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言語景観における外来語使用 ―スターバックスのカタカナ表記実態を中心に―

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(1)

言語景観における外来語使用 ―スターバックスの

カタカナ表記実態を中心に―

著者

陳 珍珠

雑誌名

東北大学言語学論集

25

ページ

69-84

発行年

2016-12-01

URL

http://hdl.handle.net/10097/00130468

(2)

言語景観における外来語使用

ースターバックスのカタカナ表記実態を中心に一

陳 珍 珠

キ ー ワ ー ド : 文 字 環 境 モ デ ル 言 語 景 観 生 態 言 語 学 カ タ カ ナ 1.はじめに 外国の事物や文化の受容の際、言語は意思疎通の手段として重要な役割を果たしてい る。外国語を引入する時、その言葉を自国の言葉に訳さないと理解されることができな いわけである。それらは借用語!として使われている。例えば、以前

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という 言葉を輸入した際、訳語には体系的な意味をなす「科目」と知識や経験の意味をなす「学 関」と組み合わせてから、「科学」と翻訳されてきた。しかし、近年はよく「サイエン ス」というカタカナ語で直接音訳する表現も見られる。日本語は多様な文字を用いる特 殊的な表記体系を持つため、外国語および文化に関する事物や概念などを翻訳する代わ りに、直接音訳にしてカタカナで簡単に表記し、取り入れることができる。現代日本語 における表記文字は漢字、ひらがな、カタカナという三つの文字からなる。原則的に言 えば、和語と漢語はひらがなと漢字で表記し、外来語はカタカナで表記することになっ ている。陣内

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世紀の外来語像について外来語の表現効果や利便性を考え ると、今後とも増加していくことは間違いないのであり、このことは否定的に見るので はなく、むしろ日本語の活力の表れとして積極的に評価すべきであると指摘した。 言語の使用実態は人間による内在的な言語知識に関係するだけではなく、外在的な環 境としての文化発展、社会進展などの要因にも繋がっている。国立国語研究所はどの文 字表記が選択されやすいのか、という問題意識のもと、日本語学の知見に加えて、認知 科学、計量経済学などの優れた発想・理論も参照しながら研究を展開し、文字環境モデ ルを提案している。文字環境モデルでは言語の使用実態について「言語と社会制度と心 理」の三者関係が重視されていた。 日常生活における言語の使用実態を表すーっの指標として、書き言葉もしくは文字情 報が用いられる。文字表現に関する研究は、書き言葉という言語学的な分析を中核にす え言語景観研究でありながら、その文字について、文化的、社会的意味について探求す 1本稿では f現代言語学辞典』による外来語 (foreignword)は外国語の音とアクセントを そのままの形で取り入れたものであるという定義を引用する。日本語においてカタカナ文 字で表記されている。借用語(loanword) は自国語の音韻体系に合うように変形して取り 入れたものである。借用語の定義について、「借用語Jを「外来語」の上位概念と捉える論 議もある。 -69

(3)

報が用いられる。文字表現に関する研究は、書き言葉という言語学的な分析を中核にす え言語景観研究でありながら、その文字について、文化的、社会的意味について探求す る新たな試みを見せている。現代日本語の言語景観に対して、正井(

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は戦後の実 態調査を行い、喫茶店では早くからカタカナ・アルファベットを用いており、その語源 も外来語が多く、時代の先端を切っていたと述べた。然し和食店や呉服庖は漢字が多い。 この傾向は新宿に限らず、ほかの地域でも観察されると述べられていた。 !吉名看板の言語や文字種など調べた正井の先駆的な調査以降、それからもいくつかの 調査が続き、日本国内の言語景観の通時的な全体像が明らかになってきた。近年では、 言語景観の一部に含まれる言語サービス2として英語やローマ字を用いて道路標識、地 下鉄案内板などで提供されるようになった。また、海外進出、経済活動、社会進展など のグローパル的な環境に従って、日本の言語景観には「国際化」の傾向が見られる(庄 司

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)

。 言語景観研究の範囲は専門家が製作する商業価値のあるものから普通の人が作成す る手書きの貼り紙のようなものまで幅広く含む。つまりあらゆる種類の公共空間におけ る可視な書きことばを対象とした研究を指す。 日本語の文字表記に対して、語種による文字種の選択が行われている。外来語を表記 する時、アルファベットおよびローマ字しか表記できないわけではなく、日本語の文字 表記体系にカタカナで表記することが可能である。本稿目的は言語景観と国立国語研究 所により提案された字環境モデルの仮説に基づき、文字環境は文字使用の実態に与える 影響を中心にして、スターパックス社の

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での言語表現の語種選択を考察し、またス ターパックス社の商品名および広告におけるカタカナ表記用例を分析し、文字使用環境 の観点からカタカナの表現効果を論じる。

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先行研究

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言語景観 海外における言語景観

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に関して、

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は言語景観と言語活力の関連について、言語景観を多言語の存在や勢力関係、あるいは それらの活力や多数派社会による受容度の指標として関連づけようとする姿勢は近年 一般化しつつあると指摘された。言語景観研究(LinguisticLandscape Studies, LLS)は、 専門家が製作する商業価値のあるものから普通の人が作成する手書きの貼り紙のような ものまで幅広く含む、「案内板、道路標識、安全標示、届舗の看板、落書きなどあらゆる種 類の公共空間における記述」すなわち「公共に可視な書き言葉J(Blommaert 2013, p.1) を対象とした研究を指す。 2河原・野山

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)

によると、言語サービスは「外国人が理解できる言語を用いて、 必要とされる情報を伝達することJと定義することができる。本稿では語種の選択に基 づいて、カタカナ表記にした外来語を既存語の社会異形態を考える。 70

(4)

それに対して、日本における正井

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は「言語およびその視覚表現である文字から みた都市景観のことであるj と「言語景観」を定義された。言語は文字という媒体を通 して視覚に訴えることができる。その結果、景観要素となりうるのである。このような 文字は「景観」を感覚的、殊に視覚的に捉えられる物に限定した。一般的に言えば、言 語景観とは景観の下位概念に属する都市景観に見られる書き言葉を指すものが多い。言 語景観に関する研究は特定の領域あるいは地域の公共的・商業的における言語の可視性 と顕著性を中心とする研究分野である。 日本語の文字表記では表意文字(漢字)、音節文字(かな)、音素文字(アルファベッ ト・ローマ字)といった多様な文字類型が併用されているため、言語表記には多元的な 表記類型が可能である。文字表記によって形成されてきた言語景観には言語景観の研究 に基づき、井上

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1)は、目立つ文字使用に着目して、表!に日本の言語景観 の歴史的発展をまとめた。 表l 日本の言語景観の歴史的発展 段 階 時代 表記の有力タイプ ターゲット 言語計画3

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以前 漢字優勢タイプ(漢語) 日本人 実体計画

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年代 カタカナ優勢タイプ(外来語) 日本人 実体計画

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年代 アルファベット優勢タイプ(英語) 日本人 実体計画

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以降 アルファベットプラスタイプ 外国人 地位計画

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を見ると、言語表記を四段階に判別できる。

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は漢字優勢タイプ、

2

はカタカナ 優勢タイプ、

3

はアルファベット優勢タイプ、

4

はアルファベットプラスタイプである。 これらの表記の背景には、言語状況、社会の働き、人々の意識の反映がある。言語表記 実態の有力タイプpの変容は時代の進展に沿って社会環境と取り巻いて相互作用してい る。文字表記は社会生活に視覚的な言語景観になる。更に、文字優勢タイプにより、言 語計画としての政策的な問題になってくる。

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3

文字環境モデル 生態言語学では、言語の使用には社会環境、文化交流などの要因が大きく関わってい 3言語計画:言語の獲得、構造、昨日配分について他者の行動に影響を与えるための意図的 な取り組みを指す。一般的に、言語の用いられた方を変えるための目的、対照、戦略の開 発を伴う。言語計画にはコーパス計画、言語の形態に対する規範的な介入;位置付け計画、 ある言葉のコミュニティでの言語の機能や識字を配分するための意図的な取り組み;言語 習得計画、国語であれ第二言語や外国語であれ、言語の学習と教授に関わることという三 つの面に分けることができる。 η i

(5)

ると仮定されている。通常、 言語環境は一般の言語使用の影響を受けていると考えられ るが、逆に言語環境が一般の言語使用に影響を及ぼすという方向も十分にありうると思 われる。国立国語研究所は文字生活の実態をつかむために、

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年と

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年に新潟県 長岡市と東京都で科学的な調査研究を行った。この調査研究で、 言語と社会と心理の三 者関係を重視していた。この以降、笹原 ・横山・ロング

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は漢字と社会制度と心 理の三者関係を「漢字環境」という視点で検討する枠組みを提案した。更に国立国語研 究所は

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年にスター卜した基幹型フロジェクトにおいて、文字と社会制度と心理の 三者関係を重視しており、図 lに示す文字環境のモデルを提示した。 図l文字環境モデル 出典:国語研共同研究プロジェクト文字環境のサイクルモデル

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4

年版) 文字環境モデルは、文字生活の実態をリアルタイムで映し出すだけではなく、今後の 文字環境の変化を精度よく予測できるものであることが望まれる。文字表記の使用実態 と使用意識に対する基礎研究は,日本人同士の文字コミュニケーションに関する研究 に加えて,日本語学習者の漢字習得研究にも新たな理論的基盤を提供するものと期待さ れる。

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年から

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年までの研究では、図

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のなかで [社会的使用頻度→接触頻度 →記憶痕跡→なじみ(親近度)→好み(選好))の流れに相当する部分に注目し、文字 環境と単純接触効果の関係を検証した。 単純接触効果

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とは 「なじみ(親近度:

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の な い新奇な刺激に繰り返し接触するだけで,その刺激に対する好み(選好:

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や好意度 (f

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が高まる現象」を指す

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。脳科学の分野では

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は言語使用を日常生活で、どの表現を選択するかという意思決

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定の連続だと考えられ、それらの中で重要な位置を占めるのは「好み」であろうと推測 し、「文字選好実験J4を行った。実験では日本語を学習したことがない英国人

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名の実 験参加者に対して、接触した漢字とそうでない漢字を刺激呈示終了後にベアで示して、 どちらをより好むか

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肢強制選択法

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で尋ねてみた結 果,接触した方の漢字が多く選ばれる傾向にあった。 この結果に基づいて、横山

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は日本語の異体字のバリヱーションは現代日本の 文字生活になんらかの影響をもたらしていると推測したと考えられ、異体字選好の地域 差を検証するため、東京都葛飾区金町(葛飾群用)と新宿区中野坂上(山の手群用)に おける葛飾群

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名,山の手群

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名,計

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名の実験参加者に実験を行った。調査結果 から、日常生活でよく使われる単語ほど好意度が高く、また好意度の高い単語ほど使用 頻度と好意度の問には正の相関があることが示された。 上述の研究から見ると、文字表現の選択は言語環境と人間の心理との相互的に関わっ ていることが分かった。但し、日本語は多様な表記文字を持っているゆえに、同じ事物 にとって、文字表現における言語選択は同じ文字種に限り異体字のみではなく、語種に よる和語と漢語からなる既存語に対する外来語という社会言語学的語葉異体形で表現 することが可能である。外来語の使用について、文化庁の国語施策・日本語教育に指摘 されている通り、日本社会の国際化や新技術の開発などに伴って、新しい概念やニュア ンスの提示など、外来語・外国語を使用せざるを得ない面があり、また外来語・外国語 を用いた方がその日本語訳よりも分かりやすい場合もある。例えば「テレビJ

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ラジオ」 などは日常で使用されており、すでに日本語として定着している。一方で、漢語

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つ和 語からなる既存語があるにもかかわらず、言い換えて使われることも見られる。例えば、 デパートの売り場で「レディ一」、「メンズ」、「キッズ」などの表現は日本語の「女性」 「男性J

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子供Jを取り換えてきたこともよく見られる。 更に、認知言語学においては言語の表記形態のいや視覚に基づく文字の見え方の違い がイメージの違いを起こすと主張されている。日本語の語最は、同じ意味の語であって も、どの語種に属するかによってイメージが異なることが指摘されている。『日本語教 育事典』の「語種」の項には、「和語には俗っぽい感じが付きまとうのに対して、漢語・ 外来語には、優雅で洗練された感じがある」と述べられている。菊地

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は「スイ 4実験参加者に対して、日本語の漢字20字(隊,謙,働など)を 1文字ごとに0.05秒間だ け瞬間呈示し,続けて眼の残像を消すための刺激(マスキング刺激)を0.45秒間呈示した。 各漢字は 10回ずつ呈示され,刺激呈示に要した時間は合計で l分 40秒であった。このよ うな条件下で英国人が新奇な漢字刺激を知覚するのはほぼ不可能であり,その漢字刺激を 見たという接触意識さえ持てない。 73

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ミング

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I水泳

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I泳ぎ」と「クェスチョン

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I問題

J

I問い」と「フレンド

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I友人

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I友」 の

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個の語形をサンフルにして用い、語種の異なる語についてあらかじめ用意した

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種の形容語対における位置付けをさせるという調査を行った。その結果により、外来語 が強自の位置を占めていることは検証できた。 言語の選択において、文化変容および、使用環境などの外在的な要因を無視することが できないという見方は生態言語学においても指摘されていた。アメリカの言語学者エイ ナー・ハウゲンにより言語とそれを取り巻く環境の問の棺互作用が主張された。言語の 「文化力

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は、言語が話されるだけでなく書かれることにより、 威力を増す。言語と文化環境の関係についていかなる言語接触現象も、言語を媒介とし た文化的要素の伝播、即ち影響を受ける側から見ると「文化移入」という現象を伴って いる。つまり、言葉は一つの文化的な要素が言語共同体の知識として移入され、それと 共に、それにまつわる言語表現が移入される過程(借用による語葉の増加)である。その 結果、同じ意味であっても異なる言葉で表現することが可能である。

3

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スターバックスにおける文字使用の考察 我々は日常生活において景観になる文字に固まれ、無意識に見ながら生活している。 そして、その文字は漢字、ひらがな、カタカナと複数存在している。染谷

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は各 文字種はそれぞ、れ異なる役割を担っていると考え、これらを大きく分類すると、看板表 記には、文字情報を的確に伝えるという実用的な表記(実用性)、また慣用的な表記法 を外れることによって、意味の多重性、強調、和らげなどを「表現」をしようとする表 記(表現性)と、更に、文字種の持つイメージを利用した表記(表象性)、という三つ の特徴になることを示した。 カタカナ表記は外来語を表記する役目を担う。外来語使用は外国に関する場合がよく 見られる。正井

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の調査データに基づいて林(

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の追調査を参照すると、看 板の文字使用の変化について、喫茶庄は早くからカタカナ・アルファベットが多く、ま た語源から考えても外来語が多く、時代の先端を切っていたことが観察された。現代で はスターパックスコーヒージャパンはカフェ業界ランキングに首位としての

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仰の売 上高シェアとなった。(業界動向サーチ

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の調査データにより)。スターパック ス社は

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年にアメリカのシアトル市に誕生したグローパルな規模のコーヒー会社で ある。日本では、

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月に東京・銀座に日本

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号庖がオープンした。その後、日 本国内に1.

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庖を超える庖舗を出店した。現在、多くの人に認知され親しまれている。 スターパックス届内の商品名はほとんど表記されていて、 HPにおける広告フレーズに は外来語が多量に使われている。本稿では、文字環境モデルによる言語使用が環境に影 響を与えるという観点に基づいて、スターパックスの日本国内向けウェブサイトに掲載

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-74-された商品ビパレッジメニュー(43件)とフードメニュー (39件)の商品名の文字表記実 態、また 2016年度の季節おすすめ商品の広告フレーズに使用された外来語の用例を通 して、カタカナ表記5の効果を考察する。

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1

スターパックスの商品名における文字の使用実態 本稿ではスターバックスの2016年度の日本国内向けウェブサイトに基づいてHPに掲 載されたビパレッジメニュー(43件)とフードメニュー(39件)における商品名の言葉選 択を考察した。それらの文字構成素を調べて、結果を以下のようにまとめた。 L文字構成素 (1)漢字

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ひらがな

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カタカナ (4)アルファベット(英語)

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文字種の組み合わせ:スターパックスの商品名 (1)カタカナ ストロペリーディライトフラペチーノ、 ドリップコーヒ一、など

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カタカナ+漢字 抹茶クリームフラペチーノ、 サラダラップ雑殻品ビーンズパジル、など (3)カタカナ+英語

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ケーキサワークリーム、 To Goカップスコーンチョコレート品ストロペリー、など

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カタカナ+漢字+英語

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ケーキ抹茶

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カタカナ+ひらがな+漢字 ベーコンとほうれん草のキッシュ 5ここでのカタカナ表記はある単語に対して、他の表記にもあるにもかかわらず、殊にカタ カナ表記すること、またある概念および事物に対して、漢語および、和語の既存語があって も、語葉異形態としての外来語を積極的に取り入れて言い換えることを指す。

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-75-各表記件数を表 1にまとめた。 表1文字種組み合わせ件数 文字種組み合わせ ビパレッジ フード カタカナ

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商品名のほとんどは「カタカナ」だけあるいは「カタカナ+他の文字」のような組み 合わせの型で表記されている。また、「ひらがな十漢字Jの組み合わせが見当たらない。 以上のデータによると、スターパックス社における商品名の表記はカタカナのみおよび カタカナとの複合表記に特徴がある。つまり、「カタカナ」文字に基づ、いて行われてい ると考えられる。 スターパックスのメニューの商品表記を見ると、そのほとんどにカタカナが使われて いることが分かる。カタカナ文字表記の場合には、「エスブレッソJ["ドリップコーヒー」 「カプチーノJ ["モカ」などコーヒ一類は直接に外国語から音訳されているため、カタ カナ以外では表現できない。他には「フルーツミックスジュースJ["ホットティー J["キ ッズピパレッジ」などの商品名に対して、和語や漢語からなる類義の既存語「果物J["お 茶J["子供J["飲み物」などの単語があるが、とりわけ外来語に取り替えてカタカナで表 記することになっている。

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カタカナ表記

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["コーヒ一」と「瑚~~J の表記について 染谷

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は実態調査を行い、漢字による届名表記には中華料理や和食、和菓子、 和雑貨の!吉などはほとんど漢字表記である。カタカナによる唐名表記には外来語および 外国語また外国風の語に由来している場合の表記であって、一般的な用法にほぼ準じて いると報告された。また、商品名の調査について、波多・天ヶ瀬

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)

は「ラーメン」 「らーめんJ["位麺」という表記に対して、表記形態の視覚的特徴による雰囲気やニュ アンスに頼るだけでなく、食品を具体的にイメージすると考え、

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5

種類の飲食物を用

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76-いて大学生 225名に実験6を行った。実験結果によるある語の特定の文字表記それ自体 とそれから思い浮かべる指示対象の具体的イメージとは情緒的意味が異なることを示 唆している。また、このことは文字表記された語の指示対象の具体的イメージは、表記 形態の視覚的特徴以外に表記習慣や表記規則の影響を受けていることを示唆している ことが分かった。つまり、文字種に対するイメージによって選択することにして、文字 に対して、表記そのものというより、語葉の選択が多く関わっているといってよい。 スターパックス社の文字選択にはある物にとって多様な表記および、異なる単語の選 択が可能である場合に、特にカタカナ表記および外来語を使用する傾向がある。Icoffee に対する日本語の書字形には「コーヒー」と「瑚排」二つの表記方式がある。「コーヒ ーJはNINJAL-LWPfor BCCWJ7 (以下、 NLB)によると、原語 IcoffeeJに対して「コー ヒ-Jと「瑚排Jの二つの書字形表記がある。書字形頻度は「コーヒー」が4228(95%)、 「瑚排」が 239(5%)、合計4472であると NLBのデータに示されていた。一般的に言え ば、外来語に対してはカタカナで表記されている。外資企業のスターパックスでは「コ ーヒー」の文字表記を使用しているが、「瑚排」という漢字の表記は「上島瑚排庖JI星 乃瑚珠JI瑠之亜瑚排JI倉式瑚排」などの日系企業の店名でよくみられる。「コーヒー」 と「瑚排」の表記選好の例では、この文字に対応している文化情報を内包している。あ る単語が象徴的にある文化の一部を表している場合、その単語の起源が文化の起源と何 らかの関わり合いをもっていると思われている。

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商品名の語種選択 久屋(2013)は、現代日本語において、和語や漢語からなる類義の既存語があるのにも 関わらず頻繁に利用され定着している外来語が数多くあると述べた。金 (2011)は外来 語が既存語の存在にも関わらず基本語化するに至ったことを意味・用法の側面から通時 的に分析してきた。外来語使用の言語外的要因について、久屋 (2013)は外来語を既存 6実験者は実験群 103名と対象群122名に分けられ、実験群は、表記ごとにそれが指示す る飲食物を具体的にイメージし、それを自由回答欄に言語記述してから、評定対象に形容 詞対のどちらがどの程度当てはまるかを評定した。対となる形容詞を両端に配した線分上 の7目盛の1つに丸をすることで回答された。対照群では各表記による飲食物名を読むだ けで即座に評定した。評定のペースは自由であった。 7 NINJAL-LWP for BCCWJは、国立国語研究所が構築した『現代日本語書き言葉均衡コ ーパス~ (Ba1anced Corpus of Contemporary Written Japanese: BCCWJ)を検索するた めに、国語研とLago言語研究所が共同開発したオンライン検索システムである。本稿 使用したパージョンはNLBve

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.

1

30である。 NLBve r.

1

.

30では、 BCCWJの 肝D版公開 データ (2011)の文字ベースXMLの可変長データを使用している。

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-77-語の社会言語学的語葉変異形Cl

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として扱い、「ケース」を事例として、 外来語の生起率は社会的属性、媒体、スタイルなどの外在的な環境の要因に関わること を論述した。 ここでは、スターパックス庖内で使用している外来語とそれらの和語および漢語であ る既存語の五つのベアについて、その書字形頻度を比べる。

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で外来語と既存語の単 語ペアごとに書字形頻度を調べた。その結果を下の表

2

.

にまとめる。 表

2

既存語と外来語との各書字形頻度 外来語 頻度 既存語 頻度 書字形頻度と比率

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1

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1

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(1%) 牛にゅう

4

(

0

出) 表lの商品名から見ると、すべての商品名は「カタカナ」のみ且つ「カタカナ+他の 文字」という文字形態を用いた。表

2

にある事物に対して、語種によるそれぞれの書字 形頻度には「果物J

(

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)

に対する「フルーツJ

(

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、「午乳J

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に対する 「ミルクJ

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)

の既存語の書字形頻度は外来語とほぼ半々の割合になっているが、 既存語の方がやや高い。他の単語ペアの書字形頻度には既存語の書字形頻度は外来語の 書字形頻度より高いと示した。つまり、語種選択は外来語を選択することになり、文字 表記はカタカナ表記する傾向が見られる。 スターパックス社の文字選択を考えると、一般的な書字形出現頻度高さにもかかわら

(12)

78-ず、漢字優勢タイプ(既存語)よりカタカナ優勢タイプ(外来語)が好まれ、その上出現頻 度の低いカタカナ語を使うという傾向が見られる。これは文字環境モデルに基づく単純 接触効果により示されたように、単語の使用頻度と好意度の聞には正の相関があること が原因であると考えることはできず、外資企業の商品に関わる外国的な文化に対して、 カタカナは外来語を表記しているため、外来の事物および概念とつながっているので、 読み手に対してスターパックス社というような外資企業の雰囲気に合わせていると考 える。

3

.

2

.

4

商品説明文の言語表現 ここでは、スターパックスの

2

0

1

6

年度夏の季節おすすめ商品「ピパレッジクールラ イムJについてHPに掲載された商品説明文を見てみる。 ライムの香りとやさしい酸味が、すっきり と爽やかなリフレッシュメントドリンク ライムの果肉から広がる爽やかな香り が特徴のドリンクに、熔煎前のグリーンコ ーヒー(生豆)から抽出したカフェインを プラスしました。 パリスタがオーダーごとに一杯ずつシ ェイクすることで、ドリンクが急冷される とともに、フレーパーとアロマが鼠大限に 引き出され、みずみずしく清涼感の高いド リンクに仕上がります。 暑い日はGrandeサイズで、のどの渇き を癒すリフレッシュタイムをお楽しみく ださい。 「ビパレッジクールライムJという商品説明文の文字表現については、漢字とひらが なとカタカナまた英語が混在している。この中に外来語については、「ライムJ

r

カフェ インJ

r

パリスタJのような日本語で既存語あるいは類義語がない単語を除いて、それ ぞれの原語と日本語の類義語を以下の表

3

.

にまとめる。 表

3

カタカナ外来語とその類義語意味の対照

(13)

-79-カタカナ表記 原語 日本語の類義語 ドリンク

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飲み物 グリーンコーヒー

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生豆 プラス

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足す、加える オーダー

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注文 シェイク

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振る、さぶる フレーパー

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元気を回復する生呈 ここでは、とりわけ説明文の中の、二重表記としての「グリーンコーヒー(生立)J と外来語「フレーパー」と類義語「香りJという

2

点で言語表現について論じる。 (])二重表記「グリーンコーヒー(生豆)Jについて 普段は一つの単語はどちらか一つの書字形に表記されているが、ここでのは「グリー ンコーヒー」に対して、直接英語

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J

を音訳しカタカナで表記した。直後 で「生豆」という漢字で注釈した。これらの文字選択は一種類の表記では飽き足らず、 更に別の文字種と組み合わせて記す場合には染谷

(

2

0

0

2

)

による二重表記と述べられた。 二重表記をする目的は多く二つある。一つは文字の「読み」を発揮させるためである。 従って、漢字にほかの表音文字が関わる場合と、アルファベット外国語表記に主にカタ カナが関わることが多い。もう一つは、道路標識のように、日本語名を英語表記するた めである。ここではカタカナ表記は文の記述部分に置かれ、漢字表記は補充説明として 取り扱われている。それらの語種による「和語・漢語・外来語」という分類において、 天本

(

2

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0

6

)

による外来語はプラスのイメージを表すものであり、和語では言いにくい 語に肯定的なイメージを付加するものであると特徴づけている。他の研究にも成田・榊 原

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0

4

)

は外来語が肯定的なイメージを持つことを指摘した。成田・榊原

(

2

0

0

4

)

で は外来語の肯定的なイメージの具体的な要因として、「新しさJI国際性」などがあげら れている。外来語の「グリーンコーヒー」はよりイメージを積極的、強調的に伝達効果 がある。然し、英語母語話者ではない日本人にとって「グリーンコーヒー」という言葉 の意味が認知されないかもしれない、「生豆」で表現されると直ちに納得できることに なる。そうすると、そのコーヒーの豆が特別な豆であるかもしれないと読み手に考えさ せ、注意を向けさせることができる。もし、単なる「生豆」で表現すれば、かなり見慣 れている文字なら、別に特徴があると思われない。 (2) Iフレーパー」と「香り」について 表

3

に挙げたペアの中でも特に興味深いのはカタカナ語と既存語の両方が表れる「香 りJIフレーパー」である、この二つの単語の意味扱いを対照的に分析する。

(14)

80-「フレーパー」は英語の

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の音訳であり、

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の解釈については

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e

.

という三つの意味に定義されている。つまり、プレーパーとは食品を口に入れた際に、 舌の奥から喉にかけて感じられる味と香りの総称である。 「香り」は和語であり、「薫り」の表記もある。『大辞林』には以下のように定義され ている。 ①におい。特に、よいにおい。「花の香り

J

r

よい香りがする

J

r

香りの高い新茶

J

②品格、品位。「香り高い文章」 ③色つや、つややかな美しさ。「香りをかしき顔ざまなり/源氏J 商品説明文の中に「香り」と「フレーパー」には「ライムの果肉から広がる爽やかな 香りが特徴のドリンクにJと「フレーパーとアロマが最大限に引き出され」というよう な文脈に置かれている。 図

2

の例では「香り」は自然的な匂いを指示し、ライムの天然の風味を表現している。 「フレーパ一」は同じような意味を持つが、特に「味」、「味覚」という意味に限られて いる。広告キャッチコピーに前文で描いたように、「抽出したJ

r

シェイクするJ

r

急冷 される J

r

引き出され」などの動作を通して、「フレーパー」と組み合わせて表現されて いる。 「香り」と「フレーパー」の文脈に使われた実態について、

N

L

B

で商品説明文と同じ 構文の「名調+助詞(が)Jは二つの単語意味合いに対して、どんな場合で取り扱われて いるのか、それぞれの使用実態(

r

語藁頻度」と「構文頻度J)を調べて表4にまとめた。 語量 表4語葉頻度と構文頻度 語葉頻度

構文 フレーパー 香り

7

4

4

3

7

4

フレーパーが 香りが 度 一 期 一 山 一 間 構 一 表4を見ると、「香り」の語葉頻度は「フレーパーjよりかなり高い。「フレーパーが」 の構文に対して、「シフォンケーキが好きでよく作るのですが、バリエーションを増や したいのでおすすめのフレーパーがあれば教えてください。」、「ショウガのフレーパー がバナナの味を引き立てる。」などの文脈表現から見ると、「フレーパー」の意味合いに は味覚、味を表現することを示した。「香り」は「ゆずの香り」、「木の香りがする」、「夜

(15)

81-になるとこの花からよい香り」のような日臭覚の表現もある。 言語景観の一部分としての商品名およびブランドなども文字表現にとっては該当環 境に合わせるようにするので、単語の使用頻度と好意度の聞には正の相聞があるだけで はなく、ブランド名を覚えさせたり、イメージを上げたりになるように、積極的に外来 語を取り入れることで、商品のイメージアッフに結び付かれるのである。カタカナの感 情的意味の一つである「外国」はカタカナが新規の外来語の表記に使用されることで、 言語のステレオタイプ機能を果たすと考えられる。

5

.

まとめ 日本語は漢字、ひらがな、カタカナという三つの表記体系を持つため、同じ単語でも、 異なる書字形を通して多様な文字が表記できる上、同じ概念および事物にしても、漢語、 和語および外来語を用いて、それぞれ異なる表現ができる。それぞれの言語表現には言 葉の意味合いおよびイメージが受けごとに異なって感じられる。 本稿は言語景観の観点に基づいて、スターパックス社の商品名および、HPの言語使用 実態について外来語の使用要因を考察した。スターパックス社の商品名ではほぼカタカ ナ語の表記にし、広告の言語表記にも積極的に外来語を取り入れることにしている。言 語景観における、外来語はほとんどカタカナ文字で表記されている。カタカナ文字のイ メージに岩原・八田

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2

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0

4

)

らに論じられたように「外国J[モダン・おしゃれjな印象 を与える効果がある。スターパックス社の積極的に外来語を取り入れる戦略にはブラン ド名を覚えさせ、イメージを上げる認知的な要因が含まれると考えられる。その上、同 じコーヒー業界の「上島瑚排癌J [星乃瑚排J [瑠之亜瑚排J [倉式瑚排」などの日系企 業の底名と比べ、外資企業のスターパックス社が「コーヒー」をカタカナ文字表記にし た理由として、外来語としての表記慣習性以外に、カタカナ文字を積極的に使い、視覚 的な言語景観を通し、外国的な雰囲気を作るからだということが考えられる。 言語使用実態に与える要因については人間の心理的な認知の方面、言語自体の意味合 いおよび、外在的な言語環境などの要素に関わり、更にお互いに影響を与えていると考え るべきである。言語景観で文字優勢タイフの進展は社会の変容を大きく促進し、社会言 語学を実際の生活に応用することは文字環境モデルが目指すところである。これに関す るグローパル社会の進展に伴って、外来語の増加も顕著になってくる。その点に関する 研究は進めていきたい。 本稿では、スタパクッスのカタカナ使用実態を中心に分析し、外来語の文字表記に関 する分析ための準備作業を行った。この論文は修士論文のテーマの予備考察として執筆 したものである。

。 。

(16)

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北津尚

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広告キャッチコピーにおける破格の表現についての考察JW東京学芸大 学紀要』人文社会科学系第

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多言語化と言語景観一言語景観からなにが見えるかJ

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(原著

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(原著)

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言語景観の中の看板表記とその地域差一小田急線沿線の実態調査報告」 庄司博史・(著)

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(原著

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(原著)

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日本の言語景観』三 元社、

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~国語に関する世論調査』 本間勇介

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山本七平(1

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2

0

日 年

9

月から

2

0

1

6

8

月まで交換留学生として東北 大学文学研究科言語学研究室に留学していた期間中に、日本のスタパクッスの HPまた 庖舗から収集したものである。滞在を受け入れた頂いた指導教員小泉政利先生、言語室 の教授後藤斉先生に感謝申し上げるとともに、貴重なコメントをして頂いた同研究室先 輩の菊池清一郎さんにお礼申し上げる。なお、受け入れた先輩として留学中様々な面で ご意見いただいた劉寧さんに感謝の意を表したい。 陳珍珠(上海大学博士前期課程2年生 東北大学大学院特別研究学生)

参照

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