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歯科衛生科学生の障害児者に関する意識調査--障害者に関する世論調査との比較

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Academic year: 2021

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(1)

歯科衛生科学生の障害児者に関する意識調査--障害

者に関する世論調査との比較

著者

小澤 晶子

雑誌名

鶴見大学紀要. 第3部, 保育・歯科衛生編

47

ページ

73-77

発行年

2010-03

URL

http://doi.org/10.24791/00000064

Creative Commons : 表示 http://creativecommons.org/licenses/by/3.0/deed.ja

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歯科衛生科学生の障害児者に関する意識調査

−障害者に関する世論調査との比較−

A Questionnaire Survey on People with

Disabilities of Dental Hygine Students

− Comparison of A Public Opinion Poll on

People with Disabilities −

小 澤 晶 子

Akiko OZAWA

(3)

鶴見大学紀要,第47号,第3部,73−77,2010.

−  −73

歯科衛生科学生の障害児者に関する意識調査

−障害者に関する世論調査との比較−

A Questionnaire Survey on People with Disabilities of Dental Hygine Students

− Comparison of A Public Opinion Poll on People with Disabilities −

小澤 晶子

Akiko OZAWA

緒言  日本の障害者施策は、昭和56年の国際障害者年を契機と して、10年間を1つの区切りとし、計画を策定し推進を図 っている。平成21年度は、平成15年度から24年度までを期 間とする「障害者基本計画」の7年目である。平成17年10 月には「障害者自立支援法」が成立し、障害があっても地 域で安心して暮らせる社会を目指している1)。一方、障害 者の現状は、平成21年度障害者白書によると、前回調査時 よりも障害児者数が増加している2)。障害者基本計画の基 本的な考え方である「ノーマライゼーション」、「共生社会」 の実現のために、歯科医療関係者も地域保健の中でこれま で以上の取り組みが必要であると考えられる。そのために は、医療だけでなく、地域保健の中に障害者の口腔の健康 を位置付けて教育していくことが大切であると考えられる3 −6)。歯科衛生士は歯科医師とともに、地域保健の重要な担 い手であり、歯科衛生科学生に対して障害児者教育をどの ように進めていくかが問題である。障害児者教育を検討す るために、歯学部学生に対して、どのような意識を障害児 者に関してもっているかについて把握する調査が実施され ているが、歯科衛生士になることを目的とした学生に対し ての意識調査は近年実施されていなかったため、まず歯科 衛生科へ入学した学生の障害者に対する意識調査を実施し た7−11)  内閣府は、平成19年2月に今後の施策の参考とするため、 全国20歳以上の者3000人に、障害及び障害者に対する意識 を調査した12)。今回は、歯科衛生科入学生の障害児者に対 する意識調査の結果と内閣府で実施した世論調査の結果を 比較し、歯科衛生科学生に対して障害児者教育をどのよう に進めていくかを検討した。 対象ならびに方法  平成19年度歯科衛生科入学生152人(女性)を対象に障 害者に関する意識調査を実施した。対象者の平均年齢は 18.3歳であった。調査時期は平成19年6月に実施した。質問 *〒230−8501 横浜市鶴見区鶴見2−1−3 鶴見大学短期大学部歯科衛生科

Department of Dental Hygiene, Tsurumi University of Junior College, 2−1−3 Tsurumi, Tsurumi-Ku, Yokohama 230− 8501, Japan. 票は、平成19年2月に実施された「障害者に関する世論調査」 を一部改変し、質問項目を追加して作成した12)。質問項目は、 障害者基本計画の基本的な考え方について5項目、障害者 施策について5項目、障害者との触れ合い、体験について 4項目、知識に関すること8項目、現在の心境について2項 目とした。今回は、歯科衛生科入学生の障害児者に対する 意識調査の結果と内閣府で実施した世論調査と比較するた め、前回使用した質問票の項目の中で、世論調査の質問項 目と一致している7項目について検討した。比較に用いた質 問票の項目を表1に示す。世論調査は、全国20歳以上の者 3000人を調査対象としているが、今回は年齢が近い20から 29歳の165人の調査結果と比較した。平成19年度歯科衛生 科入学生と内閣府の調査との比較において、統計分析には Mann-Whitney のU検定、Kruskal-Wallis 検定を用いた。 結果 1.障害者基本計画の基本的な考え方について  図1に「共生社会」という考え方を知っていますか。の質 問に対する結果を示す。  19年度入学生は、知らないと答えた人が最も多く48.0%、 言葉だけ聞いたことがあると答えた人は40.8%、知ってい ると答えた人は最も少なく11.2%であった。内閣府調査は、 知らないと答えた人が最も多く46.7%、言葉だけ聞いたこ とがあると答えた人は26.6%、知っていると答えた人は最 も少なく26.7%であった。19年度入学生と内閣府調査の結 果において、統計学的に有意差はなかった。  図2に「共生社会」の考え方(ノーマライゼーション)に ついての結果を示す。  19年度入学生は、そう思うと答えた人が最も多く82.9%、 どちらともいえない14.5%、そう思わないと答えた人は最 も少なく2.7%であった。内閣府調査は、そう思うと答えた 人が最も多く86.7%、そう思わないと答えた人は8.9%、ど ちらともいえないと答えた人は最も少なく1.2%であった。 19年度入学生と内閣府調査の結果において、統計学的に有

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鶴見大学紀要 第47号 第3部 1 ) 「共生社会」という考え方を知っていますか。 2 ) 「共生社会」の考え方について             国や地方自治体ではノーマライゼーションの考え方に基づいて、  障害のある人もない人も共に生活できるための環境作りを進めています。  あなたはこの「障害のある人が身近で普通に生活しているのが当たり前だ」  という考え方について、どう思いますか。 3 ) 「障害者週間」を知っていますか。 4 ) 「障害者基本法」を知っていますか。 5 ) 国連は平成18年12月「障害者権利条約」採択しましたが、   あなたはこのことを知っていますか。 6 ) あなたの身近に障害のある方がいますか。   またはこれまでにいたことがありますか。 7 ) 障害のある方と話したり、手助けをしたことがありますか。 a 知っている b 言葉だけ聞いたことがある c 知らない a 非常にそう思う b そう思う c どちらともいえない d そう思わない e 全くそう思わない a 知っている b 知っているが月日までは知らない c 知らない a 内容を含めて知っている b 言葉だけ聞いたことがある c 知らない a 内容を含めて知っている b 言葉だけ聞いたことがある c 知らない a 身近にいた b 身近にいたことはない a ある b ない 意差はなかった。  図3に「障害者週間」を知っていますか。の質問に対す る結果を示す。  19年度入学生は、知らないと答えた人が最も多く84.9%、 知っているが月日までは知らないと答えた人は13.2%、知 っていると答えた人は最も少なく2.0%であった。内閣府調 査は、知らないと答えた人が最も多く79.4%、知っている が月日までは知らないと答えた人は18.2%、知っていると 答えた人は最も少なく2.4%であった。19年度入学生と内閣 府調査の結果において、統計学的に有意差はなかった。 2.障害者施策について  図4に「障害者基本法」を知っていますか。の質問に対する結 果を示す。   19年度入学生は、知らないと答えた人が最も多く57.2%、言 葉だけ聞いたことがあると答えた人は36.8%、内容を含めて知 っていると答えた人は最も少なく5.3%であった。内閣府調査は、 知らないと答えた人が最も多く63.0%、言葉だけ聞いたことがあ ると答えた人は24.2%、内容を含めて知っていると答えた人は 最も少なく12.7%であった。19年度入学生と内閣府調査の結果 において、統計学的に有意差はなかった。  図5に国連は平成18年12月「障害者権利条約」採択しましたが、 あなたはこのことを知っていますか。の質問に対する結果を示す。  19年度入学生は、知らないと答えた人が最も多く85.5%、言 葉だけ聞いたことがあると答えた人は13.2%、内容を含めて知 っていると答えた人は最も少なく1.3%であった。内閣府調査は、 知らないと答えた人が最も多く83.6%、言葉だけ聞いたことがあ ると答えた人は14.5%、内容を含めて知っていると答えた人は 最も少なく0.6%であった。19年度入学生と内閣府調査の結果に おいて、統計学的に有意差はなかった。 3.障害者との触れ合い、体験について  図6にあなたの身近に障害のある方がいますか。またはこれま でにいたことがありますか。の質問に対する結果を示す。19年 度入学生は、身近にいたと答えた人は62.0%、身近にいたこと はないと答えた人は38.0%であった。内閣府調査は、身近にい たと答えた人は75.8%、身近にいたことはないと答えた人は24.2 %であった。19年度入学生と内閣府調査の結果において、統計 学的に有意差が認められた (p<0.05)。         図7に障害のある方と話したり、手助けをしたことがあります か。の質問に対する結果を示す。  19年度入学生は、あると答えた人は77.0%、ないと答えた人 は23.0%であった。内閣府調査は、あると答えた人は70.3%、な いと答えた人は29.7%であった。19年度入学生と内閣府調査の 結果において、統計学的に有意差はなかった。 考察  本研究は、歯科衛生科学生に対して障害児者教育をどの ように進めていくかを検討する目的で、歯科衛生科入学生 の障害児者に対する意識調査の結果と内閣府で実施した世 論調査の結果を比較した。質問項目は、障害者基本計画の 基本的な考え方について3項目、障害者施策について2項目、 表 1 質問表

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小澤晶子:歯科衛生科学生の障害児者に関する意識調査 −  −75 図1 「共生社会」という考え方を知っていますか。 19年度入学生 内閣府調査 知っている 言葉だけ聞いたことがある 知らない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図2 「共生社会」の考え方について 19年度入学生 内閣府調査 そう思う そう思わない どちらともいえない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図3 「障害者週間」を知っていますか。 19年度入学生 内閣府調査 知っている 知っているが月日までは知らない 知らない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図4 「障害者基本法」を知っていますか。 19年度入学生 内閣府調査 内容を含めて知っている 言葉だけ聞いたことがある 知らない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図5 国連は平成18年12月「障害者権利条約」を採択しましたが、    あなたはこのことを知っていますか。 19年度入学生 内閣府調査 内容を含めて知っている 言葉だけ聞いたことがある 知らない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 19年度入学生 内閣府調査 身近にいた 身近にいたことはない * *: p < 0.05 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図7 障害のある方と話したり、手助けをしたことがありますか。 19年度入学生 内閣府調査 ある ない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 図6 あなたの身近に障害のある方がいますか。    またはこれまでにいたことがありますか。

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鶴見大学紀要 第47号 第3部 障害者との触れ合い、体験について2項目とした。 1.障害者基本計画の基本的な考え方について  国や地方公共団体は、「共生社会」の考え方に基づいて、 障害のある人もない人も共に生活できるための環境作りを 進め「社会のバリアフリー化」を目指している。また、障 害や障害のある人に関する理解を深めるために、毎年12月 3日から12月9日までの1週間を「障害者週間」として、さま ざまな取り組みをしている。  「共生社会」という考え方を知っていますか。の質問に対 して、歯科衛生科の入学生と一般の20代の人を比較すると 有意差はなく、知らないと答えた人が最も多かった。一般 の社会の中で、共生社会という考え方を広く普及活動して いく必要があると考えられる。また、歯科衛生科の入学生 は考え方を知っていると答えた人が11.2%、一般の20代の 人は26.7%であり、言葉は聞いたことがあるが、考え方ま で知らない人が多く、今後理解を深めるように教育してい く必要がある。  「共生社会」の考え方については、歯科衛生科の入学生 と一般の20代の人を比較すると有意差はなく、そう思うと 答えた人が最も多かった。また、歯科衛生科の入学生は、 そう思わないと答えた人が2.7%、一般の20代の人は8.9% であり、考え方については賛同している学生が多かった。 歯科衛生科の入学生は、どちらともいえないと答えた人が、 14.5%おり、考え方そのものが理解できていないのではな いかと推察される。  「障害者週間」を知っていますか。の質問に対して、歯科 衛生科の入学生と一般の20代の人を比較すると有意差はな く、知らないと答えた人が最も多かった。一般の社会の中で、 共生社会という考え方を広く普及活動していく必要がある と考えられる。  以上のことから、障害者基本計画の基本的な考え方につ いて、歯科衛生科の入学生と一般の20代の人を比較すると 有意差はなかったが、歯科衛生士として地域医療、地域保 健活動を担っていく際には、一般の方へ助言、指導する立 場になるため、今後理解を深めるように教育する必要があ る。 2. 障害者施策について  歯科衛生士は、地域保健の中で公衆衛生活動を行う際に、 現在どのような施策が実施されているかを把握して活動を 行うことが必要とされる。今回は「障害者基本法」「障害者 権利条約」の2項目の周知度について、歯科衛生科の入学 生と一般の20代の人を比較した。  上記の2項目のいずれにおいても、歯科衛生科の入学生 と一般の20代の人を比較すると有意差はなく、知らないと 答えた人が最も多かった。特に、「障害者権利条約」を知ら ないと答えた人は80%以上であった。また、「障害者基本法」 について、歯科衛生科の入学生は、内容を含めて知ってい ると答えた人が5.3%、一般の20代の人は12.7%であり、言 葉は聞いたことがあるが内容まで知らない人が多く、今後 理解を深めるように教育していく必要がある。  以上のことから、障害者施策について、歯科衛生科の入 学生と一般の20代の人を比較すると有意差はなかったが、 歯科衛生士として地域医療、地域保健活動を担っていく際 には、一般の方へ助言、指導する立場になるため、障害者 施策に関しても、今後理解を深めるように教育する必要が ある。 3. 障害者との触れ合い、体験について  歯科衛生科に入学した学生が、以前にどのような体験を したかを把握し、内閣府調査と比較するために以下の2項目 について検討した。  身近に障害のある方がいますか。またはこれまでにい たことがありますか。の質問に対して、歯科衛生科入学 生と一般の20代の人を比較すると、有意差が認められた (p<0.05)。19年度入学生は、身近に障害のある方がいたと 答えた人は62%であり、一般の20代の人より、身近に障害 のある方がいたと答えた人が少なかった。  障害のある方と話したり、手助けをしたことがあります か。の質問に対して、歯科衛生科の入学生と一般の20代の 人を比較すると有意差はなく、歯科衛生科入学生はあると 答えた人は77.0%であった。  以上のことから、歯科衛生科入学生の約8割の学生が入 学以前に障害者との触れ合いを体験していることがわかっ たが、一般の20代の人より身近に障害のある方がいたと答 えた人が少なく、今後は障害者との触れ合いを体験する実 習を計画し、口腔の健康について助言できるようにしてい かなければならない。 結論  歯科衛生科学生に対して障害児者教育をどのように進め ていくかを検討する目的で、歯科衛生科入学生の障害児者 に対する意識調査の結果と内閣府で実施した世論調査の結 果を比較した。  障害者基本計画の基本的な考え方について、歯科衛生科 の入学生と一般の20代の人を比較すると有意差はなかった が、歯科衛生士として地域医療、地域保健活動を担ってい く際には、一般の方へ助言、指導する立場になるため、今 後理解を深めるように教育する必要がある。障害者施策に ついて、歯科衛生科の入学生と一般の20代の人を比較する と有意差はなかったが、歯科衛生士として地域医療、地域 保健活動を担っていく際には、一般の方へ助言、指導する 立場になるため、障害者施策に関しても、今後理解を深め るように教育する必要がある。障害者との触れ合い、体験 については、歯科衛生科入学生の約8割の学生が入学以前 に障害者との触れ合いを体験していることがわかったが、 一般の20代の人より、身近に障害のある方がいたと答えた 人が少なく、今後は、障害者との触れ合いを体験する実習 を計画し、口腔の健康について助言できるようにしていか なければならない。

(7)

小澤晶子:歯科衛生科学生の障害児者に関する意識調査 −  −77 参考文献 1)厚生統計協会:国民衛生の動向(厚生の指標,臨時増刊, 2009),厚生統計協会,東京,2009. 2)内閣府編:障害者白書,平成21年度版,国立印刷局,東京, 2009. 3)後藤田宏也,田中陽子,他:歯科衛生士養成機関における 障害者歯科学の講義の現状.障歯誌,28:34−39, 2007. 4)後藤田宏也,田中陽子,他:歯科衛生士養成機関における 障害者歯科学の実習の現状−修学年限および実習の実施形 態による検討−.障歯誌,29:133−139, 2008. 5)妻鹿純一,後藤田宏也,他:歯学部および歯科衛生士養 成施設における障害者歯科学教育に関する調査.障歯誌, 29:115−125, 2008. 6)堀部晴美,金子憲章,他:養護学校における食事・歯磨き 介助に対する短大学生の意識調査.全国大学歯科衛生士教 育協議会会誌,1:19−25, 2007. 7)後藤田宏也,笹井啓史,他:歯学部学生の障害者に関する 意識調査−総理府との比較−.日歯教誌,20:366−373, 2005. 8)堀雅彦,岡崎好秀,他:歯学部学生に対する小児歯科学観 点からの障害児歯科学教育について−講義前後のアンケー ト調査の比較−.障歯誌,27:120−127, 2006. 9)後藤田宏也,梅澤幸司 , 他:障害者に関する歯科学生の意 識調査−障害者歯科学講義の受講前後の比較−.障歯誌, 27:28−35, 2006. 10)東納恵子,香月真理子,他:歯科衛生士養成所における障 害者歯科学教育の現況調査.日歯教誌,12:96−101, 1996. 11)小澤晶子:歯科衛生科学生に対する障害児者教育につい て−入学時の障害者に関する意識調査−.鶴見大学紀要, 46:1−8, 2009. 12)総理府広報室:「障害者に関する世論調査」報告,2007.

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