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ベンガル農業社会における農家経営の階層構造

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ベンガル農業社会における農家経営の階層構造

-その歴史的背景と現状分析-

谷口 晉吉

はじめに

1. 農民階層分析-先行研究

2. ベンガル農業社会の階層化: その歴史的形成メカニズム 3. ベンガル北部農村の階層分析(一):18世紀後半北部ベンガル 4. ベンガル北部農村の階層分析(二):現代バングラデシュ

結びに代えて-富農による農業労働者の抱え込みの構造の打破に向けて

はじめに

私は1983年から85年にかけてベンガル北部の一つの農村において半年ずつ2回の住込み調 査1)を行い、この村の社会と経済に関する英文報告書を発表した。

そこで私が採用した調査手法は、5000人ほどの人口を持ち、20集落または分村(para)か らなるこの行政村全体を対象としたランダム・サンプリングではなく、私が一人で扱うことの できると判断した合計110世帯ほどからなる南端の4集落において悉皆調査を実施してデータ を収集し、それを階層化手法によって整理し、その上で各階層から比較的少数の世帯を抽出し、

より詳しい経営調査を行い、考察することであった2)

この報告書では、調査村の社会・権力・生産の構造を分析し、住民の半ば以上を覆う貧困の 一つのメカニズムを描くことができたと考えている。だが、残念ながら、筆者の作業は一部研 究者の好意的評価を得たとはいえ、後続の研究者による同様な問題視角からの調査を得ること は出来なかった。

最近の開発経済学や貧困研究は独自の発展を遂げ、ミクロ経済学と非常に高度な統計的推論 を駆使する分野となり3)、これらの準備のない研究者の手の出せるものではなくなってしまっ たかにみえる。しかし、逆に言うなら、分析手法のテクニカルな準備、方法論上の制約、そし て膨大な先行研究のサーヴェイなどの負担が非常に大きくなり、調査地に虚心坦懐に向き合い そこから問題意識や社会経済のメカニズムを直接に学び取るという地域研究における最も基本 的な姿勢が弱くなっているのではないかと危惧される。

本論文は、私が30年ほど前にフィールドワークの中から見出した貧困の構図を、より広い 歴史的文脈の中に位置付けた上で再提示して、その有効性を問いたいという意図をもって書か

(2)

れたものである。但し、ここに示される構図は、1990年代中頃から急速な経済成長の軌道に 乗ったかに見えるバングラデシュにおいては、すでに遺制と化しつつあるかもしれない4)。だ が、例え急激な構造変化がバングラデシュ農業社会において始まっている可能性があるとして も、その変化の初期構造を示すものとして本稿の存在意義は失われないと考える。

1.農民階層分析-先行研究

ベンガル農業社会における農家経営の階層的構造は、これまでどの様に把握されてきただろ うか。ベンガルにおける農家経営に関する歴史史料は非常に少なく、英国植民地支配期の富農

jotdar研究の先頭に立ったRay, R.(1979)も富農経営の考察は行っていないし、彼女の富農論

を強烈に批判し小農卓越論を繰り広げたDatta, R.(2000)も、彼の主張する小農経営の具体 的な姿を提示しているとは言い難い。Chaudhuri, B. B.(1975)の脱農民化(depeasantization) の議論は、植民地支配後期のベンガル農業経済に関する非常に優れた展望を与えるが、農家経 営の階層分析にまでは踏み込んでいない。同じく、植民地支配後期のベンガルを対象とした

Bose, S.(1986)の地域類型論は具体性に乏しく、また、彼が東ベンガルを小農優越地帯とし

たことに対して複数の研究者が反証を挙げ批判している。Goswami, O.(1991)は植民地期後 期のジュート栽培農家の経営に関する考察を行っているが、データの不足からその分析は初歩 的レヴェルに留まっている。Islam, M. M.(2012)は、同じく植民地後期のジュート生産と前 渡金について考察し階層分析の有効性を示したが、経営構造の分析にまでは考察は及んでいな い。

現代のベンガル農民階層研究は、農民を土地所有規模に基づいて、限界(過小)農、小農、中農、

富農などの階層に区分し、それぞれの階層の農民が、農業近代化の採用の程度、兼業のあり方、

価格変動への対応、負債の多寡、教育程度等々の多元的な指標において、どの様な実績を残し たのかを現地調査データに基づいて考察し、各階層の特徴を検出してきた。この様な多元的ア プローチを採用した研究はかなりの数に達する。例えば、Herbon, D.(1994)は実に様々な側 面について階層分析を行い、生産費用や作付作物の階層性にも言及するが、残念ながら階層化 された農家世帯間の経営的補完構造に関する考察はない。Datta, A. K.(1998)は現地調査に基 づいて、刈分小作、質地、農業労働者賃金について詳しく論じているが、ここでも農家経営の 階層分析はなされていない。

この様な多元的なアプローチにとは別に、限定された視点から階層分析を行った研究も多数 に及ぶ。Bhaduri, A.(1973)の半封建制(semi-feudalism)論は、労働市場・借地市場・農業 金融市場の市場連関に注目した興味深いものであるが、十分な実証性・具体性を欠き、多くの 批判を浴びることとなった。Van Schendel, W.(1981)は、バングラデシュの農民層分解や階

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層構造、そして社会的流動性に関する実証データを提示し、Rahman, A.(1986)は農民層分解 論を集中的に論じ、Chaudhury, A.(1982)は、農民の階層化と村内の権力構造との関係を論じた。

Mandal and Ghosh(1976)は、在来品種、高収量品種についての自作農と小作人の費用構造

を示し、Jansen, E. G.(1987)は農民負債、土地移動、刈分小作、農業労働者など階層構造に

関する詳細な情報を与え、Rahman, P. M. M.(1994)は、階層別の家族労働、雇用労働の投入 量データを示し、Siddiqui, K.(2000)は、1977年と1997年のある村の土地所有、小作・質地 などについて階層別の時系列変化を分析し、藤田(2005)は階層問題を主に灌漑費用の階層間 不平等という視角から論じ、Manwar, A.(1996)は高収量米と在来種米の費用構造を季節別、

階層別に考察した。Rahman & Husain (1995)やRahman、Matsui & Ikemoto (2009) は、いず れも慢性的貧困層(the chronically poor)に関する興味深い研究であるが、バングラデシュの 農業社会構造全体を踏まえた、包括的な貧困問題へのアプローチとはなっていない。

以上の簡単な先行研究のレヴューからも分かる様に、現代ベンガル農業社会の階層性に触れ た研究は相当数に達し、その内の幾つかは階層的農家経営構造にも言及しているのだが、残念 ながら諸階層間の経営的相互補完関係(包摂-従属関係)には分析が及んでいない。本稿は、

この欠落を埋める作業の一つである。

2.ベンガル農業社会の階層化:その歴史的形成メカニズム

農業社会には、共同体的な平等化原則(共同体的土地所有や土地割替えなど)や領主・国家 権力による小農維持政策などによって、土地所有(あるいは土地保有)の移動や集中が抑制さ れ比較的に均質な耕作者・農民層が維持される場合と、政治的混乱や経済の商業化による土地 市場の発生などの結果として共同体的土地所有制や小農維持政策が崩壊して、土地集積が進行 し、農民内部の格差が拡大し階層化する場合とがある。本稿でいう農民階層化とは、農民内部 に土地保有5)の不均等な分布が生じることであり、遅くともムガル末期から植民地期初期に はベンガル平野の全域で広範に見られた状況である6)。ただし、その生成の論理や浸透の程度 はベンガル地方においても決して一様ではなく、地域により時代によりかなり大きな相違が あったと思われる。だが、その具体的な様相の究明は今後の研究に俟たねばならない。

農業社会の階層化の契機として留意すべきもう一つのメカニズムとして、荒蕪地の開発があ る。開発者は、未開発地域に住む森の神や地の神と折り合いをつけた者という宗教的意味合い もあり、開発地に対して特別の権利を得て、その一帯の有力な指導者となるからである。東ベ ンガルについてはEaton, R.(1993)のすぐれた研究がある。だが、彼はイスラム聖者pirに過 大な評価を与えており、それ以外にも様々な社会層が開発を行ったことを軽視している。特に、

支配者から施与地を与えられたバラモン、ヒンドゥ系・アフガン系諸王朝の兵士・官僚やその

(4)

残党、ムガル帝国期の在地支配者(zamindarまたはtalukdar)、帝国官僚(jagirdar)、帝国辺 境の屯田兵などの開発行為や勧農は無視されるべきでない。ベンガル平野を西方から望む山間

森林地帯Jharkhandに展開するMundaなどの先住部族社会においても村の開基者とその子孫

はkhuntkatidarと呼ばれ様々な特権を認められており7)、ベンガル平野と類似した過程が進行

した。英国植民地期になると商人などが政府から広大な荒蕪地の開発権を取得して、それを分 割して下位の開発者に借地に出し、耕作させた場合もあり、東ベンガルの南部において複雑な 中間借地権が発生した一つの理由となっている8)

ベンガルにおいては、この様な各種メカニズムにより農民と農業社会の階層化が進行した9)。 階層化の主要基準となるのは保有地規模であるが、それ以外にも在地支配者・上級所有権者が 付与した農地保有条件に関する種々の特権や隠田の創出も農民内部の階層化を促した10)

ここで注意を要するのは、ベンガルでは農民の土地に対する事実上の所有権(農民的土地 所有権)が実現するのは19世紀後半に農民の借地権・小作権に関する法的権利(occupancy

right:占有権)が成立してからだということである11)。それ以前においても、農民は領主や地

主に地代を払う限り土地からの退去を要求されることはなかったと考えてよいのだが、それは 彼らが自由に土地を売買したり質に入れたりすることができたということは意味していなかっ た。従って、19世紀後半に農民的土地所有権が法的に確立するまでは、農民の階層化は土地 市場における農民保有地の売買を通じての集積という通常想定されるメカニズムでは進行せ ず、上述の開発行為や、隠田の拡大や、農地保有条件に関する種々の特権の取得などという形 をとったのである12)

19世紀後半に農民的土地市場が確立した後、農民保有地の移転が日常化し、また、飢饉や 農産物価格の暴落などの経済ショックが起きる度に加速化したことはよく知られている13)。 また、世界商品となったジュートの作付が急速に拡大した地域では、商人による前渡金や農民 貸しが拡大し、その結果として、商人による農地集積と集積された土地の刈分(adhiまたは

barga)小作地への転化が進行し、これも農民の階層化を進行させた14)

また、1930年代以降には、インド独立を視野に収めて農民の地代率引き下げや地代不払い の運動が起き、地主による実効的農村支配は事実上崩壊したといってよく15)、更に独立直後 の土地改革によって地主制度が廃止され農業社会の最上位をなした地主層が消滅すると、それ に代わって農村内部で富農層が躍進した。インド・パキスタンの分離独立は、西ベンガル州と 東パキスタン(現在のバングラデシュ)の間で数百万人規模のヒンドゥとムスリムの難民を生 み、立ち去った農民の土地を獲得して土地集積を進めた者が現れている。

集積農地を有利に経営する方法として機能してきた刈分小作制度は、バングラデシュ成立後 も存続し、また、多くの農民が貧困に喘ぐ中で活発に金融活動を行い土地を集積してきた高利

(5)

貸し(mahajan)の活動も抑制されることはなかった。

こうして、遅くともムガル時代末期にはベンガルの農業社会の階層構造が確立し、それは、

植民地支配末期に拡大・強化され、さらに、インドの分離独立やバングラデシュの成立によっ ても解消されることなく、今日に至っている。

3.ベンガル北部農村の階層分析(一):18 世紀後半北部ベンガル

私は、18世紀末と1980年代という2時点における北ベンガルの農家経営構造を考察し、特 に後者においては、現地調査データに基づいて現代バングラデシュ農業社会の農家経営の階層 的包摂性を生産費用構造の考察から検出した16)。200年弱という長期間を隔てるにも拘らず、

両時点の農家経営構造には、相当に強い類似性が見られる。とはいえ、検出された両者の類似 性は長期に渡ってベンガルの農家経営構造が不変であったことを意味するものではなく、その 間に幾つもの大きな変容を重ねながら形態上の類似性が維持されてきたと理解すべきであるこ とを直ちに指摘して置かねばならない。

本節では、18世紀末の北ベンガルにおける農民階層と富農経営構造について歴史史料によ り確認できることを述べる17)

3.1.その形成論理と構造

ムガル時代のベンガルではあらゆる土地は皇帝のものという建前の下で、領主(zamindar、

talukdar)が領有(上級所有)権者としての処分権を与えられ、農民は領主18)から様々な条件

の下で土地を貸与され耕作する小作人と位置付けられていた。この位置付けは英国植民地支配 期にも続いた。18世紀初頭ベンガルにおいて、ムガル州太守Murshid Quli Khanは強大な権 力を掌握し、州内全域で検地を行い、各地域の領主が農民からどれだけの地代を取得している のかを確認し、それに基づいて領主が政府に納入すべき地税額を改訂した。当時の農業社会の 実態については殆ど情報がないが、この措置によって領主は領内の農民の土地保有規模、担税 能力を把握することが出来たから、農民内部の保有地の移動は抑制されたと考えることが適切 であろう。一例をあげるなら、北西部ベンガルを治めていたディナジプル(Dinajpur)王家は、

18世紀後半においても村々に及ぶ強大な徴税・統治組織を維持しており、農民保有地に対す る強い支配を行使した。従って、そこでは農民層の階層分化は抑制されていたと考えてよい。

家族労働で耕作可能な面積を上回る過剰な土地を持つことはその分だけ地代支払いが増加する ことを意味するから、農民は耕作し切れない余剰地が発生すると、高額な地代支払いを回避す るために、余剰地を領主に返上することもあった。この様なタイトな領主支配の下で、どの様 にして農民内部に階層化が進行し、富農層が成長したのかを考えてみよう。

(6)

18世紀後半に入ると、ベンガルにおけるムガル支配が弱体化し、その中で州政府による領 主に対する増税が加速化し、従来の統治システムが機能麻痺状況に陥った。当時、ヨーロッパ 商業会社のベンガル進出が急速に拡大した時期でもあり、その巨大な投資資金(金銀)の流入 は流通貨幣量を増大させ、物価上昇(インフレ)の圧力をベンガル経済に与えたが、その効果 を相殺する様に農民に対する地代引き上げ圧力も加速しており、ベンガルは政治のみならず社 会経済的にも不安定な時期を迎えた。ムガル支配からイギリス植民地支配への移行期における この混乱のさなかにベンガル各地で農民反乱が多発し、領主の在地支配力が急速に衰えた。こ れは、上層農民がその保有地を拡大する機会を与え、実際に、この時期に急速に保有地を拡大 した富農の複数の事例が史料に残されている。だが、この農民階層の分化は、イギリス植民地 政府の農村統治が安定した構造に達すると抑制された。ディナジプル県では収税官G.Hatchに よる農民の土地保有上限の設定が知られており、また、ベンガル全域に対して1799年、1805 年に導入された2つの法律は、地主による農民支配を回復させ、強化させるものであった。

図1:S集落の家族関係と階層

死亡

死亡

S-1(Ⅳ)

死亡 死亡

死亡

死亡

死亡

死亡

(Ⅲ)S-2

S-9(Ⅳ) S-12

(Ⅴ) S-13

(Ⅰ) S-15

(Ⅰ)

(Ⅲ)S-11

S-18

(Ⅰ)

(Ⅳ)S-10

(Ⅰ)S-14

死亡

(Ⅲ)S-17

(Ⅲ)S-16

(Ⅳ)S-8

(Ⅲ)S-6S-7 S-5 (Ⅱ)

S-3 (Ⅳ)

(Ⅲ)S-4

(Ⅲ)

(出典) Taniguchi, S. (1987), Chart 1.

図2:純賃金労働者の雇用率

(出典) Taniguchi, S. (1987), Chart 11.

(注) 月間雇用率=月間雇用日数/30とした。

34 23 12 121 1112 1011 910 89 78 67 56 45 100

90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

(7)

図3:第Ⅰ階層(G-I)の職業構成

(出典) Taniguchi, S. (1987), Table 25.

あり:8世帯 あり:2世帯 ムリ製造1;鍛冶屋1

あり:10世帯 なし:6世帯

なし:2世帯 あり:2世帯 ムリ製造2

(a)土地なし層:40世帯 なし:0世帯

あり:26世帯 あり:4世帯 大工1;パーン小売1;ビスケット小売1;土壺小売1

なし:30世帯 なし:22世帯

なし:4世帯 あり:3世帯 ムリ製造1;牛売買1;土壺小売1 なし:1世帯 乞食1

あり:6世帯 あり:4世帯 精米1;ムリ製造2;製材業1

あり:9世帯 なし:2世帯

なし:3世帯 あり:3世帯 精米1;鍛冶屋1;タバコ小売1

(b)零細土地所有層:16世帯 なし:0世帯

あり:5世帯 あり:1世帯 ムリ製造1

なし:7世帯 なし:4世帯

なし:2世帯 あり:1世帯 精米1 なし:1世帯 乞食1

小作 賃労働 その他 職種

階層

(ビガ)

人数

(人) % 土地

(ビガ) % 地代率

(ルピー/ビガ)

   0-12 138 66 525 15 0.5

  12-30 42 21 855 25 0.43

  30- 28 13 2024 59 0.33

合計 208 100 3404 99 0.38

表1: 18世紀末北部ベンガルの4ヵ村の農民階層構成

(出典) 谷口 (1994)、表6.

  人 %

農業労働者 80000 18

刈分小作人 150000 34

小農 138000 31

中農 62700 14

富農 11000 2

合計 442000 99

表2: 19世紀初頭北部ベンガルのブキャ ナンの5分類による農民階層構成

(出典) 谷口 (1994)、表8.

1983/84 % 1985/86 %

G-I 56 51.4 64 54.2

G-II 15 13.8 18 15.3

G-III 17 15.6 15 12.7

G-IV 12 11.0 10 8.5

G-V 9 8.3 11 9.3

合計 109 100 118 100

不明 2 4

表3: 1980年代前半北部ベンガルの4パラの経済階層構成

(出典) Taniguchi, S.(1987), Table 23.

(8)

職業 G-I G-II G-III G-IV G-V 合計 農業

  自作 24 14 18 11 10 77

  地主 (刈分地) 0 2 0 4 4 10

  地主 (質地) 0 3 4 3 0 10

  農業賃労働 39 7 7 0 0 53

職人

  大工 1 1 0 0 0 2

  製材業    1 0 0 0 0 1

  鍛冶屋 2 0 0 0 0 2

  裁縫師 0 0 1 1 0 2

商業・店舗  

  ストック・ビジネス 0 0 0 0 1 1

  嗜好品(パーン)小売り 1 0 0 0 0 1

  パン・ビスケット小売り 1 0 0 0 0 1

  塩・白灯油小売り 0 0 1 0 0 1

  土壺売り 2 0 0 0 0 2

  煙草(ビリ)売り 1 0 0 0 0 1

  茶店経営 0 0 1 0 0 1

  牛馬売買 1 0 0 0 0 1

製造・加工業  

  精米業 2 1 3 0 0 6

  小麦精製業 1 0 0 0 0 1

  ムリ(米の加工品)製造業 6 1 0 0 0 7

各種専門職  

  ユニオン(地方自治体)議員 0 0 0 0 1 1

  医者 0 1 1 0 0 2

  小学校教師・校長 0 1 0 2 3 6

  イスラム学校教師 1 0 1 0 0 2

  軍人 0 1 0 2 0 3

  鉄道職員 0 0 0 1 0 1

  村警官 0 0 0 1 0 1

  金貸し 0 0 0 0 1 1

  乞食 2 0 0 0 0 2

表4: 階層別職業構成 (4パラ集計)

(出典) Taniguchi, S.(1987), Table 15.

(9)

世帯 人数家族労 働者数刈分地(LB)質地(LB)支払い カ)受取り カ)収入額 カ)種別 カ) G-I> S-1843000000000014585280漁業1471300 -24100000000006028550家畜飼育3294200 -8410.0300000000057632494カエル取り330550 -1410.150000000006281450漁業4417100 -13100000000005764250漁業2051100 -2510.0400000000098454590パー売り64411000 -4310.190000000007069500家畜飼育2897100 -4740.53.503.52431997525908590041841795409283900 -9610.31.2501.52609836333046490192925457200ムリ製造5485400 -1510.7303.715413271818645750224714304800ムリ製造65422000 -2730.150.7500.75300480020002400014251467005448200 -3310302.55167133673119663803364378803250400 -2410.2501.151.41826510287012500196639001900道路工事4933300 -3310.5250.1500.5520025402155210035259471000漁業3552600 -4410.5000.53004765360500616157604310600 II -1512.5-0.50.52.524614370998530011551943292504975300 III> S-3413.50-0.92.524019904836400257506600小学教師5716400 S-1513.950.95-0.952.951731639596151890036950059106000 S-15140.503.2518619292100023105044980030951475 -1513.65003.65226203049739004569250060701000 -5624.750.50.55.75193309751355529250594504400穀物商49750 -1515.80-14.516719996684908002477425049583400 -1413002.651821475552760028180049342250 -22055.56010.5186542592240014944092152950600牛車賃貸11100400 -4625-0.4503.3516217070132550118326411625032463000 IV S-18110.15009.151986207537370001470606600小学教師7942600 -74270.507.515933240103502005074920062661300 -8819.51.5010.751665449820803315001237400125127500 -1828.758.750.258.51372964512975115004259007810750 S-1612500211598815930754003052400129660 -24125002418111325140231004822100113580 -14218-20162399731511865037753590600127230 -715246.65-5039.514920207086020097254966900397360 -912234-4026.2518217623340047075504662001000穀物商245290 (出) Taniguchi, S.1987, Table 28.

 SRMS 家族構成 総生産 カ)

一般生活 費用 カ)

負債 カ)

非農業就業小作地 -は貸出し)地代所有地 地方ビ LB

自家 消費 カ)

作付率 %経営面積 LB耕作費用 カ)

農業 賃銀 収入 カ)

(10)

化学肥料 殺虫剤 飼料 農具損耗 種子(小麦) 灌漑 賃耕料 賃金 物的費用 (1)~(6)雇用費用 (7)~(8)合計 G-Ib 8466257751044213081407480023778906717716083 %29.03.63.22.78.18.729.814.855.444.6100.0 G-II188814780110041800164301643 %54.08.94.96.70.025.40.00.0100.00.0100.0 G-III9118382115200614392496518532209492250791271237791 %31.35.65.33.86.613.78.525.166.433.6100.0 G-IV4942212681648161918243691162515534194721715936631 %25.73.54.54.45.010.14.442.453.246.8100.0 G-V5475735997249703662540018648890095790106250104690210940 %22.62.811.81.72.68.84.245.450.449.6100.0 Total267438310104292147272110282934918545123191161350141736303086 %24.53.39.62.43.69.76.140.653.246.8100.0

  世帯数 (出典) Taniguchi, S.1987, Table 31. 春米 Boro 米) 在来種高収量 品種合計在来種高収量 品種合計高収量 品種 作付面積10.251.6511.904.650.004.651.506.202.301.100.300.250.000.000.250.600.000.000.000.050.000.000.000.000.000.000.0029.10 総作付面 積に対す35.225.6740.8915.980.0015.985.1521.317.903.781.030.860.000.000.862.060.000.000.000.170.000.000.000.000.000.000.00100.00 作付面積1.850.652.500.600.600.551.251.250.000.050.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.006.20 総作付面 積に対す29.8410.4840.329.680.009.688.8720.1620.160.000.810.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.000.00100.00 作付面積31.654.1535.806.851.408.259.3510.402.950.902.752.001.000.100.300.000.000.350.000.050.500.200.000.050.000.050.0075.00 総作付面 積に対す42.205.5347.739.131.8711.0012.4713.873.931.203.672.671.330.130.400.000.000.470.000.070.670.270.000.070.000.070.00100.00 作付面積27.302.7530.056.000.706.705.557.604.502.051.650.500.350.350.000.000.000.050.000.050.150.000.000.000.000.000.0059.55 総作付面 積に対す45.844.6250.4610.081.1811.259.3212.767.563.442.770.840.590.590.000.000.000.080.000.080.250.000.000.000.000.000.00100.00 作付面積107.258.00115.2517.009.0026.0028.0022.508.9510.003.355.000.250.450.200.000.500.100.500.350.000.050.000.050.000.000.00221.50 総作付面 積に対す48.423.6152.037.674.0611.7412.6410.164.044.511.512.260.110.200.090.000.230.050.230.160.000.020.000.020.000.000.00100.00 作付面積178.3017.20195.5035.1011.1046.2044.9547.9519.9514.058.107.751.600.900.750.600.500.500.500.500.650.250.000.100.000.050.00391.35 総作付面 積に対す45.564.4049.968.972.8411.8111.4912.255.103.592.071.980.410.230.190.150.130.130.130.130.170.060.000.030.000.010.00100.00

 SRMS) 小麦ュー苗床 ガイ カライ豆 (野菜)マネ各種 野菜生姜菜種ナスサツ イモ

チュ ウ(根 菜)唐辛子階層総作付 面積 G-Ib G-II

グア ヴァニンニクニャ (野菜)マリン冬米(Aman米)夏米(Aus米) (出典) Taniguchi, S.1987, Table 29 (corrections on boro rice was made).

G-III G-IV G-V Total

(11)

G-Ia G-Ib Total

世帯数 7 8 15 1 9 4 5

家族人数 27 39 66 5 60 28 41

労働者数 9 13 22 2 15 6 8

農業粗生産 0 75064 75064 14370 212950 179458 677028

世帯当たり粗生産 0 9383 5004 14370 23661 44865 135406

諸収入(賃金を含む) 64495 67310 131805 2425 18833 6600 21050

世帯当たり諸収入 9214 8414 8787 2525 2093 1650 4210

総収入 64495 142374 206869 16795 231783 186058 698078 世帯当たり総収入 9214 17797 13791 16795 25754 46515 139616

地代支払い 0 28312 28312 0 22864 6305 0

世帯当たり地代支払 0 3539 1887 0 2540 1576 0

自家消費(khorakiを含む) 29153 55275 84428 9985 99100 81498 208917

世帯当たり自家消費 4165 6909 5629 9985 11011 20375 41783

農業費用 0 16083 16083 1943 37791 48321 210940

世帯当たり農業費用 0 2010 1072 1943 4199 12080 42188

一般生活支出 23876 42803 66679 4957 51084 34530 101312

世帯当たり一般生活支出 3411 5350 4445 4957 5676 8633 20262

負債(利子のみ) 1850 5400 7250 300 17925 10150 0

世帯当たり負債 264 675 483 300 1992 2538 0

総支出 54879 147873 202752 17185 228764 180804 521169 世帯当たり総支出 7840 18484 13517 17185 25418 45201 104234

総収支 9616 -5499 4117 -390 3019 5254 176909

世帯当たり収支 1374 -687 274 -390 335 1314 35382

(出典) Taniguchi, S.(1987), Table 32.

表8: 費用-便益分析の概略(SRMS)

G-II G-III G-IV G-V G-I

G-Ia G-Ib G-II G-III G-IV G-V

調査世帯 M-25 M-30 P-1 K-14 S-1 S-12

家族人数(人) 4 3 5 5 8 6

支出項目(タカ)  

 米  0 0 0 200 0 0

 菜種油 384 576 768 392 768 1200

 小麦粉 0 0 0 60 0 0

 砂糖 0 40 384 480 192 576

 粗糖 32 96 384 240 96 480

 魚 480 360 0 384 800 1680

 肉 300 240 540 480 720 1800

 野菜 480 180 960 0 160 480

 塩 60 60 168 60 432 240

 タバコ 468 360 12 78 624 0

 医薬品 100 300 200 500 350 1000

 衣服 500 600 1300 1500 3000 2700

 白灯油 120 288 216 480 600 840

 什器類 50 150 25 200 200 1000

 合計 2974 3250 4957 5054 7942 11996

一人当たり平均支出 744 1083 991 1011 993 1999

表9: 階層別年間生活費

(出典) Taniguchi, S.1987, Table 33.

では、この時期のベンガル農業社会の階層構造はいかなるものであったろうか。1793年に イギリス植民地政府が永代ザミンダーリー査定(地税の永久的固定化)をベンガルに導入した 際に、その前提となるべき情報収集のために幾つかの地域に有能な行政官僚を派遣して詳細な 現地調査を行わせた。その様な調査報告の白眉が、J.H.Haringtonの北部ベンガルSwaruppur

(12)

領報告であった。また、この調査の20年ほど後に、博物学者Francis Buchananがこの地域を 含む北部2県(ディナジプル県とラングプル(Rangpur)県)を各県に1年ほどかけて踏査し、

詳しい調査報告書を著した。植民地支配初期としては望みうる限り最も詳しい、これら2つの 現地調査に主に依拠して、この地方の農業社会の階層構造と富農経営の特徴を示すことにしよ う19)

我々は、この時期の北部ベンガルの4ヵ村の保有地構成表を利用できる。それによると、ほ ぼ隣接した地域内にある4ヵ村の階層構造には相互にかなりの違いが見られ、小農・中農が 主たる部分を占める村から高度に両極化した村まで、いろいろな類型が検出される。しかし、

これら4村のデータをまとめた統合構成表(表1)から検出される階層性と、県全体に関する

Buchananの階層構造の観察結果(表2)とがほぼ重なることから、この両表の示す分布が北

部ベンガル農業社会の平均的な姿に近いと考えることが許されるであろう。その平均的な姿が 指し示すのは、過小農・農業労働者、小農、中・富農という3つの経済階層からなる高度に階 層化した農業社会構造である。

以下において、これら3階層の家計と経営の特徴を考察しよう。

3.2.経営諸階層

3.2.1.過小農・農業労働者の家計

表1が 示 す 様 に、4ヵ 村 の 農 業 労 働 者 と 過 小 農 を 合 わ せ る と 農 村 人 口 の 半 分 を 超 え、

Buchananによる県全体に関する推定値(表2)とほぼ一致する。

農業労働者(krishan)は農村人口の20%弱を占め、犂や牛を持たないために借地も又小作 もできない。労働力を裕福な家族に提供して報酬を得、更に雇主が支給する食事、衣服や、妻 が行う精米と、富農の家の家事手伝いなどで得る収入を合わせることによって辛うじて一家の 生活が成り立った。

過小農は農村人口の30%以上を占める。彼らは、犂と牛を所有するので地主から小作地を 得ることができるが、自己資金が不足しているので一家の生計を維持できるほどの面積の農地 を借地することができず、種籾、その他の生産費用を貸与してくれる富農の保有地を又小作す ることで生計が成り立つ。従って、彼らは富農経営に包摂されることで生計を確保しており、

従属農民(prajaあるいはunder raiyat)と呼ばれた。彼らの家計においても、妻の精米収入や 富農の家での家事手伝いの報酬が生活費の不可欠の一部をなす。彼らは、自給用の夏米、食用 油、豆類、野菜などを作るが、販売用の冬米を栽培する水田を得ることは殆ど出来ない。既に 当時から、又小作地では折半刈分制度(adhi)が導入されていたことは、刈分小作の展開の重 要なメカニズムとして注目される。

(13)

3.2.2.自立小農の家計

自立小農は地主から家族の生計をちょうど維持しうるほどの農地を借地する存在である。ベ ンガル農業社会の中核をなす層であると考えられるが、利用可能な史料によれば、18世紀後 半には、彼らは農民人口の20~30%弱を占めるに過ぎなかった。彼らは犂と牛2頭を所有し、

家族労働を基本とした営農を行うが、大量の労働力を集中的に投入しなくてはならない田植や 収穫においては、相互扶助的な共同作業を行ったと考えられる20)。彼らの農地の地代はムガ ル時代に設定された標準地代率表(nirikh)に基づき決定され、各種の付加税・付加徴収も負 担した。自給用の夏米と販売用の冬米を作り、生活に不可欠な食用油(菜種油)や豆類、そし て、野菜などを宅地の周囲で栽培した。彼らの最大の支出は、地代支払いであった。

3.2.3.富農経営

18世紀後半の混乱期に急速に成長した富農層は、農村人口の20%弱を占め、先述の4ヶ村 に関して言えば、農地の60~76%という圧倒的な部分を保有するに至っていた。

富農は、様々な手段を用いて拡大した保有地の内で、自作可能な範囲を超えた部分を近隣の 農民たちに又小作させた。これらの又小作地では折半刈分制が導入されることが多く、そのよ うな小作人は折半小作人(adhiyar)と呼ばれた。富農は小作地の収穫物を家の中庭まで運ば せ、そこで折半した。その際に、従属農民が富農から負債を負っている場合にはその倍量をま ず収穫物から取り除いて返済させ、さらにビショリ(富農が刈分小作に出した土地に対して地 主に支払う地代及びその他の諸経費に充当される生産物の一定割合)が差し引かれ、最後に残っ た作物が富農と刈分小作人との間で折半された。富農は村内の最上地をしばしば低い地代率で 享受し、そこに、販売用の冬米を中心に栽培し、更に自給用の夏米、菜種、豆類、果樹、野 菜、その他多様な作物を作った。村内の土地に加えて、広大な土地を村域の外に持つ富農も存 在した21)。この様な土地は独立保有地(huzuri jot)と呼ばれ、村役人や村長の管轄外となり、

村へ課される諸課徴を免除される。その様な土地を持つ有力富農は独立ジョトダール(huzuri jotdar)と呼ばれた22)

富農は、農村地帯の人口の半分以上にも達する零細な過小農民と農業労働者を自分の保有地 で働かせていた。先述の如く、この様な過小農民、労働者の生計は、富農を中心とした農業生 産システムつまり富農経営に包摂されていたのである。

4.ベンガル北部農村の階層分析(二):現代バングラデシュ

本節では、現地調査で収集したデータに基づいて、現代バングラデシュにおける農家経営の 階層構造を考察しよう。

(14)

4.1.フィールド

現地調査は、1983年と85年に半年づつバングラデシュ北部ラングプル県Badarganj郡の一 つの村に住み込んで行った。この村に到達するには最寄りのバス停留所から自転車で小一時間 かかる。当時はまだ電気がなく、未舗装の村道を自動車が通ることは滅多になかった。この村

は人口約5,000名の行政村であり、20ほどの集落に分かれており、その南端の4集落を調査対

象とした。4集落には114世帯がおり、567名が住んでいた。その後1990年に同村で1ヵ月ほ どのフォローアップ調査を行い23)、さらに1995年にも短期間ではあるが同村を訪問したが、

この間に村の状況に大きな変化は見られなかった。なお、この調査村は200年ほど前にハリン トンが調査を行った村に隣接しており、両村の生態学的環境や村社会の構造などは殆ど同一と 言える。

4.2.村の社会関係

20集落はそれぞれ一つないし数個の父系集団(gushuti)を中心に構成されている。同じ一 族であっても、その内部は最貧困層(I)から富裕層(V)までに階層化している(図1)。同 一父系集団に属し、数世代を遡ればそれぞれ同一面積の相続地を与えられた諸家族が、その後、

富農、中農、小農、農業労働者などへと分化した訳である。この階層化の最も重要な契機は、

未開地の消滅という背景の中で、均分相続によって進行した土地財産の細分化であるが、それ 以外の諸要因(病気、冠婚葬祭、事業の失敗、不作、農産物価格の暴落など)もある。同じ一 族としての社会関係が存在するから、一族内における地主小作関係はドライな階級関係だけで はありえず、様々な社会的配慮が絡むことになる。

4.3.土地所有分布と階層性

調査村における聞取り調査によると、農民たちは、農業だけで小家族を維持できる最小限の 所有面積はほぼ3地方ビガ(1地方ビガ=約1.8標準ビガ=約0.6エーカー)であると考えて いる24)。これを基準として、この村の住民を、土地なし、あるいは、ほぼ土地なし層(0~1地 方ビガ)、 過小農(1~3地方ビガ)、 自立小農(3~6地方ビガ)、 中農(6~12地方ビガ)、 富農

(12~地方ビガ)という5階層に分け、それぞれ、第1階層(G-Ia、G-Ib)、第II階層(G-II), 第III階層(G-III)、第IV階層(G-IV)、第V階層(G-V)とする。注意を要するのは、これは 経営面積(operated area)ではなく所有面積(owned area)による分類であることである。所 有規模による分類の方が、経営規模による分類よりも、農民諸家族の様々な特性(例えば、経 営・費用構造、農業収益、職業や教育など)とより強い相関を持ち、従って、農家の階層的特 徴をよりよく捉えていると判断されるからである。この基準による調査村の階層分布は表3に

(15)

与えられている。

4.4.階層別農家経営のパターン 4.4.1.階層性と兼業構造

バングラデシュの農民は農業以外の多様な兼業を行うが、表4に見られる様に、階層により 兼業の職種が明確に異なる。低階層(G-I)は、農業賃労働を主とし、その他には、ムリ25)製 造、精米業、各種零細商業、大工、鍛冶屋など肉体労働を基調にした兼業を行い、上層(G-IV、 G-V)は、教師、精米工場経営、投機、金貸し、軍人、医者など資本、知識、資格、情報など を基調にした兼業を行った。

4.4.2.各階層の農家経営

表5は、刈分小作地(借入れ、貸出し)、作付け率、地代負担(地代収入)、耕作費用、農業 余剰、賃金収入、農外所得などを階層別に示している。表6は、耕作費用の諸項目(賃金、化 学肥料、賃耕、灌漑、飼料など)を階層別に示したものである。標本数が小さく、そのために 偏った数字が出てしまった部分(G-II)もあるが、全体としては、これらの表から明確に農業 経営と生産費用構造における階層による違いが読み取れる。以下、各階層について、農業経営 と家計の特徴を示すことにしたい。

なお、現地調査においては、まず、調査地域内のあらゆる家族の全ての構成員の詳細な聞 取り調査(Family Census: FC)と、あらゆる作物についての収量と労働投入量、肥料投入量、

耕耘回数、輪作などの聞取り調査(Agricultural Production Survey:APS)を行い、各世帯と 農業に関する基礎情報を収集した。その後に、農家経営データを収集するために、調査地域の 全世帯を対象とした予備的な悉皆生計調査(Rural Household Survey:RHS)を実施して諸経 営階層の大まかな分布を把握し、次いで、この情報に基づいて各階層から6世帯づつを選び、

より詳しい層別農家経営調査(Stratified Rural Management Survey:SRMS)を実施するとい う2ステップの調査を行った。表5と表6は、このSRMSデータに基づいて作成されたもの である。

I階層(0 ≤ G-I<1 地方ビガ):土地なし農業労働者および零細農

この階層は村内の最貧層である。1983年のデータでは、実に世帯数の51%、人口の41%を 占める。この層には土地なし労働者G-Ia(71%)と零細農民G-Ib(29%)とが含まれる。土地 なし労働者の55%は純農業労働者であり、また、零細農民の69%は農業賃労働を兼業してい るから、結局、この層の80%の世帯は賃労働に従事していることになる。詳しい兼業構造は 図3に与えられている。

土地なし労働者世帯について考察しよう。彼らは殆どすべて核家族タイプである。平均家

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