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学習支援センター活動報告

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Academic year: 2021

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1.設立の経緯と目的 本学学習支援センターは,様々なキャリアをもつ 5 名 の講師陣を擁して 2006 年 4 月に設立された。一般の非 常勤講師と区別し特別講師という。著者のうち水町を除 く 5 名がそれである。以下では単に講師と呼ぶ。講師は 各学期の開講期間中週 2 日または 3 日それぞれに決まっ た曜日に出校し,9 時から 17 時まで在校することが契約 上の責務である。数学に関する準指名制個別補習(「数 理基礎」と呼ぶ)の指導を行なうこと,基礎的な数学科 目の授業を担当すること,及びセンターを訪れる学生の 様々な質問に答えることが具体的な業務内容である。 その 2006 年度,本学では機械デザイン工学科を除く 5 学科が新規のカリキュラムに移行した(同学科は翌年度 移行)。以前のカリキュラムでは微分積分学 1,同演習が 多くの学科で必修であり,線形代数 1 も一般には選択で あるが各学科単位で開講されていた。また,高校中級程 度までの数学の補習を行なう科目として数学基礎演習を 設け,週 2 回の授業を行ない,新入生の 78 割が履修し ていた[1]。 新規カリキュラムは,全体構成の大きな変化を伴って いるが,ここでは数学・自然科学の分野に関してのみ言 及する。この分野は以下の考え方で構成された。 ①各学科専門科目で必要になる数学・自然科学の知識 は,それぞれの学科専門科目として教える。通常「必 要な時に必要な知識を」与えることとする。 ②共通教養科目(群)として,数学・自然科学分野を設 け,基礎的・基本的な学力の養成及びこれらの分野の 系統的な教育に宛てる。これらはすべて選択科目とす る。 ③数学の基礎科目として基礎数学 1同 4 及び微分積分 入門を設ける。これらは高校程度の内容とする。 ④実情から中学程度の数学の補習が必要であり,個別ま たは少人数での補習教育で対応する。この補習を数理 基礎と呼び,無単位・非強制の制度とする。 以上,特に①,②に関しては,様々な意見・異論が あった。が,当時既に相当数の新入生の学力と教育内容 の間に決定的ともいえる齟齬があったこと[1],数学・自 然科学等の担当組織1が間もなく廃止されると予定され

学習支援センター活動報告

水 町 龍 一 * ・井 上 秀 一 ** ・北 川 和 麿 ** ・鈴 木 雅 之 **

山 内 憲 一 ** ・湯浅図南雄 **

Activities of Learning Support Center

Ryuichi MIZUMACHI,* Shuichi INOUE,** Kazumaro KITAGAWA,** Masayuki SUZUKI,** Kenichi YAMAUCHI** and Tonao YUASA**

The Learning Support Center (L.S.C.) in our courage was established in April 2006. The authors, the chief and 5 lec-turers of L.S.C., have supported students since then in learning basic mathematics. To this end we have special classes consisting of only a few (1 to 5) students. We support about 15% to 20% of freshmen of our courage every year. The ef-fects of our support can be confirmed by the result of the tests executed in April and July. Several improvements for our activities are also proposed.

Vol. 42, No. 1, 2008 * 情報工学科准教授・学習支援センター長 ** 学習支援センター特別講師 平成 19 年 11 月 12 日受付 1 工学基礎担当者会議。1997 年に教養課程の廃止に 伴い,理数系教員が移籍して設立された。その全 員がそれぞれ学科にも所属することになり,2 重の 所属となった。なお文系教員は総合文化センター 所属となった。

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たことから,新しいカリキュラムの編成原理の一部とし てこれらを選択することになったものである。 本学学習支援センターは,④で述べた補習を実施する ことを目的として設立され,諸大学の類似組織を参考と してその他の業務も兼ねることとされたのである。 なお,水町は学習支援センター長として様々な業務を 行なうことを 2006 年 3 月に松本信雄工学部長(当時) より依頼され,学内教務委員会と工学基礎教育委員会2 で報告・了承された。以来,教務部長との連絡協議のも とでその任に当たっている。学習支援センターの活動に ついては特別講師全員が参加して定期的に会議を行なっ ており,教務部長・教務関連ワーキンググループ担当者3 も参加する。 本論文は次のように構成される。 1.設立の経緯と目的 2.数理基礎の指導 3.その他の活動 4.実際の指導から 5.「日本一の学習支援センター」を目指して 6.結び 以下では,各種の客観データを紹介しつつ,実践者と しての立場からのやや主観的な論述も行なう。その際主 語を「私達」とすることがあるが,これは主に講師達を 指しつつ,時に著者全員を指す。 2.数理基礎の指導 本センターの活動の中核は数理基礎,即ち義務教育の 水準からの数学の補習指導を行なうことである。指導は 個別または少人数の集団に対して行う。前期はプレース メントテスト(入学直後に実施,100 点満点。数学基礎 テストと呼ぶ)の成績によって,後期は諸状況を考慮し て,それぞれ受講対象者リストを作成し受講申し込みを 受け付ける。前期のリストは,特に受講を推奨する学生 (数学基礎テスト得点 25 点以下:この集団を本論文では 1群と呼ぶ)と一般の受講対象学生(同得点 2639 点: 2群と呼ぶ)とに分かれる。なお,得点 40 点以上の集団 を 3 群と呼ぶ。後期は諸状況を考慮して指名する。以下 まず前期の受講について詳述し,最後に後期の受講につ いて簡単に述べる。 2.1 数学基礎テスト 数学基礎テストの問題は 20 題,多忙な時期に行う為 試験時間は 30 分としている。やや短すぎるとの意見も 多いが,同一問題で十分時間をかけ再試験を数十名対象 に行なった結果,基礎学力の判定資料としてはこれで十 分と判断している。問題の作成は常勤教員が行い,2006 年度と 2007 年度は同一問題とした。出題内容は小・中 学校程度から高校初級程度の基本的なものであるが,単 純な知識・スキルをみる問題だけではなく,ある程度の 思考力の有無も判断する問題を含んでいる。全問記述式 で,グラフを描く問題 2 題,簡単な証明問題 1 題を含む が,学生の実情から正解基準は相当に易しくしてある。 図 1 に,15 点刻みの得点分布を示す。受験者総数は表 1,2 参照。両年とも存在する若干の不受験者は,前期不 登校の学生と思われる。 問題ごとに見ると,単純な整数・分数の計算問題,1 次方程式や連立方程式を解く問題の正答率は比較的よい が,複数の知識・スキルを組み合わせて解答することが 求められる問題では非常に正答率が低い。これらに関す るより詳細な分析は別途準備中である。 採点は数日かけて講師全員で行うが,学生全体の学力 をリアルに把握する好い機会になっている。単に判定の 為のテストならばマークシート方式でも良いが,テスト は学習目標の提示でもあり,繰り返し挑戦するに足る問 題が好ましい。数学が嫌いで,数学の授業は極力避けた 2 実情に応じた教育内容。私達は,義務教育の水準か ら繰り返し指導を行い,半期の目標もあまり無理な く設定している。この内容が学生にマッチしている からこその成果である。実情に応じた教育内容が何 かは大学により様々であろうが,その内容をデータ と経験に基づき適切に設定することは担当組織の大 きな責任であろう。 3 数学・自然科学担当ワーキンググループ。基礎数学 他の数学系科目,基礎物理などの自然科学科目の運 営に当たる。本学には,これらに関する教育組織は 存在しないため,ワーキンググループが運営を担当 する。 図 1

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いと思っている学生にはこのテスト自体が学習の貴重な 機会であることからも,問題の形式や質に配慮する必要 があろう。学生には採点後各学科の CC4 を通じて速やか に返却し,見直し・解き直しを期待している。多くの学 生が期待される行動を取っているという見方は楽観に過 ぎようが,私達の姿勢を学生に伝える機会としたいと念 じている。 2.2 前期受講の状況 2006年度前期と 2007 年度前期の受講対象者人数・受 講申込数,出席回数等を表 1 及び表 2 に示す5。表の第 2行「1 群」が受講推奨者,「2 群」が通常の受講対象 者,「3 群」は本来対象外だが本人の強い希望によって受 講を認める場合もある。なお 2006 年度の機械デザイン工 学科学生は受講対象外で,データから除いた。表の「0」, 「12」等の列は受講回数 0 回,12 回等の学生数を表 す。「延べ」は延べ受講者数である。 学生に対する実際の受講推奨は,各学科教員が CC で 行う。担当教員には熱心に履修・受講指導を行っていた だいており,多数の受講希望がある。他に CC での希望 提出とは別に直接センターに来て自分で申し込む学生も おり,学期半ばに初めて来て受講を申し込む学生もいる。 表の「申込数」はこれらの合計である。 多数の申し込みがあるが,いくつか問題が派生してい る。 ①受講時間の希望を第 1第 3 希望まで取っているが, 特定の時間に第 1 希望が集中してしまう。 ②受講を希望したが,実際には一度も受講しない学生が いる。第 1 希望の時間が取れなかった為に断念する者 もいるが,第 1 希望に割り当てられたにもかかわらず, 一度もセンターに来ない学生もいる。 ③受講開始後に受講時間の変更を希望する学生が,明確 な集計記録はないが,相当数いる。 現在の学習支援センターには事務処理の窓口がないの で,受講時間の調整は講師とセンター長で行っているが 負担は大きい。また,希望を出したが一度も来ない学生 によって,受講の意思を実際に持つ学生が希望通りの時 間に受講できないという事態も生じている。2007 年度後 期は試験的に CC では受講推奨者名簿の伝達のみとし, 受講希望の提出はセンターで直接行なうこととした。希 望提出者の数は減少したが,後述のように実質受講者は 同一水準である。これらに関してはなお相当な工夫が求 められよう。根本解決には,本当にいつでも希望する時 間に受講できるよう,スタッフの増強が必要である。 1群では 85%90% 程度の学生が受講を申し込むが, 実際に 1 度でも出席するのは 2/33/4 程度であることが 分かる。2 群では 2006 年度に比べ 2007 年度は申込数も 出席者数もかなり増えた。出席 0 回が多く,しかも増加 傾向にある。CC 教員の指導で申込をしたが,強制でな く単位もつかないことを知って,止めてしまった学生が いることによると思われる。12 回の受講で止める学生 は申込数の 1 割強である。2006 年度は 1 度でも出席した 学生の半数以上が 8 回以上受講し,ほぼ最後まで出席し たと見られる。2007 年度は左の脚注にも述べたように事 情がやや異なり,出席不良とはいえない。なお 2007 年 度の第 5 行「他」は,特例として 2 年生 1 名の受講を認 めたことによる。 5月の連休明け以降の各週の合計出席者数の推移を, 図 2 に示す。期末に向けてやや漸減しているが,強制が なく,単位もつかず,しかも実質 90 分の指導をこれだ 4 コミュニケーション・サークル制度。学科専任教員 が新入生数名10 名程度を担当し,履修指導,食事 会,学内見学,友達作りの諸活動,専門を垣間見る 企画など,様々な活動を行って親身な教育を行ない 新入生が安心して大学になじめるよう支援している。 52007 年度は授業開始が 2006 年度より 1 週間遅く,受 講はほぼ連休明け以降になった。両年とも 7 月半ば には一応終了したので,07 年度はほぼ 1 回分短縮さ れたことになる。また,07 年度の連休前の出席デー タには一部未集約のものがある。これらの要因で 07 年度のべ出席数が少なくなっている。 表 1 2006年度前期数理基礎受講状況 人数 申込数 0 12 37 8 延べ 1 121 106 25 13 25 43 578 2 124 16 1 3 3 9 104 3 377 4 0 3 0 1 16 合計 622 126 26 19 28 53 698 表 2 2007年度前期数理基礎受講状況 人数 申込数 0 12 37 8 延べ 1 107 97 35 15 24 23 354 2 121 80 27 9 23 21 317 3 334 1 0 0 1 0 6 1 0 0 0 1 9 合計 562 179 62 24 48 45 686

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けの人数が受講し続けていることは,十分評価に値する であろう。連休明けには出席状況を学科に連絡し,申し 込んだ学生で受講していない者には,出席を催促する。 2006年度は欠席者に対し電話連絡を行なったケースがあ るが,2007 年度は電話での働きかけは行なわなかった。 2.3 指導の概要 受講スタイルは,週 1 回 90 分の少人数指導である。 2006年度前期は最大 7 名,同年度後期以降は最大 5 名を 1人の講師が 1 授業時間に担当する。通常の授業担当や 一般の質問に対する待機の時間を除くと,出勤日 1 日当 たり 2 授業時間が数理基礎の指導時間になる。現状では センター全体で週当たり 26 授業時間になる。2007 年度 前期には 179 名の受講希望があったので,常勤教員数名 に協力を依頼した。しかし常勤教員の場合,授業・研 究・卒研指導・ CC 指導・その他各種委員会やワーキン ググループ活動などでほとんどゆとりがないのが実情で あり,相当な犠牲を払っての協力にならざるを得なかっ た。 学生の受講態度は非常に良好で,大きな遅刻はほとん どなく,時間一杯真剣に受講している。 教材は,2006 年度前期は市販の中学生対象の参考書を 利用した。同年度後期からは,入学前学習用に作成され たプリントを標準では使用しているが,必ずしもこれに 拘らず,各講師が独自に受講者に合わせて作成した教材 を使うこともある。基礎数学 1 等の担当授業の科目で使 用する教科書やプリントを流用する場合もある。また, 数学基礎テストそのものを題材として,解き方・考え方 を指導し,関連の題材や発展的な話題をとりあげる場合 もある。 毎時間の指導後,カルテを作成している。これには, 使用した教材,理解度,問題点,次回の方針などを記入 している。学習履歴,進歩や困難の状況が分かるように しようという目的である。また,センターとして経験を 蓄積し,長期的な指導の改善に役立てるためである。カ ルテの形式等は改善の途上にある。各期終了後,集積さ れたカルテ,使用教材,テストや演習の結果などをファ イルにまとめようとしており,その形式を検討中である。 2.4 成果 両年度とも前期末の 7 月には,学力の向上度を見るた め,4 月の数学基礎テストとほぼ同様の問題でテストを 行なった。2006 年度は 1 年生全員を対象として行い, 549名が受験した。2007 年度は数理基礎受講者のみを対 象に通常の各指導時間にテストを行ない 56 名が受験し た。基礎数学 1 の各クラスの最終授業でも同一の試験を 行い,計 200 名以上が受験したが,本論文ではそのデー タは扱わない。 表 3,4 に,両年度の 7 月受験者に関して,4 月と 7 月 のテスト結果を,4 月の成績と数理基礎受講回数で分類 して示す。2006 年度 3 群は受講回数 12 回の学生 3 名, 8回以上の学生 1 名を含むが,ここでは合計のみ表示す る。 表 3,4 の観察から推測できる諸事項を検討する。 ①両年度 1,2 群とも,8 回以上の受講で明白な得点の上 昇が見られる。ただし,1,2 群間の得点差は残存して いる。そこで 1 群と 2 群それぞれにつき,受講回数に よって 7 月の成績に差があると言えるか,F 検定に よって分散分析を行なった([3]参照)。1 群については グループ間自由度 3,グループ内自由度 100 であり, 表 3 から F 値を求めると 9.29 であった。これは自由度 3,100 に対する有意水準 0.01 での F 値 3.98 より大き く,1 群での受講回数による 7 月成績の変化は明白で ある。2 群では表 3 より求めた F 値 4.98 で,これは自 由度 3,104 に対する F 値 3.975 より大きく,やはり受 講回数による 7 月成績差が確認できる。 ② 2006 年度の実質不受講者全体について平均・標準偏 差を求め(表 5 参照),7 月成績が正規分布であるとの 仮定のもとで,4 月平均が 7 月平均より小さいといえ るか有意水準 1% で検定した。平均の差/標本標準偏 差3.05/(20.14/21.35)3.23 で,有意水準 1% の右側棄 却域の限界値 2.33 より大きく,4 月と 7 月で有意の差 がないとの仮説は棄却される。従って,不受講の場合 でも,7 月の成績は 4 月より良いといえる。ただしそ の原因が,ほぼ同一問題 2 回目の試験だからなのか, 図 2 連休明け以降の週間受講者数

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現実に学力が上昇しているのかは判断できない。 ③ 2006 年度の 1,2 群 7 回以下の受講者は不受講者と比 べて成績上昇に大きな差があるとは見られないが, 2007年度では,37 回の受講でも受講 8 回以上と遜色 なく上昇している。2007 年度のテストの実施方法か ら,7 月受験者は最後まで受講した学生のみであった ことが,この違いを導いたと考えられる。これに加え, そもそも実施回数がやや少なかったこと,2006 年度は 電話で出席を促した学生の大半が 37 回の受講で終わ り成績もほとんど上昇しなかったことも,上記結果の 一因と思われる。 ④受講した学生達の 7 月得点平均は,3 群に含まれる学 生の 4 月得点下限 40 点を上回る。3 群の学生には受講 を原則として認めていないので,一種の不公平が生じ ている。 以上,特に①,②,③の観察を可視化するため,2006 年度は受講回数のみによって分類したグループについて, また 2007 年度は 7 月の全受験者について,4 月と 7 月の 平均点を比較し,図 3 に示す。 伸びが大きいグループ 2 つは,両年度それぞれ最後ま で受講した学生の集団である。学生にとって指導が自分 に見合ったもので,受講の効果が実感される場合に最後 まで受講し,成績も上昇することを裏付けているよう思 われる。 次に,①でも触れた 1,2 群間成績差の存続を別の角 度から検証するため,同程度回数の受講者を各群からま とめ,4 月と 7 月の成績の相関を調べた。結果を表 5,6 に示す。 これらの表から,不受講者についてはかなり強い相関 の存在が確認できる。数理基礎を受講しない学生では, これらのテストで確認できる範囲での学力変動は少ない といえる。これに対し,実際に受講したグループでは, 受講回数に関わらず相関が弱まっており,受講による学 力の変動があったことが推察できる。しかし相関係数が 0.5程度であることや,他にも表 3,4 のデータから見て, 1,2 群間の学力差の存続は否めない。前期のみの受講を 以って補習完了とすることにはやや問題があることが, このことから窺われる。 最後に,2006 年度 7 月の受験率は 88.1% である。試験 は全 1 年生の必修科目で出席が義務付けられている修学 基礎 A の時間に予告なしに行なった。数理基礎の指導効 果との直接の関係は不明だが,7 月受験者・不受験者が 4月テストの成績で見て偏りのある集団であるかどうか, 表 3 2006年度 7 月テスト受験者の 4 月・ 7 月得点 比較 受講 人数 4月テスト 7月テスト 回数 平均 標準偏差 平均 標準偏差 1 0 28 17.82 6.02 23.50 11.26 12 10 15.70 7.31 30.00 15.59 37 24 18.79 7.16 28.79 18.32 8 42 17.76 6.49 46.62 23.80 合計 104 17.82 6.66 34.68 21.56 2 0 94 32.64 3.50 38.31 15.34 12 2 31.00 4.00 49.00 1.00 37 3 34.67 3.68 26.33 10.66 8 9 32.89 3.28 56.56 13.16 合計 108 32.69 3.52 39.69 15.95 3 合計 337 58.21 13.13 60.35 17.02 全体 549 45.54 19.87 51.42 21.09 表 4 2007年度 7 月テスト受験者の 4 月・ 7 月得点 比較 受講 人数 4月テスト 7月テスト 回数 平均 標準偏差 平均 標準偏差 1 37 10 18.50 5.16 49.4 17.29 8 20 17.20 5.58 47.15 21.65 合計 30 17.63 5.48 47.90 20.33 2 37 7 36.57 2.26 59.29 11.94 8 18 32.78 4.33 61.83 16.33 合計 25 33.84 4.22 61.12 15.27 3 46 1 40.00 80.00 全体 56 25.27 9.59 54.38 19.49 図 3 4月と 7 月のテスト結果の比較

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各群について調べた結果を表 7 に示す。 この表から,各群の 7 月受験者全体の中で不受験者は 4月テスト平均に有意の差があるかどうか調べた。いず れの群でも,水準 5% で両側棄却域をとる場合には,有 意の差は検出されなかった。ただし 3 群では微妙で,片 側棄却域の場合には有意の差が無いとはいえない。不受 験は出席が義務付けられた必修科目への不出席を意味 し,その原因が注目される。前述の④との関連も考慮の 必要があろう。しかし,これ以上の分析には他の諸デー タが必要になり,ここでは行わない。 2.5 指導時の心がけ 指導に際して心がけていることをまとめる。 ①学生と良好なコミュニケーションをとれるように努め, 学生の自信と意欲を育てていくことを最重要視してい る。 ②受講者が,分かること・出来るようになることの喜び を明確に持てるよう,その場での評価・励ましを大事 にしている。(いわゆる誉める指導だが,根拠の曖昧 な誉め方は行っていない。) ③少し頑張ればできる,という適度な試練を与える。こ れは個々の学生によって異なるため,受講人数にどう しても強い制約条件がでてくる。 ④説明はとにかく分かりやすく行なう。 ⑤教え込むのではなく,自分で課題に取り組ませながら, 適切なアシスト・サポートを行なう。指導後の学習内 容の整理,理解度,定着度の分析に努める。 現実の指導方法は様々で,各講師が個性・経験を生か して工夫している。教材把握力も大事であるが,学生と の信頼関係の構築など人間的な掌握力が非常に大きなポ イントになっていると思われる。経験の交流,学生に関 する様々な知識情報の共有,指導スキルの向上には,講 師全員相当な努力研鑽を行なっている。部内資料として 講師別の出席率・成績向上度なども作成・直視し,効果 ある指導への努力を惜しんでいない。 2.6 検討事項 指導の改善の為に検討が求められる事項を列挙する。 ①中途で受講しなくなる学生を減らす。容易には実現で きないであろうが,大きな目標である。 ②現実の指導や使用教材指導に適合した学生のみ受講を 続けているのかもしれない。個別指導で 5 人を相手と することには困難が多い。学力・個性のバラツキに対 応するには,23 人が限界である。 ③週 1 回の指導でよいのかの検討。自宅学習を期待でき ない場合,週 23 回の指導が有効と思われる。 ④半年単位の指導でよいのかの検討。 ⑤不受講の学生を放置してよいのか。反面,必修化など で対象者全員が受講した場合には対応不能になる。 ⑥点数・成績をあまり意識しない,各人の成長を専ら意 識した指導を行うこと。でも実際にはどのようにすれ ばよいのか,マニュアルがあるわけではない。 2.7 後期の指導 2006年度後期には推奨対象者として以下の学生をリス トアップし,前期同様,CC で受講申し込みを行なった。 表 5 2006年度受講回数別 4 月・ 7 月の成績相関 受講 人数 4月テスト 7月テスト 相関 回数 平均 標準偏差 平均 標準偏差 関数 0 456 50.53 17.57 53.58 20.14 0.75 12 14 23.14 14.59 34.43 15.08 0.50 37 27 20.52 8.48 28.52 17.65 0.51 8 52 20.81 8.70 48.98 22.81 0.50 全体 549 46.03 23.73 51.42 21.09 0.69 表 6 2007年度受講回数別 4 月・ 7 月の成績相関 受講 人数 4月テスト 7月テスト 相関 回数 平均 標準偏差 平均 標準偏差 関数 37 18 26.72 10.09 54.94 16.76 0.52 8 38 24.58 9.26 54.11 20.66 0.47 全体 56 25.27 9.59 54.38 19.49 0.48 表 7 2006年度 7 月受験/不受験と 4 月成績の関連 分類 人数 4月平均 標準偏差 1 7月受験 104 17.82 6.66 同不受験 17 20.06 5.01 合計 121 18.13 6.50 2 7月受験 108 32.69 3.52 同不受験 16 33.19 2.43 合計 124 32.75 3.41 3 7月受験 337 58.21 13.21 同不受験 40 54.23 11.83 合計 377 57.79 13.13 全体 7月受験 549 45.54 19.87 同不受験 73 41.66 17.17 合計 622 45.08 19.61

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①前期推奨者中の不受講者で,7 月テストの成績が十分 でない者 ②前期受講したが顕著な成果が見られなかった者。 ③前期受講したが,もう一歩の学習で大きな向上が見込 める者。 2007年度も同様なリストを作成し前述の方法で受講申 し込みを受け付けた。表 8 に両年の後期受講者数を記 す。 2006年度後期に受講した学生は,前期と比べてもかな り深刻な学力不足の学生が多かった。ほぼ全員がまじめ に通い,平均出席回数は 9 回を上回る。進度は必ずしも 速くなかったが,指導時間内にはよく努力した。後期末 には個別にテストを行い,ほぼ全員が着実な進歩を遂げ ていることを確認できた。 3.その他の活動 3.1 一般の質問と対応 数理基礎の個別指導以外に,様々な質問を持って学生 が支援センターを訪れる。訪問数を表 9 に示す。他大学 の同様なデータと比して決して多い数ではないが,セン ターの存在が学生間に浸透するにつれ,着実に数を伸ば している。 一方,前述の様に一般の質問等に対応できるのは,特 に前期は常時 1 名の講師でしかない。対応中に別の学生 が訪れた場合には対応不能となる。対応してもらえな かった学生は不信感を持ち,二度と訪問しない可能性も あり,この面でもスタッフの増強が求められている。 質問項目としては,専門科目の授業に関する質問が多 い。特に,三角関数やベクトルなどを高校で未履修の場 合に「よく分からない」という質問が多い。特定科目に 偏る場合もあり,授業自体の改善も必要であろうし,基 礎的な専門科目とセンターの指導との連携も今後の課題 とされるであろう。また,数は少ないが,学生によって は教職関連の数学など比較的高度な質問を持ってくる場 合があり,こういうケースは講師側にも大きな励みを与え ている。 3.2 基礎数学 1 等の授業担当 講師は,毎来校日に 1 授業時間,通常の科目を担当す る。特に基礎数学 1 は数理基礎終了程度の学力を前提と した科目で,数学科目全体の基礎として設定されており, 講師全員が各期に 1 つクラスを担当している。他の数学 基礎科目についても担当の主力となっている。すべて自 由選択の科目であるが,図 4 に見られるとおり 2007 年度 には基礎数学 1 受講者が急増するなど,極めて順調に推 移している。なお,07 年度後期の「1 年生の基礎数学 1 受講者数」は未集計である。 2007年度の受講者増の原因は様々考えられるが,新入  生ガイダンスに講師たちが参加して基礎的な数学の学 習の必要性を訴え,「私達がこんな風に授業しています」 と説明したことは大きな要因であろう。なお,基礎数学 1については,センターの活動としてテキスト・授業内 容の大綱を定めている。テストは共通問題と各クラスの 独自問題を半々とし,合格基準のすり合わせも行なって いる。 数理基礎とも連携させてこれらの授業を行なうことは 様々なメリットがある。数理基礎指導上で直接の上位科 目とのつながりを意識できること,逆に授業では学生の 学習上の困難をよく理解できること。授業で見かける, このままでは単位取得が困難そうな学生に声をかけて数 理基礎の受講を誘う事ができるのもメリットの 1 つであ る。 3.3 メンタルケアを含む数学の指導 講師間の話題の 1 つに,数理基礎の受講を推奨される 表 8 後期受講者数 年度 申込 受講 3回以上 延べ 2006 34 26 25 236 2007 25 25 表 9 一般の質問での来訪学生数 年・期 2006前期 2006後期 2007前期 来訪学生数 60 82 132 図 4 数学基礎科目受講者数の推移

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学生に時折見られる気質上の問題—周囲になじめない, まじめだがやや風変わりに見える等—がある。2007 年度 前期には大学カウンセラーからの依頼で,通常の授業に は出席できない状態の学生に対する数学の指導も行った。 ケース・バイ・ケースであるが,単に通常の学習指導 を行うのではすまない学生が漸増しているよう見受けら れる。彼らに対する対応は非常に神経を使い,他の学生 と一緒には出来ない場合もある。担当講師の負担となる のは自明であるが,センター全体としてもかなりの負担 を強いられることになる。 この問題に関しては,関連学科・担当教員・関連部局 の間での情報と意思の疎通を密にしていくことがまず大 事であるが,学習支援センターとしては本来その責務・ 能力を超えたところにある問題であろう。眼前の問題と して生起しているものを無視出来ないので対応している が,早期の抜本的対策が望まれる。 3.4 入学前教育への参加・協力 本学では推薦・ AO 入試での入学が内定した志願者に 数学と国語の入学前教育を行なっているが,学習支援セ ンターでは数学分野の入学前教育実施に協力している。 教育内容は義務教育から高校 1,2 年程度まで数学の復 習で,12 月はじめに問題冊子 7 冊を配布し各自の力量に 応じた 5 冊を選択して解答し提出することを求めている。 問題冊子はいずれも数式の計算・方程式・図形問題・関 数のグラフなどの問題を総合的に含み,難易度や抽象度 の順に冊子 A から冊子 G までとしてある(詳しくは文 献[2])。1 冊あたり 5060 題の問題がある。2007 年度入 学予定者では対象 407 名中 401 名が 1 冊以上提出し,全 体で 1908 冊の提出があり非常に良好な提出状態であっ た。この提出物の一部(約 350 冊 3500 ページ分)につい て講師達が丁寧な点検と解答の添削を行なった。このよ うに手を抜かない対応を行なうからこそ,入学予定者達 も頑張って学習に励むと考えられる。3 月のスクーリン グで提出物の講評と 4 月以降の学習の勧めも講師達が 行った。これも 2007 年度の数理基礎受講希望者や基礎 数学履修者の増加の要因の 1 つであろう。このように大 きな成果をあげているのだが,実はここには大きな問題 もあるので,指摘しておく。 ①2 月・ 3 月は特別講師としての契約期間外であり,身 分を失っている。 ②学習の遅れた学生に対する数理基礎の指導は,精神的 に非常に大きな負担がかかり,年間を通して休みなく 指導や添削業務に従事するのは難しい。 4.実際の指導から 5名の特別講師は,中学・高校・高専・大学工学部・ 教育学部など,様々な教育機関で様々な教育経験を持っ ている。企業研究者としての経歴が長い者もいる。教育 に関する考え方や指導方法も多様である。センターでは 常に学生の状況について率直に話し合うなど経験の交流 を行なっており,認識上の大きな違いはないが,様々な 意見はある。以下は,各講師がそれぞれの観点から,1 年半の経験と意見をまとめたものである。 学習支援センターの現状 井上 秀一 本学学習支援センターは数学の基礎学力不足に悩む学 生を支援することを目的として発足した。指導方法につ ては時間をかけて丁寧に指導することを心がけているの が現状であるが,着実に成果を出していると思う。 一方で,当初予想されていなかったような学生への対 応が必要とされるようになっている。センターを訪れる 学生達や授業で出会う様々な学生の様子を見て講師一同 が判断するところでは,学力不足に加えて心に悩みを持 つ学生,広汎性発達障害の疑いのある学生等が昨年に比 べ確実に増加傾向にあるようだ。 本来学習支援センターで対応すべき学生なのかどうか, 異論はあるが,現実問題としてそのような学生の支援も 行っている。 これに対しては,専門的な知識・経験を持つ教員を配 置し,きめ細かな対応をする必要がある。対応には多大 な負担を強いられることはご承知の通りである。大学全 入時代を迎え,多くの大学で同様の状況が存在している ことを考えると,現実的な対策を早急に行うことが不可 欠である。 先ずは客観性の高い実態調査を行い,現状をできるだ け詳細に把握する必要がある。 学習支援センターにおける数学基礎学習の支援 北川 和麿 1.はじめに 湘南工科大学において数学基礎の学習支援体制を充実 させる目的で学習支援センターが 2006 年 4 月に設立さ れ,公募によって特別講師 5 名のスタッフでスタートし た。その一人として週 2 日出校して,1 日 1 コマ(90 分) の基礎数学の講義を担当し,残りの空き時間で受講を推

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奨された学生に対して,正規のカリキュラム以外に設け られた数理基礎の学習支援を担当している。 以下,センターを訪れる学生との対応で特に心掛けて きた点について述べる。 2.学習環境について センターを訪問する学生は,自身の数学の学力向上を 目的としているので,その思いを持続維持しながら学習 に取り組めるように精神的および環境的なバックアップ 体制が必要となる。精神面では,先ず学生と信頼関係を 築くよう常に心掛け,次回につながる対応を旨とする。 環境面では,学習支援室はガラス窓越しに在室中の講師 を通路から確認でき,安心して入室できるようになって いる。また,より静かな個人対応の指導が好まれる場合 は,机を自由に配置できるだけのスペースが確保された 専用の学習室が整備されているため,学生の多様なニー ズにも応えられる。 3.指導での心掛け (1)学生とのコミュニケーションを円滑に行うため, “これは解っているもの,知っていて当然”との先入観 を取り払う。 (2)出来ないのは,やってこなかった結果であるのが 大半なので,支援を受けることで,「できる」体験回数 を積み重ね,数学が好きになるように対応する。 (3)高度で複雑な計算は,先ず身近で簡単な例で試行 し,それを応用するよう習慣づける。(例えば,10n は何 桁かは,102100 で 3(21)桁,1031000 は 4(31)桁よ り,桁数は指数1 すなわち n1 とするなど)。 (4)学習する内容が,日常あるいは実務でどう利用さ れるかの有用性(目的)も説明し,数学が身近に感じら れるよう工夫をする。 (5)数学で使う記号・用語・定義の意味を丁寧に説明 する。数学は先人が作り積み重ねた結果であるから,数 学の約束ごとをまず理解し,それを的確に利用・応用し ていく姿勢を育成する。 4.まとめ 学習支援センターで特別講師として担当した数理基礎 の受講生の中には,途中で受講を中断する学生もいたが, 継続した学生で見ると数学の学力レベルはゆっくりでは あるが着実に向上している。今後とも学生 1 人ひとりの 個性にあった支援方法を研究しながら,数学の学力向上 に取り組んでいきたい。 特に数学が不得意な学生への指導と学習支援 鈴木 雅之 学生の指導に当たって,まず必要なのは全体的で詳細 な学生の学力実態の把握であろう。2006 年 4 月,着任後 すぐに行なわれた数学基礎テストを採点して,特に得点 が低い学生の特徴を私達は以下のように捉えた。 ①実数の四則演算の組み合わせが苦手(小数・分数・負 の数・多項演算・カッコ・移項) ②文字式の演算ルールを身につけていない ③関数のグラフが描けない。座標平面,図形,式の相互 の関係を把握できていない。 ④文章を読んで立式することができない。 ⑤割合(%,濃度,単位など)全般が概念・基礎知識レ ベルで理解されていない。 ⑥図形全般と証明問題がとても苦手。 これを見て,私達の差し当たっての目標は「2 次式の 平方完成ができ,放物線の頂点を求めてグラフが描ける こと,2 次不等式が解けるようになること」かと話し合っ た。ところが,特に未習熟度の高い学生については「こ れは過大な目標であった」,というのがこの 1 年半の実 践を踏まえた今の結論である。 数理基礎の指導で作成したカルテから,学習上の困難 の実情を具体的に述べてみよう。 ①負の数に関係した数の計算ルールの未定着。例えば 6(5)4(2)30822 8(3)12(3)2412/(3)36312 の様な(表記を含む)間違いを繰り返す学生がいる。 ②通分,移項などの等式の変形が,特に文字が登場する 場合に未定着である。これらは非常に様々な場面で使 われるので,学習上の大きな障害になる。具体的には abcd⇔acdb の様な式変形を指す。すべてが文字でなくとも,一部 に文字が登場するだけで,できなくなる学生もいる。 方程式 が解けない 2x5⇔x3 とする 2 1 5 x b a d c bc ad ac    b a d c d bc a  ⇔ 

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等である。 ③式を左から順に計算すること以外に考えが及ばない。 の様な計算を行なう学生が文字式では a(bc)d⇔abacd⇒abdac とする以外の数式変形を理解できない。これでは専門 の授業で使われる式変形は理解できないだろう。 ④「文字を使って式を立てること」が出来ない学生。例 えば,「1 個 10 円の品物を x 個買って 1000 円払うとき のおつりは?」に,10x1000 と答える。 「A 点と B 点の距離は 10 メートルで,その間に C 点が ある。A 点と C 点の間の距離が x メートルのとき,B 点と C 点の間の距離は?」に答えられない。図で示し てもできない。 ⑤文字式への値の代入と,代入後の処理の困難。 で x0 のとき y の値を求めよ y2(x1)23 で x0 のとき y の値を求めよ に答えられない。何をしたらいいか分からない。 ⑥ 2 変数の 1 次方程式が座標平面上で直線を表すことの 意味が基本的に理解できていない学生が少なくない。 放物線また然りである。従って,平行移動など,図形 相互の関係と数式の関係等は分かりようがない。 対応策はいろいろ模索している。九九の暗誦を学生と 競争してみたり,1 から 9 までの数を 4 つ使って結果を 10に す る 式 ···6, 7, 8, 9 で 6(78)910,1, 1, 9, 9 で (119)910 など ··· を作るパズルに挑戦させたりし て,四則演算のルールをマスターさせる試みを行なって いる。計算ルールの組み合わせのマスターは,学生の集 中力がなかなか続かなかったり,一旦覚えても 3 週間も たつと元に戻ったりするので,大変である。 上記はほんの一部の例である。カルテや答案は,学生 の理解できていないところを調べる宝庫である。 学習支援センターでの実際の指導について 山内 憲一 数理基礎の学習で印象に残る 2 人の学生 A,B 君につ いて述べます。 A君は 4 月実施の数学基礎テストは 20 点でしたが,7 月実施のそれ(前回テストの数値だけを変えて問題の趣 旨は同じもの)は 85 点でした。この場合数理基礎(内 容は中学校数学程度)の授業(5 月7 月)の効果は大 いにあったと思われます。毎回出席しきちんと 90 分間 集中して問題に取り組んでいました。はじめは間違いも ありましたが,その後あまりミスをしなくなりました。 多分,家でもきっと復習をしているのだろうと思われ ます。また工学部学生は中学・高校の数学の基本をきち んと習得していなくてはならないという自覚もあったも のと思われます。一緒に勉強していて楽しかったです。 次に B 君についてですが,4 月の数学基礎テストは 22 点で,7 月のそれは 38 点でした。数理基礎の授業の効果 はあまりあがっていないようです。毎回出席しておりま すが,繰り返し同じ問題を間違えます。とくに分数が苦 手です。たとえば一次方程式 2x4 は,整数解なので解 けますが,2/3x5 は解けません。分数についてもっと集 中的に勉強させればよかったと反省しております。一度 に 3,4 人の学生を指導しますので,B 君にだけ集中する わけに行きませんが,工夫の余地はあると思います。継 続は力なりと申しますが,とにかく我慢強く繰り返し同 じことを説明すべきであると思っています。数学の指導 法について私自身もっと深く勉強しなければならないと 思っております。 2006 年数理基礎受講者の実例 湯浅 図南雄 2006年度の数理基礎においては,前学期に 19 名の学 生を担当した。出席率 7 割以上の学生は 13 名であり,5 名が出席義務のない後学期も継続を希望した。この 5 名 のうち 4 名が後学期の最後まで出席した。後学期から新 たに参加した学生もいたが,週 1 回 90 分の数理基礎で 効果を期待するには,半期では十分とは言えず,通年継 続が望ましい。以下に年間を通して数理基礎を受講した 学生の実例を記す。 実例 1 M君は,入学時の 4 月に実施される数学基礎テストに 対して,入学前のウォーミングアップ学習を一通り行っ て臨むなど,生来,努力家である。ただ,この年はまだ 3 2 1 0 x  y b d ac a   11 99 11 121 99 11 220 11 20 2    

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ウォーミングアップ学習の教材と数学基礎テストの内容 が一致しなかったためか,テスト結果は一定ラインに到 達せず(25 点),前学期初めより数理基礎を受講するよ うになった。 全体的に数学の基礎知識が不足しており,特に計算に 初歩的なミスが多いのが最大の問題であった。これに対 しては,小数・分数の四則混合算の問題を多く与え,一 つ一つ間違いの箇所を指摘して,やり直しを求めた。同 君も根気よくテキストに取り組み,緩慢ではあるが,少 しずつ計算力は向上し,知識も増え,7 月の数学基礎テ ストの再試験では 4 月の 1.8 倍の 45 点の得点となり,ま だレベルは低いものの一応の学習成果を示した。後学期 は,引き続いて数理基礎を受講するとともに,基礎数学 1を選択し,数学の単位取得を目指すことになった。 基礎数学 1 の授業では,後半の授業内容の理解増進の ために,プリント問題による演習を毎回実施している。 この演習問題の見直しを,数理基礎の時間内に,数理基 礎要のテキスト学習と合わせて行い,基礎レベルの力の 向上を図った。 本来真面目な同君は,数理基礎も基礎数学 1 の授業 も,1 回も欠席することなく出席し,問題に取り組んだ。 その努力の甲斐か,中間試験,期末試験と次第に得点を 上げ,最終的には A6 で基礎数学 1 の単位を取得した。 多少の個人指導によるバイアスはあったものの,努力し たと言える結果であった。 実例 2 A君は,M 君よりさらに低い数学基礎テストの結果 (17 点)により,数理基礎受講生となった。やはり計算 力に問題があり,計算間違いが多く,間違いの箇所を指 摘して,何回もやり直しを行った。同君は,ロボット関 係の部活動を熱心に行う等,積極的な性格であり,明る く学習態度も真面目である。前学期は,欠席もなく,計 算を中心にしたテキスト問題を着実に練習した。その間, 数学基礎テストの類似問題も解き,基礎知識の取得にも 努めた。計算力改善の途上ながら,7 月の再試験では,4 月の 5 倍の 86 点の高得点をあげた。ごく狭い範囲に集 中しただけで,広く数学の力がついたわけではないが, 一応の自信にはなったようである。 後学期も数理基礎を受講して,最後まで欠席もなく, 毎回テキストの問題を正解に達するまで解いた。他の教 科で一杯で,基礎数学の科目を選択しなかったため,数 字的な評価はできなかったものの,数学への取り組み方 はある程度修得できたのではないかと思う。 他の通年数理基礎受講者は O 君と B 君であったが,O 君は上記の M 君とまったく同様な過程で,基礎数学 1 と 数理基礎を併行して学習し,A の好成績で単位を取得し た。また B 君は,毎回数理基礎に出席し,数学基礎テス トの成績を 4 月のどうにもならない 5 点から,7 月の 55 点の 11 倍に上げた。さらに後学期もよく数理基礎に出 席したことから,A 君と同様に基礎数学の科目を選択し なかったものの,少しの自信と数学への親しみを持つこ とができたようである。 まだ例は少ないが,数学に問題がある学生の場合,年 間を通して数理基礎を受講し,学習支援センターとのコ ミュニケーションを絶やさないことが,基礎数学の単位 を取る一つの有効な方法であると思われる。 5.「日本一の学習支援センター」を目指して 以上のように,学習上の支援がとりわけ必要な学生に ついて,悪戦苦闘しながらも着実に指導の成果を積み重 ねていると私達は自己評価している。繰り返しになるが, これは大変な精神労働である。現実にこのような教育に 携わった経験なくしては中々その大変さは理解し難いか もしれない。理解され難いという意味では,介護の仕事 にも似るが,現実に学生が成長する姿が私達を励まし支 えてくれる。 いずれにしても,学力不足に苦しむ学生を支援するこ とを私達のミッションとして深く意識してこそ,本学学 習支援センターの活動は成立している。学力が低い,意 欲も低いというが,彼らが十分な学習上のケアを受けて きたわけではない。様々な事情から学習上の困難を抱え たまま中学・高校時代をすごしてきたり,「どうせダメ」 と見放され放置されたりしてきたのではないか,という 学生もいる。学習支援センターは,こういう学生達に とっての「明日に架ける橋」でありたいと私達は思う。 分かるようになりたい,出来るようになりたい,という 学生の意識をまず引き出し,分かった・できたという経 験をスモール・ステップで繰り返し,少しずつ少しずつ 彼らを成長させていくこと。一口にまとめれば,私達の 日々はその繰り返しである。 そして私達の目標は,「日本一の学習支援センター」 を作り上げることにある。本学学習支援センターは諸大 学に比べて設立時期は早くない。数学に限定しているな ど,様々な外形的な制約もある。しかし,とりわけて低 6本学の成績評価の最高ランク。評点 80 点以上。

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学力といわれる学生たちを相手にしての私達の教育努力 は,その質においていずれに比べても劣るものではない のではないか。現実にこのセンターに通い続けて,ある いは飛躍的に,あるいはスローペースながら着実に成長 していく学生達の姿が,私達にこの自負と次の活動の意 欲を与えてくれている。年間で,本学入学者のほぼ 15% をそのようにして支援している。 けれども,なお大学として社会から期待されている ニーズに応え,学生達の持つ潜在的な可能性を十分に引 き出しているか,その基礎を築く支援を行ないえている のかと問われれば,道は遠いと答えるしかないであろう。 むしろ課題は山積している。なお改善が望まれる点を以 下にあげ,説明する。 5.1 個々の学生を encourage する指導の実現 この小見出しは当然のことといえるが,実際はどうす れば学生を encourage できるのか,短絡的な答え,単純 なノウハウ,マニュアルは存在しないものとする事から 出発しなければならない。これは永遠の課題なのだ。私 達のどちらかといえばまじめ一直線の指導だけが,学生 の意欲を引き出すものでもないことも承知している。さ らに多彩なスタッフ構成,例えばより若く柔軟で,女性 を含む講師陣の実現なども大いに成果の期待できる対策 であろう。しかし,私達自身にとっては現在のスタッフ で可能な限りの改善を目指すことが最大のテーマであり, そのための模索と努力を続けていくことを,改善点の第 1に挙げたい。 5.2 教材の一層の向上・充実 現在は,入学前教育用に開発されたプリント類や,基 礎数学 1 で使用する教科書を使っているが,それぞれに 限界があり,以下の様な教材の早急な整備が望まれる。 ①学生が困難を抱えている点をカルテなどから系統的に 整理し,これらについて理解の定着を図るドリル類。 ②単に数学を数学として,即ち抽象的で根拠不明のルー ルをもつ構造物としてマスターすべきもの,として捕 らえるのでなく,様々な社会生活での応用や科学の基 礎の理解,エンジニアリングでの実用と深く関連付け, 数学をその生きた活用の相において理解習得させるこ と。いわゆる数学的リテラシー[4] [5] [6] [7] [8]の獲得を 目標とさせることである。もっと単純に言えば,無味 乾燥な公式の記憶と使用の訓練を事とするのではなく, 様々な「意味」のある問題をとりあげ,その意味に密 接に沿って数学の活用される姿を体験させること。そ の中で,数学教育において意義があるとされる内容を 系統的に配置していくこと。そのような教材の開発は, 単に一大学の学習支援の為以上に重要な今日的意義が あるものと思われるが,指し当たって,入学前教育や 数理基礎の題材としても絶好の物ではないかと考えら れる。 ③さらに,本来工学部としての普遍的な水準に達する教 育を行なうには,ある程度の抽象性を持つ数学的道具 を使いこなせるようにならざるを得ない。文字式,方 程式,座標空間上の図形,それら相互の関係の理解な どは,実はかなりの抽象的思考力が要求される。思考 力の形成を伴ったこれらの概念・道具の修得の上にこ そ微分積分などの理解も本来可能であり,ある程度以 上の水準で諸関数を使いこなすためにも避けて通るこ とが出来ない。その為には,丁寧な説明による十分な 理解と,ある程度のドリル・トレーニングが必要であ る。この段階で give up してしまう学習者が実に多い ことを考えても,この水準の学習支援が非常に大切で ある。そのための系統的な教材が必要である。 5.3 事務・管理システムの整備 数学基礎テストの集計,受講管理,時間割変更要請へ の対応,出席管理と学科などへの出席状況の連絡,学習 カルテの作成と処理,質問などでの来訪学生の対応,成 績データの処理・集計など多岐にわたる事務管理の仕事 一切を講師とセンター長で行なっているが限界であり, 事務・窓口対応をどうするか本格的な対策の検討が必要 である。 5.4 スタッフの充実 現状では,受講希望者に対してスタッフが過小になっ ていることは否めない。何らかの形での増強が望まれる。 また,より多彩なスタッフによる学生支援によって,よ り多くの学生のやる気を引き出すことが出来るのは誰も 否定できないだろう。学生の受講希望がこれ以上増える と,対応能力の欠乏から受講制限が必要になる。これは センターの使命自体を否定することになり,是非とも避 けるべきである。 5.5 諸分野,特に科学と専門との連携の充実 質問に来る学生のニーズ,という面もあるが,元来数 学の基礎は,形式化された数学のみを教えて効果が上が るものではない。日本の教育界では,1950 年代の半ば頃 からいわゆる系統主義が他の考え方を完全に圧倒し,初 等中等教育における諸分野の純粋志向が非常に強くなっ た。このことが,受験制度など他の諸要因と相俟って, 様々な歪みをもたらし,広範な「数学嫌い」「学力低下」

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を生んだ可能性が高い。こうした点からも,自然科学の 基礎やテクノロジーの基礎的な素材の教育との連関・協 調を意図的に強化する必要が生じていると考えられる。 5.6 他大学や高校との連携 私達と類似の状況の下で,類似の取り組みを行なって いる諸大学・諸機関との情報交換や協力は非常に有効有 益であろう。また,私達が行なっている教育は高校でも 実施できる可能性が十分にあるし,教育を受ける側に とっては,早ければ早いほど効果が高いはずだ。この意 味で,推薦や AO 入試など通常の入試を受けずに大学に 入学することを希望する高校生を対象とする教育が,高 校 2 年3 年にかけて行なわれて良いのではないか。そ の目的で,諸大学・諸高等学校の協力体制を作る必要が あると思われる。 6.結 び 結びを述べる前に,ここで述べたような学力の学生は 本学でも比較的少数であることを強調しておく。高校で の学習内容をよく身につけた高い資質をもつ学生もおり, 彼らは様々に意欲的な進路を切り開いている。本学のカ リキュラムは多様な学生がそれぞれの希望とニーズに応 じて十分な学習を行なえるように設計されている。その 中で,特に基礎的な学習に関する支援が必要な学生のた めに学習支援センターが設置されている。その意味で, 本学学習センターはいくつかの制約のもとでも個別補習, 正規授業,入学前教育など様々な活動を通じて成果を積 み上げ,設置目的を着実に果たしているといえる。もち ろん「これで十分」というわけではないし,受講者達は どれ程確かな学力を身につけその後の勉学に役立ててい るか,今後の検証は必要であるが。 6.1 帰結されること 本論文の結びとして,まず,詳述した諸活動の結果か ら確実に結論できることを 2 つ挙げる。第 1 は,学力不 足と言われる学生も十分学習意欲を持つ,ということだ。 第 2 は,これらの学生も一般には十分な可能性を持つ, ということだ。学生の深刻な学力不足に直面する大学は 今日では多数存在する。だが,上記 2 点はどの大学でも 通用する普遍的な真実ではないだろうか。 第 1 点に関し,一般社会にも諸大学の内部にも,学生 の学習意欲を否定する様々な言説がある。学生を辱める ような言辞すら時に聞かれる。だが,まず問わねばなら ないのは,大学は彼らの意欲をどう引き出しているか, ということだ。学習者が関心や意欲を持ちえたかどうか, 学習者ではなく教育する側こそが評価されねばならない。 私達は「学生に意欲がない」と思ったことはない。学生 の意欲を引き出せたどうか,学生ではなく私達自身が客 観的なデータによって評価されるのである。無単位・非 強制・毎週 90 分の指導に相当数の学生が参加するのは, 学生達の学習意欲が決して低くないからだ。そして,そ れを私達が適切な指導で引き出しているからである。 第 2 点に関し,様々な関係者から学力低下について諦 めきったような意見が聴かれることがある。しかしそれ は端的に誤りであり,十分な対策が取られるならば,あ る程度時間はかかっても大多数の学生は入学時の低学力 から脱することができる。そのことの真実性を私達の実 践結果は強く示唆しているのではないか。一方,現実に 得られた学力上昇は極めて限定されたものであることも 指摘せざるを得ない。数学担当教員やその周辺では,基 礎的でも工学部の専門的な授業を理解するには 4 月や 7 月のテストで 6070 点程度以上の学力が必要だとの意見 が有力である。入学後 1 学期を経た段階でこの水準に達 している学生は多数ではない。数理基礎受講者も概して この水準には至らない。基礎数学諸科目や専門基礎科目 の効果が期待されるが,現状では確たる学力保障が出来 ているとは言えない。 6.2 要因 次に,これまで述べた諸成果を可能にした要因は何か, 出来る限り一般的な立場でまとめてみる。 ①責任部局とスタッフが,本気になって学力向上に取り 組み,ミッション意識を堅持すること。これがすべて の出発点である。 ②実情に応じた教育内容。私達は,義務教育の水準から 繰り返し指導を行い,半期の目標もあまり無理なく設 定している。この内容が学生にマッチしているからこ その成果である。実情に応じた教育内容が何かは大学 により様々であろうが,その内容をデータと経験に基 づき適切に設定することは担当組織の大きな責任であ ろう。 ③提供が可能な範囲で極力丁寧な指導。いうまでもない ことであろう。問題は,そのために必要な教育資源― ―人,場所,予算等――は本来膨大で,それがいきな り与えられることは稀ということだ。それでも現にあ る可能性を最大限生かして明確な成果を挙げ,より多 くの資源獲得に努めることはできる。この一連の努力 を通じてこそ,効率的かつ十分な量の学習支援と基 礎・リメディアル教育を実施できる可能も生まれる。

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④教員全体,大学全体の理解と協力。本学では受講に際 し CC の担当教員の果たす役割は大きい。他に授業な ど様々なチャンネルで教員達は十分な基礎学力を学生 に求めていると思われる。そこから学生達は基礎学力 向上の意識を高めることが期待される。数理基礎受講 や基礎数学科目履修によって着実に学力が向上するな らば教職員と学生,つまり大学全体の私達への信頼が 更に高まる。ここに好循環が生まれ,大学全体として の教育力が高まることが期待される。その為には大学 全体の長期にわたる様々な努力が必要だ。 6.3 結語 最後にやや俯瞰的な立場で述べる。米国ではコミュニ ティ・カレッジがいわゆるリメディアル教育の機能を持 つ。日本では本学を含む 4 年制大学のある部分がその機 能を本格的に取り込まざるを得ないであろう。ところで コミュニティ・カレッジでは中退者も多いが学生の経済 的自己負担は非常に低い。日本の大学の入学と卒業には 高額の費用が必要だ。従って日本の諸大学には,それが 必要な入学者全員に十分な学習支援を行なう責任がある といえる。私達は本学においてこの責任を果たすべく, 活動の幅を広げ質を高め,さらに前進しようとしている。 多くの大学が同様の課題に取り組んでいる。個別大学の 壁を越え,大学高校の枠を越え,関係者の連携と協力が 望まれる。 参 考 文 献 1) 水町・鍋島尚子,「学生の総合的な成長に配慮した 基礎的な数学の授業の実践」,湘南工科大学紀要 40 巻 1 号,2006,pp. 26–107. 2) 水町,「義務教育レベルからの数学入学前教育とそ の成果」,日本リメディアル教育学会第 3 回全国大 会発表予稿集,2007,pp. 127–128 :論文(水町・ 菊地・中上川)準備中. 3) 大石三四郎・松浦義行,「統計解析学 II」,逍遥書 院,1981. 4) 藤田 宏,「数学の知的な活用と思考力」,数学セ ミナー 1991 年 8 月号,日本評論社,pp. 68–71. 5) 小寺隆幸・清水美憲,「世界をひらく数学的リテラ シー」,明石書店,2007. 6) 長崎栄三・阿部好貴,「我が国の数学教育における リテラシーとその研究に関する動向」日本数学教育 学会誌・数学教育 61-5(数学的リテラシー特集号), 2007,pp. 11–20.

7) OECD, “Knowledge and Skills for Life: First Results from PISA2000”, Paris:(国立教育政策研究所(2002) 「生きるための知識と技能: OECD 生徒の学習到達 度調査(PISA) 2000 年調査国際結果報告書」,ぎょう せい).

8) OECD, “The PISA 2003 Assessment Framework: Mathe-matics, Reading, Science and Problem Solving Knowl-edge and Skills”, Paris:(国立教育政策研究所(2004a) 「PISA 2003 調査 評価の枠組: OECD 生徒の学習

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