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「社会に開かれた教育課程」の系譜(1) : 雑誌『初等教育資料』の関連記事整理をもとにして

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(1)Title. 「社会に開かれた教育課程」の系譜(1) : 雑誌『初等教育資料』の関連 記事整理をもとにして. Author(s). 中村, 吉秀; 山口, 好和. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 68(2): 1-13. Issue Date. 2018-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/9641. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第68巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 68. No.2. 平 成 30 年 2 月 February, 2018. 「社会に開かれた教育課程」の系譜⑴ ― 雑誌『初等教育資料』の関連記事整理をもとにして ―. 中村 吉秀*・山口 好和** *. 北海道教育大学大学院教育学研究科 高度教職実践専攻(函館校) **. 北海道教育大学函館校 教育方法学研究室. The Circumstances of “Strong Connection between Curriculum and Community” ― Organizing Articles of Monthly Magazine “Primary Education” ―. NAKAMURA Yoshihide* and YAMAGUCHI Yoshikazu** *. Department of Teacher Education of Graduate School, Hakodate Campus, Hokkaido University of Education **. Educational Methodology, Hakodate Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 学習指導要領改訂のキーワードの1つである「社会に開かれた教育課程」が,どのような経 緯で示されたのかを探るために,雑誌『初等教育資料』の過去記事から,“地域”“連携”に関 する実践報告を拾いあげた。80年代末から2000年代前半までの記事の内で,教育課程の特徴や 連携先,活用教材などを時系列で整理したところ,80年代から90年代前半にかけては,地域人 材や自然・文化の資源を教材として借用する,学校施設を開放するという一方向的な性格が強 いのに対して,90年代後半以降は,学校も地域の一部として共に活性化に携わるという協働的 な姿勢が見え始めたことがうかがえた。. 1.問題と目的. いつつも,近隣小・中学校の統廃合や学級数の減 少なども聞くと,地域社会の変化を益々実感させ. 2014年に公表されたいわゆる「増田レポート」. られる。一方で地域や家庭の「教育力低下」に対. や2017年刊行の新書『縮小ニッポンの衝撃』『未. して,学校と地域の連携をより強くすべきとも言. 来の年表』など,急激な人口減少・少子高齢化の. われるが,学校教育への要求だけを増すのではな. 指摘が相次いでいる。こうした人口動態データに. く,むしろ地域の限られた資源をどう適切に分配. もとづく指摘を目の当たりにすれば,自ずと不安. できるのか,関係者が知恵を出し合うことが大事. が募る。 「大きな変化は起きないでほしい」と願. であろう。. 1.

(3) 中村 吉秀・山口 好和. そもそも“学校と地域社会との連携”が政策で. に「地域」や「連携」などのキーワードを含む実. 提起されたのは,1987(昭和62)年の「臨時教育. 践報告がどのような特徴を持っていたのかを把握. 審議会第3次答申」からであり,1990年代半ばに. して,今後の展望を描きたい。今回の作業は,そ. は,中央教育審議会,生涯学習審議会のそれぞれ. の第1段階である。. (1). において地域連携の推進が謳われた 。また教育 内容・方法の次元では,「生活科」や「総合的な 学習の時間」創設など,教育課程の編成上,地域. 2.研究の方法. との関わりが不可欠となっているのは周知の通り. ⑴ 題材について. である。. 本稿では『初等教育資料』を分析の題材とした。. この動きは初等中等教育だけではなく,高等教. それは,概ね次の理由による。. 育においても同様である。90年代後半の時点で. 1つには,文部(科学)省の担当部局が編集に. 「地域社会への生涯学習機会の提供に力を注ぐ大. 携わっているため,初等・中等教育での各時期の. 学」という具体的な類型が示されるとともに, 「個. 政策方針が記事構成に直接反映していることであ. 性が輝く大学」 (大学審議会答申)として地域連. る。2つには,多くの学校教育関係者が購読して. (2). 携のあり方が求められた 。. いることが予想されるので,各地の地域事情が記. こうした政策方針が掲げられてはや四半世紀が. 事内容に含まれており,かつ教育課程や実践事例. 経つ中で,実際に地域学習に携わる教員や間近に. の具体的な紹介がなされていると予想したからで. 学校経験を持つ大学院生(学部卒)の考えを聞く. ある。. と, 「子供たちの地域を思う気持ちが少しでも育 てば」 「就職先はどこを選択してもよい」など,. ⑵ 記事検索の範囲. どこか漠然とした発言にも聞こえる。. 『初等教育資料』誌のバックナンバーから, 「地. 折しも2017年3月改訂の学習指導要領前文や,. 域」 「連携」をキーワードとして指導事例等をピッ. そのベースとなった2016年12月の中教審答申で. クアップしたものを,「発行年月(巻号数)」 「記. は, 「社会に開かれた教育課程」が重要な論点と. 事の表題」「実践校・特徴」「連携の対象」「具体. して示されている。担当部局の文科省初等中等教. 的な活動例」の項目で整理してみた。得られた記. 育局教育課程課長は雑誌記事の中で, 「これまで. 事を年代順に並べ,内容を“連携における特徴”. の『開かれた学校』とは何が違うのか?」という. の視点から比較・吟味してみた。このときの“連. 問いに対して, 「それぞれの学校において,地域. 携における特徴”は,“地域との連携”をどのよ. や子供たちの状況に応じて,学校として育成する. うにとらえ学校教育とつなげていくのかという切. 資質・能力を明確にし,社会と共有することが重. り口で見取ることを重視している。そのことに. (3). 要」と応じている 。これを見れば,学校での教. よって,今後連携を進め広げていくときに表出す. 育内容・活動の隅々に至るまで,近隣地域との関. る課題を解決する手がかりとしていきたい。本稿. 係性を密接に持ちながら,形成するよう求めてい. では作業の手始めとして,臨時教育審議会が開催. ることがわかる。しかし,学校現場の実感からす. されていた1980年代後半から2000年代初頭(学力. れば,今までも地域との関わりを大事にしてきた. 低下の指摘を受けて学習指導要領の一部改訂が実. という意識と,一方で多様化する地域社会とどう. 施された時期)までを,1つの区切りとした。. 関係を築けばよいかの不安が混在していると思わ れる。 そこで本稿では,文部科学省が編集する『初等 教育資料』での記事を振り返りながら,これまで. 2.

(4) 「社会に開かれた教育課程」の系譜⑴. 表1 雑誌『初等教育資料』内の地域連携による教育課程編成の事例(80年代後半〜90年代初頭) 発行年月・. 記事の表題. 巻号数 1987.9 (S62) No.504. 報告者・. 実践の特徴. 実践校. 連携・活用の対象 ・家庭と連携. 学校経営におけ 二川 有明 ・地域環境を教育の場として. 具体的な実践例 ・繰り返し働きかけ. る家庭,地域と ( 鹿 児 島 県 ・地域の自然,文化条件を教材として ・地 域の自然的文化 ・子供との交流 国分市立向. の連携. 的環境. 活用. ・しつけ. 花小学校長) ・家庭や地域の教育力は,学校教育の ・学 校 を 文 化 セ ン ・教材の開発 ター的役割に. 基盤を支える. ・施 設・機能を地域住民に開 放 ・PTA活動の充実 ・道義高揚運動. 1992.9. 地域に開かれた 松野 康子 ・学校が地域の人々の要望に応える. ・地域素材の教材化. (H4). 学校運営の工夫 ( 東 京 都 台 ・教職員の意識改革. ・組織の工夫 ・特 別教室の地域開. 東区立上野 ・地域にも開かれた学校に. No.584. 小学校長) ・開かれた学校は,子供たち一人一人. 放. ・ 「地域の文化を学ぶ日」,地 図作り,ボランティアカー ド ・弾力的な時間割編成 ・校外カリキュラム. の願いを基調に. ・コ ミュニティセンターとし ての学校開放を推進 1992.9. 問題解決の学習 福岡県北九 ・生きた授業. (H4). を広げ,深める 州市立平野 ・問題をもつ段階. No.584. 地域教材の活用 小学校. ・子 供のわかり方に ・理科の授業での問題解決 基づき,地域環境 ・近 くの山や海岸の地層を活 の活用を図る. ・学習を広げる段階. 用. ・追求へのひろがり 1992.9. 道徳的実践力を 滋賀県高月 ・奉仕にかかわる体験的な学習. ・PTA活動. (H4). 高める家庭・地 町立高月小 ・内面に根ざした豊かな道徳性. ・役場. No.584. 域社会との連携 学校. ・よ いことが目立つあなたに 送る賞. ・「みつける」 「かんがえる」 「みつめる」 ・特 別養護老人ホー ・親子奉仕活動 ム. ・字別奉仕活動 ・独居老人の訪問 ・高月駅への置きかさ運動. 3. 結果と考察:教育課程と実践の報告記事 が示すもの. (11)(12)(13)(14)(15) 容」 という3つの段階に振り分けて,. 具体的な内容を見てみたい。. ⑴ 雑誌記事の整理区分について. ⑵ 80年代後半から90年代初頭の記事内容. 表1から表3は, 「地域」 「連携」の語をキーワー. まず,1987「初等教育資料」9月号 No.504. ドにして,雑誌『初等教育資料』からピックアッ. (昭和62年)で「特集Ⅰ 学校と家庭,地域との. プした指導事例を年代順に並べたものである。 “地. 連携を見直す」が掲載された。論説として「学校. 域との連携”による教育課程や授業づくりを主題. 経営における家庭,地域との連携」について現場. と し た 事 例 報 告 は,1987( 昭 和62) 年 9 月 号. の校長から示していた。その内容は,家庭や地域. (No.504)掲載の「学校経営における家庭,地域. の教育機能や社会教育の機能との連携の中で学校. との連携」 から,2003(平成15)年4月号(No.767). の教育機能をとらえ,“家庭や地域の教育力の低. 所収の「小規模校における学校間連携を通して,. 下”を危惧していた。そして,地域や家庭が“学. 総合的な学習の時間や教科等の学習でも地域の特. 校で学んだものの発展・応用・総合の場”という. 色を生かした教育課程」まで,あわせて23事例が. おさえから,両者は相互に補完する関係にあると. 掲載されていた。. している。ゆえに, “家庭や地域の教育力の低下”. こ れ ら の 記 事 を 「 8 0 年 代 後 半 か ら 9 0 年 代. は学校教育の支えを失うことを意味していた(4)。. 「90年 代 中 盤 に お け る 初 頭 の 記 事 内 容 」(4)(5). そこで,学校が体験学習などを中心に家庭や地. (6)(7)(8)(9)(10). 記事内容」. 「2000年代初頭の記事内. 域の教育力を活用すると同時に,家庭や地域自体. 3.

(5) 中村 吉秀・山口 好和. の低下した教育力の活性化を図るために,下記の. し,それをもとに自分の考えを膨らませ,追求へ. 方策を2つ提示していた。. 広げている。つまり“地域の環境を踏まえて,地. ①子供の教育をめぐって,学校,家庭,地域の. 域教材を生かす”ことにより,問題解決の学習を. 役割分担を明確にし,教育的分業態勢の構築を目. 作り出し,“地域との連携”としていた(5)。. 指す. さらに同号所収の「道徳的実践力を高める家. ②学校が地域を取り込むと同時に,学校は地域. 庭・地域社会との連携」(滋賀県高月町立高月小. の一教育機関として地域に取り込まれ,地域自体. 学校)では,次のような実践が紹介されている。. が学習・行動の展開の場として機能することを目. “奉仕にかかわる体験的な学習を意図的・計画的. 指す. に全教育活動の中に取り入れ,さらには道徳の時. そして,学校は家庭や地域と一層緊密な連携を. 間にはその関連を大切にする”ことを切り口に,. 図り,相互信頼に根ざした開かれた学校であるこ. 道徳的実践力を高めることをねらっていた。特に,. との必要性を説いていた。そのための基本的な4. その内面に根ざした場を“家庭や地域社会”に求. つの視点から“開かれた学校,教職員の参加と協. めたのである。具体的には,「親子奉仕活動」「字. 働,相互信頼,徳育の充実”という現在にも通ず. (あざ)別奉仕活動」「独居老人の訪問」「置きか. るキーワードを見出すことができた。この論説の. さ運動」等である。そのふれ合いの中で「出会い. 内容は, “家庭や地域の教育力の低下”が大きな. を大切に,心のやさしさを伝えよう」「来た時よ. 課題であり,この低下をとどめるための大きな枠. りも美しく,私の心を残していこう」を合言葉に. (4). 組みとして連携を提案していた 。. 取り組み,全ての教育活動や学級での生活が有機. 次に,1990(平成4)年9月号(No.584)「特. 的に連関し合って豊かな心の育成を図ることにつ. 集Ⅰ 家庭・地域の教育を生かす」論説2「地域. ながったとある(5)。. に開かれた学校運営の工夫」では,実践校の校長. これら90年代に入って報告された3箇所の実践. によって,学校が家庭や地域社会とともに歩んで. 報告では,地域の環境を踏まえて,地域の教材を. いく住民感覚に目覚めることであり,地域に開か. 授業に取り入れようとする視点が明らかであり,. れた学校にしていく努力と工夫があってはじめて. 1987(昭和62)年の事例報告とひとつの連続性が. 実現すると説明されている。さらに,子供は学校. 認められよう。. だけでなく,家庭や地域から学んで一人の人間と して成長していくことから,家庭や地域を学習の. ⑶ 90年代中盤における記事内容. 場として視野に入れ,取り入れていくことが大切. 次に,No.657 1996 10月号で「学校・家庭・. になっている。そのためには,学習資料や学習材. 地域社会の連携を深め,特色ある教育を進める」. を掘り起こししたり,学習の場を開発したりする. (岡山県上川町 江草 毅 教育長)によるわが. ことが求められる,とある。次に,特別教室等の. まちの紹介である。ここでは,本町が生涯学習の. 地域利用の導入などが論じられていることから,. 推進のために教育委員会が中心となって,幼稚園,. 学校開放で地域住民にとっての学習機会を提供し. 小学校,中学校,家庭,地域社会に呼びかけ,役. (5). ようとする意思がうかがえる 。. 割分担の明確化や教育の在り方を見直し,子供の. 同じく,9月号(No.584)の「問題解決の学習. 望ましい人間形成を図ることを目的とした町長部. を広げ深める地域教材の活用」 (福岡県北九州市. 局と一体で対処した連携である。特に,地域の伝. 立平野小学校)にある事例を見てみる。理科の授. 統文化教育の推進を図り,郷土や国を愛し,国際. 業に, “生きた授業とわかる喜び”を求めて,地. 社会に役立つ子供に育つことを期待していたとい. 域教材の積極的な活用を推進しようとしていた。. うとらえになっている(6)。. 特に,子供の興味・関心を持つように課題を提示. No.681 1998 2月号に「学校と地域との連携. 4.

(6) 「社会に開かれた教育課程」の系譜⑴. 表2 雑誌『初等教育資料』内の地域連携による教育課程編成の事例(90年代中盤〜後半) 発行年月・. 記事の表題. 巻号数. 報告者・. 実践の特徴. 実践校. 連携・活用の対象. 具体的な実践例 ・吉 備川上ふれあい漫画美術. 1996.10. トピック・わが 江 草 毅 ・役割分担を明確に. ・町長部局と一体で. (H8). まちの教育 岡 ( 川 上 町 教 ・伝統文化 保存伝承に. ・生 涯学習施設(総. No.657. 山 県 川 上 町 - 育長). 遊豊の児童館,漫. の推進. 「学校・家庭・. 館. 合学習センター, ・伝統文化:子供備中神楽. ・郷土学習を基盤とした国際理解教育. 画美術館). 地域社会の連携 を深め,特色あ る教育を進める」 1998.2 (H10) No.681. 学校と地域との 栃木県鹿沼 ・研 究主題「学校と地域・家庭が連 ・鹿 沼 市 文 化 協 会 ・支援委員会 連携を通して教 市立石川小 師の専門性を伸 学校. 携・融合した学習地域社会の形成」. (書道部門). ・ 「学社融合」は,双方のもつ教育・ ・鹿 沼市小中学校養 護教諭部会. 学習効果を取り入れる状態. ばす. 健婦,地域の食生活改善委 ・協働して書写の授業を. コーディネーター. 践から-. (養護教諭,栄養職員,保 員). ・教職員の役割は陰のコンダクター,. -学社融合の実. ・ 「すこやか委員会」の発足. ・目標を共有化,活動を協働化 1998.3 (H10) No.683. 指導事例 家 茨城県玉造 ・地域に目を向け,進んでかかわりを ・町内の施設 庭・地域社会と 町立手賀小 連携して子供の 学校. ・身近な教材. 生活の充実をめ. ・深める(霞ヶ浦でのつり,ゴミ拾い,. 1998.3 No.683. ・手賀囃子保存会. 学校・家庭・地 樫村 威純 ・地域の教育力の回復を. 化) ・生活科と理科 ・校 区の他に,行政 ・郷土愛(発見・大浜) 区,自然,歴史な ・校区内の分担調査(有明海,. 生きる教育活動 名市立大浜 ・学校が核(文化センター的存在)と. ど柔軟に. 小学校長). なって. ・PTAとシャツ作成. No.683. 子供のよさが膨 福井県福井 ・様々な出会いとふれ合いの中で ら む 学 校 と 家 市立鶉小学 ・体験活動を有機的に結びつけながら 庭・地域社会と 校. ・感動と充実感,次への意欲に. のり養殖,神社,飛行場, 農協,干拓,米,メロン, トマト,いちご). ・共通した価値観に基づき役割を分担 (H10). 会・文化などの素材を教材. 域社会のよさが ( 熊 本 県 玉 ・学校・家庭・地域社会の分担を の展開. 1998.3. ・ 「霞ヶ浦」(地域の自然・社. ・立体模型地図づくり. 帆や網での遊び). ざす教育活動 (H10). もとうとする子供. ・ 「ふるさとお話会」 ・4年道徳の実践 (偉人,遺跡,民話) ・5 年国語「ふるさと俳句作 ・PTAに毎月授業公 開. の新しい協力体. り」(図書館利用) ・特別活動「鶉っ子まつり」. 制 1998.3 (H10) No.683. 家庭・地域社会 鳥取研福部 ・一村一校で非常に協力的. ・村議会見学. のよさを生かす 村立福部小 ・教育課程には,体験農園でのさつま ・村長との懇談会 学校運営の工夫 学校. ・平 成9年度より「村子ども 議会」を企画実施. いもづくり,村民運動会,村民文化 ・役 場,公民館,県 ・2年生活科「おもちゃ大会」 立図書館の見学. 祭を位置づける. ・豊富な公民館の行事. ・意欲的にかかわろうとする姿 1998.3 (H10) No.683. 学校を核とした 島根県斐川 ・学習の場を広く地域社会に求める. ・郷 土史家,図書館 ・人材バンク,教材バンク 利用. 地域の教育ネッ 町立荘原小 ・地域素材を教材化 トワークづくり 学校 の取組み. ・地域の素材を発掘して教材化し,そ ・寺社,公園 れを貴重な教育財産として大切に受 ・県 教委主催「文化. ・「新川」と「出雲結」 ・6年社会「米原氏を追って」 地域の文化財を活用. 塾」事業. け継ぐ. ・公 民館長,県埋蔵 文化センター ・老人ホーム 1998.4 (H10) No.684. 指導事例 家 群馬県粕川 ・学習活動の成果が子供たちの活動に ( 人 権・ 福 祉・ 環 境 ・年間指導計画の改善 庭・地域社会と 村立粕川小 の 連 携 を 生 か 学校 し,自ら学び,. 生き,子供たちの活動の成果が学校 に 視 点 を 当 て ) 家 ・社会科(パビリオン学習) の学習活動に生きる. 庭・地域社会との連 ・家 庭科(地域の環境アドバ. ・年間指導計画の改善:地域を愛する 携. 自ら考える教育. 心が育つ地域素材(社会科 家庭科. 課程の工夫. 集会活動). イザーとのTT) ・集 会活動(粕川フェスティ バル). ・むらづくり・人づくりセミナーやフ リースクール. 5.

(7) 中村 吉秀・山口 好和. を通して教師の専門性を伸ばす―学社融合の実践. 礎を培っていくことを生活科のねらいとして取り. から―」 (栃木県鹿沼市立石川小学校)指導事例. 組みを展開していった。素材は,眼下に臨む“霞ヶ. を見てみる。鹿沼市は“融合”を“連携”のさら. 浦”である。3年以上は理科の授業につなげてい. に進んだ形態と考え「学校と地域社会の双方が主. る。地域を知り,思いや願いを広げ深めているこ. 体性を発揮しながら,それぞれの教育効果をあげ. とが理解できた。. るために,双方のもつ教育・学習効果を取り入れ. 次に,No.683 1998 3月号「子供のよさが膨. る状態」とし,限りなく“融合”への流れとなっ. らむ学校と家庭・地域社会との新しい協力体制」. (8). ていた 。. (福井県福井市立鶉小学校)指導事例では,ふる. そして, 教職員一人一人が,自分の専門や教科・. さとの自然や様々な人々との出会いを大切にした. 領域,校務分掌から興味・関心等を中心にして,. 体験活動を継続しながら,めあてをもって主体的. 研究課題を設定し,実践をつくるという方式を. に楽しく求め続ける子供を育成し,この出会いと. とっていた。その連携による実践の一つ一つが,. ふれ合いを「家庭・地域との連携」としてきた。. 地域の人たちとの対話になり,専門性を深め,教. 道徳(4年)や国語(5年),「鶉っこまつり」特. 職員の資質を伸ばし創意工夫を生み出すというよ. 別活動(全校集会)等のように各授業に取り入れ,. さを示している。. 感動や充実感を味わわせ意欲の喚起となってい. No.683 1998 3月号の 「特集Ⅰ 学校・家庭・. た。このことは,「学校・家庭・地域」のつなが. 地域社会のよさを生かす教育の創造」の論説2「学. (9) りや信頼感を深めていることになっていた 。. 校・家庭・地域社会のよさが生きる教育活動の展. No.683 1998 3月号「家庭・地域社会のよさ. 開」 (熊本県玉名市立大浜小学校長 樫村威純). を生かす学校運営の工夫」(鳥取県福部村立福部. を見てみる。 「学校・家庭・地域社会にもそれぞ. 小学校)指導事例では,子供たちが地域社会のよ. れよさがあり,各学校で編成された教育課程に,. さを生かして学ぶ中で,生きて働く力を身に付け. どのような位置付けをし,その組み合わせ,順序,. ていくための学校運営の工夫について示してい. 効果的な構成をどう有機的に関連付けていく必要. た。子供の生きて働く力を向上させるために,多. 性があるか」から連携をとらえている。そして,. くの豊かな体験と問題解決的な学習を中心に据. 学校が核となって取り組む機会と認識すべきと述. え,必然的に家庭や地域との関わりを重視すると. べている。さらに,地域の教育力の回復を期待し,. 述べている。したがって,教材の選択や構成にあ. 学校・家庭・地域社会の分担を明言したことは,. たっては,子供たちの生活の場である家庭や地域. それぞれの立場の認識と自覚そして責任をはっき. 社会にかかわることをより積極的に取り入れるよ. りさせることになると説明している。特に,小学. うにしている。一村一校であることから,地域の. 校1~3年次と生活科や総合的な学習の時間を活. 公民館とも連携し,より地域に取り込まれている. 用し,校区・大浜を題材にして実践を継続してい. 様子が垣間見られた。結果として,子供たちの学. た。. 習が家庭や地域社会へ広がり,地域に意欲的にか. 次に,No.683 1998 3月号「家庭・地域社会. かわることにつながり,学校全体の教育活動の中. と連携して子供の生活の充実をめざす教育実践. に地域が強く意識されている(9)。. を」 (茨城県玉造町立手賀小学校)指導事例を見. No.683 1998 3月号「学校を核とした地域の. てみる。地域の自然・社会・文化などの素材を教. 教育ネットワークづくりの取組み」(島根県斐川. 材化し,地域の人々の教育活動への協力体制づく. 町立荘原小学校)指導事例を見てみる。主に社会. りを連携として進めていた。 「必要に迫られたと. 科・生活科を中心に地域教材を取り入れた単元構. き,本当の力が試される」経験や体験を数多く積. 成の工夫についての研究となっている。連携とし. み重ねて,生きる知恵を身に付け,生活能力の基. て「学習の場を広く地域社会に求め,自然や文化. 6.

(8) 「社会に開かれた教育課程」の系譜⑴. 財, 産業, 人々の生活などの素材を教材化したり,. 然・人材を掘り起こし,“ふるさと学習”として. 地域の施設を積極的に活用したり,地域の優れた. 学校教育に位置付けた。そして,この“ふるさと. 人材を講師として学校に招き,仕事や活動の様子. 学習”の基本は,体験学習を充実し豊かな体験を. を見聞きしている」としている。このように,身. 目指すことであった。地域は教材であり,地域の. 近な地域素材を教材化し,学習の中に位置づける. 素材を教材化する。地域社会は教師であり,家族. ことは“自ら学ぼう”とする意欲の向上につなが. でもある。その結果,思いやりの心や社会性,そ. るととらえている。そのために“人材バンク” “教. して豊かな自己を実現していく子供たちへと育て. (9). 材バンク”を作成し活用を図っていた 。. ていくことを願っていた(11)。. ここでも「学校を核とした地域の教育力によっ. 次に,No.717 2000 3月号では「特集Ⅰ 学. て,地域の中で育て,地域に生きる人とする」と. 校,家庭,地域社会の連携を図る」で「地域の人. いう視点を掲げ,連携よりも1歩踏み込んでいる. 材・施設や活動と連携した指導の工夫」(山口県. ことが理解できる。ただ,このことに“開かれた. 新南陽市立和田小学校)指導事例では,「地域を. 学校づくり”を目指すことも示されており,“連. パートナーとして,主体的に自分の生き方を求め. 携を実現するために開かれた学校づくりを推進す. る社会科学習」を窓口に,①地域教材の活用 ②. る”を重視していたことがうかがえる。. 地域人材の活用 ③体験重視の問題解決的な学習. No.684 1998 4月号「家庭・地域社会との連. の展開 ④特色ある教育課程の編成 の4点に絞. 携を生かし,自ら学び,自ら考える教育課程の工. り,実践を積み重ねた。そして,学習にリアリ. 夫」 (群馬県粕川村立粕川小学校)指導事例では,. ティーを持たせるために地域社会における広範囲. 人権・福祉・環境に視点をあて,子供たちの豊か. な体験をさせる。さらに,地域人材をどの単元で. な心を育成するとともに,自ら学ぶ意欲や主体的. どのように活用できるのか,すぐにわかるように. に学習や活動に取り組む態度を育てるために連携. 年間指導計画の中にも位置付けていた。授業とし. を考えていた。その内容は,「学校の学習活動の. ては,未来に希望を見いだすように教師や地域が. 成果が家庭や地域社会における子供たちの活動に. 支援していく問題を取り上げ,地域の人々ととも. 生き,家庭・地域社会における子供たちの活動の. に問題を解決しようとする学習の展開を示してい. 成果が学校の学習活動に生きるよう」にと重視さ. る(11)。. れていた。主な教科は,社会科や家庭科,そして. No.717 2000 3月号では「特集Ⅰ 学校,家. (10). 特別活動等を工夫して取り組みを展開していた. 。. 庭,地域社会の連携を図る」で「家庭や地域社会. これらの90年代中盤に報告された記事を見れ. との連携体制を充実させ,豊かな心を育てる道徳. ば,より積極的な連携によって,地域教材の作成. 教育の工夫」(東京都練馬区立開進第一小学校). や地域の特色を生かした教育課程の編成を行おう. 指導事例を示す。道徳教育のかなめである道徳の. とする姿勢がうかがえる。 「総合的な学習の時間」. 時間の充実を図ることを最も大切に考えていた(11)。. の導入もあって,連携の目的も,学校運営,教師. さらに“家庭や地域社会との連携体制を充実さ. の専門性の向上,子供の生きる力の育成等と多岐. せることが必要”ということになり,それは「家. にわたっている。. 庭や地域社会における心の教育なくして,学校に おける道徳教育は成り立たない」という目標によ. ⑷ 2000年代初頭の記事内容. るからである。具体的には“豊かな心をはぐくむ. まずNo.717 2000 3月号では「特集Ⅰ 学校,. 推進会議”や道徳授業地区公開講座によって,保. 家庭,地域社会の連携を図る」で「地域の特徴を. 護者や地域の方々の意識が高まってきた。連携体. 生かし,豊かな体験を深める指導の工夫」 (徳島. 制をより強化・充実し,道徳教育の在り方を追究. 県海部町立海部西小学校)指導事例で,地域の自. していく方向であった。. 7.

(9) 中村 吉秀・山口 好和. 表3 雑誌『初等教育資料』内の地域連携による教育課程編成の事例(2000年代以降) 発行年月・ 巻号数. 記事の表題. 報告者・. 実践の特徴. 実践校. 連携・活用の. 具体的な実践例. 対象. 指導事例 地 徳島県海部 ・地域の素材を教材化 地域社会は教 町 教 員(「 ふ る さ と ・地 域の自然・人材を掘り起 域の特徴を生か 町立海部西 2000.3 (H12) No.717. し,豊かな体験 小学校. 師,地域は家庭. 教 員 」) に よ る 社 会. ・地域の力をかりて,豊かな触れ合い 教育との連携,ホタ. を深める指導の. を通して,思いやりの心や社会性, ル研究家,農家. 工夫. そして豊かな自己を実現. こし,「ふるさと学習」と して学校教育に位置付ける ・ふるさと教員(町教員)が, 学校教育及び社会教育の両 面にかかる ・ふ れあい農園(さつまいも づくり). 指導事例 地 山口県新南 ・研究主題「地域をパートナーとして, ・地 域人材募集のプ ・地 域の人材を求める募集プ. 2000.3 (H12). リントを配布. 域の人材・施設 陽市立和田. 主体的に自分の生き方を求める社会. リント配布,隣接. や活動と連携し 小学校. 科学習」. 中学校の教諭,伝 ・GTの活用. た指導の工夫. No.717. ・地域教材・人材の活用. 統工芸職人,郷土 ・社 会科「和田和紙を復活さ. ・地域社会は宝庫である. 史家,農家,隣接. ・その問題が生活に密着をしたもので. 小学校. せよう」. なければならない。 ・「未来の和田を考える」 「家庭や地域社会における心の教育 ・学 校,PTA役員, ・道徳の授業公開(6年生) 指導事例 家 東京都練馬 ・ 2000.3. 庭や地域社会と 区立開進第. なくして,学校における道徳教育は. の連携体制を充 一小学校. 成り立たない」. (H12). 実させ,豊かな. ・家庭や地域社会が問題意識をもち,. No.717. 心を育てる道徳. 真剣に考えようとしている内容につ. 教育の工夫. いて,学校が機を逃さず働きかける. 地域の委員 ・地域の手話通訳者. ・ 「豊かな心をはぐくむ推進 会議」が発足 ・道 徳授業地区公開講座の実 施. ことが大切 家庭や地域社会 倉中 増夫 ・学校が地域に根ざした個性を発揮で ・社会教育施設 との連携を図る ( 京 都 府 京. きるかが問われる. 学校運営と教育 都市立梅津 ・学校と地域の教育力を相互に働かせ 2000.3. 課程の工夫. 小学校長). ながら,地域教育の核としての学校を. ・地域住民(梅干し,. ・ 「開かれた学校づくり推進 協議会」. 雛 人 形, ボ ラ ン ・地域教育構想図 ティア,自治会). ・地域教育年間活動計画表. ・内に開かれた学校づくり. (H12). ・必 然的に家庭(PTA)も共に連携. No.717. することになる ・学校が地域に積極的に出ていく双方 向の関係 道徳 保護者や 大宮 俊恵 ・道徳教育教材の開発 2000.12. 地域の人々との ( 徳 島 県 徳 ・地域の人材を取材. (H12). 連携に活用する 島市立城東 ・地域の伝統を取材(木偶人形). No.728. 道徳教育教材の 小学校教頭) ・身近にある「地域の音や話」をCD. ・保 護者,近隣の職 ・道徳ノートを多様 人. ・参加型の授業を多様. ・冊 子やパンフレッ ・学校通信 ト,通信物の配布. に収録. 工夫と開発. 地域・保護者と 源 敦 夫 ・保幼小中の保護者を対象とした読書 ・学 校図書館ボラン ・読み聞かせタイム 連携した図書館 ( 大 阪 府 和 2001.10. 教育の充実. 小学校長). (H13). 運動の展開. 泉市立信太 ・ボランティアによる「読み聞かせタ イム」の設定 ・ブックカバー掛け・修繕整理. No.744. ・土曜日の貸し出し返却業務. 臨時増刊. ティアによる蔵書 ・お話シアター 管理と読み聞かせ ・図書館管理ボランティア 活動. ・「ブックフェスティバル」. ・PTA人形劇サーク ・保護者ボランティア ル. ・「富秋校区ブックフェスティバル」 の開催 2001.10 (H13) No.744 臨時増刊. 8. 進んで読書に親 福島 正昭 ・読み聞かせ班活動. ・地 域住民による読 ・学 校図書館ボランティア市. しみ,豊かな心を ( 群 馬 県 藤 ・「BOOKちゃんだより」の発行. み聞かせボラン. 持つ児童の育成 岡市立藤岡 ・学校図書館ボランティア活用の実践. ティア. -家庭・地域との 第一小学校 ・貸し出し活動 連携を通して-. 長). ・公立図書館. 立図書館 ・読み聞かせ講演会.

(10) 「社会に開かれた教育課程」の系譜⑴ 「立山町学校教育研究会」の設置 わがまちの教育 松村 健一 ・ 富 山 県 立 山 町 ( 立 山 町 教 ・保・ 幼・ 小・ 中・ 高 校・PTA・ 公 幼・ 保・ 小・ 育長). 民館・社会教育団体・教育委員会で. (H14). 中・高校連携共. 組織され実践活動に取り組む. No.752. 同 研 究 会(38回. 2002.3. ・幼・保・小・中・ ・「地域ぐるみ教育研究会」 高校の関係者が連 ・ボ ランティア活動と年間行 携を強める. 事での「地域ふれあい」 ・ 「マイ・メッセージ」の発 刊. 立山町地域ぐる み教育研究会) 指導事例 学 福井県福井 ・地域と手を結ぶ総合的な学習の時間 ・山 村部の学校と交 ・社 会 科 か ら の 発 展 学 習 流. 校・家庭・地域 市宝永小学 ・地域を教材化 との連携を密に 校 2002.12. した総合的な学. (H14). 習の時間の学習. No.762. 指導. ・サークルの清掃奉仕活動と学習の連 ・デ イホームの高齢 者. 携. ・地域の人々と学習活動をつくる(み ・自治体の資料室 んなが住みよい宝永のまち). 「Let’s Go !ぼくたちタイ ムトラベラー」 ・自 治体広報誌に活動内容を 掲載. 「学習ネットワーク」等の ・地 域 の 人 材 バ ン ・ ク,職人. 蓄積. ・ 「芝原を美しくす る会」. 2003.1 (H15) No.764. ・「学習人材バンク」活用. 指導事例 地 石川県金沢 ・感動と創造の教育. ・伝統産業の従事者. 域社会や家庭と 市立明成小 ・地域の教育力を生かした交流. ・高 齢者との遊び, ・お 年寄りサロンの人材活用 書き初め. の連携を図る教 学校. ・幼稚園との交流. 育課程の展開. ・自己解決力を育成 地域の夢を育む ・デイケアセンター 大人に. (老人福祉施設 地域のお 年寄りとの交流). ・校区内の幼稚園. ・山 水会(父親の会)等,図. ・市内の文化施設. ・がんばり冒険旅行. 書館ボランティア 指導事例 小 香川県塩江 ・子供の主体性を促す学校行事 . 規模校における 町立塩江小 ・学校間連携(合同修学旅行 合同運 ・近 隣校との合同行 ・親 子ふれ合い大会(合同運 2003.4 (H15) No.767. 学校間連携を通 学校 して,総合的な 学習の時間や教. 事開催. 動会) ・人間関係の広がりと緊張感を感じ取. 動会) ・収穫祭 ・上 西小学校の友だちと仲よ. る. くなろう. 科等の学習でも. ・たけくらべ学習. 地域の特色を生. ・交流を深め,相手意識を持って行事. かした教育課程. を行うことは,特色ある学校づくり. ・「みんなであそぼう会」. No.717 2000 3月号では「特集Ⅰ 学校,家. してよりよく行動できるよう活動を計画・実行し. 庭,地域社会の連携を図る」で「家庭や地域社会. ている。一方では「地域の子供は,学校を含めた. との連携を図る学校運営と教育課程の工夫」(京. 地域で育てる」という意識を地域に培うという側. 都府京都市立梅津小学校長 倉中増夫)が,学校. 面ももっていた。そして“開かれた学校づくり協. 運営と教育課程にふれている。特色ある学校づく. 議会”を発足させ,“地域教育年間活動計画表”. りが求められ,地域に根ざした個性を発揮できる. を作成し,様々な協力を得ていた(11)。. かが問われている時代ととらえている。そのため. このように「学校が地域社会との連携を意識し. には,学校が地域にオープン化し,学校にきてい. て活動をしはじめると,必然的に家庭(PTA). ただくという双方向の関係を強くすることをね. も共に連携することになってくる」という指摘は,. らっていた。学校と地域の教育力を相互に働かせ. 三者(学校 地域社会 家庭)を同じ歩調で進め. るとなっており,昭和62年ごろにあった,“家庭. ていくよりも,まずは学校と地域社会を進めるこ. や地域の教育力の低下”に対する危惧は記されて. とで,家庭も連動してくるという一つの方策を示. いなかった。しかし,“地域教育の核としての学. すことになっていた。そして,各教科や特別活動,. (11). 校つくり”という切り口は継続されている. 。. 総合的な学習の時間を活用し,地域への信頼を大. さらに取り組みとして,子供が地域を再確認す. きくしていくという手応えを感じ取っていた。. ることを出発点とし,地域を愛し,地域の一員と. No.728 2000 12月 号 で は「 保 護 者 や 地 域 の. 9.

(11) 中村 吉秀・山口 好和. 人々との連携に活用する道徳教育教材の工夫と開. (富山県立山町教育長 松村建一)は,町内の義. 発」 (徳島県徳島市立城東小学校教頭 大宮俊恵). 務教育の充実と地域ぐるみ教育の充実を進めてい. は,道徳教育を進めるために,必要とされる視点. た。その中で,「地域ぐるみ教育研究会」の実践. を示している。まず「少しでも安定した豊かな生. 活動を紹介していた(14)。. 活が送れるよう,生活環境を整えることが急がれ. No.762 2002 12月号では,「学校・家庭・地. ている。そのために,子供たちの生活の基盤であ. 域との連携を密にした総合的な学習の時間の学習. る学校や家庭及び地域で,心を開いて語り合える. 指導」 (福井県福井市立宝永小学校)指導事例で,. 場をつくる」ために,連携に取り組んでいた。道. 総合的な学習の時間に積極的に地域との結びつき. 徳教育として,道徳ノートの工夫,授業の記録,. を取り入れ,揺さぶる学習素材により“ふるさへ. 参加型の授業, そして通信や機器を利用していた。. の思い”がはぐくまれるとしている。特に,地域. 以上のように,平成12年は3月号の特集が4事例. を教材化し,人々を活用し,地域の中で活動する. (12). と12月号の1事例の計5事例が示されていた. 。. ことをねらっていた。このような連携により開か. 特に,特集の4事例は,地域の核としての学校. れた学校のよさを感じ取っていた(15)。. の在り方に関する実践であった。 “特色ある学校”. No.764 2003 1月号では,「地域社会や家庭. というフレーズも出てきており,学校づくりの切. との連携を図る教育課程の展開」(石川県金沢市. り口として地域を取り上げ,多様な工夫(ふるさ. 立明成小学校)指導事例では,完全学校五日制が. と学習 地域をパートナー 豊かな心をはぐくむ. 切り口になっている。「自己解決力」の育成を支. 推進会議 開かれた学校づくり協議会等)が見ら. えるのは,学校の教育活動に積極的に参加・協力. れるようになってきた. (12). 。. してくださる地域社会や家庭である。その視点で. 2000年をまたいで,「総合的な学習の時間」導. 連携を意図した教育課程の展開事例を示してい. 入と「学力低下」の問題をめぐって議論が白熱し. た。ひとつには,地域の“学習人材バンク”活用,. た時期であった。これ以降の報告では,どうであ. お年寄りの交流,ボランティアによる支援等によ. ろうか。. るものである(16)。. No.744 2001 臨時増刊10月号では「地域・保. No.767 2003 4月号で「小規模校における学. 護者と連携した図書館教育の充実」 (大阪府和泉. 校間連携を通して,総合的な学習の時間や教科等. 市立信太小学校長 源 敦夫)が,地域・保護者. の学習でも地域の特色を生かした教育課程」(香. との連携により自校の図書館教育を充実させてい. 川県塩江町立塩江小学校)指導事例では,総合的. た。特に,ボランティアによる読み聞かせや“お. な学習の時間や特別活動などで,恵まれた地域の. 話しシアター”の実施が効果的に思える。土曜日. 自然環境や伝統文化などを,地域の人々とのかか. の貸し出し返却業務や“ブックフェスティバル”. わりの中で学ぶことができるように配慮してい. (13). も大きな魅力になっていた. 。. た。さらに,近隣の小規模校との連携も図ってい. No.744 2001 臨時増刊10月号では「進んで読. る。過疎化,少子化を非常に意識し,自校の教育. 書に親しみ,豊かな心を持つ児童の育成 -家. 活動の在り方を構想しながら,課題の解決を図ろ. 庭・地域との連携を通して-」 (群馬県藤岡市立. うとしている(17)。. 藤岡第一小学校長 福島正智)が,読書活動の充. 上記の6つの指導事例は,2001(平成13年)か. 実により, 読書の世界を広げ,心豊かな子供が育っ. らの2年間のものである。読書指導や幼・保・. ており,読書活動を柱とした連携のよさを伝えて. 高・お年寄り・近隣の小規模校等にも連携を広. いる. (13). 。. No.752 2002 3月号のトピック「わがまちの 教育」 で, 「幼・保・小・中・高校連携協働研究会」. 10. げ,可能性を探っていることがひしひしと伝わっ てくる。.

(12) 「社会に開かれた教育課程」の系譜⑴. 4.まとめと考察. 校教育を語るうえで確認をしてみたい。 この地域という言葉は,どのような意味をもっ. ⑴ 多義的な「地域」のイメージ. ているのだろうか。自然に浮かんでくるのは,地. 1987(昭和62年)の「初等教育資料」に“地域. 域に住んでいる人々,地域に点在する企業や施. との連携”について,掲載されている内容には,. 設・建築物等,さらに伝統文化や組織された団体. それほど切羽詰まった記述は見られない。 “地域. (町会)等で,多義的な言葉になろう。さらに,. 環境を教育の場に”そして“家庭や地域の教育力. 地域社会,地域生活,地域住民,地域の教育力な. は,学校教育の基盤を支える”というそれぞれの. ども,含めているように感じている。さらに,空. 持ち場を大切にしながら,助け合って協力して進. 間的範囲で構想してみると,近隣のきわめて狭い. めましょう というように見えてくる。その結果. 空間から,はては市町村を超え都道府県に相当す. として,子供の基本的生活習慣を身につけ,学校. る広い空間にもいたってしまう。このように意味. の施設・機能を地域住民に開放しながら,教育活. を考えていくと,その曖昧さから,使用する話し. 動を展開していくというゆったり感が示されてい. 手,聞き手も自分の理解に合わせて都合よく自在. る。. にとらえているにちがいない。となれば,ある程. そこから5年後の“開かれた学校”のフレーズ. 度の意味づけをしておかなければ,これ以上の論. から解釈される“地域との連携”は,地域からの. は難しくなってしまう。. 要請を受け入れていく方向と学校そのものの作り. そこで,学校教育での“地域との連携”である. (オープンスペースを意識したもの)とつながっ. ことから,学校を中心とした,子供たちが通学で. てきている。そして,事例もほぼ,生活科,総合. き,身近に情報を得ることができるものが点在す. 的な学習の時間,道徳等を活用し,地域の組織,. る範囲を地域とすべきではないだろうか。勿論,. 人材,産業,自然,伝統文化を取り上げ,完全学. 住民や施設,町会等の組織も含まれていくととら. 校五日制の影響を受けつつ,学校を核に授業づく. える。ただこれは小学校段階であり,中学校であ. りを行っていた。. れば,キャリア教育等のかかわりから範囲は広. 特に,臨時教育審議会第3次答申から中央教育. がっていく。. 審議会答申(1996)に引き継がれ,さらに1998の. ちなみに,2017(平成29年)9月18日の北海道. 中央教育審議会答申ではこれまで以上に学校の負. 新聞に「専門高 地域人材育成に力」の特集が掲. 荷が増すような踏み込んだ提示がなされ,地域の. 載されていた。内容は,道教委が8校指定し,観. 施設で行われている実践等が,学校教育の中に融. 光や食,産業振興に貢献農,工,商業などの職業. 合しており“地域をパートナーとして” “地域ぐ. 学科をもつ道内の専門高校が,地域産業を担う職. るみ”という言葉で語られていた。そしてお年寄. 業人の育成に力を入れている実践例の紹介であ. り,過疎化,少子化が徐々に意識され,小規模の. る。2015年度に,地域の産業特性や需要に応じた. 小学校の事例が多く見られるようになった。. 先進的取り組みを支援する3カ年の助成事業「専. これらをまとめると,90年代中盤までは,地域. 門高校プログレッシブ(進歩的な)プロジェクト」. 資源を教材として借用し,学校施設の開放という. をスタートさせ,8校を実践校に指定した。生徒. 片側からのアプローチが強いのに対して,90年代. たちは地域資源を生かしたサービスや産品の開発. 後半以降は,学校もその一部として共に地域活性. に取り組んでいるもので,具体的には札幌東商業. 化に携わるというお互いの協働的な姿勢が見え始. 高校「職業体験で外国人接客」や大野農業校「マ. めたと言えるだろう。. ルメロのタルト開発」,そして紋別高校「ホタテ. ここで“地域との連携”というときに,私たち. 貝殻で浄水装置」等である。高等学校での“地域. は何気なく地域をという言葉を使っているが,学. との連携”では,このように地域産業にかかわり. 11.

(13) 中村 吉秀・山口 好和. をもつものを取り上げ,未来の仕事につながるよ. を探りたい。. う仕向けている。ここでの“地域との連携”は明 らかに義務教育のものとつながっていると感じら. 註. れ,何を目指すべきか明らかであった。. ⑴ 木村晴壽 2015「地方創生プログラムと大学の地域 連携活動」地域活性学会 第7回研究大会 要旨集(大. ⑵ 地域・学校の関わりの再考 学校とは, 「歴史を重ねるなかで,地域の営み の循環と継承のなかに埋め込まれ,公のもの(み (18). んなのもの)として価値づけられてきた」 とと らえることができる。つまり,地域あっての学校 であり,当然地域を切り離して語ることはあり得 ないと考えられる。. 会論文集) ⑵ 「21世紀の大学像と今後の改革方策について―競争 的環境の中で個性が輝く大学―」 (答申)(平成10年10 月26日 大学審議会) ⑶ 合田哲雄 「Q&A『社会に開かれた教育課程』 」教 職研修 2017年8月号 pp.18-19 ⑷ 「初等教育資料」No.504 9月号 1987 文部省小 学校課・幼稚園課編集 東洋館出版社 pp.7-11. そして,地域という言葉は,上記に示したとお. ⑸ 「初等教育資料」No.584 9月号 1992 文部省小. り多義的・多重的な意味をもつ言葉としておさえ. 学 校 課・ 幼 稚 園 課 編 集 東 洋 館 出 版 社 pp.8-13,. ることができ,自然,仕事と労働,文化,人々の つながりによって織りなされる共同社会という意 味で理解することにより,ほぼその姿を把握する ことができる。しかし,把握した瞬間,この地域 が崩壊の方向にあることも見えてしまうのである(19)。. pp.14-19,pp.20-25 ⑹ 「初等教育資料」No.657 10月号 1996 文部省小 学校課・幼稚園課編集 東洋館出版社 pp.72-75 ⑺ 「初等教育資料」No.666 3月号 1997 文部省小 学校課・幼稚園課編集 東洋館出版社 pp.84-90 ⑻ 「初等教育資料」No.681 2月号 1998 文部省小 学校課・幼稚園課編集 東洋館出版社 pp.20-23. では, どのように“地域との連携”の方向性を,. ⑼ 「初等教育資料」No.683 3月号 1998 文部省小. とらえていったらよいのか。まず学校は,地域に. 学 校 課・ 幼 稚 園 課 編 集 東 洋 館 出 版 社 pp.8-13,. 生きる人々にとっての精神的拠点であるというこ. pp.14-17,pp.18-21,pp.22-25,pp.26-29. とがもっと自覚されてよいのではと感じている。. ⑽ 「初等教育資料」No.684 4月号 1998 文部省小 学校課・幼稚園課編集 東洋館出版社 pp.24-29. そして,地域の含む多義的で多重的な意味を,学. ⑾ 「初等教育資料」No.717 3月号 2000 文部省小. 校教育と結び合わせることにより,子供たちに. 学 校 課・ 幼 稚 園 課 編 集 東 洋 館 出 版 社 pp.8-13,. とっての原体験・原風景となるものを育む取り組 みの積み重ねにつながり,ほんの小さな試みで. pp.14-19,pp.20-25,pp.26-31 ⑿ 「初等教育資料」No.728 12月号 2000 文部省小 学校課・幼稚園課編集 東洋館出版社 pp.47-49. あっても,子供の未来に意味をもってくるはずだ. ⒀ 「初等教育資料」No.744 臨時増刊 10月号 2001. と一人一人が心底からとらえるべきであろう。つ. 文部科学省教育課程課・児童生徒課編集 東洋館出. まり,人として生きていくときに,豊かな未来や 人生を考える力につがることになる。このことは, 地域と教育の古くから続く(昔からあった)多様 で豊かな関係を維持し,または修復し,あるいは 新しく生み出すことから学校教育の希望を見出す 手がかりとなるのではないか。それは,どの地域 にもあったのではないか。そのような想いを“地 域との連携”の指導事例は,私たちに抱かせるの である。 次の作業では,2002(平成15)年以降の実践報 告の整理を通じて, 「地域の中での学校のあり方」. 12. 版社 pp.74-79,pp.122-126 ⒁ 「初等教育資料」No.752 3月号 2002 文部科学 省 教 育 課 程 課・ 幼 児 教 育 課 編 集 東 洋 館 出 版 社 pp.80-83 ⒂ 「初等教育資料」No.762 12月号 2002 文部科学 省 教 育 課 程 課・ 幼 児 教 育 課 編 集 東 洋 館 出 版 社 pp.26-31 ⒃ 「初等教育資料」No.764 1月号 2003 文部科学 省 教 育 課 程 課・ 幼 児 教 育 課 編 集 東 洋 館 出 版 社 pp.14-19 ⒄ 「初等教育資料」No.767 4月号 2003 文部科学 省 教 育 課 程 課・ 幼 児 教 育 課 編 集 東 洋 館 出 版 社 pp.14-19.

(14) 「社会に開かれた教育課程」の系譜⑴. ⒅ 細金恒男 2013 「地域にあっての学校,学校あっ ての地域 北海道・小さな村の実践」 細金恒男・児 美川孝一郎・境野健兒・教育科学研究会編 『講座 教育実践と教育学の再生 第4巻 地域・労働・貧困 と教育』 かもがわ出版 ⒆ 森岡清志ほか編著 2008 『地域の社会学』 有斐 閣アルマ. (中村 吉秀 教職大学院函館校特任教授) (山口 好和 函館校准教授) . 13.

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参照

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