると、すべての人口規模の消防本部で、「住宅防火訪問」の 実施割合が約 7 割に達している。(表 3-3-1 参照)  人口 50 万人以上の消防本部では、「給付補助事業等の実施」の割合が他の人口規模の 消防本部より高い。(表 3-3-1 参照) 表 3-3-1 住宅防火施策の実施率(消防本部管内人口別) ※n数は回答のあった消防本部数で、各施策ごとに母数は異なる。 ② 住宅防火施策の効果  住宅防火施策の中で「非常に効果があった」+「やや効果があった」の合計割合が 最も高かったのは「給付補助事業等の実施」(89.6%)であった。次いで、「高齢 者住宅防火モデル地区の設定」(88.9%)、「特定地区への重点的取り組み」(86.9%) がほぼ同割合で続いている。(表 3-3-2 参照)  「非常に効果があった」だけに注目すると、「高齢者住宅防火モデル地区の設定」 (59.3%)がトップであった。次いで、「給付補助事業等の実施」(46.3%)が続 いている。(表 3-3-2 参照) % 71.8 50.3 31.3 9.3 4.1 10.2 13.7 10.2 n数 670 664 654 656 656 656 657 596 % 75.0 48.5 50.0 12.5 6.3 18.8 24.2 25.0 n数 32 33 30 32 32 32 33 28 % 69.0 56.3 31.9 13.0 5.8 11.6 10.9 16.9 n数 142 142 138 138 138 138 138 118 % 73.6 52.9 32.4 12.2 4.7 9.0 14.7 10.3 n数 284 280 278 278 278 278 278 253 % 70.8 43.1 26.9 2.4 1.9 9.6 12.5 4.1 n数 212 209 208 208 208 208 208 197 消防本部_ 管内人口 別 人口5万人未満 人口5万人以上~15万人未満 人口50万人以上 人口15万人以上~50万人未満 全体 住 宅 防 火 訪 問 特 定 地 区 へ の 重 点 的 取 り 組 み   高 齢 者 住 宅 防 火   モ デ ル 地 区 の 設 定 防 火 診 断 高 齢 者 関 連 団 体 へ の 啓 発   給 付 補 助 事 業 等   の 実 施   市 町 村 部 局 の 給   付 補 助 事 業 等 へ   の 参 画   そ の 他

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2  「高齢者関連団体への啓発」については、「非常に効果があった」は 3 割未満、「非 常に効果があった」+「やや効果があった」の合計も 7 割にとどまった。(表 3-3-2 参照) 表 3-3-2 住宅防火施策の効果 ※n数は実施していると回答した消防本部数  住宅防火施策の効果(効果ありの合計)を消防本部管内人口別にみると、人口 15 万 人以上~50 万人未満の消防本部では、「防火診断」が 86.3%で全体より 9.1 ポイン ト、「高齢者関連団体への啓発」が 77.3%で全体より 7.1 ポイント、それぞれ高い。 一方、「特定地区への重点的取り組み」は 66.7%で全体より 20.2 ポイント低い。(表 3-3-3 参照)  人口 5 万人以上~15 万人未満の消防本部では、「特定地区への重点的取り組み」が 94.1%に達している。(表 3-3-3 参照) (%) 非 常 に 効 果 が あ っ た や や 効 果 が あ っ た あ ま り 効 果 は な か っ た 全 く 効 果 は な か っ た 効 果 は わ か ら な い n= (67) 46.3 43.3 - - 10.4 (27) 59.3 29.6 7.4 - 3.7 (61) 39.3 47.5 - - 13.1 (481) 35.3 44.5 0.6 - 19.5 (334) 30.2 47.0 2.4 - 20.4 (90) 37.8 35.6 3.3 - 23.3 (205) 26.3 43.9 4.4 0.5 24.9 (61) 29.5 36.1 1.6 - 32.8 市町村部局の給付補助事業等への参画 高齢者関連団体への啓発 給付補助事業等の実施 高齢者住宅防火モデル地区の設定 特定地区への重点的取り組み 防火診断 その他 住宅防火訪問

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3 表 3-3-3 住宅防火施策の効果(非常に効果があった・効果があった(消防本部管内人口別)) ③ 各種団体との連携状況  住宅防火施策の実施において連携している団体では「消防団」が 47.4%で最も高い。 次いで、「民生委員・児童委員」が 40.1%、 「市町村他部局」が 38.7%で続き、 これらはいずれも 4 割程度の連携となっている。(図 3-3-2 参照) 図 3-3-2 各種団体との連携状況  その他の連携団体を列記すると、次のとおりである。 ・地区防火協会 ・電力会社、ガス会社 ・LPG 協会 ・電気工事組合 ・小学校、幼稚園 ・暖房機器メーカー ・警察署、防犯協会 ・商工会 % 給 付 補 助 事 業 等 の 実 施 高 齢 者 住 宅 防 火 モ デ ル 地 区 の 設 定 特 定 地 区 へ の 重 点 的 取 り 組 み 住 宅 防 火 訪 問 防 火 診 断 市 町 村 部 局 の 給 付 補 助 事 業 等 へ の 参 画 高 齢 者 関 連 団 体 へ の 啓 発 そ の 他 89.6 88.9 86.9 79.8 77.2 73.3 70.2 65.6 83.3 100.0 100.0 79.2 81.3 75.0 66.7 57.1 93.8 87.5 66.7 81.6 86.3 73.3 77.3 70.0 92.0 84.6 94.1 80.4 74.3 73.2 71.1 69.2 85.0 100.0 100.0 78.0 73.3 73.1 64.3 50.0 全体 消防本部 管内人口別 人口50万人以上 人口15万人以上~50万人未満 人口5万人以上~15万人未満 人口5万人未満 消 防 団 民 生 委 員 ・ 児 童 委 員 市 町 村 他 部 局 社 会 福 祉 協 議 会 女 性 防 火 ク ラ ブ 自 治 会 町 内 会 ( 自 主   防 災 組 織 ) 高 齢 者 関 連 団 体 介 護 サ ー ビ ス 企 業 等 そ の 他 特 定 の 団 体 と は 連 携 し て い な い n= (576) 47.4 40.1 38.7 27.6 27.3 19.6 12.8 1.7 12.5 8.7 47.4 40.1 38.7 27.6 27.3 19.6 12.8 1.7 12.5 8.7 0% 20% 40% 60% 80%

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4  消防本部管内人口別にみると、人口 50 万人以上の消防本部では「民生委員・児童委 員」「市町村他部局」が 5 割、「自治会町内会(自主防災組織)」が 3 割を超えて いる。(表 3-3-4 参照)  人口 5 万人未満の消防本部では、「民生委員・児童委員」が 29.7%にとどまってお り、全体を 10.4 ポイント下回っている。(表 3-3-4 参照) 表 3-3-4 各種団体との連携状況(消防本部管内人口別) (2) 消防本部の実施する高齢者及び家族向けの住宅防火広報 ① 使用している広報媒体  高齢者及びその家族向けの住宅防火広報において使用している広報媒体では、「チ ラシ・パンフレット」が 69.2%でトップであった。次いで、「自治体等の広報紙等」 が 55.3%、「ホームページ」が 31.7%で続く。(図 3-3-3 参照) 図 3-3-3 使用している広報媒体 消 防 団 民 生 委 員 ・ 児 童 委 員 市 町 村 他 部 局 社 会 福 祉 協 議 会 女 性 防 火 ク ラ ブ 自 治 会 町 内 会 ( 自 主   防 災 組 織 ) 高 齢 者 関 連 団 体 介 護 サ ー ビ ス 企 業 等 そ の 他 特 定 の 団 体 と は 連 携 し て い な い n= (576) 47.4 40.1 38.7 27.6 27.3 19.6 12.8 1.7 12.5 8.7 人口50万人以上 (31) 38.7 54.8 51.6 29.0 29.0 35.5 22.6 6.5 19.4 9.7 人口15万人以上~50万人未満 (123) 50.4 51.2 41.5 26.0 30.9 22.0 17.9 1.6 11.4 9.8 人口5万人以上~15万人未満 (247) 46.6 40.1 40.9 28.7 27.1 20.2 10.9 1.2 13.0 8.5 人口5万人未満 (175) 48.0 29.7 31.4 26.9 24.6 14.3 10.3 1.7 11.4 8.0 (%) 全体 消防本部 管内人口別 [比率の差]      全体 +10ポイント      全体 + 5ポイント      全体 - 5ポイント      全体 -10ポイント n=30以上の場合 チ ラ シ ・ パ ン フ レ ッ ト 自 治 体 等 の 広 報 紙 等 ホ ー ム ペ ー ジ ポ ス タ ー テ レ ビ ・ ラ ジ オ 等 D V D ・ ビ デ オ メ ー ル サ ー ビ ス S N S ( F a c e b o o k な ど ) ブ ロ グ そ の 他 特 に 実 施 し て い な い n= (671) 69.2 55.3 31.7 17.7 13.1 6.1 0.6 0.6 8.5 15.9 69.2 55.3 31.7 17.7 13.1 6.1 0.6 0.6 8.5 15.9 0% 20% 40% 60% 80% 100%

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5  その他の広報媒体を列記すると、次のとおりである。 ・スーパーのレシート ・消防署広報誌 ・消防車による広報 ・防災行政無線や有線放送による広報 ・テレホンサービス ・敬老手帳  消防本部管内人口別にみると、人口 50 万人以上の消防本部では、広報活動の実施率 は 100%である。「チラシ・パンフレット」が 9 割を超えており、また「ホームペー ジ」(69.7%)、「テレビ・ラジオ等」(39.4%)、「DVD・ビデオ」(27.3%)も 全体を 20 ポイント以上、上回っている。(表 3-3-5 参照)  人口 5 万人未満の消防本部では、「ホームページ」が 21.6%にとどまり、全体を 10.1 ポイント下回っている。(表 3-3-5 参照) 表 3-3-5 使用している広報媒体(消防本部管内人口別) ② 効果的だと思う広報媒体  効果的だと思う広報媒体では、「チラシ・パンフレット」が 78.0%で最も高く、「自 治体等の広報紙等」が 70.5%で続く。「テレビ・ラジオ等」(50.4%)も 5 割を超 えた。(図 3-3-4 参照)  「ホームページ」(14.3%)、「ポスター」(13.3%)、「DVD・ビデオ」(8.7%) のスコアは 2 割を下回った。(図 3-3-4 参照) チ ラ シ ・ パ ン フ レ ッ ト 自 治 体 等 の 広 報 紙 等 ホ ー ム ペ ー ジ ポ ス タ ー テ レ ビ ・ ラ ジ オ 等 D V D ・ ビ デ オ メ ー ル サ ー ビ ス S N S ( F a c e b o o k な ど ) ブ ロ グ そ の 他 特 に 実 施 し て い な い n= (671) 69.2 55.3 31.7 17.7 13.1 6.1 0.6 0.6 8.5 15.9 人口50万人以上 (33) 93.9 66.7 69.7 33.3 39.4 27.3 - 3.0 12.1 -人口15万人以上~50万人未満 (142) 71.1 53.5 36.6 17.6 14.8 6.3 0.7 0.7 7.0 21.1 人口5万人以上~15万人未満 (283) 70.3 55.5 32.5 15.5 12.7 6.0 0.4 0.7 7.4 15.5 人口5万人未満 (213) 62.4 54.5 21.6 18.3 8.5 2.8 0.9 - 10.3 15.5 (%) 全体 消防本部 管内人口別 0% [比率の差]      全体 +10ポイント      全体 + 5ポイント      全体 - 5ポイント      全体 -10ポイント n=30以上の場合

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6 図 3-3-4 効果的だと思う広報媒体  消防本部管内人口別にみると、人口 50 万人以上の消防本部では「テレビ・ラジオ等」 が 6 割を超えた。また、人口 15 万人以上~50 万人未満の消防本部では、「チラシ・ パンフレット」が唯一 8 割を超えている。(表 3-3-6 参照) 表 3-3-6 効果的だと思う広報媒体(消防本部管内人口別) ③ 希望する家庭向け住宅防火広報用資料  希望する家庭向け住宅防火広報用資料では、「広報用としての高齢者住宅火災事例」 が 69.7%で最も高く、次いで、「広報資料作成用のイラスト」が 54.8%で続く。「呼 びかけのキャッチフレーズ」(32.6%)、「高齢者広報用の統計データ」(29.4%) も 3 割前後に達している。(図 3-3-5 参照) チ ラ シ ・ パ ン フ レ ッ ト 自 治 体 等 の 広 報 紙 等 テ レ ビ ・ ラ ジ オ 等 ホ ー ム ペ ー ジ ポ ス タ ー D V D ・ ビ デ オ メ ー ル サ ー ビ ス S N S ( F a c e b o o k な ど ) ブ ロ グ そ の 他 特 に 効 果 的 な も の は 無 い n= (563) 78.0 70.5 50.4 14.4 13.3 8.7 0.9 0.4 8.9 0.4 78.0 70.5 50.4 14.4 13.3 8.7 0.9 0.4 8.9 0.4 0% 20% 40% 60% 80% 100% チ ラ シ ・ パ ン フ レ ッ ト 自 治 体 等 の 広 報 紙 等 テ レ ビ ・ ラ ジ オ 等 ホ ー ム ペ ー ジ ポ ス タ ー D V D ・ ビ デ オ メ ー ル サ ー ビ ス S N S ( F a c e b o o k な ど ) ブ ロ グ そ の 他 特 に 効 果 的 な も の は 無 い n= (563) 78.0 70.5 50.4 14.4 13.3 8.7 0.9 0.4 8.9 0.4 人口50万人以上 (33) 75.8 63.6 66.7 33.3 15.2 12.1 3.0 - 15.2 -人口15万人以上~50万人未満 (112) 83.9 67.0 51.8 16.1 12.5 10.7 0.9 0.9 8.9 -人口5万人以上~15万人未満 (238) 78.2 74.8 51.7 13.0 13.4 8.0 1.3 0.4 5.9 -人口5万人未満 (180) 74.4 68.3 45.0 11.7 13.3 7.8 - - 11.7 1.1 (%) 全体 消防本部 管内人口別 [比率の差]      全体 +10ポイント      全体 + 5ポイント      全体 - 5ポイント      全体 -10ポイント n=30以上の場合

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7 図 3-3-5 希望する家庭向け住宅防火広報用資料  各項目について、具体的な回答は次のとおり。  高齢者住宅火災事例について ・イラストで分かり易く事例紹介 ・身近な火災危険性 ・DVD で再現 ・高齢者に多い不注意火災事例 ・各地の火災事例 ・写真入りの事例 ・広報誌に載せられる事例 ・防火対策の奏功火災事例  広報用統計データ ・地域別、年齢別データ ・高齢者の火災による死亡率 ・原因、時間帯別データ ・住宅火災における高齢者世帯の割合 ・5 年間の高齢者火災データ ・高齢者の特徴的火災データ ・高齢社会に伴う火災統計データ  広報資料作成用グラフ ・高齢者住宅火災の割合 ・奏功事案の統計グラフ ・原因別グラフ ・原因、時間帯別統計グラフ ・5 年間の統計グラフ ・ヒヤリ・ハット経験のグラフ  消防本部管内人口別にみると、人口 50 万人以上の消防本部では、「広報用としての 高齢者住宅火災事例」と「広報資料作成用のイラスト」が 65.6%で並んだ。また、 「高齢者広報用の統計データ」が 46.9%で全体より 17.5 ポイント高い。一方、「呼 びかけのキャッチフレーズ」は 18.8%で全体を 13.8 ポイント下回った。(表 3-3-7 参照) 広 報 用 と し て の 高 齢 者 住 宅 火 災 事 例 広 報 資 料 作 成 用 の イ ラ ス ト 呼 び か け の キ ャ ッ チ フ レ ー ズ 高 齢 者 広 報 用 の 統 計 デ ー タ 広 報 資 料 作 成 用 の 統 計 グ ラ フ そ の 他 特 に 必 要 な も の は な い n= (663) 69.7 54.8 32.6 29.4 13.7 6.6 3.3 69.7 54.8 32.6 29.4 13.7 6.6 3.3 0% 20% 40% 60% 80% 100%

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8  人口 5 万人未満の消防本部では「広報資料作成用の統計グラフ」が 8.7%で、唯一 1 割を下回っている。(表 3-3-7 参照) 表 3-3-7 希望する家庭向け住宅防火広報用資料(消防本部管内人口別)

3.4 高齢者が死傷した住宅火災の調査項目

本調査の結果、767 本部のうち 674 本部(回答率 87.9%)からの回答があり、そのうち 3 年以内に死傷者のあった火災事例について、541 サンプルが収集された。 (1) 火災事例の条件 高齢者が死傷した住宅火災事例を調査するにあたっては、各消防本部から 1 件の火災事 例を提供いただくこととし、以下の条件を設定し、各消防本部に火災事例の抽出を依頼し た。  高齢者の死傷者が発生した住宅火災 次の条件を満たす住宅火災事例の調査を実施した。 ① 3 年以内に発生した事例であること ② 住宅火災のうち、高齢者が居住者であり、在宅中に発生したものであること ③ 居住する高齢者の死者が発生した住宅火災であること6 ④ 放火火災ではないこと 住宅火災のうち、特に居住する高齢者の死者(該当がない場合は負傷者)が発生した事 例を調査することにより、一般的な高齢者の関与した住宅火災ではなく、高齢者の死傷者 発生火災の特徴が把握できると考えたためである。 (2) 火災事例の調査項目 高齢者の死傷者が発生した住宅火災事例を収集するにあたっては、その全容を把握する 6 対象消防本部に該当事例が無い場合は、高齢者の負傷者が発生した火災とした。 広 報 用 と し て の 高 齢 者 住 宅 火 災 事 例 広 報 資 料 作 成 用 の イ ラ ス ト 呼 び か け の キ ャ ッ チ フ レ ー ズ 高 齢 者 広 報 用 の 統 計 デ ー タ 広 報 資 料 作 成 用 の 統 計 グ ラ フ そ の 他 特 に 必 要 な も の は な い n= (663) 69.7 54.8 32.6 29.4 13.7 6.6 3.3 人口50万人以上 (32) 65.6 65.6 18.8 46.9 31.3 12.5 -人口15万人以上~50万人未満 (140) 67.9 57.1 29.3 37.1 16.4 7.9 2.9 人口5万人以上~15万人未満 (283) 74.2 55.8 32.9 24.0 14.1 6.7 3.5 人口5万人未満 (208) 65.4 50.0 36.5 28.8 8.7 4.8 3.8 (%) 全体 消防本部 管内人口別 [比率の差]      全体 +10ポイント      全体 + 5ポイント      全体 - 5ポイント      全体 -10ポイント n=30以上の場合

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9 という観点から共通の設問を設けた。設問項目は以下の通りである。  高齢者の死傷者が発生した住宅火災 ① 住宅火災事例の有無 ② 住宅火災発生時期 ③ 居住者構成 ④ 出火時の在宅人数 ⑤ 高齢者の死傷状況 ⑥ 高齢者の身体状況 ⑦ 火災原因と高齢者の関係 ⑧ 出火建物の構造 ⑨ 高齢者の生活環境 ⑩ 出火箇所・出火原因

3.5 高齢者が死傷した住宅火災の調査結果

高齢者の死傷した住宅火災事例に関する調査結果の概要を以下に示す。 (1) 高齢者の死傷者が発生した住宅火災 ① 住宅火災事例の有無  最近 3 年以内で、高齢者の住宅火災で居住する高齢者の死者(該当がない場合は負 傷者)が発生し、かつ放火火災でない事例(以下、該当事例)があったかを尋ねた ところ、「上記に該当する事例があった」が約 8 割を占め、541 事例を収集すること ができた。 ② 住宅火災発生時期  該当事例の発生時期では、「2013 年」が 47.3%、「2012 年」が 30.3%、「2011 年」 が 16.3%、「2010 年」が 6.1%となった。  該当事例の発生月では、「1 月」が 16.1%で最も高い。以下、「2 月」(14.2%)、 「3 月」(12.0%)、「4 月」(11.1%)、「12 月」(9.1%)の順で続き、冬~早 春(12 月~4 月)が 6 割以上を占めた。(図 3-5-1 参照)

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10 午前 (6:00~11:00) 19.2% 午後 (12:00~ 17:00) 23.3% 夜間 (18:00~ 22:00) 20.7% 深夜・早朝 (23:00~5:00) 36.8%  該当事例の発生時間帯では、「深夜・早朝(23:00~5:00)」が 36.8%で最も高い。 次いで、「午後(12:00~17:00)」(23.3%)、「夜間(18:00~22:00)」(20.7%)、 「午前(6:00~11:00)」(19.2%)の順となった。(図 3-5-2 参照) 図 3-5-2 火災発生時間帯 1月 16.1% 2月 14.2% 3月 12.0% 4月 11.1% 5月 7.4% 6月 4.8% 7月 4.1% 8月 4.4% 9月 5.5% 10月 5.4% 11月 5.9% 12月 9.1% 図3-5-1 火災発生時期(月) 冬~早春(12-4 月)

62.5%

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11 ③ 居住者構成  該当事例が発生した住宅の居住者構成では「高齢者 1 人暮らし」が 43.3%で最も高 い。以下、「高齢者 1 人と子供世帯」(18.8%)、「高齢者夫婦のみ」(18.2%)、 「高齢者夫婦と子供世帯」(9.7%)の順で続く。(図 3-5-3 参照) ④ 出火時の在宅人数  該当事例において出火時に在宅していた高齢者(65 歳以上)の人数では、「1 名」 が 73.9%を占め、「2 名」が 23.7%で続く。一方、高齢者以外(65 歳未満)の人数 では「0 名」が 73.2%を占め、「1 名」が 15.0%で続く。 ⑤ 高齢者の死傷状況  該当事例における死亡・負傷者の人数は、全体では「1 人」が 87.4%、「複数名(2 人以上)」が 12.6%となった。  該当事例における死傷状況は、全体では「死亡」が 83.5%、「負傷」が 16.5%とな った。  該当事例における死傷者の性別は、全体では「男性」が 54.0%、「女性」が 46.0% となった。 高齢者 一人暮らし 43.3% 高齢者 夫婦のみ 18.2% 高齢者一人と 子供世帯 18.8% 高齢者夫婦と 子供世帯 9.7% 高齢者と その兄弟姉妹 1.7% その他 8.0% 不明 0.4% 図3-5-3 居住者構成

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12  該当事例における死傷者の年齢は、全体では「80 歳~84 歳」が 22.3%で最も高く、 以下、「75 歳~79 歳」(21.4%)、「85 歳~89 歳」(18.4%)、「70 歳~74 歳」 (13.7%)、「65 歳~69 歳」(13.2%)の順で続いており、75 歳以上の割合は 73% で、75 歳から 90 歳未満が 62.1%と高い割合を示している。(表 3-5-1 参照) 表 3-5-1 死傷者の年齢 ⑥ 高齢者の身体状況  該当事例において死傷した高齢者の身体状況は、全体では「身体に障がい等はなか った」が 35.4%で最も高い。次いで、「歩行困難」(25.0%)、「認知症」(11.5%) が 1 割を超えた。一方、「寝たきり又は病弱」(4.4%)、「視覚障害」(3.9%)、 「聴覚障害」(2.4%)、「盲聾二重障害」(0.2%)は 5%に満たず、「温熱感覚低 下」の死傷者は存在しなかった。なお「不明」が 18.8%ある。これらのうち不明を 除けば、何らかの障害がある高齢者が約 6 割となる。(図 3-5-4 参照) 図 3-5-4 死傷した高齢者の身体状況(複数回答) (%) 6 5 歳 ~ 6 9 歳 7 0 歳 ~ 7 4 歳 7 5 歳 ~ 7 9 歳 8 0 歳 ~ 8 4 歳 8 5 歳 ~ 8 9 歳 9 0 歳 ~ 9 4 歳 9 5 歳 以 上 n= (597) 13.2 13.7 21.4 22.3 18.4 8.4 2.5 全体 身 体 に 障 が い 等 は な か っ た 歩 行 困 難 認 知 症 寝 た き り 又 は 病 弱 視 覚 障 害 聴 覚 障 害 盲 聾 二 重 障 害 温 熱 感 覚 低 下 そ の 他 不 明 n= (591) 35.4 25.0 11.5 4.4 3.9 2.4 0.2 - 6.3 18.8 35.4 25.0 11.5 4.4 3.9 2.4 0.2 -6.3 18.8 0% 20% 40% 60%

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13 ⑦ 火災原因と高齢者の関係  該当事例における火災原因と高齢者の関係は、全体では「出火原因に直接関係があ った」(46.5%)が、「出火原因に直接関係はなかった」(13.4%)を大きく上回 った。一方で、「不明」も 40.1%であった。「不明」を別にすれば、「火災原因に 直接関係があった」のは 77.6%、「火災原因に直接関係がなかった」ものは 22.4% で、高齢者の行為が出火原因になる割合が非常に高い。(図 3-5-5 参照) 図 3-5-5 火災原因と高齢者の関係 ⑧ 出火建物の構造  該当事例における出火建物の種別は、全体では「持ち家・戸建て」が 76.7%で突出 して高い。以下、「借家・共同住宅」(9.2%)、「借家・戸建て」(6.3%)、「借家・ その他(長屋・間借りほか)」(3.5%)の順で続く。持ち家と借家別に集計すると「持 ち家」の合計が 92.2%、「借家」の合計が 7.6%となった。(図 3-5-6 参照) 図 3-5-6 出火建物の種別 出火原因 に直接関 係があっ た 46.5% 出火原因 に直接関 係はな かった 13.4% 不明 40.1% 持 ち 家 ・ 戸 建 て 借 家 ・ 共 同 住 宅 借 家 ・ 戸 建 て 借 家 ・ そ の 他 ( 長 屋 ・   間 借 り ほ か ) 持 ち 家 ・ そ の 他 ( 長 屋 ・   間 借 り ほ か ) 持 ち 家 ・ 共 同 住 宅 不 明 n= (541) 76.7 9.2 6.3 3.5 2.6 1.5 0.2 76.7 9.2 6.3 3.5 2.6 1.5 0.2 0% 20% 40% 60% 80% 100%

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14  該当事例の出火建物の構造は、全体では「木造」が 81.8%で突出して高い。以下、 「耐火」(6.9%)、「防火構造」(6.1%)、「準耐火(非木造)」(3.0%)、「準 耐火(木造)」(0.2%)の順で続く。  該当事例の出火建物の階数は、全体では「2 階建」が 61.6%、「1 階建(平屋)」が 32.3%、「3 階建以上」が 6.1%となった。 ⑨ 高齢者の生活環境  該当事例における高齢者の生活環境は、全体では「喫煙習慣があった」が 29.8%で 最も高い。以下、「ライターが使われていた」(22.3%)、「室内は整頓されてい た」(21.4%)、「寝具などの可燃物が暖房器具と接近していた」(14.2%)、「マ ッチが使われていた」(11.9%)が 1 割を超えており、ライター及びマッチの使用 は合算すると 34.2%で、複数回答であることを考慮しても約 3 割と推定される。(図 3-5-7 参照) 図 3-5-7 高齢者の生活環境(複数回答) ⑩ 出火箇所・出火原因  該当事例の出火箇所は、全体では「高齢者の寝室」が 34.6%で最も高い。以下、「居 間」(19.2%)、「高齢者の居室」(15.7%)、「台所」(13.5%)が 1 割を超え た。(図 3-5-8 参照) 喫 煙 習 慣 が あ っ た ラ イ タ ー が 使 わ れ て い た 室 内 は 整 頓 さ れ て い た 寝 具 な ど の 可 燃 物 が 暖 房 器 具 と 接 近 し て い た マ ッ チ が 使 わ れ て い た 部 屋 が 足 の 踏 み 場 も な く 散 ら か っ て い た 台 所 以 外 に 調 理 用 コ ン ロ ( 電 気 ・ ガ ス ・ 灯 油 ) が 置 か れ て い た 生 活 が 困 窮 し て い た ( 生 活 保 護 ) 台 所 の 火 気 器 具 が 可 燃 物 と 接 近 し て い た 水 道 ・ 電 気 ・ ガ ス な ど が 止 め ら れ て い た そ の 他 不 明 n= (537) 29.8 22.3 21.4 14.2 11.9 8.6 7.8 3.7 2.0 1.1 5.6 29.4 29.8 22.3 21.4 14.2 11.9 8.6 7.8 3.7 2.0 1.1 5.6 29.4 0% 20% 40% 60%

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15 ※記述回答からの抽出であり、31 件が複数カウントされている。 図 3-5-8 出火箇所7  出火箇所別の出火原因をみると、最も発生件数が多い高齢者の寝室では「タバコに よる着火・火種の落下(寝タバコ・タバコの不始末含む)」が 187 件中 50 件(26.7%) で最も多い。次いで、「石油・電気ストーブ等の使用・可燃物への接触」同 30 件(16%)、 「電気プラグ・コード・コンセント(の損傷による)ショート」同 16 件(8.6%)、 「電気機器の使用」が同 8 件(4.3%)で続く。(表 3-5-2 参照)  2 番目に発生件数が多い居間では、「タバコによる着火・火種の落下(タバコの不始 末含む)」(17 件)が最も多い。次いで、「電気プラグ・コード・コンセント(の損 傷による)ショート」(8 件)が続いている。(表 3-5-2 参照)  そのほか高齢者の居室では「電気プラグ・コード・コンセント(の損傷による)ショ ート」(12 件)、台所では「ガスコンロの使用・消し忘れ等」(18 件)、仏間では 「ローソク(灯明)による着火/ローソク(灯明)の転倒/ローソクの不始末」(12 件)がそれぞれトップとなった。(表 3-5-2 参照) 7 例えば、回答が『高齢者の居間兼寝室』であれば、『居間』と『寝室』でカウントを行っ たため、合計で 100%にはならない。また、寝室、居間、居室、和室については記載された まま集計しており、区別は明確ではない。 高 齢 者 の 寝 室 居 間 高 齢 者 の 居 室 台 所 仏 間 和 室 風 呂 場 物 置 / 納 戸 / 納 屋 そ れ 以 外 ( 子 供 ) の 寝 室 事 務 所 ・ 店 舗 ・ 作 業 場 部 分 客 間 そ れ 以 外 ( 子 供 ) の 居 室 廊 下 玄 関 天 井 裏 敷 居 ・ 部 屋 の 境 部 分 そ の 他 不 明 / 調 査 中 n= (541) 34.6 19.2 15.7 13.5 3.3 3.0 1.7 1.5 1.3 1.1 0.7 0.6 0.6 0.4 0.4 0.4 1.3 6.5 34.6 19.2 15.7 13.5 3.3 3.0 1.7 1.5 1.3 1.1 0.7 0.6 0.6 0.4 0.4 0.4 1.3 6.5 0% 20% 40% 60%

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16 表 3-5-2 出火箇所別の主な出火原因ランキング ※分析可能な 541 件の火災のうち、高齢者の寝室・居間・高齢者の居室・台所・仏間の火災 467 件につい て、出火原因の上位を列記  なお、高齢者の寝室、居間、及び高齢者の居室における火災の出火原因を、原因不 明/調査中を除いて集計した 249 件の結果は、「タバコによる着火・火種の落下(寝 タバコ、タバコの不始末含む)」が 74 件(29.7%)でトップであった。次いで、「石 油・電気ストーブ等使用・可燃物への接触」39 件(15.7%)「電気プラグ・コード・ コンセント(の損傷による)ショート」36 件(14.5%)である。(表 3-5-3 参照) 表 3-5-3 高齢者の寝室・居室及び居間の出火原因 ※高齢者の寝室・居間・高齢者の居室について、原因不明/調査中を除いて集計  また、高齢者の死傷した火災の出火原因を、原因不明/調査中を除いて集計した 342 件の結果は、「タバコによる着火・火種の落下(寝タバコ、タバコの不始末含む)」 出火元 発生件数 出火原因 該当件数 タバコによる着火・火種の落下(寝タバコ・タバコの不始末を含む) 50 件 石油・電気ストーブ等の使用・可燃物への接触 30 件 電気プラグ・コード・コンセント(の損傷による)ショート 16 件 電気機器の使用 8 件 その他 22 件 原因不明/調査中 61 件 タバコによる着火・火種の落下(タバコの不始末を含む) 17 件 電気プラグ・コード・コンセント(の損傷による)ショート 8 件 その他 40 件 原因不明/調査中 39 件 電気プラグ・コード・コンセント(の損傷による)ショート 12 件 電気ストーブの使用・可燃物への接触 9 件 ローソク(灯明)による着火/ローソク(灯明)の転倒/ローソクの不始末 9 件 タバコによる着火・火種の落下 7 件 その他 21 件 原因不明/調査中 27 件 ガスコンロの使用・消し忘れ等 18 件 てんぷら油の過熱(IH又はコンロ種別不詳) 9 件 調理中による出火 6 件 その他 14 件 原因不明/調査中 26 件 ローソク(灯明)による着火/ローソク(灯明)の転倒/ローソクの不始末 12 件 その他・原因不明/調査中 6 件 合計 467 件 467 件 仏間 18 件 台所 73 件 高齢者の寝室 187 件 居間 104 件 高齢者の居室 85 件       出火原因 該当件数(件) 比率 1 タバコによる着火・火種の落下(寝タバコ、タバコの不始末含む) 74 29.7% 2 石油・電気ストーブ等の使用・可燃物への接触 39 15.7% 3 電気プラグ・コード・コンセント(の損傷による)ショート 36 14.5% 4 ローソク(灯明)による着火/ローソクの転倒/ローソクの不始末 9 3.6% 5 電気機器の使用 8 3.2% 6 その他 83 33.3% 合計 249 100.0%

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17 が 84 件(24.6%)でトップであった。次いで、「電気プラグ・コード・コンセント(の 損傷による)ショート」45 件(13.2%)、「電気ストーブの使用・可燃物への接触」 32 件(9.4%)であり、「電気ストーブ・石油ストーブ、ストーブ等暖房器具の使用・ 可燃物への接触」は合せると 87 件(25.4%)である。 さらに、「ローソク(灯明)による着火/ローソクの転倒/ローソクの不始末」が 25 件(7.3%)、「ガスコンロの使用・消し忘れ等」が 24 件(7.0%)となっている。 (図 3-5-9 参照) ※原因の記載されている火災(541 件のうち 342 件)について、原因ごとに分類 図 3-5-9 高齢者の死傷した火災における出火原因 タバコによる着火・火種の 落下(寝タバコ、タバコの 不始末含む) 24.6% 電気プラグ・コード・コ ンセント(の損傷によ る)ショート 13.2% 電気機器の使用 4.1% ローソク(灯明)によ る着火/ローソクの転 倒/ローソクの不始末 7.3% マッチ・ライターの使用 4.1% ガスコンロの使 用・消し忘れ等 7.0% 天ぷら油の過熱 2.3% その他 12.0% 電気ストーブの使用・可燃 物への接触 9.4% 石油ストーブの使用・可燃 物への接触 6.1% ストーブ等暖房器具の使 用・可燃物への接触 9.9% 石油・電気ストーブ等の使 用・可燃物への接触 25.4%

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18 第 3 章では、消防本部が実施する高齢者住宅防火施策や住宅防火広報、及び高齢者が死 傷した住宅火災について調査結果を記した。そうした特質や傾向をもたらした要因は、高 齢者の特性や住まい方と関係があるのであろうか。そこで本章では、高齢者の家族に対す るアンケート調査に基づき、高齢者の特性、住まい方について把握するとともに、それら の住宅火災及びヒヤリ・ハットとの関係について調査する。

4.1 調査対象

高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ハットが、高齢者の特性、住まい方とどのよう な関係にあるのかを分析するために、実際の高齢者の特性及び住まい方に関する調査を実 施した。本調査では、別居・同居にかかわらず、高齢者の家族に対してアンケートを実施 することによって、高齢者の実態について客観的に調査することができた。調査対象及び 選定理由は以下のとおりである。 ○高齢者を身内に持つ家族 高齢者を身内に持つ家族を対象として Web によるアンケートを実施した。高齢者の特性、 住まい方を客観的に把握しているのはこうした家族であると考えたためである。また、家 族との接触頻度の高低が、高齢者の特性及び住まい方とどのような関係にあるのかを把握 するため、高齢者の家族を大きく以下の 4 つのグループに分けて調査を実施した。 なお、回答の確実性を期するため、回答者の年齢を 40 歳から 64 歳までの男女とした。 A) 高齢者の家族で、当該高齢者の身の回りの世話(普段の生活・健康状態などの確認を 含む、以下同じ)をしており、ほぼ毎日~週 4-5 日程度に会う。 B) 高齢者の家族で、当該高齢者の身の回りの世話をしており、週に 2-3 日程度~2 週間に 1 日程度に会う。 C) 高齢者の家族で、当該高齢者の身の回りの世話または、生活・身体状況を把握してお り、3 週間に 1 日程度~1 ケ月に 1 日程度に会う。 D) 高齢者の家族で、当該高齢者の身の回りの世話はしていないが、生活・身体状況を把 握しており、2 ケ月に 1 日程度~半年に 1 日程度に会う。

4 高齢者の家族に対するアンケート調査

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19 なお、前記 A~D とは別に、会う頻度は問わず、当該高齢者の身の回りの世話または生活・ 身体状況の把握をしている高齢者の家族で、65 歳以上でその高齢者による住宅火災の経験 又はヒヤリ・ハット経験のある家族を別途抽出した。 上記 A グループと B グループは、高齢者との接触回数が比較的多い家族「接触頻度の高 い層」であり、C グループと D グループは、高齢者との接触回数が比較的少ない家族「接触 頻度の低い層」とみなす。 こうしたグループに分類して調査を実施することにより、高齢者の特性や住まい方の実 態を把握するとともに、家族との接触頻度の高低による傾向についても調査できると考え たためである。 なお、当該調査の結果が、高齢者の実態を正しく反映しているかについては、十分に検 討の余地があり、今回の調査対象者は、身内が存在し、孤立していない高齢者であること など、やや恵まれた環境にあることを念頭においてみる必要があると思われる。 高齢者の家族に対するアンケートのグループをあらためて表にすると以下のとおりであ る。(表 4-1-1 参照) 表 4-1-1 高齢者の家族に対するアンケートのグループ分け ※「ブースト」とは、アンケート調査などで特別な条件を付けて調査対象を選ぶことで、ここでは高 齢者による住宅火災の経験又はヒヤリ・ハット経験のある家族を一般とは別枠で選び、調査している。  調査対象者:男女 40-64 歳の方 ※身内に 65 歳以上の高齢者がいる方 該当高齢者のお住まいが一般住宅にお住まいの方(持家/賃貸問わない)  調査エリア:全国 サンプル 対象条件 1648ss 以下、一般者を合算した一般全体 A 【一般】_週4-5日以上 670ss 該当高齢者の身の回りの世話(普段の生活・健康状態などの確認含む)をしており、【ほぼ毎日~週4-5日程度】に会う B 【一般】_週2-3日-2週間に1日以上 464ss 該当高齢者の身の回りの世話(普段の生活・健康状態などの確認含む)をしており、【週2-3日程度~2週間に1日程度】に会う C 【一般】_3週間に1日-月1日以上 309ss 該当高齢者の身の回りの世話(生活・健康状態確認含む)または、生 活・身体状況を把握しており、【3週間に1日程度~1ヶ月に1日程度】に 会う D 【一般】_2ヶ月に1日~半年に1日程度 205ss 該当高齢者の身の回りの世話はしていないが、生活・身体状況を把握しており、【2ヶ月に1日程度~半年に1日程度】に会う - 【ブースト】_住宅火災/ヒヤリハット経験者 410ss (会う頻度問わず)該当高齢者の身の回りの世話/生活・身体状況を 把握しており、その該当者が65歳以降で『住宅火災またはヒヤリハット』 経験者 グループ 一般全体(A・B・C・Dグループ) 接触頻度高 接触頻度低

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20  調査方法:Web による調査  実施時期:事前調査 2013 年 11 月 21 日 ~ 2013 年 11 月 26 日 本調査 2013 年 11 月 26 日 ~ 2013 年 11 月 28 日  有効回答数:2,058 サンプル

4.2 高齢者の特性、住まい方及び防火意識に関する調査項目

高齢者の特性及び住まい方に関する調査を実施するにあたり、高齢者の特性という観点 とともに、ハードも含めた住まい方についても調査を実施した。調査項目は以下のとおり である。 (1) 高齢者の特性 ① 身体的特性 ○歩行状況 ○認知症の有無 ○日常生活の自立度 ② 社会的特性 ○世帯構成 ○日中及び夜間在宅時における状況 ○高齢者の助けとなる協力者の有無及び時間帯 ③ 生活的特性 ○喫煙習慣の有無 ○寝タバコの有無 ○使用している暖房器具の種類及び使用年数 (2) 高齢者の住まい方(ハードを含む) ① 居住部屋の印象 ○ゴミの散乱及び溜め込みの有無 ○生活用品の多さ及び散乱の有無 ○衣類及び寝具の状況 ② 住まい ○主な生活階 ○建物の所有及び種別 ○建物の構造 ○間取り ○築年数及び居住年数

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21 ○住宅用火災警報器の設置状況 (3) 家族の防火意識 ① 住宅火災についての防火意識 ○住宅火災についての高齢者と話していること ○住宅火災から高齢者を守る上で感じている不安 ② 消防行政に対する意識 ○消防行政に求める対策

4.3 高齢者の特性、住まい方及び防火意識に関する調査結果

高齢者の特性及び住まい方に関する調査結果の概要を以下に示す。 (1) 高齢者の特性 ① 身体的特性 ○歩行状況 図 4-3-1 歩行状況  自宅での歩行状況  自宅での歩行状況では「自力歩行ができる」が 82.5%で最も高い。次いで、「杖 を使っている」(17.1%)、「車いすを使っている」(7.6%)、「歩行器・シル バーカー等を使っている」(5.8%)の順となった。(図 4-3-1 参照)  自宅での歩行状況を高齢者との接触頻度別にみると、接触頻度が高いほど「自力 歩行ができる」割合が低い傾向にあり、最も頻度が高い週 4-5 日以上の層では「自 自力歩行ができる 杖を使っている 歩行器・シルバーカー等 を使っている 車いすを使っている その他 よくわからない 82.5 17.1 5.8 7.6 2.2 0.5 64.6 27.9 10.8 15.0 2.4 1.1 0% 20% 40% 60% 80% 100% 自宅での歩行状況 外出の際の歩行状況

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22 力歩行ができる」が 76.0%にとどまっている。一方、最も頻度が低い 2 ヶ月に 1 日~半年に 1 日程度の層では 93.7%に達している。また、住宅火災及びヒヤリ・ ハット経験者では「自力歩行ができる」が 86.8%で、一般全体よりやや高い。(表 4-3-1 参照) 表 4-3-1 自宅での歩行状況(接触頻度別)  外出の際の歩行状況  外出の際の歩行状況でも「自力歩行ができる」が 64.6%で最も高い。次いで、「杖 を使っている」(27.9%)、「車いすを使っている」(15.0%)、「歩行器・シ ルバーカー等を使っている」(10.8%)の順となった。(表 4-3-2 参照)  外出の際の歩行状況を高齢者との接触頻度別にみると、頻度により「自力歩行が できる」割合が二極化している。接触頻度が高い週 4-5 日以上および週 2-3 日-2 週間に 1 日以上の層では「自力歩行ができる」が 5 割台になっているのに対して、 接触頻度が低い 3 週間に 1 日-月 1 日以上および 2 ヶ月に 1 日~半年に 1 日程度の 層では「自力歩行ができる」が 8 割を超えている。(表 4-3-2 参照)  「杖を使っている」、「車いすを使っている」、「歩行器・シルバーカー等を使 っている」の割合も、接触頻度が高い週 4-5 日以上および週 2-3 日-2 週間に 1 日 以上の層が相対的に高く、頻度が低い 3 週間に 1 日-月 1 日以上および 2 ヶ月に 1 日~半年に 1 日程度の層が相対的に低い。(表 4-3-2 参照) 表 4-3-2 外出の際の歩行状況(接触頻度別) 自力歩行ができる 杖を使っている 車いすを使っている 歩行器・シルバーカー 等を使っている その他 よくわからない n= (1,648) 82.5 17.1 7.6 5.8 2.2 0.5 【一般】_週4-5日以上 (670) 76.0 21.6 10.9 7.2 3.6 0.4 【一般】_週2-3日-2週間に1日以上 (464) 80.2 22.4 8.2 8.2 1.9 0.6 【一般】_3週間に1日-月1日以上 (309) 92.9 6.5 3.6 2.6 1.0 0.3 【一般】_2ヶ月に1日~半年に1日程度 (205) 93.7 6.3 2.0 0.5 - 1.0 【ブースト】_住宅火災/ヒヤリハット経験者 (410) 86.8 15.1 4.9 4.6 2.2 -(%) 一般全体 割付別 自力歩行ができる 杖を使っている 車いすを使っている 歩行器・シルバーカー 等を使っている その他 よくわからない n= (1,648) 64.6 27.9 15.0 10.8 2.4 1.1 【一般】_週4-5日以上 (670) 55.5 33.3 19.7 13.6 3.7 0.7 【一般】_週2-3日-2週間に1日以上 (464) 55.8 35.8 18.1 14.0 2.4 1.7 【一般】_3週間に1日-月1日以上 (309) 82.5 16.5 7.4 5.2 1.3 -【一般】_2ヶ月に1日~半年に1日程度 (205) 86.8 9.8 4.4 2.9 - 2.4 【ブースト】_住宅火災/ヒヤリハット経験者 (410) 68.3 28.8 11.7 9.0 2.0 0.7 (%) 一般全体 割付別

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23  住宅火災・ヒヤリ・ハット経験者では「自力歩行ができる」68.3%、「杖を使っ ている」28.8%、「車いすを使っている」11.7%など、一般全体とほぼ同様の傾 向を示している。(表 4-3-2 参照) ○認知症の有無  認知状況では「認知症なし」が 73.3%を占める。次いで、「軽度認知症」が 13.8%、 「中度認知症」が 8.1%、「重度認知症」が 4.9%で、「認知症あり」の合計は 26.7% となった。(表 4-3-3 参照)  高齢者との接触頻度別にみると、接触頻度が高い週 4-5 日以上および週 2-3 日-2 週間に 1 日以上の層と、接触頻度が低い 3 週間に 1 日-月 1 日以上および 2 ヶ月に 1 日~半年に 1 日程度の層で二極化しており、接触頻度が高い層では「認知症あり」 が 3 割を超えているのに対して、接触頻度が低い層では 1 割前後にとどまっている。 (表 4-3-3 参照) 表 4-3-3 認知状況(接触頻度別) ※軽度認知症 : 老人会などの社会活動の場で、一人前の社会人として通用しなくなっている状態。 中度認知症 : 家庭活動(炊事、洗濯、掃除、庭仕事等)に支障の出る状態。 重度認知症 : 自分の身の回りのことにも支障が出る状態。 認 知 症 な し 軽 度 認 知 症 中 度 認 知 症 重 度 認 知 症 n= (1,648) 73.3 13.8 8.1 4.9 【一般】_週4-5日以上 (670) 64.9 16.6 10.6 7.9 【一般】_週2-3日-2週間に1日以上 (464) 66.4 18.1 11.0 4.5 【一般】_3週間に1日-月1日以上 (309) 89.3 7.1 2.3 1.3 【一般】_2ヶ月に1日~半年に1日程度 (205) 92.2 4.9 2.0 1.0 【ブースト】_住宅火災/ヒヤリハット経験者 (410) 68.0 14.6 12.0 5.4 (%) 割付別 一般全体 [比率の差]      一般全体 +10ポイント      一般全体 + 5ポイント      一般全体 - 5ポイント      一般全体 -10ポイント n=30以上の場合

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24  住宅火災・ヒヤリ・ハット経験者では、「認知症あり」が 32.0%で、一般全体より 5.3 ポイント高い。(表 4-3-3 参照) ○日常生活の自立度  高齢者の日常生活状況では「生活自立」が 76.2%を占める。「生活自立」以外で は、「準寝たきり」が 19.1%、「寝たきり」が 4.7%となった。(表 4-3-4 参照)  高齢者との接触頻度別にみると、頻度が高い週 4-5 日以上および週 2-3 日-2 週間 に 1 日以上の層と、頻度が低い 3 週間に 1 日-月 1 日以上および 2 ヶ月に 1 日~半 年に 1 日程度の層で二極化しており、接触頻度が高い層では「生活自立」が 7 割 前後にとどまり、「準寝たきり」が 2 割を超えているのに対し、接触頻度が低い 層では「生活自立」が 9 割を超えている。(表 4-3-4 参照) 表 4-3-4 日常生活状況(接触頻度別)  住宅火災・ヒヤリ・ハット経験者では「生活自立」76.3%、「準寝たきり」21.2%、 「寝たきり」2.4%で、一般全体とほぼ同様の状況となった。(表 4-3-4 参照) 生 活 自 立 準 寝 た き り 寝 た き り n= (1,648) 76.2 19.1 4.7 【一般】_週4-5日以上 (670) 67.9 24.5 7.6 【一般】_週2-3日-2週間に1日以上 (464) 71.1 24.6 4.3 【一般】_3週間に1日-月1日以上 (309) 90.3 8.4 1.3 【一般】_2ヶ月に1日~半年に1日程度 (205) 93.7 5.4 1.0 【ブースト】_住宅火災/ヒヤリハット経験者 (410) 76.3 21.2 2.4 (%) 一般全体 割付別 [比率の差]      一般全体 +10ポイント      一般全体 + 5ポイント      一般全体 - 5ポイント      一般全体 -10ポイント n=30以上の場合

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25 ② 社会的特性 ○世帯構成  高齢者が居住している世帯構成では、「高齢者一人と子供世帯」が 30.2%で最も 高い。次いで、「高齢者夫婦のみ」が 24.9%、「高齢者一人暮らし」が 23.8%で 続く。一人暮らしが 23.8%、それ以外が 76.2%となった。高齢者のみの世帯(「高 齢者夫婦のみ」+「高齢者一人暮らし」)は約 5 割に達している。(図 4-3-2 参照) 図 4-3-2 居住世帯構成 ○日中及び夜間在宅時における状況  高齢者が一人になることが最も多いタイミングは、「平日(月~金)日中」で 66.8% となっており、次いで、「休日(土・日・祝)日中」(63.1%)であった。(表 4-3-5 参照)  「平日(月~金)夜間」に高齢者が一人になる時間では、「ない」の合計(59.9%) が「ある」の合計(38.5%)を上回った。(表 4-3-5 参照)  「休日(土・日・祝)夜間」に高齢者が一人になる時間では、「ない」の合計(60.5%) が「ある」の合計(38.0%)を上回った。(表 4-3-5 参照)  「平日(月~金)夜間」に高齢者が一人になる時間帯は 38.5%、「休日(土・日・ 祝)夜間」が 38.0%であった。(表 4-3-5 参照) 高齢者一人暮らし 高齢者夫婦のみ 高齢者一人と 子供世帯 高齢者夫婦と 子供世帯 高齢者と その兄弟姉妹 その他 n= (1,648) 23.8 24.9 30.2 15.8 0.6 4.7 割付別 【ブースト】_住宅火災/ヒヤリハット経験者 (410) 12.4 7.8 47.6 25.6 - 6.6 一般全体 23.8 24.9 30.2 15.8 0.6 4.7 0% 20% 40% 60% 一般全体 【ブースト】_住宅火災/ヒヤリハット経験者 [比率の差]      一般全体 +10ポイント      一般全体 + 5ポイント      一般全体 - 5ポイント      一般全体 -10ポイント n=30以上の場合

参照

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