• 検索結果がありません。

精神薄弱児の知覚的探索活動について : 照合特性の動機づけ効果についての検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "精神薄弱児の知覚的探索活動について : 照合特性の動機づけ効果についての検討"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 精神薄弱児の知覚的探索活動について : 照合特性の動機づけ効果につい ての検討. Author(s). 木村, 健一郎; 入枝, 修. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 25(2): 35-42. Issue Date. 1975-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4690. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 木村健一郎・入枝惰: 精神薄弱 児の知覚 的探索活動 について. 精神薄弱 児の知 覚的探索活動について --照合特性の動機づけ効果についての検討 冊-- 木. 村. 健一 郎 ・ 人. 枝. 情. 1 , 問題と目的 われわれは、 精神薄弱児の 認知的活動性の不活発さ、 即ち、 彼らと彼らをとりまく環境とのかか わり合いの希薄さに焦点をあて、 精神薄弱児にお けるこの環境とのかかわり合いの強さを規定して いる条件を解明することにより、 彼らの認知発達及び学習の遅滞の改善のための手がかりを 得るこ と にと り か かっ た。. 認知発達あるいは学習における内発的動機づけの重要性については、 近年多く の人の指摘すると 8 )) H mt,J, M, 1卿 波多野他・ 9 7 16 即ち、 自発的 な認知活動や学習を動機づける要因が、 認知過程そのものの中に内在するとして 逆にその要因を 、 操作することによっ て、 認知発達や学習の促進を計るという考え方である。 そこでわれわれは、 ま ず精神薄弱児の内発的動機づけの実態を明らかにすることによっ て、 彼らの内発的動機づけの局面 , こ ろ で ある。 (Bm m。 D. B, 1%5雫 ,. からみた特性と、 彼らに対して内発的な動機づけの考え方を適用する場合、 どのよ うな解決すべき 問題が存在するかを明らかにする必要があると考えた。 精神薄弱児の自発的な認知活動の不活発性は、 自明のこととしてうけとられている。 だがその実 )は 発達的な観点から 証的データーは少ないよ うに思われる。 最近、 松坂 ( I973 )9 、 、 精神薄弱幼 児の知的好寄心につい ての調査を行い、 普通幼児に比べ若干の量的質的な差異の存在を 示唆してい る。 又田口 ( ー974 )IDは、 実際の学習場面における実態を調査 し、 課題意識が乏しく 課題解決行 、 動 を 誘発 しな い な どの傾 向 を 見 い 出 して い る。. われわれは前回の考察において、 自発的な認知活動 の高低を規定している動機づけの要因と して 、 いくつかの考え方を検討した。 そこでは、 入来する環境刺戟の性質と、 その刺戟を受けとる主体の 側に既に過去経験の集約と して形成されている認知構造との間に成立する″不一致 ″ 不 調和 〃 ″ ″差異 が 有機体の注意を喚起 し 、 認知活動を動機づける効果をもっということが共通の考え方 〃 、 であっ た。 このことは、 精神薄弱児の自発的な認知 活動の不活発性が、 主体の側だけの問題ではな く、 主体と環境刺戟との相互作用によ っ て規定されてくることが予想される。 それ故 精神薄弱児 、 の自発的な認知活動の実態を明らかにする場合、 環境刺戟条件とのかかわりの中でとらえていく 必 要があると思われる。 そこで, この小論 では、 精神薄弱児の認知活動、 とくに知覚的探索活動につい て、 それに影響を与えると思われる若干の刺戟要因との関連のもとに、 検討を加えることにする。. ] の ) の Be ,y憎,D r ,E ,d957 、]958 ,,966 ) は、 知覚的探索活動に関する一連の研究から、 知覚的 探索活動に影響を与える刺戟特性として、 謂 ゆる 照 合 特性 ( l l i t co a veproー舵 雨es) を あ げて い ″ ″ ″ ″ る。 そ れ は,ー 般 に 新奇さ 不調 和 〃 複雑さ ″ 驚き 〃 と い う よう な 言 葉 で述 べ られ る一 群 〃. の刺戟特性であり、 これらの刺戟がその意味をもつのは、 異る刺 戟要素からくる情報の照合あるい は比較に依存するとして名づけられたものである。 彼はこの照合特性が有機体の注意を喚起し. 知 、 覚的探索活動を動機づける効果をもつことを明 らかにしている。 35.

(3) . 木村健一郎・入枝傭: 精神薄 弱児の知覚 的探索活動について. 精神薄弱児を対象とした、 この照合特性の動機づけ効果に関する実験的研究はきわめて少ない。 7 ) ,yns と 類似 の 刺 戟 図形を用い、 知覚 i & sp r tz (1963 らは、 Be 的好奇行動に関 して、 普通児と精神薄弱児とを比較している。 その結果、 精神薄弱児群は複雑な刺 だ が 例 え ば、 軸)ats, Mme. 戟図形よりも、 より単純な刺戟図形を選ぶ傾向の存在を指摘 している。 又対称図形を5回提示した 後に非対称図形を導入した場合、 その非対称図形に対する 探索活動には変化がな かっ たが、 対象図 形を9回提示した後に、 突然非対称図形を導入 した場合、 精神薄弱児の知覚的好奇心が有意に上昇 I969 )1のは、 精神薄弱児を電度.中度.軽度にわ した こ とを 報 告 して い る。 又 Morgan, s .( .B け、 知覚的好奇行動に対する刺 戟の複雑性と新奇性の効果についての実験を行っ ている。 その結果 は、 精神薄弱児においても 好奇行動に対する複雑性の効果を明らかに している。 更に複雑性を認知 する能力と刺戟の複雑性との間に相互作用の 存在することを示唆 している。 即ち複雑性といっても 主体の側の準備状態や、 認知 能力との関係のも とに、 その刺戟性の強さが規定されること を示して い る もの と思 わ れる。 又 新奇 性 の 効 果 に つ い て は、 こ の 実 験 で用 い ら れた 刺 戟 パタ ー ンに おい て、 そ の 効 果 が見 い 出 さ れ な か っ た と し て い る。. このように精神薄弱児の知覚的探索活動に関する研究は、 かならず しも一致をみるには至ってお らず、 さらにデーターの集積が必要と思われる。 又、 知覚的探索活動の測定方法、 刺戟特性、 刺戟 の提示方法、 対象とする被験児の性質、 など多くの吟味を要する問題が存在する。 それ故本実験に おいては、 精神薄弱児の知覚 的探索活動に関して、 調ゆる照合特性の動機づ け効果についての実験 データーを提出 し、 精神薄弱児の認知 的活動性を規定している条件に関する若干の示唆をうるとと もに、 実験方法上の検討の資料を得ることを目的とする。 2 , 実 ”) 被. 験 験. 方. 法. 児. 3名とCAの平均がほぼ等しい函館 被験児は、 北海道教育大学附属特殊学級在学中の精神薄弱児1 2名である。 被験児の構成は第1表に示すとおりである。 市内の小中学校児童生徒1 (2 ) 実験装置 刺 戟 提 示 装置 と し て、 スライ ドプ ロ ジェ. 第1表. 被験児の構成. ク タ一 式タ キス ト スコ ー プを 用 い、 タ イ マ. 一に連結された押 しボタ ンを1回押すごと に、 0 .5秒 間 同 一 刺 戟図 形 がスク リ ー ン上 に 明る く 提 示 さ れる。 押 しボタ ンは 反 応 記. . CA. Range. ,Q IQ. ラ ス を用 い、 透 過 式 で あ る。 スライ ドのコ マ 送り は、 リ モ ー トキ ー に よ っ て 自 由 に 操. 作可能である。 被験者と実験者及 び提示装 置 はス ク リ ー ンに よ っ て 遮 蔽さ れて い る。. 実験室内は、 刺戟光源の関係で半暗室であ る。 装置の概略は、 第1図に示すとおりで. X ×. N. ※. X . 群 精神薄弱 児群 精神薄弱児. 普 通 児群. :7 :7 11. :10 11. 。~1 :0 :5 ) 8 ‐ 一1 4 (. :5~13 :3 ) ( 9. 59 . Rat 1g e n. ( 41~79). (男・ 男. 女). 13 (f 9 14). 12(男子のみ). I Qは田中 ビネ一式による。. ある。. ) 刺戟系列 (3 l - ー戟図形は、 Be r 実験に用いた東 yne(1957)の用いた刺戟を参考にして作成 した。 刺 戟図形はケ ン 36.

(4) . . 木村健一郎・入枝惰:精神薄弱児の知覚的探索活動について. ント紙に黒イ ンク描き、 もしくは標準色紙を切り抜いてはりつけたものをスライ ド化 した。 スクリ ー ン上 には、 30cm×45cmの 大 き さ に 拡 大さ れる。. 系列1 (驚き - 非驚き系列) この刺戟系列は、 驚き刺戟の知覚. 第1図. 実験 装 置. 的探 索 活動 に 与 え る効 果を 検討す る た め に 組ん だ系 列 である。 こ こ で云 軸 ~L - 1 州 軸十 ハ ルだ 軸 げ Lよ っ { り卵 っ ・き来り敦と は・ 先 汀県 主 体の 側に 形成 さ れ る 次 の 刺 戟 に 対. 1 . 8m ←÷÷÷ 1 . リ ′(\. Lク r 押しボタン . する期待と、 入来する刺戟とが不一 致を生ずるような刺戟である。 第2. . . ヂ E{oヘ. alm ÷ → プ。ジ クター. { マ 、土もリ←ト← “ 炉『ト ン タイマー レ ーダー ユ. . 図に示 す と おり、 NQ7 , NQ12が驚 き. 刺戟であり、 他は非驚き刺戟である。 NQI か らN Q12は 紫 の カ ラ ー で あ る。 Q6 は 赤、 NQ7 か らNQIIは緑、 N. 系列n (調和 - 不調和系列) この系列は、 不調和刺戟の探索活動に与える効果 を検 討 する た めに 組 ん だ系 列 であ る。 こ こ で 云 う 不. 第2 図. 系列1 輸2. 1 檎1 檎. V W A A A. と ころ の刺 戟で ある。 第 3 図、 第 4 図に 示 して あ る よう に、 A (動 物系 列) で は、 NQ2, N Q4, B (鳥. 系列) では、 N Q3’ N Q5が不調和刺戟であるo 系列皿 (単純 - 複雑系列) この 刺 戟 系 列は、 複 雑 刺 戟の 知 覚 的探 索活 動 に 与. 瓶4 4 瓶. 瓶3 3 瓶. A A▲ : 賞 : e 金 * e A ▲. 繊5 繊 5. 檎6 6 檎. ▽ ;× 号令 にか マ マ ▽. △ A A. 紗4. A令A. w マ マ. ~ ′. 瓶8 8. 瓶. 瓶7 瓶 7. 脇9 ‐. ◎ 1 ◎ ; :e : 窓◎〉 ; ; 雲 蜜驚 麗奈 義 濯ぎ露豊ゑ 頁 萱 製法 お: ◎ っ て規 定 した。 第5 図 に示す と おり、 偶 数 番 号が 複. o ! : ! ◎ 。. d 1 0 漁,. ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎. 1 1 檎, ,. 1 2 陶,. 畳 … … : ず も ◎◎ ◎◎◎ ◎●. ※ 撤1~織6 赤 陶7~檎1 1 緑 2 瓶1 紫. 第3図. 系列江一A (動物). 瓶1. 檎2. 抱3. 瓶5. 肱6. r b7. 瓶4 .. 鯖 穿紗 に 鋪 鋼澄. ‐. .. 37.

(5) . 木村健一郎・入枝情: 精神薄弱 児の知覚的探索活動 について. 系列韮一B (鳥). 第4図 bl l. ず 掩5. 白影 ,. 施2. 瓶3. 1 b6. 流7. 繊4. 瞥勝 影 轡 鼻. 系列m. 第5図 掩1. 撤2.. XXX XXX XXX i b5. べ 喜 ー掩6. 檎3 ‘. ▽ △ ぬ7. 撤4 .. ▽. ▽ △. ▽ △ ▽ △△ r b8. e ⑩ へ 尊 ”) 手. 続. 被験児は、 別室にて実験についての簡単な説明を与えられ、 不安を解消 した後に1人づつ実験室 押し に 入る。 被 験 児を ス ク リ ー ンか ら約 1 .8 m は な れ た椅 子 に 座 らせ 教 示 を 与 え る。 教 示: 「こ の ボタ ンを1 回 押 す と、 こ の よ う に (実験者 がサ ンプルカ ー ドを 用 い て デ モ ンス ト レー ショ ンを行 う). 図形や絵が0 .5秒間うつります。 す ぐ消えてしまうから、 その図形や絵を 見たいと思うだけボタン ″. も う い い 〃と 云 っ て 下 ま り は な い こ と、 さ い。 次の 図 形や 絵 を 入 れま す か ら。 」 又、 何 回挿 さ な け れ ば な らな い と い う き: を 押 して 見 て 下さ い。 そ して もう 見 た く な い と 思 っ た ら ボタ ン押 しを 止 め. 後 で刺戟については何も質問 しないことを繰返し強調した。 その後押 しボタ ンを被験児の利手に持 たせ、 操作方法を説明 し、 サンプル刺戟を用いて練習さ せた後に実験に入る。 実験者はスク リーン の背後に座り、 あらか じめ提示順序を定めてある刺 戟図形を被験児の応答 にしたがいリモートキー に よ っ て 操 作 す る。 又 ス ク リ ー ンの 一 部 に あ げ て あ る 小穴 か ら被 験 児 の 行動 観 察 を 行 う。. 刺戟の提示順序は、 系列1、 系列虹、 系列mの組合せ6通りを各被験児にラ ンダムに割り当てた。 系列1では全被験児がN QI から順に提示される。 系列江では被験児の半数が動物系列から鳥系列に 進み、 残り半数は逆に鳥系列からは じめ、 動物系列に進む順序で提示される。 系列頭では半数が単 1 i戟、 即 ちNQI か らNQ8 の 順序、 残り 半 数は 複 雑→ 単 純、 即 ちNQ2 純 刺 戟→ 複 雑東 ,NQ3 ,NQ6 , ,NQ1 ,NQ4 と 系 列 の 間 は約 3 分間 の休 み を 入れ、 見る 構 えの 転 換 を は NQ5 NQ8 ,の 順序 で 提 示 さ れ る。 系 列 , ,NQ7. 0分間である。 かった。 実験の所要時間は1人約3 測定の対象は、 各刺戟図形に対して被験児がそれを見るために押 した ボタン押し反応の回数を記 録 し、 知覚的探索活動の指標と した。 各系列 ごとに、 驚き刺戟と非驚き刺戟・ 調和刺戟と不調和刺 戟 単純刺戟と複雑刺 戟に対する反 応数を比較 し分折するも .

(6) . . 木村健一郎・入枝格: 精神薄弱児の知覚的探索活動について 3 .. 結. 果. 系列1の各刺 戟図形に対する一人当りの平均反応数を示したものが第2表である。 又、 驚き刺 戟 と非驚き刺戟に対する一刺 戟あたりの平均 反応数を示したものが第3表である。 精神薄弱児群 (以 下 M・ R群 と 記す。 ) では 2つの驚き刺戟 (N Q7 Q2) に対する平均反応数と残り9刺戟 (刺戟図 ,N 第2表. 系列1の各刺戟図形に対する平均反 応数 平. 刺戟番号. 均 反. 精神薄弱児群. NQ I. 18 .7. NQ 2 N Q 3. 1 4. 2 1 4. 1. N Q 4. 応 数 普 通 児 群 1 2, 3 11 .7. 刺戟番号. 均 反. 平. 精神薄弱児群. 応 数 普 通 児 群. NQ 7. 14 .5. 12 .5. NQ 8. 15 .3. 12 .O. 11 .0. NQ 9. 12 .5. 10 .2. 14 .I. lo .7. NQIO. 13 .O. 10 ,9. NQ 5. 13 .I. 10 .9. NQI I. 1 3, 2. 11 .I. NQ 6. 15 ,3. 11 ,7. NQ12. 13 .3. 12 .7. 形NQI は、 系 列の は じめ の刺 戟と して 異っ た 意. 第3表 驚き-非驚き刺戟に対する 平均反 応数 \ 述刺戟 驚き刺戟 非驚き刺戟. 味を も つた め に 除い て 処 理 した。 ) に対 す る 平 均反 応 数には ほ と ん ど差 が見 い 出 され なか っ た。. 被験環 @. 驚き刺戟. 叢 躍弱 精神薄弱児群 児 群 ,鎚 普 通 児 群. 樫露暴露農議堅富もご喜茎*璽 扇 冨 三. 13 .9. 普 通 児 群. i2 2 1 .6. 非驚き刺戟 13 .9 雌 . 11 I 11 ,1. 対する反応数が高くなる傾向がみうけられる。 又第2表から反応数の時間的変化をみてみると、 M・R群の場合、 刺戟番号が進むに したがっ て、 全体に反応数の減少がみられ、 提示刺戟に対する全体的な慣れの傾向がみうけられる。 一方N群の 場合は M・R群と異り、 全体の反応数は少なく、 一定 しており、 驚き刺戟のところの反応数が高く 第4表 系列立の各刺戟図形に対する平均反応数 刺戟番号 NQI. N Q2 NQ3 NQ4 NQ5 NQ6 N Q7. ( 動 物 系 列) 普 通 児 群 精神薄弱児群 A. ・鳥 系 列) ( 普 通 児 群 精神薄弱児群 B. 刺戟番号. 22 .3 1 7. 5. 17 ,8 12 ,O. NQI. 16 .9. 1 0. 6. NQ2. 17 ,6. 18 .2 6 1 .2. 1 2, 4. NQ3. 1 6, 1. 11 .0 13 .6. 12 .4. NQ4. 17 ,4. 11 .7. 15 ,4 14 .8 14 ,9. 10 .0 9 .9. NQ5. 16 .O. NQ6. 1 6. 3. 11 .6. NQ7. 18 .5. 12 .7 11 .3 11 .I. な っ て い る。. 系列nにおける各刺戟図形に対する一人当りの平 均反応数を示したものが第4表である。 更にA、 B N 両系列を合せ、 不調和刺戟 (AーN Q4 Q2 , , B -NQ ) と調和刺戟に対する一刺戟当りの平均反応 3 Q5 , ,N. ,. 不 調 和 - 調 刺戟に対する 第 5 表 不調和-調和 第5表. 平均反応数 \姑 型戟 不調和刺戟 \ 被験贈 16 精神薄弱児群 .5 普 通 児 群. 12 ,7. 調和刺戟 17 ,2 11 ,7 39.

(7) . 木村 健一郎・入枝惰: 精神薄弱 児の知覚 的探索活動について. 数を示したものが第5表である。 第4表をみると、 動物系列においては、 両群共に刺戟番号が進む に従っ て反応数の減少がみられ、 特に不調和刺戟の効果は認められず、 全体に提示刺戟に対する慣 れが進行 している。 一方鳥系列においては、 普通児において不調和刺戟に対する反応数が高く なる 傾向が認められるが、 M・R群においては逆に不調和刺戟に対する反応が低くなる傾向が認められ る。 第5表によれば、 M・R群の場合 一般に不調和刺戟に反応する傾向は少く、 逆に調和刺戟に対 してより多く反応する傾向がみられる。 他方N群の場合は調和刺戟に対するよりも、 不調和刺戟に 対しより多く反応する傾向が見い出された。 系列皿の結果は第6表、 第7表に示したとおりである。 M・R群の場合単純刺戟に対する反応が、 複雑刺戟に対する反応よりも高くなる傾向がうかがえる。 一方N群の場合は反対に複雑刺戟に対す 第6表. 系列皿の各刺戟図形に対する平均反応数 平. 刺戟番号. 均 反. 精神薄弱児群. 応 数 普 通 児 群. 刺戟番号. 平. 均 反. 精神薄弱児群. 応. 数. 普 通 児 群. NQI. 16 .O. 11 .3. NQ5. 1 7. 6. 1 0. 3. NQ2. 15 .2. 13 .3. NQ6. 15 .O. 10 ,9. NQ3. 14 .8. 10 .3. NQ7. 1 6. 9. NQ4. 16 .9. 11 .9. NQ8. 13 .8. 9 .8 10 .I. る反 応が単純刺 戟に対する反応よりも高くなる傾 向が認 め られ る。. 又各系列において、 M・R群とN群の平均反応 数を比較してみると、 各系列ともM・R群の反応 数がN群よりも高いことが認められる。 4 . 考. 第7 表. 複雑一単純刺戟に対する. 平均反応数 \ 麹戟 披験贈\ 精神薄弱児群. 複雑刺戟. 単純刺戟. 15 ,2. 普 通 児 群. 11 ,6. 16 .3 10 .4. 察. 本研究は精神薄弱児の認知活動に影響を与える要因を明らかにするために、 .知覚 レベルの認知活 lyne の 指 摘 し た 照 合 特 性 の 効 果 を 検 討 した もの である。 動 で あ る 知 覚 的 探 索 活 動 につ い て、 Ber. 普通児を対象と したこの照合特性の効果については多くの実験が行なわれているが、 精神薄弱児を 対象と した研究は少ない。 そこで精神薄弱児の.知覚的探索活動と照合特性の間には、 いかなる関係 が存在するか、 その結果をどのように考えたらよいか、 更にその結果をもとに精神薄弱児の認知活 動を規定している条件に関するいくつかの示唆 を得ようとして行なわれたものであり、 この意味で 探索的な実験である。 結果は照合特性の効果について、 M・R群、 N群ともに有意な差を示すに至らず、 傾向を示すに す ぎない もの で あ っ た が、 各 系 列 に つ いて 若干 の 検 討 を 加え る こ と に する。. 系列1の場合は、 先行刺戟 (赤色の三角形で構成された幾何図形6種類、 又は緑色の丸で構成さ れた幾何図形5種類) の提示により形成される次に提示される刺 戟に対する期待と一致しない刺戟 の導入 (緑の丸で構成された図形、 又は紫色の四角図形) により、 その刺戟に対する知覚的探索活 動が高まる ことが予想された。 結果は普通児の場合その効果に Be l r ye と 同 様 な 傾 向 が 認め られ たが、 精神薄弱児の場合には、 その効果はほとんど認め られなかった。 このことは普通児が刺戟に 対処している場合、 常に次にくる刺戟についての期待なり構えを意図的にあるいは無意図的に形成 し、 待ち受け状態にあり、 それが入来する刺戟と一致する場合には、 その刺戟を効率よく 処理 しう 40.

(8) . 木村健一郎・入枝情: 精神薄弱児の知覚的探索活動について. るために、 探索活動は短時間ですむことになる。 又その刺戟が期待と不一致の場合には、 その刺戟 を組織化する ,ために、 探索活動が高まるのではないかと考えられる。 一方精神薄弱児の場合は期待 なり構えを形成することなく、 毎回の変化をそれぞれ独立したものとして受け取っ ているのではな いか、 それが精神薄弱児群の各刺戟図形に対する高い反応数、 及び驚き-非驚き両刺戟間に反応数 の差がみられないという結果を生 じさせたのではないかと考え られる。 それ故精神薄弱児群に対し て、 期待なり構えを形成しやすい先行条件を設定すれば、 不一致刺戟に対する探索活動が高まるこ とが予想される。 即ち本実験における先行刺戟条件では、 彼らが期待を形成するには不十分であっ たことが考えられる。 例えば Hoats ら は 新奇刺戟の動機づけ効果を検討したとき、 先行刺戟とし て 4回の対称図形を提示し、 5回目に非対称図形を 導入した場合 両者の反応にほとん ど差が見い 、 出されなかった が、 先行刺戟を1 0回提示 した後に新奇図形を導入 した場合には、 その新奇刺 戟に対 する反応が有意に上昇したことを報告している。 それ故今後この先行刺戟の条件、 例えば期待成立 までの刺戟提示 回数、 あるいは刺戟条件の難易などとの関係で、 この要因の探索活動に与える影響. の検討が必要になると思われる。 系列 n、 ここでは系列1の短期間における過去経験によって生ずる期待との照合とは異り、 有機 体の長期にわたる過去経験によっ て、 既に形成されている概念的枠組と、 入来する刺戟とが不調和 であることが精神薄弱児の探索活動を動機づ ける効果をもつかどうかを検討 したものである。 結果 は 普 通 児にお いてそ の 効 果に B l e r yne と 同 様な 傾 向 が 認められたが、 精神薄弱児の場合、 不調和 刺戟による動機づけ効果は見い出されず、 逆に探索活動が低下する傾向が認められた。 このことは , 不調和の成立する前提条件である動物や鳥の概念が、 精神薄弱児においては不十分であいまいなた め、 不調和を不調和と してとらえず、 その不調和を無視して受け入れてしまうためなのか、 あるい は不調和による混乱が彼らにとっ て処理しえないためにその刺戟を避けてしまうとも考えられる。 行動観察によれば、 不調和刺戟に対処している精神薄弱児の中には、 笑ったり、 首をかしげたり 、 良く見ようとする行動が見うけられたが、 反応数は他の刺戟よりも高くならなかっ た。 このことは 精神薄弱児の他の刺戟に対する反応数が高く (自発的な探索活動以外の反応が関与していると予想 される) 両者の差を覆い隠してしまっ ているとも考えられる。 又この系列は精神薄弱児にとっ ても っ とも興味を示した系列である。 これは幾何図形と異り、 具体物であり、 それが彼らの過去経険に よる好き 嫌いの要素が介入し、 概念との不調和に対する反応が覆い隠されたとも考えられる。 それ 故結果の解決は今後の検討に待つことにしたい。 系列皿、 ここでは複雑性の探索活動に与える効果の検討が目的である。 結果は普通児の場合その 効果が認められたが、 精神薄弱児の場合複 雑性の探索活動に与える動機づけ効果は認 められず、 逆 l に複雑性を避ける傾向がみうけられた。 Be r e は 複雑 性の 動 機 づ け 効果の説明と して、 その複 yn 雑性刺戟をどのように範曝化すべきかに関する葛藤(conn i t)の 存 在を 示唆 し ているが、 Hoat c z らの云うように、 精神薄弱児の心的世界がすでに複雑で混乱しているために、 複雑刺戟を組織化す ることができず、 より単純な刺戟を好むと解釈できる。 このことは精神薄弱児に対し適度な複雑性 ならば探索活動を動機づける効果をもつことが考えられる。 Mor an は 複 雑 性を低、 中、 高の三 g 段階にわけ、 精神薄弱児の知能程度と対応させ、 探索活動の効果を検討 しているが、 複雑性を認知 する能力と刺戟の複雑性との間に相互関 係の存在を示唆している。 即ちある水準の認知能力におい て最適な複雑性の水準があることを示している。 今後更に複雑性の程度と知能水準との関係を検討 していく必要があると思われる。 以上の結果と考察から、 いずれの系列において統計的有意差が認められず、 傾向を示すにとどま ったが、.精神薄弱児に対し照合特性の効果がほとんど認められず、 逆に不調和刺戟、 複雑刺戟を避 41.

(9) . 木村健一郎・入枝悟; 精神薄弱 児の知覚的探索活動について lyne の 謂 ゆ る 照 合 特 性 が、そ の ま ま ける傾向がみうけられた。 このことは精神薄弱児に対し Ber ではかならず しも動機づけ効果をもつとは云えないことを示している。 それは普通児にとっ て照合. 特性としての意味をもつ刺 戟が、 そのままでは精神薄弱児にあてはまらないことを意味している。 それ故精神薄弱児にとって照合特性がその意味をもつような前提条件を、 彼らの認知構造の特性と の関係の中で明らかにしていく必要があると思われる。 又逆に刺戟特性に対する探索活動を分折す ることによっ て、 彼らの認知構造を解明する手がかりが得られると考えられる。 今後の課題とした し、o. しかし本実験にはいくつかの問題 点があるが、 その主なものは測定方法上の問題である。 知覚的 探索活動の指標と して、 刺戟を見るためのボタン押し反応の回数を記録した。 だが行動観察によれ ば、 刺戟を見ることなく よそ見しながら機械的に反応している場合が少なからずみうけられた。 又 自 発的 に反 応 す る こと が 困 難 で、 何 らか の 外的 要 因 によ っ て、 見 た く な い の に見て いる とい う状 況 を つく り だ して い る こと が 予 想さ れ る。 そ の こ と が全 系列 に お い て 精 神薄 弱 児の 反 応数 が 普 通 児に. 比較して多いことに結果したもの と思われる。 それが測定したいと思う照合特性の 動機づけ効果を 覆い隠してしまっ ているとも考えられる。 それ故今後探索活動の指標として、 より直接的な方法を 検討する必要があろう。 本研究の実施に際 し、 本学の吉岡寛先生、 附属特殊学級田村一成、 絵面和子、 藤枝勝雄の諸先生、 函館市立八幡小学 校、 五稜中学 校の諸先生から多大の ご協力をいただいたことを記し、 感謝の意を 表 した い。. Ref erence s. 11 2) 3). iables as Det erminan隈 of Human i -theory Val lf t Ber lyne ,日.: Con鎖ct and n orma on , D 5 7 1 9 3 N 6 L 5 l v P h Q o iosi t Perceptual cur y . syc o , Exp .J i I Figures on or en- lty in Visua ty and Nove luence of Complexi Ber lyne .E.: The lnf , D 5 ‐ 6 5 N 2 8 9 2 9 1 9 5 8 l V L 3 h P Q E c o O s J ing Responses x t y p , . . , . . l ley & Son 5(a)(思考の構 ion in Thinking ture and Direct Ber lyne ruc , Wi , 196 .E.: St , D. 造と方向:明治図書). 4). 5). 3 ience d Exprorat ion i i Ber lyne . VOL, 153 1966 25一3 . Sc , D.E.: Curosty an. 木村健一郎: 精神薄 弱児の認知的活動性について, 北海道教育大学紀要 (第一部C) 第数巻第2号 1974. 6). 97 1 ・ 波多野誼余夫・稲垣佳世子: 発達と教育における内発的動機づけ. 明治図書. 1. 7). ioC I Cur i ty in iment iz, 日,日,: Exper s on Perceptua l l Hoat er z, D,L,Mi , M,B, & Spt 1 6 3 9 3 V L 6 8 N D f i M A t Q ls c O J n e r e me t Menta I Reterda , s and Norma . , . ,. . ions. t int ion f Mot ivat l erpreta Hunt . Some re .: Experience and the Deveopment o .Mcv ,J l i d P t l ta a i l d D s o i Ch e r n (Ed) : Readings n eveopmen n y. 1965 ・ 1960 . ln p .H.Massen. 8). 152一198. 9) 10). 松坂清俊: 精神薄弱児の学習動機に関する研究、1 幼 児 段階における外界 事象への反応傾向、 日本特 3 P228 -229 97 1回大会論文集 1 殊教育学会第1 . t, ld ty in Mi l imulus Nove ty and Complexi iveness to St Morgan, S.M. : Respons , Modarae. ic Per . tes tarda . NQI I969 and Severe Re .VOL. 74 .Def .J .Ment .Ar. 1 1). 田口則良: 精神遅滞児学級の授業場面における動機づけの実態、 国立特殊教育総合研究所紀要第i巻 1974 ,. 42. (本学助手、 講師・函館分校).

(10)

参照

関連したドキュメント

まず, Int.V の低い A-Line が形成される要因について検.

バブル時代に整備された社会インフラの老朽化は、

「文字詞」の定義というわけにはゆかないとこ ろがあるわけである。いま,仮りに上記の如く

 処分の違法を主張したとしても、処分の効力あるいは法効果を争うことに

られてきている力:,その距離としての性質につ

いしかわ医療的 ケア 児支援 センターで たいせつにしていること.

第一五条 か︑と思われる︒ もとづいて適用される場合と異なり︑

これからはしっかりかもうと 思います。かむことは、そこ まで大事じゃないと思って いたけど、毒消し効果があ