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回廊基準尺の検討

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Academic year: 2021

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66

奈文研紀要 2012

はじめに 第一次大極殿院の復原研究に限らず、基準尺 は各部の計画寸法を検討するための基礎となる重要な数 値である。過去の第一次大極殿院復原研究では、南面築 地回廊東半SC5600の調査成果より導いた0.2943m(『平城 報告Ⅺ』)、第一次大極殿SB7200の発掘調査成果より導い た0.2954m/尺(『年報 1999』)といった基準尺が用いら れてきた。その後、2008年の第431次調査で南面築地回 廊の発掘調査が完了したため、第一次大極殿院の建物全 体の検討を進めるためにも、遺構の遺存状況が比較的よ い南面築地回廊(以下南面回廊)における基準尺の再検討 をおこなった(第18回検討会)。

 奈良時代前半の第一次大極殿院は、造営期のⅠ-1期 に南面中央に南門SB7801を設け、外周に南面築地回廊 東半SC5600(以下東半)、西半SC7820(以下西半)、東面 築地回廊SC5500(以下東面)、西面築地回廊SC13400(以 下西面)、北面築地回廊SC8098(以下北面)を廻らせる。

復原研究の対象としているⅠ-2期には、東半と西半の 一部を解体して楼閣SB7802(東楼)、SB18500(西楼)を 造る。これらの遺構の大半は国土方眼座標に対して北で 西に0°12′26″振れており(『平城報告XⅦ』)、基準尺の検討 でもこれを考慮した。なお、東面の南方では10/120 ヵ

所程度の側柱礎石痕跡を検出しているが、残存状況が悪 く、全長および柱間は明確ではない。西面および北面で は側柱礎石痕跡をほとんど検出しておらず、これらの遺 構からは基準尺の検討をおこなうことができない。した がって、遺存状況のよい南面回廊から基準尺を導くこと とした。

第一次大極殿院の計画寸法 平城宮主要部の地割りは大尺

(令大尺=1.2×令小尺、令小尺は単に尺と表記する)を用い、

第一次大極殿院については、東西面築地心々間距離が 500大尺(600尺)、南北面築地心々間距離が900大尺(1080 尺)で計画されたことが指摘されている(『平城報告Ⅺ』)。 一方、南面回廊は、礎石据付・抜取痕跡より桁行15.5尺 等間、東西面と重なる両端部2間は12尺等間、梁行12尺 等間の柱間寸法が示されている(『平城報告Ⅺ・XⅦ』)。平 城宮内各建築の主要な寸法は整数尺(0.5尺も許容)で計 画されたと考えられるため、ひとまずこれらを計画寸法 とみなした。

南面回廊の遺構と柱位置 南面回廊の遺構としては、側 柱礎石痕跡、基壇外装痕跡、雨落溝、足場痕跡などがある。

梁行柱間(24尺)の中央を通ると推測される築地塀の積 み土は残存していない。このうち、側柱の礎石痕跡は、

34/70 ヵ所の礎石据付穴、根石、抜取穴を検出している。

これらの遺構から計画寸法と比較する数値を得るため、

各礎石痕跡から柱位置を推定した。遺構断面図がある箇

回廊基準尺の検討

-第一次大極殿院の復原研究5-

図88 南面築地回廊(Ⅰ−2期)平面模式図

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(2)

Ⅰ 研究報告

67

所は抜取穴の底、ない箇所は根石または抜取穴範囲の中

心を柱心と推定した。その結果、計31ヵ所(図88のA・B)

の柱心の座標値を得た(表9)。遺存状況が悪い箇所は、

参考のためおおよその柱心を推定した(図88のC)。 南面回廊の基準尺 南面回廊の基準尺を求めるために、

前述A、B、Cの座標より柱心間の実長を算出し、計画 寸法との比較をおこなった。柱心間の実長が短い場合は 誤差の影響が大きいため、できるだけ離れた5組の柱心 を検討に用いた(図88)。その結果、0.2948 ~ 0.2952m/

尺、平均0.2950m/尺の数値を得た。このうち、柱心間 の実長がもっとも長い組み合わせは東半・ハ三と西半・

ハ十六である。この柱心間の実長は169.84m、計画寸法 が576尺(東西面築地心々間600尺、隅2間の桁行12尺)であ ることから0.2949m/尺が算出される。しかもこの2 点は遺存状況が良好な組み合わせである。したがって、

もっとも距離が長く、遺存状況のよい2点から得たこの 0.2949m/尺を南面回廊の基準尺とした。

 この場合、多数検出している礎石痕跡との整合性を検 討すると(図89・90)、南面回廊西半の礎石痕跡のうち、

西楼以東、すなわち西楼から南門間で痕跡が1尺程度西 にずれる傾向が見られる。仮に、過去の成果による0.2943

m/尺、または0.2954m/尺を基準尺とした場合も同じ 傾向となる。これ以外では、桁行、梁行ともに概ね遺構 との柱位置の整合がとれるため、西楼と南門のあいだの 状況はⅠ-2期の西楼増築時に生じた施工誤差の可能性 を考えるべきであろう。

まとめ 以上の検討から、南面回廊の基準尺は0.2949m

/尺と考えた。同時期に第一次大極殿院の南面に造られ た南門も、同じ基準尺を用いて検討をおこなう。なお、

基準尺が0.1㎜程度変動しても、建築の復原寸法への影響 はほとんどないが、従前の都城および宮殿の基準尺研究 に倣い、0.1㎜単位の数値とする。西面および北面回廊は 遺存状況が悪いが、今回得た基準尺0.2949m/尺を用い て整合がとれるのかどうか、今後検証する必要がある。

  (井上麻香)

図90 南面築地回廊西半 SC7820 遺構図+想定平面模式図(Ⅰ−1期)

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図89 南面築地回廊東半 SC5600 遺構図+想定平面模式図(Ⅰ−1期)

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表9 南面築地回廊柱心一覧(抜粋)

番付 ハ十七 ハ十六 ハ十五 ハ四 ハ三

X

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Y

― -18935.25 -18930.62 -18769.93 -18765.41

平面図より 礎石抜取穴 中心を柱心 と推定

(B)

平面図より 礎石抜取穴 中心を柱心 と推定

(B)

平面図より 礎石抜取穴 中心を柱心 と推定

(B)

平面図・断割 より礎石抜取 穴中心を柱 心を推定

(A)

根石検出少 根石検出無 根石検出少 根石検出多

番付 イ十七 イ十六 イ十五 イ四 イ三

X

-145118.65 -145118.82 -145118.85 -145118.69 ―

Y

-18938.82 -18935.30 -18930.80 -18769.90 ―

平面図より 礎石抜取穴 中心を柱心 と推定

(C)

平面図より 礎石抜取穴 中心を柱心 と推定

(B)

平面図より 礎石抜取穴 中心を柱心 と推定

(C)

平面図より 根石範囲の 中心を柱心 と推定

(B)

根石検出少 根石検出少 根石検出無 根石検出多

南面築地回廊東半SC5600

備考

南面築地回廊西半SC7820

検出なし

(築地心想定位

置)

備考

検出なし

(E)

備考中の記号A〜Eは、図88の凡例を参照のこと

参照

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また︑以上の検討は︑

【大塚委員長】 ありがとうございます。.

この標準設計基準に定めのない場合は,技術基準その他の関係法令等に

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