神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第10号 2006年3月 87
■ 修士論文要旨
中国物流産業の現状と展望についての一考察
一 中国における物流 インフラ整備の視点か ら‑
AS t u d yo ft hePr e s e n tCo n d i t i o na n dFu t u l ・ eO f t hel j ) g is t i c sI n d u s t r yi nChi n a
神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程
珊 小 青
Xi a o Qi n gR i n g
『キーワー ド
世界工場、世界市場、物流インフラ、ロジスティクス
、S CM、3 PL
、経済のグローバル化、パラダイムの転換中国が 「世界の工場」か ら 「世界の市場」へ と 変わ りつつある。今 日、世界の 目が中国市場に向 け られている。中国市場 をマクロに捉 えると、現 在 は大転換期にある。第1は 「計画経済」か ら 「社 会主義市場経済」への変貌であり、その最終 目標 は、従来の政府 と企業の関係 を完全に断ち切 り、
時代 に合致 した企業制度 を実現す ることにある。
第2は 「鎖国市場」か ら 「開放市場」へ向かって い ることであ り、 その中間点でWTO加盟 を果 た
した。
本論文 は、中国が1978年 か ら改革解放 され る につれ、経済の発展 が急速に成長す るとともに、
物流産業の重要性 を攻めて強調 し、物流産業の現 状 と問題点について分析することを目的 としてい る。いわゆる、計画経済か ら市場経済へ変革する 中国の物流市場の変化 と成長および発展過程につ いて考察 を行い、問題点 を解明することを狙いと する。
そ こで、本論文 は以下 の よ うに構成 す る。第 一章 近代中国の概況、第二章 中国物流発展の
流れ、第三章 中国物流の現状 とインフラの整備、
第四章 輸送モー ド別の物流、第五章 WTO加 盟後の中国物流市場、第六章 外資系物流企業の 中国進出 と現地企業の実例、第七章 中国物流市 場における問題点及び国 と企業の対策である。
第一章 近代中国の概況。地理 と地域の区分 と 特徴、民族、人 口、言語、教育 の特徴、 中国改 革解放の三つの側面か ら言 及す る。中国は960万 平方 キロメー トルの国土面積 を持 ち、約13億人、
56民族 を有す る。言語 は共通語 と して標準語 を 使 っているが、少数民族 は自分の言語を持つ こと も認め られている。教育 は 日本 と同 じように、小 学校6年、中学校3年 の義務教育 が ある。地形 の 特徴 は西部か ら東部へ と次第に低 くなってい る。
現在の中国では東部地域 をメインとして、3つの 経済圏で形成 されている。北京市 を中心 とした環 潮海地域、上海市 を中心 とした長江 デル タ地域 と 広東省 ・香港特別行政区 とした珠江デル タ地域で ある。中国の改革解放により、 GDPの成長率が 年々伸び、2004年の時点では、1兆9316億 ドルに
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達 し、対前年成長率 は9.5%で あ り、世界GDP ランキ ングに
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位 を占めている。第二章 中国物流発展の流れ。中国の年代別に おける、物流概念の認識 に言及 し、アメ リカと日 本 の年代別の物流概念 と比較 しなが ら考察す る。
中国物流 の概念 は1976年 に 日本 か ら導入 され た が、計画経済であったため、物流の重要性 は認識 されていなかった。改革解放 によって、物流の重 要度 が重視 されつつ あるが、物流先進国の米国 と 日本 に比べれば、 まだ大 きなギ ャップが存在 して い る。
第三章 中国の現状 とイ ンフ ラの整備。 中国 の物 流産業発展 の背景、中国 におけ る物流 の種 類、 国際貿 易、物 流 イ ンフラの整備 につ いて検 討す る。中国の物流産業発展 の背景 と しては、① 経済のグローバル化、⑦企業 コス トの削減、(参物 流産業重の要性 に対す る認識、④国民の物流 に対 す るパ ラダイムの転換の四点にまとめている。中 国における物流の種頬 は①荷主 自 ら行 う自社物流 と(参新興
3PL
業者 による他社物流の二種類 があ る。現在 は、新興3PL
業者 による他社物流 を主 流 としている。中国の国際貿易は、着実 に発展 し て い る。世界貿易 におけ る順位 で は、1978年32 位、1989年第15位、1997年 第10位 か ら、2003年には第4位 とな り、2004年 には3位、金額 は11541 億 ドルである。物流 インフラの整備では、道路 イ
ンフラ、鉄道 インフラ、港湾 インフラ、空港 イン フラの四つの側面か ら構成 している。中国の改革 解放 と同時に道路、鉄道、水運、空港の インフラ 建設 は経済発展に追いつ くため、急速に進んでい るが課題 もた くさん残 ってい る。道路建設では、
2003年 の時点で3500億元 を投資 し、全 国道路 の 総延長 は180.98万 キロメー トル、その中で、高速 道路 は2.97万 キロメー トル を占めている。鉄道 イ ンフラでは、2003年の時点で総延長 は7.3万 キ ロ に上 り、アジアでは一位、世界では三位の ランキ ング を占めてい る。港湾建 設 は1980年 か ら、急 激 に進んでい る。2003年の時点で241億元が投資 され て、 イ ンフ ラ整備 が行 われ た。バ ース数 は 2562、船舶の保有数 は内河194352腰、沿海7878
腰 で あ り、大型 化 も進 んでい る。空港 イ ンフ ラ では、2003年の時点で、137箇所 があ り、2001年 の143箇所 よ り減少 したが、空港 の規模 は大 きく なっている。航空機保有数 も延びつつ あ り、三大 ハブ空港の整備 も進んでいる。
第四章 輸送モー ド別の物流 は道路輸送、鉄道 輸送、水路輸送、航空輸送である。道路運送では トラック をメイ ンと して、2003年 の貨物 輸 送量 は約116億万 トン、貨物周転率 は7099億 トンキ ロ で あ る。鉄道 の貨物輸 送量 は221178万 トンに連 した。水運 で は、2003年 の港湾 コ ンテナ取 扱量 は4800万TEUに達 し、米国 を抜 き世界一 となっ た。問題点 としては、全体か ら見れば、① インフ ラ整備の地域不均衡、垣)物流企業規模 が小 さい、
③情報 ネ ッ トワークシステムが形成 されていない
④物流管理及び技術 とサ‑ビス レベルの低下 など が考 えられ る。
第五章 W
TO
加盟後 の中国物流市場。物 流産 業 と大 きく関わっているアパ レル産業、 自動車産 業、農産物貿易、商業、物流 コンテナ輸送業 につ いて論 じてい る。 これ らの産業 はWTOの加盟 に よって、大 きなイ ンパ ク トを受 けてい ると共 に、物流産業 もそれな りの衝撃 を受 けている。対外貿 易貨物 の90%以上 は海上輸 送 を通 じて行 われ て いるので、 コンテナの輸送量は急成長 してい るO 第六章 外資系物流企業の中国進出 と現地企業 の実例。外資系企業 として紹介 したのは世界 ネ ッ
トワークを持つ 日本通運、中国市場 に早 く足 を運 んだ山九、営業 に力 を入れている 日新の 日本企業 と中国 に投 資 し続 け る
DHL
、 中国業務 を ラ ンク ア ップ した フェデ ックス、 中国路線 を増便 す るUP S
の欧米企業である。現地企業では、国営企業 の中郵物流有限公司、民営物流企業の宝供物流企 業集団有限公司、国内最大手のEMS
中国宅配 サービス公司 を取 り上 げている。
第七章 中国物流市場 における問題点及び国 と 企業の対策。中国市場 は、市場経済へ向かって進 んでい るが、市場の未熟で、乱れているところが まだた くさんある。国 と企業の打つ手 が期待 され ていると同時に潜 んでいる発展の方向 も論 じる。
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最後に、結論 的に言 えば、中国の物流産業は市 場経済 が成長す ると同時に、大 きな発展力 と課題 が潜んでいる、その発展力 を充分に発展 させ るか ど うか、課題 を解決す ることがで きるか どうか、
国 と企業 だけの力では不十分であ り、国民 たちの 一人一人の意識 と力 を必要 しているのである。
以上のように、本論文 は、中国物流産業の現状 とインフラの整備および問題点 を論 じたものであ る。