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To不定詞の本質(その1) : 歴史・比較的観点より

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Academic year: 2021

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(1)To不 定詞 の本 質. (そ. の 1). 一― 歴 史・ 比 較 的観 点 よ リーー. 杉. 浦. 茂. は じ配Xこ. 本論文 の端緒 となったのは,次 の 2つ の記述であ る。 (1) In cases where other languages use a plain ininitive as the subject, objeCt Or nOnlinal predicate of a sentence, lEnglish use either an in‐ ο or a gerund. flnitive with ι. (Zandvoort 19757,p.4). ‐ (2) But gradually an enormous extension of the application of this ″οin‐. initive has taken place:the lneaning of the preposition has been weak‐ ‐ ened and in some cases totally extinguished,so that now the″ οinini‐. tive must be considered the nor]mal English ininitive, the naked in‐ initive being reserved for comparatively few employments,which are the solitary survivals of the old usc of the inflnitiveo This development is not conined to iEnglish:we ind it lnore or less in all the Gothonic. languages, though with this preposition only in the West Gothonic. branch(G:χ z,Dutch″ ι),…. …A. somewhat parallel development has. taken place in Fr。 , cp ``ces fruits sont bons a παηgθ r" │“. apprendre. aグ αηsθ 〆'(while in other cases a different prepositiOn is used:“. il est. r cela''). facileご θυοグ. (Jespersen,1954,IⅡ ,pp.10f.).

(2) 2. To不. 定詞の本質. (そ. の 1). 以上 2つ の引用文 が示 唆 してい る ことは,英 語 の. tO不 定詞 の特性 が,他 言. 語 の不定詞 の用法 と比較す る ことに よって, よ り明確 に され うるのでは な い か とい うこ とで あろ う。 さ らに,英 語 だけに対 象を限 って も,「 方 向」を表 わす 前置詞 の toと. ,不 定詞 の toと は どんな関係 に あ るのか とい う問題 が あ. る。現代英語話者 の直観 か ら言 えば ,両 者 は全 く別個 の もので あ る とい うこ とになろ うが ,歴 史的 には 同一 の もの とい うこ とになる。 引用文 (2)の 前半 か らも明 らか な よ うに,「 方 向」 の意味 が 弱化 な い し消減 して,不 定詞標識 の. toと な ったので あ る。 この ことか ら予想 され る こ とは, 現代英語 にお け る. to不 定詞 の用法 が す べ て OEに おいて存在 していたわ け では ない とい うこ とで, この点 につ いては,OEDに. 0。. 1. よ り後 で検証 しよ うと思 う。. 用語の統一. 引用文 (1)で は a plain ininitive とい う用言 吾が ,(2)で は the naked inin‐. ,他 の個所 では,bare in‐ lnit市 e とい う用語 も用 いてい る。各種 の文法辞典や ,た とえば,小 野・ 中 尾 (1980,p.419)に は ,そ の他 の用語 が紹 介 され てい るが ,本 稿 では,原 形 不定詞 ,to不 定詞 とい う用語を用 い,両 者を合わ せ て不定詞 と呼 ぶ ことに し itiveと い う用語が用 い られ ていた。 Jesperscnは. ヽ ′ たヽ 。. 1.現 代英語の to不 定詞 本章 では,. 2, 3の ための準備段 階 として,現 代英語 にお け る to不 定詞. の用法 を整理 してみ よ うと思 う。 しか し,to不 定詞 の場合 ,用 法 の整理 とい って も,容 易な ことでは な い。 そ の ことは,次 の言葉 か らも明 らかで あ る。. 1)本 稿は,OEの 資料 に直接当って,そ こか ら不定詞 の用法 について考察を導 き出そ うと意図するものではない。各種 の研究書 によって,英 語史 の講義 に利用で きる説 明の原理を求め ようとする試みであると理解 して頂 きたい。.

(3) 杉 浦 茂 夫 The uses of English ininitives are so lnanifold,and there is so lnuch. ‐. Overlapping among thenl, that l have experienced cOnsiderable dif■ culty in classifyingヽ. them and in itting each quOtation and example. into the apprOpriate pigeonhole.. (Jespersen,1954,V.p.151) Jespersenは 上 の よ うに述 べ た後 で,「 す ぐれ た英文法書 の不定詞 の説 明部 分 を調 べ てみたが ,そ の分類 もまた不満足 な もので,少 しほ っ とした」 と告 白 してい るので あ る。 本稿 では,原 則 として,OEDの. TOの 項 に挙 げ られ た分類枠 を利用 し,な. るだけ平 易な用例を用 い る ことにす る。 それ は, 2で 歴史的 な概 観を試 み る 際 には,OEDの 初 出例を参考 にせ ざるを えな い こと, 3で ドイ ツ語 , フ ラ ンス語 に訳 出す る際 に 困難 を生 じな い よ うにす る こと,を 考慮 しての こ とで 2). あ る。 なお,用 例 につい ては,原 則 として,OEDの 用例 の 中 で現代英語期 期 に属す る ものの 中 か ら最 も平 易な もの を選 び ,適 当な ものが 見 い 出せ な い 場合 は,Jespersen(1954,V,p.150∼. p。. 277)の 中か ら該 当す る用 例を選 び. ,. それ には (J)と 付記 し,あ わせて 同書 のペ ージを記す ことに した 。. OEDの Toの 項 の うち,「 不定詞 の前 の to」. につ いての分類 は, ローマ. 数字 に よる大分類枠 で 5項 目,ア ラ ビア数字 に よる下位分類枠 で22項 目に及 んでい る。 さ らに, Iで は,*,**,0¨ の よ うに,*の 数 に よる意味分類 が 5 項 目あ る。 以下 では,い わゆ る「 不定詞付 き対格構文」 な どを含 むⅣ ,「 分 離 不定詞」や「 代不定詞」 な ど特 殊構文 を含む Vは ,対 象外 として,上 記 の 方針 に従 って用例を整理す る こ とに したい。 Ⅳ を対 象外 とした ことには,間 題 が あ るか も しれ な いが,複 雑 に な るのを避 け るために本 稿 では一応考慮外 とした ことをお断 りしてお きた い。. 2)筆 者 としては,個 人的 には,Jespersen. の ranksに 基 づ く分類 により共感を覚えて. い る。 しか し,Jaspersenの 分類枠 と. OEDの それ との間に,一 対一の対応関係を. 求 め る こ とは不 可能 で あ る と思 う。.

(4) To不 定詞 の本質. (そ. の 1). I.副 詞 的 関 係 に あ る不 定 詞 と と もに *目 的 あ るい は 意 図 を示 す. 1.動 詞・ 形 容 詞. 0名 詞 に 依 存 して. She ran to lneet her father.. Are they quite good to eatP The tilne to learn is when you're young.. 2.絶 対. 0独 立 構 文 に お い て. All their ins and outs(to use an American phrase) **目 的 性 (o可 ect市 ity)を 示 す 3。. 動 詞 に 依 存 して ,弱 い 目的 の 意 味 を もつ. I strive to be concise. 4。. 形 容 詞 に 依 存 して ,そ の 形 容 詞 の 適 用 範 囲 を示 す. I alrl ready to go.. 5.抽 象名 詞 に依 存 して ,そ の 目的 や 適 用 範 囲 を示 す I had the honour to be a member of it。 ***取 り決 め (appointment)あ る いは 用 途 (destinatiOn)を 示 す 6。. 運 命 (destiny)あ るい は 出来事 や成 り行 き (outcome)を 示 す. When we twO parted... to sever for years. ****結 果 を示 す。. 7.結 果・ 成 り行 き. (consequence)を 表 わ す. This tea is t00 hOt to drink.. *****根 拠 (occasion)あ る いは 条 件 を示 す 8。. 根 拠 を示 して. I am glad to see you here。 9。. (J. pe 259). 受 動 的 に (主 要 名 詞 が 合 意 され る 目的 語 とな る). You are a fair woman to look upon. (現 代綴 字 に 改変 ). 10.主 節 の 陳 述 の根 拠 とな る事 実 0想 定 を表 わ す.

(5) 杉 浦 茂 夫. To hear you,people might think you were the mistress。 (J.p.262) Ⅱ .形 容 詞 関 係 に あ る不定 詞 と と も に. H.be動 詞 の 述 部 と して ,あ るいは 直 接 名 詞 を修 飾 して ,名 詞 に対 して 形 容 詞 的 関 係 に あ る不 定 詞 と と もに 。 (こ の 項 の 下 位 区分 は 複 雑 で あ る。. a.意 図. うる行 為 ,. 0取 り決 め , b。 義 務 0必 要 , C.可 能 性 0起 こ り d.性 質 0特 徴 と意 味 区分 され ,さ らに ,不 定 詞 の態 や. 前 置 詞 の 有 無 に よって 下 位 区分 され て い る。 こ こで は , い わ ゆ る 「 be一 to構 文 」 は 省 き,名 詞 を直 接 修 飾 す る用 例 の み を示 す。) I have much to tell。. (a). I have a sOng to sing。. (b). There is no One to see us. (C) She was nOt the woman tO misbehave towards her betters. (d). 12.直 説 法 の 関 係節 に 等 価 な不 定 詞 と と もに He was the last tO appear. Ⅲ .名 詞 的 関 係 に あ る不 定 詞 と と も に 名 詞 また は 動 名 詞 と等価 で あ る :toは ,結 局 ,自 らの 意 味 は もたず に 不 定 詞 の 単 な る「 印」 とな って い る。. 13.itに 導 か れ て ,主 語 ・ 目的 語 とな って い る不 定 詞 と ともに `Tis better to have 10ved and 10st Than never to have loved at all.. 直 接 の 主 語・ 述 語 とな って い る不 定 詞 と と も に. To err is human,tO forgive, divine. Talking is lnOt always to converse.. 14.他 動 詞 の 直 接 目的 語 とな って い る不 定 詞 と と もに。 He fear'd to die,yet felt ashamed to live.. She wants to speak tO you.. 以 上 で ,OEDか らの 引用 を終 るが ,OEDの 分 類 枠 の 妥 当性 につ い ては一 言.

(6) To不 定詞 の本質. (そ の 1). しておかねば な らな い。. (1)OEDの ,. I副 詞的 , Ⅱ形容詞的 ,Ⅲ 名詞的 とい う関係か らの大分類 が. ,. 意味 に よる ものか ,機 能 に よる ものか ,判 然 としない。 た とえば, 1の 最 後 の例や 5は 名詞 にかか るのであ るか ら,機 能 か らすれ ば形容詞 的 とい う こ とになろ う。 5に つい ては ,Jespersen(1954,V,pp.266∬ .)が ,The lninitive of Specincationと. ぃ う項 を設 け て,名 詞 ,形 容詞 ,動 詞 にかか. る もの をす べ て包括 して論 じて い る こ とを 指摘 しておかね ばな らな い。. (2)分 類 とその説 明 の しか たに,恣 意的 な,首 尾 一 貫性 を欠 くと思われ る点 が あ る。 た とえば,Hdと 12の 相違 は ど こか ら生 じて い るのか客 観的 な説 明が 欲 しい ところで あ る。不定詞 の態や遡 及性 に関す る説 明 は,不 定詞 の 用法全般 に関 わ ることで あ る と思 うが ,OEDで は,. Hの みで詳 し く論 じ. られ てい る。 β)そ の結果 ,他 の学者 の分類 と著 しく食 い違 う点 が 出 て くる。 た とえば. ,. enoughや tooの 後 で 用 い られ る to不 定詞 は,OEDで は Resultを 表 わ す とされ るが ,Jespersen(1954,V。. )で は Specincationの 項 に入れ られ. てい る。 (」 espersenは ,Resultと い う項 を別 に 設定 してい るので あ る。). この よ うな疑問点を 念頭 に置 きなが ら, 以下 の論考を 進 めたい と思 う。 ま た ,「 初 出例」 に関す る疑念 について も,Setteantson(1968,p.10)の 警告 に 留意 しなけれ ばな らな い。. ... it must be cmphasized that the `Arst recorded use' of a word, especially in the earlier periods,does nOt necessarily imply`Arst use',. (a)because a word may be in current use for sOme time before it. appears in any written document, and (b)because obviously many words may have been recorded for the Arst tilne in dOcuments no longer extant..

(7) 杉 浦 茂 夫. 2。. 2。. to不 定 詞 の 歴 史 的 考 察 1 2つ の問題 1). OEの 不定詞 には次 の 2種 類 が あ った。 単純 不定詞 銘. 稚. 詞. ‐ an. (ME,― en,‐ e). [II(ML…. → … この与格不定詞 は,常 に,toに 先行 され ていた。 もとも と,与 格不定詞 の 前 の toは ,ふ つ うの名詞 の前 に用 い られ る toと 同 じ意味・ 用法一一 不定詞 2). に よって表 わ され る行為・ 状態 に 向 って 動 き, 方 向, 傾 向, 目的を表わす 一一 を持 っていた。 しか し,時 が経 つ につ れ て,こ の前置詞 の 明白な意味 が 弱 ま り,一 般化 され て,単 な る不定詞 の標識 とな って しまった。 さ らに,上 に示 した 語尾 も,Mod.Eで は失われ ,動 詞 の他 の形 と区別 が な くな り,直 説法現在形 (3人 称単数を除 く), 仮定法現在 , 命令法 と同 じ形 に な って し まった。. 以上 の記述 か ら,極 めて素朴 に考 えて,次 の 2つ の点 が 問題 として浮 んで くる。. (1)前 置詞 toの 意味 が徐 々に弱化 してい ったので あ る とすれ ば,toの 本来 の意味 を保 ってい る不 定詞 の使用 の方 が 古 いはず で あ る。不定詞用法 の う ち, どの よ うな意味 が古 く, どの よ うな意味 が新 しい発達 で あ るかを探究 す る ことに よ り,言 語変化 の様 相 の一 面 を 明 らか に し うるのでは な いか。. (2)英 語 では,不 定詞 を形 の上だ け で動詞 の他 の活用形式 か ら区別す る こと 1)こ. の節 の記述 は,主 として,OEDの. Toの 項 に よる。同 じことは,英 語史 を扱 った. 多 くの書物 に も見 い 出 され る。. 2) 。。。it. expressed motion,directiOn,inclinatiOn, purpose, etc。 ,toward the act or. condition expressed by the ininitive; ...

(8) 8. TO不. 定詞の本質. (そ. の 1). はで きな い。 ところが , ドイ ツ語や フ ラ ンス語 では,不 定詞 が 独 自の形式 を保 ってい る。 だか ら, これ らの諸語 での 不定詞 の用法 を 探究す る こ と で,英 語 の古 い時代 の不定詞 の姿 を 浮 かび上 らせ る可能性 が あ るのでは な いか。 また,英 語 だけに限 って も,to不 定詞 の発達 の背後 には,不 定詞 を 独 自の活用形式 で標示 で きな い とい う事実 が あ るのではないか。 本稿 では,(1)の 問題 を 2。 2で ,(2)の 問題 を 2.3と 3で 採 り上げ る ことに し たい。. 2.2. 第 1仮 説とその検証. 前節 で提起 した 2つ の問題 の うち,(1)を 「 前置詞 toの 原義 に近 い意味を もつ to不 定詞 の方 が古 い」 とい う仮説 (以 下「第 1仮 説」)と し,こ の仮説 を い くつかの資料 に よって検証 してみ よ う。. 2。. 2。. 1 0ED. も っ とも簡単 な方法 は,OEDの 初 出例 の年 に 当 ってみ る こ とで,そ の た めに 1で. OEDに よる分類枠 を紹介 したので あ った。 しか し,先 に指摘 した. 種 々の限界 の他 に も 難点 が あ って, 事 はそ う簡単 では な い と 思 う。 た とえ ば ,主 語 , 目的語 とい う概念 は ,OEで は てはお らず ,あ る. Modo Eに おけ る よ うに確立 され. to不 定詞 の用例を め ぐって,そ れが主語 ,あ るいは 目的. 語 と解釈 で き るか ど うか に関 して問題 が 生 じて くるので あ る。主語 に関 して は,Jespersen(1954,V,p.162),小 野 ・ 中尾 (1980,p.424)な どに, 目的語 に関 しては,Jespersen(p.170),小 野 e中 尾 (pp.425f.,p.432)な どに そ の 例 が あ る。 以上 の よ うな事情 をす べ て念頭 に置 きなが ら,OEDに よる to不 定詞 の初 出例を整理 してみ る と次 の よ うに な る。 (以 下 の表 の数字 は, 1で 紹 介 した OEDの 分類枠 の もの。数字 の後 につ けた説 明 は, 1の 記述 の一 部 で,い ち い ち 1を 参照す る煩雑 さを避 け るために付 した もの。) 次頁 の表 か ら,次 の 2点 は 明 らかで あ る。. (1)す くな くとも I(副 詞的関係)に 関す る限 りは,第 1仮 説 は支持 され て.

(9) 杉 浦 茂 夫 大分類. ME期 に出現. OE期 に 出現. I ︵ 副詞的︶. 1.(目 的). 3.(弱 い 目的) 4.(形 容詞 の適用範囲) 5。. ,適 用範囲). (名 詞 の 目的. Ⅱ ︵ 形容 詞的︶ Ⅲ ︵ 名 詞的︶. 9.(根 拠,受 動的). IMod.E期. 7こ. 出現. 的,絶 対構文) り行 き) 7.(結 果) 8。 (根 拠 ) 10。 (陳 述 の根拠) 2。. (目. 6。. (運 命,成. 3) 11。. 13。. (it. (形 容 詞 的 ). 12。. (関 係節相当). に導 かれ て主 語・述語. 14.(他 動詞 の直接 目的語). い る。. (2)Ⅲ の名詞的関係 に関 しては 問題 が あ る。. OEDも 述 べ てい る よ うに,こ. こでは「 toは 自らの意味 を全 く持 たな い. ,. 単 な る 不定詞 の「 印」 (sign)と な って い る」 ので あ る。 この点 につ いて は ,他 の資料 か らの検討 を待 たね ばな らな い。 さ らに, 1の 記 述 か らは省略 したが ,い わゆ る「 不定詞付 き対格構文」 につ いての記 述 か ら,傍 証 として,次 の事実 は注 目に価す る と思 う。 この構文 に は ,Rosenbaum(1967)が 「 動詞句補文」,「名詞句補文」 の名 で 区別 を し 4). た 2つ の類 に該 当す る, 2つ の異 な る種類が あ る。 OEDの 記述 に よる と. ,. `commanding,teaching,causing,a1lowing,or the like'を 表す動詞 の後 に 来 る構文. (Rosenbaumの 動詞 句補文 に該 当す る)は ,OE期 に 出現 してい. るのに対 して,`saying,thinking,knowing,perceiving,or the like'を 表 わ. 3)OEの 4)さ. 例 が散見 され る。 らに,believeな どを含む,第 三 の グル ープを区別す ることがで きるが,こ こでは. 触れ な い。.

(10) 10. To不. 定詞の本質. (そ. の 1). す動詞 の後 に来 る構文 (ROsenbaumの 名詞句補文 に,ほ ぼ ,該 当す る)は. ME期. ,. に 出現 してい るのであ る。前者 の グル ープの toの 方が ,toの 原義 で. あ る「 方 向, 傾 向」, さ らに「 指定」 とい った意味 を よ り多 く持 ってい る よ うに思われ るのではないか。 上 の(2)で 述 べ た よ うに,Ⅲ の to不 定詞 の用法 が. OE期 か ら存在 してい る. こ とは,第 1仮 説 の反証 とな ってい る。 しか し, ここで考慮 しな けれ ば な ら な い こ とは,(a)原 形不定詞 との併用 ,h)他 動詞 に も自動詞 に も用 い られ る動 詞 の後 での解釈 , とい うこ とで あ り,こ れ らについ ては OEDも 触 れ てい る が ,以 下 では,Jespersen(1954)に よって考察 を進 めたい。. 2。. 2。. 2. Jespersen (1954). 本 書 は ,`on historical principles'と 副題 に 銘 を 打 って は い るが ,対 象 は. MOdern Englishで あ って ,本 稿 で 考 察 して い る主 題 につ い ては ,散 発 的 に 言及がなされているのに過ぎない。:そ して,「第 1仮 説」を支持する記述が V.pp。. 157f。. に展開されているが,に こでは繰 り返さない。〔 以下には,「 名. 詞的関係」 に関す る 記述 に限 って, (各 項 目の後 に. V巻 の記述 を 紹介す る こ とに したい。. ,V巻 のペ ー ジを記 す。). (1)OEの 詩文 においては,to不 定詞 が主語 あ るいは 目的語 として用 い られ てい る例は存在 しな い。 (p.162) 散文 においては ,to不 定詞 が 主語 で あ る と感 じられ る よ うに な る統 語的認 識 の転移 が 生 じた。 た とえば,次 の文 で hitは 主語 で ,to secganneは. ,. `in respect of speaking'を 意味 していて,主 語 では な い。 hit is ungeliefedlic to secganne(=二. Jグ. ι . it is incredible to speak). しか し,類 似構文 の多 くで認識 の転移 が 生 じて (Jespersenは これを「 異 分析」 (metanalysis)と 呼 ぶ )月 to不 定詞 が 徐 々に主語だ と感 じられ る よ うに な った。 そ して, 次 の文 では ,to不 定詞 が 主語 とな った こ とは疑 い な い。.

(11) 杉 浦 茂 夫. him leofre waere wib hiene to feOhtanne(=″ ″.to him more pleas‐ ant would be with hiln to nght.. グ .ι . to nght with hiln would be lnore. pleasant to him.). (pp。. 162f。 ). (2)動 詞 の 目的語 とな った不定 詞を伴 う構文 は,い くつ か の事例 において. ,. 方 向を表わす toの 用法 に 由来す る ものか もしれ な い。 (p.192). Jespersenの 説 明 の うち, 主語 に関す る ものは,「 第 1仮 説」を支持す る方 向 に あ る と思 う。 しか し, 目的語 とな った場合 についての説 明 は,い ささか 歯切れ が悪 い と思わ ざるを えな い。 それ で ,OEの 文法書 に 当 ってみ る こ と に したい。. 2。. 2。. 3 Sweet(1953). OEの. 文 法 書 の なか で ,Wright. and Wright(1923)は ,Phon010gyと Accidenceの み を扱 って い て ,tO不 定 詞 の用 法 には 言及 して い な い。 BrOok (1955)と ,Sweet(1953)に は 言及 が あ るが ,後 者 の 方 が 詳 しい の で , こ こで は それ を紹 介 した い 。 to不 定 詞 の 用 法 は ,次 の 4つ で あ る とい う。(ppe 55f.). (1)目 的を表 わ す 唸)「 始 め る, 止 め る,禁 じる,教 える」 の よ うな,い くつ か の動詞 の意味 を補足 す る。 (そ れ らの動詞 には,原 形不定詞 が伴 うこと もあ る) 形容詞 の指示 を限定・ 決定す る 必然性・ 適合性を表わす. 上 の(2)が 動詞 の 目的語 となる場合 で あ るが ,現 代英語 にお け る よ うに「 動作 の対 象」 とい う理 解 では な くて,「 動詞 の意味 の補足」 で あ る点が重 要 で あ る と思 う。 そ こに は,「 方 向」 とい う toの 原義 が 明 らか に感 じられ るか ら で あ る。 これ で, 2。. 2.1で 示 した OEDか. らの資料 の うち,「 第 1仮 説」. の反証 とな りそ うな名詞的関係 の例 につい て も,反 証 とはな らな い ことが 判.

(12) To不 定詞の本質. 12. (そ. の 1). 明 したと思 うのである。. 2。. 3. 第 2仮 説とその検証. 2。. 1で 2つ の問題 を 提 出 したが, 第 2の 問題一― 現代英語 では 不定詞 を. 形 の上だけで動詞 の他 の活用形式 か ら区別 で きな い こ とか ら生 じる諸 問題 に 移 りた い。 OEで は違 った語形 を もっていた 原形不定詞 と. to不 定詞が 同 じ. 語形を もつ よ うに な り,ま た直説法現在形 (3人 称単数を除 く)や 命令法 な どとも同 じ語形 を もつ よ うに なる過程 で,to不 定詞 の用法 が 原形不定詞 の領 域 へ 侵入す る とい う形 で拡大 してい った こ との背後 には,tOを 不定詞 の標識 として要 求す る とい う力が働 いたに相違 な い と考 え られ る。 そ こで,第 2の 仮説 として,「 言語 には 明確 な範疇標識 を要 求す る力が 作用す る」 と考 え て. ,. この仮説 を 3つ の観点 か ら探究 してみ よ う。. (1)原 形不定詞 と to不 定詞 (2) fOr to. β)受 動不定詞 と遡 及的不定詞. 2。. 3。. 1 原形不定詞と to不 定詞. OEで は,い わば無標 の か ら増 大 した. (unmarked)形 で あ った原形不定詞が ,OE後 期. to不 定詞 の使用 のために そ の地位 を奪 われ ,現 代英語 では. ,. 有標 の (marked)形 とな って しまった過程 について は,多 くの 言及 が あ り. ,. ここで紙 幅を費す こ とは避 け よ うと思 う。 そ してその背後 に,`the need Of some mark to distinguish the ininitive fron1 0ther parts Of the verb and. from the cOgnate substant市 e'が あ った とす る. OED(s.v.To)の 記述を. 紹 介すれ ば,to不 定詞 の発達 が「 第 2の 仮説」 の線 に添 った 発達 で あ る こ と を証 す るのに十分 で あろ う。 なお,こ の過程 につ いては ,次 の 3つ の書物 を 対照 され る こ とをお勧 め したい。 /Jヽ. 野 0中 尾 (1980)p。 419∼ p。 431. 中尾俊夫 (1972)p.280∼ p.294,p。 305∼ p。 314.

(13) 杉 浦 茂 夫 荒木・ 宇賀治 (1984)p.445∼ p.448. 2. 3。. 2. fOr to. 「 目的」 とい う概念を強 めるために,for toと い う形が用 い られたのは. ,. ME期 であった. (詳 細な時期 については.Ono(1965,pe. 262)に 引用 された. Mustandaの 記述を参照 のこと)。 この for toの 使用か ら衰微へ の事情 は. ,. 5). 次 の段 階 を経 た と説 明 され る。. (1)本 来「 目的」を表わ していた to不 定詞 が,さ まざまな意味を表す よ う に なるにつ れ て,toが 本来 の 力を失 って きた。 (2)「 目的」 の意味 を強 め るために,そ れ 自体 も「 目的」 を表わす forを 添 え て用 い る よ うに な った。 鱚)for. toは ,「 目的」 の意 を強 め る用法が本 来 で あ ったが , 弱 まって単 な. る不定詞 標識 とな り,toの 自由変 異形 として用 い られ る よ うに なる。 (13 世紀 ) に)14世 紀 に な る と衰 え始 め ,減 少傾 向 は,個 々の作家 や写字生 に よ り変化 は あ るが ,15世 紀 に も続 く。 6). )今 日では,方 言や卑俗語 にのみ残 る。 “ 以 上 の 5段 階 の 中 ,(動 において「 第 2仮 説」 が働 いていた と考 え られ るが. ,. 現代英語 の in order toと い う表現 の存在 も併 せ て考 える必要 が あ る と思 7). う。 In order toが 鱚)の 段 階 に まで進 んで,単 なる不定詞標識 となる こ とは 前置詞 で あ るのに対 して,in order 今 の ところ考 え られ な い と思 うが ,for力 ` は名詞 を含む前置詞句 で あ る とい うこと も,鱚 )の 段 階 へ の発達 を左右す る要 因 として考 え られ るのでは な いか とい うことを指摘 してお きた い。. 5)Ono(1965),小 野. 茂 (1981)に よる。 通説 に対す る 小野教授 の 批判 につい ては. 同教授 の論考 を参照 され たい。. 6)こ. の項 は,Jespersen(1954,V,p.212)に. 7)Jespersen上 掲書. p。. よる。. 249.こ の表現 の初 出例 は. OEDに. よれば1711年 で あ る。. ,.

(14) To不 定詞の本質. 14. 2.3。. 3. (そ. の 1). 受動不定詞と遡及的不定詞. 不定詞 は,「 有史 以前 の時代 においては,完 全 な屈折 を もった動詞的名詞. (verbal substantive)で あ った]:名 詞 で あれ ば,態 には 中立的 で あ って. ,. そ の事 情 は現代英語 の次 の例 か らも明 らかで あ る。. the enemy's グι グ s″ rα ε ″ οη Of the city the city'sご ι ι s′ r″ ε Jο π by the enemy. 上 の destructiOnは 「破壊す る こ と」,下 は「 破壊 され る こ と」 で あ る。 こ の こ とか ら当然 の帰結 として,不 定詞 は能動的 な意味 に も,受 動的 な意味 に も用 い られ ることが で きる とい う ことに な り, 現 に そ の用法は 多 い。 そ し て,tottbe十 過去分 詞 とい う形 の上 で も受動態 に な ってい る不定詞 の用法 は 比較的 新 しく, か つ 周辺的 な用法 とい うこ とにな る。「 第 2仮 説」 か ら言 え ば ,「 受動 とい う意味 範疇 は, 明確 な受動 態 とい う形式 を要 求す る」 はず で あ るか ら, この点 では,「 第 2仮 説」 とは反対 の 力 が 作用 した こ とに な る。. Jespersenは ,形 式 上は能動態 で あ るのに,意 味 の上では受動 で あ る不定 詞 を「 遡 及的不定詞」(retroact市 e inf.)と 呼 び,「 受動不定詞」 と対比 させ て い る。 以下 に彼 の所論 の うち本稿 の趣 旨か ら見 て興味深 い点を簡単 に紹介 し てみ よ うと思 う。 (ほ とん どV巻 か らの 引用 で あ るので,括 孤 内 に そ の ペ ー ジを示す。 V巻 以外 か らの場 合 は,巻 数 とペ ー ジを示す。). (1)英 文法 には「 合理化傾 向. (rationalizing tendency)」. η',`il θ 果 ,他 の言語 で `er liess sie″ σ″. la nt″ zθ r'(イ. が 観察 され ,そ の結 タ リッ ク体杉浦。 い. ずれ も不定詞 )と 表現す る ところを,`he let her bι たグ ご,caused her ι ι ι θ ο らθたグ Zι θ α'(イ タ リック体杉浦 )と 言 うほ うが ,母 国語話者 の言語直観 に と って は ,よ り論理的 で あ る よ うに思 える。 しか し,完 全 な首尾一 貫性 は達 成 で きな か った。 (p。 221). (2)他 動詞不定詞が,概 念 上 目的語 であ る もの を後 か ら指示 す る構文 は OE か ら見 られ る。 ウル ガタ聖書 の `Herodes quaerat puerum ad pendendum 8)Jespersen(1954,Ⅲ ,p.216及 び V,p.150).

(15) 15. 杉 浦 茂 夫. eum'(Zル .=H.seeks child to destroy him.)は cild to forspillene'(ι. ,OEで. は `H.secb paet. ル.=Ho seeks that child to destroy'と. 翻訳 され てい. る。 (p。 222) テ ン語 に堪能 なお二 人 の意 見 では,上 の ラテ ン語 で ,puerumと. (ラ. eum. が 別 の人物 を 指 示 してい る可能性 も残 る との ことで あ るが ,Jespersenの 説 明 は,同 一 人物 を 指示 す る とい う読 みに基 づ いてい る ことは 明 らかであ る。). (3)遡 及的不定詞 と受動不定詞 の間 には複雑 なパ ラ ドックスが 見 られ る。 (a)`she did what there was to do'か ら,thereを 省 くと,`What was 9). to be done'と す る必 要 が あ る。 (p.228) (b) `there was nO tilne to lose'. ま と `there was no tilne to be lost' ヤ ,. 実 際 上 同 じ意 味 で あ るが ,`there was nothing to see there(nothing. wOrth seeing)' と `there was nothing to be seen there(nothing that cOuld be seen,nOthing visible)'の 間 には 意 味 の 区別 が あ る。 (p.229). (a「. 目的 」 を表 わ す 三 次語 (tertiary)と して用 い られ た不 定 詞 も,遡 及 的. 不 定 詞 とな る こ とが あ る。. Had he bought then■ to put there P(pe 252) に)「 指定 」 (specincation)の 不 定 詞 が ,遡 及 的 に 用 い られ る こ とが多 い 。 there was sOmething ready to eat。. (p.270). しか し,興 味 深 い こ とに ,今 な らば遡 及 的不 定 詞 のほ うが普 通 で あ る よ う な場 合 に ,受 動 不 定 詞 が見 いだ され る。 受動 不 定 詞 は 15世 紀 か ら18世 紀 に か け て ,今 よ りも一 般 的 で あ った 。. Money was so hard to be got there.(Swift)(p.271). (0. 本 節 の 主 題 で あ る 2つ の 不 定 詞構 文 を含 む類 似 構 文 の 全 体 像 を 明 らか に. す るためには,話 し手 の角度 ,聞 き手 の角度 とい う2つ の違 った角度 か ら 眺 め る必要 が あ る。 自分 の思想を表現 したい と思 う話 し手 は 同一 の観念 を表わすた めの さま. 9)後 者 の表現 では,be+to力 `助動詞 と感 じられ ,be dOneが 主動詞 で あ って不定詞 と は感 じられ な いため,遡 及 力を失 った と考 え られ る。.

(16) 16. TO不. 定詞 の本質 (そ の 1). ざ まな 表 現 法 の 間 で 選 択 を しなけれ ば な らな い 。. (a)To deceive him is easy. (目. 的 語 を 伴 う不 定 詞 が ,文 の 主 語 ). (b) It is easy tO deceive hiln。 (予 備 の itを 用 い ,不 定 詞 は 外 位 置 に ). (C) He is easy tO deceive. (視 点 が 移 動 して , 人物 が 主 語 に な る。. Heは. deceiveの 目的 語 で もあ. る) (d) He is easy to be deceived.. (Heは 受 動 不 定 詞 の 主 語 とな る) (e) He is easily deceived。 (定 形 動 詞 が 受動 態 で ,形 容 詞 が 副詞 に ). (f) He is easily to be deceived.. (dと eの ,論 理 的 な混 成 形 で あ るが ,ぎ こ ち な い 言 い 方 )(p。 272) 一 方 ,述 べ られ た こ とを理 解 した い と願 う聞 き手 は ,不 定 詞 に 先 行 す る語 (群 )を , 不 定 詞 に よって 表 現 され る観 念 の概 念 上 の ,主 語 と とるか , 日. 的 語 と とるか ,を 決 めね ば な らな い 。 (a) there was no tilne to take tickets。 (b) there was no tilne to wait there. (C) there was no tilne to be lost. (d) there was no tilne to losee この 4つ の 文 の うち ,(a),い ),(C)が (d)と 対 立 して い る こ とは す ぐに 理 解 で き る。 (a)は 不 定 詞 自体 が 目的 語 を伴 って い る。 b)は 自動 詞 ,(C)は 受 動 不 定 詞 で あ る。 これ に対 して ,(d)は 目的 語 を使 わず ,従 って 先 行 語 を 概 念 上 の 目的 語 とす る と 自然 に 理 解 され る他 動 詞 で あ る。 (pp.275f。 ). 以上 の 6項 目を「 第. 2仮 説 」 の 観 点 か ら検 討 してみ る と,(1)は 仮 説 を支 持 し.

(17) 杉 浦 茂 夫. てい るが ,幅 )は 明 らか に逆行 してい る。. (“ )の 話. し手 の角度 か らの説 明 は. ,. 現在 では 談話分析 の 観点 か らもっ と 説得力 の あ る 説 明が 可能 で あ る と思 う が , 紙 幅 の都合 で, 触れ な いでお く。)に )に 関 して ここで 問題 に した いのは 次 の こ とであ る。遡 及的不定詞 の方 が 受動 不定詞 よ り好 まれ るのは,「 不定詞 10). が (他 の動詞的名詞 と同様 )能 動 ,受 動 の 区別 に中立的 で あ った」 とい う歴 史的 な理 由 に加 えて,「 形 が よ り簡単 で あ る」 とい う,い わば「経済 の原則」 が働 いたためでは な いか。 そ して,「 経済 の原則」 が働 くた めには,「 正 しい 理解 の妨げ に な らな い 限 り」 とい う但 し書 きが 必要 で あ る と思われ るが ,そ の但 し書 きは,上 の16)の 聞 き手 の立場 の説 明 の 中 に存在 して い る と考 え られ るので あ る。 つ ま り, そ の但 し書 きは一般的 に言 えば ,「 環境 か ら直観的 に 正 しい理解が 得 られ る限 り」 とい うことで, この場合 に則 して言 えば,「 不 定詞 が 目的語を伴わ な い他動詞 で あ る」 とい うことが ,遡 及不定詞 の使用 の 支 え とな ってい る と考 え られ るのであ る。 もちろ ん,事 は この一 つの但 し書 きで片 づ け られ るほ ど簡単 では な い。 た とえば,there was no time to lose と,there was no time to eatを 区別す るには,「 他動詞」 とい うだけ では 不十分 で,選 択制限 な どに よらね ばな らな いので あ る。. Jespersen(1954,Ⅲ ,p.219)に は,「 今 日では,受 動不定詞 は,た いてい の場合 ,能 動形 ほ ど自然 では な い よ うに思われ る」 とい う記述 が あ る。現代 英語 の geniusは ,受 動不定詞 を避 け る方 向 に あ る と思われ るが ,そ の背後 には上 の パ ラグラ フで論 じた よ うな事情 が あ る ことを銘記 しておかねばな ら 11). な い。. 2。. 4. 本章のまとめ. 本 章 では ,. 2つ の 仮 説 に よ り,to不 定 詞 の 歴 史 的考 察 を試 み た。 第 1の 仮. 10)Jespersen(1954,Ⅱ ,p.395) 11)さ らに,現 代英語では,Baker(1989)の い う `a missing noun― phrase'を 含む構文 が他 に も多 く存在す るとい う事実 も考慮 されねばな らない。 その よ うな 構文 とし て,同 書が挙げているのは,関 係節,分 裂文,比 較構文,(直 接 0間 接)疑 問文 ,. easy構 文,自 由関係節,受 動句, 目的節などである。.

(18) To不 定詞 の本質. の 1). (そ. 説 は,多 くの 言語事実 に あ ては ま り,一 見例外 と見える もの も,OEの 統語 論 の特殊性を考慮すれ ば 例外 ではな くなる こ とを 見 た。第 2の 仮説 は,to不 定詞 の用法 の発達や ,for toの 使用 には あ ては まるが ,遡 及的不定詞 の使用 と受動不定詞 を避け る傾 向を説 明す るには,他 の原則 が 必要 で あ る ことを見 た。 次章 では,視 点を , ドイ ツ語 と フ ラ ンス語 に広げ て,不 定詞 の本質 を探. (1990年. 究 したい。. 8月 ). 参考書一覧 荒木一雄 0宇 賀治正明。1984。 『英語史ⅢA』 (英 語学大系 10)大 修館書店 Baker,Co L.,1989,Eη gι グsん 助. 22ι. α″。The. MIT Press。. Brook,G.L. 1955.. スπ ルz′ roグ εガο72 ′ 0 0ι ご Eπ gι グ sん 。Manchester lUnive Pr. “ JespersOn,0.1954.A MOdcrπ Eπ gι ′sん Grα ttπ αr Oπ ffJs′ οだεαιPだ ηεゎ ιιS。 7. volso George Allen&Unwin. 中尾俊夫 。 1972.『 英語史 Ⅱ』 (英 語学大系. 9)大 修館書店. Ono,S.1965.The lninitive withル ″ ″ οin. Early Middle English。. 雄教授還暦記念論文集』p。 262-pe 269)研 究社 小野 茂 。 1981。 『 フ ィロロジーヘ の道』研究社. (『. 中島文. .. .. 茂・ 中尾俊夫。 1980。 『 英語史 I』. 小野. Rosenbaum,P.S.1967。 s″. rχ. εガθηs.The. Setteantson,MoS。. (英 語学大系. Tん θGπ ππα″げ Eηg″ sん. MIT Press. 1935。. ■二. r′ s′. 。響 げ Fo″. &Kegan Paul. Sweet,H.1953。. `な. π WOrご sグ πEzgJJsん .Routledge. Sω θ α's Aπ gι ο― πPだ π Sα ″ο. `r9(Rev.NOrman Da宙. Unlv.Press. Wright,J。. 8)大 修館書店. Pr″グ ε α′ ι ttθ ″ COπ ‐ θCο η夕ι. &Eo M.Wright.1923.Aπ. s)。. Oxford. Eι ι πι η″ αっ′Oι ご Eηgι グ r. sん Grα ππα. OxfOrd Univ.Press。. Zandv00rt,R.W. 1975.A」 %zπ ごらοοたげ 丸善. Eπgι グ sん. Gzπ παtt. Longman.Rpt。. .. 参. 考. 辞. 書. Hall,J.R.C. 1984. A Cο ηεグ sθ 4η gZο ― Sα ″ο πDた ι グ οηαり. Univ.of TOronto Pr.. Murray,J.Ao H.グ αJ.1933.7■. `Or/oだ. E2gι Jsん D′ ε ガοπαり .13. vols.[OED]. ,.

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