寡占と景気循環
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(2) . 第 20 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要 (第一部B). 昭和44年7月. 寡 占 と 景 気 循 環 亀. 畑. 義. 彦. 北海道教育大学旭川分校経済学研究室. ihiko KA 1回HATA : 0ligoPoly and Business Cyc Yos les. 次. 目. 序 女 第1章 循環論に進むための基礎的前提. 第2章 価格の下方硬直性と操業率. 序. 第3章 資本の蓄積 結びにかえて. 女. 過去において取りくんで来た研究はす べて 「寡占価格」 のみに関与 してきた. そ してその結果 得られた認 識の一つは, 資本主義経済における景気のブームとスラム プの反復運動において, 価 格の動向がきわめ て下方硬直的であり, このことは, 現代の経済の動きを考える上で重要な意味 を 持 つ の で は な い か, と い う こ と で あ っ た。 こ れ ら の こ と を 考 え る た め に は, 経 済 を 主 導 す る こ. とがほぼ可能であるよ うな寡占というものを 基礎に持つ資本主義経済の景気循環 がどの様な型で あらわれてくるのか, それは資本主義経済のどの様な事情と結びついた結果なの であるかを考察. しなければならないと考えた. それ故本稿においては, 主として, 景気循環に焦点を しぼっ た。 そこにおける本稿の目的は, 過剰投資理論に依 拠しながら 「循環と趨勢」 に関する成因と動向を さ ぐる こ とに あ る,. 第一章. 循環論に進むた めの基礎的前提. 資本主義経済の歴史において,一貫して示されてきた最も大きな特色の一つは, ブームとスラ ン プの反復動向であり, それは価格の上下運動として敏感に示され てきた, ところが最近の時代に. お いては, 景気の循環局面における価格の対応性が低下し, 景気の全局面において, 価格の趨勢的. 上昇傾向が示されるようになっ てきている. その様な変化を示すことの基本的理由の一つに, 市 場組織の競争から寡占への変質をあげることが出来る. そ してそこでの価格水準ならびに循環局. 面における価格の震幅の大きさは, 寡占企業間の Strategy ない しは 「独占力」 大きさにかかわ っている, この様な考え方に立脚するならば, 寡占経済における企業行動の考察のためには, 硬. I 直的価格を視点の一つに 求めることが有効となる. この様な仮定の下で重要となるのは, ”ful ” Cost Pr inc ip l とそ こに お け る Mark up 比率の決定であって, いわゆる寡占価格ない し独 es. 占価格として示されているものである, これらの価格を与件として景気循環論に approach する ための第一歩として, まず Keynes 理 論 か ら 述 べ る こ と に す る. - 71 -.
(3) . 亀. 畑. 義. 彦. の想定する世界は完全競争であるから, 価格は限界費用によ っ て決定される, そ して 封鎖体系において, 短期の限界費用は限界賃金と一致 し, 限界費用逓増 (収穫逓減) の支配をう Keynes. け る,. まず Keynes における労働の需要 と供給に関する第1図のを示す. ここでは貨幣賃金率は完 第1図 (a) 全雇用点迄は一定であると仮定する. 次に, 収穫逓減 の仮定から, 雇用量と産出量との関 係は第1図 (b) のごとくなる, さ らに価格と産出量との関係は完全競 争の仮定から第1図 (c) のごとく示される, 仮定に. より貨幣賃 金率は 雇用量増大により変化しなかったか ら, 収穫逓減法則により実質賃 金率は低下したことに ) こ の Keyl les の説明はかならずしも現実の経 な る.1. 用量 点雇. 済を正しく反映 しない,なぜならそれは,完全 競争の仮 定と収穫逓減の仮定にある, 即ちそこでは, 需要は無 眼であり, 収. 第1図 (c). 穫逓減法則に. 限界費用曲線. 第1図 (b). よ り Excess Capaeity 々ま. 労働の生産性曲線. 無視されるか らて あ る, そ こ で, 現 実 の. 経済を一層明 確に説明する. 産出量. た め に は,. Hatrod の 論 述 を 必 要 と す る,. i i 1 ty of Prime Cost) に は t は不完全競争を想定することにより, まず可 塑性 (P au c s C E に 長 的 xcess apcity が存在 し, かつ技 あまりたよることが出来ないと考える. なぜな ら, 期 Harrod. 雇 用量. 第2図 (a). 術進歩がおこ. 第2図 (b) 労働の生産性曲線. なわれるとす るならば, 収 穫不変ないし. 収穫逓増を考 えることが可 能であるから で あ る. 第 2 雇用量. q q′. 産出量. 図 (a) の労. 働供給曲線は. Keynes のものと同様であり, 第2図 (b) の労働の生産力曲線は収穫不変の法則を示 してい 2 ) かつブームにおいては弾力 る. 不完全 競争が仮定されることにより, 需要の弾力性は逓減し, 性は小さくなり, スラム プにおいては大きくなるものと考える. そ して貨幣賃金の硬直性と収穫 不変の仮定から, 限界費用 曲線は設備の完全能力点 (第2図 (c) ) 迄は機軸に平行で, 平均費用 - 72 -.
(4) . 寡 占 と 景 気 循 環 第2図 (c). 曲線と一致する。 この様なことから物価と利潤率は ブ ー ム に 上 昇 して ス ラ ム プに 下 落 し, 利 潤 変 動 の 振 幅 は. 物 価変 動 の 振 幅 よ り も 大 き い。 こ の Harrod の 論 述. C. AC. における需要の弾力性逓減の法則の導入は, 過剰設備 下の不完全雇用を説明するよりもむしろ景気循環の諸 ) 特 徴 を 説 明 す る こ と に あ る,3. こ の Harr od の 論 述 に 対 し て Robinson の 批 判 が. MR. ある. Harr od によれば不況期に需要の弾力性 が 増加. ′ MR. 産出量. し, 利 潤 が 低 下 し て 乗 数 は 大 と な る が,Robinson に. よれば, 「不況により需要の弾力性が増大するとして も, その事がかな らずしも利潤の低下を 導かない. なぜな ら, 企業は Car t l の形成, 価格協定 e 4 ) 等によ っ て利潤の低下を防止するからである」 Ka l ecki は Rohinson の 見 解 を 支 持 し, Harrod の 考 慮 した 要 因 の 他 に 独 占 度 (degree of. Monopo l y= 需要の弾力性の逆数) を考え, 次の様に述べている, 「たとえば, 不況期には, 利潤をまもるためにカルテが形成される. これは独占度を高める. しかし景気が回復するとこれ らの カ ル テ ル は 解 散 さ れ る. な ぜ な ら, 単 独 の 活動 に 関 す る 見 通 しが よ く な り, out-sider が 出. 現するからである, さらに重要なことは, 不況期には, 原料の価格と賃金の下落にもかかわらず 完成財の一部の価格が比較的に 「粘着的」 であるということである. これにはいろいろな理由が 考えられるけれども, 企業者が, その 競争者も同様の行為に出るかも知れないと考えて, 価格切 下げを断念すること, および企業者 out‐sider の出現をお それなくてもよいこと, などが主なも ) 5 の で あ る」,. l こ の 様 に, Ka ecki は不況期に独占度を高め, 好況期には低下させる要因を重視する, すなわ. i の場合は供給面を重視 l ち, 価格の決定において Harrod は需要面を重視 したのに対し, Ka eck i のこの考え方は, 本稿の 「寡占と景気循環」 を論じていくための重要な基礎とな した, Kal ed( る. そ れ 故, こ こ で Kal ecki による価 格決定式について述べる,. 今, 共通費を不変と仮定 して, P= 個別企業の価格, P= 加重平均され た価格, mと nを正の ) 6 係数, とおいて次式を設定する. P= mu十 ni. (1). さらに P=P とおいて整理すると (1 ーn) P= mu P=. m. 1一 n. (2). u. 係 数 m, n は独占度を反映する. ここで第 (1) 式を u で割ると P 上. =m十n. inc ip l l cost pr この 第 (3) 式 は ”fu l d l cost es“ と の 関 係 に お い て 成 り 立 つ. そ して ”f l ” inc ip l es は 次 の 様 に 定 義 さ れ る, pr ′=不 変 費 (k) を カ バ ー す る た め の Mark up い ま, P= 価 格, x= 産 出 量, v= 平 均 直 接 費, q. 比 率, q″=純利潤(g)の ため の Mark up 比率, )は によ る価格設定式9. ′ ′ ′ l lcost principles“ q= q 十q とお く と, ”fu. - 73 -.
(5) . 亀. 畑. 義. 彦. P =v十qv or P =v+q′v+q″v ′= こ こ で, q′v= k/×, q′ q, qv= k/×十 g で ある,. ecki の概念における共通 費不変の仮定につ いて極言 次 に 再 び Kal ecki の 概 念 に も どる, Kal. するな らば, 直接費に対する価格の影響のみをとりあつかうから, そ こにおける共通費の増大は かな らず しも価格の上昇と結 びつくとは限らない. 対抗寡占の価格を考慮するならば, 一層その. ) そ して景気循環の ブームとスラ ム プにおける価格・直接費関係の変化が「独占度」 8 事がいえる, の変化をもた らすこと, すなわち プラスの企業利潤 はそのまま「独占度」の 基準になるという意味 にお いて, 「利潤=独占利潤」 の概念が成り立つという 事は, いく 分過剰決定 ぎみである. さらに ‘ ‘fu ip inc l l l cost pr es” に お い て は, 主 要 費用 を 基 礎 と して, こ れ に 一 定 比 率 を か け る こ と に よ. り共通費をカバ ーし, さらに利潤としての一定割合をかけることにより価格を決定するのである lcost principles“ l から, 共通費の増大はかならず「独占度」を高めるにちが いない,それ故, ”fu i の概念とは厳密には一致をみないけれども, 共通費はその性格上短期的には大きな l eck と Ka i の概念には, 共通費は長期的にあらかじめ予定され て l eck 変動をみないであろうことから,Ka い る で あ ろ う こ と に よ り,. “fu ip inc l l l cost pr es” と の 関 係 にお い て 成 り 立 つ こ と の 意 味 は 失 わ. i t agreement れない, この共通費の大きさは資本の大きさを意味する から, それの大きさは tac l i の価格・直接費関係という e ck を先導することにおいて 「独占度」 を測定 し得る. 従っ て Ka 売上高指標による 「独占度」 測定に対して, 共通費という資本指標による 「独占度」 の測定も可 能である, この一つの指標の使い分けに関 しては後述する. ‘ l lcost principles” 今, 資本指標のみを 考えるな らば, それによる 「独占度」 の大きさが ‘fu ないしは価格 の下方硬直性を決定する様な経済 においては, 価格が 経済変動の指標となり得なく. なり,む しろ経済の 好況と不況の局面における操業率と産出率が循環現象をとることになる. そ し ty が循環のす べての局面に存続するであろう, だからといってこのこ て こ の 時, Excess Capaci とは在庫循環のみが景気の動向をきめることを 意味 しない, なぜなら, 寡占的 競争がおこなわれ. る経済においては, 過剰 投資理論の考え方にもとずくな らば, 既存の Bxccess Capacity の消滅 を待たず して次期 の投資の発生をみる ことから, 景気循環という時には, あく迄も資本設備循環 ・の を意味 しなけれ ばならないと考えるか らである, この様な経済における価格競争の弱化は競争. 消滅を意味するものではなく, む しろ寡占企業 の作戦の二面性の一つにすぎないであろう, なぜ なら, 独占的ないし寡占的経済における 「協定が販売価格以外の供給条件を関知せず, 寡占者が この種の協定以外のものを要望しない事実の中に, 価格協定のもっ とも重要な特徴を看取 しなけ 9 ) か らである. そ してこの時, 寡占企業の関与する需要曲線は, 「独占力」 の増 ればな らない」 大に応じて非弾力的となるであろう. 「従 って, 寡占的市場の周期的動揺をつらぬく趨勢因子を l ) o 競争度と需要の弾力性を持っ て特徴 づけることが 出来る」,. これ迄述べてきた売上高指標と資 本指標とによる 「独占度」 の問題をもっ と具体的に示すなら ば, これは集中率の問題と して示すことが出来る, 周知のごとく, 集中率には生産集中率と資本 集中率とがある. そ して 「独占度」 の高さはこれらの集中率によ って最もよく規定される. 既述. inc ipl I Costpr es“ は,そ の 根 底 に 資 本 の大 き さ を 前 提 と し の Kalecki の 「独占度」 な い し ‘ful ているとはいえ, 指標と しては生産集中率を 採用 している. そ してこの生産集中率と価格との関 係 に お い て 次 の 三 つ の 仮 定 を た て る こ と が 出 来 る, ま ず, 全 体 と し て の Market share の 拡 大 - 74 -.
(6) . 寡 占 と 景. 気 循 環. 率 (特定産業部門における),と個別寡占企業の拡大率とが等しい場合には, 価格一定の下での産. 出量の拡大を需要にみあっ ておこなうことが 出来る, 次に, 全体としての (特定産業部門におけ tshare の拡大がある場合, 需要 る) Market share の拡大率を超えた個別寡占企業の Ma rke の増 大 に つ れ て 価 格 を 上 昇 さ せ る こ と が 可 能 で あ る, こ の時, cost 一定の時のみな らず, それが. tshare (特 低下する時においてさえも価格の上昇を可能とする. さらに, 全体としての Marke 定産業部門における) の成長率よりも, 個別寡占企業の市場拡大率が小さい 場 合 に は, Entry 1 ) 価格低下をもたらすケース gap の拡大と結びついて 「独占度」 の低下をもたらすことにより1 l lcost が想定される, しかしこの価格低下も,fu r を 割 らな い と い う 意 味 にお い て, 価 格 の 下 方 硬 直性の一つである, この事の一つの例を日本の自動車産業に求めることが出来る, (第3図) .こ の時, cost 一定の下での価格低下を可能とするから, 費用曲線の下方 シフトないし需要曲線の右. 方シフトは一層の価格低下のポテ ン. 第3図 乗用車店頭渡し価格推移. . 1 2 0 I 0 0. l . .. この様に生産集中率でみる場合に. 1 9 0 0 セド署 カスタム 1. ラ ク ヱミDL ー L ・ ÷ ÷ ÷ 、 ’ 1 50 ラウン ー 」. 「. シャ リ ティ で ある.. . ]. 最 も単純に. 1. 9 0 0 O DLに変墾 七ドリン 1 5 0 0 Lミド ソク 91 L 、. \. - -. 」. r 、 コロナDJ L 、 ブルーバード DL 、 」 ・ . 「こ ◆. モ. 0 { ダ . ・ ノ サン粋 -ロナ 1 0 0 0. パプリカ. iness Democracy Bus. を想定するならば, ブームの時の企. 業間の競争が企業規模から独立 して 2 ) Entry gap い る こ と に な る か ら,1. の発生があらゆる企業のために用 意 さ れ て い る こ と に な る.. 次に企業規模を考慮に入れ, かJ 資本系列の存在という面から考える. ならば, 二つの事が考えられる, ま ず第一に, 各資本系列がそれぞれの該当部門を差別化し, それのみに重点投資をおこなうものと するならば, 各指定産業部門全体の Marketshar e の拡大は系列資産の産業のために付与され. ることから, 生産集中率の上昇は, そのまま 「独占度」 の上昇を意味する. しかし第一の事は逆 に, 各資本系列が各産業部門に多角的に投資をおこなうならば, ブームにお いて特定 産業部門全 体の Marketshare が増大する時, 各企業間の競争によっ て生産集中率は低下する, そ してスラ ム プ に お い て は,. こ れ と は 逆 に, ブ ー ム の時 の 勝 者 に よ る 縮 少 し て い く 全 体 の. Market share. の中での生産集中率の増大をみる, ここにおける問題はブームにある, すなわち背後に系列資本 が存在する限り, ブームにおける個別企業の生産集中率の低下はかならずしも系列資本の集中率. を低下させるとは限らず, 系列資本が投資している個別企業の生産集中率が低下したとしても系 try gap は 列資本の集中率が増加する事は十分にあり得る.そ の時,系列資本が存在する限り, En 1 3 ) それ故, 系列資本が存在する場合 ほとんど 競争部門のためには用意されない事が条件となる.. ないし存在してもそれらが別個な産業部門に集中投資をおこなう場合には, ブームとスラム プに おける個別企業の 「独占度」 は生産集中率によ っ て明確に示されるが, 系列資本が各産業部門に. 多角的に投資をおこなう場合には, 「独占度」 の測定は生産集中率よりもむ しろ資本集中率にた. よる事がより一層正確さを高めるであろう, 以上の事から, 生産集中率は短期の, そ して資本集 中率は長期の指標と考えることも可能である, 従って企業は短期よりも長期の利潤の保証をもく . ここに一つの例として 規模による資本利潤率と売上高利潤率を比較すると ろむと考えられる, , - 75 一.
(7) . 亀. 畑. 義. 彦. あきらかにここの事が示される (第3図), 第1表 企 業 規 模 と 収 益 率 年↑. 度. 38. 39. 自己資本資 本 金売 上 高 自己資本資 本 金 売 上 高 自己資本資 本 金売 上 高 総 資 本総 資 本総 資 本 総 資 本総 資 本総 資 本 総 資 本総 資 本総 資 考. 1. 口 m W V 平. 37. 均. 20 .2 20 .4. 7 ,6 6 ,5. 21 ,9 25 .I. 8 ,6 12 ,1. 27 .1. 14 ,6. 30 .6. 18 ,5. 1 .95 1 ,42 1 .31 1 ,11 0 ,79. 1 .10. 16 .9. 18 .6. 6 .1 7 ,I. 18 ,1 23 ,5. 8 ,6 12 ,5. 24 ,7. 14 ,O. 27 .9. 17 ,3. 5 .2 6 .2 7 ,0 7 .2 9 ,5. 7 ,6. 17 .5. 19 ,6 19 .8. 6 .I 8 .1. 4 .6 5 .8 6 .O. 22 .7. 8 ,4 12 ,9 17 ,I. 6 .3 3 .6. 24 ,2. 14 .I. 26 ,3. 26 ,8. 工 資本金 1000万未満 0万-4 口 100 999万 皿 50000万-9 9 99万 N I億-9億9 99 9万 IO億以上 V 出所 : 小林好宏 「市場構造, 企業行動, 利潤率に関する分析」 理論経済学会昭和4 3年10月発表 論文, p . 7より転載. しかし乍ら, 過剰投資の結果にお いて, 規模の経済を利用不可能にする時, 資本利潤率は低下 する, この時, 高い資本利潤率の維持をもくろむためには,「独占力」による価格の下方硬直性によ i ty の 下 で の 超 過 利潤 を 得 る こ と の ほ か に, 資 本 系 列 が 存 在 す る 場 合 に は, 指 る Excess Capac. 定 産業部門への集中投資より も, 各系列産業への投資の分散をはかることが有利となることは既 述のごとくである ‘この様な考え方に立脚するならば, 不完全 競争ないし製品差別型寡占は資本 主義経済における第二義的特質であり, その第一 義性は, 過剰投資の反復が 寡占を生み出す事, さらにそれが資本系列化されるにつれ, 寡占による経済の主導性が一層大きくなる事にある。そこ l lcost principl における 「独占力」 の大きさが ”fu es” にお け る Mark up 比率の高さを決定 する, 従っ て過剰投資の反復の結果形成され強化される寡占とそれによ っ て 主導される景気循環 ty を 存 在 さ せ, 短 ess Capaci は, 資本主義経済の成熟期にお いては, 経続的に大きくなる Exc 期的には, 下方硬直的価格のもとでの操業率と産出率の循環現象を示すことになるであろう. <註>. “ l “ ive Movement l l wages and out -Put 1)J c Journa sof Rea at , Economi , March, , Re ,M. Keynes 1936 3 m 940 2 2 2 -22 昭和 3 7 9頁. 年 「 近代経済学批判 宮崎義一「 」 」 近代経済学の系譜と現状□ , pp . , ’p‐34-35 宮崎義一 「前掲書」2 1-2 2 3 33R. ) R, F. Harrod.”Thetradecycle,an Bssay’ , f Bconomi i i i Jar f l i t i t eP Rev ew o c & Stat .pet cs” May ュper ectcon on and t radecyc s 3 rod,”ln ) R. F. ・ ”The t l d E 4 8 s ‐ 6 「 3 0 l936 r ec c e a n s P 5 7 宮崎義一 」2 頁 a 7 前掲書 a y y , p , , , ,p . ・ ‘ l l 19 cJ rade cyc e od” Ecomi ー na our ‘ )J , Thet ,Harr . Robinson ,by R,F ,6 ,1936 .p , 宮崎義一 「前掲書」 243頁. “ sa sin the theory of Economi “ 939 宮崎義一 「前掲書」2 i l 1 i 4頁 cF 七 t 3 ec く 5 uc ua on ) M, Kal y , Es , 1 , ” “ f Econoni s -8頁 c Dynami c 6 ) M・ Kalecki . 宮崎, 伊東訳 「経済変動の理論」3 , Theory o , oxf を i iour ine 丁 ー l land c. H Hi ノ s ch,”Pr cetheory and Bus s Behav ord Economic Paper3 7 ) R.エ . Ha ” ol ’ ’ 安部一成訳 「寡占と技術進歩」 281 1 d i Sy Labini l h i I Pao l P l t t 1939 s o o a n e c n c a s o o r e s r o p y g g , , . ” “ i l t 8) M, Ka ecki ,18一19 , 1939 , oP c . ,P. 8 9 ) 早川泰正 「経済変動理論」195 . 第4草 「循環の競争的側面」, 189頁 10) 早川泰正 「前掲書」190頁 “ i f po i l lo l i IBco- in t c Concent rat on and Monopo ca n Japan 11 I yi ) Bt gen Rotwe 、 TheJourna , Economi ‘Re . 1 72 1964 p ion o Bi ‘ f pro行t rat l i t at et o 1ndus rat on ry concent nomy , , , VO , .256 . Joes an, “ The Quar l V l f i l L XV A i J E tl Amer i 9 t 51 u ng l936-1940 e r o r a o c o n om c s o u u s can Maufac七ur n g y , , , ,. - 76 -.
(8) . 寡 占 と 景. 気 循 環. ‘Trend o ing lndus 【 t t i f Concent i l ur ry i l anufac l i can M rat on in Amer No ・ ard,‘ am Shep , 帆J ,3 ,312 ,p ” b V N 【 2 2 2 i V 1 XL 1 4 0 0 d l S t t i 9 6 r i f i m e T R E a n u h t O s s p 4 1 8 s a n a c l9 7- 95, y e evew o conom c . , , , , 03 , , 212 , “Economi ‘ ‘ i d h fFi , ca XXLX I962 12 .29-40. S・H・Hymerand ) P, E, Hart ,p , Thesze an Growt o rms ’journa ” f p l i i I B d f h l ) R G t t i S / w a c a onomy P h i i F i t r o c eo a e a a s m z n r ,1962 , ,70(Dec p , , a gan ” Amer ‘Ent ‘ LI i Rev i fFi Economi 1 (Dec d G e i h h w l n c t t t m c a e r o w o r 6 - 5 6 9 v n a n 5 5 r n n o a o , . y , p , , , 1962) p ,1023-1051 .. 第二章. 価格の下方硬直性と 操業率. 第二章においては, 第一章の最後に述 べた過剰投資の結果と して発生してくる 一つの特長であ. i ty と 操 業 率 の 問 題 を 価 格 の 下 方 硬 直 性 と の 関 連 で 論 述 す る. そ の た め に ま ず る Excess Capac. ) Domar Mode ll. を利用する. いま, 4=増加分, P=生産能力, び=潜在的な社会的・平均的生産性, 1=投資, β= 限界貯蓄 性向, Y=所得, とおいて次式を設定する, 4P =1び. (5). 4P. (6). / βを乗数とおくと この第 (1) 式は供 給条件を示す,.ここで1. (7). dY = ぬ き. 経済の静態均衝を今 , Yo=Po. と お く.. ここで第 (6) 式を第 (7) 式に代入すると (8). 1び一4 噌. 第 ( 8 ) 式より -を投資自体の量 ( 2 ) 第 (8) 式の左辺は投資の絶対的増加 (あるいは絶対的成長率)‐41 を得る, で割っ たものである. すなわち, 他の言葉でいえば, 投資の相対的増 加であり, 投資自体の年相 対成長率である, かくて, 完全 雇用の維持のためには, 投資が βぴという年相対率で成長する こ 3 ) 従っ て以上のことから, 均衡成長のためには とが必要である,. (9). 4Y =4P. とある。 しかし乍ら, この様な均衡成長の保証がかならず存在するのではなく, 現実の経済は次 の一つの事を考えな ければならない, すなわちそれは ・. 4Y >4P. (10) (11). 4Y < 4P. 10) 式が, スラ という事である, 資本主義経済における景気循環の ブームには, 一般には, 第 ( ブームの局 反復行動の結果は 景気の しかし乍ら 過剰投資の 1) 式が照応する, 1 ム プには第 ( , ,. 1) 式をとる事実がみられる, そして, 短期的には, その中で操業率と産 1 面において すらも第 ( 1 1) 式が- 出量の循環的変動が示される (第8・9図) 。 ここで注意しなけれ ばならないのは第 (. - 77 -.
(9) . 亀. 畑. 義. 彦. 般的だからといっ てこの事がただちに投資の循環現象がなくなっ たことを 意味しないという事で ある. すなわち, 寡占的競争を中心にすえて過剰投資論を考える限り, 不規則的技術進歩と, そ れ と 平 行 し て 発 生 す る 投 資 額 の 大 き さ が Excess Capac i ty の 消 滅 を 特 だ ず に 投 資 の 循 環 を み,. その反復が第 ( 1 1) 式をもたらす事, さらにいうならば, 循環がない限り第 ( 11) 式は発生しな い事, 従っ て循環が成 長ないし趨勢に作用することを理解しなければならない. この様な用意の 下に, 次に価格, 操業率ならびに産出量について, 日本とアメ リカの比較をしてみる.. ま ず 日 本 の 繊 維 産業 (昭 和32一33年) と の 関 連 に お い て こ れ を 求 め る と, この 期 間 で の Excess. Capa i ty と操業率低下が価格の下方硬直性の状態にお いて発生している (第4図) c 。ただし繊維産 第4図 景気調整期の価格推移と操短 1 2 0. 日銀卸売物価指数 0 0 2年5月;1 昭和E. \. ,線. 1 1 0. 短 操 鰐 お\ -. l o o. 竺 詳 鑓 器 恭 撃 ¥ y 『. 操短強化. 茅. r操 小\\ 『. 0 9. 8 0. 『. r. 2 5%) 操短勧告(. 7 0 ,. 6. 1 2 9 3 2年 ≠**〒*-. 」. 3. 細強 イ ヒ 3 ( 0% ). 6 3 3年. 燃. 9. 1. 業にお けるこの価格の硬直性は 行政指導にもとずく ものであるから, 駆虫占力」 を示すものとし ては正確ではない が, 過剰投資の過程を基礎に持っていることにお いて, 本章の一つの実例とな. る. 他方, アメ リカにおける価格の下方硬直性と操業率との関連を Kaplan の 実 証 に 求 め る と 第 5図を得る, ここでは価格の下方硬直性のもとでの景気波動が操業率によっ て示され, 平均操業. 0%を超過 した記録は一度であり, 他はブ 率については70一80%で, 調査期間における操業率10 C E i t ーム の 頂 点 に お い て さ え, xcess apac y を持つ. これは成熟寡占の特色であり, この場合は. - 78 -.
(10) . 寡 占 と. 景. 気 循 環. 第5図 製鋼操業率と価格 製鋼挿業率. 金 能力. / \. に 対 する操 業. \お ム ー …澗 彰. ノ. t′ 、 ′ 、 /. /. /. 1. ′ / \ 〃十 \ \十. 率. ノ/. 鋼材価格. .. /. \/ \/. .. 製品. ポン 5素 ,. 4. O. ド 当 り価 格. 5 3, O 3.. 6 0. 1 4 8 9. 4 9. 5 0. 5 1. 5 2. 5 3. 4 5. 第6図 アメリカ鉄鋼業における操業率と 20~5 7 ) 資本収益率との相関 (19 .. 株主 資本 収益 率( 税引 後). /. ー2.‐ 0- ー4・. r o. 日本の繊維産業とことなり, 価格の下方硬直性が行政指導によ っ てではなく, 寡占企業 自 体 の l l l ower との関連と して把握されるところに, より一層の過剰投資理論の適応を見る, eader と fo さらに, 鉄鋼業の操業率と資本収益率との相関(第6図)をみると, 操業率50%以下の水準におけ る損益分岐点を有し, かつ第2表に示される ごとく現実の投資収益率は日本にくらべてはる かに. - 79 -.
(11) . 亀. 畑. 義. 彦. 第7図 価格形態別推移 (アメリカ). 競争価格を反映する指数. 1 2 9 9. 3 2. 3 7. 4 2. 4 8. 1 5. 5 4. 5 7. ) 第2表 アメリカの10大企業の収益率 ( 1947-5 5 )T 産 業 部 門. 日 標 投 資 益 率 収. A1miniui n co of i Amer ca. 非 鉄 金 属. ) 2 10. 7 .8--18 .7. 13 .8. Du pont. 化. 学. ) 3 20. 2 ) 19 ,6--34 .3. 15 .9. i l Bs tandard o so (s of NJ ). 石. 油. ) 10 --153. 12 ,8--18 ,9. 16 ,O. Genera I E1 i t ec r c. 電. 気. 20. 18 .4-16 .6. 21 .4. Genera ll s not or. 自. 車. 20. 19 ,9一‐37 .O. 26 .O. i lnt l ernat ona Harvest er. 農 業 機 械. 10. 4 11 - - - .9 ,9. 8 .9. i l Joh l I Marv. 堅. 業. 約 15. 10 ,7--19 ,6. 1 1 ‘ ,9. St i l of andard o lndi ana. 石. 油. 7 ,9--14 ,4. lo .4. ide Uni on Carb. 化. 学. 3 ) 18. 13 --24 ,5 .3. 19 ,2. Uni t ed St at es St l ee. 鉄. 鋼. 8. 7 .6--14 .8. 10 .3. 動. 実 績 範. 収 益 率 囲 平 均. EI) いずれも税引後 ≠ i l 2) LanZil 9 58 om の “Amer can Economi c Revi ew” Decl , 所載の論文により修正. i に よ る推 定 l l t 3) LanZi ot ” l lot ing ob i i ivesln (資 料) R, F, LanZi t i i j t t t er s cs and Economi c of Pr ec c , Some Charac ‘ ‘ ionshi i Large Corport f pr i l i i i l t E お t o Econon at ユ ab on J c c St p o y and , B, C, The Re ” Compendium 1958 Growth, ,. 奥村茂次 「寡占と経済成長」3 6頁より転載. - 80 -.
(12) . 寡 占 と 景 気. 循 環. 撚4表 使用総資本利潤率. 第3表 投資収益率 (日本) 社. 会 幡. 八. 名 製. 鉄. 日 立 製 作 所 本. 日. 石. 油. 鉄. 鋼. 3 ,7. 電 気機 器. 5 ,7. 石. 使用総資本利潤率. 投資収益率. 産業部門. 発電・送電・配電及び産業用機械 鉄. 東 洋 レー ヨ ン. ナ イ ロ ン. 11 ,0. トヨタ自動車工業. 自 動 車. 10 .9. キ リ ン ビ ー ノレ. . 菱. 造. 船. 造. 船. 6 ,I. 大. 洋. 漁. 業. 漁. 業. 2 .3. 東. 洋. 紡. 績. 紡 績 業. 日. 本. 鉱. 業. 石. 石 有 無. ト. ン ラ. ス. 精 業 薬 業 薬. 製 品 品. プ. 紙. 油 工 工. 機 機. ル. 2 .188. 炭. メ. セ 、 ガ. 8 .16. 三. 品. 薬. 医. 金 属 製 品 製 造 業 そ の 他 産 業 用 機 械 非 鉄 第 一 次 製 錬. 3 ,24. 油. 鋼. ・. 繊. 化. 3 ,03. 各業 注1 , 日本の企業の売上高の高いものから, 種一社のみを選んだ. 2 , 計算には次式を使用して,. フ. 綿 . . . 自. 動. 車. カ. メ. ス. ラ 計-. 時. 売上収益率 』 艶書. ( 1 ). 資本回転率‐ 鰐. ( 2 ). 船 舶, 通 信 軽 平. 資本収益率=売上収益率x資本回転率. 造. 船, 修 理 機 曹械 器 具 車 両 均 値. 3 .3 3 .9. 6 ,3 2 ,7. 4 ,4 5 .38 2 ,6 9 .7 2 ,6. 22 . 3 ,O 2 .5 6 ,3. 2 ,6 6 .4 13 2 , 4 .9 7 ,9 2 ,5. 7 .6 7 ,3. 5 .O. 三菱経済研究所 「企業経営の分析」 より, それぞれ昭. ビ ビジネス」 の付表 3 . 岩尾格 「日本の ック・ により, (注2) の方法を使用して算出 し. 1年-4 0年の平均値を示した, 和3. 出所: 小林好宏 qヒ大).「市場構造・企業行動, 利潤率. た,. に関する分析」昭和43年10月,理論経済学会発表論文4頁. 大きい (第3表との比較) , 次に個別 産業ではなく, 総体的な価格形態別推移を見ても, 価格に関する同様の結 果 を 得 る (第7図), これらの関係から, 価格, 操業率に関する成熟寡占企業 の行動様式の特長を知る事が 第8図 価 格 形 態 別 推 移 1 2 0. 人. 妹』鞄/認為 V ÷. 1 l o l o o. 9 0. r /. 8 0 7 0. ▽ 変電雫ジ y. V. 3 0年. 1. 3 1. 1. 3 2. \. ミ製三弦. ー. 3 3. .. 3 4. - 81 -. ・. 3 5. .. 3 6. .. 3 7. ・. 3 8.
(13) . 亀. 畑. 第9区 1 生. 義. 産 率. 彦 の. 循 環 鯛 1 6 0 1 4 0 鉱 2 1 0工 業 生 産指数 則 8 0 6 0 4 0 2 0. 5 1. 5 2. 5 3. 5 4. 5 5. 5 6. 5 7. 出来る, この価格の下方硬直性は, 景気循環の不況ない し停滞局面において顕著な発現をみるこ とおよび, この非競争的な 傾向は価格面のみにあらわれ, 他の面ではそうではないことは既述の ごとくである (前章 注9) ,. 次 に 日 本 の 場 合 に つ い て 見 て る と, ア メ リ ヵ に お け る 寡 占 企業 の 総 体的高利潤ならびに価格の 下方硬直性の強 さに対し, 日本の寡占企業とい われるものの総体的低利潤をみる (第3 第4表 ,. お よ び 第 8 図). こ の 様 な 現 象 は, 日 本 の 場 合, Entry gap の拡大過程における寡占的競争の過敏. さを示 しており, 寡占の成長期とみな してよいであろう, この場合に しばしばみられる価格の下 第 10 図 Pr i ce t s c o. q て 、. 、 ・ 、 、 、 SMCーSAC ・ 、 2 、 、 、 、 、 、 \ 、Q′・ 、 ‐ 、、 二 ・ 、 ^ ル 、 〃 、 、 、 、 、 ‐. B. D. d cur犯 BB}-D ema n SMC-短期限界費用 SAC-短期平均費用. - 82 -. S ーM 馴C 韮ウ ‘ SAC2. E. ) t t u ( o u . p q.
(14) . 寡 占 と. 景. 気 循 環. l ICost” を基準に して成立するという意味において 厳密には価 格の下方 方伸縮的傾向も叉 “f u , 硬直性と考えてよい, 日本における保護政策による高利潤の取得が可能であっ たものが, 寡占的 競争 の強化につれて, この価格低下政策をとることになっ た. (このこと の例を第10図で説明す 4 ) そ こ で の E′ 点が Baumo る. l の 均 衡 点 で あ り, 0-B-D-E の伸長過程が寡占にお ける ブー. ムの過程であり, スラム プはこの逆の過程として示す事が出来る, 従っ てこの ブームの過程が需 要函数を右方 にシフトさせ る限り,1>S は ブームへの一層の推進力を有 し, 投資の 過少性と し. て評価される. そして E′ 点におい て需要函数に変化がなく, かつその点をすぎてもなお 1>S をとるならば, 過剰投資の評価を得る. もしこの時, 再び需要函数の右方 シフトをみる ならば , ′を境と しての需要曲 また投資の過少性的傾向と しての評価をうける であろう. それ故,E 叉は E ′ と しその時需要 函 線の位置のいかんにより, 投資評価の変更をともなう, 今, 生産能力点を E 数の位置が D′ な い し D′′ に シ フ トす る な ら ば, Excess Capaei ty の増 大 が 示 さ れ る にもかか d l わらず, 価格が低下するとは限らず, Pr i f l l e e r による価格の暗黙の協定が a と o o w e r c e 不況. ′ Q′ への上昇という寡 占価格の下方硬直性を示 しうる における価格一定ないし Q′ , , この様な循 環の反復を通じて長期停滞が内蔵されてくる. 本 章 にお い て はu 寡 占経 済 に お け る 循 環 局 面 を 価 格, 操業 率 な い し Excess Capac i ty と の 対. 応において論述してきた, これが過剰投資論に依拠する限り, 資本主義経済における資本 蓄積過 程の形態を知ることは, 経済変動理論の 考察のために必要である. 次章においてはそのことにつ いて論述する,. <註> “ sa sin t “ 1 hetheory of Economi ) D.V. Domar y 4‐ c Gr 7 6 owth , Es ,7 ,p , 1957 . 宇野健吾訳「経済成長の. 理論」85- 89頁. ” “ 2) D, V, Domar i t 6 -7 - 89頁 ,c , op ,74 , p , 宇野健吾訳 「前掲書」85 ” “ 3) D, V, Domar i t 9 2 宇野健吾訳 「 0 前掲書 7 頁 」1 ,c , op , p , .. 4 ) 宮崎義一, 「戦後日本の経済機構」2 6 6頁. 第三章. 資 本 の 蓄 積. 技術進歩と資本蓄積との積極的 関係を独占的ない し寡占的企業に求め, それを景気循環の局面 と結びつけて考えた過剰投資論者 Schumpeter の方法は, 現実の寡占経済を研究するために重要 ) で あ る.1. 今資本蓄積の必要条件が高利潤にあるとすれば, 収 穫 逓 減 法則を仮定する限り, Wind fa l I Pr 靴 o 以外の高利潤の発生は, 価格の下方硬直性ないしは技術革新による. 完全競争経済におけ る革新による該当企業の超過利潤と他企業による追従によって発生する投資が産出 量 の 増 大 を. み, やがて価格メカニズムを通じて利潤のシェアが消滅する. しかし独占的ない し寡占的企業が 2 ) この場合の 超過利潤は 革新後の 経済を主導する様になると、 革新は超過利潤を固定化させる, 短期間のみを意味する. なぜなら, 寡占的競争ならびに貸金の下方硬直性を仮定する限り, 超過 利潤 が消滅する傾向を持つからである。 超過利潤の経続的維持のためには, 革新の連続的な発生 を必要とする. 革新の発生時期は不確実性の軽減を一つの軸とする. なぜなら, 革新は利潤の実現を可能とす る 限 り に お い て の み 発 生 す る と 考 え られ る か ら で あ る. そ の 時 の Bntry gap の 発 生 に よ る 対 抗. 企業の革新の誘発と新規企業の参入による投資と信用 の拡大によるブームへの進行と, それの結 - 83 一.
(15) . 亀. 丸 =. 義. 彦. ) に よ る 予 想 の 不 確 実 性 が おと ず れ る こ と に よ る 果 に よ る 利 潤 の 平 均 化 な い し 低 下3. New lnl lo. の不在が投資と信用の収縮をみる. この革新の不規則的な反復運動 が景気循環の 過程であ る. 「けだし革新が連続的に時間的に均等に配分されて出現すれば, 好況も不況もおよそ景気現. vator. ) 象 な る も の は 存 続 し な い か ら で ある」4. ) そ して経済成 5 における革新は, 寡占ないし独占的企業を 与件と して発生する, 長の長期の価格硬直性はなく, それは あく迄も短期現象と して発生するものであっ て, 生産要素 )と の価格騰貴による妨害のない限り, 本来寡占価格は技術進歩によ っ て低下す べ きものである6 Schumpeter. ime l ag に 考 え る. しか し現 実 の 経 済 に お い て は, 産 出 量 の低 下 に 価 格 低 下 が お く れ る と い う t. よる硬直性と, 長期における 「独占度」 の大きさによる硬直性という二つの事が, スラム ブから ブ ー ム へ の転 向 に 叉 ブ ー ム か らス ラ ム プ ヘ の 転 向 に 大 き な 意 味 を 持 っ て い る,. i tagreement による硬直的価格維 持が不況から 不況に 対する一般的な見方は, 寡占企業のta c 回復にいたる生産量の, 価格伸縮性の増大に比 しての低い増大 率をみ, これが成長過程に次の様 ) が長期停滞 i t な 影 響 を あ た え る と 考 え る す な わ ち Excess Ca pac y の存在と, 不況の累積化7 . と 失 業 を 一 般 的 に す る と い う 事 で あ る. しか し, Schumpeter における見解は これとは逆に, 不. 況における価格の完全な伸縮性は, 利潤の完全な消滅によ る一層の産出量の低下と失業の随伴を ) と考える, この場合,価格の伸縮 みる事から,価格の完全な伸縮性は経済の不安定化要因である8. 性を認めると しても, 不況期をとると短期的には 産出量低下と正確に比例 した価格低下ではなく 9 )こ ime lag による価格の硬直性を有する. t 期 の 産 出 量 に 対 す る t十 1 期 の 価 格 の 追 従 と い う t l o ) すなわち不況のボトムにおける価格と 産 の短期の価格硬直性は景気の回復に有効 は作用する,. 出量の短期的な timelag は, それがない場合にくらべて不確実性の軽減に役立つと考えられる からである, そ して, 不況のボトムでの超過利潤 に対するより早い予想が出来るならば, それが 革新に結びつく,「新技術をもっ て代表される革新の出現は, 不況のこう した諸事情と不可分に結 存続 期 間 の終 了 び つ い て い る」u) , こ の ス ラ ム プ の ボ トム か ら ブ ー ム へ の 反 転 に お い て, 旧 設 備 の. 1 2 ) それ が投資を誘導することに を待たずに, 旧設備の残存価格をこえた革新の導入が決定され, i 3 ) そ して不況の反復において, 集中率ないし 「独占度」 は強化され おいて経済成長要因となる, る. こ の 事 が 価格の硬直性を一層強める, しかしそれは寡占 の非競争性を 意味せず, その地 位の. 一層の獲得と維持のためには, 革新を無縁にはせず, 経済の成長期には革新と信用創造とが密接 4 ) が, 成熟期におい ては, 内部蓄積の増大と投資誘因の低下および系列化を促進さ に結びつくi せる. 総有効需要の低下は Excess Capacity を発生させ, これらのす べてが 企業と銀行との結 びつきを低下させる, この革新の発生の時期は不確実では あるが, スラム プのボトムにかならず 1 ) を有する, このことが景気循環の要 5 発生するという意味において, それは 「不規則的規則性」 因となり, この循環のの大きさが趨勢を生み出す. 趨勢線は 「各時間変動の実際値に対応する理. 1 6 ) から, 趨勢線も叉ゆるやかな不規 則的 Cy l c e である, 論的均衡値を示す諸点の軌跡である」 それ故, 経済の発展過程は循環過程での属性にすぎない. 従っ て趨勢よりも決定的に循環に意味 7 ) が あ る,1. ここで今少し循環を生み出す革新について論述をおこなう, ここでは革新を技術進 歩 に 求 め る, い ま, Y = 産 出 量, K= 資 本 ス ト ッ ク, N= 雇用, と お い て 資 本 と 雇 用 の 函 数 と し て の 生 産 函. 数を求めると - 84 -.
(16) . 寡 占 と 景. 気 循 環 (12). く N) Y = F (1 ,. 賃金率 w で測定される実質資本価値を. K* とおくと. K K*= W. 故に ′ (12 ). Y=F (K誓 N). 両辺を N で割ると ″) ( 12 こ こ で、. Y. = 下『 y. F( 割 - 叩‘ ま ) 式も ) とおくと 艦′ ′ ′ ′ (12 ). k) y = f( さらに, 鱒 労働の生産性(÷ )とおくと, m 卿 の値のいかんによるか ら. (13). m =f (k) = これは次の定義を有する. ,. ″( k 浅 Fく 輔 f )く0 ここで, r=利潤率とおき, 次の定義式をおく. m一W wk. r=. (14). 企業の Pro6t Max なる技術選好の条件は,. dr. dk. 14) 式についての徴分をお =o なる故, 第 (. こなうと dr - 苓 ) dk-★( . -&( 〒 ‐t+ 〒 ・晶(十) 一. dm dk. dm dk. .. 1. wk. “. wk. w2 k2. m-W wk2. w (m - w 2 wlk. 仮定し こより 蓋÷‐o なる故 一 85 一.
(17) . 亀. - 鼎 wk-w (m-w 」 w2 k2. 畑. 義. 彦. 飾 【 じれを解くと. 冊 m‘‐w (m‐w) ;o dm ・ ユーw 一 (m-w) ÷ . d1 く. Wk. (14). k. を 得 る, こ れ らを 第 (11) 図 の ごと く 示 す. こ こ で f .から f 2 への シフトが中立的技術進歩 (利. 潤率一定, 資本係数一定) ・ から f 3 への シフトが資本財使用的技術進歩,f , へ の シフ , から f , .f 1 ) 8 トが資本財節約的技術進歩である. ・と賃金の下方硬直性の仮定から, 資本財使用的 技術を採用するものとすれば 今, 寡占的競争 , k) の低下によ る 分配率の低下があり, 均衡資本成長率 (gk 労働・資本比率 (N/ ) と産出量の生. 産率 (g. ) を上方にシフトさせ ることにより, AからBへの趨勢をつらぬいた循環的成長が 示さ ) (第12図) ここにおけ る上方への趨勢の決定は 技術進歩と それによる投資需要と貨 9 れる1 . , , 幣信用 の回復等による. そ してそれらは不況のボトムを基礎とすることおよび, 趨勢の上方制約 が Ricardo 的賃金費用と技術進歩の停滞ならびに投資需要と貨 幣信用の収縮2 0 ) にあり, それら が ブ ー ム を 基 礎 と す る こ と に お い て, 循 環 に よ っ て は じめ て 趨 勢 の 発 生 を み る こと は あ き らか で. あ る, 叉, 外 国 貿 易 の 改 善 も, Schumpeter の革新の範時に入れ るならば AからCを通 した循 ,. 環的成長を示す事が出来る.. この様な循環の反復によ る資 本蓄積の結果での 「独占度」 の上昇がある場合には, 既述のごと く不況のボトムが価格の下方硬直性と結びついて利潤の発生要因を形成し, それが遊 休労乙働 革 , 新および信用と結びつき, ブームへの反転をみ, 一層の資本蓄積を進行させ る そ してこの反復 , に よ っ て も た らさ れ る Bxcese Capac i ty の強化が, ブームと加速度原理と の結 びつきの低下と. 内部蓄積の増大と投資誘因 の低下による信用との結びつきの低下とをもたらすならば 長期停滞 , 1 2 ) が正に資本蓄積の結果としての利潤率の低下と結び の問題が発生する,Keynesの「一般理論」 ついていることにおいて, 暗 黙裡に過剰投資理論を基礎に持っていることを知る. そ してその事 を前提として, 政 府の役割を強調した. Keynes 理 論 は 完 全 競 争 市 場 を Gr ound と して い る の に ,. - 86 -.
(18) . 寡 占 と 景. 気. 循 環. 第 1 2 図. k g A. L. /¥. もかかわらず, 実際には寡占の行動を予定 していたという ことが出来よう, この他にも Keynes は, 第一章で論述した様に, 労働の組織力による貨 弊賃金の下方硬直 2 2 ) 性をも考慮していた. 叉, 本 稿 に お い て 強 調 さ れ て き た Excess Ca ac ty の 大 き さが 長 期 停 滞 と 関 係 して い る と は い p i. え, これのある程度の大きさの確保が 寡占ないし独占的企業の条件 である, なぜなら, この大 , きさ こ そ が 革 新 を 発 生 さ せ る 動 力 と な る か ら で あ る こ の様 に 考 え る な ら ば Excess Capac i ty ,. の大きさは, その結果を別とすれば その発生におし ・ては, 無 計画的なものではなく 必要な見 , , 込 を も っ た 意 図 的 な も の で あ る 結 果 と して生 じ た E c i x ess Capac ty の 排 除 の た め の 需 要 増 大 ,. 政策は, まず寡占間の競争を激化させ ることにより 技術進歩 をもたらし, 次いで集中, 合併に , より 「独占力」 を強めて 「利潤格差」 2 2 ) をつけ, 特定産業全 体の Marke t shar e の拡大をこえ た 個別 企業 の 拡 大 を も た ら す , そ の こ と が 循 環 の 一 周 期 の 終 り に お い て, 一 層 の Excess Capac i ty と して 示 さ れ る こ と に な る で あ ろ う そ し て そ の 事 が 一 層の長 期停滞の問題と 結 び , , つ く 事 に な る.. <註> “ 1)j i i l ia i ta l sm, Soc sm and Democr , A,Schumpeter acyr l950 , Cap ) ( i: 中 山 伊知良= , chap .S ,1 ,81-10 , 東畑精一訳 「資本主義, 社会主義, 民主主義」 上巻8章 14 7 19 3頁 - , “ ” 2)J i t er c t , A,Schumpe , op . ,82 , p ,105 ,1OG . 東山 ・ 東 畑 訳 「前 掲書」 148頁 ” ” A S 3) 1 h t i u c m e e r t o p . , .c , p , p ,90 , 中 山, 東畑 訳 161-162頁。. 4) 早川泰正 「経済変動理論」 第二部 「不況と回復」 昭33年 10 8頁 -10 ・ , 7 ” “ 5) J i ter t , A,Schumpe , op ,c 8 1頁 ,100 中山, 東畑訳 「前提書」1 , p “ ” 94中山 東畑訳 「前掲書」16 G )1 i t e r t ,A,Schumpe 170頁 6M .c . , op , p , ‘ ” 94 中 山 東畑 訳 7 )J t 「前, , A,Schumpeter三 op.ci 掲書」 164‐165頁 ,, , p , “ “ S A h i 8)j t ‘ ‘ i , , c umpeer Lange ,ct i i , op l , 105 , 中 山, 東畑 訳 「前 掲 書」 ○., l ce F1 exib t oy- yand Bmp , Pr “194 t 4 men 8 ‐ 7 8 0 安井琢磨 p 福岡正夫訳 「価格伸縮性と雇用」13 , , , 1 1 , ‐ 13 3頁 .. ” ” 9)J i t er . A,Schumpet , op,c ,95-96 , p , 中 山 東畑 訳 「前 掲書」 171-172頁 “ “ A S 10) J h c um t i t e p er - 5 10 6 . , ,c , p 9- , op 193頁 , 中山東畑訳 「前掲書」18 ,10. 11 ) 早川泰正 「前掲書」105頁 ’ ’ 92 9 t2 )J t i e r≦‘op t ,A,Schumpe 籾訳 「前掲書」17 6頁 .c , ,8 , p , 中山東夕. - 87 -.
(19) . 亀. 畑. 義. 彦. 13 ) 早川泰正 「前掲書」104頁 ‘ ‘ i i i l and Stat l l ana i i l i l hi t 14) j t s ca s of the er ca ness Cyc es- a theor s ca or ys , A.Schumpet , Bus ’ ’2vo i Capi l t t Pr l 1 9 3 9 6 1 頁 a s 「 」1 o ce s 吉田昇三監修 景気循環論 s , , . ” i 15) J ter tr 吉田監修 「前掲書」4 6頁 , A, Schumpe .c , op ” “ 16) J t t -10 1頁 er c 00 , 八. Schumpe ,i , op , 吉田監修 「前掲書」1 “ i 17) i t 07頁 er “op . A, Schumpet ,c , 吉田監修 「前掲書」3 18 0頁 ) 安部一成, 小林好宏 「現代寡占経済論」 昭和42年, 12 1966 19) 早川泰正 「経済成長の循環的ならびに趨勢的側面」 「経済学研究 (北大) 」 第16巻2号 ( )7-8頁 2 0) 早川泰正 「前掲書」11‐12頁 “ “ l ltheory of Bmp t and Money 1) J er s 2 oymentlnt .1936 , London . M. Keynes , The genera , 塩野谷九 十九訳 「雇用, 利子および貨幣の一般理論」 i 22) j t” Chap l 1 9 57 -2 7 s ”op .c , M. Keyne .2 ,p . 塩野谷訳 「前掲書」 289‐304頁 ” ‘ fthes S ines l i i d l l S J t じ s Economi ems o ze of Fi rms 23 ma and Big Bus c Prob ) . en , Chap-3 米田 , 1947 6頁 清貴, 加藤誠一訳, 48 -8. 結 び に か え て 本稿の第一章から第三章を通じて得た知識を基礎と して 第四章で若干のモ デルを使用 して 「寡 占経済におけ る循環と投資行動」 に関する論述を試みる予定であったが, 紙面の都合によ っ て,. この重要な部分をはぶかざるを得なくなっ た, そこでは, 過剰投資理論を 念頭に お き 乍 ら, Keynes Harrd Hicks の Mode l の考えをへて寡占と循環 の問題について論じている, それら , , のことについての発表は次回に待たなければならない. 第3図 乗用車店頭渡し価格推移 移中村隆英編 「独占価格」 虹 132頁 第4図 景気調整期の価格推移と操短 5頁 114 中村隆英編 「独占価格」 1. 第5回 製鋼操業率と価格 ” i ine i ingin Big Bus l l t ssr p ot c 資料 A, D. Kaplan,JceIB. Dirlanl, Robert F. Lanzi ,20 , Pr. ‐5 7) 第6園 アメリカ鉄鋼業における操業率と資本収益率との相関 (1920 “ ‘ ‘ i l it l t e er ed Pr ces 資料 “F, V, Gardner .47 ,s , p , Admtns 第7図 価格形態別推移 (アメリカ) “ 9 ”Pr i l t 62 i ing Powerand the Pub G. C. Means eres c c lnt , 邦訳, 伊藤長正訳 「企業の価格決定力と公 , 1 , 共性」68頁 1 ) 競争価格を反映する指数は, 農産物, 加工食品, 繊維製品および皮製品, 木材および木製品の加重平均, 2 ) 寡占価格を反映する指数は, たばこ, びん詰食料, ゴム, ゴム製品, 非金属鉱物, 金属製品, 機械および 動力機械の加重平均, いずれも労働統計局卸売物価指数によるもの. 第8図 価格形態別推移 1頁 石川邦男 「わが国における独占価格の特質」 , 『独占価格』3 第9図 生産率の循環 出所 : 篠原三代平 「日本経済の成長と循環」 66頁 第10図 出所:宮崎義一, 「戦後日本の経済機構」2 第12図 出所:早川泰正 「経済成長の循環的ならびに趨勢的側面」 『経済学研究 (北大)』 第16巻2号 (1966)7-8頁. - 88 -.
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