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鉄棒における前方支持回転の技能と技術認識の関係

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鉄棒運動における前方支持回転の技能と技術認識の関係

TheRelationbetweenTheSkillandtherecognitionofTheFrontRollonTheHorizontalBar 医療法人伯鳳会 松谷昌典 MasanoriMatsuta血(MedicalCo王pOrationHalmhoukai) 体換教室に参加する児童において,技能が早期に上達する児童とそうでない児童の 二極化がみられた.上達する児童を観察すると練習中に試行錯誤して取り組む様子 がみられるが,上達しない児童においてはそれがみられない.この背景には,練習 に必要な技術認識の欠如が推定された. そこで本研究では,技能と認識について調査を行い,両者の関係を明らかにしよ うとした.その結果,認識レベルの向上とともに技能の高まりが認められた.また, 試行錯誤は「全くできない」レベルよりも「できる」ようになるにつれて増加し, その後は減少するという傾向が確かめられた. キーワード:器械運動,鉄棒,前方支持回転,技能,認識

1.緒 言

体操教室に参加する児童において,技能レベ ルが短期に上達する児童と,そうでない児童の 二極化がみられた.練習中の様子を観察すると, 技能が上達する児童には,技の習得過程におい て試行錯誤する様子がみられた.しかし,上達 していない児童にはそのような傾向が認めら れなかった.これらのことから,上達する児童 には,試行錯誤に必要な技術認識があるが,上 達の遅い児童には技術認識の欠如があるので はないかと推察された.すなわち,技能の上達 には技術認識の有無が関係していると考えら れた. そこで,本研究では技術認識の程度と技能の 関係を検討しようとした. 2.方 法 2.1対象 兵庫県内の体操教室に通う小学3年生∼6年 生の児童,51名(男子38名,女子13名)を 対象とした. 2.2 調査時期 平成21年11月2日から11月23日の間, 対象の通う県内5つの体操教室において調査を 実施した. 表1.各体操教室の児童数と調査日 体 操教 室名 称 児童 数 調 査 日 H 体 操教 室 4 11 月  2 日 N 体 操 教室 6 11 月 2 0 日 A 体 操 ク ラブ 6 11 月 2 1 日 ス ポー ツ少年 団 2 8 11 月 2 3 日 R 体 操 ク ラブ 3 M 体操 クラブ 4 2.3 技術認識の質問紙作成 阪田3)の研究で用いられた技術についての 認識項目を参考に,技術認識の状況を調査する 質問紙を作成した.質問の構成は,①指導者の 指導に対する認識,②他者存在に対する認識, ③自己努力による認識の3つの観点からなる6 つの質問で構成し,各質問に対して自由記述に よって回答させた. 表2.質問紙の内容 1.先生が言ったことで気づいたこと,わかったこ とはありますか? 2.先生の補助で気づいたこと,わかったことはあ りますか? 3.友だちの練習を見て気づいたこと,才力りたこ とはありますか? 亀 ほか硯瑠恥Tてわかったことはありますか? 5.日分が練習して工夫したことや苦労したこと, 努力したこと,発見したことがありますか? 6.本やインタ・「ネットで調べて才力ゝったことや気 づいたことはありますか? 2.4 回答内容の分析 質問紙に記述された内容を,表3に示す4つ の観点で分類し,認識の程度に応じて4段階に て評価した. 表3.質問紙分析の観点 分類 の観 点 認識 区分 抽 象 的 1 学 習 内容 の羅 列 2 体験 的 な記 述 3 技 術 分析 的, + αの技術 4 −1−

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2.5 技能評価 前方支持回転の技能は,表4に示す5段階で 評価した. 表4.技能評価の観点 技 能 区分 評 価 の観 点 1 ま った くで きな い 2 で きそ う 3 で き る (なん とか で き る含 ) 4 いつ で もで き る 5 上 手 にで き る 3.結果ならびに考察 3.1回答内容の分析 表5は全被検者の質問紙記述内容とその評価 および技能レベルを一覧で示したものである. また,指導記録にみられる試行錯誤があった かどうかも合わせて示した. なお,一覧表は技能認識のレベル順にならべ たものである. 表5.質問紙の回答内容と認識レベルおよび技能・試行錯誤 児 土 星 番 l:::l ‘事ヲ 性 別 学 年 認 識 の 回 答 と評 価 (原 文 の ま ま ) 認識 のレ ベル 技 能 指導記 録にみら れる試行 錯誤 3 F 4 ③ わ た しは 一 回 点 しか で きな い け れ ど ほ か の 子 は 3 .4 回 点 す る⑤ 1 2 × さい ごま で 回 りき るの が 苦 労 しま す . 4 F 3 ⑤ 学 校 で 練 習 した け ど で き な か った . 1 1 × 9 M 3 な い 1 1 × 12 M 5 ⑤ 公 園 で 友 だ ち に お しえて も らった .努 力 は 学 校 で 休 み 時 間 に し −た . 1 4 × 14 M 3 ① 前 に ふ つ うに 回 る とい い と,言 って い た .③ す ご く努 力 を して いた . 1 3 ○   ̄ 2 4 M 3 ① 体 操 の て つ ぼ うは ,足 あ げ て しな さい と言 わ れ た .⑤ さい しょお なか が い た くて あ ま りで き な か った け ど ,だん だ ん な れ て きた 1 1 × 2 9 M 6 ① 回 り方 . 1 1 × 4 0 M 3 ① い き お い を つ け る④ こわ が らな い ⑤ さい しよか らさい ごま で しゆう 1 1 × ち ゆうす る . 4 1 M 3 ① 頭 で で き る ことを 考 え る .⑤ お しえ て もらった ことを くろうして や っ 1 1 × た . 1 F 3 ① ま え ま わ りの 時 に ,ち ょっ とは や か った り,お そ か った り頭 を ま わ 2 3 ○ す .⑤ ま え ま わ りの 時 に ,ち ょっとは や か った り,お そ か った り頭 をま わ す . 6 M 3 ① 足 を ま げ て ス ピー ドを つ け て 回 る .手 を しっか りに ぎ って 足 で おち 2 1 × な い ように す る ② あ L を うしろ に す る こと③ あ L を つ よく上 に あ げ る こ と④ ち ゃん とあ L を 上 に あ げ る⑤ ほ ん きで あ L にち か らをい れ て 上 に あ げ る こと⑥ じょそ うを つ け て す る こと 7 M 4 ① お な か をて つ ぼ うに お しつ け る .② せ な か をお して も らった 2 1 × 1 0 F 3 ① 足 とお な か を は な さな い ように す る こと② 足 とお な か を は な さな い 2 1 ○ よ うに す る こと③ ゲ ル ツとス ム ー ズ に す るこ と.④ もっとが ん ば るって い うこと⑤ もっ とが ん ば らな い とで きな い とい うこと 2 5 M 4 ① は しを の ば す 2 1 × 2 6 M 4 (D 腹 を て つ ぼ うに くっつ け る . 2 1 × 2 7 M 4 ① 足 を の ば す .手 を ま げ る .③ 足 を の ば して い る 人 が い ま した .⑤力 が い る こと 2 1 × 2 3 M 4 ① 足 をち ゃ ん と曲 げ る こと⑤ あ る 2 1 × 3 0 M 3 ① うで を ま げ る③ い き よ い を つ け て ま わ って い た 2 1 ○

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32 M 5 ㌢ 宗 旨墨 ㌶ 怨 豊 豊 りしてあとでい きよいことす − : 2  3 。 33 M 5 ① しせ いをの ぴ ては しをふ る.ま えにあL をやっている.③ ふ りお ろ i している④ しせ いをの ば す とか ,まえにふ りおろし⑤ しせ いをの ば  _: 2   3   0 す .ふ りおろす . 35 M 4 票 票 霊 宝豊 昔 芸 宕㌘ 手 をまわ して いた・⑤ い きお i 2  2 。 36 M 4 ① 足 を曲 げる⑤ あL を曲 げる       i 2   3   0 37 F 4 票 票 ・こわ が ら租 てつ ぼ うか ら体 をは なさな い ・⑤ いき ! 2  3 。 39 F 3 ① うでをの ば す       ! 2  1  × 44 M 4 ㌘ じをあ げな が らまわ るj わ るときうでをの ばす ・② す ば や く回 i 2  2  × 48 M 4 禁 急き認 諾 ㌫ 慧 票 箕 、雷 l宗 吾 ㌫ 監 禁 ㍉ 2  3 。 49 M 5 票 票 ② いきおい が つく③ いきお いが あった⑤ いきをいをつ け i 2  3  × 50 F 6 ③ 体 をの ばした り,ちじめた りす ること.④ 早 く回 る⑤ 早 く回 ること. : 2   4   0 5 1 F 6 ③ うま かった .そ して 丸くしていた .⑤ 早 く回 る         i 2   4   0 2 M 3 慧 慧 票 慧 号芸濃 票 誓 おきあ が る・⑤ 頭 を大 き i 3  4 。 5 M 6 ① 回っている時 の か たなどの 位 置 ・② 回 って,最 後 の 所 でどうす る i か が分 かった .⑤ ま だ,スム ー ズ に回 れ ない けど,ス ムー ズ に回 る : 3   3   0 ことを努 力 して いる. 8 F 5 ① 前 ま わ りみ たい に,前 の 方 まで,’くるということ.② 鉄 ぼ うに近 ず く ! ことが わ か った .③ いきおいをつ けること.⑤ おきあが るの に ,いき : 3   2   × お いが いること. 11 M 6 監 豊 豊 ば できるか も知 れ ない と思 った ・⑤ 勢 いをつ け … 3 − 4  × − 13 M 3 霊 だおちい さくす る② か たが まい にいった③ ここわ ひざをま げる i 3  4  × 3 4 M 4 監 禁 芸 完 猛 悪 をあげ るくま げる)⑤ いきよいをつ けて でき i 3  2 。 4 2 M 5 ① 上 が った時 に,あ L をふ らず に ,顔 の いきおい でまわ るとわか っ た .⑤ 工 夫 した こと顔 をあ げて,おもっきりふ る.苦 労 した ことまわ っ  ̄! 3  3  0 てか ら,ふくが か らま る. 45 M 5 ① 遠 くを見 てまわ る.てつ ぼうは ,こしか らはなれ ないようにす る.② i

認諾禁忌

豊雷㌫ 認諾で

豊‡

豊富

票忘!

3 5 ×

l ず にや った . 46 M 3 ① ひざ しめ る・アゴ・半 分 にきたらまきつ ける・② いきおいをつ けな i きゃい けな い .⑤ うしろまわ りでまげると(ひ ざ)い わ れ ていた けど, : 3   2   0 の ば したらできた ! 47 M 5 ① 遠 くを見て や る.ひ ざをまげ てやる.② せ なか をおしていきおい を i

謂鐙濫悪霊慧謂豊豊霊濫訟 3 4 ×

が できな い. 15 F 6 ① ひ ざやつ まさきが わ れ てい たり,きたな かったりした事 ② 自分 の

詣霊霊宗

票 芸

濃票豊 禁禁慧豊

富:

4 4 ×

ばそうとした 16 F 6 富票芸㌫ 芸孟雷 雲 票 鎧 霊 慧 詔 笠 ん力で i 4  4  × 一3−

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17 M 5 ① へ そ を見 てへ そ にちか ず こん と思 ったら,まわ れ るとわ かった⑤足をま げるとまわ りや す く速 くなった 4 5 × 18 M 6 ① 重 心を前 にか け ると回 りやす い .こしが の ぴ た後 にまげ ると回 り 4 5 × やす い .② 手 が す ば やくうごいている .③ ひ ざをま げてい きお いをつ けている ・④ 体 が パ ー か らはなれ て いろ⑤ ひざをまげず にまわ ると き,いきおい が つか な か ったの が た いへ んだ った . 19 M 6 ① 本 当 は い けない けど,初 め は ひざを曲 げ るとまわ りやす か った. 4 5 × ② 自分 が や ってい るとき,体 が お きあ が っていれ てな か った.③ か ら だ が まっすぐになって いて,前 回 りおりにならてい た.⑤ ひ ざをの ば そうとす ると,か らだ が まわ って,なか なか 成 功 しなか った . 20 M 4 ① ス ピー ドをつ けて回 る.か た を前 に出 して 回 る.② 前 まわ りは ,ふ 4 5 × つきんもち ょっとは つよくしないとい けない .③ ふ っきん が 弱 い .⑤ 先 生 に言 わ れ た ようにが ん ば った. 2 1 F 5 ① パ ー をお してか ら遠 くに回 る.前 を見 てか ら回 る.② 上 が ってくるとき体 をまるめ る③ 始 め か ら回 ろうとしては い けない 4 5 × 22 F 5 ① 通 回 りで 回る.前 を見 る.② 上 が る時 に上 が りや す い.③ 回 ろうとして近 回 りして は い けない . 4 5 × 23 M 6 ① 足 を曲 げれ ば速 く回れ る事 が わ か った .④ 身体 をの ば して は だめ .⑤ 足 を曲 げ ていた らいくらでも回れ る事 を発 見 した. 4 5 × 3 1 M 6 (D 最 初 は 足をの ばす と体 が 鉄 棒 か らはなれ るの で,足 をまげ てや っ 4 4 × た .⑤ 1 の 練 習をたくさん や っていた らしぜ ん と前 回 りが できるように なった . 38 M 4 ① 足 をの ば す .⑤ 足 を曲 げると回 りや す い . 4 4 ○ 43 M 5 ① ひ じを前 に出 す .回るしゆん か ん にうでをの ばす .回 るしゆん かん 4 3 ○ にあごを下 げ る.⑤ 前 に回 るわ ざは 回 るしゆん か ん に あごを下 げ る. 3.2 技能と認識の関係 図1は,51名の全被検者を対象に,技能レベ ルとアンケート調査の回答で評価した認識レ ベルの関係を示したものである.両者の間にy= 0.5159Ⅹ+1.0336(Ⅹ=技能レベル,y=認識レベ ル),R=0.723の有意な相関関係のあることが 認められた.すなわち,認識レベルの高い児童 ほど技能レベルが高い傾向があることが認め られた. しかし,図中の吹出で示すように認識レベル が1であるにもかかわらず,技能レベルが3以 上を示す者や,認識レベルが4であるのに技能 レベル3の児童の存在が認められた.前者は技 能先行型児童,後者は認識先行型児童と名付け られる.前者は認識を高めることで,後者は認 識をイメージ化できる助言や補助,師範などの フィードバックを与えることで,より上手にす ることができると考えられた. 3.3 技能と試行錯誤 図2は,技能レベル毎に練習において試行錯 誤をしている児童の割合を示したものである. 技能レベルが1で全くできない者は試行錯誤が ほとんどみられず,3のできるレベルで最も試 行錯誤をしている児童の割合の多いことが認 められた.しかし,技能レベル5の上手にでき る児童は,全く試行錯誤がみられなくなった. このことは前方支持回転技能が習熟し,技の自 動化が進んでいることを示唆している. これらのことから,技能レベルが1の児童に は,助言や師範,教示などにより,技のポイン トの把握をさせることで試行錯誤が始まると 考えられた.また,試行錯誤がみられるときに 技の出来栄え等をフィードバックしてあげれ ば技能がイメージ化され,上達を促進させるこ とができると考えられた. 3.4 技術認識と試行錯誤 図3は,技術認識レベルと試行錯誤をしてい る児童の割合を示したものである.技術認識が 1で抽象的な者は試行錯誤がほとんどみられず, 2の学習内容の羅列および,3の体験的記述が 始まるレベルで最も試行錯誤をしている児童 の割合が多いことが認められた.しかし,4の 技術分析的,+αの技術を記述する児童の試行 錯誤はほとんどみられなくなった.このことは, 前方支持回転の動きを意図的に調節したり意 識しなくても技ができるレベルに到達してい

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ることを示唆している. このことから,1の技能認識が未熟な児童に は,助言や補助,師範などで視覚的な認識を与 えてあげることで,課題が内在化され試行錯誤 を行うことができると考えられる.2や3の技 術認識レベルの児童には助言や補助,視覚的教 材などで出来栄えの良否をフィードバックす ることで,効率よく上達させることができると 考えられた. 金子2)は,技の習熟過程をマイネルの運動形 態学的立場から,①運動の粗協調,②運動の精 協調,③運動の安定化の3つの局面に分け,そ れぞれ原型→修正→定着の現象が現れてくる ものと考えられると述べている.粗協調局面の 修正の諸問題として,次のように2つの道を示 している. 一つは指導者について,基本的な技を選択し て学び,常助を受けながら無駄なく合理的に正 しいさばきを学んでいく場合と,もう一つは, 何かを通じて知った技をもとにして,手探りで いろいろな試みを繰り返しながら成功にたど りつく場合である.両者とも最初に視覚の助け によって学習が開始されるが,次の習得の過程 で大きく異なると述べられている.前者の利点 は,技の出来栄えの良否が直ちにフィードバッ クされ,成功に早く導かれるということである. ただし,運動初期に与える視覚的イメージや, 技の実施過程でのエラー修正として行われる 助言等,指導者の師範や判断が正しいものでな ければ,かえって上手にすることができなくな る.指導者は,自らが接することができる限ら れた時間で,より上手にしてあげるために,よ い技の出来栄えの認識をもち,正しい判断での 指導をする必要があるのである. 一方,後者の独習者については次のように述 べている.独習者は手当たり次第にあらゆる方 法を試み,その中から自分の運動覚を頼りに最 善の仕方を選び出し,かつての視覚的表象や他 人のさばきの観察と比較考察しながら練習を 重ねるのであるが,誰からも常助されたり,助 言,忠告されたりすることがないので,運動党 だけを頼りにしてその都度の出来栄えを反省 することになる.鋭い自己観察の素地を作り上 げるが,その出来栄えの良否の判断基準に恵ま れていないのが最大の欠陥である. このような児童は体操教室でも散見できる. 本研究でみられた技能先行型児童であるが,担 当コーチによると,以前は独習で技能を習得し てきたという.質問紙の回答も「公園で友だち におしえてもらった.努力は学校の休み時間に した」と記述しており,運動感覚を頼りに技能 を高めてきた可能性が推定できる.このような 児童には,技能認識を高めることでさらに上手 に前方支持回転をすることができると考えら れる.方法としては,より上手な児童と合同で 練習したり,より上手な師範,教示を与えるこ となどが考えられる. 猪俣1)は,学習段階における質的変化として, 学習段階を,①初期段階,②中期段階,③最終 段階の3つに分類し,それぞれの段階について, 次のように述べている. −5−

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初期段階はこれから学習しようとする運動 技能はどのようなものかを,師範や教示によっ て与えられた情報をもとに理解することが求 められる.また,動きの手がかりや動きそのも のに注意を向ける必要がある. 中期段階に進むと,どんな動きをするのかと いう最初の問題から,その動きをどのように遂 行するのかという問題へ移行することになる. この段階では認知的要素の果たす役割が相対 的に減り,動作は巧みに精確になり安定化が進 む.これは主として大脳中枢部で動きのプログ ラム化が進み,また,動きの誤りを検出して修 正するメカニズムが進歩するためであると考 えられている. 最終段階の特色は単に誤りが著しく減り,し かも効果的な高い水準の動きができるように なるばかりでなく,動きそのものが自動化し, 定着してくる.この場合,自動化とは技能を遂 行する際,それほど注意を向けて動きを意図し なくても自然に動作が行える状態を意味して いる.言い換えれば,運動の経過や,手足の操 作への注意は必要なくなり,その分ゆとりが生 じ,運動の結果や,戦術あるいは競争相手など へ注意を向けることが可能になる.この段階に おける内部的変化の特徴は動きをコントロー ルするための基本的なプログラムの形成の上 にさらにそれらのプログラムを状況に応じて 最適に適応させてゆく上位の統御システムが 確立するというところにある.これによって動 きを型どおりのものから脱皮させて変化する 条件へ自由に適応させることができるように なる. 図4は,猪俣1)の示す運動の習熟段階に本研 究の児童における技能レベルをあてはめ,指導 法を付記して図式化したものである.

潜内融葦 ̄ ̄ ̄ ̄

在部「由歩的方策

的の視覚的因子

水蜜

準化 ̄ ̄ ̄ ̄…. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄… ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \._/ ・示範や教示によって,前 方支持回転のイメージを もたせる. ・補助や類似運動で動き の手がかリをつかませ る.

嶺要画王弄石二元ラ盲1

グラム

誤差検出機構

茄感覚的国子

上位のプ白グラムi

自動化

(恒常的ループ)

言語,映憶,補助法や

類似運動によるフィード バックを与え,技の出来 栄えを確認させる. ・数練習で成功率を恵め る. ・上手な児童と一緒に練 習する,または上手な師 範をするなど動きの貿感 に注意を向けさせる. ・いつでも安定してできる よう負荷条件を考慮し七 練習を重ねる. 図4.児童の技能レベルと指導法(猪俣1)の運動の習熟段階を改編し作図)

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猪俣1),金子2)ともに技能の習熟段階を3つ に分け,示範や教示などの視覚的イメージ,す なわち技術認識が先行して運動学習が開始さ れると述べている.また,運動学習の各段階に ついて,猪俣1)は中期段階において認知的要素 の果たす役割が相対的に減り,動作は巧みに精 確になり安定化が進むと述べている.本研究の 児童においても,技能レベルが2のできそうな 頃から児童の50%が試行錯誤を始め,3のでき る頃に91%と最も多くなり,4のいっでもでき る頃になると36%に減少し,5の上手にできる になると,全くみられなくなった.これは,試 行錯誤は認識が内在化した段階に始まり,技の 安定期に入るとみられなくなることを裏付け ている.すなわち,試行錯誤は技のエラー修正 を繰り返している段階の様相と考えることが できる.したがって,技能レベルが1・2また は,認識レベルが1の児童においては,試行錯 誤が始まるように,視覚的な師範や教示を与え, 試行錯誤のはじまった児童には,技の出来栄え をフィードバックし,試行錯誤が促進されるよ う指導することで,技能が上達すると考えられ る.技能レベルが4のできる児童や5の上手に できる児童には,より上手な児童と一緒に練習 することや,上手な師範・教示によって,質的 な差に気付かせること,いつでも安定してでき るよう負荷条件を考慮して練習させることで, より上手にすることができると考えられた. 4.まとめ 本研究は体操教室に通う中高学年児童51名 (男=39,女=12)を対象とし,鉄棒の前方支 持回転の技能レベルと技術認識レベルの関係 について検討した. 両者の間にy=0.5159Ⅹ+1.0336(Ⅹ=技能レベ ル,y=認識レベル),R=0.723の有意な相関関 係のあることが認められた.すなわち,認識レ ベルの高い児童ほど技能レベルが高い傾向が あることが認められた.しかし,認識レベルが 1であるにもかかわらず,技能レベルが3以上 を示す者や,認識レベルが4であるのに技能レ ベル3の児童の存在が認められた.前者を技能 先行型児童,後者を認識先行型児童と名付け, 前者は認識を高めることで,後者は認識をイメ ージ化できる助言や補助,師範などのフィード バックを与えることで,より上手にすることが できると考えられた. 技能レベルと試行錯誤についてみると,技能 レベルが1の全くできないときには試行錯誤が あまりみられず,技能レベルが3のできるころ に最も多くなり,さらに上達すると試行錯誤は 逆に減少する傾向が確かめられた.特に,技能 レベルが5の児童においては,試行錯誤が全く みられなくなった.このことは,前方支持回転 技能が習熟し,技の自動化が進んでいることを 示唆している. 認識レベルと試行錯誤についてみると,認識 レベルが1の抽象的なときには試行錯誤があま りみられず,認識レベルが2の学習内容の羅列 段階,3の体験的記述段階において最も多くみ られた. これらのことは,猪俣1)は技能の習熟段階を 3つに分け,中期段階において認知的要素の果 たす役割が相対的に減り,動作は巧みに精確に なり安定化が進むと述べている.すなわち,試 行錯誤は指導者の師範や教示を内在化させ,技 を正しく行うための修正をしているときに発 現する様相であると考えられる.すなわち,技 の習得が進んだ技能レベル5の児童や認識レベ ル4の児童では,前方支持回転の技能が習熟し ているため,試行錯誤の減少傾向が示されたも のである. 技能レベルが1の全くできない児童に対して は,師範や教示によって視覚的イメージをもた せることや,補助や類似運動を用いて動きの手 がかりをつかませることで,試行錯誤が始まり, 技能レベルが向上すると考えられた.技能レベ ルが2のできそうな児童,3のできる児童に対 しては,言語や映像,補助によるフィードバッ クを与え,技の出来栄えを確認させることで, 試行錯誤が促進し,より技能レベルを高めるこ とができると考えられた.技能レベルが4のい つでもできる児童,5の上手にできる児童には, より上手な児童と一緒に練習することや,上手 な師範・教示によって,質的な差に気付かせる こと,いつでも安定してできるよう負荷条件を 考慮して練習させることで,より上手にするこ とができると考えられた. 謝辞 本研究にあたり,快くご協力くださいました 各体操クラブの先生方,児童の皆さまにお礼申 し上げます.また,多くの児童たちが上手に前 回りできることを願っています. 文献 1)猪俣公宏(1999),新版運動心理学入門, 大修館書店 pp131・134 2)金子明友(1994)体操競技のコーチング, 大修館書店 pp259・274 3)阪田尚彦(1999),新版運動心理学入門, 大修館書店 pp160・165 ー7−

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名前      学年       年生 つぎの6つの質問に答えてください.質問の意味がわからないときは,松谷先生に聞いてください.お友だちの 書いた内容をみたり,写したり,話し合って書いてはいけません. 特にない場合のみ,「ない」と書いてください. 鉄棒の前回りについての質問で 1.先生が言ったことで気づいたこと,わかったことはありますか? 2.先生の補助で気づいたこと,わかったことはありますか? 3.友だちの練習を見て気づいたこと,わかったことはありますか? 4.ほかの人に聞いてわかったことはありますか? 5.日分が練習して工夫したことや苦労したこと,努力したこと,発見したことがありますか? 6.本やインターネットで調べてわかったことや気づいたことはありますか?

参照

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