へき地保育所の保育者が求める保育者像に関する臨床心理学的アプローチ
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(2) No.53. 1999.3. へき地保育所の保育者が求める保育者像に関する. 臨床心理学的アプローチ 高 久 宏 一. 後 藤 恵美子. (北海道教育大学附属教育実践研究指導センター)(札幌市児童家庭部). 後 藤. 守. (北海道教育大学札幌校). AnEgogramPatternwantedbyChildcare−takerinRuralArea Hirokazu TAKAKU,EmikoGOTOH and Mamoru GOTOH. 名(57.6%)の園長がこれを支持しているのに対して,. Ⅰ.間魔の所在. 都市部保育所群の場合,園長のうち39名(86.7%)の者. 本研究は1973年に実施された北海道社会福祉協議会の. がこの項目を支持しており,群差は前述の項目の回答結. 調査研究を受けて,それ以降,北海道教育大学札幌校特. 果と対照的に29.1%の差でへき地保育所群が下まわって. 殊教育学科が5年毎に追跡している「障害児保育に関す. いることが明らかにされている。. これらの結果を見ると,どちらかと言えば,都市部保. る研究プロジェクト(研究代表者 後藤 守)」の一環 として設定された第5次調査(1998年11月実施)と共同. 育所群の方が保育者の資質に目を向けている比重が高い. の形で高久が実施した調査研究に基づいている。特に,. ように思われる。しかし,このような傾向は保育担当者. ここではへき地保育所の保育者に対象を絞り,これから. (保母)の目から見ても同様の結果になるかどうかは今. の保育の世界で求められる保育者のパーソナリティ特性. 後の調査を待たなければならない。. を浮きぼりにすることを目的として,調査票A(幼稚. 今回の調査研究ではもう一歩踏みこんで,保育担当者. 園・保育園の先生方全員記入用)項目2の回答結果を中. に焦点をあて,交流分析の視点から調査項目を構成し,. 心に分析を進めていくことにする(北海道社会福祉協議. これからの保育の世界で求められる保育者像を浮きぼり. 会,1974,1976,後藤他1979,1980,1985(a),1985(b),1985にしようと努めている。調査項目群の構成に関しては (c),1990,1991(a),1991(b),1991(c),1993,1995(a),1995 TEG(東大式エゴグラム)第2版の枠組をベースにした。 (b))。. 東京大学心療内科研究グループによる著書「新版エゴ. すでにわれわれは予備調査として実施されたへき地保. グラム・パターン(金子書房1995)」によれば,自我状. 育所および都市部の保育所を対象にした調査を進めてお. 態の特徴は図1のように,親(Parent,以下Pと略す),. り,保育担当者に求められるものとして次の3点が園長. 大人(Adult,以下Aと略す),子ども(Child,以下C. の回答としてあげられている(後藤,1998)。まず,「人. と略す)の3つの自我状態に分けられ,これはさらに5. 柄がよく,子どもの好きな暑が求められている」の項目. つに分けられるとしている。この自我状態の仕組は精神. ではへき地保育所群19名(57.6%),都市部保育所群32. 分析のエッセンスを実用化して,新しく「交流分析」を. 名(71.1ヲ‘)といずれも高い割合を示しており,保育者 に求められる特性の一つとしてあげられる。「理論より,. 編み出したBerme,E.の理論に準拠している。本研究. 体を使って子どもと動きまわることのできる者が求めら. れたTEGの設問項目群から,それぞれ,2項目ずつ抽. れている」の項目ではへき地保育所群の場合21名. 出し,調査票を作成している。. では図1に示した5つの自我状態に対応する形で作成さ. 図1のCP(CriticalParent)は東大医学部心療内科. (63.6%)の園長がこの項目を支持している。これに対し て,都市部保育所群の場合,18名(40.0%)にとどまっ. 研究グループによれば批判的なPで,理想,良心,責任,. ており,両群の群差は23.6%と大きな差となって表われ. ている。一方「母親の相談をよく受けとめる力のある者. 批判などの価値判断や倫理観など,父親的な厳しい部分 を主としている。これに対してNP(NurturingParent). が求められている」の項目ではへき地保育所群の場合19. は養育的Pで,共感,思いやり,保護,受容などの子. −133−.
(3) 高久 宏・・後藤恵美子・後藤 守. たっての必要事項,(6)これからの保育所・幼稚園および 小学校以降の教育のあり方について,(7)あなたの考える 「子どものイメージ」の7点について回答が求められて いる。. これに対してB面は障害をもつ子どもの保育担当の 先生が記入するもので,(1)あなたの園に在園している障. ⇒. 害をもつ子どもの内訳,(2)担当している子どもの年齢お よび障害の特徴,(3)入所・入園当初のその子どもの状況, (4)その子どもに対する指導の形態および方法,(5)健常児 に対する統合保育の成果,(6)障害をもつ子どもに対する 統合保育の成果,(7)実際に障害をもつ子どもを担当して みて感じていること,(8)その子どもの小学校就学のこと. 図1交流分析理論から見た自我状態の様相. について,の8点について回答を求めている。 どもの成長を促進するような母親的な部分を主としてい. る。このことから明らかなように,CPは男性性(父親 性),NPは女性性(母親性)を象徴している。A(Adult). 3.分析方法 本研究では前述した調査項目の内容のうち,調査票A. は大人の自我状態を示しており,事実に基づいて物事を. 面の設問2「これからの保育で求められている保育者像」. 判断しようとする部分である。AC(AdaptedChild). に焦点をあて,分析を進める。設問の具体的内容は以下. は順応したCを意味しており,FC(FreeChild)の本. の通りである。. 能的な部分に対して,人生の早い時期に周囲の人達(特. 調査票A設問2. これからの保育の世界では,さまざまな個性や待徴あ. に母親)の愛情を失わないために,その人なりに身につ けた処世術を持ちあわせていると言う。これに対して,. る行動をもった保母や教師が求められていると考えられ. FCは自由なCと言われ,親の影響を全く受けていない,. ます。それでは,どのような保母や教師の特性が大切に. 生まれながらの部分である。 本研究では以上述べた5つの自我状態を尺度に乗せた. されるべきでしようか。次のそれぞれの項目の全てにつ いて,大切と思われるものに○印,どちらでもないもの. TEGの枠組に準拠して,へき地保育所の保育者が措く. に△印,大切ではないと思われるものに×印をつけて下. これからの保育者像を素描していくことにする。. さい。. (1)物事に批判的てある。. (2)因っている人を見るとつい手助けしたくなる。. Ⅱ.方 法. (3)わかりやすく物事を表現する。 (4)じようだんをいったり軽口をたたくのがうまい。. 1.調査対象及び隅査期旧 本研究では全道のへき地保育所(以下,へき地保育所 群という)402施設を対象とし,回答の得られた保育者369. (5)不快なことでも無理にがまんしてしまう。. 名を分析の対象とする。回答者の内訳は男子保育者3名,. (7)人の長所に気づきほめる。. 女子保育者357名,性別不明保育者数9名である。 また,障害児を担当している保育者は44名で,残りの. (8)何事も事実にもとづいて判断する。. 325名は未担当の者である。. ㈹ 遠慮がちで消極的である。. (6)相手の不正や失敗にきびしい。. (9)好奇心が強い。. 郵送によるアンケート調査は平成10年11月に実施され. これらの設問項目は「問題の所在」で提示した交流分. 析理論の枠組みから設定された5つの自我状態に対応し. ている。. ている。5つの自我状態と設問項目の関係は次の通りで. ある。CPは設問項目(1)と(6),NPは設問項目(2)と(7),. 2.調査票の構成及び調査項目の内容 調査票はA面およびB面から構成されている。A面. Aは設問項目(3)と(8),FCは設問項目(4)と(9),ACは設. が組み立てられている。そこでは,(1)回答者のプロフィー. 問項目(5)と(1(》,から構成されている。分類および分析結 果の読み取りはTEGのパターン分類および解説を基本. ル,(2)これからの保育で求められている保育者像,(3)担. 的には採用する。. は幼稚園・保育所の保育者が全員回答できるように設問. 分析にあたっては,これらの設問に対する回答結果を. 当する保育集団の構成,(4)保育の場および保育体制,(5). ○印の回答項目に2点,△印の回答に1点,×印の回答. 特別な教育・保育的配慮が必要な子どもの受け入れにあ. ー134−.
(4) No.53. へき地保育所の保育者が求める保育者像に関する臨床心理学的アプローチ. 1999.3. は0点とし,それぞれの得点を自我状態のパターン別に 集計し,グラフ化する。このグラフ(エゴグラム・プロ. 高く,109名(29.5%)の保育者の回答がこの行動パター. フィール)のパターン分類および解釈にあたっては東京. 割合が大きく,89名(24.1%)を占めている。この2つ. 大学医学部心療内科の研究グループのTEGパターンの. の行動パターンによって全体の53.6%が占められてお. ンに該当している。次いで,優位型の中のNP優位型の. 解説を参考にして進める。自我状態のパターンは優位型,. り,へき地保育所の保育者の措く保育者像の輪郭が特徴. 低位型,混合型に分類されるが本研究では以下の手順で. づけられている。. 分類する。. NP優位型は図2に示したように,NPの得点が単純. 最大でプロフィールを形成しているもので,NPの尺度. (1)分析対象者の自我状態のプロフィールを5尺度. (CP,NP,A,FC,AC)に添った調査項目の得. 特性が強く表出された内容のものとなっている。NPは. 点(最高4点)によって作成する。. 図1の説明で指摘した通り,養育的なPであり,共感, 思いやり,保護,受容などの子どもの成長を促進するよ. (2)描かれた5尺度の中でどの尺度が最高点であるか. を判定し,「優位型」の分類に該当するプロフィー. うな母親的部分の比重が極めて高い心理学的特性を持っ. ルかどうかを見極める。. ている。具体的には他人に対して受容的で,相手の話に. 耳を傾けようしたり,親身になって世話をし,「よかっ. (3)描かれた5尺度の中でどの尺度が最低点であるか. を見極め,「低位型」の分類に該当するプロフィー. たね」「えらかったね」「大丈夫よ」などの言葉をかけて. ルかどうかを見る。. 相手を快適な気分にさせるなど,相手に幸福感,満足感. (4)「優位型」「低位型」のどちらにも該当しないも. などの陽性のストローク(人と人との心のふれあい)を. のは,「混合型」の分類を適用する。. 多く発するタイプと言える。NP優位型は「自他肯定」 タイプの典型例である。日本人にはこのタイプが多く,. (5)混合型はTEGパターン分類に基づいて台形型,. U型,N型,逆N型,M型,W型,平坦型,P 社会的に共存,協調して適応している人達にはこの傾向. 優位型,C優位型,に分類する。詳細については 結果と考察のところで述べる。. が強いと言われているが,面倒見がよくて,思いやりが あるという行動パターンの特性は保育の場にいる子ども. 連に限らず,援助を必要としている人達にとってこのよ うなストロークを発する人との出会いは,大いに自らを. Ⅱ.結果と考察. 勇気づけるきっかけとなろう。その意味で,回答者の多 くがNP優位型の保育者像を提示したということはこれ. へき地保育所の保育者369名によるこれからの保育の. 果,8つの行動パターンに整理することができた。表1. からの保育者のあり方を検討していく上で興味深い。た だし,このNP優位型は別名「世話やきタイプ」とも言. はその分類結果をまとめたものである。 これを見ると,混合型の中の台形型bの割合が最も. われており他の尺度の得点が極端に低すぎると,強力な NPにふりまわされて,相手の気持ちなどおかまいなし. 世界で求められる保育者のプロフィールを分類した結. 表1 これからの保育に求められる保育者の行動パターン分類結果 ()内は%. 優 NP優位型 へき地保育所 保育者群. 位. 型. A優位型. 混 合 型. FC優位型 14. 89. (24.1) (17.6). 1.CP優位型. (3.8). 2.NP優位型. 台形型a. その他 計. 台形型b. 台形型C. 109. 12. 17. (14.9) (29.5). (3.3). (4.6). 55. 3.A優位型. 4.FC優位型. M型. 8. (2.2) (100.0). 5.AC優位型. 』ヒ匹』△ヒ也ヒヒヒ 図2 行動パターン分類(その1). −135−. 369.
(5) 高久 宏一・後藤恵美子・後藤 守. 徴を掘り下げて見よう。図3に示したように,台形型b. 混合型. はNPとAが同数最大の割合を占めているところに特. 15.M型. 11.台形型. 徴がある。別名「ボランティアタイプ」とも言われ,奉 仕精神の持ち主に多く見られると言われている。問題は. 吐吐担_ 払. 「人の気持ちを考えないでお世話をする」といった,一. 方的な世話やきになりがちな傾向にある点である。これ はACとFCの低さが関係している。つまり,NP優位 型のところで考察したように,いわゆる「世話やき」の かかわりをしかけやすいタイプと言ってよい。NPの高. 図3 行動パターン分類(その2). に世話をやき続けるという問題が生ずる心配がある。. さに比較してACの低さが一方的な押しつけをしがちに. なることに十分留意することが求められている。但し,. 子どもの世話を先取りしてしまう過保護な保育者に陥. らない保護者であるためにはCPやAが平均的水準以上. Aの特性が優位性を持っているという点ではNP優位型. にあることが求められる。そのことによって,責任感 (CP)や客観的な判断力(A)が維持されるので,一方 的な世話やきにはならず,周囲から頼りになる存在とし て認知されていくものと思われる。また,FCやACも 平均的にあることによって,適当に楽しみ,適度に周囲 にあわせる心の余裕を生ずるものと思われる。このよう. よりも熟成度の高い自我状態にあると言える。 以上,へき地保育所の保育者369名が措く,これから の保育の世界で求められる保育者像について高い割合を 占めている特徴的な行動パターンを中心に考察を進めて. きた。ここではさらに掘り下げて,分析対象者となった 保育担当者369名を,現在,障害をもつ子どもの保育を 担当している者〈以下,A群と言う)と障害をもつ子 どもの保育を担当していない者〈以下,B群と言う) とに分けて,考察を進めて見よう。. な,NP優位型がこれからの保育の世界では求められよ う。その意味でへき地保育所の保育者がこのことにかか. わって,ひとつの方向を定位していることは評価されよ う。このことにかかわって,最も高い割合を占めている. 表2はA群(障害児担当保育者群)とB群(障害児. 混合型の台形型bの存在は非常に興味深い。台形型b. 未担当保育者群)がこれからの保育に求める保育者像を. は図3に提示したように,台形型aと並んで,NPの得 点とA得点が同数最大であるところに特徴がある。ち なみに台形型CはNP得点が低いという点で,台形型a とその性質を異にしている。但し,A得点の優位性と いう観点から見れば,台形型a,b,Cはいずれも共通 したベースを持っていることが指摘される。A得点の 高さは知的で冷静な判断力があることを示しており,. まとめたものである。両群をみると,ほぼ同様の分布傾 向を示している。さらに掘り下げて両群の行動パターン を見ていると,B群の場合,台形型bの割合が最も高く, 325名中98名(30.2%),次いでNP優位型80名(24.6%). 「今,自分はどのような状況の中にあり,何をしなけれ. うち12名(27.9%)が台形型aの行動パターンとなって. ばならないか」を判断する力があることを意味している。 その点では台形型はa,b,Cいずれも安定性のある行. おり,最も高い割合となっている。ちなみに,B群の 場合,台形型aは13.2ヲ‘にとどまっている。むしろ,両. 動パターンを表出させる自我状態のべ一スを形成してい. 群の特徴的差異はこの台形型aに集約されるかもしれな. ると見ることができる。. い。台形型aの行動パターンについてはすでに図3に提. という結果になっており,表1に示した全保育者のプロ フィールパターンの分布と全く同様の結果となってい. る。これに対して,A群の場合,44名の保育担当者の. 示してあるが,台形型aはNP,A,FCがほぼ同数最大 であるのに対して,CPおよびACが低い状態にあると. 以上述べた視点から,へき地保育所の保育者の最も多 くの人達から支持された台形型bの行動パターンの特. 表2 A群・B群の保育者の求める保育者の行動パターンの差異 ()内は%. 混. 優 位 型. NP優位型 A 群 (障害幼児担当). B 群. A優位型. 9. 80. 56. 台形型a. 台形型b. 合. 型. 台形型C. その他 計. M型. 12. 9. (20.9) (20.9). (障害幼児未担当) (24.6) (17.2). FC優位型. (2.3) 13. (4.0). 0. (27.9) (25.0) 43. (2.3). (3.4). (4.9). 98. (13.2) (30.2). −136−. (2.3). 16. 44. (0) (100.0) 8. 325. (2.5) (100.0).
(6) No.53. へき地保育所の保育者が求める保育者像に関する臨床心理学的アプローチ. ころに特徴がある。この行動パターンの者は思いやりが. 1999.3. Ⅳ.今後の課題. あり,現実生活もきちんとしていて,心に余裕のあるパ ターンの持ち主であると言える。別名「マイホームタイ. 本研究は精神分析の世界から提示された交流分析の枠. プ」と言われ,健康的で自分のペースが何より大事にし. 組を辛がかりに,これからの保育の世界に求められる保. た生き方をしているタイプである。その意味では安定性. 育者像を浮きぼりにすることに努めてきた。今回,へき. があり,職場で不必要な問題をひき起こすトラブルメー. 地保育所の保育者を分析の対象にしたのは,第1次分析. カーではないという点では安心できる保育者像と言え. 段階として,そこに,最もわれわれが考えなければなら. る。但し,CPやACが低いことから,社会のことや人. ない課題が示されるであろうと考えたことによる。第2. の気持ちをあまり気にしないところが課題として残され. 次分析段階では都市部保育園との比較分析,および幼稚. ている行動パターンの持ち主でもある。両群の行動パ. 園の保育者との比較分析も予定されており,今後,順次, 資料の分析を続けていきたいと思う。. ターンの分布を比較して見ると,A群の方が台形型の 割合がa,b,Cを合計して55.2%8こ達しており,B群. なお,今回の調査ではTEGの設問項目を一部活用さ. の46.8%をうわまわっている。特に,行動パターンとし. せてもらった。調査による方法上の制約から,今回,各. て熟成度が高い台形型aがA群27.9%に対して,B群. 尺度毎に2つの設問を抽出する方法を採用したが,その. は13.2%と顕著な差となっておりA群の行動パターン. ことが,かなり,大まかに,保育者の行動パターンを捉. の特徴として指摘される。. えるところにとどまり,TEGの趣旨とかけ離れた結果. しかし,すでに指摘しているように両群とも,CPと. になっているとの指摘もあるかと思われる。出来れば,. ACが共通して低く,これからの保育の世界に求められ. 将来,TEGの全項目を用いた資料に基づいてエゴグラ. る保育者像としては十分さを欠く部分があり課題として. ム・パターンの分析を試みたい。. 最後に,本研究を進めるにあたり,調査研究費を配分. 残される。このような傾向が両群に共通して認められて いることは,これまでの保育の世界の持ち続けている風. し,支援していただいた北海道教育大学僻地教育研究施. 土が反映していることも考えられる。また今回の調査で. 設に感謝申しあげる。. は男子3名の保育者を除いてその他の回答者が女子の保 育者であったことも少なからず関係していたことも推測. 高久 宏一(北海遺教育大学附属教育実践研究指導センター技官). される。これらの回答者の偏りが結果として,CP,AC. 後藤恵美子(札幌市児童家庭部障害児保育巡回指導専門員). の低い行動パターンのプロフィールを形成させたのかも. 後藤 守〈北海道教育大学札幌校教授〉. しれない。これらの結果は少なからず,回答者自身の現 在の自我状態を投映させているとも考えられ,ある意味 引用・参考文献. ではへき地保育所の保育者のかかわり行動パターンの基 底をそこに見ることができるように思われる。そのこと. (1)北海道社会福祉協議会(第19号調査研究委会):幼. はとりもなおさず,現在の保育の世界が男性性(父親性). 稚園・保育所における心身に障害をもつ子どもの保育. の実態について(第1集),1974.. の欠落した特殊性を内包していることを示していると考. えられる。父親からは厳しさと理想追求のCPを母親か. (2)北海道社会福祉協譲合(第19号調査研究委会). らはやさしさや共感のNPを受け継ぐことの重要性を考. 障害をもつ幼児の保育の実態と指導方法に関する基礎. 的研究(中間報告),1976.. えあわせれば,この両者が対構造を持って一体化するこ. とによってはじめて,相補的に男性性(父親性)と女性. (3)後藤 守:北海道における障害児保育の動向と課題. 性(母親性)が子どもの意識の中に内在化していく刺激. (Ⅰ).北海道教育大学僻地教育研究,1979,第26巻第 1号,57−67.. として実態化していくように思われる。このことはひと. り,へき地保育所のこれからの課題と言うよりも現在の. (4)後藤 守:北海道における障害児保育の動向と課題. 幼稚園および保育所の抱える課題であると言える。さら. (Ⅱ).北海道教育大学僻地教育研究,19飢,第28巻第. にまた,このことは家庭における男性性(父親性)の希. 1号,77−88.. (5)後藤 守・小笠原詠子:統合保育の動向.北海道教. 薄さの開港にも関連していくもののように思われる。い. かにして,幼児期の子ども連の発達の基盤の中にこの男. 育大学紀要(第一部C),1985(a),第35巻第2号,101. 性性(父親性)を取りこむことが出来るかがわれわれに. −114.. (6)後藤 守・小笠原詠子:北海道郡部における障害児. 課されている課篤と言ってよいであろう。. 保育の動向と課麓.北海道教育大学僻地教育研究,1985 (b),第39巻第1号,101−111. 一137−.
(7) 高久 宏一・後藤恵美子・後藤 守. おける園長と保母の意識に関する調査を通して.北海. (7)後藤 守・小笠原詠子・井上栄子:統合保育の動向. 道教育大学紀要(第一部C),1996,第46巻第2号,95. (Ⅱ).北海道教育大学紀要(第一部C),1985c),第36 巻第1号,201−211.. −104.. (細 東京大学医学部心療内科編著:新版エゴグラム・パ. (8)後藤 守・小笠原詠子・小笠原仁:北海道郡部にお. ける障害児保育の動向と課題(第2報).北海道教育大. ターン.TEG(東大式エゴグラム)第2版による性. 学僻地教育研究,1990,第44号,31−41.. 格分析.金子書房,1995.. (9)小笠原詠子・後藤 守:北海道における統合保育の. 動向に関する研究,北海道大学教育学部紀要,1991(a), 55号,47−55. (1〔カ 後藤 守・小笠原詠子・小笠原仁・金澤克美:精神. 遅滞児の事例における統合保育の動向と課題.北海道 教育大学紀要,(第1部C),1991(b),第41巻第2号, 79−87.. ㈹ 後藤 守・小笠原詠子・小笠原仁・金澤克美:障害. 児保育における地域的特性に関する研究,北海道郡部 の保育所の事例を中心として.北海道教育大学僻地教 育研究,1991(c),第45号,15−26. (1功 小笠原詠子・後藤 守・金棒克美:障害児保育にお. ける地域的特性に関する研究(Ⅱ),北海道郡部の幼 稚園の事例を中心として.北海道教育大学僻地教育研 究,1993,第47号,43−49. (13)後藤恵美子・金棒克美・小笠原詠子・三浦 哲・後 藤 守:障害児保育における地域的特性に関する研究. (Ⅱ),北海道郡部保育所の追跡調査の結果を中心とし て.北海道教育大学僻地教育研究,1995(a),第49号, 7−16.. ㈹ 後藤 守:北海道の障害児保育20年.乳幼児療育研. 究,1995(b),第8号,37−45. (凋 後藤恵美子:札幌市における障害児保育巡回指導. 北海道乳幼児療育研究1995 第8号,69−73 ㈹ 後藤恵美子:障害をもつ子どもをとりまく保育環境. に関する検討.保育所・幼稚園の保育形態および方法 に関する調査結果の分析を通して.北海道心理学研究 ,1995,第18号,71−82. (1カ 金澤克美・後藤恵美子・後藤 守:障害児保育実施. へき地保育所の保育者の措く子ども像.北海道教育大 学僻地教育研究,1998,第52号,143−148. (咽 後藤 守・後藤恵美子・金澤克美:へき地保育所に. おける障害児保育.北海道教育大学僻地教育研究,. 1998,第52号,35−42. (咽 後藤 守・後藤恵美子・金棒克美:これからの障害 児の保育と教育に関する保育者の意識(Ⅰ)保育所に. おける園長と保母の意識に関する調査を通して.北海 道教育大学紀要(第一部C),1995,第45巻第2号,173 −177.. 錮 後藤 守・後藤恵美子・金澤克美:これからの障害 児の保育と教育に関する保育者の意識(Ⅱ)保育所に. −138−.
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