原 著 名 古 屋 市 立 大 学 看 護 学 部 紀 要 第14巻2015
基 礎 看 護 学 実 習 に お け る看 護 学 生 の ス ト レス 因 子 構 造 と対 処 行 動
金
子
さゆり1)、樅 野
香
苗1)
1)名 古屋市立 大学 看護学部 要 約 本 研 究 は、 基 礎 看 護 学 実 習 にお け る看 護 学 生 の ス ト レス 因 子 構 造 を 明 らか に し、 実 習 中 の ス トレス因 子 と ス ト レス 対 処 行 動 との 関 連 につ い て 検 討 す る こ とを 目的 に、 看 護 系 大 学2年 次 の学 生158名 を 対 象 と して 基 礎 看 護 学 実 習 の 前 後 に 無 記 名 自記 式 質 問 紙 調 査 を 実 施 した 。 実 習 中 の ス ト レス につ いて 因 子 分 析 した 結 果 、7因 子 「看 護 過 程 の 展 開 」 「教 員 ・指 導 者 との 関係 」 「患 者 ・家 族 ・医 療 者 との関 係 」 「知 識 ・技 術 不 足 」 「日々 の 実 習 計 画 」 「カ ンフ ァ レ ンス」 「学 生 同士 の 関 係 」 が 抽 出 さ れ た。 学 生 の ス トレス対 処 能 力 を 考 慮 して 実 習 ス トレス 因 子 と ス ト レス対 処 行 動 の 関 連 を検 討 した結 果 、 対 人 関係 に関 す るス トレス因 子 「教 員 ・指導 者 との関 係」 と 「患者 ・家 族 ・ 医 療 者 と の関 係 」、 お よ び、 実 習 記 録 に関 す る ス トレス 因 子 「看 護 過 程 の展 開」 と 「日 々 の実 習 計 画 」 に つ いて は学 生 の 対 処 行 動 と して 「回 避 と抑 制 」 が 高 ま る傾 向 にあ り、 さ らに 「患 者 ・家 族 ・医 療 者 との 関 係 」 と 「看 護 過 程 の 展 開 」 に関 す る ス ト レス につ いて は学 生 の 対 処 行 動 と して 「他 者 を 巻 き込 ん だ 情 動 発 散 」 が 低 くな る傾 向 にあ る こ とが 示 唆 され た 。 キ ー ワ ー ド:看 護 学 生 、 臨 地 実 習 、 ス ト レ ス 因 子 、 ス ト レ ス 対 処 行 動 、 ス ト レ ス 対 処 能 力 I.緒 言 臨 地 実 習 は看 護 実 践 能 力 の 獲 得 にお い て 極 め て 重 要 な 位 置 づ けに あ るが 、 学 生 に と って は多 大 な 緊 張 と不 安 を 抱 か せ る環 境 下 にあ る。 特 に、 看 護 教 育 の 初 期 段 階 は専 門 職 と して の 看 護 を 理 解 し、 看 護 に対 す る興 味 と関 心 を も って 学 ぶ 方 向 を 見 出 して い く重 要 な 時 期 で あ る と同 時 に 、 看 護 職 者 へ の 適 性 や 選 択 の 是 非 に対 して 疑 問 が 生 じ や す い 時 期 で もあ り、 中 に はス ト レス に対 応 で きず に不 適 応 症 状 を起 こす学 生 もみ られ る1-3)。 臨 地 実 習 で の ス ト レス 対 処 の 成 否 が 後 々 の 看 護 を 学 ぶ 姿 勢 に影 響 す る こ と は知 られ て い る こ とだ が4)、 臨 地 実 習 に お い て学 生 は どの種 の ス ト レス を 抱 え 、 そ れ らス ト レス へ どの よ う に 対 処 して い るの か 、 ま た 、 そ の 対 処 方 法 が 適 切 か 否 か に つ い て は、 教 員 側 が 事 前 に 把 握 して い るわ けで はな い 。 実 際 の と ころ 、 問 題 が 顕 在 して か らの 事 後 対 応 とな って お り、 ドロ ップ ア ウ ト しそ うな 学 生 に対 して 教 員 側 の 早 期 発 見 ・早 期 介 入 が 確 立 して い る と は言 い 難 い 状 況 にあ る。 看護 学 生 の ス ト レス 対 処 に つ い て はい くつ か の 研 究 が 報 告 され て い る。 そ れ らの 多 くは学 生 生 活 全 般 を 調 査 し た 報 告 で あ り5-8)、特 有 の ス ト レス状 況 下 に あ る臨 地 実 習 にお いて 学 生 の ス トレス対 処 行 動 を 報 告 した もの は限 られ て い る9)10)。ま た、 臨地 実 習 中 に 感 じる ス トレス に つ いて 分 析 した もの の 多 くは大 学3、4年 次 の 学 生 を 対 象 と した調 査 で あ り11-15)、これ らの知 見 を 臨地 実 習 や 看 護 技 術 の 実 践 経 験 が 少 な い大 学1、2年 次 の 学 生 へ 適 用 す る際 に は内 容 妥 当 性 の 再 検 討 が 必 要 とな る。 一 方、 基 礎 看 護 学 実 習 に関 連 した ス トレス と して 、 教 員 や 実 習 指 導 者 との 関 わ り、 教 員 と看 護 師 間 の 指 導 調 整 不 足 が 明 らか に され て い るが16)、学 生 の ス トレス 対 処 能 力 に よ る影 響 が 考 慮 され て お らず 、 的 確 か つ 具 体 的 な 指 導 方 法 を 見 出 す まで に は至 って いな い。 学 生 が 何 を ス ト レス と認 知 し、 どの よ うな 対 処 行 動 を と るか につ いて は 個 々 の ス ト レス対 処 能 力 の 影 響 を 受 け る こ とが 明 らか に され て お り17-19)、実 習 指 導 にお いて も学 生 の ス ト レス 対 処 能力 に見 合 った指 導 を行 う必 要 が あ る と考 え る。 また、 実 習 中 の ス トレス と して 実 習 記 録 物 が あ げ られ て い る が20)21)、複 数 課 せ られ る実 習 記 録 物 の うち 、 何 が ス ト レ ス とな り、 どの よ う に対 処 して い るか 等 、 学 生 の 実 習 記 録 に対 す る ス トレス認 知 お よ び対 処 行 動 の 詳 細 は明 らか に され て いな い。 そ こで 本 研 究 は、 基 礎 看 護 学 実 習 にお け る看 護 学 生 の ス トレスの 因 子 構 造 を 解 明 し、 学 生 の ス トレス対 処 能 力を 考 慮 した 上 で 臨 地 実 習 にお け るス ト レス 因 子 とス ト レ ス 対 処 行 動 の 関 連 を 明 らか に し、 基 礎 看 護 学 実 習 の あ り 方 を 検 討 す る こ とを 目的 と した 。 II.研 究 方 法 1.対 象 お よ び 方 法 A大 学 看護 学 部 の平 成23年 度 入 学 生82名 お よび 平 成24 年 度 入 学 生76名 の計158名 を対 象 に、2年 次 に実 施 され る基 礎 看護 学 実習 の前 後 に無 記 名 自記 式質 問紙 調 査 を行 っ た 。 調 査 時 期 は、 平 成23年 度 入 学 生 は平 成24年7月 ∼9 月 、 平 成24年 度 入 学 生 は平 成25年7月 ∼9月 で あ る。 A大 学 看護 学 部 の基 礎 看 護 学 実 習 は、1年 次 後 期 に1 単位5日 間 、2年 次 前 期 に2単 位10日 間 を設 定 して い る。 1年 次 は対 象 との コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを 通 して 援 助 的 関 係 を 構 築 す る こ とを 目的 と し、2年 次 は対 象 との 援 助 的 関 係 構 築 を 行 った 上 で 、 健 康 上 の 問 題 を 解 決 す る ため の プ ロセ ス(看 護 過 程 の 展 開)に つ いて 学 ぶ こ とを 目的 と して い る。 調 査 票 は基 礎 看 護 学 実 習 の 開 始 前 の オ リエ ンテ ー シ ョ ンにお い て 配 布 した 。 配 布 す る際 に、 調 査 目的 、 自由 意 思 に よ る参 加 で あ る こ と、 研 究 協 力 の 有 無 は実 習 指 導 や 成 績 ・評 価 に関 与 しな い こ と、 調 査 票 は無 記 名 で は あ る が 通 し番 号 に よ り実 習 前 後 の デ ー タ結 合 は可 能 で あ る こ と、 等 を 文 書 と 口頭 で 説 明 し、 調 査 票 へ の 回 答 を も って 同 意 とみ な した 。 調 査 票 の 回 収 は、 調 査 内 容 が 研 究 者 以 外 に漏 れ る こ とが な い よ う封 筒 に入 れ 、 鍵 付 きの 所 定 の 箱 に提 出 して も らった 。 な お 、 本 研 究 は名 古 屋 市 立 大 学 看 護 学 部 倫 理 委 員 会 の 承 認 を 得 て 実 施 して い る。 2.調 査 内 容 調 査 内 容 は 、1)基 本 属 性 、2)臨 地 実 習 に お け る ス ト レ ス 、3)ス ト レ ス 対 処 能 力 、4)ス ト レ ス 対 処 行 動 に 関 す る 項 目 で 構 成 さ れ る 。 1)基 本 属 性 年 齢 、 性 別 、 居 住 環 境 、 通 学 時 間 に つ い て 尋 ね た 。 ま た 、 臨 地 実 習 の 前 後 に お い て 睡 眠 時 間 、 主 観 的 健 康 状 態 を 尋 ね 、 主 観 的 健 康 状 態 は 「よ い 」 「ま あ よ い 」 「ふ つ う」 「あ ま り よ くな い 」 「よ く な い 」 の5件 法 で 質 問 した 。 2)臨 地 実 習 に お け る ス ト レ ス 臨 地 実 習 に お け る ス ト レ ス に つ い て は29項 目 を 設 定 した 。 こ の29項 目 は 、 看 護 学 生 の 臨 地 実 習 に 関 す る ス ト レ ス に 着 目 し た 研 究 成 果12-14)17)をも と に 、 基 礎 看 護 学 実 習 に 関 係 す る ス ト レ ス 項 目 を 抽 出 し、 研 究 者 間 で 項 目 を 選 定 した 。 各 項 目 は 「ス ト レ ス で は な い 」1点 、 「あ ま り ス ト レ ス で は な い 」2点 、 「や や ス ト レス と 思 う 」3点 、 「ス ト レ ス と思 う 」4点 の4件 法 で 質 問 し た 。 3)ス トレ ス 対 処 能 力 ス ト レ ス 対 処 能 力 の 評 価 に は 、SOC(Sense of Coherence)評 価 ス ケ ー ル 日本 語 版 の13項 目7件 法 を 使 用 し た22)23)。こ れ は ア ン ト ノ フ ス キ ー が 開 発 し 山 崎 ら に よ っ て 翻 訳 さ れ た も の で 信 頼 性 お よ び 妥 当 性 の 検 証 が さ れ て い る 。SOCは3つ の 下 位 概 念 「把 握 可 能 感 」 「処 理 可 能 感 」 「有 意 味 感 」 で 構 成 さ れ 、SOC得 点 は13∼91点 の 値 を と り、 下 位 概 念 は 「把 握 可 能 感 」 5項 目5∼35点 、 「処 理 可 能 感 」4項 目4∼28点 、 「有 意 味 感 」4項 目4∼28点 の 値 を と る 。 い ず れ も点 数 が 高 い ほ ど ス ト レ ス 対 処 能 力 が 高 い と 判 断 さ れ る 。 4)ス ト レ ス 対 処 行 動 ス ト レ ス 対 処 行 動 の 評 価 に は 、 勤 労 者 の た め の コ ー ピ ン グ特 性 簡 易 尺 度(BSCP)を 使 用 し た24)。 こ れ は 影 山 らが 開 発 した も の で 信 頼 性 お よ び 妥 当 性 の 検 証 が さ れ て い る 。BSCPは18項 目 か ら な り、6つ の 下 位 概 念 「発 想 の 転 換 」 「気 分 転 換 」 「他 者 を 巻 き 込 ん だ 情 動 発 散 」 「回 避 と 抑 制 」 「解 決 の た め の 相 談 」 「積 極 的 問 題 解 決 」 で 構 成 さ れ る 。 こ れ ら下 位 概 念 は そ れ ぞ れ3 項 目3∼18点 の 値 を と り 、 い ず れ も 点 数 が 高 い ほ ど ス ト レ ス 対 処 行 動 が 高 い と 判 断 さ れ る 。 3.分 析 回 収 さ れ た 調 査 票 の う ち 、 臨 地 実 習 の 前 後 と も に 回 答 が 得 ら れ 、SOC13項 目 とBSCP18項 目 に 欠 損 値 が な い も の を 分 析 対 象 と した 。 基 本 属 性 の う ち 、 睡 眠 時 間 と 主 観 的 健 康 状 態 に つ い て は 臨 地 実 習 の 前 後 で 、 対 応 の あ る t検 定 、x2検 定 を 行 い 、 臨 地 実 習 に よ る 影 響 を 確 認 し た 。 臨 地 実 習 に お け る ス ト レ ス の 因 子 構 造 を 明 らか に す る た め に 、 初 め に 臨 地 実 習 に お け る ス ト レス29項 目 の う ち 、 記 述 統 計 量 に よ る 分 布 の 偏 りが 顕 著 な もの(天 井 ・フ ロ ア 効 果 を み と め た も の)を 削 除 し、 次 い で 項 目 間 相 関 で 高 相 関(r>0.8)を 示 し た 項 目 を1つ に 代 表 さ せ 、 項 目 全 体 と 相 関 が 低 い(r<0.4)項 目 を 削 除 す る な ど 項 目 を 精 査 し、 最 終 的 に 臨 地 実 習 に お け る ス ト レ ス24項 目 に つ い て 探 索 的 因 子 分 析(主 因 子 法 、 バ リ マ ッ ク ス 回 転)を 行 っ た 。 な お 、 因 子 抽 出 の 基 準 と し て 固 有 値1.0以 上 を 設 定 した 。 そ して 、 抽 出 さ れ た 各 ス ト レ ス 因 子 の 信 頼 性 をCronbachの α 係 数 で 確 認 し た 。 次 に 、 抽 出 さ れ た ス ト レ ス 因 子 と ス ト レ ス 対 処 行 動 の 関 連 を 検 討 す る た め 、 先 に 臨 地 実 習 前 の ス ト レ ス 対 処 能 力(SOC)と 抽 出 さ れ た ス ト レ ス 因 子 の 関 連 、 お よ び 、 ス ト レ ス 対 処 能 力(SOC)と ス ト レ ス 対 処 行 動 と の 関 連 をPearsonの 相 関 係 数 で 確 認 し た 。 そ し て 、 ス ト レ
ス 対 処 能 力(SOC)を 制 御 変 数 と し た 臨 地 実 習 に お け る ス ト レ ス7因 子 と ス ト レ ス 対 処 行 動6パ タ ー ン の 偏 相 関 係 数 を 求 め た 。 な お 、 統 計 処 理 に は 統 計 解 析 プ ロ グ ラ ム パ ッ ケ ー ジ SPSS Ver.21を 使 用 し、 有 意 水 準 はp<0.05と し た 。 III.結 果 1.対 象 者 の 概 要 調 査 対 象 者158名 の う ち 、 回 収 数136名(回 収 率86.1%)、 有 効 回 答 数132名(有 効 回 答 率83.5%)で あ っ た 。 平 均 年 齢 は19.5歳 、 女 性123名(93.2%)が 占 め 、 ひ と り 暮 ら し は32名(24.2%)、 自 宅 か ら の 通 学 者 は99名(75%)で あ り 、 平 均 通 学 時 間 は50.4分 で あ っ た 。 睡 眠 時 間 は 、 実 習 前 の6.2±1.2時 間 に 比 べ て 、 実 習 後 は3.8±1.4時 間 で あ り、 有 意 に減 少 して い た(p<0.001)。 主 観 的 健 康 状 態 に つ い て は 、 「よ い 」 ま た は 「ま あ よ い 」 の 回 答 が 実 習 前71名(53.8%)か ら実 習 後28名(21.5%) へ と 減 少 し、 「あ ま り よ く な い 」 ま た は 「よ く な い 」 の 回 答 が 実 習 前5名(3.8%)か ら実 習 後65名(49.2%)へ と 増 え 、 実 習 前 後 で 有 意 な 差 が み られ た(p<0.001)。
2.臨 地 実 習 に お け る ス トレス の 因 子 構造 臨 地 実 習 に お け るス ト レス24項 目 につ い て 因 子 分 析 し た結 果 、累 積 寄与 率73.8%で7因 子 が抽 出 され た(表1)。 第1因 子 は看 護 上 の 問 題 を 抽 出 す るた め の アセ ス メ ン ト や 関 連 図 の 描 写 、 看 護 計 画 の 立 案 とい った 一 連 の 看 護 過 程 の 展 開 を 示 す 項 目、 さ らに、 受 持 ち 患 者 の 看 護 過 程 を ま とめ た 事 例 レポー トに関 す る項 目が 抽 出 され た こ とか ら 「看 護 過 程 の 展 開 」 と命 名 した 。 第2因 子 は、 教 員 や 指 導 者 へ の 報 告 、 教 員 や 指 導 者 によ る指 導 を 示 す 項 目が 抽 出 さ れ た こ とか ら 「教 員 ・指 導 者 との 関 係 」、 第3因 子 は、 ベ ッ ドサ イ ドで の 直 接 ケ アに 関 連 した 患 者 との コ ミュニ ケ ー シ ョンや 家 族 との 関 係 、 ケ アを 実 施 す る際 の 病 棟 ス タ ッフ との調 整 や ケ ア実 施 時 の サ ポー ト体 制 に関 す る項 目が 抽 出 され た こ とか ら 「患 者 ・家 族 ・医 療 者 と の 関 係」 と命 名 した 。 第4因 子 は、 疾 患 や 治 療 に関 す る 知 識 や 看護 技 術 不 足 を 示 す 項 目が 抽 出 され た こ とか ら学 生 の 「知 識 ・技 術 不 足 」、 第5因 子 は、 実 習 の限 られ た 時 間 で 知 識 ・技 術 に 関 す る事 前 学 習 を 行 い 、 学 内 演 習 で 学 ん だ 看護 技 術 との 乖 離 を 感 じな が ら も、 毎 日の 行 動 計 画 を 立 て て 実 習 に 臨 ま な くて はな らな い とい った 状 況 に 関 す る項 目が 抽 出 され た こ とか ら 「日々 の 実 習 計 画 」 と 命 名 した 。 第6因 子 は、 カ ンフ ァ レ ンス の 準 備 と発 表 を 示 す 項 目 が抽 出 され た こ とか ら 「カ ン フ ァ レ ンス 」、 第 7因 子 は、 グル ー プ メ ンバ ー との 協 同 や 病 棟 の 設 備 環 境 (電 子 カル テ を 閲 覧 で き るパ ソ コ ンの共 同 利 用 な ど)を 示 す項 目が 抽 出 され た こ とか ら 「学 生 同 士 の 関 係 」 と命 名 した。 以 上 、 抽 出 され た7因 子 をF1「 看護 過程 の 展 開」、F2 「教 員 ・指 導 者 との 関 係 」、F3「 患 者 ・家 族 ・医 療 者 と の 関係 」、F4「 知 識 ・技 術 不 足 」、F5「 日々 の実 習 計 画 」、 F6「 カ ン フ ァ レンス 」、F7「 学 生 同士 の 関係 」 に 関 す る ス ト レス と命 名 し、 これ らを 実 習 ス ト レス 因 子 と した 。 な お 、7因 子 のCronbachの 信 頼 係 数 は α=0.729∼ 0.924で あ っ た 。 3.ス トレ ス 対 処 能 力 、 実 習 ス トレ ス 因 子 、 ス トレ ス 対 処 行 動 の 関 連 実 習 前 の ス ト レ ス 対 処 能 力 、SOC得 点 は55.5±8.1点 で あ っ た 。 実 習 前 の ス ト レ ス 対 処 能 力(SOC)と 実 習 ス ト レ ス 因 子 で 関 連 が み ら れ た の は 、F2「 教 員 ・指 導 者 と の 関 係 」、F3「 患 者 ・家 族 ・医 療 者 と の 関 係 」、F7 「学 生 同 士 の 関 係 」 で あ り、 い ず れ も 負 の 相 関 が み ら れ た(表2)。SOCの 下 位 概 念 で あ る 把 握 可 能 感 で は 、 こ れ ら3因 子 に 加 え てF4「 知 識 ・技 術 不 足 」 で も負 の 関 連 が み ら れ た 。 ま た 、 処 理 可 能 感 と 有 意 味 感 に つ い て は、 F7「 学 生 同 士 の 関 係 」 で の み 負 の 関 連 が み ら れ た 。 他 方 、 実 習 前 の ス ト レ ス 対 処 能 力(SOC)と ス ト レ ス 対 処 行 動(BSCP)と の 関 連 で は 「発 想 の 転 換 」 「他 者 を 巻 き 込 ん だ 情 動 発 散 」 「解 決 の た め の 相 談 」 「積 極 的 問 題 解 決 」 で 正 の 相 関 、 「回 避 と 抑 制 」 で 負 の 相 関 が み られ た 。SOCの 下 位 概 念 で あ る 把 握 可 能 感 で は 「発 想 の 転 換 」 「他 者 を 巻 き込 ん だ 情 動 発 散 」 「解 決 の た め の 相 談 」 「積 極 的 問 題 解 決 」 で 正 の 相 関 、 処 理 可 能 感 で は 「他 者 を 巻 き込 ん だ 情 動 発 散 」 「解 決 の た め の 相 談 」 で 正 の 相 関 、 有 意 味 感 で は 「発 想 の 転 換 」 「他 者 を 巻 き 込 ん だ 情 動 発 散 」 「解 決 の た め の 相 談 」 「積 極 的 問 題 解 決 」 で 正 の 相 関 が み られ た 。 実 習 前 の ス ト レ ス 対 処 能 力(SOC)を 制 御 変 数 と し た 実 習 ス ト レ ス 因 子 と ス ト レ ス 対 処 行 動 の 偏 相 関 係 数 を 求 め た 結 果 、F2「 教 員 ・指 導 者 と の 関 係 」 とBSCP 「回 避 と 抑 制 」(r=0.241,p<0.01)、F3「 患 者 ・家 族 ・ 医 療 者 と の 関 係 」 とBSCP「 他 者 を 巻 き込 ん だ 情 動 発 散 」 (r=-0.172,p<0.05)お よ びBSCP「 回 避 と 抑 制 」 (r=0.241,p<0.01)、F5「 日 々 の 実 習 計 画 」 とBSCP
「回 避 と 抑 制 」(r=0.243,p<0.01)、F1「 看 護 過 程 の 展 開 」 とBSCP「 他 者 を 巻 き 込 ん だ 情 動 発 散 」(r= -0.177 ,p<0.05)お よ びBSCP「 回 避 と 抑 制 」 (r=0.222,p<0.05)と の 関 連 が 示 さ れ た(表3)。 IV.考 察 1.臨 地 実 習 に お け る ス トレ ス の 因 子 構 造 本 研 究 で は 、 基 礎 看 護 学 実 習 に お け る 看 護 学 生 の ス ト レ ス 因 子 構 造 と し て7因 子 が 抽 出 さ れ た 。 こ の う ち 、 「看 護 過 程 の 展 開 」 と 「日 々 の 実 習 計 画 」 は 実 習 記 録 に 関 す る ス ト レス 因 子 と 言 え る 。 こ れ ま で も 実 習 記 録 物 に 関 す る ス ト レ ス は 明 ら か に さ れ て お り11)14)、本 研 究 に お い て も 同 様 に 実 習 記 録 に 関 す る ス ト レ ス 因 子 が 確 認 さ れ た 。 しか し、 こ れ ま で の 知 見 と 大 き く異 な る 点 は 、 実 習 記 録 に 関 す る ス ト レス 因 子 が2つ に 大 別 さ れ た と い う こ と で あ る 。 本 研 究 は 基 礎 看 護 学 実 習 の 学 生 を 対 象 と して お り 、 基 礎 看 護 学 実 習 は 初 め て 受 持 ち 患 者 の 看 護 過 程 を 展 開 す る 内 容 で あ る が ゆ え に 「看 護 過 程 の 展 開 」 に 関 す る 実 習 記 録 へ の ス ト レス が 特 異 的 に 示 さ れ た と 考 え る 。 ま た 、 「教 員 ・指 導 者 と の 関 係 」 「患 者 ・家 族 ・医 療 者 と の 関 係 」 「学 生 同 士 の 関 係 」 は 実 習 中 の 対 人 関 係 に 関 す る ス ト レ ス 因 子 と も言 え る 。 実 習 指 導 者 の 関 わ り11)13)14)、 病 棟 ス タ ッ フ と の 関 係12)13)、患 者 と の 関 係12)13)、学 生 同 士 の サ ポ ー ト11)は、 こ れ ま で に も 明 らか に さ れ て い る 実 習 ス ト レス で あ り 、 本 研 究 で も 類 似 した 概 念 の ス ト レス 因 子 が 確 認 さ れ た 。 中 で も 、 本 結 果 で 示 さ れ た 「患 者 ・家 族 ・医 療 者 と の 関 係 」 の 項 目 を み る と 、 ベ ッ ドサ イ ドで の 関 わ り方 や ケ ア の 実 施 ・調 整 に 関 す る 項 目 が 含 ま れ て い る。 患 者 と の 直 接 的 な 関 わ り に お い て 、 ケ ア が 適 切 で な い11)、安 全 が 保 て な い11)、等 も ス ト レ ス に な り う る が 、 本 研 究 で は 患 者 との 直 接 的 な 関 わ りだ け で な く病 棟 ス タ ッ フ と の ケ ア 調 整 も 含 め た ケ ア 実 施 に 関 す る ス ト レ ス が 包 含 さ れ た 形 で 示 さ れ た と 考 え る 。 そ して 「知 識 ・技 術 不 足 」 は 学 生 の レ デ ィ ネ ス に 関 す る ス ト レ ス 因 子 で あ る と 考 え る 。 つ ま り 、 実 習 目 的 を 達 成 す る た め に 前 提 と な る 基 礎 知 識 や 技 能 が す で に 習 得 さ れ て い る か 否 か 、 学 生 自 身 の 内 的 要 因 に 起 因 す る ス ト レ ス で あ る と 考 え る 。 こ の 類 似 概 念 と して 、 学 生 の 知 識 ・ 技 術 の 準 備 不 足11)、 自 分 の 無 力 さ や 未 熟 さ25)が示 さ れ て い る 。 他 方 、 「カ ン フ ァ レ ン ス 」 は 先 行 研 究 に は み ら れ な い ス ト レ ス 因 子 で あ り 、 本 研 究 の 特 徴 的 な 結 果 と 考 え る 。 本 研 究 に お い て 対 象 と な っ たA大 学 の 基 礎 看 護 学 実 習 で は、 昨 今 の チ ー ム 医 療 の 推 進(チ ー ム カ ン フ ァ レ ン ス) を 意 識 し、 臨 地 実 習 で 遭 遇 す る 問 題 解 決 の 場 と して カ ン フ ァ レ ンス を 位 置 づ け て い る 。 学 生 が 問 題 意 識 を 持 ち 、 主 体 的 に 運 営 す る カ ン フ ァ レ ン ス を 導 入 して い る 実 習 内 容 で あ る こ と が 、 こ の ス ト レ ス 因 子 の 抽 出 に 影 響 した と 考 え る 。 以 上 の こ と か ら、 こ れ ま で も 看 護 学 生 の 実 習 中 の ス ト レス 要 因 と して 、 記 録 物 の 多 さ 、 実 習 指 導 者 や 教 員 と の 関 係 、 受 け 持 ち 患 者 と の 関 係 な ど が 明 らか に さ れ て い た が11)-14)、本 研 究 で は よ り 細 分 化 さ れ た 形 で 実 習 中 の ス ト レ ス 因 子 構 造 が 明 らか に な っ た 。 ま た 、 抽 出 さ れ た7因 子 す べ て に お い てCronbachの α 係 数 が0.7以 上 を 示 し て い た こ と か ら、 各 因 子 の 内 的 整 合 性 は 確 保 さ れ た と 考 え る 。 2.ス トレ ス対 処 能 力 、 実 習 ス トレス因 子 、 ス トレス対 処 行 動 の 関 連 実 習 前 の ス トレ ス対 処 能 力(SOC)と 実 習 ス トレ ス 因 子 で 関 連 が み られ た の は、 「教 員 ・指 導 者 と の 関係 」 「患 者 ・家族 ・医 療者 との 関係 」「学 生 同士 の関係 」 で あ っ た 。 これ らの ス ト レス 因 子 は実 習 中 の 対 人 関 係 を 表 す も の で あ り、 これ まで もSOCが 高 い人 は 自己 表 明 や対 人 的 積 極 性 が 強 く、 他 者 意 識 や 対 人 緊 張 が 低 い こ とが 示 さ れ て お り27)、ス トレス対 処 能 力 が 高 い ほ ど対 人 関 係 で 抱
え るス ト レス を 感 じに く くな る傾 向 にあ る こ とが 再 確 認 され た。 ま た、 これ ら3つ の ス ト レス因 子 はSOCの 下 位 概 念 で あ る把 握 可 能 感 との 関 連 もみ られ た 。 把 握 可 能 感 と は 自分 の 置 か れ て い る状 況 を 理 解 ・把 握 で き る とい う感 覚 の こ と で あ る22)。学 生 の 身 に、 い ま何 が起 きて い るの か 、 何 が 起 こ ろ う と して い るの か 、 とい った 学 生 の 状 況 認 識 力 を 高 め る こ とで 、 学 生 は実 習 中 の 対 人 関 係 に 関 す る過 度 な ス トレス を避 け られ る可 能性 が示 唆 され た。 ま た 、 この 把 握 可 能 感 と学 生 の 「知 識 ・技 術 不 足 」 に関 す るス ト レス との 関 連 が 示 され た こ とか ら、 学 生 自身 が 置 か れ て い る状 況 を 正 し く理 解 し、 把 握 す るた め に は学 生 の レデ ィネ ス も重 要 な 要 因 にな る と考 え る。 よ って 、 教 員 や 実 習 指 導 者 は学 生 の レデ ィ ネス を 把 握 し、 学 生 の 置 か れ た 状 況 を 学 生 自身 が 冷 静 に判 断 で き る よ う に指 導 して い く必 要 が あ る と考 え る。 さ らに 、 上 述 した3つ の ス ト レス 因 子 の うち 「学 生 同 士 の 関 係 」 は把 握 可 能 感 だ けで な く、 処 理 可 能 感 や 有 意 味 感 との 関 連 も示 され た 。 処 理 可 能 感 と は、 ス ト レス を もた らす 出 来 事 に対 して 自分 に は有 効 な 対 処 資 源(人 や モ ノ等)が あ り、 何 とか や って い け る と思 え る感 覚 の こ とで あ る22)。ま た、 有 意 味 感 と は、 ス トレス を もた らす 出 来 事 を 自分 に と って の 挑 戦(そ れ を 乗 り越 え る こ と は 人 生 で 必 要 な こ と)だ と信 じ、 や りが い や 生 き る意 味 を 見 出 せ る感 覚 の こ とあ る22)。実 習 で 遭 遇 す る 困難 な状 況 に つ い て学 生 同 士 で 共 有 し合 い 、 解 決 に向 けた 方 策 を 引 き出 せ るよ うな 、学 生 同 士 の グル ー プ ダイ ナ ミクス を 考 え た 実 習 配 置 や サ ポー トが 求 め られ る と考 え る。 次 に、 実 習 前 の ス ト レス対 処 能 力(SOC)と ス ト レ ス 対 処 行 動 の関 連 で は、SOCが 高 い ほ ど 「発 想 の転 換 」 「他 者 を 巻 き込 ん だ 情 動 発 散 」 「解 決 の た め の相 談 」 「積 極 的 問 題 解 決 」 行 動 が 高 ま る可 能 性 が 示 さ れ 、SOCが 高 い ほ ど 「回 避 と抑 制 」 行 動 が 低 くな る可 能 性 が 示 され た 。 これ ま で もSOCの 高 い学 生 は積 極 的 問 題 解 決 型 行 動 や 視 点 の転 換 に 関 す る行 動 を と る傾 向 に あ る こ と、 SOCの 低 い学 生 は諦 め や 放 棄 と い った 回 避 型 行 動 を と る傾 向 に あ る こ と が知 られ て お り17)18)、本 研 究 に お い て も同 様 の 傾 向 が 確 認 され た 。 以 上 を 踏 まえ て 、 臨 地 実 習 にお け るス ト レス 因 子 とス ト レス 対 処 行 動 との 関 連 を 検 討 す る際 に は、 学 生 の ス ト レス対 処 能 力 によ る影 響 を考 慮 す る必 要 が あ る と考 え る。 これ まで の 報 告 で は、 臨 地 実 習 にお け る ス ト レス と ス ト レス 対 処 行 動 の 関 連 につ い て 学 生 の ス ト レス 対 処 能 力 を 考 慮 して お らず 、1つ の ス ト レス に対 して 複 数 の 対 処 行 動 との 関 連 が 示 さ れ て お り9)、的 確 か つ 具 体 的 な指 導 方 法 を 見 出 す ま で に は至 って い な い 。 本 研 究 で は、 実 習 前 の ス ト レス 対 処 能 力 を 制 御 変 数 と し、 実 習 ス ト レス 因 子 とス ト レス 対 処 行 動 の 関 連 を 求 め た 結 果 、 実 習 中 にお け る学 生 の 特 徴 的 な ス ト レス対 処 行 動 が 明 らか にな った 。 す な わ ち、 ス ト レス対 処 と して ネ ガ テ ィ ブ行 動 で あ る 「回避 と抑 制 」 は、 教 員 や 指 導 者 、 患 者 ・家 族 ・医 療 者 との 関 係 にお いて み られ る行 動 パ タ ー ンで あ る こ とが 示 唆 され 、 さ らに、 患 者 ・家 族 ・医 療 者 との 関 係 に よ る ス トレス にお いて は 「他 者 を 巻 き込 ん だ 情 動 発 散 」 行 動 が 低 くな る傾 向 に あ る こ とが 示 唆 さ れ た 。 「回 避 と抑 制 」 と は諦 め や 放 棄 、 責 任 回 避 、 思 考 停 止 と い った 問 題 焦 点 型 対 処 行 動 とさ れ る24)。今 回 、 学 生 は ス トレス を 感 じる ほ ど、 この 行 動 が 高 ま る可 能 性 が 示 され た こ とを 踏 まえ て 、 学 生 の 学 習 態 度 と して 諦 め や 放 棄 な どの 行 動 が み ら れ た場 合 は適 切 な問題 解 決型 対 処行 動 が とれ るよ うサ ポ ー ト して い く必 要 が あ る と考 え る。 一 方 、 「他 者 を巻 き込 ん だ 情 動 発 散 」 と は他 者 に 自分 の 不 快 な 感 情 を 聞 いて も ら った り、 ぶ つ け た りす る情 動 焦 点 型 対 処 行 動 と され る24)。今 回 の分 析 結 果 に お い て 患 者 ・家 族 ・医療 者 との 関 係 で ス ト レス を 感 じる ほ ど、 この 行 動 が 低 くな る、 つ ま り感 情 表 出 しな くな る可能 性 が 示 され た とい うこ と は、 学 生 はス ト レス を 感 じて い て もそ の ス ト レス を 表 出 せ ず に一 人 で 抱 え 込 む 可 能 性 が 高 く、 適 切 な 対 処 行 動 が 行 わ れ な くな る と考 え られ る。 教 員 や 実 習 指 導 者 は、 逃 避 行 動 を み せ る学 生 、 例 え ば 、 理 由 を つ けベ ッ ドサ イ ドに行 きた が らな い 学 生 、 教 員 や 指 導 者 に よ る指 導 を 避 け よ う とす る学 生 だ けで な く、 感 情 表 出 しな い 学 生 に対 して も 意 図 的 に声 を か け るな ど、 注 意 深 くサ ポ ー ト して い く必 要 が あ る と考 え る。 また 、 日々 の 実 習 計 画 や 看 護 過 程 な どの 実 習 記 録 物 へ の ス ト レス対 処 と して み られ る行 動 パ タ ー ンにお いて も 「回避 と抑 制 」 や 「他 者 を 巻 き込 ん だ情 動 発 散 」 の 関 連 が 示 され た こ とを 踏 まえ て 、 記 録 が 書 けな い 、 記 録 を 書 い て こな い 、 記 録 内 容 が 十 分 で な い 、 感 情 表 出 しな い、 な どの 学 生 に対 して も上 述 した サ ポ ー トが 必 要 で あ る と 考 え る。 3.本 研 究 の 限 界 と今 後 の 課 題 本 研 究 は基 礎 看 護 学 実 習 にお け る ス ト レス要 因 を 把 握 す る た め に 、 先 行 研 究12-14)17)をも と に研 究 者 間 で独 自の 調 査 項 目を 設 定 した もの で あ る。 今 回 の 結 果 は1施 設 を 対 象 と した もの で あ り、 実 習 環 境 が 異 な る他 施 設 へ の 適 応 、 また 、 他 領 域 の 看 護 学 実 習 にお いて この 調 査 項 目を 使 用 す る場 合 はあ らた め て 信 頼 性 の 検 証 を 行 う必 要 が あ る。 そ して 、 本 研 究 対 象 者 のSOC平 均 得 点 は55.5点 で あ り、 先 行 研 究 で示 され て い る 同世 代 の一 般 大 学 生23)、医 療 福 祉 系 大 学 生26)、看護 系大 学 生27)、看 護 学 生18)28)と比 較 して もSOC平 均 得 点 が4∼6点 ほ ど高 い結 果 で あ った。 本 研 究 の 結 果 は調 査 対 象 の ス トレス対 処 能 力 が 比 較 的 高
い 集 団 で あ っ た と 考 え る 。 V.結 論 基 礎 看 護 学 実 習 にお け る看 護 学 生 の ス ト レス 因 子 と し て 、7因 子 「看 護 過 程 の 展 開 」 「教 員 ・指 導 者 との関 係 」 「患 者 ・家族 ・医 療 者 との関 係 」 「知 識 ・技 術 不 足 」 「日々 の 実 習 計 画」 「カ ン フ ァ レ ンス」 「学 生 同 士 の 関 係 」 が 抽 出 され た 。学 生 の ス ト レス 対 処 能 力 を 考 慮 して 、 実 習 ス ト レス 因 子 とス ト レス 対 処 行 動 の 関 連 を 検 討 した 結 果 、 対 人 関係 に関 す るス トレス因子 「教 員 ・指 導 者 との 関係 」 と 「患 者 ・家 族 ・医療 者 との 関 係 」、 実 習 記 録 に 関 す る ス ト レス 因 子 「看 護 過 程 の 展 開 」 と 「日々 の 実 習 計 画 」 に つ い て は、学 生 の 対 処 行 動 と して 「回 避 と抑 制 」 が 高 ま る傾 向 に あ り、 さ らに 「患 者 ・家 族 ・医療 者 との 関係 」 と 「看護 過程 の 展 開」 に 関 す るス ト レス に つ い て は 「他 者 を 巻 き込 ん だ情 動 発散 」 行動 が 低 くな る傾 向 に あ る こ とが 示 唆 され た。 謝 辞 調 査 票 の作 成 に あ た り ご協 力 い た だ き ま した 前 ・名 古 屋市 立 大学 看護 学 部 助 教 の 臼 井 麻 里 子 氏 に 感 謝 い た しま す。 本 研 究 は平 成24・25年 度 名古 屋 市 立 大 学 特 別 研 究 奨 励 費 「看護 基 礎教 育課 程 に お け る実 習 指 導 体 制 の 再 構 築 に 関 す る研 究(研 究 代 表 者:金 子 さ ゆ り)」 の 研 究 成 果 の 一 部 で あ る。 ま た、 本論 文 の一 部 は、 第33回 日本 看護 科 学 学 会学 術 集 会 に お い て 発 表 した。 文 献
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と の 関 係,心 身 健 康 科 学,4(2),111-116,2008. 19)高 橋 ゆ か り,本 江 朝 美,古 市 清 美,他:精 神 看 護 学 実 習 に お け る 看 護 学 生 の 対 人 ス ト レス コ ー ピ ン グ, 上 武 大 学 看 護 学 部 紀 要,6(2),9-19,2011. 20)近 村 千 穂,石 崎 文 子,小 山 矩,他:看 護 臨 床 実 習 に お け る ス ト レス 状 況 と 性 格 と の 関 連,県 立 広 島 大 学 保 健 福 祉 学 部 誌,7(1),187-196,2007. 21)奥 百 合 子,常 田 佳 代,小 池 敦:看 護 学 生 の 臨 地 実 習 に お け る ス ト レ ス,医 学 と 生 物 学,155(10),705-712,2011. 22)山 崎 喜 比 古,戸 ヶ 里 泰 典,坂 野 純 子:ス ト レス 対 処 能 力SOC,有 信 堂,東 京,2008. 23)遠 藤 伸 太 郎,満 石 寿,和 秀 俊,他:13項 目7件 法 Sense of Coherence scale(SOC-13)の 信 頼 性 と1 因 子 モ デ ル の 妥 当 性 に つ い て の 検 討:大 学 生 を 対 象 と した デ ー タ か ら,立 教 大 学 コ ミ ュ ニ テ ィ 福 祉 学 部 紀 要,15,25-38,2013. 24)影 山 隆 之,小 林 敏 生,河 島 美 枝 子,他:勤 労 者 の た め の コ ー ピ ン グ 特 性 簡 易 尺 度(BSCP)の 開 発 一 信 頼 性 ・妥 当 性 に つ い て の 基 礎 的 検 討,産 業 衛 生 学 雑 誌,46(4),103-114,2004. 25)高 島 尚 美,大 江 真 琴,五 木 田 和 枝,他:成 人 看 護 学 臨 地 実 習 に お け る 看 護 学 生 の ス ト レス の 縦 断 的 変 化 心 理 的 ス ト レ ス 指 標 と 生 理 的 ス ト レ ス 指 標 か ら,日 本 看 護 研 究 学 会 雑 誌,33(4),115-121,2010. 26)落 合 龍 史,大 東 俊 一,青 木 清:大 学 生 に お け る SOC及 び ラ イ フ ス タ イ ル と 主 観 的 健 康 感 と の 関 係, 心 身 健 康 科 学,7(2),35-40,2011. 27)本 江 朝 美,高 橋 ゆ か り,古 市 清 美:看 護 学 生 の Sense of Coherenceと 自 己 お よ び 他 者 に 対 す る 意 識 と の 関 連,上 武 大 学 看 護 学 部 紀 要,6(2),1-8, 2011. 28)澤 目 亜 希,佐 藤 厳 光,上 原 尚 紘,他:看 護 系 専 門 学 校 生 の 抑 う つ 症 状 と ス ト レ ス 対 処 能 力(SOC)と の 関 連 に つ い て,北 海 道 医 療 大 学 看 護 福 祉 学 部 学 会 誌,7(1),89-92,2011.
Stress
Factors
and
Coping
Behaviors
of
Nursing
Students
during
Fundamental
Clinical
Practice
Sayuri Kaneko,
Kanae Momino
Nagoya City University School of Nursing
Abstract
The purpose of this study is to clarify the structure of stress factors during fundamental clinical practice and the relations stress factors and coping behaviors of nursing students. This descriptive cross-sectional study was conducted with 158 nursing students of second year undergraduate students from nursing department of a university, was investigated before and after fundamental clinical prac-tice. Factor analysis on clinical practice related stressors revealed seven factors. The seven factors were named "nursing process" , "relationships with teachers and clinical instructors" , "relationships with patients, families, and health care staff", "lack of knowledge and skills of student", "daily planning in
clinical practice" , "conferences" , and "peer relationship" . There was correlation between these stress factors and coping behaviors. For avoidance and suppression as coping behaviors, the result shows a significant positive, that is, there was relation to the stressors "relationships with teachers and clinical instructors" , "relationships with patients, families, and health care staff" , "nursing process" , and
"d
aily planning in clinical practice" . Moreover, for the nursing students with high coping behaviors such as emotional expression involving others, there was negative relation to the stressors "relation-ships with patients, families, and health care staff" and "nursing process" .
Key Words: nursing students, fundamental clinical practice, stress factors, coping behaviors, sense of coherence,