ケプラーの法則の記述について
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(2) . ケ ブラーの法則の記述について. ロ. 岡. 男. は じめ に. 1. ケ ブラーの法則は, 言うまでもなく, 惑星をはじめとする太陽系の天体の公転運動を表わす 重要 な法則 であり, また, ニュ ートンが万有引力の法則を考 え出す根拠となり, 逆に万有引力の法則を もとに導出された法則としても有名 である。 そして高校 理科1の教科書の一部に は 地球の運動と の関連で記載されており, 物理の教科書では, 万有引力 との関連で記載さ れている. もちろん, 地 学の教科書にも記述が見られる. しかし, これらの教科書におけるケブラーの法則の記述は, いくつかの問題点があるにもかかわ. らず, 昔からあまり変わっ ていないように思われる. 以下 で, 地学の教科書における記述について, 筆者の気付いた 点を述べることにする. ただし問題点として, そもそもカリキュラム全体の流れの ,り基本的なものもあるであろう 中でケ ブラーの法則をどのように位置付けるべきかというようなよ. が, 本稿 ではそれには触れず, あくまでも記述そのものについての問題点を述べたもの であること をお断わりしておく. なお, 以下 で引用する地学の教科書は, 新教育課程用の8教科書で, その教科書番号・ 発行所・ 名称は, つぎのとおりである (教科書番号順に記す) 。 以下ではそれぞれA, B, C, D, E, F, G, H社の教科書と略称することにする. 004 数研 003 啓林館 高等学校地学 002 大日本図書 地 学 東京書籍 地学 007 教 地学 6 実教出版 0 0 005 第一学習社 高等学校地学 出版 高等学校地学 0 08 大原出版 地学 育出版 地学地球の探究. 001. 1 1. 「一定」 の用語の使い方. ケ ブラーの法則はほとんどの教科書で, 第1法則から第3法則の順に, その内容が箇条 書きで述 各教科書におけるこれ べられている. そしてたいてい, 図1のような説明図を一緒に載せている,. らの記述が, 表1に載っている. なお, D社の教科書にはケ ブラーの法則そのものの記述は見られ ず, ただ 「太陽-地球間の距離」 の項目の中で, 「地球は, 太陽を1つの焦点とするだ円の軌道上を公転しているので, 地球は太陽から一定の距 離にはなく, ……」 と簡単に触れるにとどまっている. 一方B社の教科書では, ケ ブラーの3法則 は箇条書きには 書かれておらず, 「惑星の距離と大きさ」の項目における惑星の距離測定の 説明の中 131.
(3) . 吉. 表1 第1 法則. 岡 一. 男. 地学教科書におけるケ ブラー の法則の表現 第2 法則. 第3 法則. ま す 条翻r槌き だ饗字 製 喜憂鋪愛 A 翻 奇麗憲尋璽 警護 らず 一 定 であ る。 … …, 楕円 軌 道の 場合, 太陽 ・ 惑星 間 の平 均 距離 をa, 公 転周 期 を rと. ると , B 贈鞘豪放姦勝隻議 奮匙繋鏡蓄電警 な定の時す 身 ‐ 最(M十 勝 となる。 一. 陽と惑星を結ぶ直線(動 伽 も C 李罫書奇 麗 揺 ? ¥ と 太 等 しい 時 間に 等 し い面積 を 描く 。. D. / /′-- ///′. //′ /--′ /′//. 品 M( ,十 冊). であ る こ と が知 られて いる … … 惑 星の 太陽か らの平 均 距離aの3乗は,. 惑星の公転周期Pの2乗に比例する。. す な わち, どの惑 星に つ いて も, 3 /P2; に (一 定) が 成り 立つ。 8. //-. ///′//. ゞ 至 島繍冬 弓 を*議題鰯溜穆踏を 琴 筆だ 翻曹ド黒 罫 書驚夏 絵 軌 道 は 鷹嬢 要 職! 霊 漕の ’撒 一 蹴 翻さ 纏お乗. E. の 惑 星に つ い て も一 定 である。. の焦点とする楕円 である。. G. は一定である。. モ 書 雲欝昆総 撰 琴識¥ 茎 三 学 躍 艶 豊麗も緊瀞 詩 書 藍 豊 署蕎 勇. 惑 星の平 均 距 離 a の3 乗 と 公転周 期. 惑 い 星 に つ の 宝r ど 葺 き すぎ蒙 を誕三 轟か憲 日 警護籍珊脅鵠 濯 ぎ密 3 a -一 定 P2. で, 各法則が必要な箇所で (最初第3法則が, ついで第1法則が) 有機的に述べられている. そし てそのあと, 運動の法則と万有引力の法則から導かれたものとして, ケ ブラーの3法則がまとめて 書かれている. 表1に引用したのは, そのまとめの部分 の記述である. さて, ケ ブラーの法則を既に知 っ ている人が表1の記述を読むならば, 抵抗なくスムーズに頭に. 入る であろう. しかし, 初めてこの法則に接する生徒がこれらの記述を読ん で正しく理解するかど うかについては, 疑問を感じる. たとえばV節で述べるように, そもそも楕円の定義や性質が分からなかっ たり, 忘れている生徒 がかなりいるものと思われる. そのような生徒にとっては, 「焦点」 , 「長軸」 , 「半長径」なる用語が. 出てきても, ピンとこないであろう. したがって, 図2のような楕円の説明図を添えること が望ま しい. しかし, 楕円の説明のようなことは数学の授業との兼ね合いの問題 であり, そこまで地学の. 教科書で考える必要はないという意 見もあるだろう. 以下 では, ケブラーの法則に固有の内容にか かわる記述の問題点を述べてみよう.. まず注意しなければならないのは, ケ ブラー の第1法則と第3法則は惑星全体あるいは惑星相互 の比較において成り立つ法則なのに対し, 第2法則はおのおのの惑星内において成り立つ法則とい. うことである. さらに第1法則において楕円軌道の大きさや形は惑星ごとに異なり, また第2法則 において, 各惑星の描く面積 (いわゆる面積速度) も惑星ごとに異なる (大 ざっ ぱには, 平均距離 132.
(4) . ケブラーの法則の記述について. ′ A′. A近. A′. 日点. 惑星の楕円運動S , S はそれぞれ楕円の焦点であ. り,太陽 は S に ある。扇 形 SAB,SCD,SEF の面積 が. それぞれ等しいとすると, 惑星は等しい時間にそれ ぞれ, AB, CD, EF だけ動く。 図1. ケ ブラーの第2法則 の説明図 (A社の教科書より). 楕円はF, F を焦点とし, この2点からの距離の和 が一定の点Aの軌跡である。 図からわかるように,. A′F+A′F′=2α だか ら A″F=A″F′=α OF=OF′ , ,. ー 仔 ご扉 でぁる。 また,. も! を難じ 、率 か い,. eであらわす。 図2. 楕円の説明図 (F社の教科書より). ) の平方根に比例 して外側の惑星ほど大きい1 ) 。 教科書の記述は, これらのことを生徒に伝えなけれ ばならない。 もちろんどの教科書の記述でも, 3つの法則を総合的に じっくり判断するならば, こ れらのことは正しく認識できよう. しかし, 個々 の法則の記述を読んでも, すぐにはその正しい意 味をつかむことのできない生徒が多いのではないだろうか. 教科書の表現は, 意図的にある内容を. 伏せる (たとえば, その内容をあとで練習問題として設けるため) 場合は別にして, 簡潔であると ともに分かりやすいことが大切 である。 そして教科書の表現は, 記述を少し工夫することにより,. かなり分かりやすく なるように思われる.. たとえば, 第1法則を 「惑星は太陽を1つの焦点とし,惑星によりそ れぞれ決まった形と大きさの楕円軌道を公転する.」 のように ゴジッ ク部分の記述を加えるならば, 第3法則ま で読まなくても, 楕円軌道が惑星ごとに. 異なることが理解されるであろう, 特に, 上述のことを理解する上 で混乱を招く表現上の点として, 表1に見られるように, 「一定」 の用語の使い過 ぎが挙げられる. 「一定」の用語はいろいろな意味で使われており, たとえば久田隆 }は 中学校理科教科書で使われている 「一定」 の意味を次の4とおりに分けている 基氏2 , . @ 唯一の決まっ た (値) . ⑤ それぞれ決ま った (値) . ◎ ④. 任意に決めた, ある決めた. 変わらない, ある状態が続く.. B社の教科書の例 で言えば,. 「……, 一定の時間に一定の面積を通過する.」 という第2法則の説明における 「一定の時間」 と は, 「どんな時間でもよいが, 一度決めてしまえば後は変えないある時間」ということであり, ◎の 意味 で使われている。 そして「一定の面積」とは, 「時間が決まりさえすれば, 公転軌道上のどこに. あっても同じ面積」 ということであり, ③の意味で使われている. 一方, 第3法則の説明における 「一定」 とは, 「すべての惑星に対して同じ値」 ということであり, ◎の意味で使われている. 「- 133.
(5) . 吉 岡. 一. 男. 定」 の用語を用いる場合には, これらいろいろな意味のうちどの意味で使われているのかを, 生徒 に明確に伝えるような表現でなければならない. さらに,「一定」の用語を用いる場合には, 一定の値をとる対象として何を考えているかという「-. 定の適用範囲」 を明確にすべき であろう. すなわち, 第2法則における一定の適用範囲は 「一個の 惑星内」 であり, 第3法則における適用範囲は 「惑星全体」 であることを, 誤解なく生徒に伝え な. ければならない. これらの観点からも, 教科書の表現はまだまだ十分 とは言えない. 以上の点を明確に表現するには, たとえばC社の教科書のように 「一定」 の代わりに 「等しい」 の用 語を用いるのもよい であろう し,第2法則 でも,第3法則 でしばしば見られる 「比例する」 と いう表現を用いて, 「それぞれの惑星において, 太陽と惑星を結ぶ線分が描く面積は (あとで述べるように, 面積速. 度を表すこの表現にも問題があるが) , その間に経過した時間に比例する.」 としてもよいであろう. あるいは「一定」の用語を用いるならば, たとえばA社の教科書のように, 第2法則では 「惑星によってそれぞれ」 , 第3法則では 「惑星によらず」 というような語句を挿入し てもよいであろう. ちなみに, 英米の天文教科書におけるケ ブラーの法則の記述の典型的な例は, 次のとおりである.. 1 l l i thonefocusplacedatthesun 」( tofeach planeti san e 「(第1法則) Theorbi pse . .R. ,wi. )よ り) ld ing」3 King 著 「The Universe Unfo. l i inejo ining each planettothesun( tor )sweepsover usvec cal edtherad 「 「(第2法則) Thel fer inkle i ime t fspacei 」 (C. M.Huf equalareas o nand M.B.Hol n equalinterval soft . ,F.E.Tr )よ り) 著 「Anlntroductionto Astronomy」4. iodsofanytwoplane tshavethesameratio asthecubes 「(第 3 法則) Thesquaresoftheper )よ り) t i joraxes 」 (R. T.Dixon 著 「Dynami c As ronomy」5 ofthe rsemima . t l 」 t こ の よ う に, 第 2 法 則 で 「each plane 」 と対照 的な語句を用 ane s , 第 3 法 則 で 「anytwo p. いて法則の適用範囲を示しているものが多い. また筆者の見る限り では, 英米の天文教科書におい t t 」なる語を用いているものは一冊もなく, すべ an て, 第2法則の記述で「一定」に相当する「 cons l て 「等しい」 に相当する 「 」 なる語を用いていることに注意しておく. equa. I D 面積速度の表現 ケ ブラーの第2法則は別名 「面積速度一定の法則」 と呼ばれているように, 面積速度 (本来は, 太陽と惑星を結ぶ線分が単位時間におおう面積の意味であるが, ここでは, 任意の長さのある与え られた時間におおう面積という広い意味で用いることにする) が時間によらず, 惑星ごとに定まっ. た値を保つという法則である. そこで, 面積速度の概念を生徒に伝えることが重要であるが, 教科 書の表現は分かりにくいように 思われる. 分かりにくくなっている原因の一つは, 前節で述べたように 「一定」 の用語の用い方にある. さ. らにもう1つの原因は, 「描く」という用語を用いていることに あるように思われる. すなわち表1 に見られるように, ほとんどの教科書では面積速度を 「太陽と惑星を結ぶ線分が, 単位 (等しい, 一定の) 時間に描く面積」. と表現している. しかし, 「絵を描く」 とか 「図形を描く」 という表現はよく用いられるけれども, 「面積を描く」 という言い方は, 日常生活ではなされない. したがって, この表現に初めて接した 134. ..
(6) . ケブラーの法則の記述について. 生徒の中には, 何を意味するのか戸惑う者も出てくるの ではないだろうか. この点に関して, 英米の天文教科書では前節で挙げた例にも 見られるように, 「 sweepover」あ る. t いは「 」 なる表現を用いている. これはもともと (掃除をする際, ほうきなどで) 「掃く」 sweepou とか 「吹き払う」 という意味であるが, 面積速度を視覚的に表すのになかなかうまい表現のように. 思われる. 日本語でも, そのような表現が草ほ れる, とは言っても, 筆者自身あまりうまい表現が 思い浮かばない。 しかし, たとえば本節の始めに書いたように, 「描く」 の代わりに 「おおう」 と表. 現する方が, まだ分かりやすいであろう. もちろん, 表2に示されているように, 多くの教科書では図1のような面積速度の説明図を載せ ているので, 図を見れば面積速度の意味は直ちに理解されるかもしれない. しかし, だからと言っ. て説明文が分かりにくくてよいわけではなく,分かりやすい表現が草【ましいことには変わりがない. より分かりやすく表現する努力が必要であろう. 表2. 教科書. 地学教科 書におけるケ ブラーの法則関係の諸記述の有無. ケ ブラ ー の 第2 法 則の 「平均距離=軌道の半長径」 「平均距離=(近日点距. 説明図あり. 離十遠日点距離)÷2」 の記述あり. の記述あり. A. ○. ○. ○. B. ×. ○. × ×. C. ○. ×. D. ×. ○. ×. E. ○. ○. ○. F. ○. ×. ×. G. ○. ○. ○. H. ×. ○. ×. l v 平均距離の表現 第3法則の記述で気になる点としては, 平均距離の表現が挙げられる. 表1に見られるように, 第3法則の載っている教科書では, G社を除きすべて楕円軌道の半長径を 「平均距離」 と表現して. いる. 「平均距離」という用語は一見分かりやすい印象を与えるかもしれないが, 具体的に何の平均 を意味するのかということになると, 迷っ たり, その意味を誤解する生徒が出てくるように 思われ. る. 誤解するとは, 平均距離を公転軌道の近日点距離と遠日点距離との平均値という正しい意味に 受け取るのではなく, たとえば, 公転運動をしている間に取る太陽・惑星間の距離の時間平均 (す. なわち具体的には, 一定の時間間隔を置いて1公転周期にわたって測った太陽・惑星間の距離を平 均することにより得られるような値) と受け取るようなことである. ついでに言えば, このような意味での距離の時間平均値 <r〉 は軌道の半長径aよりも大きく,. 軌道の離心率をeとすると,. ( ・十 豹 6にα. (1). 135.
(7) . 吉. 岡. 一. 男. ) すなわち同 じaでも eの大きな軌道ほどくr〉は大きくなる このことは直感的 で与えられる6 . , . には, 第2法則から分かるように惑星が遠日点付近の軌道上にとどまる時間が近日点付近にとどま る時間に比べて長いこと, そしてその度合いは, eが大きくて楕円軌道が偏平なほど大きいことか. ら理解されるであろう. したがっ て 「平均距離」 の語を用いるよりも, 「半長径」 (または 「長半径」 , あるいは 「楕円軌 道 の長軸の長さの半分」 のようなより平易な語) という意味を明確に伝える語を用いる方がよいと思. う. あるいは 「平均距離」 の語を用いるのなら, その意味を第3法則の記述の中か 後の本文で明確 に述べ るべき であろう. しかし表2に見られるように (D社の教科書にはケ ブラーの法則の記述は ないが, 天文単位の記述の中で平均距離の説明がなされている) その説明のない教科書がかなりあ j s」 emima oraxi 1節に例示したように「半長径」に相当する「 s る. ちなみに英米の天文教科書では, 1. tance」 や 「average s な る 語 を用 い て い る 本 と, 日 本 と 同 様 に 「平 均 距 離」 に 相 当 す る 「mean di. d i tance 」なる語を用いている本とが同じぐらいの頻度で見られ, この点に関しては, 特に参考にな s る べ き こ と は な か っ た.. V. ケ ブラーの法則の理解度の調 査とその結果. ケ ブラー の法則の記述そのものについて, 筆者の気付いた問題点は以上のとおりであった. そこ で, これらの点の記述のよしあしでケ ブラーの法則に対する理解がどの程度違ってくるかを調べる 目的で, 簡単なアンケート調査を行っ た. すなわち, 筆者が分担している北海道教育大学旭川分校の 「理科教育1」 の講義を受けた同分校. の3年生を対象にして, ケ ブラーの法則に関連のある講義の時間の一部を使い, ケ ブラーの3法則 の説明文を与えてその法則の内容に関する問題の回答を求めた. そのさい説明文として, 地学の教 科書でよく見られる典型的なもの (以後, 説明文Aで表す) と前節までに述べた記述上の問題点を. 考慮 して書かれたもの (以後, 説明文B で表す) の2種類を用 意して, 各学生にはどちらか一方を 与えた. 説明文Aおよ びBは, それぞれ次に示すとおりである.. 第1法則 第2法則 第3法則. 惑星の軌道は, 太陽を一つの焦点とする楕円である. 太陽と惑星とを結ぶ線分は, 一定時間には, 一定面積を描きながら動く.. 惑星の楕円軌道の長径の半分 (平均距離) Rの3乗と, 公転周期Tの2乗 の比は一定である (R3/T2=一定). 説明文B 第1法則. 惑星は太陽を一つの焦点とし, 惑星によりそれぞれ決ま った形と大きさの. 楕円軌道を公転する 第2法則 136. 太陽と惑星とを結ぶ線分 は, 等しい時間には惑星ごとにそれぞれ等しい面.
(8) . ケブラーの法則の記述について. 第3法則. 積をおおいながら公転する。 楕円軌道の長軸の長さの半分 (平均距離) Rの3乗と公転周期Tの2乗の 比は, 惑星によらず一定 である (R3/T2=一定) .. なお, 説明文Bの ゴシック部分が, 説明文Aとの違いを表す。. さ ら に, ケ ブ ラ ー の 法則 に 関 す る 問 題 (問 9, 10 , 12 , 13 , 15 を除き, 説明文Aを与えられた学. 生も説明文Bを与えられた学生も全く同じ問題 文である. 上記の間の場合だけ問題点の一部が異な. るが, その場合, 説明文Bを与えられた学生に対する問題文は括弧内に示されている。)は, 次に示 すとおりである。. 問1. 高校 で地学1を履修しましたか? a。 した. b. し な い. c。 忘 れた. a. した. b. し な い. c. 忘 れ た. 問2. 高校 で地学1 1を履修しましたか?. 問3. 高校でケ ブラーの法則を習っ た記憶がありますか? a. 習 っ た. b. 習 わ な い. c. 忘 れた. 問4. ケブラーの法則の内容を現在知っていますか? a。 よく 知 っ て いる. b。 お ぼ ろ げに 知 っ て いる. c. 知 ら な い. 問5. 楕円と焦点の定義について, わかっ ていることを書きなさい. 問6. 円の場合, その焦点は何か? a. 中心 b. 円周上の1点 c。 中心と円周上の1点との中点 の点. e. わ か ら な い. d. その他. 問7。 各惑星の楕円軌道の形と大きさは, 時間とともに変わるか? a. 形も大きさも変わる b。 大きさだけ変わる c. 形だけ変わる. も大きさも変わらない e. わからない 問8. 楕円軌道の形は, 惑星によって異なるか? a。 異 な る. b. 同 じ. d. 形. c. わ か ら な い. 問9. 各惑星において, 時間間隔が2倍になると, その間に描かれる (おおわれる) 面積は何倍になるか? a。 1 倍 e. 8 倍. b. ノす 倍 C 2 倍 。 f。 わ か ら な い. d. 4 倍. 問10 。 半径Rの円軌道の場合, 単位時間に描かれる (おおわれる) 面積を式で表せ。 ただし, Tを公転周期, 〃 を円周率とする.. 問11 . 各惑星において, 太陽に近い時の公転運動の速さは, 遠い時に比べてどうか? a. 速 い. b。 週1い. c. 同 じ. d. わ か ら な い. 問1 2 . 太陽に近い惑星に比べて, 太陽から遠い惑星 が同じ時間間隔に描く (おおう) 面積は, 大きいか? a. 大 き い. b. 小 さ い. c. 同 じ. d. わ か らな い. 問1 3 . 楕円軌道の長径の半分 (長軸の長さの半分) とは右図 (図3) のどれを意味す 137.
(9) . 吉 岡. 一. 男. るか?. 問14 . 平均距離とは, 何の平均を意味するか? 問15 . 楕円軌道の長径の半分 (長軸の長さの半分) Rの3乗と公転周期Tの2乗の比 R3/T2は, すべての惑星で同じか? a. 同 じ であ る. b. 惑 星 ご と に 異 な る. c. わ か ら な い. このように, 問題のうち間1~問4が, 説明文 を与える前に学生がケ ブラーの法則の予備知識を どの程度持っ て いたか を問う 質問 であり, 間 5. 450. c. ~ 問 15 が,予 備 知 識 と 説 明 文 を 読 ん で 得 た も の と. b. 解 した か を 問 う 問 題 であ る. こ の う ち, 間 5, 間. a. を合わせて, 学生がどの程度ケ ブラーの法則を理 lo , 問14が自由記入, 残りが選択回答式の問題 で あ る.. そして筆者としては, 説明文Bを読んだ学生の 方が, 問5以降の正答率が高いことを期待 してい. 図3. た わ け で あ る. た だ し, 間 5, 間 6, 問 14 は 用 語. 半長径の設問図. の意味の理解を問う問題であり, 説明文の理解の影響は受けないものと考 えられる. な お, 3 年 生 は A と B の 2 グループ(昭和5 8年度は, A グルー プが数学, 理科, 美術, 技術, 職 業, 家庭専攻. B グループが, 国語, 英語, 社会, 教育, 教育心理, 幼児教育, 音楽, 書道, 保健 体育専攻)に分けられており講義時間が別になっているが, 調査日は, Aグルー プが昭和 59年1月 0分ぐらいの時間を取って急 25 日, B グループが同年1月 28 日であった. いずれも, 講義の中で2 いでやらせたものであり, また, 趣旨が徹底せず, 隣と相談して回答した学生もいる可能性がある. そうした点で信頼性がやや落ちるけれども,全体の傾向を変えるほどの影響は ないものと思われる. さらに, 理数系の学生の多いA グループの方がケブラーの法則に対する予備知識が豊富であるの で, 問題の正答率も高いように思われるかもしれない. しかし表3に見られるように, 両 グループ 表3. ケブラーの 法則に対するA グループとB グループの予備知 識 A グループ:57名 B グループ:80名 全体:137名. 間番号 選択記号. l. 138. b c. 2. b. 3. b. 4. b. A グルー プ. B グルー プ. 全. 回答数(%). 回答数(%). 回答数(%). 28(49.1) 29(50.9) o( 0.0) 6(10.5) 51 (89.4) 0 ( 0.0) 29 (50.9) 21 (36.8) 7 (12.3) 0 ( 0.0) 32 (56.1) 25(43.9). 47 (58.8) 33 (41.3) 0 ( 0.0) 6 ( 7.5) 74 (92.5) 0 ( 0.0) 49(61.3) 25 (31.3) 6( 7.5) 1( 1.3) 39(48.8) 40 (50.0). 75(54,7) 62(45.3) 0( 0 .0) 12( 8 ,8) 125(91,2) 0( 0 .0) 78(56.9) 46(33.6) 13( 9 .5) 1( 0 .7) 71(51.8) 65(47.4). 体.
(10) . ケブラーの法則の記述について. 説明文Aを与えた グルー プと説明文B を与 えた グループの ケ ブラーの 法則に対する予備知 識 全体:137名 説明文Bの グルー プ:79名 説明文Aの グループ:58名 表4. 間番号 選択記号 1. b. 2. b. 3. b. 4. b. 説明文Aグループ. 説明文B グループ. 回答数(%). 回答数(%). 回答数(%). 29(50 ) ,0 29(50 ) .0 0(0 .0) 3(5 ,2) 4 55(9 .8) ) 0(0,0 2) 3 2(55 . ) 2 2(37 .9 ) 4(6 .9 ) 0(0, 0 3. 4) 3 1(5 27(4 6. 6). 4 58 6( .2) 3 3(4 1 .8) ) 0(0 .0 9(1 1,4) 8 6) 70(8 . 0(0 .0) 4 6(5 8 .2) 24(3 0 .4) 1, 4) 9(1 1( L3) 40(50 .6) 38(4 8.1). ) 4 7 5(5 ,7 3 ) 6 2(4 5, ) 0(0 .0 1 2(8. 8). 全. 体. 125(91.2). 0(0 0) , 6 9) 78(5 . ) 46(3 3 ,6 13(9 5) , ) 1(0 ,7 1( 51 8) 7 . 4 6 7 4) 5( .. の予備知識には顕著な差はなく, その後の問題の正答率も, 一部を除いて大きな差はなかった. こ れは, 当分校を受験する学生には, 専攻にかかわらず高校時代文系コースのカリキュ ラムを取っ た. 者が多いこと, また, 大学入学後理数系専攻であっても, それまでにケ ブラーの法則を学ぶ機会が なかったという事情によるものと思われる. したがって, 以下 では両 グルー プをまとめてしまい, それを説明文Aを与えた グループと説明文Bを与えた グルー プに分けて, この両 グルー プ間 での回 答を比べることにする. なお, 表4に見られるように, この両 グルー プのケブラーの法則に対する 予備知識 (特に, 問3, 間4) にはほとんど差がなく, 両 グループにおけるケブラーの法則への理. 解度の差は, 説明文の差によると考えてよいであろう. 表5に, 問5以降の選択回答式の問題に対する両 グループの回答分布を示した. 選択記号のうち 丸で囲っ たものが正答である. また, 間番号の下の数値は, 両グループの正答率の有意差の程度を 示す 値である (ただしすべての間において, 回答区分は正答と誤答のただ2つに分けて Z2値を 求めたので, 自由度は1である) . この表に示されているように, すべての間で, 説明文Bを与えら. れた グルー プの方の正答率が高い. これは期待 どおりの結果である. 値にも示されているように, その差は一般に小さい. すなわち, 間9, 問13 しかし , 問15を 値が1以下とは, 有意水準が0 除いて z2値は1以下 である. .3よりも大きいということであり, 両 グルー プの差が統計的ばらつきのために起きた偶然の結果としても十分説明できることを示して い る. 先 に も 述 べ た よ う に, 間 6 に お い て は, そ れは 予 想 さ れ て い た こ と であ る が, 間 7, 問 8,. づ べ 問11 , 問12において差が小さかっ たのは, 急いで問題をやらせたために, 他に比 て意味の取り らいこれらの間の意図を理解 しないままあてずっ ぽうに答えた学生がかなりいたからではないかと 思われる. 実際, 問題をやらせて学生の間を回っている時に, これらの問題の意味を数名の学生か ら尋ねられた. 5の間で, それぞれ「面積速度」 問9, 問13 , , 「半長径」 .0 , 問15においては, 有意水準が0,2~0 「第3法則の一定の適用範囲」 の理解度へ説明文の影響していること が現れている. いずれにせよ この調査は, ある程度ケブラーの法則への予備知識のある大学生に対して行ったものであり, 予備. 知識のない高校生に対しては, 説明文の影響が更に大きいものと思われる. 一方表6には, 自由記入の問題に対する回答状況が示されている。 問10を除き, 説明文の是非の 139.
(11) . 吉. 岡. 一. 男. 表5 ▼説明 文Aを与えた グルー プと説明文B を与えた グルー プの ケ ブラーの法則 の内容に対する理解度 説明文Aの グルー プ:58名 説明文Bの グルー プ:79名 全体137名 問番号 〆 値 選択記号 ⑥ b 6 0.448. c d. b 7 0.507. c. ④ ③. 8 0.772. b. b. 9 2.937. ◎ d ef. ④ 11 0.082. b cd. ③ 12 0.478. b cd. ③ 13 1.991. b cd. ③ 15 2.114. b. 説明文Aグループ. 説明文Bグループ. 回答数(%). 回答数(%) 56( 70 .9) 0(0 .0) 1 2( 15 ) .2 1(1 3) . 10(1 2 ) .7 7(8 .9) ) 7(8 .9 10( 1 2.7 ) 4 ) 3(54 .4 1 15 2( 2 .) 6 6(8 3. 5) 5(6 .3) 8(10 .1) 1(1 .3) 3(3.8) 30(3 8 .0) 18( 2 2 ) .8 ) 8(10 .1 19( 2 4. 1) 36( 4 5 .6) 16( 20 .3) 15( 1 ) 9 .0 1 2( 15 ,2) 29(36 .7) ) 6(7 .6 23( 29 1) . 2 1(26 .6) 64(8 1 .0) 5(6 .3) 3(3 ) ,8 9 7(8 .) 2 5 7(7 .2) 8(10 .1) 14( 17 ,7). 38(6 5 .5) 4(6 ,9) 2(3 .4) 0(0 ) ,0 10(24 .1) ) 5(8 .6 5(8 .6) 8( 13 .8) 28( 48 3) . 1 2(20 ) .7 4 5(77 .6) 9(15 .5) 4(6 .9) 2(3 .4) 3(5 2) . 14(24 1) . 14(24 1) , 6(10 3) . 1 9(32 8) . 25(4 3 1) . 1 4( 24 1) . 9( 15, 5) 1 0( 17, 2 ) 1 8(31 ) ,0 ) 5(8 .6 19(3 2 ) .8 16( 27 6 .) 4 1(7 0 ) .7 1 4(24 1 .) 0(0.0) 3(5.2) 35(6 0 ) .3 11(1 9 0) . 1 2(2 0.7 ). 全. 体. 回答数(%) 9 4( 68 .6) 2(3 .4) 14( 10 ,2) 1(0 .7) 24(17 .5) 12(8 .8) 12( 8,8). 18(1 3 1) . 1( 1 7 5 .8) 24(17 .5). 111 (81.0). 14(10 .2) 1 2(8 8) . 3(2. 2) 6(4 .4) 4 4( 3 1) 2, 3 2( 2 3 .4) 14(10 .2) 38(27 .7) 1(4 6 4 .5) 30(21 .9) 24(17 5) . ・ 22(1 6,1). 47(3 3) 4, 11(8 .0) ) 4 2(30 .7 37(27 .0). 105(76.6). 19(1 3.9) 3(2 .2) 10(7 3) , 9 2(67 ,2) 19(13 .9) 26(19 ,0). 影響は受けない問題と考えられるの で(事実, 間5と問14においては両 グルー プの間で正答率に明 確な差は見られなかっ た) 両 グルー プをまとめ たものが示されている. なお, 回答内容の欄の 「誤 解による回答」とは, 問題をこちらの意図した意味に解さないで, たとえば問5において焦点を「惑 星の公転軌道における太陽の位置」 と書いたような回答を意味している. この表に見られるように, そもそもケ ブラー の法則理解の前提条件 である楕円の理解が, 全く 足. りない. この事情は高校生 でも変わらないであろう. 本論文では触れないが, 数学との連携の必要 性を示している. あるいは, 楕円の概念を使わないで, 惑星はほぼ円軌道を描いているものとして, 第2と第3法則だけを教える可能性も考える方がよいのかもしれない. また問14において, 平均距 離を 「近日点距離と遠日点距離の平均」 と正しく答えた者は一人も居なかっ た. これは問題の出し. 「誤解による回答」 が2 方が悪かっ たせいもあるが ( 8.5%もある) , 平均距離の意味を正しく理解し. ている学生が, 非常に少ないことを示すもの である. なお問1 0の正答率には, 説明文Aを与えた グ. 140.
(12) . ケブラーの法則の記述について. ルー プと説明 文Bを与えた グループの間での差が 見 ら れ, 前 者 が 17.2%, 後 者 が 25.3% で 尤2値 が. 1.275 であ っ た。 そ し て ま た, こ の 間 だけ に(先 ほ. ど述べた講義受講の グループ分け の) Aグルー プ とBグループの間で正答率に大きな差が見られ, 前 者 が 29.8%, 後 者 が 16.3% で あ っ た こ れ は . ,. 前者に理数系専攻の学生が含まれているので, 問 10のような数式を扱う 問題に慣れていることに よるのであろう。 以上のとおり, まだ不完全な調査 ではあるが,. 説明文の少しの工夫によりケブラーの法則 の理解 が良くなることは, 十分示されている。 今後, さ らに説明文や調査方法を改良してより完全な調査. 表6 ケブラーの法則の用語に対する理解度 (自由記入の 問題に対して) 全回答数:137名. 問番号 5. 10. 14. 回 答 内 容 回答数(%) 正答 14( 10 2) , 誤答 6(4, 4) 誤解による回答 24( 1 7 ,5) 「分からない」 または未記入 93(67 9) , 正答 30(2 1,9) 誤答 1 10 5( .9) 誤解による回答 0(0 ,0) 「分からない」 または未記入 92(67 2) , 正答 0(0 ,0) 誤答 25(1 8 2) , 誤解による回答 39( 28 5) , 「分からないー または未記入 7 3(5 3 .3). を 行 いた い と 思 っ て い る. V I ケ ブラーの第3法則 地学教科書におけるケブラーの法則の記述自体に対する問題点を述べてきた ここで 記述内容 , . ) に関して一つ気になる点があるので, 簡単に述べることにする7 。 それは, ケ ブラーの第3法則のより正確 な表式として, たとえばB社のように (表1参照) . 3 α. - あ (M十m). (2). (Gは万有引力定数, Mは太陽質量, mは惑星質量) を載せている教科書のあること である 表1 . には示されていないが, E社の教科書でもケブラーの法則の説明の中 で , 「第3法則については, 太陽の質量をM, 惑星の質量をm, 太陽と惑星との平均距離をa その , 公転周期をTとすれば, 一般化された ケブラーの第3法則は次のようになる 3 α. この式は, a3/T2が2つの天体の質量の和に比例することを示している 。 しかし太陽の質量は非常に大きく, 最大の質量をもつ木星でも, 太陽の1/10 00以下であるから, 3/T2=一定という関係が成り立つことがわかる 太 陽系の惑星については十分正確に, a . 一般化された ケ ブラーの第3法則は, 太陽と惑星との間だけ ではなく 惑星と衛星 連星の主星 , , と伴星など, 万有引力によって公転しているあらゆる天体間 で成り立っており この式によって , , 太陽, 惑星, 連星, 銀河系などの質量が求められる 」 (原文の記号 を一部変更) . すなわち, (2) 式 で表された (E社の教科書の表現を借りるならば) 一般化さ れたケブラーの第. 3法則がより正確な式であるけれども, M》m だからmを無視することができて (2)式は次のよ ,. うに書ける. 141.
(13) . 吉. 岡 一. 男. α3. (3). . ここで右辺は 惑星によらないから, 左辺も惑星によらない定数と見なすことができ, ケ ブラーの第 3法則が成り立つ. これらの教科書では, このように説明して いるわけ である. 3/T2と G(M十m)/4〃2との ところが, (2) 式の方が (3) 式よりも正確 である (すなわち, a 2 3/T2と GM/4 〃 との差よりもずっ と小さい)と言えるのは, 実は金星, 地球, 木星 ぐらい 差が a で, 他の惑星ではとてもそうは言えないのである. これを示したのが, 表7である. この表でaと )に載っ ている値である(理科年表の値では Tの桁数が足りない) 1 984年版)8 Tのイ直は, 天文年鑑( . , また, 5列目も4列目と同じく, 天文単位を長さの単位, 太陽年を時間の単位に採っている (ちな 2の値は0999920である) したがっ て (2) 式が厳密に成り みに, 同じ単位で表した GM/4 〃 , . . 立つならば, 4列目と5列 目の値は一致するはずである. しかしこの表に見られるように, 上述の 3つの惑星を除き両者の一致は良くない. これは, (2)式が厳密に成り 立つのが, 太陽と当該の惑星のみが存在してお互いの万有引力 で運. 動する, いわゆる2体問題の場合であるのに対して, 現実には他の惑星による摂動の結果 (2) 式 からのずれが生じる, という事情によるものである. そして, 上述の3惑星を除いて,(2)式が(3) 式よりも正確とはもはや言え ないほど摂動によるずれが大きくなるという わけである.. ‐ このような事情に もかかわらず, ケ ブラーの第3法則の説明の所で (2) 式を出している教科書 があるのは, 先ほど挙げたE 社の教科書の引用文の終わりに書かれていることか らうかがえるよう に, 教科書の後の方 で, 特に連星の質量を求める際に使われる式として言及されることが考 慮に入 れられたため であろう. しかし, このよう な扱い方には, 筆者は2つの理由で疑問を覚える. 1つは, 今まで述べたよう に 太陽系内の天体に対しては, (2) 式が (3) 式よりも正確だとは必ずしも言えないこと. もう1 つは, 高校段階では (3) 式を定量的に導くことはできるけれども, (2) 式を導くことには無理が あるからである. したがって, (惑星に対する) ケ ブラーの第3法則の理論式としては, (3) 式に ) と どめ て お く べ き で あ ろ う9 .. 表7 惑 星 水星 金星. 地球. 火星 木星 土星 天王星 海王星 冥王星. 142. a(平均距離). ケブラーの 第3法則の検証 T(公転周期). 3 a T2. G(肌十粥) 4ガ2. (天文単位). (太陽年). 0.387099 0,723332. 0.240852 0,615210. 0.999921 0.999922. 0.999920 0.999922. 5.202833 9.538762. 11.86214 29.45920. 1.000907 1.000079. 1.000872 1.000205. 1.000000 1.523688. 19.19139 30.06107. 39,52940. 1,000039 1.880888. 84.02320 164.7719. 247.8257. 0.999922 0.999913. 1.001200 1.000569 1.005699. 0.999922 0.999920. 0.999963 0.999971 0.999920.
(14) . ケブラーの法則の記述について. I I おわ りに V. 現行の地学教科書におけるケブラーの法則の記述上の問題 刻ま, 以 上 の と お り であ っ た.. 全体として感じたことは, 教科書による個性があまりない画一的な書き方をしており, 旧教育課 程の教科書と比べても, その記述がほとんど変わっていないことである. 一般的に, 日本の教科書 の内容は画一的なものではあるが, この部分は特にそれを強く感じる. これは, 本稿で述べたよう な古くから確立されていることを教科書の執筆者が書く場合, 同じ出版社の古い教科書の記述をそ. のまま拝借したり, 少し表現を変える程度 で載せる傾向があるためと思われる. ページ数や執筆時 間など制 限の多い日本の教科書の現状ではある程度は仕方のないことかもしれないが, それらの制. 限内でもまだまだ工夫する余地があるのではないだろうか. もともと本研究は, ケブラーの法則および万有引力の法則に対して, 画一的な教科書とは別の扱. い方を探る目的で始めたものである. 日本の地学教科書の扱いを調べた本稿は, その一部と考えて いる. なお, ケ ブラーの第2法則の表現について, 北海道教育大学の長谷川俊雄教授から有益なご 意見を頂いた. 記して感謝致します.. 注および文献 1) これは, たとえば次のようにして第3法則から導かれる. すなわち面積速度Sは, 楕円軌道の半長径aと半短 径b (あるいは離心率e) および公転周期Tを用いて, 次のように表される. s= 篇ら/T=ガメ. : ア/T. ①. 一方, 第3法則により次式が成り立つ. a3 /T2=C, (C,は 定数). ②. ②式を①式に代入してTを消去すると,. [;…琴 (C s=C〆冨で. は 定数). ③. 惑星ではeは小さく, それを無視すると Sαノ冴 となる. 2) 久田隆基 「中学校理科教科書における 「一定」 3頁 日本 , 「同じ」 , 「等しい」 のような用語の使われ方」43~5 教科教育学会誌 第6巻1号 1981年 i d i ) 3)1 ng r ng(W. H.Freemanand Company ve se Unfol .R.Ki .93 . ,The Un ,1976 ,p. fe i inand M.B.Ho l i imlar t t t tand÷Wins ton r nkl e roduc onto As ronomy(Re 4) C.M.Huf .Tr . ,F.E ,Anlnt ,lnc , 1967 ) .74 . ,p. i l ) ce ‐Hal 5) R.T.Dixon,Dynamic Astronomy(Prent . .32 , ,lnc ,1980 ,p 6) これは, たとえば次のようにして導かれる. すなわち, 公転周期をT, 時間変数をtとすると, 定義により〈r〉 は次式で表される.. ④ 2 dβ/d t しかるに真近点離角をβ(図1で乙ASB)とすると, 面積速度=( /2)×( )であるから, 第2法則により r 2 d″d t )=一定 すなわち, ( r/2)×( 2dβ dtぱr. ⑤. tからdβに変換すると, ⑤式を用いて④式の積分変数をd. 143.
(15) . 吉. 岡. 一. 男. 翫 2 冗2 メ タ の ‐‘ 翻β /‘ γ. ⑥. (ただし⑥式の分母は, ④式の分母のTを た た云 と置いた後, 積分変数をd靴 変換したもの). こ こ で ⑥式の分母は 冗ab あ る い は ろ=α. 2×(楕円軌道の面積) を表す積分であるから, 軌道の半短径をbとすると, その値は2 :ア の関係を用ぃて, 次のょぅになる .. ⑦ 2 一方, 楕円の極座標表示の関係式r=a(1-e )/(1十eco )を⑥式の分子に代入すると, それは次の形の積分 sβ に なる.. 3 〆 -f の3 (1‐ 2 α. 冗 1十 }メタ ー { 1 / ( 十β獅s cos の3. 0. ⑧. ●. . ⑧式の積分は次の形に表される .(たとえば, 森口繁一, 宇田川鮭久, 一松信「数学公式1」1 8 7~1 8 8頁 1 9 6年 5 岩波書店 を参照せよ) .. 2 ” / 上 {・ ( ・十8のsの3M. { ・ /2 (・一〆“×{[. 2-(2 i 1十8のsβ) ( / s nβ/. : )”冗tan(” ” *・十8). 2 ” (夕/2 ) ) 3 1 t ]r H{ (1- の ‘ { / ( 1十8のs の2 }煽一 切 パー-〆)班 将 ガ/ /2 (1 ず )班 an (⑨式の右辺の積分. ⑨. 冗 2ば2~ 激 に等しいことを用いて ⑦式から 1 ( 1十8のsの2旧 例ま, {1パメー ザ )) { / ,. 直ちに求まる。) ⑧, ⑨式より, ⑥式の分子は次のようになる.. 3メタ rγ. 3 ( 1メ ド 伽 事:メ ガ α. ⑩. ⑦, ⑲式より くr〉 は次の形に書ける. 2 〈r〉= 3 a/2-a(1-e )/2 2 = a(1 +e /2). ⑪. この⑪式が求める式であった. 7) 本節のより詳細な議論については, 「地学教育」に「ケブラーの法則と万有引力の法則の記述について」の標題 で投稿中である. 8) 天文年鑑編集委員会編 「天文年鑑 1 9 8 4年版」71頁 19 83年 誠文堂新光社 9) ケブラーの第3法則から連星の質量決定のための式への筆者の展開案は, 「地学教育」に投稿中の「ケブラーの 法則と万有引力の法則の記述について」 の中で示されている. (本 学助 手・ 旭川 分 校). 144.
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