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公権論に於ける基本権の位置づけ-行政行為に於ける憲法と法律の交錯-

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公権論に於ける基本権の位置づけ-行政行為に於け

る憲法と法律の交錯-著者

神橋 一彦

26

発行年

1993

URL

http://hdl.handle.net/10097/14237

(2)

ん 由 甲 か ろ →

かず

学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 、 学位授与年 月 日 学位授与 の要件 研 究 科 ・専 攻 学 位 論 文 題 目, 論 文 審 査 委 員 博 士(法 学)

法 博 第26号

平 成6年3月25日

学位規則第4条 第1項 該当

東北大学大学院法学研究科

(博士課程後期3年 の課程)公 法学専攻

公 権 論 に於 け る基 本 権 の位 置 づ け 一行 政 行 為 に於 け る憲 法 と法 律 の交 錯 一

(主査)

田 宙

田 寛

論 文 内 容 の 要

本 論 文 は、 今 日我 が国 行 政 法 の 学 説 判 例 上 最 も紛 糾 して い る問 題 の一 つ で あ る、 行 政 事 件 訴 訟 法 9条 に い う 「法 律 上 の利 益 」 と は何 か 、 と い う問 題 にっ き、 単 に行 政 法 の リヴ ェ ル に止 ま らず 、 憲 法 に よ って保 護 さ れ る 「一 般 的 自由 権 」 と は何 か 、 とい う問 題 に ま で踏 み込 ん だ分析 を行 った上 で、 基 本 的 な考 え方 の方 向 を示 そ う とす る も ので あ る。 す な わ ち本 論 文 は、 ま ず、 上 記 の 問 題 に関 す る我 が 国 の判 例 学 説 の緻 密 な検 討 の結 果 、 この問 題 を処 理 す る に あ た って究 明 を要 す る事 柄 は、 ① 憲 法 に よ って保 障 され る 「自 由権 」 と は何 か、 及 び ② 行 政 処 分 の根 拠 規 範 とは どの よ う な意 味 を 持 っ もの で あ るか 、 の 二 っ で あ る と判 断 した上 で(第 1章)、 ① にっ き、19世 紀 以 来 の ど い っ 公 権論 を詳 細 に分析 し、 「自由 権 」 にっ い て は、 そ の権 利 性 を肯 定 す る立 場 に た つ か、 そ れ と も否 定 す る立 場 に た っか は、 上 記 の問 題 の処 理 に影 響 を与 え る も の で は な く、 結 局 は行 政 処 分 の根 拠 規 範 の あ り方 如 何 が 問 題 の決 め手 と な る こ と を指 摘 す る(第2 章)。 次 いで ② に関 し、 同 じ く ドイ ッに お け る、 いわ ゆ る 「保 護 規 範説 」 の 系 譜 を 辿 りっ っ 、 行 政 活 動 を巡 る利 害 関 係 が極 め て 複 雑 化 し多 面 化 した現 代 に お いて は、 憲 法 規 定 そ の もの で は な く、 行 政 処 分 の根 拠 規 範 こそ が そ の よ うな 多 面 的 な利 害 関 係 、 諸 利 益 を 調 整 す る と い う機 能 を持 ち得 るに 到 って い る と論 定 し、 そ こ に、 現 代 に お け る 「保 護 規 範 説 」 の存 立 基 盤 を見 出す く第3章)。 そ し て この よ うな見 地 を敷 桁 した 結 果 、 憲 法 上 の基 本 権 規 定 か ら直 接 「法 律 上 の利 益 」 の存 在 を導 くの 法7'

(3)

で な く、 行 政 処 分 の根 拠 規 範(い わ ゆ る 「保 護 規 範 」)を 媒 介 と しっ っ も、 保 護 規 範 の 解 釈 に 際 し 憲 法 上 の基 本 権 保 護 の 趣 旨を読 み込 ん で い こ う とす る、 い わ ゆ る 「再 構 築 され た保 護規 範説 」(シ ュ ミッ ト=ア ス マ ン)こ そ が 、 問 題 の考 察 の 出 発点 とな るべ き もので あ る と主 張 す るの で あ る(第4 章)。

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

行 政 事 件 訴 訟 法9条 に い う 「法律 上 の利 益 」 を巡 って は、 実 定 法 規 の 多 くが 第 三者(行 政処 分 の 名 宛 名 人 以 外 の 者)の 利 益 を 充 分 に保護 して い な い との判 断 の下 、 これ らの 者 の 利益 の 保 護 に関 し て 、 多 くの議 論 が な され て きた が 、 近 時 最高 裁判 例 が 、 い わ ゆ る 「法 律 上 保 護 され た 利 益 説 」 の上 に立 ちつ つ も実 質 的 に はか な り大 きな変 容 を 見 せ る と ころ とな って い る との 認 識 を背 景 と して 、 改 め て この 「法 律 上 の 利 益 」 の 問 題 に関 し本格 的 な理 論 的研 究 が な され る こ とが 、 緊急 の要 請 と して 求 め られ て いた 。 本 論 文 はま さ に、 この よ うな要 請 に正 面 か ら応 え よ う とす る もので あ り、 しか も、 抗 告 訴 訟 の原 告 適 格 とい う行 政 訴訟 法上 の 問 題 を 、 憲 法 に よ る自 由権 の保 障 と い う問 題 と の関 連 に お いて 考 察 しよ う と した、 極 め て意 欲 的 な論 文 で あ る。 日本 及 び ドイ ッ にお け る先人 の業 績 を 着実 に辿 りつ つ も、 自己 固有 の 目 か ら、 これ らに鋭 い分 析 を加 え、 従 来 看 過 され て きた多 くの 新 しい視 点 を 発 見 して い る。 「再 構 築 され た保 護 規 範 説 」 を 出発 点 とす べ きで あ る とい う法 解 釈 論 上 の 結 論 そ の もの は、 決 して斬 新 な もの で あ るわ け で は な い が、 この よ うな結 論 に到 る分 析 及 び思 考 の 過 程 に は、 従 来 の 同種 の テ ー マ を扱 った論 文 に無 い固 有 性 が見 られ 、 研 究者 と して の著 者 の 優 れ た能 力 を 充分 に 示 す もの が あ る。 も っ と も、 未 だ思 考 の不 充 分 な と ころ も見 られ る の で あ って 、 例 え ば 、著 者 は 「再 構築 され た保 護 規 範説 」 に よ りつ っ も、 例 外 的 に、 憲 法 に よ って保 障 さ れ た基 本 権 を 直接 援 用 す る可 能 性 も否定 して は い な い の で あ る が、 基 本 権 を 直接 援 用 す る見 解 に対 して 著者 が展 開 す る鋭 い批 判 との関係 で、 この よ うな直 接 援 用 の可 能 性 は(例 外 的 と は い え)ど の よ うに して 理論 的 に説 明 され得 るの か、 と い う点 等 は、 本 論 文 自体 か らは必 ず し も明 らか で は な い。 しか しこの よ うな 難点 は、 本 論 文 自体 の 持 つ本 来 の意 義 に照 ら して見 る と き、 単 に副 次 的 な もので あ って 、 決 して致 命 的 な意 味 を有 す る も の で は な い。 本 論 文 は、 著 者 の、 今 後 自 らの力 で専 門 の研 究 を遂 行 し得 る能 力 を充 分 に証 す るの み な らず、 我 が国 の行 政 法 学 に対 しそれ 自体 多 大 の貢 献 をす る もの と して、 法 学博 士 の学 位 を与 え られ るに ふ さ わ しい もの と判 断 す る。 法8

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