• 検索結果がありません。

平行棒支持免荷歩行における歩隔および歩行様式の違いと下肢免荷量との関係

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "平行棒支持免荷歩行における歩隔および歩行様式の違いと下肢免荷量との関係"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)埼玉理学療法 12 : 24–32,2005.. ■研究と報告. 平行棒支持免荷歩行における歩隔および 歩行様式の違いと下肢免荷量との関係. 久保田章仁 1) 高柳 清美 1) 細田 昌孝 4) 原  和彦 1) 細田 多穂 1). 植松 光俊 2) 井上 和久 1) 丸岡  弘 1) 中山 彰一 5) 永富 良一 6). 西田 宗幹 3) 田口 孝行 1) 磯崎 弘司 1) 溝呂木 忠 1). 窓場 勝之 3) 西原  賢 1) 藤縄  理 1) 江原 晧吉 1). 1)埼玉県立大学 理学療法学科 〒 343-8540 埼玉県越谷市三野宮 820 2)星城大学 リハビリテーション学部理学療法学専攻 3)秋津鴻池病院 リハビリテーション部 4)東京都立保健科学大学 保健科学部理学療法学科 5)日本メディカル専門学校 6)東北大学大学院 医学系研究科病態運動学講座運動学分野 要旨. 平行棒支持 2 点 1 点揃え型免荷歩行で,口頭指示なしでの歩行(以下自由歩行)と口頭指示あ. りでの歩行(以下努力歩行)の 2 種類の歩行様式を設定し,いずれの歩行様式においても歩隔を広げ ると確実に免荷量が増加する,免荷量は自由歩行よりも努力歩行でより多い,という 2 つの仮説を立 て検討した。高齢者では歩行に影響を及ぼすとされる膝伸展筋力についても測定し,免荷量との関係 を検討した。健常成人女性 10 名(若年群)高齢女性 8 名(高齢群)を対象とした。結果,自由歩行と 努力歩行において,いずれの歩隔においても,高齢群の免荷量が若年群の免荷量に比べ低値を示した。 高齢群では歩隔を広げるほど免荷量は増加した。また,努力歩行の方が,自由歩行に比べ,両群とも に免荷量は増加した。このことから,歩隔を広げることや口頭指示は,高齢者の免荷量を増大させる 一手段として有効であることが示唆された。 キーワード:平行棒支持免荷歩行・歩隔・下肢免荷量. はじめに. 行時に体重支持を安全にできない症例,遷延性 骨癒合をきたしている症例,ギプスを装着した. 最近,股関節全置換術では,人工関節の形状. 保存的療法を施行した症例,骨切り術後症例等. の工夫や新しい術式の開発により術直後から患. にあっては,日常生活動作を安全に行えるよう. 脚を全荷重させており,免荷が不要になる場合. 徐々に荷重をかけていく症例もある。このよう. がある。背景に,全荷重そのものの利点や部分. に手術方法や病態の如何によっては,依然部分. 免荷との比較を行った文献がいくつか存在す. 免荷歩行練習すなわち次第に患脚に荷重をかけ. る。しかし,高齢かつ筋力低下が著しいため歩. ていく歩行練習が必要であることをふまえ,今.

(2) 平行棒支持免荷歩行における歩隔および歩行様式の違いと下肢免荷量との関係 25. 回,部分免荷歩行練習に着目した。. 方 法. なかでも,術後早期の移動能力改善を目的と した部分免荷歩行訓練では,一般的に平行棒を 用い,静止立位時に体重計を用いて荷重感覚を 学習させる方法が実施されている。. 1.対象 若 年 群 は 健 常 成 人 女 性 10 名 で ,年 齢 は 24.7 ± 1.9 歳(平均値±標準偏差) (22–27 歳) ,. しかし,本法での最大の課題は,歩行時の荷. 身 長 は 157.6 ± 7.9 cm(143–172 cm) ,体 重 は. 重量が静止時と一致しているか否か確認でき. 55.4 ± 6.9 kg(44.3–63.0 kg),基 準 歩 隔 は. ず,実際,歩行時には指示した荷重量よりも多. 14.2 ± 0.1 cm である。高齢群は高齢女性 8 名で. く荷重している場面に遭遇することもしばしば. あり,独歩可能ではあるが全例介護老人保健施. ある。高齢者や指示に対する理解が困難な症例. 設通所サービスを利用している。高齢群の年齢. においては学習そのものがより一層困難であ. は 平 均 78.8 ± 7.1 歳 (72–90 歳 ) ,身 長 は 平 均. り,安全に免荷歩行が実施できているか否か疑. 152.0 ± 7.1 cm(144–162 cm) ,体 重 は 平 均. 問が残る。そこで,高齢者や指示に対する理解. 46.5 ± 7.5 kg(41.5–63.5 kg),基 準 歩 隔 は. が困難な症例あるいは保存的療法の症例など部. 16.4 ± 0.3 cm である。. 分免荷歩行練習が必要な症例に対し,確実に免 荷できる方法を模索し,部分免荷歩行の精度を. 10 m 歩 行 路 の 中 心 に force plate(G3100SA,. 上げることに焦点を絞った。 これまでの免荷歩行に関する研究は,主に 1–8). アニマ,東京)を 2 基設置した。片脚が 1 基の. ,杖な. force plate 上を歩行することで左右個別の床反. ,歩幅や歩調などの歩行様. 力データが得られる。Force plate で得られた床. 3 種の範疇に分類される。動力学的 どの歩行補助具. 2.測定方法. 9–12). 13–15). に関するものである。総括すると,免. 反 力 を ,パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ (NEC. 荷に影響する因子として歩行補助具および外装. PC9800)に入力した。サンプリング周波数は. 具の種類,歩幅や歩調などの歩行様式があげら. 50 HZ で,0.02 秒ごとの床反力の垂直分力を得. れるが,先行研究のうち歩行様式の 1 つである. た。. 式. 歩隔すなわち両脚の幅について着目したものは 見られない。 そこで本研究は歩隔に着目し,一切口頭指示. 3.歩行条件 若年群および高齢群に,左脚を患肢と見立て. しないで自由に歩行させる歩行(以下自由歩行). て右手で平行棒を把持させながら 2 点 1 点揃え. と可能な限り平行棒の方に体重をかけて患脚と. 型 歩 行 を 行 わ せ た 。平 行 棒 の 長 さ は 5 m で ,. 見立てた下肢に体重をかけずに歩くように口頭. 10 m 直線歩行路の中央に設置した。平行棒の. 指示した歩行(以下努力歩行)の 2 種類の歩行. 把持部分の高さは,静止立位で上肢を体側につ. 様式を設定した。いずれの歩行様式においても. けて垂らしたときの橈骨茎状突起の高さとし. 歩隔を広げると免荷量が増加するのではない. た。. か,さらに努力歩行でより免荷量が多いのでは. 歩隔は高見ら. 16). が成人女性の平均身長から. という仮説をそれぞれ立てた。そのため,各条. 算出した基準値すなわち 13.2 + 0.041 ×年齢を. 件下で床反力を測定し垂直分力にて検証した。. 元に,基準歩隔,基準+ 100 %歩隔(基準値+. 早期に免荷に用いられている方法として,歩行. 16 cm) ,基 準 + 200 % 歩 隔 (基 準 値 + 32 cm). 補助具は主に平行棒で,歩行様式は安全面を考. の 3 パターンを設定し,10 m 直線歩行路に平行. 慮した 2 点 1 点揃え型歩行とし,平行棒支持免. にビニールテープを貼った。2 点 1 点揃え型歩. 荷歩行における歩隔の違いと免荷量との関係を. 行では,自由歩行と口頭指示による免荷を意識. 明らかすることを目的とした。高齢者では歩行. した努力歩行の 2 種類の歩行様式で歩かせた。. に影響を及ぼすとされる膝伸展筋力についても. 歩行様式に 3 パターンの歩隔で歩かせ,1 歩隔. 測定し,免荷量との関係を検討した。. あたり 2 トライアル実施し少なくとも左脚 3 歩.

(3) 26. 埼玉理学療法 第 12 巻第 1 号. 図1. 計測場面. 以上のデータを採取した(図 1)。今回,免荷. 結 果. に影響を及ぼすとされている歩幅は規定しなか った。. 1.歩隔の違いによる免荷量の推移 1)高齢群. 4.下肢筋力測定 高齢群では,免荷歩行に影響を及ぼす可能性. 自由歩行における高齢群の基準歩隔,基準+ 100 %歩隔,基準+ 200 %歩隔の免荷量は,そ. のある,歩行能力と関係の深い患脚および健脚. れ ぞ れ 5.0 ± 2.8 % BW,8.3 ± 2.6 % BW,. 左右大腿四頭筋筋力をハイドロマスキュレータ. 11.8 ± 1.4 % BW となり,歩隔を広げるにつれ. ー(GT-160,OG 技研,岡山)にて測定した。. て免荷量は有意に増大した(p < 0.05 から p <. 椅子座位にて 60 °膝屈曲位にて等尺性収縮を 3. 0.01,図 2)。. 回施行し,各施行間に 2 分以上休息をとった。. 努力歩行における高齢群の基準歩隔,基準+. 筋力データはいずれも,3 回施行したうち最初. 100 %歩隔,基準+ 200 %歩隔の免荷量は,そ. に得られた値でかつ最大値であった。. れ ぞ れ 11.7 ± 5.0 % BW,14.5 ± 5.1 % BW, 17.9 ± 4.0 % BW であり,歩隔を広げるにつれ. 5.データ解析 免荷歩行で得られた 1 歩毎の床反力の最大垂 直分力を平均し,歩行条件毎に分析した。なお,. て免荷量は増大した(p < 0.01,図 2) 。 2)若年群 自由歩行における若年群の基準歩隔,基準+. 免荷量(% Body Weight :% BW)は,次のよ. 100 %歩隔,基準+ 200 %歩隔の免荷量は,そ. うに求めた。免荷量(% BW)=[(体重(kg)−. れ ぞ れ 16.5 ± 8.7 % BW,18.5 ± 8.8 % BW,. 左脚の垂直分力すなわち荷重量(kg))/体重. 19.0 ± 11.6 % BW となり,高齢群同様歩隔を広. (kg)]× 100。統計的手法は,統計処理ソフト. げるにつれて免荷量は増大したものの,有意な. SPSS10.0 for Windows にて反復測定による一元 配置分散分析およびダネットの多重比較を行 い,5 %有意水準とした。. 差は認められなかった(図 3)。 また,努力歩行における若年群の基準歩隔, 基準+ 100 %歩隔,基準+ 200 %歩隔の免荷量 は,それぞれ 43.9 ± 13.8 % BW,43.6 ± 13.6 % BW,40.6 ± 19.7 % BW となり,必ずしも歩隔 を広げても免荷量は増大しなかった(図 3)。.

(4) 平行棒支持免荷歩行における歩隔および歩行様式の違いと下肢免荷量との関係 27. 図2. 高齢群の歩隔と免荷量の関係. 図3. 若年群の歩隔と免荷量の関係. 2.各歩隔における高齢群と若年群との比較 1)自由歩行 基準歩隔では,高齢群の免荷量は 5.0 ± 2.8 %. のの有意な差ではなかった(図 4)。 2)努力歩行 基 準 歩 隔 で は ,高 齢 群 の 免 荷 量 は 11.7 ±. BW,若 年 群 の 免 荷 量 は 16.5 ± 8.7 % BW,基. 5.0 % BW,若年群の免荷量は 43.9 ± 13.8 % BW,. 準+ 100 %歩隔では,高齢群の免荷量は 8.2 ±. 基 準 + 100 % 歩 隔 で は ,高 齢 群 の 免 荷 量 は. 2.6 % BW,若年群の免荷量は 18.5 ± 8.8 % BW,. 14.5 ± 5.1 % BW,若 年 群 の 免 荷 量 は 43.6 ±. 基 準 + 200 % 歩 隔 で は ,高 齢 群 の 免 荷 量 は. 13.6 % BW,基準+ 200 %歩隔では,高齢群の. 11.8 ± 1.4 % BW,若 年 群 の 免 荷 量 は 19.0 ±. 免荷量は 17.9 ± 4.0 % BW,若年群の免荷量は. 11.6 % BW と な り ,基 準 歩 隔 お よ び 基 準 +. 40.6 ± 19.7 % BW となり,いずれの歩隔におい. 100 %歩隔において高齢群の免荷量が若年群の. ても,高齢群の免荷量が若年群の免荷量に比べ. 免荷量に比べ有意に低値を示していた(p <. 有意に低値を示していた(p < 0.01,図 5)。. 0.01)が,基準+ 200 %歩隔では高齢群の免荷 量が若年群の免荷量に比べ低値を示していたも.

(5) 28. 埼玉理学療法 第 12 巻第 1 号. 図4. 図5. 口頭指示なし歩行での各歩隔における若年群と高齢群の免荷量の比較. 口頭指示あり歩行での各歩隔における年群と高齢群の免荷量の比較. 3.高齢群の免荷量と左右大腿四頭筋筋力 1)自由歩行 免荷量と右大腿四頭筋筋力の関係では,すべ. 考 察 人工股関節全置換術後の患脚の支持性につい 17). は,術後 1 年の経過. ての歩隔において筋力が強いほど免荷量が減少. て,Trudelle-Jackson ら. する傾向が見られた。特に基準歩隔および基. 観察から,術直後からの荷重方法すなわち全荷. 準 + 100 % 歩 隔 で は ,有 意 な 差 が 見 ら れ た. 重や部分免荷に関係なく,むしろ術後 4 ヶ月以. (p < 0.05,図 6)。 免荷量と左(患脚)大腿四頭筋筋力の関係で. 降のリハビリテーションが影響するとしてい る。また,Woolson ら. 18). は,セメントレス人. は,すべての歩隔において筋力が強いほど免荷. 工股関節全置換術後の全荷重と部分免荷の効果. 量が有意に減少した(p < 0.05,図 7)。. を比較検討し,全荷重と部分免荷は骨癒合に直.

(6) 平行棒支持免荷歩行における歩隔および歩行様式の違いと下肢免荷量との関係 29. 図6. 指示なし歩行における高齢群の免荷量と右下肢筋力との関係. 図7. 指示なし歩行における高齢群の免荷量と左下肢筋力との関係. 接影響されないとし,全荷重,部分免荷に関係. る効果説明と健康的な活動を促しモチベーショ. なく強固なコンポーネントを用いることが骨癒. ンを高める指導を行うことで骨癒合促進がで. 合 促 進 要 素 で あ る と 唱 え て い る 。さ ら に ,. き ,初 期 の loosening は 減 少 し た と し て い る 。. 19). は,人工股関節全置換術後の歩行. とはいえ,常に術式,ステムなど手術に用いた. 様式を全荷重と部分免荷の 2 群にわけ,骨癒合. 材料の強度,磨耗については念頭に入れておく. などを比較検討している。骨癒合は歩行様式に. 必要があり,特に磨耗は体重負荷量,歩数,手. 影響されないという結果を報告している。2002. 術に用いた材料の如何に影響されるとしてい. Kishida ら. 20). は,最新の文献と科学的根拠に基. る。したがって,過負荷は磨耗や関節破壊を来. づくガイドライン計画案から,人工股関節全置. たす可能性があり,人工股関節全置換術に見合. 換術後の運動療法について興味深い報告をして. った運動を推奨している。他方の見地,すなわ. 年 Kuster. いる。Kuster. 20). によると,人工股関節全置換. 術後初期の荷重に関し,患者に対して骨を強め. ち術式に関しても報告されている。Herman ら. 21). は,Chiari 骨切り術前後の股関節にかかるピー.

(7) 30. 埼玉理学療法 第 12 巻第 1 号. クストレスを測定した結果,とりわけ負荷時の. 外装具の種類,歩幅や歩調などの歩行様式があ. ピークストレスは術後で低下すると報告してい. げられるが,免荷に影響を及ぼす因子について. る。Isobe ら. 22). は,変形性股関節症患者 53 例. の先行研究は以下のものがある。杖に関しては,. を人工股関節全置換術を施行した 31 例と関節. 杖のつく側,すなわち患側,健側のいずれにつ. 形成術(BEA)を施行した 22 例に分け,歩行. くか Edwards. 分析し両群間を比較している。人工股関節全置. 性と機能性の相関を見た Dean ら. 換術を施行した例のほうが,歩行速度,バラン. 葉杖の高さを決定するための最良の方法を 7 項. ス,ケイデンスで良好な成績を修めているとし. 目で比較した Bauer ら. ている。Xu ら. 23). は,高齢者の大腿骨頸部内側. 27). が調査したものや,杖の適応 28). の研究,松. 29). の研究がある。加え. 30). は,健常者を対象に,歩行速. て Andrews ら. 骨折後の置換術術式別転帰を調査している。大. 度,歩幅,酸素消費,杖にかかる荷重がハーネ. 腿骨頸部内側を骨折した高齢者の大多数が受け. スクラッチと松葉杖で差があるか否か検討して. る人工股関節全置換術は,人工骨頭置換術を受. いる。松葉杖を用いた群では酸素消費量は多く. けた例に比べて,死亡率,感染症罹患率は低い. 杖にかかる荷重は少ないことを示している。. としている。さらに合併症がない場合に限り早. Sonntag ら. 期から荷重させることの重要性を示している。. 対象に,杖使用の有無とケイデンス,歩幅との. 人工股関節全置換術術式では Murray ら. 24). が,. 31). は,人工股関節全置換術後患者を. 関係を調査している。杖を用いることにより,. Charnley 式と Muller 式の歩行機能に対する比較. ケイデンスは減少し歩幅は増すことを提示して. を行っている。その他にも,予後や負荷に関し. いる。歩幅と免荷との関係については国内学会. て Yoshida ら. 25). や Yetkinler ら. 26). がそれぞれ報. 告している。 これらの先行研究から,骨癒合や予後などに. 発表では目にするが,先行研究を含め歩行様式 の 1 つである歩隔について着目したものは見あ たらない。. 関しては歩行様式には影響されず,術直後の部. また,臨床の経験から,高齢者にメトロノー. 分免荷歩行練習は必ずしも最良の方法ではない. ム等を用いて歩行速度を規定した課題を遂行さ. といえる。しかし,臨床では高齢者で筋力低下. せることは,歩幅や歩隔を規定した課題の遂行. が著しいため歩行時に体重支持を安全にできな. よりも難しいと示唆される。さらに歩幅と歩隔. い症例,遷延性骨癒合を来たしている症例,ギ. を比べてみても,歩隔を規定した課題の遂行す. プスを装着した保存的療法を施行した症例,骨. なわち床に貼ったビニールテープ上を歩かせた. 切り術後症例等,部分免荷歩行練習を必要とす. 方がより易しいと示唆される。. る症例に出会うことがある。 この場合の部分免荷歩行練習の目的は日常生 活動作を安全に行うことである。このように手. 一方,臨床において高齢者などに運動療法を 指導する場合,特に具体的な理解しやすい指示 を与えることは非常に重要であると考える。. 術方法や病態の如何によっては,依然部分免荷. これらの見地から,今回歩隔に着目し,自由. 歩行訓練が必要であることをふまえ,今回,部. 歩行と努力歩行の 2 種類の歩行様式を設定し,. 分免荷歩行訓練に着目した。. いずれの歩行様式においても歩隔を広げると確. 部分免荷歩行練習は,一般的に平行棒を用い,. 実に免荷量が増加するのではないか,さらに努. 静止立位時に体重計を用いて荷重感覚を学習さ. 力歩行でより免荷量が多いのではという仮説を. せる方法が実施されている。その方法で果たし. それぞれ立て検証した。高齢者では歩行に影響. て安全に免荷歩行が実施できているか否か疑問. を及ぼすとされる筋力についても測定し,免荷. が残る。そこで,高齢者や指示に対する理解が. 量との関係を検討した。. 困難な症例あるいは保存的療法の症例など部分. 高齢群では,口頭指示の有無に関わらず,歩. 免荷歩行練習が必要な症例に対し,確実に免荷. 隔を広げるにつれ免荷量(% BW)は増大した。. できる方法を模索した。. さらに口頭指示を行った場合は,何も指示しな. 免荷に影響する因子として歩行補助具および. かったときと比べて免荷量(% BW)は増加し.

(8) 平行棒支持免荷歩行における歩隔および歩行様式の違いと下肢免荷量との関係 31. た。このことから,臨床における高齢群の部分. 高齢群の左右大腿四頭筋筋力が強いほど免荷量. 免荷歩行練習では,より簡単に課題を遂行でき. は少なくなったことから,大腿四頭筋筋力は免. る歩隔の設定は有効であり,理解しやすい口頭. 荷量に何らかの影響を及ぼしているかもしれな. 指示は必要であると考えられた。. い。. 今回は,歩隔の違いによる免荷量を知る目的 で垂直分力のみを検討したが,歩隔を広げるこ とが禁忌となる可能性もあるので,今後大腿骨 頭にかかる合力などを調べる必要性がある。 若年群の免荷量(% BW)については,歩隔 の違いが免荷量(% BW)に直接影響されなか った。おそらく,今回若年群の筋力は測定しな かったが,若年群が持ち合わせている患脚と見 立てた側の下肢筋力が強いため,約 30 cm 歩幅 が広がった程度では免荷量の増大に至らなかっ たと推察できる。 自由歩行において,若年群では実際に歩隔 を広げるにしたがい免荷量(% BW)が増大 したものは 10 名中 4 名のみであった。また,努 力歩行においては,歩隔を広げるにつれ免荷量 (% BW)は増大したものは 10 名中わずか 1 名 であった。 この結果のみから解釈すれば,若年群に対す る口頭指示は,逆に歩隔を広げた時の免荷量 (% BW)にマイナスの要因を引き起こすかも しれないと思われるが,口頭指示を行った方が どの歩隔においても免荷量(% BW)は増して いたことから,若年群においても口頭指示は必 要なものであると考えられる。 自 由 歩 行 に お け る 免 荷 量 は ,高 齢 群 で 5.0–11.8 %,若年群で 16.5–19.0 %となり,努力 歩行における免荷量は,高齢群で 11.7–17.9 %。 若年群で 43.9–40.6 %となった。 新・日本人の体力標準値. 32). によれば,20 歳. 女性の握力は平均 28.7 kg,70 歳女性の握力は 21.5 kg であることから,50 年間で約 25 %減少 する可能性がある。今回,高齢群の免荷量が若 年群の免荷量と比較して低値を示した理由は, 握力を上肢の支持力と想定すれば,高齢群では 上肢の筋力が若年群に比べて低下しているた め,若年群ほど上肢で体重を支持できなかった ことにあると考えられる。 高齢者では歩行に影響を及ぼすとされる筋力 についても測定し,免荷量との関係を検討した。. 参考文献 1) 島田洋一,荒井三千雄: Force plate によるステ ッキ歩行時の hip joint force の測定.関節外科, 9: p1235–1243, 1990. 2) 今田 元,鈴木堅二,岩谷 力:杖,クラッチ 歩 行 の 運 動 学 .理 学 療 法 ジ ャ ー ナ ル ,31(5): p322–329, 1997. 3) Kerrigan D, Todd K, and Croce UD: Gender differences in joint biomechanics during walking; normative study in young adults. Am J Phys Med Rehabil, 77, p2–7, 1997. 4) 植松光俊,塩中雅博,江西一成:高齢者の歩行 特性.理学療法,18(4): p382–392, 2001. 5) 佐々木伸一,野瀬恭代,嶋田誠一郎・他:杖の バイオメカニクス.理学療法,17(9): p814–823, 2000. 6) 植松光俊,金子公宥:高齢者の自由歩行におけ る 下 肢 関 節 モ ー メ ン ト .理 学 療 法 学 ,24(7): p369–376, 1997. 7) 小住兼弘,中村隆一,鈴木堅二・他:体重負荷 と 立 位 姿 勢 の 安 定 性 .日 本 整 形 外 科 学 会 誌 , 6(2): p165–168, 1990. 8) 青木和夫,大谷三代子,神田和樹子:動作分析 に よ る 松 葉 杖 歩 行 の 研 究 .姿 勢 研 究 ,2(2): p93–99, 1982. 9) 高橋いず美,青山 誠,仁田博行・他:免荷を 目的とした際の適切な杖処方の簡便法について. 北海道理学療法士会誌,14: p73–75, 1997. 10) 安江由美子,下野俊哉,小林眞紀・他:変形性 膝関節症例に対する免荷歩行の検討―杖の長さ と杖荷重量の違いによる免荷程度の比較.理学 療法学,23(4): p184–190, 1996. 11) 伊藤邦臣,三浦 敦,町田 敏:歩行用補助杖 の作用―特にリハビリテーションに用いた T 字 杖,二本松葉杖の免荷効果―.骨・関節・靭帯, 7(6): p693–699, 1994. 12) 矢野英雄:リハビリテーション機器選択のガイ ド ラ イ ン 4 杖 .J Clin Rehabil, 5(7): p661–665, 1996. 13) 溝呂木忠,内田成男,中山彰博・他:杖荷重量 の 制 御 に よ る 下 肢 荷 重 量 の 調 節 .理 学 療 法 , 9(4): p261–264, 1992. 14) 浅見豊子,渡辺英夫,伊藤由美・他:杖歩行パ ターンと体重からみた脚荷重量―荷重計測用杖.

(9) 32. 埼玉理学療法 第 12 巻第 1 号. を用いて―.理学診療,5(2): p130–133, 1994. 15) 塩川光一:松葉杖歩行時における上肢の動力学 的研究.日本整形外科学会誌,67: p1014–1025, 1993. 16) 高見正利,福井国彦:床反力計による健常者歩 行 の 研 究 .リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 医 学 ,24(2): p93–100, 1987. 17) Trudelle-Jackson E, Emerson R, Smith S: Outcome of total hip arthroplasty: a study of patients one year postsurgery. J Orthop Sports Phys Ther, 32(6): p260–267, 2002. 18) Woolson ST, Adler NS: The effect of partial or full weight bearing ambulation after cementless total hip arthroplasty. J Arthroplasty, 17(7): p820–825, 2002. 19) Kishida Y, Sugano N, Sakai T, et al.: Full weightbearing after cementless total hip arthroplasty. Int Orthop, 25(1): p25–28, 2001. 20) Kuster MS: Exercise recommendations after total joint replacement: a review of the current literature and proposal of scientifically based guidelines. Sports Med, 32(7): p433–435, 2002. 21) Hermann S, Jaklic A, Hermann S, et al.: Hip stress reduction after Chiari osteotomy. Med Biol Eng Comput, 40(4): p369–375, 2002. 22) Isobe Y, Okuno M, Otsuki T: Clinical study on arthroplasties for osteoarthritic hip by quantitative gait analysis. Comparison between total hip arthroplasty and bipolar endoprodhetic arthroplasty. Biomed Mater Eng, 8(3): p167–175, 1998. 23) Xu X, Liu Y, Liu J: Prosthetic replacement in treatment of subcapital femoral neck fracutures in the elderly. Chin J Traumatol, 5(1): p28–31, 2002. 24) Mullay MP, Gore DR, Brewer BJ: A comparison of. the functional performance of patients with Charnley and Muller total hip replacement. A two-year followup of eighty-nine cases. Acta Orthop Scand, 50(5): p563–569, 1979. 25) Yoshida T, kanayama Y, Okumura M, et al.: Longterm observation of avascular necrosis of the femoral head in systemic lupus erythematosus:an MRI study.Clin Exp Rheumatol, 20(4): p525–530, 2002. 26) Yetkinler DN, Goodman SB, Reindel ES, et al.: Mechanical evaluation of a carbonated apatite cement in the fixation of unstable intertrochanteric fractures. Acta Orthop Scand, 73(2): p157–164, 2002. 27) Edwards BG: Contralateral and ipsilateral cane usage by patients with total knee or hip replacement. Arch Phys Med Rehabil, 67(10): p734–740, 1986. 28) Dean E, Ross J: Relationships among care fitting,function, and falls. Phys Ther, 73(8): p494–500, 1993. 29) Bauer DM, Finch DH, McGough KP, et al.: A comparative analysis of several crutch-length-estimation techniques. Phys Ther, 71(4): p294–300, 1991. 30) Andrews BJ, Granat MH, Heller BW, et al.: Improved harness crutch to reduce upper limb effort in swing-through gait. Med Eng phys, 16(1): p15–18, 1994. 31) Sonntag D, Uhlenbrock D, Bardeleben A, et al.: Gait with and without forearm crutches in patients with total hip arthroplasty. Int J Rehabil Res, 23(3): p233–243, 2000. 32) 東京都立大学体力標準値研究会(編):新・日 本人の体力標準値,不味堂出版,東京,2000, p164–165..

(10)

参照

関連したドキュメント

2Tは、、王人公のイメージをより鮮明にするため、視点をそこ C木の棒を杖にして、とぼと

10) Wolff/ Bachof/ Stober/ Kluth, Verwaltungsrecht Bd.1, 13.Aufl., 2017, S.337ff... 法を知る」という格言で言い慣わされてきた

The motion ranges of knee angle became small in the order of normal healthy persons, L4 patients and HipOA patients while that of upper body angle became large in the order of

約 4 ~約 60km/h 走行時 作動条件 対車両 ※1.

病状は徐々に進行して数年後には,挫傷,捻挫の如き

 現在『雪』および『ブラジル連句の歩み』で確認できる作品数は、『雪』47 巻、『ブラジル 連句の歩み』104 巻、重なりのある 21 巻を除くと、計 130 巻である 7 。1984 年

通常は、中型免許(中型免許( 8t 限定)を除く)、大型免許及び第 二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当す

87)がある。二〇〇三年判決については、その評釈を行う Schneider, Zur Annahme einer konkludenten Täuschung bei Abgabe einer gegenteiligen ausdrücklichen Erklärung, StV 2004,