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路面性状評価へのウェーブレット・パケット理論の適用性について

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Academic year: 2022

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(1)

路面性状評価へのウェーブレット・パケット理論の適用性について

北見工業大学 正会員 ○白川 龍生 北見工業大学 正会員 川村 彰 北見工業大学大学院 学生員 谷本 晃一 北海道開発局 正会員 大越 健司

1.はじめに

路面の平坦性は,車の乗り心地や操縦性など道路利用者の快適性・安全性に重大な影響を及ぼすものであり その測定および評価方法の確立は重要な課題である.著者らはこれまでに総合的な平坦性評価方法に関する考 察を重ねてきたが,その過程で,位置情報と周波数情報を同時識別する方法が局所的な損失箇所を特定できる 手法であり,舗装マネジメントの見地からも有効であるとの見解を得た.このことから,これらの解析を効率的 に行う方法として離散ウェーブレット理論による多重解像度解析に着目し,適用例を報告してきた 1).しかし この方法は,時間の解像度は高く各測定時間で周波数を分解できるが,周波数の解像度は高周波域で急速に劣 化する問題点を有しており,特定の周波数成分の時間変化の検出が困難である 2).この点を改良し,時間の解像 度と周波数の解像度を考慮したウェーブレットとして,近年ウェーブレット・パケット理論が注目されており, 本研究ではこの解析方法を路面プロファイルデータへ適用し,新たに得られた知見について報告する3). 2.ウェーブレット・パケット理論

離散ウェーブレット理論による多重解像度解析は,離散データに含まれる周波数帯域(角周波数 0〜πの区 間)を低域通過フィルタと高域通過フィルタによって2等分し,同時にダウンサンプリング操作によって解像 度を1/2倍する演算を低域通過フィルタ通過成分について繰り返す方法であり,式(1)に示す3).

φ

( )fm

( ) t = c

m−1,k

φ

m−1,k

( ) t

k

+ d

m−1,k

ϕ

m−1,k

( ) t

k

…(1)

ここで,

φ

( )fm

( ) t

m次における離散データの近似関 数であり,フィルタ係数と基底関数とのたたみ込み積 分の和によって表される.ここで,cm−1は低域通過フィ ルタ係数,

φ

m−1,k

( ) t

はスケーリング基底関数を示し,

φ

( )fm

( ) t

の低域通過成分を構成する.また,dm−1は高域 通過フィルタ係数,

ϕ

m−1,k

( ) t

はウェーブレット基底関 数を示し,

φ

( )fm

( ) t

の高域通過成分を構成している.な お,ウェーブレット基底関数は

φ

( )fm

( ) t

φ

m−1,k

( ) t

補空間を構成するものである.

ウェーブレット理論による多重解像度解析の概念 図を図-1 に示す.この方法は,粗い全体像を分析する 場合は有効な方法であるが,全域の周波数に関する詳 細な分析が必要な場合は,高域通過成分に対する分解 演算が要求される.ウェーブレット・パケット理論は この点を考慮したものであり,概念図を図-2 に示す.

高域通過成分の周波数帯域が細分化されている3).

図-1 ウェーブレット理論による解析

図-2 ウェーブレット・パケット理論による解析

キーワード ウェーブレット理論、ウェーブレット・パケット理論、路面性状評価

連絡先 〒090-8507 北海道北見市公園町 165 北見工業大学工学部土木開発工学科 TEL:0157-26-9520

←低域通過 成分

←低域通過 成分

高域通過→

成分

高域通過→

成分 S’

L

LL HL

LLL HLL LHL HHL

H

LH HH

LLH HLH LHH HHH S’

L

LL HL

LLL HLL

H 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑1345‑

V‑674

(2)

3.ウェーブレット・パケット理論の 適用例(路面プロファイルデータ)

局所的な損傷を含む路面プロファイル データを用いてウェーブレット・パケット 理論を適用した例を図-3 に示す.ここで分 解 レ ベ ル は 第 3 段 階 と し , 基 底 関 数 は Daubechies N=2 とした.また各成分の名称 は図-1,図-2に準拠し,入力データ(近似関 数S’)のナイキスト周波数はWave Number

=2.00m-1ある.

ウェーブレット理論では,第 3 段階まで の 分 解 は , 図 中 枠 で 囲 ん だ 成 分 (LLL 成 分,HLL成分)のみ行われており,他の6成 分については細分化できなかったが,ウェ ーブレット・パケット理論では図-3のよう にWave Number =2.00m-1までの成分を8帯 域 に 分 解 す る こ と が で き る . こ の 例 で は,10〜15m の間に局所的な損傷が含まれ ているが,これまで詳細に示されなかった

LHL〜HHH の帯域について分解成分が詳

細に示されている.特に,HHL〜HHH まで の帯域は,自動車の一般道路走行時におけ るバネ下共振域(15〜17Hz)に相当するた め,走行安全性及び耐久性等に影響を与え る.このことから,帯域を詳細に分割し局 所的な損傷の発生箇所及び振幅を検知す ることは,路面性状評価の観点からは有効 な手法であると思われる1-3).

4.今後の課題

ウェーブレット・パケット理論は,基本的に はウェーブレット理論とアルゴリズムが同一で

あることから,基底関数の種類により出力結果(特に振幅)が異なる.これは位相の影響等によるものであり, 入力データの特徴を十分に分析し,最適な基底関数を選択することが重要である3).

また,ウェーブレット・パケット理論の場合,帯域分割数が分解レベルの2nであることから,高次の分解が必 要な場合,計算が煩雑となることに注意しなければならない.このため適用方法としては,分解レベルの初期段 階において必要な帯域をある程度特定し,この帯域についての分解を繰り返す方法が最も実用的な方法と考え られる3).例えば,図-3に示すデータでは,さらに詳細な帯域分割が必要な場合,微小な成分であるLHL,LLHに ついては,これ以降は分解の必要性はないと思われる.

参考文献

1)川村ほか:ウェーブレット解析の路面評価問題への適用性について,舗装工学論文集,第2巻,pp.23-28,1997.

2)野末:最近のデータ処理技術,RRR,vol.54,No.11,pp.10-11,1997.

3)石川:臨床医学のためのウェーブレット解析,医学出版,2000.

-5 0 5

-5 0 5

-5 0 5

-5 0 5 -5 0 5

-5 0 5

-5 0 5

-5 0 5

0 5 10 15 20

-15 -101015-505

近似関数S’

(〜2.00m-1)

LLL成分 (0.25m-1)

HLL成分 (0.25〜0.50m-1)

LHL成分 (0.500.75m-1)

HHL成分 (0.751.00m-1)

LLH成分 (1.00〜1.25m-1)

HLH成分 (1.251.50m-1)

LHH成分 (1.501.75m-1)

HHH成分 (1.752.00m-1)

図-3 ウェーブレット・パケット理論の適用例 ( 横軸:距離(m), 縦軸:振幅(mm) ) 土木学会第58回年次学術講演会(平成15年9月)

‑1346‑

V‑674

参照

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