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建築設計・監理契約に 関する一考察三)

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(1)

一建築設計・監理契約の法的性質及びその効力をめぐる諸見解二建築設計・監理契約に関する若干の問題点(以上第八十六巻第三・四合併号)第二章建築設計・監理契約をめぐる西ドイツの問題状況序第一節建築設計・監理契約の法的性質

建築設計・監理契約に関する一考察(二)(花立) 目次

はじめに第一章建築設計・監理契約をめぐる我が国の問題状況第一節建築家の社会的及び法的地位一建築家の社会的地位二建築家の法的地位と建築股計・監理契約の当事者第二節建築設計・監理契約の法的性質をめぐる問題状況

建築設計・監理契約に 関する一考察三)

二建築第二節趣はじめに

花立文子

西ドイツでは、建築設計・監理契約が西ドイツ民法典〈以下 BGBとする)にとくに明文で規定されておらず、その法的性

質について、請負契約なのか雇傭契約なのか、今日に至るまで(1)

学説上議論されてきている。また、我が国の建築設計・監理

契約も、BCBと同様民法典に明文化されていないことか

八七

第二章建築設計・監理契約をめぐる西ドイツ の問題状況

一建築設計・監理契約についての状況二建築設計契約三建築設計・監理総合契約四建築監理契約五結び第二節建築設計・監理契約における建築家の瑠疵担保資任一建築家の愛任二暇疵修補(BGB第六三一一一条)三解除・減額〈BGB第六三四条)四損害賠伎(BCB第六三五条・六三八条×以上本号)第三章建築設計・監理契約に関する日本法への示唆

(2)

法学志林第八十七巻第三号 ら、その法的性質いかんが問題とされるが、それを請負契約と解すべきか委任契約と解すべきか、判例・学説上いまだ見解が定まっているとはいいがたい。我が国のこのような状況下で建築設計・監理契約の法的性質を考察するとき、この問題に関してBGBの判例・学説上、日本民法の学説以上に議論が集積していることから、また日本民法がドイツ法を母法としていること、そして西ドイツにおいても我が国においても建築設計・監理契約が民法典に規定されていないことの共通性があることからも、西ドイツにおけるこの問題に関する議論は、何らかの示唆を与えてくれるものと思われる。さらには、専門家としての地位を確立していると思われる西ドイツの建築家が「職業的専(2) 門家」としていかなる契約賀任を負っているのかを知ること(3) は、我が国においていわゆる「職業的責任論」として建築家の責任を考察するときに有用であろうと思われる。しかし、BGBにおける典型契約と日本民法典のそれとでは内容上異なっている面もあることから、西ドイツの議論をそのまま日本に持ち込むわけにはいかない。そこで、その点に留意しつつ、西ドイツでは建築設計・監理契約の法的性質についてどのように論争されてきたのか、そして建築家の暇疵担保責任がどのようなものと考えられているのかをみることにしたい。(1)⑫:畠の一・三旨、訂尉『【Cヨョの昌響『目ョ屡品の『一一のう2 |建築設計・監理契約についての状況Ⅲ西ドイツにおいて、建築家の行う設計業務・監理業務の委託を内容として注文主と建築家(野・亘希胃)間で締結される(1) 契約は、①設計業務の委託を内容とした「建築設計契約」、②監理業務の委託を内容とする「建築監理契約」および③設計・監理双方の業務の委託を内容とする「建築設計・監理総合契(2) 約」の三種類に分類しうる。②この建築設計・監理契約の法的性質いかんについては、(3) 一九○六年以来長期に渡って論争されてきている。論争は、(4) 一九五九年の連邦通常裁判所判決で、いったん終止符が打たれたかのように思われた。しかし一九八一年に債務法改正の鑑(5) 定意見においてムズィーラク(三cm一⑮一国六)がこの問題を取り上げ、 l1 JJ

o駅:図・戸扉】己寧・艀百一」昂・ず{・原8己:『『の一一・P震一ケ‐ヶ:1.閣・シロ(一息の》忌沼・『.シすい・豈冒三・『・『胃一・円・言⑥『寿ぐ②『‐[国、巨富已幽ニョー旨与のく⑪『&ぬの。”」曰・←⑭N【』迩句⑭-,(2)山村忠平「会計士の対第三者責任」中央学院大学法学論叢、創刊号(一九八七年)三頁。(3)尾中晋子「医師の民事責任l麻酔事故判例の研究l」篠原弘志編『判例研究取引と損害賠償』二九八九年)三九八頁。

第一節建築設計・監理契約の法的性質

(3)

(6) 一九八三年に同じ鑑定意見でカイルホルッ(【gl--o一瞬}が、また一九八四年のドイツ法曹大会においてタイヒマン(『anラョ:曰)(7) が問題Iこして取り上げている。さらに、今日、職業上の責任が重要な法律問題となっているが、’九八五年にタイヒラー(『の一・三の『)が、その問題の一環として取り上げた建築家の法的

貴任の中で、建築設計・監理契約の法的性質について述べて

(8) いる。このように、建築設計・監理契約の法的性質については、今日もなお、学説上研究が継続的になされている。これは、BGBに建築設計・監理契約について特に明文で規定されておらず、その法的性質を決定づける際にいくつかの典型契約類型が考えられ、しかもそれぞれの法律効果が異なることから、その契約をどのように位置づけるべきか解釈上対立が生ずること、および西ドイツ償務法改正の作業上、現行請負契約法における猪問題が取り上げられていることも要因のひとつになっているからであろうと思われる。また、西ドイツにおいては、建築家に関する判例が多くみられることからみて、建築家の法的貴任を追及する社会的姿勢も、無視できない要素であるように思われる。③既に述べたところであるが、建築設計・監理契約については、BGBに明文化されていない。そこで、建築設計・監理契約の締結に際してあらかじめその法的性質を決定していた場

建築設計・監理契約に閲する一考察三)(花立) 合には、問題は生じない。しかしながら、その法的性質を決定しないまま建築設計・監理契約が締結された場合に、BGBの中のどの契約類型にしたがって紛争を解決すべきかが問題となる。このように建築設計・監理契約の法的性質いかんが問題にされるとき、西ドイツでは、有倣事務処理契約をも考察の対象(9) とする向きもみられるが、主として、雇傭契約と請負契約とか考察の対象とされている。建築設計・監理契約を履繍契約と位紐づけるか、請負契約と位避づけるかの問題は、それぞれの法律効果が異なっていることから、実務上非常に重要な意味を(Ⅶ) もっている。すなわち、雇傭契約においては債務者自身が債務を履行しなければならないが、請負契約では履行補助者を用いることができる(BCB六三一条二項)。仕事の内容に欠陥があった場合、請負契約ではそれについて暇疵担保責任を負うが(BCB第六三三条以下)、履傭契約においては債務不圃行資任を負う。また、その場合の損害賠償請求について、屈繍契約においてはBGB第一九五条により三○年、請負契約の場合BCB第六三八(Ⅱ) 条により五年の短期時効に服する。期間満了一別の注文主による解除に際し、雇傭契約の場合、被傭者はすでに給付した部分についてのみ報酬を請求しうるにすぎない(BCB第六二八条一項)。他方請負契約では、BCB第六四九条により、免れた

八九

(4)

法学志林第八十七巻第三号

費用を差し引いて、憤務の未履行分についても請負人に報酬錆(昭)求権が認められている。大まかな点のみを一不したが、請負契約と雇傭契約とでは、法律効果に右のごとき相違がある。以下で、建築設計契約、建築設計・監理総合契約そして建築監理契約の順に、それぞれの法的性質に関する議論をみていきたい。

(1)西ドイツでは、設計・監理業務の委託を内容とする契約を、「シ『ロゴ罵言⑱己くの『5m」という。「シ月三〔・盲目くの1『畠」は、・建築家契約となろうか。ところで、西ドイツにおいては、医師の医療業務の委託を内容とする契約を「シ『且くの『P『。、(、:『ぬの一・画.“○・・幻1..3・)」、弁謹士の業務の委託を内容とする契約を「冗円言い:三色一[いく①且『色、(⑫月岡⑦一・口.②○・.”合・垣、。)」というように、医療・弁護という業務をなす者を主体にした契約名が用いられているようである。これに対し日本では、たとえば医療契約(西井龍生「医療契約と医療過誤訴訟」遠藤浩・林良平・水本浩監修『現代契約法大系第七巻サービス・労務供給契約』二九八四年)’五三頁)・弁護委託契約というように、医師や弁護士の行う契約上の主たる業務内容から契約名称が考えられているように思われる。そこで、本稿においては、西ドイツにおける契約名「少罵三〔①天(の弓の『《「畠」を建築家契約とはせずに、契約の業務内容である設計・監理をとって、「建築設計・監理契約」と呼ぶことにした。 九○

そして本稿では、「建築設計・監理契約」は、建築家の設計・監理業務を内容とする契約一般を指すときに用いることとする。さらに個々の業務を内容とする契約に関して、西ドイツでは「設計業務のみを内容とする建築家契約」、「監理業務のみを内容とする建築家契約」、「設計・監理業務の双方を内容とする建築家契約」と呼んでいるが、本稿では、それぞれを「建築設計契約」、「建築監理契約」、および「建築設計・監理総合契約」と呼ぶことにする。(2)只出.ご『《・く。目呂・巨・Sg・只出脚璽】・吋思・は、建築設計・監理契約を三つに分類しうるとしている。(3)幻pご風・ぐ。冒扇.⑨.』99両OB・曽型.この判例の中で、建築家の行う監理業務の法的性質について屈繍契約であると判断されている。(4)只畠.ご『[・ぐ。目呂・』]・】患P国】四N笛・閏の.(5)宣旨溌曰⑱一四戸・同回【ぬ⑥三旨云の⑦脇の颪(厨庁8祠目頭の色[胃三の。自己ぐ・厨・三時:ロ『ロ汀『“『汀旨。、;呼冒-1司扁言い厩。』・】①②]っの。】唖】⑪軍。(6)【の】}ず。-早口目『円写[.。E色、言の。:」ぐc『閤一】|篇、目『ごワの『‐胃すの】E局1冊枠ゴー丘『巾9厨厘。自戸巳困.m・塁昌。(7)『色のニョ:。・同冒で{】、写一声骨可曾蔚Z2天。旨§二目」⑰鋺乏の『【この『5,鳥・宮⑫》くの『冨己一目鴇包1$国。{巨。」富っ{騨一、煥一の二・杼巨吻・寺の。]口1:。冒頤阻囚轡三宮品ご震》因:』・aロ[月壺[3)『、ニン・]②⑭全の・い『{{,

(5)

(8)弓の旨二一の【っ国の『巨{豐蝕(〔ご『一コ。旨く⑰風、写⑦『皀曰、のPご』P印・巴】{{。

(9)宣戸】望の一四戸・鐘・色・○・つめ』噛四望(・(、)ぐ、|・FCCゴの『・ロ四切已『一く四房■凹巨『の、言・』,醇已二四mの.】拐頭・

幻旦己’陣唖侯

(、)BCB第六三八条第一項は、請負人の担保責任期間を、一般に六ヵ月、土地の作業について一年、建築について五年と定めている(東秀彦訳「全訳独逸民法」の訳を参考)。そこで、建築設計・監理契約の法的性質を請負契約とした場合、建築設計・監理契約における暇疵担保資任の期間として、BCB第六三八条のいう六ヵ月、一年または五年のいずれの時効を適用すべきであるのかが問題となる。まず、建築家の履行する業務が、BGB第六三八条の一般にあたるのか、土地の作業についてにあたるのか、または建築についてにあたるのかを検討しなければならない。これについて連邦通常裁判所は、建築物という概念には全体としての建築のみならず建築の一部分もまた含まれるのであり漣そして建築家の建築に貢献する業務も建築の一部分であるから、建築家の業務もまたそこに包摂されるとする。そうして、建築家の給付にはBGB第六三八条の五年が適用されるとする(因の罠ロ『戸・竜・目②.司・】ぬ宙・■Q白曽・農】・)・建築家の仕事に欠陥があった場合の建築家の担保寅任にBGB第六三八条における建築についての五年の時効を適用するとした判例の見解は、

建築設計・監理契約に関する一考察三)(花立) 学説でも一般に支持されている(く噸一・F。○ずg:p『国目頃←『辛い句三月穿一『訂ヨマ切写『顕の『一胃琴の⑫の厨、同ケ臣向う二m’国巨向}・『・少ずい、ラョ[〔・同一目⑩一胃、○ず巨一」ご⑥『蔑一[ヨ脇の.『・弓。〔⑦|・言の『宍この『(『四m目塁娑。一一、三のくの『〔『賃の.-℃召・←.シこ{|畠の.m・囲い(以下では三句『どの『5mとする))。なお、BGB第六三八条のいう建築についての詳細に関しては、ご・ニロ目⑭言⑪『》口山巨謨吊『【⑩|の一‐鋤目。鴇ミヨの一目のく。。⑰g韓国。■・Z』三】弓Pご望{・参照。.なお、西ドイツにおける建築家のための約款ごシ一一鯨①ヨュコのぐの1『凹砠⑫訂⑫【コョョ巨弓、§脚巨冒同ごう⑱房‐シ『のご【鼻一句ぢく句『〔『蝉、(湧くと鼠によると、建築家の担保責任及び損害賠償責任の期間は、冨両ご訂一房,シ『・互扁弄扇。ぐの二『趣、二「の::この豊の場合第六条第一項により、葛向ヨゴ⑦一扇‐シ『・三一の寿目く⑩『〔『色、『『の一目一塾、:葛の場合第九条により、葛両ご芹一[⑩‐缶『向喜の【§ごm『5,宮『」のロ『凹昌:】一号asシ烏冨E3の場合第一○条により、特約がないとき及び法律で短期の時効期間を予定していないときは、建築家の最後の仕事の引き取り〈建築物の引き取り時を意味するJものではない)から、五年とされている(口①【:己冒】②。冒局Z【・巴、忠屋の【皇のシロョの亘目、ご目」『、一両冒己[①三目“:」①『ロ■ロ」の園『、二【①宍【①ロ訂ヨョ①『目『〔所溺s一百コ、ぐC甸鈩『、三[の貢⑩ローくC『己一色。色ご噸⑩この『[『叫鴇■ニゴュシ『、ご〔①言の弓の『【『街:{昇の⑩颪巨」、『『⑱宮■一色頤の。■コユニの。『色巨弓】ず一一二mコユの。シ扁守御岳8二二局N色『く印フ己、コユ臣。鴎尹一一館のョのヨ①『ぐの『一『偶⑪ケ①②ヨゴョ■。鴇。爵『シ『、三,[巾青2く⑮『[『鍔のご◎曰曽・冨蝕『御]⑫患・)。参考までに、請負人の場

九一

(6)

二建築設計契約1建築設計契約の法的性質Ⅲ建築設計契約の法的性質について、ヤーゲンプルク(]・脆目冒温)によれば、’九一九年にライヒ裁判所がそれを請(1) (2) 負契約であると判断して以来、判例は変更されていない。②学説においても、建築設計契約を請負契約とみることに(3) ついて、管見しえた範囲ではあるが反対はみられない。建築設計契約の法的性質がなぜ請負契約的性質であるとされるのか 法学志林第八十七巻第三号 合の瑠疵担保質任の期間は、西ドイツにおける約款のひとつごシ一一mのョ①ヨ①ぐ毎『〔『潟⑫ワの」三m■二m⑥己臣『旦局シこめ{号冒品『◎宮切目一色⑫〔目晦:〈湧く甲、一屋〈〉3第一三条第四項では、建築物及び材木の侵食、腐食等については二年、可燃性のものについては一年とされている(因の天:三三肖壺目、z『・圏、忠屋の『」話シコョの一色目恥骨『向日ロ庁三巨息ご国血こぐの『〔国ぬい日巨⑫〔の『q【澪胡扁穿:」菖叩少息のす◎厨「巨且シニ(〔『騎冊・写忌一ヶ⑱己巨己四一一mの日の旨目・庁‐い◎皀旦の『の己巨皀旦園巨叩睦【鴎一】、一】のコニ「毎『{『津頤餉|】の二一コ、巨己砿の己、Cニヨーの夛自巨禺の『①旨の『シゲ冒夛目:⑱胤豈の】己、:、曹皀臣『:島①国巨邑旦の映胃ロー】】(①萱:‐寓目冒曾く・目〕己・言聖「劃一℃患・)。この結果、契約責任の期間という点からみると、請負人よりも建築家の賀任の方が重いといえる。このことは、建築家の社会的な職業上の地位における貴任についての考え方を反映しているものと思われる。(、)く、一・F。:①『・四・四・○・・両」己・闇〕. 九二

について、通説を代表すると思われるシュマルッル(⑪。盲目一N一)は、まず、建築家の個々の業務に対する報酬を定めた頭○酋(ぐ①8『ユニ巨己、写す禺昌の因○コ○国『の{耳F①】⑩E二mg己の『シ『の言[句云[2(4) (5) 巨己1句『閂口砿8-2『の.以下HoAIとする〉から判断している。すなわち、HOAIに示された諸業務のそれぞれが完了業務であり、各業務の完了があってはじめてその業務に対する報酬を、HoAIの基準にしたがって請求することが可能となるのであるから、HoAIに示された業務を内容とする建築設計契約は請負契約的性質を有しているとみられる、とする。さらに、建築設計契約の法的性質を請負契約であると結論づける根拠として、建築設計契約の債務からそれを求めている。すなわち、建築設計契約を締結する際、建築家には、無形の建築計画が有体物としての建築物に至るのに欠くことのできない設計図書作成およびその他の設計業務の完了を注文主から委託されるのであり、建築家が、その契約上の債務として、設計に関する個々の業務を完了することを約束するのみならず、最終結果すなわち建築物に直接に結び付く設計業務を暇疵のないように履行することをも約束するのであるから、設計業務には請負契約の性質が認められるというのである。のみならず、シュマルッルは、建築設計契約における建築家の債務の内容を、単に雇僻契約上の「労務(豆の。“〔)」の提供ではなく、瑠疵のない完全な「仕

(7)

事」の完成であるとし、この点をも、建築設計契約の法的性質

(6) を請負契約と解す根拠にしている。

③学説は、一般的に建築設計契約の法的性質を請負契約と

解することに異論はない。しかし場合によっては、例外的に、そ

の性質を雇傭契約と解すこともある。たとえば、建築物の完成 と直接的には関係しないような業務で、単に業務をなすことの みを債務とし、仕事の結果について担保責任を負わない場合で ある。そこで、業務によっては、雇傭契約法が適用される場合

(7) もあるが、それはごく限られた場〈ロにすぎないとされている。

倒したがって、一九一九年のライヒ裁判所判決以来、判例

のみならず学説上も、建築設計契約の法的性質を請負契約とみることに異論はないようである。この見解の一致について、ガォホ(の目・亘が、西ドイツにおいては建築設計契約の法的性質を請負契約とみることについて一度も問題視されたことがない、

と述べているほどで塾麺・建築設計契約の場合、「設計図醤を 完成すること」という建築家の給付が、まさに請負契約の要素

を示しているといえること、さらに、完成した設計図書について瑠疵があったような場合、その設計図書を修正し完全なものに仕上げることができるので、その法的性質を判断するにあたってそれほど困難は生じないであろうと思われる。しかし、

建築設計契約には有形の設計図書作成という業務のみならず、

建築設計・監理契約に関する一考察三)(花立) 多様な種類の無形の業務がある。例えば、建築設計契約の一部である基礎調査もまた請負契約であるとされている。建築家のこのような業務もまた請負契約の法的性質を有するとされるのは、たとえ暇疵のない建築物が完成されたとしても、これらの(9) 義務の不履行が注文主の重大な財産損害にいたるか.bである。さらには、西ドイツ債務法における時効問題も、建築家の業務を請負契約の性質と解することに影響を及ぼしているものと思われる。すなわち、建築設計契約の場合、請負契約上の五年の期間でなければ、三○年間という長期にわたって責任を負わなければならない、ということと関係して、基礎調査のような無形の業務もまた、請負契約的性質を有しているとみることに異論はないのであろうと思われる。2建築家の設計業務と建築物との関係

⑪建築家の設計業務と建築物との関係における問題

建築家の業務というものは、その履行の結果が建築物に具現されることがある。たとえば、建築家の作成した設計図書がいかなるものであったかは、完成した設計図書のみならず、それに基づいて建築された建築物それ自体にも具現する。そこで、建築物に生じた欠陥から、建築家の仕事に欠陥があったことが

判明することがある。つまり、建築家の業務と建築物とは、密

接な関係にある。したがって、建築家は、自己の瑠疵ある給付

九三

(8)

法学志林第八十七巻第三号

の結果生じた建築物の暇疵について何らかの責任を負うことになるのである。しかしそうだからといって、建築物に生じた瑠疵|股について、自動的に建築家が責任を負うわけではない。すなわち、建築家の作成した設計図響に暇疵があり、そうして設計図書通りに建築された結果建築物にもその暇疵が現れた場合には、建築家は、その建築物に生じた暇疵について、何らかの責任を免れることができないのである。その資任の根拠となる建築設計契約の締結に際して、建築家は、瑠疵のない設計図笹の完成を約束するが、建築請負人のように建築物それ自体の暇疵のない完成をも約束するわけではない。そこで、設計図番を作成し完成するという給付を願行した結果について、すなわち、設計図轡の瑠疵について、およびその暇疵ある設計図密に基づいて建築され、有体物となった建築物の瑠疵について、建

築家がどのような資任を負うのかが、問題となる。②債務の内容と法律効果の差異設計段階における設計業務というものには、建築についての企画や建築許可の申請、設計図書作成等多種多様な業務がある。建築設計契約は、それらのうちの一つの業務あるいは数種を組み合わせて、もしくはすべての業務を給付内容とするのであるが、ここで給付義務の内容がどのように考えられているかということをみるにあたり、建築設計契約の典型的な内容である設 九四

計図書作成という業務を例にとることにする。まず、建築設計契約の法的性質を請負契約と解するということから出発すると、その契約において、建築家は、設計業務を瑠疵なく完成する義務を負う。そこで、瑠疵なく完成すべき義務の範囲が一体どこまでなのか、すなわち、暇疵のない設計図書の完成のみがその範囲なのか、もしくはその設計図番に基づいて建築される建築物もまたその範囲に含まれるのか、ということが問題となる。それは、建築家の設計図衝作成という仕事の完成を約束した建築設計契約における償務の具体的な内容、すなわち本来の償務とは何かという問題である。この本来の償務とは何かという問題について、一方では、建築設計契約上の瑠疵のない仕事の完成とは暇疵のない設計図轡の完成のみをいうのであって、その設計図轡に基づいて施工され完成されるべき建築物それ自体に瑠疵のないことまで本来の俄務の内容に含められるわけではない、として、憤務の内容を限定的に考える見解がある(限定説)。しかし他方では、建築設計契約における本来の俄務として、暇疵のない設計図轡の完成を約束する以上、その設計図轡に基づいて施工され完成する建築物に暇疵のないことをも約束しているのであり、建築家はその建築物の瑠疵についても設計図書についてと同じ瓦任を負う、として、債務の内容を拡大的に考える見解がある(拡大

(9)

説)。客観的に建築家に暇疵ある履行があり、すなわちこの場 合、設計図書に瑠疵があり、それに基づいて建築された結果建 築物に瑠疵が発生した場合、前者の限定説によれば、建築家は、 設計図書の暇疵については請負契約上の担保資任官GB第六 一一一三条以下)を負うのであるが、その設計図書の欠陥に起因す る建築物の瑠疵については、常に積極的債権侵害に基づく責任 を負い、そして三○年の時効(BCB第一九五条)に服する、 ということになる。他方、後者の拡大説によれば、設計図書そ

れ自体の暇疵についても、それに起因する建築物の瑠疵につい

ても、建築家は〈請負契約上の担保責任、つまりBGB第六三 三条、第六三四条および第六三五条に基づく責任を負い、そし

てBGB第六三八条の五年の短期の時効期間に服すことになる。

つまり、本来の債務の内容をどのように解するかで、右のごと

き違いが生じてくるのである。

この建築設計契約における本来の債務とは何かという問題に ついて、西ドイツでは、前者のごとく暇疵のない設計業務をな すことのみをいうのであって、建築請負人と同様に建築物それ

自体に瑠疵のないことまでをその内容として約束するわけでは(m) ない、とする限定説が一般に支持されている。③建築家の暇疵ある仕事についての担保期間しかし、建築設計契約における本来の債務の内容を限定説に建築設計・監理契約に関する一考察三)(花立) したがって暇疵のない設計業務に限定すると、不都合の生じることがある。まず、債務の内容を限定的に解すのであるから、建築家は、設計業務の欠陥についてはBGB第六三一一一条、第六三四条、第六一一一五条および第六三八条にしたがって責任を負い、設計業務の欠陥から発生した瑠疵結果損害については積極的債権侵害に基づく責任を負う。その結果、欠陥のある設計業務に起因して生じた建築物の瑠疵について、建築家は、常に積極的債権侵害に基いて三○年間にわたり責任を負うことになる。つまり建築家は、建築物の暇疵について三○年間予測しえない経

済的危険にさらされることになる。そこで、建築物に生じた瑠

疵について、積極的憤権侵害で処理することが妥当なのか、BGB第六三三条以下の暇疵担保責任で処理する余地がないのかどうかが問題となる。このように、建築家の作成した欠陥のあ

る設計図書に起因する建築物の瑠疵を、BGB第六三三条以下 で処理するか、または積極的債権侵害で処理するかで、法律効

果に大きな差があるので非常に重要な問題となる。とりわけ、損害賠償請求権の時効について差が大きくなる。すなわち、そ

の建築物の欠陥についてBGB第六三三条以下で処理すると、

その欠陥について建築家は暇疵担保責任を負い、そしてBGB

第六三八条により五年の時効に服すことになるが、それを積極

的償権侵害にしたがって処理すると、建築家は三○年の時効に

九五

(10)

法学志林第八十七巻第三号(u) 服すことになる。そこで、このような責任期間の不都合を考慮して、折衷的に、建築設計契約における償務の内容を瑠疵のない設計業務に限定しつつ、なおかつ建築家の業務に起因する建築物の暇疵についてもまたBGB第六三三条以下で法的処理をなすべきだ、という考えが生じてくる。側建築物についての建築家の責任右にみた限定説の見解、すなわち、建築設計契約の債務の内容を建築請負人同様に建築物に瑠疵のないことまでをも含むとするのではなく、それを設計業務を暇疵なく完了することに限定した場合に、建築家の設計業務に起因する建築物の暇疵をBGB第六一一一三条以下で処理するとする考え方を、ここではさしあたって、③折衷説と⑪暇疵結果損害説とに分類して整理して

みたい。③折衷説建築家の作成した設計図書の欠陥に起因する建築物の暇疵について、BGB第六三三条以下で処理しようとする折衷説が、判例・通説の見解であるといえよう。この見解は、建築設計契約における債務の内容を、瑠疵のない設計図書の完成のみを意味するのであって、建築請負人と同様に建築物についてをも償務の内容としているわけではない、として建築家の債務を限定的に解する。そうなると、建築家は、自己の欠陥のある給付に 九六

起因する建築物の瑠疵による損害について、積極的憤権侵害に基づく損害賠侭責任およびBGB第一九五条により三○年間責任を負うことになる。しかし、三○年という期間はあまりにも長期的すぎる。そこでこのような責任期間の不都合をクリアーするために、つまり、結果の妥当性のために、建築家の業務と建築物との密接な関係を根拠にして、建築家の暇疵ある給付に起因して生じた建築物の損害についてはBGB第六三三条以下で処理すべきだ、と解すのである。この説によれば、建築家は、設計図書のみならずその建築物の損害についても請負契約上の暇疵担保責任を負い、そしてその資任についてBCB第六三八条に基づく五年の短期時効に服することになるのである。一九六二年連邦通常裁判所も、建築家の設計図轡の欠陥に起因した建築物の瑠疵について、建築家に積極的債権侵害に基づく責任ではなく、BGB第六三五条に基づく損害賠償責任を認(吃亘咀)めている。⑪暇疵結果損害説右にみたごとく、建築設計契約の債務の内容を、建築物ではなく設計業務に限定しつつもなお、建築家の設計業務の欠陥に起因して生じた建築物の損害をBGB第六三一一一条以下で処理すべきだと解する税が、今日の判例・通説の支持するところである。しかし、かつては、建築物に発生した損害を、積極的債権

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侵害で処理すべきだとする見解もあった。ヘス(宝巾溌)は、前述の一九六二年判決を次のように批判する。すなわち、建築家が建築物の完成に間接的にのみ関係しているのにすぎないにもかかわらず、その建築物について建築請負人と同じ暇疵担保責任を負うということは、建築家に酷な結果をもたらすことになるから、その建築物に生じた損害については積極的債権侵害で処(M) 理すべきである、と。そして、建築設計契約において、建築家は設計業務について暇疵なく嗣行すべき義務を負うのであるが、その義務は、まさに設計業務の範囲に限定された義務であって、その設計業務に基づいて完成される建築物にまで瑠疵(応)のないことを約束しているわけではない、という。つまりヘスは、確かに建築家の仕事と建築物は密接な関係にあるといえるが、建築家は建築設計契約において、単に利用可能な法律に合致した暇疵のない設計図瞥の作成およびその他の設計業務について暇疵がないように艇行することを約束するのであって、建築物それ自体についてまで建築請負人と同様の責任を負うことを約束しているわけではない、というのである。そうして、建築設計契約における建築家の給付は設計業務の完了で終了し、その仕事の暇疵について、つまり設計図書の暇疵については暇疵担保責任を負うが、設計図書の欠陥に起因する建築物の暇疵については積極的悩権侵害に基づいてその損害を賠償すべきだ、

建築設計・監理契約に関する一考察三)(花立) (脇)としている。⑤おわりに以上みたごとく、建築家の給付の欠陥に起因して発生した建築物の瑠疵による損害について、建築家がどのような責任を負うべきであるのかという問題を考える際、とくに、損害賠償についての責任期間が中心的な視点となるように思われる。つまり、時効期間が、五年か、さもなければ三○年かというのではあまりにも差がありすぎるし、さらに、一一一○年の資任期間は、(Ⅳ) 現代では長期間すぎると考え・られている。判例・通説は、建築家の業務の欠陥に起因する建築物に発生した暇疵による損害をBGB第六三一一一条以下で処理すべきだと解することで、三○年の貴任期間から生じる建築家の予測しえない経済的な負担を回避しようとする。つまり、資任期間の問題から、結果の妥当〈順)性を考慮して、BGB第六三八条の短期の時効期間を適用するように思われる。右のごとく、請負契約においては、三○年という質任期間が妥当なものでないと解される傾向にある。そこで、BGB第一九五条の三○年を適用することになる帰結を回避すべく、損害賠償については、当初は始めから暇疵のために目的物が利用できない、価値がない、または価値が低い場合にかぎってBGB第六三五条および第六三八条が適用されていたのが、後に暇疵

九七

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法学志林第八十七巻第三号

損害と暇疵結果損害とに分類して前者にはBGB第六三五条および第六三八条、後者には積極的債権侵害およびBGB第一九五条が適用されるに至った。そしてその後それらを発展させて、仕事の瑠疵と密接かつ直接的な関係にある損害、およびより近い瑠疵結果損害についてはBGB第六一一一五条および第六三八条、そしてより遠い瑠疵結果損害については積極的債権侵害およびBGB第一九五条にしたがって処理するという定式化がなされるに至っている。さらには、建築設計・監理契約の場合、主たる義務と付随義務とによる分類がなされ、前者の義務違反による損害についてはBGB第六三五条で、後者の義務違反による損害については積極的債権侵害にしたがって処理するまでに、判例上展開されてきている。すなわち、このような解釈の展開により、積極的債権侵害およびBGB第一九五条の適用範囲が大幅に狭められてきている。この点については、建築家の瑠疵担保責任の損害賠償の項で詳細を検討したい。

(1)丙。.ご『【.ご・目『・巨・ご]P”○N弓・】侶・この判例は『病院建設の企画および設計図書作成を行った建築家が注文主に対してその報酬を請求した、という事件である。本件では、病院建設の企画およびその設計図書作成という給付が請負契約に基づくものかどうかが争われ、裁判所は請負契約に基づくものと判断した。ヤーゲンプルクは、この点から判例が建 九八

築設計契約を請負契約とみているとしているようである。なお本件ではさらに、その給付に対する建築家の報酬請求権の消滅時効が、BCB第一九五条にもとづいて三○年なのか、またはBCB第一九六条にしたがって二年なのかも争われた。裁判所は、建築家のなした企画及び芸術的な行為はBGB第一九六条の第一号にも第七号にもあてはまらないとしたカンマー裁判所の判断を支持して、本件にBGB第一九五条を適用した。これより、建築家の報酬請求権の時効は、BGB第一九五条により三○年と解されることとなった。それ以来、このように、請負契約における報酬請求権の時効についてはBCB第一九五条による三○年が適用され、BGB第一九六条第一項による二年は適用されないと解されていた(ぐ画一・輿甲戻ご『【.ご◎ョ鴎・」・$②P関田N念・倍⑭.)。ところが、連邦通常裁判所は、一九七二年七月六日の判決において(建築家が設計ならびに材料および費用見積の委託を内容とする建築設計契約に基づいて報酬を請求した事件〉、請負契約に基づく給付もBCB第一九六条第一項の第七号にあてはまるとして、建築家の報酬請求権はBCB第一九六条第一項第七号にしたがって二年で時効にかかると判示し、これまでの判例を変更している(口⑦西.ご『【・く・冒③。『・]旨い.只窟国酊②印]③』・)。(2)黒四一・〕品8ヶ眞碕・国ロュ冨己《ヘ」“ぬの昌巨『中ロの西“(冒二砿号吻鈩『、三〔⑦【[の百・m・シニ{|②、の后望・留・宛目・患(以下では、ロ①

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エニ冒局」の鋲シ『、三〔⑱蚕目とする。)。(3)い○の『帰一・色・色・○;”」曰・』】:⑰①②】固い口引『句一ロゴョ色三】・岱・四・○・・い・日。(4)雷C苣は、。。ン(の①冒す『go『二目己、{(】『シ『の三【の【一句豆一九五○年一一月八日施行(団巨己の吻冒鼠儒『・Z『・国①く・ョm・巨・一℃g・)、一九七四年七月改正(切目」のい“目の侭の『・Z「』置く・ョ贋・『・皀昌・)、HoAI施行にともなって廃止)をもとに、一九七七年七月施行された報酬規定である(更忌一・扇・星9-)命『。m・患属)・これは、一九八五年一月改正された(要田一]m・迄念・)。この改正では、全五九条だったものが一挙に一○三条に墹大された。増大された部分はほとんど技師に関するものであり、建築家に関する部分については、改正前の建築物と屋外施設についての規定に新たに屋内についての規定が加えられた他、ほとんど変更はないようである。さらに、一九八八年四月一日にも改正されている。(5)⑫、ラョ色一脚一・シ弄冒の一一の『『凶晒①言凶巨『』安月二局雪のご言(E二m。】酉、P⑩・恩(以下、シ云冒の一一の『『“ぬ:目『シ『、三[句盲8冨一巨局とする)。(6)⑪ローーョ四一割一・色・色・○・{少云冒の一一⑩『『四mの曰昌『シ『、三(の三目ラニ‐冒畠)b・厨・ヤーゲンプルクもこれを支持する(」色的の弓皀「甲湧・色.。。(己】の亟凹(旨二m」關尹『、三(の蚕⑥ロ)壹吻蝉宛二画・句、。)。(7)ぐ、一・』四mのコケ色『館・色.③・○・(C一⑮餌凹{冒曰恥二厨シ『向二〔①盲句口)。⑨いつ幻ユコ・『P

建築設計・監理契約に関する一考察(二)(花立) (8)の色巨⑤ケ[)⑦『ご房『宍ご句『与国碇・螢.シこ{’四mP】@mm彗幻」。.←『。(9)同二一m■へ国一蟄二・□一の’幻の、旨⑪で『月夛目宛」の⑭口○田目『両言う⑭‐凶⑦写目、く:三色。淀①|『Cl、句⑪のう筐3ヨユ:シラミの二二巨畠郡一】の『の冑一一ユのめゆ①いい国。■ワ、一目国曽】・而可竺円ゴ『一一一一(】『〒庁『ョ目。穴o『ず一。ご薗巨。】③。。○のケE『一竺出頤鼬弓]』⑭ロ]巨口曰]垣、③。』①、⑦cmomC。(、)く碗一・二二句『■句『ヘ宅路[C『ぐ幻のロラ{眠{『印】鴇コケ、ニョ、聖扁コロヮン巨(|“ぬP]②ぬいロ⑫』唾瞠・(皿)損害賠償請求権については、「暇疵惹起損害を含む全損害を六三五で処理すべきだとしたうえで、八五二条(不法行為の消滅時効Ⅱ被害者が損害および賠依義務者を知った時から三年)を類推して、原告が掴害を主張することができるようになった時から六三八条の時効期間を適用すべきだとの主張がみられる。」右の「立場をとる学説の中にも、積極的憤権侵害による損害賠償請求権について、損害発生時を起算点として六三八条を類推すべきだとする」見解もある(岡孝「燗報提供者の賀任」遠藤浩・林良平・水本浩監修『現代契約法大系第七巻サービス・労務供給契約」(一九八三年)三○六頁参照)という。(皿)団。■・ロ『〔.ご目】垣・『』⑤B》ロの函、胃・豊】・本件は、建築家がガレージ付家屋についての建築設計契約に基づいて給付を履行した後に注文主に対し残りの報酬を請求したところ、注文主が建築家の暇疵ある設計図書に基づいて施工されたガレージに瑠疵が発生し損害が生じているのでその損害の賠値

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法学志林第八十七巻第三号 を建築家に請求し、そして建築家の報酬請求との相殺を申し出た、という事件である。本件では、ガレージに生じた損害についての注文主の損害賠償請求権がBCB第六三五条および六三八条によりすでに時効にかかっている、と建築家が主張したため、ガレージの損害を原告である建築家の主張するようにBGB第六三五条および第六三八条で処理すべきか、またはそれを積極的悩権侵害に基づきそしてBGB第一九五条により損害賠償請求権がまだ時効にかかっていないと解すべきかが争点となった。連邦通常裁判所は、観念的な無形の給付の暇疵が必然的に建築物に移った、つまりそれが建築物の暇疵に「実現された」として、暇疵ある設計給付と建築物に生じた損害間の密接かつ直接的な関係を根拠にガレージに生じた損害を暇疵損害であると結論づけている。(咽)くぃ一・岡一二自己一座F:○・・⑫g・(M)西:6帝四国{旨。晩;シ『・一言の天国{B『高口頭・一;の「,『一向一》『⑱-,.軍営』その『蚕。ごm③。⑭.←⑤{・(応)因厨い・色色.。.。⑫・巴・(肥)■厩⑩。■・色.C・・⑫」三・(Ⅳ)民商第九三巻第二号一七頁に、「ドイツ民法には三○年の通常の期間と並んで最低六週間までの多数の短期時効期間が存する。これに関し三十年というのは、我々のめまぐるしい時代にあっては明らかにきわめて長すぎる。」というメディクスの見解が紹介されている(ディーター・メディク 三建築設計・監理総合契約はじめに建築家の業務は、設計段階と監理段階とに大別される。そこ

で、建築家の業務の委託を内容とする契約に関しては、右の段 階に沿い、設計業務のみの委託を内容とする契約、監理業務の みの委託を内容とする契約に分けられる。さらに、建築家が設 計段階から監理段階まで関与する場合、設計および監理業務双 方の委託を内容とする契約を締結することになる。このうちの 設計・監理業務双方の委託を内容とする契約を、建築設計・監 理総合契約としたことは、前述のとおりである。 西ドイツでは、この契約の法的性質いかんが、判例・学説に おいて長期に渡って議論されている。|建築設計・監理総合契約

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ス・上田誠一郎Ⅱ佐々木典子Ⅱ潮見佳男訳「ドイツ債務法の改革についての必要性および栂想」。さらに、西ドイツ民法典における時効問題については、半田吉信「消滅時効法改正に関するペータース、ツィンマーマンの提案(一)」法学志林第八十三巻第三号一一四’一二○頁、「同(二)」法学志林第八十三巻第四号一五六頁〔下森他編『西ドイツ債務法改正鑑定意見の研究法政大学現代法研究轡鐵掛9』二九八八年)所収、四五頁以下〕が参考になる。(旧)同室の。へ、一貫《・凹・四・○,・印・雪.

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の法的性質の検討に際しては、第一に、その契約の内容となる設計業務と監理業務の各々の性格がかなり相違していることもあり、それらの業務がいかなる法的性質を有しているのか、それぞれ別個に議論されている。まず、設計段階の建築家の給付については、とくに設計図書という完成すべき目的物があるため、容易に請負契約に結びつけられうる。他方、監理段階における建築家の業務というものが、例えば、設計の意図を施工者に伝える、工事の確認および報告をする、施工計画を検討し助言するというように何かを作成し完成する業務でないこと、そしてさらに、それらの業務の結果が建築物と密接な関係にあるとしても、建築家にその建築物についてまで資任を負わせるとすることは建築家にとって酷であるように考えられ、監理段階の給付の法的性質は、鳳怖契約的なものだと一般に解されている。そうなると、建築設計・監理総合契約は、法的性質の異なる業務、すなわち請負契約的性質を有する設計給付と、雇鮒契約的性質を有する監理給付とが混在する契約である、というこ

とに猩麩。ところが、雇傭契約と請負契約とでは、その法律

効果が異なる。したがって第一一に、建築設計・監理総合契約に関しては、その契約の法的性質を、請負契約と解すべきか、雇傭契約と解すべきか、またはその混合契約と解すべきなのかが、学説上議論されることになるのである。

建築設計・監理契約に関する一考察三)(花立) 1建築設計・監理総合契約の法的性質を判断する際の方法まず、建築設計・監理総合契約の法的性質の決定方法に関しては、三つの考え方に大別することができる。その三つの考え方を、本稿ではさしあたり、⑩重点説、②併存説および③請負(2) 説と称しておくことにする。仙重点説重点説とは、建築設計・監理総合契約における雇傭契約的性質を有する監理業務と、講負契約的性質を有する設計業務とでは、その契約においてどちらがより重要な行為であるのかを一般的に決定し、璽要であると考えられる方を、その契約の法的性質を決定づける要素とし、他方の醜要でないとされる方の要(3) 索をそれに従属させる、という理論である。もし、建築設計・監理総合契約において、設計業務よりも監理業務の方がより重要な業務であると考えるならば、その契約の法的性質を雇繍契約と解することになる。その結果、監理業務および設計業務の双方に、雇傭契約に基づく法律効果が適用されるのである(この説は、’九一四年のライヒ裁判所判決において採り入れられたものである)。他方、監理業務よりも設計業務のほうに重要性があるとするならば、その契約は請負契約として処理される。その結果、設計業務にも監理業務にも請

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負契約上の法律効果が適用されることになるのであるくこの説は、一九五九年に連邦通常裁判所によって採り入れられたものであり、現在の通説もまたこれに依拠しているといえよう)。したがって、建築設計・監理総合契約の法的性質を決定する際に、/重点説に依拠するならば、その契約の法的性質を雇傭契約とみる雇傭契約説と、それを請負契約とみる請負契約説との二つの見解に分類されることになる。②結合説結合説とは、請負契約的性質を有する設計段階の業務と雇傭契約的性質を有する監理段階の業務のうちのどちらか一方に重きをおいたり有力視したりすることなく、建築設計・監理総合契約を、雇傭契約と請負契約の双方の要素が組み合わさった契約であるとするものである。この結合説の支持者として、学説ではおもにテンペル(『のご扇一)があげられる。この説によれば、設計業務については請負契約法にしたがって処理され、監理業務については雇傭契約法にしたがって処理される、ということになる。

③請負説請負説とは、建築家の諸業務というものが、建築物完成と不可分の関係にあり、そして本来建築物の完成によってはじめて意義をもつものであるから、設計業務も監理業務もどちらも請 一○二

負契約的性質を有していると解すべきだ、というものである。この請負説は、ヘスの支持するところである。請負説によれば、建築設計・監理総合契約における建築家のすべての業務には、請負契約上の法律効果が適用されることになる。したがって、結論からみれば、重点説において監理業務よりも設計業務の方に重要性があるとする場合と同じ結果になるのであるが、根拠づけの点で異なるので、重点説と請負説とを同一視することはできないように思われる。建築設計,監理総合契約の法的性質を判断する際にとられる方法に関しては、以上の三説に大別しうる。以下で、これら三税の学説史的位圃づけを検討するが、時間的な流れに沿って、判例・学説をとりあげていくことにする。2建築設計・監理総合契約の法的性質に関する判例・学説Ⅲ一九一四年ライヒ裁判所判決建築設計・監理総合契約の法的性質についてはじめて判断を示したといわれるのが、一九一四年一二月一日のラィヒ裁判所(4)(5) の判決である。本件で、ライヒ裁判所は、建築設計・監理総合契約の法的性質を決定するにあたって、まず、その契約の主たる内容が設計業務にあるのか、または監理業務にあるのかを判断した。その設計業務の意義について、ライヒ裁判所は大略次のように述べた。すなわち、設計業務は、建築物の建築に向

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けた猪業務の一部分を概成するにすぎず、建築家の後の業務、つまり監理業務をなすための準備活動であり、建築設計・監理総合契約においては、設計業務のみが問題の場合は別として、設計業務それ自体に独自の重要性はない、と。そうして、一般的にその契約における本来の対象は監理業務にあるとし、本件における契約の法的性質を雇傭契約だと判断したのであった。②一九一四年ライヒ裁判所判決以降の判例・学説③一九一四年のライヒ裁判所の判決以降、判例・学説の見(6) 解は、ヘスによると以下のようであった。すなわち、戦前の判例は、一九一四年のライヒ裁判所判決を支持し、建築設計・監理総合契約の法的性質を雇傭契約とする雇傭契約説を採用していた。また、学説においても雇傭契約説が支配的であった。しかし、その見解に反対して、建築設計・監理総合契約の性質を請負契約とみるべきだとする請負契約説もあった。伽例えば、一九三○年にホーニガー(窪:昌碇の『)が、一九三二年にパトゥリ(で皇〔『一)が、そして一九三九年にマイスター(三:(の『)が、報酬規定の配分内容を根拠に履傭契約説に反対している。すなわち、「建築家・技師のための報酬規定」における建築家の各仕事に対する報酬の配分表によると、報酬全体の七五%が設計図轡作成の仕事に対して配分されている。その割合からみれば、設計業務を監理業務の副次的なものと位腿づ

建築設計・監理契約に関する一考察(二)(花立) けることはできない、と。さらにパトゥリは、報酬規定の配分の検討に加え、監理業務が、注文主にとって最終目的である建築物の完成に向けたものであるから、監理業務もまた請負契約的性質を有しているという点をも理由に、建築設計・監理総合契約の法的性質を請負契約だと主張した。同様に一九三六年、エプリニウス(辱『冒旨⑰}も、監理業務が結果つまり建築物の完成と結び付く給付であることを重視して、請負契約説を主張した。さらに一九一一一七年、コーバー(炭呂の『)は、重点説に依拠し、建築設計・監理総合契約においては監理業務よりも設計業務のほうがより重要な行為であるから、その契約については請負契約的性質を有しているとみるべきだ、とする見解を主張した。何学説においては右のように、重点説に依拠するものの設計業務に重要性があるとして、または報酬規定の配分内容を検討することで、さらには監理業務の法的性質を請負契約と判断することにより、建築設計・監理総合契約を請負契約と解するものもあったが、結局、それらの見解は、一般には受け入れられなかった。西ドイツにおいては、請負契約と雇傭契約との最も大きな相違点は、仕事の結果について寅任を負うか否かにあるといわれ(7) ている。つまり、労務を提供する契約において、嗣行結果についても資任を負う場合にはその契約は請負契約と結びつけら

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れ、仕事の結果にではなく仕事の過程についてのみ責任を負うという場合にはその契約は雇傭契約と結びつけられる。建築設計・監理総合契約の法的性質いかんについて、判例・学説上雇傭契約説が主流であった当時は、その契約において建築家は自己の仕事を信義誠実の原則に従い、一定の注意義務を遵守して履行すればよい、と考えられ、建築家が設計業務および監理業務の履行結果について瑠疵担保責任を負わなければならない、とする考え方が、一般的に受け入れられなかったのではないかと思われる。つまり、建築家に履行の結果について担保責任を負わせることは、建築家に酷な結果をもたらすことになると考えられたからであろうと思われるのである。結局のところ、建築設計・監理総合契約の法的性質いかんについて請負契約説を採用する見解は、判例・通説の支持する雇傭契約説を斥けるこ

とはできなかった。⑪戦後もなおしばらくの間、連邦通常裁判所は、’九一四年のライヒ裁判所の見解を支持し、建築設計・監理総合契約の法的性質を雇傭契約と解する立場を変更しなかった。のみならず、学説においても、雇傭契約説が支配的であった。しかし、徐々にではあるが、下級裁判所において、’九一四年のライヒ裁判所判決が建築設計・監理総合契約について採り入れた雇傭契約説を斥け、請負契約説を採用する判例があらわれてきた。 一○四

③一九五九年連邦通常裁判所判決ヘスに依拠して右にみたごとく、一部の高等裁判所判例において、建築設計・監理総合契約の法的性質を請負契約とする見解をとる兆しがみえていた。そうして、一九五九年、ついに連邦通常裁判所は、ライヒ裁判所の判例を自ら変更し、建築設(8) 計・監理総合契約の法的性質を請負契約だと解したのである。一九五九年の連邦通常裁判所判決は、建築設計・監理総合契約の法的性質を決定する際、ライヒ裁判所と同様に重点説に依拠したのであるが、ライヒ裁判所の判断とは逆に、その契約においては監理業務よりも設計業務のほうがより重要な業務であるとして、その性質を請負契約だと判断した。連邦通常裁判所は、まず、建築家の設計業務について、設計業務はラィヒ裁判所の考えるような監理業務のための準備作業ではないし、監理段階においても設計の重要性は減退しない、と述べる。そして、建築家のなす各業務というものは、建築計画を具体的に実現するのに必要な仕事であり、それらの業務を建築物が暇疵なく完成するようその目的に沿って行わなければならないのだから、雇傭契約的な性質ではないとする。すなわち、連邦通常裁判所は、建築設計・監理総合契約における主要な部分が設計業務にあり、またその契約における業務の法的性質を請負契約と解す

べきであるとし、このことから建築設計・監理総合契約の法的

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性質を請負契約と結論づけ、ライヒ裁判所の判例を変更したの

である。四判例変更以降⑥判例の傾向この一九五九年の判決以降、連邦通常裁判所は、建築設計・監理総合契約の法的性質を請負契約であると確認してきて(9〉いる。そして右の判例は、建築家の設計業務、監理業務の委託を内容とする契約一般、つまり、建築設計契約および建築設計・監理総合契約の他、建築監理契約をも請負契約的性質を有しているとみる方向に向かわせるきっかけにもなっている。⑪学説学説においても、この一九五九年連邦通常裁判所に採用された建築設計・監理総合契約を請負契約とする見解が支持される(Ⅶ) ようになり、現在ではこれが通説だといえよう。しかし、学説上、建築設計・監理総合契約の法的性質いかんについて請負契約と解する見解が一般的ではあるものの、その契約の法的性質を決定する際の方法については、一部異なる見解もみられる。判例・通説は重点説に依拠するが、ヘスは請負説に依拠して判断する。テンペルは結合説を主張する。他方で、学説の中にはまた、建築設計・監理契約に一つの契約類型をあてはめることについて、テンペルのごとく疑問を呈する見解もみられる。

建築設計・監理契約に関する一考察三)(花立) iテンペルの見解テンベルは、まず建築設計・監理総合契約における設計業務と監理業務は、それぞれを比較街量して一方が重要で他方が重要でないと決定することのできない等価値の業務である、とすることから出発する。そしてべ建築設計・監理総合契約は、請負契約的性質の設計業務と雇傭契約的性質の監理業務が等しく併存する内容の契約であり、請負契約法または雇側契約法のいずれか一方のみを適用して処理されるべきものではない、と主張するのである。この結合説によれば、設計業務については請負契約上の法律効果が適用され、監理業務については雇傭契約(、)法にしたがって処理されることになる。テンベルは、重点説について次のように疑問をなげかける。すなわち、建築設計・監理総合契約は異なる法的性質の内容で柵成されているのに、なぜその契約に唯一絶対的に一つの契約類型をあてはめるのか、つまり、なぜ設計業務または監理業務のどちらか一方の法的性質を変更してしまわなければならない〈脳)のだろうか、と。テンペルのこの疑問を検討してみると、たしかに、一九一四年のライヒ裁判所判決においては、建築設計・監理総合契約の法的性質が雇傭契約と解されて、その契約全体が雇傭契約法にしたがって処理されたのであるから、請負契約的性質だとされ

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法学志林第八十七巻第三号 ろ設計業務について建築家が瑠疵担保寅任を負う必要がないので、建築家の責任が軽減される結果になったことになる。他方、’九五九年の連邦通常裁判所判決では、その契約の法的性質を請負契約と解し、その契約を請負契約法にしたがって処理したのであるから、雇繍契約的性質を有するとされる監理業務についても建築家が瑠疵担保寅任を負うことになって、建築家の資任が加璽されたことになる。この点についてテンペルは、判例のように、一方の業務をその法的性質を無視して他方の業務の法律効果に従わせてしまうという法的処理のありかたは、法的安定性を害することに帰着(皿)すると批判する。そうして、建築設計・監理総〈ロ契約においては、それぞれの業務に適合した法律効果を適用すべきであり、いずれをも軽視することなく互いにまったく等しく併存する緒(M) 合契約ととら、えるべきだというのである。しかし、テンペルの右のような結合説には批判もある。なかでも、通説を代表すると思われるロッハーPR胃『〉は、次のように批判する。すなわち、建築設計・監理総合契約における個々の業務にそれぞれに相応した法律効果を適用するという法的処理は、一つの契約の中に異なる法律効果が混在することになり、時効、危険負担、および解除等に関して個別に判断を要する際に困難な問題が生じることになるであろうし、さらには 一○六

個別給付をいくつかまとめた場合にも法的処理に問題が生じる(旧)であろう、と。たしかに、ロッハーがいうように、建築家の業務を細かく検討すれば、単純に処理しえない場面がでてくるように思われる。たとえば、設計段階における業務には、設計図轡作成業務もあるが、周辺地区住民に対する説明立ち会いや、近隣建築物の調査またはそれについての指導・助言を内容とする近隣環境調査、またそれらの調査をなすスタッフの選任やスケジュールの調整といった業務も含まれる。他方、監理段階においても設計図番を補完するために図轡類の作成されることがある。右の業務が組み合わされている場合に、前者の業務については請負契約法、後者の業務については雇傭契約法にしたがって処理することが果たして何ら問題なく行えるのか、疑問に思われる。つまり、個々の業務を個別に抽出してその法的性質を検討すると、請負契約または恩傭契約(またはBGB第六七五条の有償事務処理契約)のいずれの法律効果を適用すべきか、もはやその段階で一個の問題となり、たとえば設計段階における先の業務について、請負契約法にしたがって処理をすることに疑問が生じる場合もあるように思われる。さらには、一つの契約の中で異なる法律効果が混在することになれば、問題の解決が煩雑になるおそれもあると考えられうる。伽ヘスの見解

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ヘスは、判例・通説と同様建築設計・監理総合契約の法的性質を請負契約と解すのであるが、重点説からではなく、別の観点からそのように結論づけるのである。ヘスはまず、建築家の行う設計業務と監理業務は本質的に同価値の業務であるとし、|方の法的性質を他方の性質の異なる業務にもあてはめてその法的性質を変更してしまうという判例の考え方に批判的で〈応)ある。そして、判例・通説もテンペルも設計業務と監理業務の法的性質を前者は請負契約的性質、後者は雇偏契約的性質を有しているとすることから出発しているが、ヘスは、その両方の業務、すなわち監理業務の性質もまた請負契約的性質を有していると解して、建築設計・監理総合契約を請負契約法で処理すべきだと考えるのである。そしてヘスは、監理業務の請負契約的性質について大略次のように説明する。すなわち、有体物としての建築物を実際に施工する段階においては、建築請負人は物理的・手作業的な仕事を行い、建築家は観念的な無形の仕事(Ⅱ監理業務)を行う。その意味では、両者はたしかに異なる領域において仕事をする。しかし、建築請負人も建築家も、ともに注文主の股終目的である建築物の完成に向けて仕事をなす、という意味では、両者は同じ領域で仕事をしている。つまり、建築請負人は建築物についての請負人であり、建築家は同じ建築物の『観念的な』請負人である。このことから、建築家

建築設計・監理契約に関する一考察三)(花立) の行う監理業務もまた請負契約的性質を有していると解せられ(〃)る、と。また、建築家の諸業務は、請負人の行う基礎工事や内装・外装の業務や配管設歴業務等と同様に、建築物完成に必要な業務であり、またその目的のためのみの業務であるから、(咽)請負人の行う業務と同様の性質のものだという。そしてさ・わに、BGB第六三一条の『完成』が、有体物のみを対象としているのでなく何らかの具体的な成果をもたらすことをも対象にしていること、およびBCB第六三一条第二項後段の労務提供の『結果』という概念が有体物に限定されているわけでない以上その条文が無形の観念的な仕事を排除しているとは考えられないことを根拠に、建築家の監理業務のような観念的な無形の仕事もまた請負契約の対象となるとし、この点からも建築設(四)計・監理総合契約の法的性質を請負契約だと結論づける。ヘスの見解によれば、判例・通説と同じ結論に帰着するのであるが、ヘスの見解に支持者は少ない。これは、ヘスが建築家の債務の内容について、暇疵のない設計業務・監理業務を履行するとともに建築物にも瑠疵がないことを含めることによるも(、)のと思われる。つまり、ヘスのように建築物にまで憤務の内容の範囲を拡大すると、建築物に発生したすべての暇疵が建築家の仕事の欠陥と結びつけられ、建築家にとって不当な結果が生じるおそれもあると考えられる。このことから、判例・通説

一○七

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