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4 高齢者の家族に対するアンケート調査

4.4 住宅火災及びヒヤリ・ハット経験者の調査結果

(1)高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ハット

① 住宅火災及びヒヤリ・ハット事例経験の有無(一般全体 1,648 人に対するアンケート)

 アンケート回答者に対し、身内の高齢者の住宅火災について「これまでに経験したこ とがない」人が 89.6%を占めた。一方で住宅火災について「経験あり」の合計は 3.2%

であり、特に「65 歳以降で経験した」人が 1.2%となっている。また、住宅火災につ ながるようなヒヤリ・ハットについても「これまでに経験したことがない」が 72.0%

を占めるが、これまでにヒヤリ・ハットの経験がある者も 18.1%に達しており、特 にヒヤリ・ハットを「65 歳以降で経験した」人が 12.7%に及んでいる。(表 4-4-1 参照)

緊急時にワンタッチで 119番通報の出来る 機器の設置など

消防署員と市町村の 高齢者福祉の

担当課との 連携による防火指導

消防署員による、

各戸への防火指導

消防署員と 自主防災組織 (町会・自治会等)の 連携による防火指導

消防署員と 消防団員の 連携による防火指導

その他 特にない

n=

(1,648) 51.6 29.4 27.1 25.9 18.6 0.8 32.8

(1,648) 41.0 7.7 7.6 8.4 1.9 0.5 32.8

【あてはまるもの(いくつでも)】:一般全体

【最もあてはまるもの(ひとつだけ)】:一般全体

51.6

29.4 27.1 25.9

18.6

0.8

32.8 41.0

7.7 7.6 8.4

1.9 0.5

0%

20%

40%

60%

80%

【あてはまるもの(いくつでも)】:一般全体 【最もあてはまるもの(ひとつだけ)】:一般全体

39

表 4-4-1 住宅火災及びヒヤリ・ハットを経験した割合

② 住宅火災及びヒヤリ・ハット発生時期(一般全体のうち住宅火災及びヒヤリ・ハット 経験者 229 人、及びブースト 410 人、合計 639 人に対するアンケート、③同)

 住宅火災及びヒヤリ・ハット事例の時期は「3 年以内」が 75.9%、「5 年以内」が 14.0%

であった。

 住宅火災及びヒヤリ・ハット事例の発生月は、「12 月」が 16.9%でトップである。

以下、「10 月」(13.3%)、「1 月」(11.3%)、「11 月」(9.5%)、「2 月」(7.6%)

で、秋から冬(10 月~2 月)が 6 割近くを占めた。

③ 住宅火災及びヒヤリ・ハット事例の分類

 住宅火災・ヒヤリ・ハットの事例では、「その高齢者の、ガスコンロの使用、消し忘 れが原因での事例」が 57.7%で突出して高い。以下、「その高齢者の方の、カセッ トコンロの使用、消し忘れ等が原因での事例」、「その高齢者の、ろうそくや線香等 の不始末が原因での事例」、「その高齢者の、たばこの不始末が原因での事例」、「そ の高齢者による、石油ストーブ(ファンヒータを含む)付近に衣服等の可燃物が接触 したことが原因での事例」が 3.0%を超えている。

なお、ストーブ等暖房器具に関係する事例は 11.4%、タバコに関する事例 4.6%と

6 5

6 4

6 5

n=

(1,648) 1.2 2.0 89.6 7.2 3.2

(1,648) 12.7 5.3 72.0 10.0 18.1

(%)

【住宅火災】

一般全体

【住宅火災につながるようなヒヤリとした出来事】

一般全体

40 なっている。(図 4-4-1 参照)

4-4-1 住宅火災・ヒヤリ・ハット事例の分類

 高齢者との接触頻度別にみても、各層とも「その高齢者の、ガスコンロの使用、消し 忘れが原因での事例」が最も高く、6 割前後を占めている。

④ 高齢者を身内に持つ家族が、高齢者を住宅火災から守るために実施している対策

 高齢者を身内に持つ家族が、高齢者を住宅火災から守るために実施している対策で は、「火災を起こしにくい暖房器具を使っている」が 34.1%でトップであった。以 下、「高齢者を定期的に訪問している」(27.1%)「住宅用火災警報器などの警報を 発する装置が設置されている」、(25.9%)、「高齢者には 1 人にしないようにして いる」(21.6%)などとなっている。(表 4-4-2 参照)

 高齢者との接触頻度別にみると、週 2-3 日-2 週間に 1 日以上の層では「高齢者を定 期的に訪問している」が 53.9%で最も高い。(表 4-4-2 参照)

 その他の対策としては、オール電化にしている、外出時の点検実施などのほか、調理 させない、禁煙などとなっている。

⑤ 高齢者を身内に持つ家族が、住宅火災及びヒヤリ・ハット経験後により強く意識して いる事柄・具体的な対策・行動

 高齢者を身内に持つ家族が、住宅火災及びヒヤリ・ハット経験後により強く意識して

使

使

調

高齢者自身の行動によって起こった事例 高齢者に関係がない事例

57.7

4.2 4.2 3.5 3.4 2.1 1.9 1.4 1.4 1.3 1.1 1.1 1.0 1.0 0.8 0.6 0.5

6.3 3.2 0.2 3.1

0%

20%

40%

60%

80%

41

いる事柄・具体的な対策・行動では「高齢者には 1 人で火気を使わせないようにして いる」が 28.9%でトップであった。以下、「高齢者を 1 人にしないようにしている」

(27.2%)、「住宅火災警報器などの警報を発する装置が設置されている」(23.6%)、

「火災を起こしにくい暖房器具を使っている」(22.3%)が 2 割を超えた。(表 4-4-3 参照)

 高齢者との接触頻度別にみると、週 2-3 日-2 週間に 1 日以上の層では「高齢者を定 期的に訪問している」が 53.5%で最も高い。(表 4-4-3 参照)

42

使

1

1

使

使

( さ

( さ

使 ( )

使

使

使

n= (1,648)34.127.125.921.621.518.617.214.714.110.37.05.32.11.71.51.223.2 【一】_4-5日(670)40.714.531.835.17.927.323.321.619.711.29.67.03.12.11.30.916.9 【一】_2-3日-21日(464)40.153.927.820.331.720.317.213.615.710.88.05.81.12.22.21.313.8 【一】_3週-月1日(309)23.624.918.15.531.46.111.77.86.510.02.32.31.61.01.31.336.6 【一】_2ヶ1日1日(205)14.611.214.14.927.84.95.95.43.96.83.42.92.00.51.01.544.9 【ブ】_(410)43.420.731.732.713.427.323.222.721.715.99.06.82.41.51.53.99.8

割付別

一般全体

[比]       +10゚イント       + 5゚イント       - 5゚イント       -10゚イント

n=30 1

使

1

使

使 ( )

使

使

( さ

( さ

使

使

/

n= (622)28.927.223.622.319.817.213.811.911.610.96.14.02.61.40.813.210.1 4-5(499)30.529.123.222.613.218.014.212.47.012.06.24.42.41.61.014.09.6 2-3-21(86)25.617.429.124.453.512.816.312.830.28.17.03.53.51.2-10.510.5 3-1(24)12.525.016.720.837.520.8--33.3-4.2----4.220.8 211(13)23.123.115.4-15.47.77.77.723.17.7--7.7--15.47.7 (%)

割付別

全体

[比率の差]      全体 +10゚イ      全体 + 5゚イ      全体 - 5゚イ      全体 -10゚イ

n=30以上の場

443住宅火災及びヒヤリ・ハット経験後により強く意識している事柄・具体的な対策・行動

表4-4-2 高齢者を住宅火災から守るために実施している対策(接触頻度別)

43

ここまで、消防本部に対するアンケート調査及び高齢者の家族に対するアンケート調査 をもとに、高齢者の関与した住宅火災及びヒヤリ・ハットの実態や、消防本部の実施して いる高齢者向けの住宅防火施策や広報、高齢者の住まい方、高齢者やその家族の防火意識 などの実態について調査し、それらの結果を整理した。本章では、これまでに得られた知 見をもとに高齢者の住宅火災の特徴などについて考察し、本報告書のまとめとして、消防 本部に求められる高齢者向けの住宅防火広報のあり方を検討していくことにしたい。

5.1 消防本部に対するアンケートで得られた知見

(1) 消防本部の実施する高齢者住宅防火施策及び高齢者住宅防火広報

① 消防本部の実施する高齢者住宅防火施策

最も実施率の高かったのは「住宅防火訪問」であり、7 割以上の消防本部が実施して いる。併せて「防火診断」も 5 割が実施しており、「住宅防火訪問」と「防火診断」を 組み合わせて実施している状況が見られる。また、「高齢者関係団体への啓発」も 3 割 を超えており、多くの消防本部が「住宅防火訪問」「防火診断」「高齢者関係団体への 啓発」を高齢者住宅防火施策としている状況が見られる。

施策の効果の点からとらえると、「高齢者住宅防火モデル地区の設定」は、その実施 率は低いものの、実施消防本部では効果を実感しており、小規模消防本部に限定すれば

「特定地区への重点的取組」も同様の状況がある。これらは小規模な地区に限定されて いるものの、防火意識の向上や出火率の低下などに結びついているものと思われる。

また、施策の実施にあたって連携している団体としては、消防団が約 5 割、民生・児 童委員と市町村他部局が約 4 割、社会福祉協議会と女性防火クラブが約 3 割、自治会町 内会(自主防災組織)が約 2 割、高齢者関連団体約 1 割などとなっている。

その他の連携団体として、地区防火協会、電力会社、ガス会社などがあげられる。

② 消防本部の実施する高齢者及び家族向けの住宅防火広報

高齢者及び家族向けの住宅防火広報媒体として効果的なものは、チラシ・パンフレ ットや広報誌であり、ホームページやポスターなどの効果は少ないと消防職員は考え ている。特に、広報資料としての高齢者住宅火災事例が望まれている。

具体的な火災事例内容として、イラストで分かり易い事例紹介、広報誌に載せられ る事例などの要望があげられている。

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