地域在住外国人 に対する日本語ボランティアの養成シラバス

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地域在住外国人 に対する日本語ボランティアの養成シラバス

深澤 のぞみ 。中河和子 0 松 岡裕見子

A Training Syllabus of Japanese Language Volllllteers for Foreign Residents

FUKASAWA Nozomi,NAKAGAWA Kazuko,MATSUOKA Yumiko

要  旨

現在 日本には,全 人 口の1.5%程度を占める外国人が居住 し,中 長期の滞在をす る場合が多 くな ってきている。

外国人の 日本語習得を支援す る活動の担い手 とみなされているのは, 日本人の日本語 ボランテ ィアである。 日本語 ボランティアは,活 動開始前 に日本語ボランティア養成講座を受講することが多いが,そ の講座内容については, 具体的な項 目が確立 していないばか りか,体 系的な調査研究 もあま り行われていない。 日本語支援 を受ける対象 も 活動の担い手 も多様で, 日本語支援活動その ものの理念や方法論が必ず しも確立 していないか らである。

本稿では, 日本語 ボランテ ィア養成について概観 した上で,筆 者 らの居住地富山県 に適合する日本語ボランテ ィ ア養成 に 「多文化共生意識の醸成」「共生 日本語の使い手 となる」「生活密着型 日本語が提示できる」 という3つ の 基本概念の柱を設定 し,そ れを基に した具体的なシラバスモデルを提示す る。 これは他地域への応用 も可能だと考 える。

【 キー ワー ド】地域在住外国人, 日本語支援, 日本語ボランティア,「相互学習型」 日本語支援活動,共 生 日本語

1 問 題 の 所 在

日本 には現在,全 人 口の約 1.5%を占め る192万人近 い外 国人 が居住 してい る。 ここ数年,急 激 に増加 してい ると言 われている ① 。 国籍別では,特 別永住者 である韓国 0朝 鮮籍 を除 くと,プ ラジル,中 国, フィ リピンな どが上位 を占め,工 業地域 での労働 に従事 した り, 日本人の配偶者 と して滞在 しているこ とが多 い。全 国的 に見れば,外 国人 は東京や大阪,愛 知 な どの大都市 に集 中 していて,そ の他 の中規模 以下 の地域 につ いては,外 国人 の比率 や国籍 な どの地域差が大 きい ことが特徴 であ る。

日本 に居住す る外国人が 日本で生活 してい く際 には , 日本語 の習得 が大 きな意味を持う。特 に,外 国 人が 日本 における中長期 の滞在 を予定 している場合,来 日前 や直後か らの十分 な 日本語習得 の機会 が準 備 されているのが理想的であるが,実 際 には必ず しもそ うではな く,た いていの場合 には,居 住地域 で の 日本語支援が必要 とな る②。

現在,地 域 での 日本語支援活動 を担 っているのは,主 に地域 の 日本語 ボラ ンテ ィアであ り, この 日本

語 ボラ ンテ ィアが,実 際 に各地域 で さまざまな 日本語支援活動 を行 うてい る。地域 の 日本語 ボラ ンテ ィ

アは,い わゆ る日本語教育 な どにつ いての十分 な専 門知識 は持 たない こともあ り,活 動 開始前 に,地 方

自治体 な どが主催す る日本語 ボラ ンテ ィア養成講座 な どの受講 を経 ていることが多 い。 しか し,対 象 と

な る外国人の国籍 や在留資格,そ して生活の状況 な どの背景が多様 であるために, 日本語支援活動 の内

容 その ものが多様 で,か つ,方 針や方法 な どが必ず しも確立 していないため, 日本語支援活動 を担 う日

本語 ボラ ンテ ィア養成講座 の内容 について も,ま だよ く検討 されていない というのが現状である。 日本

語 ボラ ンテ ィア とは どのよ うな ことをす るのか,そ の養成 のために必要 な習得事項 は何 か,地 域 の特性

に適合 した 日本語 ボラ ンテ ィアの形 は どの よ うな ものかな どを十分 に検討 し,「養成講座」 とい う名 に

応、さわ しく,講 座終了後 には受講者 が 日本語 ボラ ンテ ィア と して,あ る程度 自立的な活動 がで きるよ う

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な内容を備えることが必要だと思われる。 ところが,こ れまでに,各 地で開催 されてきた日本語ボラン ティア養成講座の多 くは,専 門家 としての 日本語教師③を養成するような内容であった り,逆 に,現 場 では実際にあまり役立たないような教養講座的な ものであった りして,養 成講座の目標設定には困難が 伴 っていた。

そこで本稿では,外 国人 に対する日本語ボランティア養成講座の習得 目標を定めた上で, 日本語ボラ ンティアが活動する際に使用す るスキルを提示 し,養 成講座のシラバス作成のために必要な要素を検討 する。そのために, これまでの先行研究や各地での試みを考察 して,そ の結果をもとに,富 山県のよう な地域 に遮、さわ しい日本語ボランティア養成講座の シラバスモデルを提示する。

2 地 域 の 日本語 支援 と日本語 ボ ラ ンテ ィア養成 2.1 地 域 の 日本語 支援 に関す る先行研 究

日本 における地域の 日本語支援は,1970年 代後半か ら80年代にかけて,中 国帰国者やイン ドシナ難民      ̀ に対するものが行われるようになった頃か ら始 まり,そ の後,地 域の居住外国人が増えるに伴い,徐 々

に盛んになってきている。その内容は,外 国人の国籍や在留資格,滞 在年数などによって様 々なため,       l 多岐にわたっている。

そこでまず,本 稿では 日本語支援 とはどのような ものなのかについて検討す る。 これまでに,尾 崎      ( (2004)が, 日本語教育を,教 育の内容や教授者および学習者の条件か ら類型化 し,山 田 (2000)が持

つべき機能の面か ら2つ のタイプの日本語教育の必要性 と,そ れぞれを独立 して実施すべきだとの提案 を している。そこで,尾 崎の 「学校型」 と 「 地域型」 という分類,そ して,山 田の 「相互学習」 と 「補 償教育」 という概念を軸 に,考 察を進めてい く。

2.1.1 「 学 校 型 」 と 「地 域 型 」

尾崎 は, 日本語教育全般 を大 き く 「学校型」 と 「地域型」 の 2つ に分類 し,外 国人 のための 日本語 の 支援 につ いての特徴 を整理 ・分析 している。

まず,「学校型」 は 日本語教育機 関な どで提供 されている 日本語教育活動 の ことであ り, 日本語 を専 門的に 1つ の言語体系 と して整理 し,構 造 と運用 を段階的に指導 してい くことのが特徴である。学校 の 教室では,一 定 の資格 を持つ教師が学習者 に対 して授業 を行 う。学習者 の方 も,通 常 は,受 講要件 が満

た されていることが必要 で,出 席 や学習への努力 も求 め られ る。

それ に対 して 「地域型」 は, 日本語 ボラ ンテ ィアが公民館 の一室な どで,地 域 の情報 や生活 に密着 し た内容 の 日本語 に関す る支援 をす る活動 の ことである。必ず しもその内容が 日本語の文型な どを意識 し た ものであ る必要 はな く,教 授者 も教師の資格 を持 たないボラ ンテ ィアが担 うことが多 い。学習者 の方

も,国 籍 や在留資格,滞 在年数, 日本語学習 の 目的な ど,実 に多様 であ り,ま た,「学校型」 の教室 の ように出席 も義務 ではない3

「 地域型」 の中には,さ らに尾崎の言 う 「学校型」 と 「地域型」 の特徴 が混 ざった 「疑似学校型 日本 語教室」 もあ る。 「 地域」 で行 われ,地 域 の在住外 国人 を対象 に している 日本語支援 だが,地 方 自治体 な どが, 日本語教師 としての資格 を持つ人や 自治体主催 の養成講座 な どを修了 した人 に,あ る程度 の謝 金 を支払 い, 日本語教室 を開いている ものである。

2.1.2 「 相 互 学 習 」 と 「補 償 教 育 」

山田によると,地 域 で行 われ る日本語 の教育 には, 2つ の形態 0機 能 を持つ ものが必要 だ とい う。

その 1つ は,「相互学習」 と しての 日本語教育 であ る。現在 の 日本 は,外 国人 の居住者 が増え続 けて

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お り,好 む と好 まざるとにかかわ らず,多 文化共生社会 の実現が求 め られ るようにな っている。 そのた めには,外 国人 の側 だけが 日本語 や 日本 の習慣 を学ぶのではな く, 日本人 の側 も,多 文化社会 の性質 や 問題 の解決法,そ して媒介語 としての 日本語 を使 って コ ミュニケ ー シ ョンできるような能力を身 につ け ることが必要 とな って くる。 そ こで,地 域 で 日本人 と外 国人が共 に 日本語 を用 いなが ら学 び合 う活動 を しよ うとす るのが,「相互学習」 としての 日本語教育である。

また, 日本 は 「人権 に関す る国際規約」 を批准 してお り,外 国人 も国籍 によって差別 を受 けることな く,行 政サー ビスを受 けた り自己実現がで きた りす る社会 に していかなければな らない。 しか し,現 実 には,行 政 や教育 の場 な どにおいては,多 言語化 はほ とん ど進 んでお らず,そ の代償 と して,公 的な 日 本語教育 を受 け られ るようなサー ビスを提供すべ きであ る。 これが 「 補償教育」 と しての 日本語教育 で

ある。

現在 の 日本 で行 われてい る 日本語支援活動 は,「補償教育」 と しての 日本語教育 の役割 を担 ってい る ものが多 いが,山 田は,「補償教育」 と しての 日本語教育 は,本 来 な ら行政 が専 門家 による公 的な 日本 語教育 の場 を責任 もって提供すべ きであ り,ボ ラ ンテ ィアに委 ね るべ きものではない と強調 している。

2.2 地 域 にお ける 日本語支援 活動 の現 状

現在, 日本で行われている地域の 日本語支援を前節の 2つ の観点か ら見てみると,次 のようなことが 言える。

日本 に在住す る外国人には,中 国帰国者やイン ドシナ難民のように,来 日当初は国費で専門家による 日本語教育が提供 されているようなケースもあるし,ま た,留 学生など教育機関で専門家による日本語 教育を受けることができる場合 もある。 この場合 は,「補償教育」 としての 日本語教育が公的な責任で 行われてお り,内 容 としては 「 学校型」の特徴を もった教育が行われることが多い。期間が十分である かどうかは議論が分かれるところではあるが,あ る一定期間教育を受けた後で,社 会に出る。社会に出 た後に必要 とされる地域での 日本語支援は,各 地域に密着 した内容であった り,あ るいは,相 互交流に 重点を置いた 「 相互学習」的な内容であった りす る。

一方, 日本語教育の機会が公的に準備されていないグループには, 日系人労働者や国際結婚の配偶者 などがいて,来 日後,す ぐに社会での活動を始める。 日本語の公的な教育の機会が提供 されないため,

日常の生活に必要な 日本語を習得す る目的で,地 域の日本語教室で行われる支援を受けるか,「疑似学 校型 日本語教室」 に通 うことになる。 このような場合には,「補償教育」 としての内容が求め られる。

本来な ら,行 政や専門家による日本語教育が行われるのが理想であるが, 日本語ボランティアが,多 様 な背景や 目的を持つ地域外国人を対象に開設 している日本語教室で,「補償教育」の内容を担 っている ことが多い。 このような場所で実施 されている日本語支援では,対 象の学習者の多様 さゆえ,「学校型」

の 「 文型積み上げ式」の授業をすることはほぼ不可能であ り,か つ有益でないことが普通である。 しか し,一 部の外国人か らはそれを期待 され,ま た相互交流を期待する外国人 もいて,き わめて難 しい運営 が求め られていることもあるのが現状である。

最近では,「相互学習型」の 日本語支援活動 も試み られるようになってきている。「相互学習型」の活

動では日本人 と外国人が ともに媒介語 としての 日本語でのコ ミュニケーションを学び合 うことが重要な

要素であるが,岡 崎 (2000など)は ,こ の媒介語 としての日本語を 「共生 日本語」 と呼び, 日本語教育

の中で実現 してい くべきだとの提唱をしている。また,土 屋 ら (2003)は,地 域の日本語支援活動では,

自己表現型の話題重視のシラバスを用いて, 日本人 と外国人 との対話をする中か ら,互 いの対等な関係

性が生 まれ,相 手 に対す る理解や 日本語でのコ ミュニケーションカを促進することができると述べてい

る。 さらに,新 矢 (2005)は,現 在よく行われている日本語を教えるタイプの地域の日本語支援活動は,

日本人 と外国人,あ るいは外国人同士, 日本人ボランティア同士の非対称な関係性が固定化 されて しま

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う場合があることを指摘 し,地 域での 日本語支援活動の目的は,多 文化共生のコミュニティ作 りと位置 づけるべきだと強調 している。

しか し,前 述 したように 「補償教育」 としての 日本語教育が十分行われていない状況で,「相互学習 型」 の 日本語支援活動 に参加する外国人が,「学校型」の日本語指導を求めることがあった り,ま た, 関わっている日本語ボランティアも, 日本語教師 としての活動を望むといった目的のズレも生 じている。

さらに,地 域によって,在 住外国人の割合や性質が多様なために,求 められる日本語支援活動 も様々で あること,関 わる日本語 ボランティアの背景 も多様であることなどか ら,問 題の単純な一般化をするこ ともできない。課題が多 く残 されたままである。

2.3 地 域 の 日本語 ボ ラ ンテ ィア養成

現在,地 域の 日本語支援活動の重要な部分を担 うのは地域の日本語ボランティアであるとされている ため, 自治体などが中心 となって 日本語ボランティアの養成講座が開かれることが多い。地域の日本語 ボランティア養成のために講座が実施 されるようになったのは,1980年 代初めである0。 地域に長期間 滞在する外国人が増え, 日本語 ボランティアが 日本語教室などを開 くことが増えてきたため, 日本語ボ ランティアに求め られる活動の多様性 に対応できる人材が必要 となってきたか らである。 しか し:前 節 で も述べたように, 日本語支援活動の理念や方法その ものが,対 象者や活動内容そ して担い手が多様な ために確立できていないという問題があ り,そ れとともに,養 成講座の実施の理念や内容についての議 論がまだあま り深め られていないというのが現状である。  1

米勢 ら (2005)は,あ る地方で1991年か ら開設 されてきた養成講座の変遷を次のように述べている。

開設当初は,大 学教員が大学で教えるような日本語教育や日本語学関連の内容を市民向けに授業を行 っ てきたが,や がて, 日本語 ボランティアの教室に求め られている日本語の授業に対応できるように,ボ ランティア経験者 も加わって, 日本語の教科書の教え方を扱 うようになった。いわば, 日本語教師を養 成す るための講座のダイジェス ト版のような性質の ものであった。 しか し, 日本語教師養成講座が育て るのは,「学校型」の 日本語教育を担 うことができる人材であ り,在 住外国人の多様なニァズには必ず しも対応 しきれないことがわか ってきた。そこで,2000年 頃か らは,教 科書の教え方中心の講座内容を やめて,地 域の日本語支援活動の特徴を踏 まえた知識や実践を取 り入れた内容で実施す るようにな って いった。2002年には,講 座名か ら 「養成」が消えたことも特筆すべきことであろう。多文化共生社会を 目指 した内容を意識 し,受 講者が 一方的に 「養成 してもらう」のではな く,受 講者自身が主体的に講座 に関わるという理念が反映 されているのである。

この変遷 には, 日本における地域の 日本語支援活動 と, 日本語 ボランティア養成講座の理念の移 り変 わ りがよ く現れている。現実に各地で行われている日本語ボランティア養成講座は,そ の地域の事情に よって,依 然 として 日本語教師養成講座のダイジェス ト版タイプの もの も多いが,地 域の 日本語支援 に 特有な要素を取 り入れたタイプの もの も次第に増えてきているものと思われる。

2.4 地 域 日本語 支援 活動 と日本語 ボ ラ ンテ ィア養成講座 の課題

ここまで,地 域の 日本語支援活動や 日本語 ボランティア養成講座の変遷や現状をまとめてきたが,決 して, この 2つ はその方法論が確立 した訳ではな く,ま だなお,課 題が残 っている ⑥。

地域の日本語支援活動の目的は,本 来,多 文化共生社会実現のための外国人 と日本人双方の相互学習

であるという考え方が広が りつつあるが,現 実 には,「補償教育」 としての 日本語を学ぶ場が十分 に提

供 されていないために,地 域の 日本語支援活動の場 にそれが求め られることが多いままである。元来は

行政や専門家が責任を もって担 うべきことまで, 日本語ボランティアに委ね られていることがある。そ

れゆえ,外 国人のニーズと実際の講座で行われる内容 とが噛み合ないまま進め られていることがある。

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日本語 ボラ ンテ ィアの側 か ら見 る と, 日本語教師 と しての教育 を受 けて いな いに もかかわ らず,「学 校型」 の 日本語指導 を行 わなければな らないために,い つ も無力感か ら逃 れ られなか った り, 日本語 ボ ラ ンテ ィアの中で も, 日本語教育 の知識 を持つ メ ンバー との間で活動のためのスキルに格差ができて し ま らた りす るな どの問題 が ある。 一方で,「 日本語教師」 として活動 したいと考えている日本語 ボラン テ ィアに とっては,「相互学習型」 の 日本語支援活動 は,想 定 していた内容 と違 うとい う失望感 を持つ こともある。

このように,地 域在住 の外 国人 の側か らも, 日本語 ボランテ ィアの側か らも,ニ ーズや抱 いていたイ メー ジの食 い違 いが よ く起 こっていることは,重 視すべ きである。

次章 では,先 進的な試 みを している地域 や,富 山県 と比較的似 た状況 にある地域 の実態 を調査 した結 果報告 を し,考 察 を加 え る。

3 地 域の日本語支援や 日本語ボランテ ィア養成の事例調査 3.1 事例1‑愛 知県

3.1.1 愛知県の外国人状況

平成 17年末現在,愛 知県 内の外国人登 録者 数 は197,651人で あ る。 県 内総 人 口 に 占め る割合 は2.7%で ,年 々増加 して いる。 国籍別 内訳 を見 ると,ブ ラジル国 籍 が71,731人で,全 体 の36%を 占めてい る。 これ らブラジル人 の多 くは仕事 を求 めて 日本へ来 てお り,豊 橋市,豊 田市, 岡崎市等で,工 場労働 に当たる者が多い。

愛知県の中で特 にボラ ンテ ィアによる日 本語支援 が必要 とされているのは, こ の よ うなプラジル人 を始 め とす る労働者 と その家族である。 もともとは出稼 ぎが多 か ったが,近 年,定 住者 が増 え る傾 向に あ り,一 層,日 本語支援の必要性が高まっ ている。

3.1.2 日本語 ボ ラ ンテ ィアの育成 財団法人愛知県国際交流協会 (以下, AIA)で は,年 に 1回 「日本語 ボラ ン ティア入門ゼ ミナール」を開催 し, 日本 語ボランティアの育成に当たっている。

この講座は,旧 来型の教科書の教え方を 教えるものではな く,地 域の外国人の実 態に目を向けさせ,活 動の第一歩を踏み 出させ ることを目的 としている。そのた

め,地 域 のボラ ンテ ィア教室の見学,ボ ラ ンテ ィアを行 う上 での心構 え ・具体 的な ノウハ ウ等 が盛 り込 まれている。表 1に ,平 成17年度 日本語 ボラ ンテ ィア入 門ゼ ミナールの シラバ スを示す。

講座終了後 は,実 践 の場 と して 「あいち国際 プラザ にほん語教室」 が用意 されている。 ここには約70 人 のボラ ンテ ィアが所属 してお り,そ の一部 のボラ ンテ ィアによる自主運営で成 っている。活動 は 「学

表 l   A I A   平 成1 7 年度 日本語 ボラ ンテ ィア 入 門ゼ ミナールの シラバ ス

1 回 9/3 地域の 日本人 と日本語学習者の状況

2 回

9//10 地域 に暮 らす外国人 の現状

3 回

9//17 子 どもたちの未来 を考 え る

4 回

9//24 日本語 を どう教え るか

5 回

10ノ /′ 1

日本語 は どんな ことばか

6 回 10//8 コ ミュニケー シ ョン能力 とは何か 7 回 10//15 日本語ボランティア活動理解

8 回 1 0/ /1 6  (日)

‑2 8  (当≧)

日本語教室見学

・期間内に地域の 日本語教室を見学

9 回 10ノ/29 〈シミュレーション〉

・日本語教室を作 ってみよう

10[コ 11//5 〈シ ミュレーション〉

・日本語教室を作 ってみよう

11[コ

11//8 12 15

火 土 火

リソースルーム

・期間内にあいち国際 プラザ 日本語 教育 リソースルームの資料 を活用

した教室活動案 12睡 コ 11//19 地域 の 日本語教室の役割

: あ いち国際 プラザ

: 毎週土 曜 日14:00〜 16:00 総時間4 4 時間

所 間 回

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校型」の授業 に近 いものが多いが,あ くまで も外国人学習者の希望を重視 して決定 している。形態は, ボランティアと外国人が 1対 多のものか ら1対 1の ものまであり,活 動内容 も形態 も実に様々である。

AIAが 教室を設置 した 目的は,こ こで経験を積んだボランティアが自分の生活する各地域でボラン ティアグループを立 ち上げ,そ の結果,全 県にボランティア教室が設置されることであった。 しか し現 実には,地 域での一か らのグループ立ち上げには困難が伴 うようで,現 在までに当教室の出身者がグルー プを立 ち上げた事例は,あ まり多 くないということであった。

愛知県内の 日本語教室は,民 間主体 0地 方 自治体主体のものを合わせて70余りあるが,外 国人が一定 人数いて も,教 室がない地域 も少な くない。そこで,AIAは そのような地域の自治体に働きかけ,「 日 本語 ボランティア入門ゼ ミナール」の出張講座を行 っている。その結果,今 まで日本語ボランティア教 室がなか った地域 にボランティアグループが立 ち上が ったとい う実績が数件ある。AIAで は, これ ら のグループが継続するためのアフターケアを,今 後の課題 ととらえている。

なお,平 成17年度に新たに 「日本語ボランティアステ'プ アップゼ ミナール」を開催 し,現 ボランティ アのフォローア ップを図 ったが,現 場によって求められる人材が異なるため,講 座のね らいもまだ十分 に練 られてお らず,試 行錯誤の段階だということである。

3.1。 3 日 本語 ボ ラ ンテ ィア による 日本語支援活動 の実際

次 に,筆 者 らは,ブ ラジル人集住地区である名古屋市九番 団地 と豊 田市保見 ヶ丘団地で行われている 日本語教室を調査 した。その様子を以下に簡単に紹介する。

いずれの教室 も,週 末 に 1回 2時 間程度開催 され,ボ ランティアによる自主運営が行われている。九 番団地 日本語教室は団地外のボランテ ィアが運営の中心 とな り,「相互学習型」の理念 に基づいて教室 運営を行 っている。そ して,元 学習者だった 日系 プラジル人やプラジル人留学生が運営に大 き く関わっ ているのが特徴である。前出の理念をボランティアに浸透 させることの困難 さが窺われた り,現 実的な 問題か ら,活 動形態の一部 に 「 学校型」のような教授関係が見 られることもある。 しか し中心を担 うボ ランテ ィアの理念は確固としてお り,ま た多 くのボランティアは同 じ地域住民 として外国人 と向き合 っ ている。その現れとして,例 えば,外 国人が教える側に立つポル トガル語教室,プ ラジル料理教室等が, 活動の中に組み込まれている。

保見 ヶ丘団地 日本語教室は,団 地内の住民が中心 とな り,そ れに日本語教育の専門家が加わ って運営 を担 っている。 こちらも多文化共生社会の拠点を目指 した 「 相互学習型」の教室であるが,専 門家がボ ランティアとして参加 しているため, シラバスや活動の進め方等の活動形態が整備 されている。また活 動の様子か ら,「 相互学習型」の理念がボランティアに浸透 している様子が窺える。

いずれの教室にも共通 しているのは,ボ ランティアと外国人が同 じ輪の中に隣 り合 って座 り,ボ ラン テ ィアなのか外国人なのか言葉を聞 くまで区別がつかないことさえあるということだ。「学校型」の授 業 とは極めて対照的 と言えよう。 またそこでは複数の媒介語がごく当た り前に使用 され,そ れによって

よ リスムーズなコ ミュニケーションが成立 していた。

3.2 事 例 2‑島 根県

3.2.1 島 根県 の外 国人状 況 ―富 山県 との比較 か ら一

島根県の平成16年の外国人登録者数は5,810人で県人 口749,157人 の0,78%に なる。 これは,全 国の外 国人人 口比率の1.5%(平 成15年)の 約半分だが,年 々の増加率 は高 く10年前の平成 6年 (2,689人 )と 比べ ると,216%で ,増 加の一途を辿 っていることが分かる。なお, これは後述す るように,富 山県 に

も見 られる現象であ り,富 山県で も, ここ10年に約 5割 増加 している。

国籍別 にみると島根県の場合,中 国2,158人 (構成比37%), フ ィリピン1,146人 (20%)韓 国 ・朝鮮

988人 (17%)プ ラジル723人 (12%)で , これ らで外国人登録者数全体の 8割 以上を占める。在留資格

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か らみる特徴 は,「 日本人の配偶者」「特定活動」 (技能実習生)「興行」 (エンターテイナ ー),定 住者 (日系人)が 大幅に増加 していることである。 これ らのことか ら,財 団法人 しまね国際セ ンタ ー (以下, SIC)職 員の仙田武司氏は,島 根県の外国人状況増加状況の背景を,中 山間地域の嫁不足や若年労働者 の人 日の減少,外 国人労働者 に頼 らなければな らない産業構造 にあると指摘す る (仙田2002)。島根県 は 「 老年人 口割合」が26。 7%で , 日本一の高齢県 と言われている。 よって, このような外国人状況 は今 後 も持続 ・増加す ると考え られる。

外国人増加率が高いこと,増 加の背景 に郡部での嫁不足や,外 国人労働者 に頼 らなければな らない産 業構造があること等,富 山県 と比較的類似 した外国人状況があると考える。島根県は富山県 と似た構造 を持 っているが,外 国人数や外国人集住地区の少なさ等,問 題の深刻 さは富山県をは じめ他県よ り比較 的小 さいと考え られる。 しか し,外 国人 日本語支援 に関 しては,「問題が顕在化す る前 に,先 進的な取 り組みを行 っている県」 (2005年10月2日 ,保 見 ヶ丘教室米勢治子氏イ ンタ ビュー)の 好例であろう。

県 レベルの行政機関 (県国際課 とSIC)が 主体 にな って, 日本語教育の専門家やボランテ ィアと連携 し なが ら,先 進的な試みを平成14年度 より行 っている。 これが,島 根県を視察場所に選んだ所以である。

3.2.2 地域 の 日本語教 室 開設支援事 業

島根県国際課では,在 住外国人を同 じ県民 として受 け入れ,共 に生 きる社会を形成 してい くための施 策展開の基礎調査 として,平 成12年11月に 『島根県在住外国人実態調査』 (20歳以上4,728人に調査票送 付。 うち1,244人 回答。)を 行 った。その結果 「多言語 による情報提供」「日本語学習の機会の提供」「相 談窓 日の設置」が急務 としてあげ られた。その内‐「日本語学習の機会」については, 日本語を学びたい とした人が74.5%に 昇 ったにもかかわ らず,実 際学ぶ場所がある人が,14.7%と 低いことが分かった。

このような状況を打開するためには,で きるだけ多 くの地域で 日本語ボランティア教室を開設するしか ないと考え,平 成14年か ら 「在住外国人支援対策事業」の一環 として 「地域の日本語教室開設支援事業」

を 3年 計画で実施 した。

この計画は平成14年度か ら16年度に12教室を各地域に新設するというものである。まず,県 東部 と西 部 に 「日本語教室 コーディネーター」を 1人 ずつ配置 して,各 地域の教室立 ち上げのサポー トを担当さ せた。 このコーディネーターは無償のボランティアではな く,国 の財源を基にした緊急地域雇用創出基 金を用 いた専門職である。 コーディネーターは日本語教師歴 と地域での長い活動のある者か ら選出され た。

この計画の もう一つの特徴 は,従 来の 「日本語 を指導す る」 タイプの 「学校型」 の 日本語 ボランテ ィ ア教室 の開設 は 目指 さず,「相互学習型」 のボラ ンテ ィア教室創 出を 目指す, とい う所 である。相互学 習型 ボラ ンテ ィア教室 は,近 年徐 々に増 えてはいるが,行 政機関が主体 とな って全県的にその創 出を企 画 した と言 うのは,筆 者 らの知 る限 りでは島根県 しかない。 この取 り組 みには,SICの 外 国人 日本語支 援専門職 のスタ ッフらの 日頃の勉強 と日本語支援活動 に対 して持 っている理念 か ら来 る先見性が,大 き な影響 を与 えていると観察 された。 また これを施策の面でバ ックア ップ した県国際課の判断 も注 目すべ きだろ う。SICで は, この相互学習型 日本語教室 の社会的役割を以下 のよ うに述べてい る。 「日本語教 室 は 日本人 か ら外国人への一方的なサー ビスの提供 ではな く,地 域社会の解放性 を高め,地 域住民の新

しい社会参加 や学習 の機会 に もな り得 るのです」 ((財 )島 根国際セ ンター 2005)。

3.2.3 日本 語教 室 開設 の実 際

ここでは,SIC職 員仙田氏, 日本語 コーディネーター宮本澄子氏,並 河裕子氏へのインタビュー,ま た教室見学を もとに して, 日本語教室開設の実際について述べる。

平成14年度か ら当該地域の行政を始めとする関係団体 と連携を取 りなが ら,ま ず各地域でボランティ

ア養成講座を行 う。 この講座は誰で も参加できるが 「終了後,実 際ボランティア活動を行 う」 ことが参

加条件 となっている。表 2に 平成15年度のシラバスを示す。

(8)

このシラバスは,従 来の日本語指導型 (「 学校型」 )の ボランティア教室のシラバスとは大き く異なる。

まず 「 教科書等を教える」「 授業運営」 という考え方はな く,代 わ りに 「内容重視の コ ミュニケーショ ン」「自分を語 ることか ら始めるコ ミュニケーション」「日本語交流活動」 という捉え方がなされている。

前述 した 「日本語教室 コーデ ィネーター」 もこのボランティア養成講座に参加 しているが,講 座の内 容には,最 初は随分 と戸惑 ったとのことである。地域の 日本語教育経験が長いとは言え,従 来の日本語 指導型に取 り組んで来たコーデ ィネーター達は,ま ず 自身の 「日本語を教える」 という枠組みを壊 さな ければな らなか ったという。 これは日本語教師 として熱心であればあるほど,実 は容易なことではない。

しか しこの養成講座を共に受けて,実 際の 日本語教室活動 に参加す るうちに,こ の 「日本語を一方的に 教 えない」 「日本語 を使 った活動 を通 して共

に学 び合 う」 ことの意味 ・効果 がだんだん分 か ってきた とい う。彼女達 コーデ ィネ早ター は,「教 え る」 とい う既成概念 を壊 した上 で, 日本語教師 と しての知見 や,長 い問 自力 で地 域 日本語教室 を持続 させて きた生 の運営術 を 生か して教室開設 ・維持 に貢献 してい く。 そ の意味で この相互学習型 日本語教室開設事業 は,従 来の地域 日本語教師の 「見識 を広 げる ための再研修」 の役割 も果 た していると観察 された。 この ことの意味 は非常 に大 きい。

ボラ ンテ ィアは養成講座受講 の後 に, コー デ ィネーターのサポー トを受 けなが ら教室の 立 ち上 げに着手す る。 この時 もSICと 当該地 域関係団体 が連携 を取 って,公 民館等 の場所 の確保 や,ボ ラ ンテ ィアや コーデ ィネーター の相談 にの る等の支援 をきめ細か くす る。

「日本語 を一方的 に教えない」 とい うこの

「相互学習型」 の取 り組 み は, コーデ ィネ ー ターのみな らずボランテ ィアの人たちにも色 々 な戸惑 いや困難 を もた らしてい るの も事実 で あ る。 「お しゃべ りだ け して い るよ うで空 し い」 「どうや って活動 を考 えて いけばいいの か分か らない」 な ど色 々な悩 み もある。 その 時 にコーデ ィネーターは相談 にの り,時 に養 成講座講師 に も遠方 か ら出向いて もらった り

し,様 々な対策 を提案 してい く。 ある教室 は 危機 を乗 り越え,豊 かな 「共生」 の空 間を作 り出 している し,あ る教室 は従来の教 え る形 の もの も取 り入れなが ら,試 行錯誤 を繰 り返

し取 り組んでいる,と 観察 された。

表 2 SIC 平 成15年度 日本語ボランティア 養成講座のシラバス

撻暉::

裂 :灘

1 回 国際交流の時代か ら多文化共生の時代ヘ

・同 じ地域住民 として外国人 と共に暮 らす

2 回 異文化 を 「わか る」 ための心理学 0「 ちがい」を認 める心のあ り方 とは

3 回

共 に学ぶための場づ くりのために

・創造的に,柔 軟 に,楽 しくて役 に立つ活 動 を考 え る

4回

日本語交流活動を始める前に (1)

0自分を語 ることか ら始めるコミュニケー

シ ョ ンの レ ッ ス ン

5 回

日本語交流活動 を始 め る前 に (2)

0聴 き上手 0聞 かせ上手 になるための レッ

ス ン

::欄 :魃 :鞭薫輔

1 回

外国語学習体験

・もしも知 らない国で生活す ることにな っ た ら

2 回

交流活動 の実践 (1)

・ 「出会 い」を演出す る

3回 交流活動 の実践 (2)

・ 「内容」重視 の コ ミュニケー シ ョン

4 回 交流活動 の実践 (3)

・共 同作業を通 して学ぶ

5 回 慮ゝりかえり

・実践を通 して感 じたことを語 り合おう

時 間 :毎週月曜 日19:30〜 21:30

(9)

3.3 事 例3‑新 潟 県

3.3.1 新 潟 県 の外 国人 状 況

新潟県の平成15年の外国人登録者数は,14,031人で県人 口2,445,741人 の0.57%と全国平均に比べ低い が,ほ ぼ毎年増加を続 けている。国籍別にみると,中 国 (構成比32%),フ ィリピン (18%),韓 国 ・朝 鮮 (17%),ブ ラジル (10%)と な ってお り,中 国, フィリピン国籍者の割合が全国に比べて高いこと が特徴 としてあげられる。 また新潟市には中国か らの帰国者が全国的に見て も多い。

3.3.2 新 潟 ヤポ ニ カの活動 ―地 方 にお ける先進 的な取 り組 み

日本語ボランティア教室は,従 来か らの ものがい くつ もあるが,今 回の視察は,後 述す るように,他 地域であまり例を見ない先進的な取 り組みを している新潟ヤポニカの 日本語教室見学を中心 に行 らた。

新潟ヤポニカは,平 成 8年 10月に地域で長 く日本語教育 に携わってきた細細憲子氏 と新潟大学国際セ ンター教員の足立祐子氏 とが立ち上げ,会 員数は平成16年度時点で25名である。設立の趣 旨は 「①外国 人は日本人か ら, 日本人は外国人か らあるいは他の人か ら相互的に学び合 う。(相互理解を目的 とす る)

②週 1回 の 日本語教室の継続, 日本人,外 国人を問わず 日本語教室の指導者を育成する機会を持つ,異 文化を理解す る勉強の機会 と交流を持つ。③新潟市内に住む外国人子女の 日本語学習支援をす る」等で

ある。

新潟ヤポニカの 日本語教室は,設 立当初は, 日本語を教えず,外 国人 。日本人が対等の関係性の中で, 交流活動を通 してお互い学び合 うことを中心 に教室を運営 して来た。 しか し外国人 0日 本人双方か ら,

もっと 「 言葉の勉強を したい」 という声があが り,交 流活動 クラスの後で,言 葉のクラスを行 ってきた。

調査時点では,お 互い学び合 う活動 と 「 言葉の勉強」 クラスの融合のような形を模索 しているのではな いかと思われた。

活動は,土 曜 日の午前中 1時 間半で,外 国人は中国人女性が多 く,そ の他,英 語教師等 も混 じってい る。

この教室の特徴は, 日本人の生活に密着 した映像を使用 して活動を行 うことである。たとえば,映 像 を使 ってのス トー リー作 りなどをす るが,そ の際, 日本人は助 けるが実質的に日本語教師的な素養がな くて も活動は可能であ り,そ の分 「 教える」 という一方的な権力構造は生 まれに くい。 また映像教材に は日本の習慣や文化その他の ものが遮ゝ んだんに入 っているので,そ れを説明する時,ま た説明を要求す る時,外 国人 0日本人相互に学び合いが起 きる。特に 「相互学習型」 は,具 体的な活動をどうす るかが 難 しい問題である。その意味で, この教室の活動は,相 互学び合いを起 こす具体的な活動方法 として可 能性があると思われた。

4 富 山県 にお ける地 域 の 日本語 支援 活動 お よび 日本 語 ポ ラ ンテ ィア養 成 4.1 富 山県 の外 国人状 況

次 に,筆 者 らが居住す る富山県の状況について概観 してみる。現在,富 山県に居住す る外国人 ①は, 平成16年 (2004年)に 13,106人 であ り,富 山県の全人 口約111万6,300人 (平成16年)の 1.2%を 占めてい

る③。国籍の内訳は,プ ラジルが4,301人 (構成比33%)で ,他 に中国4,033人 (31%),フ ィリピン1,675 人 (13%)韓 国 。朝鮮1,410人(11%)と 続 く。平成 6年 の外国人数が6,568人であったので,10年 間の う

ちに, 2倍 に増加 していることになる。

各国籍の全外国人数に占める割合を見 ると,プ ラジルの割合が最 も高 く,工 場などで働 く日系人の労 働者が多いことが推測 される。 また中国人の人数だけ見 ると,10年 間に 4倍 近 くの増加が認め られ,学 生や技術研修生だけでな く,国 際結婚 によって来 日す る人の増加 もあると思われる。 これ らは,中 長期

に渡 って居住す る可能性のある外国人が多いことを意味 してお り,富 山県内における日本語支援の必要

性が高いことがわかる。

(10)

4.2 富 山県 の地域 日本語 支援 活動

地域 に居住する外国人が 日本語を学ぶ ことができる場 としては, 日本語学校や国際交流協会などの 日 本語教室, さ らに日本語支援 グループな どがある。富山県には, 日本語学校が 2校 ,国 際交流協会が 3団 体,そ して 日本語が学べ る日本語教室や支援 グループな どが17程度 あ り,そ れぞれ活動を行 って いる(9。

富 山県で どのよ うな 日本語支援 が必要 とされているのか,こ れ までには,あ ま り体系的な調査や検討 が行 われて こなか った。 そ こで,中 河 ら (2003)は ,ま ず,富 山県の在住外 国人 に対 して, 日本語支援 のニーズに関す る調査 を実施 した。 それによると,現 在困 っていることとしては 「日本語」 を挙 げた回 答が圧倒的 に多 く,「 日本 の習慣」 や 「仕事」「日本人 の友人 がいない こと」 を大 き く引 き離 してい る。

「日本語」 が大 きい困難点 であ るのは想像 に難 くないが,興 味深 いのは, 日本語学習環境 が保証 されて い る外 国人 (大学等 の学校 で学んでいる外国人 で,以 下,「学生」 と呼ぶ)と ,保 証 されていない外国 人 (ボラ ンテ ィアによる 日本語教室等で学んでいる外 国人で,以 下,「ボラ ンテ ィア教室学習者」)と に 分類 して分析 した結果であ る。 どち らの グルー プ も,困 難点の第 1位 は,「 日本語」 であるが,第 2位 群 に挙 げているものを見 ると,学 生 は 「日本人 の友人がいない こと」 や 「日本 の習慣」 の率 が高 く,一 方,ボ ラ ンテ ィア教室学習者 は,「仕事」 や 「日本 の習慣」 の率 が高 い。 これ には,様 々な理 由が考 え

られ るが,明 日生活 してい くために 「仕事」 や 「会社や家族への適応」が, とにか く切迫 した問題 であ ると推測 され る。 さ らに,地 域 の 日本人 に期待す ることにつ いては,全 対象者 では 「いろいろな話 を し たい」 が トップに挙 が ったが,ボ ラ ンテ ィア教室学習者 の場合 は,「 いろいろな話 を したい」 とともに

「日本語 を教 えてほ しい」 が第 1位 群 を形成 した。

中河 らは,こ れ らの ことか ら,地 域外国人 の持つ困難点が 「日本語」 であるのは確 かで,そ こに集約 されが ちではあ るが,実 際 には,「 日本語 の指導」 だけが期待 されて いるのではな く,地 域 の 日本人 と の深 い接触 が求 め られてい ると してい る。 つ ま り,地 域 の 日本語支援活動 は,「学校型」 の 日本語教室 だけでな く,「相互学習型」 が求 め られているのである。

今後 は,こ れ らの結果 を基礎 に し,さ らに外国人が中長期 に渡 る居住 をす ることを見据えて,多 文化 共生社会 の実現 を 目指 した 日本語支援活動 や 日本語 ボラ ンテ ィアの養成 を行 ってい く必要がある。

4.3 財 団法人 とや ま国際セ ンター にお ける 日本語 ボ ラ ンテ ィア養成講座 での試 み 4.3.1日 本 語ポ ラ ンテ ィア養成講座 の理念

前節 に述べたような目的を持つ 日本語支援活動を実際に行 う日本語ボランティアには, どのような人 材が求め られ,そ のためにはどのような養成を していった らよいのだろうか。

第 3章 で見た各地域では,多 文化共生社会の到来に備え,試 行錯誤を しなが らも 「 相互学習型」の理 念を盛 り込んだ養成講座を行 っている。 しか しその一方で, 日本語教師を養成す るような, 日本語教科 書を用いた教え方などを含んだ内容の講座を,従 来か ら変わ らず実施 している地域 もあるし,ま た,多 様な要素がカルチ ャー講座のように並べてある講座 も見受けられる。 このような講座の受講者 は,実 際 に日本語支援のボランティア活動を行おうとして も,講 座で得た知識を役立て られないことが多い。

特 に富山地域では,大 都市圏と違 って,さ まざまな理念を もった日本語支援活動を行 う団体が数多 く あるわけで もな く,か つ養成講座 も多 く開かれているという状況ではないため,外 国人の 日本語学習者 にとって も, 日本語ボランティア志望者 にとって も,選 択肢が豊富でないことにも留意すべきである。

筆者 らは,財 団法人 とやま国際センター (以下,TIC)主 催の日本語ボランティア養成講座のコーディ

ネー トと講座担当をしているが,講 座内容を検討する際には,前 節で述べた調査結果 も踏まえ,さ らに講

座を実施するのと並行 して行 った日本語ボランティア講座受講者を対象 とした調査研究 (中河 ら2004,

2005)の結果 も考慮 して,次 のような事柄に配慮 した講座理念 ・内容にしたいと考えた (中河 ら2006)。

(11)

・前節で述べたように, 日本語の困難を解消す るような,い わゆる 「学校型」の 日本語支援 も求め られ る一方 で,外 国人 との共生社会 を 目指 した 「相互学習型」 の支援 も求 め られている。 しか し,「相互 学習型」 の活動 は,地 域 の外国人 と日本人双方 のために行 われ る ものであ るか ら,そ の理念 に加え, 地域 の外国人 の状況,在 住外国人 の思 い,そ して 日本人 ボラ ンテ ィアの活動へのニーズの 3要 素を考 慮すべ きだ。地域 の外国人 のニーズを重視す るのは当然 だが,関 わ る地域 の 日本人 ボラ ンテ ィア側 の ニーズに も注意 を払 う必要があ り, 日本語 ボランテ ィア養成講座の内容 は,そ の両者 を勘案 して決定

したほ うが現実的である。

・日本語支援活動 において,多 文化共生社会の推進を意識 した 「相互交流」の機能を重視 しつつ,外 国 人 が 「 言語習得」 が起 こっているとい う実感 を持て るよ うな内容 も,活 動への強 い参加 の動機 にな り 得 るとい う観点で必要である。

。日本人 ボランテ ィアにとって,多 文化共生を目指 した 「相互学習型」の活動は, 日標が漠然 としてい て実感 しに くい とい う問題点がある。 それを防 ぐため,養 成講座やその後の実際の活動では,何 らか のスキルを身 につ け発

揮 しているとい う達成 感 を持つ ことが,活 動 の持続 や活性化のため に不可欠 である。

・日本語 ボランテ ィアに 対 して,本 来 な ら専 門 家 としての 日本語教師 がす るような ことを, 過度 に求 め るべ きでは ない。効率 的なスキル の提示 と負担 の少 ない トレーニ ングを通 して, 地域 のボラ ンテ ィアが 持 っている知識 や経験 を最大限活かせ るよ う な活動 を したほ うが よ いのではないか。

4.3.2 日 本 語 ポ ラ ン テ ィア養成 講座 の実 際 以上の観点を実際の養 成講座の実践 にあてはめ ると,講 座 には 「 共生社 会を促進する場 となる日 本語支援活動」,「外国人 参加者の言語習得が起 こ る活動」,そ して 「日本 人 ボラ ンテ ィアがスキル 発揮の達成感がある活動」

が必要 だ とい うことにな

:  オ プシ ョン  日 本語の構造 を中心 に

図 1 日 本語 ボラ ンテ ィア養成講座 の概念図

講座 ス ター ト

♂・・■口■■●・・■■■■口●●■●●■■■■■●■■■●■●●●■●中■■■0■●●■●●■■■ロロ■■■■●■■口■●■

t r r t t a t l t l t t l r l r r r r a r t r t r r r r r r t r r r r r r r r t r r r r r r r a a r r r r r l r r r r r t r :

(12)

る。 そ こか ら,「多文化共生意識 の醸成」,「共生 日本語 の使 い手 とな る」,「生活密着型 日本語 の提供」

とい う 3つ の柱 が浮かび上 が る。

「多文化共生意識 の醸成」 では,そ れぞれの文化 や習慣,考 え方 の違 いを認識す ること,そ して,エ ポケすの態度 (判断を しない態度)で まず はそのまま受 け取 るとい う姿勢 な どを養 うことを 目的 と して いる。異質 な相手 ともうま く関係 を築 けるような関係調整能力 も発揮できるよ うにす ることも含 まれ る。

次 の 「 共生 日本語 の使 い手 とな る」 とい うのは,外 国人 と 「 相互理解 のための会話」 をす る場合,相 手 の外 国人 の 日本語力 が高 くな くて も,継続 した会話 がで きるスキルを持つ こと,す なわ ち外 国人 に伝 わ りやすい 日本語 が使え るようにな る, と い

うことで あ る ⑩ 。 これ は, 日 本語 母語 話者 な ら誰で も,わ ずかな意識化 と負担の少 ない

トレーニ ングで獲得 できるスキルである。

通常,「 学校型」 の 日本語教育 で は,実 用 をそれほ ど重視せず に,文 型 とい う観点で, 指導項 目を積 み上 げて学んでい く方法が一般 的である。それに対 して 「 生活密着型 日本語」

は,現 実 の生活の さまざまな場面で必要 とな る生 の 日本語 を取 り出 して扱 う。 これ も,地 域 の生活者 と しての 日本語 ボラ ンテ ィアな ら ではの経験が活かせ るスキルであるが,場 面 での 日本語表現 の切 り取 り方や提供 の仕方 に 関 しては,多 少 の知識 や訓練が必要 とな る。

これ らの 3つ の基本概念 を柱 とす る理念 で 講座 を実施す る際,組 み込む実際の活動 には, 次 のよ うな ものが挙 げ られ る。 3つ の基本概 念 と個 々の活動 との関係 を図 1に 示 した。

「多文化共生意識 の醸成」 のために,た と えばフォ トラ ンゲー ジのよ うに,国 際理解教 育 の手法 を用 いた外国人 と日本人が同 じ立場 で参加す る形 の活動 を行 う。 また,「 共生 日 本語 の使 い手 とな る」 ために,地 域外国人 と 実際 に対話 をす る活動 を行 う。 この中では, お互 いにわか りあえ るような 日本語 を使用 し て対話 を進 め ることが主 目的であるが,同 時 に,異 質 な ものに触 れ,通 常,な かなか知 る ことができない問題や困難 を も知 ることがで きる。 さ らに,「 生活密着型 日本語 の提供」

の訓練 として,外 国人 との対話 を通 して得 た 日本語 のニーズを理解 し,外 国人 の生活 に密 着 した 日本語 を探 した り,会 話例 を作 ること

を練習す る。 これを もとに,実 際の支援 の場 を考えて,セ ッシ ョンプラ ンを立 てて,実 行 してみ るとい う活動 を行 う。 これ らの活動 は, 3つ の柱 の どれかの要素 に焦点を当てた ものであるが,同 時 に他 の要 素 に も関連す る場合 もある し, 3つ の うち 2つ にのみ関連 が強 い場合 もある。

表 3   日 本語 ボラ ンテ ィア養成講座 の シラバ スモデル

難職華轟萎 攀彗難肇 IttI種 爾:

1 回 地域 の外国人

今,   日本語支援 に求 め られているもの 2 回 日本語 を見直す

3 回

「 伝え合 う日本語」で話す とは ? 自分を語 る/外 国人参加者を知 る (1)

対話の準備

4 回 外国人参加者を知 る (2)

「 伝え合 う日本語」を用いた対話実施

5 回 生活密着型 日本語 (1) 6 回 生活密着型 日本語 (2) 7 回 生活密着型 日本語 (3)

8 回 直接法の授業の体験 (学習者を体験する)

9 回 相互学習型のマイノ リテ ィ参加者を体験 10極コ 多文化共生 を 目指 した双方 向の学 び

船 珊諄 癬灘

1 回 生活密着型 日本語を用いた活動 とは 二入門編の復習をかねての

2 回 活動 の前 に (1)

外国人参加者 との最初の対話 3 回 活動 の前 に

セ ッシ ョ

を 考

ヽ り ″ ラ

2 プ

< ン

4 回 生活密着型 日本語 を用 いた活動 セ ッシ ョンプラ ンに基づ いて実習 5 回 活動 の後で 実 習 の フィー ドバ ック 6 回 年少者教育の現状か ら見えるもの

わた したちにできること

7 回 さまざまな交流活動 (1)

8 回 さまざまな交流活動 (2)

9 回 ボランティアグループを立ち上げるとき

シ ミ ュ レー シ ョ ン

10回 講座 を振 りかえ って

県 内のボラ ンテ ィアグループの紹介

(13)

これ らの活動の概念 を実際の シラバ スに組 み立てたのが表 3で ある。 このよ うな活動 を重ね ることで, ボラ ンテ ィア養成講座 が,机 上 の教養講座 にな らず に,比 較的負担が少 な く, しか しスキル獲得 ができ るよ うな ものになると考 えている。

4.3.3 日本 語支援 活動 へ つな げる試 み

忘れてはな らないこととして,養 成講座修了後の 日本語 ボランティアの受 け皿をどうす るかがある。

養成講座を修了 して即座に,自 分の居住地域で 日本語支援活動を始めるのは困難で,容 易に実績が作れ るわけでないことは, 3章 で述べた愛知県や島根県の例を見れば明 らかである。少 しずつ経験を積んで

「 離陸」できるような仕掛 けが必要である し,場 合 によっては行政や専門家が核 となって活動す ること が求め られるであろう。

筆者 らは,TICで の 日本語 ボランティア養成講座の修了生が参加できるように,2004年 と2005年には

「 土曜クラス」 という 「 相互学習型」の 日本語支援活動を行い,試 行錯誤なが ら 一定の効果を挙げるこ とができた。2006年にはこれが発展 した形で,外 国人集住地区の公民館で 日本語教室を開設できた。 こ こでは,TICと 日本語教育や支援の専門家が核 となって活動概要を検討 し,す でに支援活動を していた 日本語ボランティア,養 成講座の修了生などとともに日本語教室の運営 と実施を行 っている。

これは,行 政 と地域の専門家が連携 して活動す るという,理 想的な形態に多少で も近づきっつあると いう意味で,富 山県内として も,全 国的に見ても注 目すべき試みだと考える。

5 お わ りに

地域での 日本語支援活動および日本語 ボランティア養成講座を開催する場合,在 住外国人の地域特性 やニーズに焦点を当てることが最 も重要であることは疑いようもないが,そ れ と同時に,活 動の活性化 をはか り継続 させてい くためには, 日本人ボランティアのニーズや達成感にも目を向け,実 施 してい く ことが重要である。

また, 日本語支援活動のすべてをボランテイアだけで実施するのには無理があ り,や は り,行 政がす べきこと,専 門家がサポー トすべきこと,ボ ランティアがすべきこと,さ らには地域在住で既に生活の 基盤を築いている 「 先輩」外国人に協力 して もらうべきことについて,問 題を整理 し,解 決策を検討す ることが求め られる。そのことを踏 まえて, 日本語ボランティア養成講座の内容 も考えるべきである。

現在,調 査や検討を進めてきた成果 として,富 山県に適合 した形での 日本語ボランティアによる日本 語支援活動が活性化 しつつあるが,多 文化共生社会の実現 までには道の りは遠 く,様 々な試みは緒に就 いたばか りである。今後 も調査研究 と実践の継続が必要である。 また,富 山県 と同様の特徴を持つ他県 に応用できる可能性のある成果 もあると思われ,筆 者 らは広域での意見交換や連携 も視野に入れて活動 を進めたいと考えている。

付 記

本研 究 は,次 の 3つ の研究助成 を受 けて行 った もので あ る。

・ 平 成16年度地域連携 プロジェク ト事業 (学長裁量経費)「地域 日本語 ボランテ ィアを対象 と した ガイ ドブ ッ ク作成 のための調査研究」 (研究代表者 深 澤 のぞみ,共 同研究者 中 河和子 ・松 岡裕見子)

・ 平 成17年度富 山県高等教育振興財団助成事業助成 「富 山県 内の外 国人のための 日本語 ボラ ンテ ィア養成 に関 す る総合的研究」 (研究代表者 深 澤 のぞみ,共 同研究者 中 河和子 ・松 岡裕見子)

・ 平 成17年度地域連携 プロジェク ト事業 (学長裁量経費)「地域 日本語 ボランテ ィアのための コ ミュニケー シ ョ ンガイ ドの作成」 (研究代表者 深 澤 のぞみ,共 同研究者  中 河和子 ・松 岡裕見子)

また本稿 は,上 記 の富 山県高等教育振興財 団への研究報告書 『富 山県 内の外国人 のための 日本語 ボラ ンテ ィア養

成 に関す る総合 的研究』 を もとに,加 筆修正 した もので あ る。

(14)

謝辞

本研究を行 うにあた り,調 査 にご協力をいただいた財団法人 しまね国際セ ンターの担当の方 々,島 根県内のコー デ ィネータ 。ボランティアの皆様,財 団法人愛知県国際交流協会の担当の方 々,九 番団地 日本語教室 ・保見 ヶ丘団 地 日本語教室の皆様,新 潟ヤポニカの皆様,そ の他視察先でお世話 になった方々に,心 より感謝申 し上げます。

また,財 団法人とやま国際センター職員の小松清美氏,元 とやま国際センター職員上村美慎氏にも感謝いたします。

( 1 ) 法 務省入国管理局に外国人登録を した人数は,平 成15(2003)年 度には1,915:030人 であった。 この数は,平 成 1 5年末現在 に比べ63,272人(3.4パ ーセ ン ト)の 増加,10年 前 (平成 5年 末)に 比べると594,282人(45.0パ=セ

ン ト)の 増加 となっている。

( 2 ) 本 稿では,「日本語支援」 と 「日本語教育」 という言葉を用いている。原則 として,「日本語支援」は教育機関 における日本語の指導ではない, 日本語 に関す る支援活動を指 し,「 日本語教育」 は 日本語教育機関における, 専門家による日本語の指導を指 している。ただ し,引 用などとの関係で,そ れ ら両者を も含めた広い意味での 日 本語の指導を指す こともある。

G ) 本 稿では,「専門家 としての日本語教師」や 「専門家」 という用語を使用す る。専門家である日本語教師 と日 本語ボランテ ィアの違いは何かな どの議論が行われているが,定 義は必ず しも定かではない。本稿では,「 日本

語を体系的に把握 し分析す ることができ,か つ 日本語教育その ものや 日本語教育に関連する専門的な知識や経験       ̀ を持つ教師」を指す ことにする。

に) 西 尾 ら (2003)における西尾の定義による。

5 ) 西 尾 (2003)によると,社 団法人国際 日本語普及協会が,石 川県金沢市の 「金沢を世界にひらく市民の会」の 依頼を受け, 日本最初の地域の 日本語ボランティア養成講座を開催 したのが,1981年のことだ ったという。

( 0   足 立は,こ れ らの問題を,社 会 システムの側面,教 室参加者の側面,学 習者ニーズの側面,と いう3つ の面か ら,地 域 日本語支援活動の持つ矛盾を分析 している。

( η  富 山県Web サ イ トの外国人登録国籍別市町村別人員表及び外国人登録者数推移一覧による。

(http://wwwopref.toyama.jp/cms̲cat/106030/index.html)

1 8 ) 外 国人登録を した人の比率を近隣の県 と比較 してみると,新 潟県では全人 口のO.6%,石 川県は0。 7 % ,福 井県 は1. 5 %である。

( 9 ) ( 財)と やま国際セ ンターのWebサ イ トなどの情報 による。

(http://www.tic― toyama.or.jp/)

aO 言 語差によるわか りに くさをな くすため,「短い文や単文を使 う」「漢語の使い方に気をつける」「省略を避 け る」などである。 これ らは言語形式の面か ら見れば,foreigner talkの特徴 と類似 しているが,会 話の際の配慮 行動など,foreigner talkの枠組みでは語 られない特徴が多 くある。

参 考文 献

(1)足 立祐子 ・松岡洋子 (2005)「地域における共通言語学習支援 プログラム」『2005年度 日本語教育学会秋季大会 予稿集』

(D 岡 崎眸 (2000)「多言語 ・多文化共生社会を切 り開 く日本語教育」『多言語 ・多文化社会を開 く日本語教員養成 日本語教育実習を振 り返 る2000年度』お茶の水女子大学教育実習報告書編集委員会

侶)尾 崎明人 (2004)「地域型 日本語教育の方法論法論試案」『言語 と教育 一日本語 として』 くろ しお出版 に)(財 )島 根国際セ ンター編 (2004)F平 成15年度 日本語教室開設支援事業報告書』

(5)(財 )島 根国際セ ンター編 (2005)F平 成16年度 日本語教室開設支援事業報告書』

(0 新 矢麻紀子 (2005)「地域 日本語教育の功罪 とホス ト社会の変容を目指 して」『2005年度 日本語教育学会春季大 会予稿集』

仔)仙 田武司 (2002)「島根県における日本語学習支援の取 り組みについて」『日本語学』vol.2,明治書院 侶)多 文化共生キーヮー ド事典編集委員会編 (2004)『多文化キーワー ド事典』明石書店

D)土 屋千尋 ・米勢治子 (2003)「地域 日本語活動で 日本語教育の専門性はどういか されるか―相互学習の場にお ける進行役の役割一」『2003年度 日本語教育学会春季大会予稿集』

00 中 河和子 ・松岡裕見子 (2003)「地域在住外国人へのア シケー ト調査」を もとに した 日本語支援 ボランテイア

(15)

養成 の新 たな可能性」『日本語教育学会平成15年度北陸地 区研究集会 資 料集』

α〕 中河和子 ・深澤 のぞみ ・松 岡裕見子 (2004)「地域 に根 ざ した 日本語 ボラ ンテ ィア養成講座 における共生 日本 語促 しの試 み」『お茶 の水女子大学 日本言語文化学研究会第29回研究会 ・資料集』

aO 中 河和子 ・深澤 のぞみ ・松 岡裕見子 (2005)「地域 に根 ざ した 日本語 ボ ラ ンテ ィア養成講座 の受講生 の意識調 査」『2005年度 日本語教育学会春季大会予稿集』

03 中 河和子 ・松 岡裕見子 ・深澤 のぞみ (2006)「相互学習型 日本語 ボラ ンテ ィアの養成講座 シラバ スー活動 に有 用 な スキルの獲得 を 目指 して 一」『2006年度 日本語教育学会春季大会予稿集』

α O 西 尾珪子 (2003)「日本語支援 とは何 か」『現代 のエスプ リ」No。432 マ ルチカルチ ュラ リズム』至文堂 l151 西 尾珪子 ・小野博 ら (2003)「座談会  グ ローバ リゼー シ ョン社会 の中での 日本語支援 の意味」『現代 のエ スプ

リ」No.432 マ ルチカルチ ュラ リズム』至文堂

α O 深 澤 のぞみ ・中河和子 ・松 岡裕見子 (2006)『富 山県 内の外 国人 のための 日本語 ボ ラ ンテ ィア養成 に関す る総 合 的研究』平成 17年度富 山県高等教育振興財団助成事業報告書

α η 山 田泉 (2000)「地域 日本語教育」二 つの在 り方 とその教授者 のネ ッ トワー ク」平成11年度文化庁 日本語教育 研究委嘱 『日本語教育 における教授者 の行動 ネ ッ トワー クに関す る調査研究 一最終報告』

α D 米 勢治子 ・尾崎明人 (2005)「日本語 ボ ラ ンテ ィア養成 の課題」『2005年度 日本語教育学会春季大会予稿集』

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参照

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