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JAIST Repository: 中小企業の研究開発

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/

Title

中小企業の研究開発

Author(s)

小川, 雅敏; 渡辺, 千仭

Citation

年次学術大会講演要旨集, 17: 606-609

Issue Date

2002-10-24

Type

Conference Paper

Text version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/10119/6795

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す

るものです。This material is posted here with

permission of the Japan Society for Science

Policy and Research Management.

(2)

2D10

中小企業の研究開発

0 小川雅敏,渡辺千切

( 東工大社会理工学 ) 1. 戸尹 しかし、 IT の進展でこの 差は消滅しっ っ あ る。 技 総務庁の速報によると、 2

0 年度の製造業の 研究開 術 進歩が急速な 世界では「 意 , 思 決定の速さ」が 要求さ 発 投資は 9 兆 81 ㏄億円であ った。 そのうち資本金 れるが、 この面では中小企業のような「小組織」のほ 千万円から 1 億円の企業 ( 本研究では牛刀。 企業とする ) うが優位に立っている。 IT で必要とされている 条件 の 研究開発投資は 側 76 億円と全体の 5% に満たない。 は日本的大組織とまったく 異質のもので、 集団主義や 額面だけでなく、 研究開発投資の 売上高比率に 関して 系列企業間の 固定的関係の 下では、 IT のメリットは も 、 全体平均 3.70% に対して、 資本金 1 千万円から 発揮できないからであ る。 億円の企業では 2.62% と 低 い ことがわかる。 2.2. 中小企業の研究開発投資 現在の不景気の 中、 中小企業には 経営革新が望まれ 中小企業にとって 研究開発投資とはどんな 存在なの ている。 研究開発活動は 経営革新を促進する 活動とし か 。 大企業は一般に 生産や販売過程において「規模の 経 て 広く知られているが、 中小企業が研究開発活動を 円 済性 』を発揮して 更なる拡大を 図ることが多い。 研究開 滑に行 う ことができない 制約条件は何なの 力 ㌔また、 発 投資に関しては 規模の経済性は 存在するのか。 中小企業特有の 強みを生かして 競争力のあ る研究開発 シュンペーター

(1926)

は、 研究開発と規模の 関係 活動を行 う ことは可能なのか。 ほ ついて後に「シュンペーター 仮説」と呼ばれる 仮説を 本研究では、 中小製造業に 絞り、 現在研究開発の 足 提起している。 これは、 一般的に言って 大企業の方が かせとなっている 制約条件を洗い 出し、 その上で中小 研究開発に優位であ るというものであ り、 彼はその 源 企業の強みをが 確に捉え、

IT

時代における 牛刀除棄 泉 として①研究開発の 規模の経済性、 ②研究開発投資 の研究開発活動のあ り方を研究していく。 の 専有可能性、 ③資金力、 ④リスク負担能力を 挙げて いる。 しかし、 マンスフイールド (1964) 、 シェラ ー 2. 研究の背景 (1965) 、 日本では土井 (1993) 、

若杉

= 谷地方口口Ⅰ小谷 2.1. 中小製造業が 置かれている 経営環境 日

(1995)

等が研究開発投資の 規模の経済性に 否定的 現在の不景気の 中、 中小製造業は 今まで以上の 厳し であ る。 ぃ 要求がなされている。 具体的な中小製造業の「内部 そこで、 本研究では研究開発投資は 規模の経済性は 的な」弱みは、 ①低価格化への 対応、 ②人材、 設備、 なく、 中小企業にも 不利ではない「経営革新活動をも 在庫、 ノウハウ等での 劣位性、 ③生産計画、 販売計画 たらす源泉の 一 つ 」として捉える。 等の無計画性、 ④ 親 企業依存、 ⑤資金調達方等が 挙げ それにもかかわらず、 2 ㏄ 0 年度の研究開発投資の 売 られる。 また、 「覚部的な」脅威としては、 ①顧客ニー 上高比率を見ると、 中小企業が 2.62% 、 大企業が 3.76% ズの 多様化、 ②グローバル 競争の斬 ヒ、 ③ 少 品種大量 と 中小企業は大企業に 大きく遅れをとっている。 生産から多品種少量生産への 変化、 ④取引先からの 要 2.3. 1 T の進展が研究開発に 与える形姿 末の高度化、 ⑤知名度等が 挙げられる。 逆にいえば、 図 1 は中小製造業 ( 資本金 1

0 万 -1 億円の企業 ) これまで大企業は、 中小企業に対して 圧倒的な優位を の 売上高に対する 研究開発投資の 割合と、 IT 指数 [10l 持っていた。 の グラフであ る。 このグラフと 以下の分析により、 研

(3)

究 開発投資の構造が IT の進展により 変化したと考え られる。 8000 250 7000 ' 2.00 6000

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4.

中小製造業の 研究開発投資決定要因 図 2 は中小企業庁が 行った「研究開発活動に 取り組 む際の間 題点 Ⅰ は ついてのアンケート 調査であ る。 こ の調査によると 中小企業の研究開発活動を 制約してい る 大きな要因に「資金面」と「人材面」の 問題があ る と考えられる。 そこで、 本研究では資金面での 制約として、 ①自己 資本の指標として「売上高」、 ②資金調達の 困難性を表 サ 指標として「流動比率」、 ③人材面の制約として「従 業者の研究本務割合」を 、 更に、 景気変動を勘案する ④「コンポジット・インデックス」 ナ [7.8 ナ I T の進展 による研究開発投資の 構造変化の可能性から⑤「 TT 指数」 [10l を用いて分析を 行 う 。 図 1 : 研究開発と I T の関係 ㎞ 互 Ⅰ 目 .

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、 吾曲 ( こ 破り 棄 a む (9.98)@ (7.62) 社内偉キ。 」が 未 Ⅱ 伽 DW 二 1.496 ¥R 名目研究開発費、 S: 売上高、 lT:lT 指数 l 、 。 ,. f 棚ざ 箱 ゑ芳姿 抹芸 荒亡 憲 ; 、 以上より、 IT の進展が研究開発の 構造に何らかの 1 0 20 30 , 40 50 60 70 80 変化を及ぼしていると 考えられる。 その理由としては、 ( お ) IT の進展に よ る 、 ①研究開発の 生産性の向上、 ② ネ 穴 ", 甜罪 手序「全摘。 9 革新 '"" 田態抽五 」。 "00 ・ だ """'" 。 " 。 " 。 ッ ト調達や EC 等の新しいビジネスモデル、 ③設備の 図 2 : 研究開発活動に 取り組む際の 間短 点 高度化、 ④情報通信の 容易性等が考えられる。 5. 分析のフレームワーク 3. 研究の目的 本研究では研究開発投資「 R 」を上述した、 売上高 以上を踏まえ、 本研究では、 1979-19 曲年の資本金 「 S 」、 従業者の研究本務割合「 L 」、 流動比率「 C 」、 1

0 万円、 1 億円の製造業を 中小製造業と 捉え、 主要業 コンポジット・インデックス「 CI 」、 IT 指数「 IT 」 種を対象に以下の 理論的実証分析を 行 う ことをねらい で 構成する関数として 分析を行 う 。 つまり、 とする。 R 二八

CI,

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t,C¥mr)

(1)

中小製造業の 研究開発投資決定要因を 考慮し、 とあ られすことができる。 今回は生産関数で 有名な コ

(2)

研究開発投資構造をモデル 化し、 ブ ・ダグラス型の 関数系で以下のようにあ らわし、 「 製

(3)

実際のデータ 分析により、 造業全体」、 「食品工業」、 「ィヒ半工業」、 「電気機械工業」 (4) 制約条件の影響度を 確認、 すると共に 、 ほ ついて 重 回帰分析を行い、 各変数の研究開発に 与え (5) 制約条件を勘案した 研究開発戦略の 提言を行 う 。 る 影響を考察する。 。 ' に "" 。 " 。 " 竹籠 " 社会 " 。 。 。 "" 。 ,, ' , . "'. . . " 。 "

(4)

R= ズ ・ C Ⅰ ". ガ p. ノ ・ C,.7r, く 分析 式ノ 血 八二№Ⅹ + ぱ ㎞ C Ⅰ + タ№ ガ十 Z 廿 d+ げ ㎞ C+g% Ⅰ r 6. 分析結果とその 評価 6.1. 分析結果 以下の表に、 本分析結果を 示す。 全体的な結果とし ては、 これらの変数で 研究開発投資構造のかなりの 部 分 が示せたと考えられる。 表 1 : 主日冊分析の 結果 次節で業種ごとの 評価、 全体の評価を 行い、 業種の傾 向、 課題を考察する。 6.2. 評価

(1)

製造業全体に 関しては、 「売上高」「従業者の 研 究本務割合」「 IT 指数」が有意となった。 こオ しにより、 売上により自己資金を 生み出し、 豊富な従業者が 研究 に従事し、 YV を的確に活用することで 効率的な研究開 発活動ができることがわかる。 一方「景気」と「流動 比率」が有意でないということから、 不況や資金調達 が困難でも研究開発に 対して手を抜かないということ もわかる。 (2) 食品工業に関しては、 「Ⅱの, 訣恵 」が少ないせ いか、 Ⅱ指数が有意にならなかった。 これにより、 食 品工業は、 景気や資金調達の 難易度、 IT の進展具合に かかわらず、 自己資金で従業者を 活用し「労働集約的 に」研究開発を 行っていることがわかる。

(3)

7% 学 工業に関しては、 唯一流動比率が 有意とな っている。 これは、 ィ巳学 工業の研究開発は 他業種に比 べ 、 研究開発の規模が 大きく、 自己資金でまかないき れないためと 考えられる。 また、 従業者の研究本務 割 合 が有意となっていないのは、 比較的研究本務割合が 大きく、 「人的資産は 潤沢」と考えられるためであ る。

(4)

電気機械工業は 売上によって 得た自己資金を

IT

と人的資本を 活用し、 研究開発活動を 行っている。

(5)

全体的な評価に 関しては、 どの業種も研究開発 活動の誘発要因は 景気に影響を 受けないことが 判明し た 。 また、 相対的に資金調達の 困難性を示す 流動比率 も影響を受けないという 結果になった。 7. 結論と今後の 課題 7.1. 結論 本研究で実証的に 示されたことは 以下の 5 点であ る。

(1)

景気循環は研究開発投資に 影響を与えない。 つ まり、 中小製造業は 景気に左右されずに 研究開発投資 を行うということであ る。 この理由としては、 ①研究 開発を自社のコア 技術醸成のための 必須のものとの 意 識が強い、 ②景気の先行きが 読めない、 ③不景気こそ チヤン スと 捉えているなどが 挙げられる。

(2)

全体的に、 自己資金の源泉の 売上高、 従業者の 研究本務割合の 重要度が高い。 資金調達の困難性をあ らわす流動比率の 影響が小さいのは 資金調達の際に、 あ る程度までの 安全性の確保は 必要だが、 過度に安全 性が高いからといってより 多くの資金を 借り入れられ るわけではないということから 理解できる。 また、 図 3 から「現実に 研究開発投資に 充てる資金は 自己資金 の範囲内であ ることが多い」ということも 流動比率が 有意にならない 原因の一 つ であ る。 @1l 席 Ⅰ下るⅠに方法 12l m 。 s 。

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(5)

(3)

しかし、 中小製造業の 研究開発投資は 資金調達 の困難性によりあ る程度の制約が 生じているので、 資 金供給の円滑 ィヒや 、 税制、 経営革新の促進等の「中小 企業施策」の 更なる補助・ 改正が必要であ る。 (4) 1T 指数の影響は 食品工業の「ローテク」業種 には影響度が 小さく、 ィヒ学 ・電機機械等の「ハイテク」 業種には影響度が 大きいことがわかる。 これは、 ハイ テク業種が使用機会、 頻度、 技術等がローテク 業種と 比べ IT の恩恵を受けていることが 実証されている。 7.2. 今後の課題 今後の課題としては 以下の 5 点が挙げられる。

(1)

中小企業は人材や 資金等研究開発における 制約 が多いので、 他ネ出支 術の効果的吸収を 目指し、 「産官学 連携」や「異業種交流会」等への 積極的取り組みによ り「技術同化能力の 向上」を図る 必要があ り、 中小製造 業の技術同 4 ヒ能力の計測を 行っていく。 (2) 中小企業は大企業と 比べ研究開発の 規模が小さ くなってしまうので、 同業種・異業種と 協力し「コラボ レーション R&D 」に取り組む 事例を研究する。 (3) 研究開発投資は 額が多いだけで 非効率であ って はいけないので、 戦略的計画による「 R ㏄投資の最適 投資レベル、 タイミング、 ぺース、 スピルオーバ 一の 活用」を勘案していく。 (4) さらに、 競争力の比較も 行 う ため、 諸外国の中 小企業の研究開発投資事例についても 分析し、 国際 比 較を行っていきたい。

(5)

また、 今回の研究では、 製造業全体や 各産業レ ベルといったマクロ 的視点に立った 分析であ り、 中小 企業の多様性を 考慮していなかったが、 実際の生産 活 動を行っている 単位であ る企業レベルでの 研究開発投 資の決定要因の 分析をすることによって 研究開発投資 戦略の決定プロセスが 明確になるものと 思われる。 参考文献 [1] 渡辺 千匁 、 宮崎久美子、 勝木雅称 「技術経済論」 日 科技連、 ' 。 。 ' [2] 渡辺 千何編 「技術革新の 計量分析」目耕 櫛車 、 2001

[3] 平成 12 年度博士論文「Ⅲ leo 桟 tic 囲 』 bl 田 ysismd

Emp ㎡。 Ⅲ Demonstration ofoptim 田 R&D Investment

Ⅱ 目 ecto ワ ㏄ nt 而 Ⅰ」 朱兵

[4] 中小企業庁「中小企業白書」、 2001,2002

[5] 総傍省 「科学技術研究調査報告」 1979-2000

[6] 総務省「法人企業統計」 1979 づ 000

[7] 平成 14 年度博モ論文「 AsuI ㎡ v 由 Strate 綴も rthe

Japanese Elect 「 iCPowerIndustry

㎡ 旺 tMega

competItion 田 an IT

血 en Glob 田 Economy]M.Kishioka

[8] 平成 13 年度博士論文「 Functbon 伍 ty Ⅸ :vel 叩 ment ぬ a

Source ofInnovation 田 ℡ eh-Technol0 甜 Indust 収 」

A.Naeamatsu [9] 平成 12 年度卒業論文 「社会・経済・ 制度的リターンを 勘案した最適研究開発投資の 分析」 目 、 川雅敏 [101 平成 12 年度卒業論文「 IT 生産要素の構築とその 経済に 及ぼすインパクトの 分析」熱海法 [11 平成 13 年度卒業論文「製薬業界の 高収益構造」 畑仲 卓 郎

[12] SchumpeterJosephA.THE 刀 ¥,ORfE 万 DERB

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TzJ 』 は C,ff@E Ⅳ 2"ded. 1926

Ⅱ 3l Mans 丘 eld,E "Industh 田 ㎏㏄ aI でⅡ㎝ d Ⅸ vel 叩 ment E や en 山山

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Ⅱ 4] SchererF.M. 田 什伍 Size,M 酊 ketStruc Ⅰ ure,

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e ぬ ㏄ 刀及 ㎝。 血わ Rev7eeW Vol.55 pp.I098-1125,1965

[15] 土井数立「研究開発と 企業規模 : 日本の製造業」『 m 西学 院大学経済研究 コ 第 31 巻第 2 号 pp.99-123 、 1993 [16] 若杉隆 平 、 谷地正人、 和田義和、 小谷田文彦「研究開発 イノベーションと 規模の経済一一つの 謎 刊 『通産研究レビュ 一 』第 6 号、 1 ㏄ 5 [f7] 長岡貞男「研究開発と 研究開発生産性の 決定要因 : 需要 経路と供給経路の 実証分析」 ほ 001] [18] 日本銀行ホームページ㎝ 七ゆル Ⅵ

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