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略本系「俊頼髄脳」の研究(一) : 関西大学図書館蔵『俊秘抄』翻刻

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本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

ー関西大学図書館蔵﹃俊秘抄﹄翻刻−

︿ は じめに﹀   俊 頼 髄 脳 研 究 会 で は、これまで﹁俊頼髄脳﹂の伝本の翻刻影印の刊行につとめてきた。﹃顕昭本俊頼髄脳﹄︵一九九六 年三月刊私家版︶は京都大学附属図書館蔵﹁無名抄俊頼﹂の、﹃唯独自見抄﹄︵一九九七年一二月刊私家版︶は島原図書館    一 松 平 文庫蔵﹁唯独自見抄﹂の翻刻であり、﹃国会図書館蔵俊頼髄脳﹄︵和泉書院影印叢刊九二︶はその影印である。この   57 度、引き続き、ご許可を得て関西大学図書館蔵﹁俊秘抄﹂を底本としてその翻刻を行うものである。所謂略本系に属   一 する当該本は、明暦二年校合の奥書をもち、同系統における善本である。詳しくは続編の解説で述べることとし、以 下 底本の書誌などを記し、乾坤二冊のうち︵一︶には乾巻︵﹁俊秘抄上﹂︶を翻刻する。 ︽ 書 誌 ならびに凡例︾ 1 関西大学本﹁俊秘抄﹄底本書誌 ○ 所 蔵  関西大学図書館﹁岩崎美隆文庫﹂。 ○請求番号 q⊃巨﹄O±\ζ一\一山\N

O

秩 題 ﹁俊 頼 秘 抄﹂︵⊆N這一一﹄O合\忌一\〒一\N︶

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略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ ○装丁など 袋綴写本乾坤二巻二冊。楮紙、大本。岩崎美隆校合本 以 下、各冊について記す。 ︿ 乾 巻 ︾   ○ 外 題  表紙左肩に墨直書。﹁俊頼秘抄 乾﹂   ○ 内題  ﹁俊秘抄 上﹂   ○請求番号 q⊃已ふ宕一\ζ一\一⊥   ○大きさ 縦二七・三糎×一九二二糎。   ○ 表 紙 蘇比色地渋引文様に、表右下から裏左下にかけて梅古木を手書。裏には更に飛鳥を描く。

○紙数 遊紙前後各一丁。墨付九七丁。       一  

〇行数 一面一〇行書。       58

0

奥 書  朱書にて﹁天保九年戌正月元日以一本校合了 岩崎美隆﹂。また左下に朱書﹁方則﹂とあり。         一   〇 印記  ﹁関西大学図書館蔵書﹂角朱印の他に、表遊紙に﹁岩崎美隆文庫﹂長方朱印あり。 ︽ 坤 巻 ︾   ○ 外 題   表 紙 左 肩 に 墨 直書。﹁俊頼秘抄 坤﹂。   ○ 内題  ﹁俊秘抄 下﹂   ○ 請 求 番 号  q⊃一一ふO自\忌一\一−N  

O

大 きさ 縦二七・一糎×一九・五糎。   ○ 表 紙  蘇比色地渋引文様に、表には右下に山寺遠景図、裏には左下に川に草花を手書する。   ○ 紙 数  遊紙前一丁、墨付一〇七丁。

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  ○ 行 数  一面一〇行書。   ○ 奥 書  一〇六丁表に朱にて﹁天保九年戊戌正月二日以一本校合了 岩崎美隆﹂とあり。また一〇七丁裏に本奥書    ﹁明暦二年八月中旬以類本令校合杢﹂が墨書され、左下に﹁方則﹂と朱書あり。   ○ 印記  ﹁関西大学図書館蔵書﹂角朱印の他に、表遊紙に﹁岩崎美隆文庫﹂長方朱印あり。 ︹ 参 考︺   乾 坤 とも、見返しに﹁請求番号﹂、﹁関西大学図書館蔵書﹂朱角印、整理日付・番号印を押す。末尾にも朱角印あり。 整 理 印によれば昭和三十二年十月十二日付で関西大学に整理収蔵されている。乾坤とも別筆による写し。   関 大 本は坤巻末尾奥書より﹁明暦二年﹂に校合した旨の奥書がみえる。そのため、それ以前書写の本文︵あるいはそ の 写 し︶に、天保九年に、別本との校合を岩崎美隆が朱書したものと想定しうる。とすれば墨書による校合と朱書校合    一 は区別すべきであろう。       59

岩 崎 美隆文庫蔵書については﹁関西大学所蔵岩崎美隆文庫・五弓雪窓文庫目録﹂︵関西大学図書館シリーズ第十五輯 昭   一 和 五 十一年三月二十日発行︶がある。   ◇翻刻許可  関大図閲第一四号︵平成十二年七月二八日付︶ 皿 岩崎美隆︵いわさきよしたか︶について   通 称 清平、藤門︵ふじのかど︶、柾園︵ゆずるはその︶と号す。河内国花園︵現東大阪市花園︶の人、村田春門︵はるか ど︶門。加納諸平や伴林光平とも交流があった。弘化四年七月十六日没す。享年四十四歳。著書に藤門雑記、柾園詠草、 詞之山口などがある︵関西大学図書館蔵︶。枕草子研究史上、評価の高い枕草紙柾園抄は、春曙抄に書き入られた美隆の 見解を折口信夫によって纏め、公刊された際に名付けられたもの。昭和五年刊﹁国文学註釈叢書﹄第十七巻所収﹁柾 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ 園抄解説﹂︵折口信夫講︶は、美隆の人となりを伝えてやまない。 皿 翻刻凡例   本文は、漢字・仮名の別、送りがな、仮名遣いなども、全て底本の表記のままとした。   異 体・通俗の漢字は、原則として底本に従うことにしたが、一部通行の字体にあらためたところがある。   見セ消チおよび補入については修訂後の形とした。   底 本において和歌の引用は、二字上げの形で記されているが、紙面の都合上、翻刻では二字下げにしている。   ※ 傍 記 に つ い ては次のように扱った。   ① 字 体 明 記 で 記 されたものは本文と同じ場合、記載しなかった。                                                                                                             一 ② 割 書 は︿ / ﹀に括った。       60 ③異本校合による補入の場合、位置を﹁○﹂で示した。       一 ④原典では、異本にない場合、﹁イナシ﹂﹁以下ナシ﹂等の記載のうえで、範囲を示していたが、翻刻に際し、﹁﹂     に 括 ることでそれを示した。 ⑤ほとんどが朱書による加筆であるため、本来は区別して明示すべき墨・朱の区別はあえて示さなかった。続編の     解 説 に てそのことを触れることにする。 ⑥翻刻本文踊頁、珊頁、珊頁に示したカタカナ傍記については*印を付して位置を示し本文中の適所に四段下げに     して挿入してある。 ⑦なお、数カ所見られる頭注についても解説で指摘する。

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∧ 翻 刻 ︾       俊 秘 抄 上 や まとみことの寄はわかあき津しまの國のたはふれあそひなれは神の世よりはしまりて﹁けふ﹂いまにたゆることな       りつイ しおほやまとのくに﹀むまれなん人は男にても女にてもたかきもいやしきもこのみならふへけれともなさけある人は す﹀みなさけなきものはすxまさることかたとへは水にすむいをのひれをうしなひそらをかける鳥のつはさのおひさ        のイ らんかことしおほよそ歌のおこり古今○序和歌式にみえたり代もあかり人のこ﹀うもたくみなりし時春夏秋冬につけ    一       61 て 花 をもてあそひ時鳥をまち紅葉をおしみ雪をおもしろしと思ひ君をいはひわか身をうれへ別をおしみたひをあはれ    一        まイ けイ ひ いもせの中をこひことにのぞみておもひをのふるにつけてもよみのこしたるふしもなくつ﹀けもふせることはもみ       くイ えすいかにしてかはすゑの世の人のめつらしきさまにもとりなすへきよくしれるなくよくしらさるもなしよくよめる        ほ もなくよくよまさるもなしよまれぬをもよみかをにおもひしらさるをもしりかほにいふなるへしそもくうたにあま た のすかたをわかちやつのやまひをしるしこ﹀のつのしなをあらはしていとけなきものををしへをうかなる心をさと

らことのイ       ひイ

くしむるものありしかはあれとならひつたへされはさとることかたくうかへまなはされはおほゆる事すくなしむもれ 木 の むもれて人にしられさるふしとをたつねたきのなかれになかれてすきぬることの葉をあつめてみれははまのまさ 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵こ こよりもおほくあめのあしよりもしけし霞をへたて﹀春の山邊にむかひきりにむせひてあきの野へにのそめるかこと きなりやまかつのいやしきことはなれとたつねされはあしたの露ときえうせぬ玉のうてなのたへなるみことなれと聞 しらされは風のまへのちりとなりぬるにやあはれなるかなやこのみちの目のまへにうせぬることをとしよりひとりこ の ことをいとなみていたつらにとし月を、くれともわか君もすさめたまはすよの人またあはれむことなしあけくれは 身のうれへをなけきおきふしは人のつらさをうらむかくれてはおとこ山にましませるやつはたのおほんいつくしみを        みイ まちあらはれてはみかさのもりにさかへたまへるふちのうらはにたのみをかくめくみ給へあはれひたまへかくれたる 信 あれはあらはれたる感あるものをや       一                                                                                                           62 歌 の す かたやまひをさるへきことあまたの髄脳に見えたれともきxとをく心かすかにしてつたへきかさらん人はさと    一       ことイ るへからされはまちかきものかきりをこまかにしるしまうすへし       反イ   はしめには返寄のすかた     やくもたついつもやへかきつまこめにやへかきつくるそのやへかきを       てイ これはすさのをのみこと﹀申す神の出雲国にくたりたまひてあまなつちあしなつちのかみのいつきむすめをとりても ろともにすみたまはんとてみやつくりし給ふときによみたまへる寄也これなん句をと﹀のへ文字の数をさため給へる 寄 の はしめなるやくも立といへるはしめの五文字はその所にやいろのくものたちわたりけるとそかきつたへたるこれ

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はやくもたつなとはほかにはよむへからすとそふるき人まうしける     しなてるやかた岡山のいひにうゑてふせるたひ人あはれおやなし か へ し     い か るかやとみのおかはのたえはこそわか大君のみなはわすれめ        河内イ 是 は 文 珠 師利菩薩のうゑ人にかはりて聖徳太子に奉給ひける御返也大和國にいかるかと云所にとみのをかはといふ川 の ほとりにうゑたる人のふしたるをみてあはれひ給ひけれはよめる飢人は文珠也聖徳太子は救世観音なれはみな御心うちにはしりかはさせ給ひてよませたまひけるにや神仏の御寄なれは反寄のためしにしるしまうすなり        一       63 次 に 旋 頭 歌 といふものありれいの茄一字の寄のなかにいま一句をくはへてよめるなり五文字の句七文字の句た﹀心に   一 まかせたりくはふるところ又よみ人の心なりとはかきたれとはしめの五文字ふたつかさなれる寄は見えす        にイ     ますかxみそこなるかけにむかひゐてみる時はこそしらぬおきなにあふご﹀ちすれ これはなかに七文字をくはへたるなり     か の お か に草かるおのこしかなかりそありつ﹀も君かきまさんみまくさにせんは中に五もしをくはへたるなり

   うち渡すをちかた人にものまうすそもそのそこにしろくさけるはなにのはなぞも 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ これははてに七文字をそへたる也 さまくにおほけれとさのみやはとてしるし申さす 次 に 混 本 寄 といへるものありれいの借一字の寄の中にいまひと句をよまさる也     あさかほのゆふかけまたす散やすき花の世そかしはすゑの七文字の句をよまさるなり     いはの上にねさす松かえとのみこそたのむ心ある物を これはなかの七文字の句の十文字あまりひと文字ありてはての七文字のなきなりこれもひとつの躰也         一       る       五       6 次 折 句の寄といへる物あり五文字あるもの﹀なをいつ句のかみにすへてよめるなり小野小町か人のもとへことかりに   一 やる寄                                           ちよし㌘        かしだてイ     ことのはもときはなるをはたのまなんまつはみよしへてはちるやと       イ同 か へ し

ことのははとこなつかしきはなおるとなへての人にしらすなよ嘩 是 は ことたまへといふ文字をくのかみにをきたるなりかへしはことはなしと云文字を句のかみにをきたる也 次 沓 冠 折 句のうたといへるものあり十文字あることはを句のかみしもにをきてよめるなり

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  イあはせたきものすこしといへることをすへたる寄      みイ     あふさかもはてはゆき﹀のせきもゐすたつねてとひごきなはかへさし これは仁和のみかとのかたくにたてまつらせたまひたりけるにみな心もえす返しともをたてまつらせたまひたりけ       ﹁御返事なくてイ本﹂ るにひろはたのみやす所と申ける人の○たきものたてまつらせたまひたりけれはこxろあることにそおほしめしたり けるとそかきつたへたる をみなへしはなす﹀きといへることをすへてよめる寄       へしたまあれなイ       まイ れイ     をの﹀はきみし秋に﹀すなりそますへしたにあやなしるしけしきは これはしものはなす﹀きをはさかさまによむへきなりこれもひとつのすかた也       一       65 次 廻 文 寄 といへるものあり草花をよめる寄       一          な歎イ     むら草にくさのははもしそなはらはなそしも花のさくにさくらん    摂イ これは摂論の尼か寄也さかさまによめはすみのまのみすといへることの躰におなし寄によまる﹀なり 次短寄といへるものありこれは五文字七文字とつ﹀けてわかいはまほしき事のあるかきりはいくらともさためすいひ つ xけてはてには七文字をれいの寄の躰にふたつつ﹀くる也     おきつなみ あれのみまさる みやのうちに     年へてすみし いせのあまもふねなかしたる 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶     こ﹀ちして よらんかたなく かなしきに     涙 の いろの くれなゐは われらか中の     しくれにて あきのもみちと ひとくは     をのかちりく わかれなは たのむかたなく     なりはてx とまるものとは はなす﹀き     君 なき庭に むれたちて そらをまねかは     は つ かりの 鳴わたりつ﹀ よそにこそみめ       一               れイ      6 是 は伊勢か七條后宮にをくれたてまつりてよめる寄なりことはをかさりてそへよめるはこのころの人はこれをまなふ    一し人丸か高市皇子によせたてまつれる寄     か けまくも かしこけれとも いはまくも     ゆ xしけれ共 あすかやま まかみかはらに     ひさかたの あまつみかとを かしこくも    定めたまひて かみさふと いはかくれます    まきのたつ ふは山こえて かりふやま

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   と﹀まりまして あめのした さかえんときに     わ れ もともとも これはことはもかさらすさしことによめるなり是そむかしのみしか寄のすかたなめる又万葉集のなかに十文字ある句 をふたつそへたる寄    うくひすの かひこのなかの ほと﹀きす     ひとりむまれて しやかち﹀に﹀てなかす     しやかはxに似てなかす うのはなの       一       67     さける野へより 飛かへり きなきとよまし      一    たちはなの はなをはちらし 日ねもすに    なけとき﹀よし まひはせん とをくなゆきそ     わ か や との はなたち花に すみわたれ鳥        短寄に十文字ある句を二句そへる也イ      ありイ これはよくしれる人もなし短歌﹁の中﹂にも旋頭寄といふものはある﹁なめり﹂﹁れいの短寄に十文字ある句の二句そ へる也﹂     しらくもの たつたの山の たきのうへの 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶        のイ     おくらの峯に ひらけたる さくらはなは     やまたかみ かせしやまねは はるさめの       えイ     つきてしふれは いとすへの みたはおちすき    さりにけり しつえにのこる はなたにも     しはらくはかり なみたれそ くさまくら     たひゆく君か かへりくるまて これは草まくらといへる五文字の句のぞへる也      一                                                                                                                 68 是 を長寄といひ短寄といへることありこのころの人さたかにしれることなした﹀うけたまはりしは長歌といふはなか    一 くくさりつxけてよみなせるにつきて長歌とはいふ也ことはのみしかきかゆへにまたみしか寄とはいふ也ことはみし        ヘイ か しといふはれいの柑一字の寄は花とも月とも題にしたかひてよむにそのものをいひはつる也たとへはあさか山影さ へ み ゆる山の井のともとにいひつれはあさくは人をなとなを水のことにか﹀りたることはをいひなかすなりこのみし か 寄 は寄の中にいふへき心をはすゑまていひなかせともことはをかへつxいはる﹀にしたかひてわたりありてなりた        にイ とへはおきつなみあれのみまさるみやのうちにとおもひよりなはすゑまてそのうみのことは○つきていひはつへき也 これはことはにひかされて涙の色のくれなゐはといひて又花すすきにかxりて空をまねかせてすゑにはつかりの鳴渡

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りつxといひはつれは寄ひとつかうちにあまたのものいひつくせるによりてみしか寄とはいふなりとそ中ころの人申 けるたxしれいの歌にもあまたの物よめる寄ありあつさ弓をしてはるさめともいひてすゑにわかなのことをいひたる こともきこゆれはにやれいの寄をみしか寄とかける髄脳もみゆめるは詩に短寄行長寄行と云ものあれとその心かなは さるなり 次 に 誹 譜 寄 といふ物ありこれよくしれる人なしまた髄脳にもみえたる事なし古今にあるにつきてたつぬれはされことといふ也よくものいふ人のされたはふる﹀かことし     む め の 花 み に こそきつれ鶯のひとくくといとひしもする       一        イ同      9        なイ            あきの野になまめきたてるをみなへしあらことくしはなもひととき       一 これらかやうなることはある寄はさもときこゆさもなき寄のうるはしきことはあるは人にしられぬ事にや宇治殿の四 条大納言にとはせたまひけるにこれはたつねおはしますましき事也公任あひとあひたりし先達ともに随分にたつねは       集イ へ りしにさたかに申す人なかりきしかれはすなはち後撰拾遺抄にえらへることなしとそ申けれはさらは無術ことなり といひてやみにきとそ帥大納言におほせられけるそれに通俊中納言の後拾遺といへる集をえらへるに誹譜寄をえらへ    おしイ りもし○はかりことにやこれによりて事ともををしはかるにはかくしきことやなからんとこそ申されしか次に連歌 といふものありれいの寄のなからいふ也もとすゑ心にまかすへしそのなからかうちにいふへきことの心をいひはつる 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵こ

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略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶       ヲキイ 也 心 の こりてつくる人にいひはてさするはわうしとすたとへはなつのよをみしかきものといひそめしといひて人は 物 をやおもはさりけんとすゑにいはするはわうしこのうたを連寄にせんときは夏夜をみしかきものとおもふかなとす へ きなりさてそかなふへき                 尼 の 作    さほかはのはみつをせきあけてうゑし田を     ︶    家持中納言     万〃    る     かなわせいひはひとりなるへし       一       70 ∧ 万 葉 第 八 / 有 之 ﹀ これは万葉集の連歌也よもわうからしと思へと心のxこりてすゑにつけあらはせるいかなること    ﹁ に か     しら露のおくにあまたの聲す也花の色々有としらなん        せイ これは後撰の連寄也     ひとこ﹀ろうしみつ今はたのましよ夢にみゆやとねそすきにける これは拾遺抄の連寄也これふたつはあひかなへり古今には連歌なし 次 に 隠 題 といへるものありもの﹀なをよむにその物の名を寄のおもてにすへなからそのものといふ事をかくしてまと

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はせる也あらふねのみやしろといへる九文字をかくしてよしなきせりの寄によみなせる也     くきも葉もみなみとりなるふかせりはあらふねのみやしろくみゆらん なとりのこほりと云七文字をかくせる寄     あたなりなとりのこほりにおりゐるは下よりとくることをしらぬか これらはおもしろしまねふへきか 龍 謄 をたいにする寄        イ同         イ大字       んイイ大字は欺     わ か やとの∧はなふみ/ちらす﹀とりうたう︿のこなけれはや/こ﹀にしもすむ﹀       一       71 桔梗を題にする寄      一     あきちかうのは成にけり白露のをける草葉も色かはりゆく これは人の常にいふさまにはよみにくけれはまことにかけるもしを尋てその儘によめる也よのすゑにもさやうなる事 あらはその文字をたつねてよむへきなり なしはらのむまやといふ事を題にする歌     君 はかりおほゆる物はなしはらのむまや出こんたくひなきかな        かイ とよめりなへてのことはにつかはいまやいてこんとよむへけれむまやといへることたるひたるさまにきこゆれと拾遺 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ 抄 に 能 宣 か仲文にくるまのかもといふものをこはれてなしといひけれは     か をさしてむまといひける人もあれはかもをもおしと思ふなるへし とよみたりける亭のかへしに     なしといへはおしむかもとや思ふらんしかやむまとそいふへかりける とよめりこれらをみれはいまといへることはをはむまといふへしとそみゆるこれひかことにあらしされはかのなしは らのうたもよきなめり 万 葉 集に相聞寄といふは恋の寄を云也挽寄といへるはかなしひの寄なり警喩といひ問答といふは文字にあらはれぬ    一       72 寄 の 病 をさることふるき髄脳にみえたるかことくならはその数あまたありそれらをさりてよまはおほろけの人のよみ    一 うへきにもあらすたxよのすゑの人のたもちさるへきことのかきりをしるし申すへしふるき寄にもそれらの病をさり        にイ てよめりとも見えすいますもさるへしとみゆるは同心の病文字の病也同心の病と云は文字はかはりたれと心はへのお なしきなり     山桜咲ぬるときはつねよりも嶺の白雲たちまさりけり        ひイ これは山と峯と也山のいた﹀きをみねと﹁は﹂いへは病にもちゐる也     もかり舩いまそなきさにきよすなる汀のたつのこゑさはくなり

(17)

       いへ これ又なきさとみきはとなりみきはをなきさと云は文字はかはりたれとおなし心の病とする也        イ同        なリイ     みちよへてなるてふもxのことしより花咲春にあひそしにける これもとしとよとを病と亭主院寄合にさためられたり文字病と云は心はかはりたれと同文字あるを云なり       にイ       イ同古今ニハのトアリ     み や まには松の雪たに消なくにみやこは野へにわかなつみけり       とイ 是 はみやまとみやこと也みやまにはといふはしめの五文字のみや﹁まはまことのおく山と云﹂みやこは﹁のへに﹂と   下の句のはしめのみとなりイ         こ﹀ろはかはりたれと文字は同しきなりイ 云 ﹁は花のみやことは﹂ ﹁いへる﹂文字は同けれと心はかはる也     今こんといひしはかりに長月の在明の月を待いてつる哉       一       ヨ  れはイは 歳イ       7 この月とつきと也長月のとよめる月は月なみの月也ありあけの月とよめるはそらに出る月をいへるかはれと同文字な    一 り     難 波 津 に 咲 や 此 花 冬ごもり今は春へとさくやこの花        事イ       にさく これふるき吾論議といふものにたかひに論したることなれはいまはしめて申すへき○にあらねと﹁も﹂なには津と云 やこのはなといひイいまをはるへとさくやこのはなといへれは文字やまひはさるとこそみゆれイ は難波の言をいひこのはなと云は梅花をいふなりとはいへれと文字やまひはさりところみえす     あさか山かけさへみゆる山の井の浅くは人を思ふ物かは これ又文字の病也あさか山といふ初の五文字は所の名也﹁にこりて云へきなり﹂なかのあさくは人をと云は心あさし 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ といふこと﹁は﹂なれは心かはるといへと文字のやまひはさりかたくそみゆるこれふたつは寄の父母としておさなき        イ同        ものイにイ 人 の 手 な らひはしむる寄なりとふるき古今かけりこのち﹀はxの寄の病﹁の﹂あれはすゑの世の子孫の歌のやまひ﹁は﹂ あらんにとかならんかまたふるき寄のなかにさりところなき病ある寄もあまたみゆめれはいかなることにかあらんよ む へ か らんもしのつ﹀きにた﹀よむへきにやとそみゆる     み山にはあられふるらしと山なるまさきのかつら色付にけり これみやまと山となり     さかさらん物とはなしに桜花おもかけにのみまたきたつらん       一       4       とイ        このさかさらんといへるらんとまたきたつらんといへるらん○なり      一     あつさ弓をして春雨けふふりぬあすさへふらはわかなつみてん このけふ﹀りぬとあすさへふらはといふなりこれらはのかる︾所なきやまひなりこれらみな三代集にいれり是はたと へは人のかたちすくれたる中にひと所をくれたる所みゆれともくせともみえぬかことしこれらありとていとしもなか らん寄のやまひさへあらんはひきところなくやあらん 天 徳 の 歌 合に山ふきを題にする寄に       や     ひとへつ﹀やへ山吹はひらけなんほとへて匂ふ花とたのまむ

(19)

とよめりこれをやへ山ふきの本意にはあらすさらはひとへ山ふきとこそいはめとさためられたりけるけにさもと聞ゆ もとのすゑの文字とすゑのはての文字と同是は寄にとかとする事也とさためられたりこれにつゐてよむましきかとお もへは同寄合のさくらの寄に     足 曳の山かくれなる桜花ちりのこれりと風にしらすな とよめりはなとすなとこのなとなと是おなしこれをはあしともさためられす是は物の名とたxのことはとはゆるす なりイ こころかさくら花と云は物の名也しらすなとは詞なれは也イ     わ か恋はむなしき空にみちぬらしおもひやれとも行かたもなし       一       75 このらしとなしとおなしけれともとかある寄ともさためられすかやうの程のことは寄によるなめりまたおなし寄合に   一     ことならは雲ゐの月となりな﹀むごひしきかけや空にみゆると とよめりこれはもとのはしめのこ文字とすゑのはしめのこ文字とおなしいかx有へきとさためられたり是又古き寄に なきにあらす     ごひしさはおなし心にあらすともこよひの月を君みさらめや とよめり恋しさと云ことこよひの月と云ことなり     あき風に︿こゑをほに/あけて﹀くるふねは︿あまのとわたる/かりにそ有ける﹀ 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ とよめりあきとあまとなり是寛平寄合にとかとさためられす 又 はしめの五文字の初字と次の七文字の初字とおなしきは髄脳に岸樹のやまひといへりこれはさるへきこと也同文字 よみつれはさxえてみ﹀とまりてきこゆされとまたふるき寄になきにあらす     しら露もしくれもいたくもる山は下葉のこらす紅葉しにけり     秋の夜のあくるもしらす鳴虫はわかこと物やわひしかるらん 又 初 五 文 字のはての文字となかの五文字のはてのもしとおなしきはみ﹀とまりてあしくきこゆとかきたれとふる寄に      て見ゆイ み なよみ﹁のこしたることなし﹂      一       76     や ま風にとくる氷のひまことにうち出る波や春のはつ花       一 山かせにと云に文字とひまことにといふに文字となり        そ  きイ     古郷はよしのx山のちかけれはひと日もみゆきふらぬ日はなし ふるさとはと云は文字とちかけれはといふは文字と也これともにあしくもきこえすかうほとのことはうたによるへき なめり病さる事大略如是寄は舟一字あるを冊三四字あらはあしくきこゆへけれとよくつxけつれはとかともきこえす     ほ のくと在明の月の月影にもみち吹おろす山おろしのかせ        んイ     しぬる命いきもやするとこ﹀うみに玉のをはかりあはんといはなん

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さきの寄は卦四字次寄は借三字あるなり 又 はしめの五文字の七文字ある寄     い てあかこまははやくゆきませまつちやままつらんいもをはやゆきてみん これらみなよき歌にもちゐられて人にしられたり文字のたらねはよしなき文字そへたる寄     はなの色をあかすみるとも鶯のねくらのえたにてななふれそも このてなとx云な文字也     村 鳥 の たちにしわかな今さらにことなしふともしるしあらめや       一       77 このなしふともと云ふ文字也       一 お ほよそ寄は神仏みかときさきよりはしめたてまつりてあやしの山かつにいたるまてその心あるものはみなよまさる ものなし神佛の御寄はさきにしるし申せりみかとの御寄はおほさxきの天王のたかみくらにのほりてはるかに見やら せ 給へる御製     たかきやにのほりてみれは姻たつ民のかまとはにきハイニケリ これはみやこうつりのはしめたかみくらにのほりてたみのすみかを御らんしてよませたまへる亭也かまとなとは寄に よむにいやしきことはなれとかくよみをかれぬれはは㌔かりなしみかとの御うたいまはしめて書いたすへきにあらす 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ 延 喜天暦の御集を御覧すへし 嵯 峨 の后の御寄にうへわたらせ給たりけるに     ことしけししはしはたてれよひのまにをけらん露はいくらはらはん これ又さきのことしをのく集を御覧すへし寄は假名の物なれはか﹀れさらんことはのこはからんをはよむましけれ と古き寄にあまたきこゆ 行 基 菩薩の寄に     霊 山の繹迦の御前に契てし真如くちせすあひみつるかな       一       78 婆 羅 門僧正御返事      一     迦 毘 羅 會にともに契しかひありて文殊のみかほあひ見つる哉 是 は聖武天王と申ける﹁女帝の﹂みかとの東大寺をつくりて行基菩薩に供養せさせ給へと申させたまひけれはいま此       へしイ み 寺 の 供 養 にあはんとて婆羅門僧正と申す人まいらるらんその人に供養せさせたまへと申させ給ひけれはまたせ給ひ       下 けれともをそくみえたまひけれはいかにといふかりおほしてたちゐまたせ給ひける程にその時になりておしきに花 上イ 香 をそなへてうみにうけて人してみせさせたまひけれはおしきなみにつきてはるかにおきさまへゆきてみえすなりぬ とはかりありておしきの花をさきにたて﹀まいり給へりけれはよろこひおほしめしてとくとすxめさせ給ひけるに婆

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羅 門 僧正によみかけ申させ給ひける吾なり霊山と申すは釈迦如来の法華経とかせたまひける所也真如といへるはまこ       因イ と﹀いへる事也此ふたりは同聞衆にておはしけるとそいひつたへたる 又 高闘の親王の弘法大師にたてまつらせ給ける寄   バカナクテイ       セツリ     い ふ ならく捺落の底に入ぬれは刹利も修陀もかはらさりけり 御 返

し        弘法大師

    かくはかりたるまをしれる君なれはたxきやまてもいたるなりけり もとの寄にならくのそことよまれたるは地獄也せちりもといへるはみかときさきもと云也修陀もといへるはあやしき    一           ちイ      7 かたひもと云也地獄におちぬれはおなしやう也とよまれたる也か㌔るよのことはりをよくしろしめしたる人なれはか    一 くめてたき身にてはおはします也とよまれたる也 傳教大師御寄   イあのくたらさみやくさほたいの     阿褥多羅三貌三菩提の佛たち我立杣にみやうかあらせたまへ これはひえの山をすゑの世まて有へきよしをよませ給へる也此人くこそは寄なとをはさる物やあらんともしらてお はすへけれとわか国の風俗なれはみなよみつたへたまへるなり 住 吉 明神御寄 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶     夜や寒き衣やうすきかたそきのゆきあひのまよりしもやをくらん        あイ これはみやしろの年つもりてあはれにけれはみかとの御夢にみせたてまつらせ給ひける寄也かたそきと云は神のやし ろの棟にたかくさし出たる木のな﹀りすみよしのみやしろはふたつのやしろのさしあひてあれはそのふたつのみやし ろのくちにたるよしをよませたまへるにやかたそきをかさ﹀きとかける本あるにや寄論義にあらそへるはかさxきと 云 ては心もえす み わ の明神の御うた     恋 しくはとふらひきませ千早振みわの山本枚たてるかと      一       80 これは三輪の明神のすみよしの明神にたてまつらせ給ける寄とそ云つたへたる      一        とイ 或 本 云 み わ の 明 神 の 住 よしの明神にすてられてよみ給へる寄也云々       も歎     住 吉 のきしもせさらんとのゆへにねたくや人にまつといはれん        めれイ これも住吉明神の御寄とこそは申つたへたりひかことにや 伊 勢 か 枇 杷 の 大 臣にわすられたてまつりておやの大和守継蔭かもとへまかるとてよめる寄     三 輪の山いかに待みんとしふとも尋る人もあらしとおもへは 是 は か の み わ の 明 神の御嵜を思ひてよめる也

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    我 や とのまつはしるしもなかりけり枚村ならは尋ねきなましきをしるしにてみわの山を尋ぬとよむ也みなゆへあるへしむかしやまとの国におとこ女あひすみてとしころになりけれとひるとまりてたかひにこと﹁の﹂なかりけれはとし比の中なれといまたそのかたちをみる事なしとうらみけ れ は男うらむる所ことはり也但わかかたちをみてはおちおそれんかいかにと云けれは此なからひとしをかそふれはい くそはくそたとひそのかたちみにくしといふともねかはくはた﹂みえ給へといへはさらはわれそのみくしけのなかに          てイ をらんひとりひらき○み給へといひてかへりぬいつしかあけてみれはちいさきくちなわわたかまりてみゅおとろきお もひてふたをおほひてのきぬその夜又きたりてわれをみておとろきおもへりまことにことはり也われも又きたらんこ    一       81 とはちなきにあらすといひちきりてなくくわかれさりぬ女うとましなからこひしからんことをなけきおもひてをの    一        をはイ まきあつめたる○へそといへりこのへそをはりにつけてかりきぬのしりにさしつ夜あけぬれはそのを﹀しるへにてた       こイ つ ね ゆきてみれはみわの明神の御ほくらのうちにいれりそのをののこりのみわけ残りたりけれはみわの山といふなり      斎 伊 勢 太 神 宮祭主輔親によませたまへる寄       れイハイ    さかつきにさやけきかけのすみぬれはちりのおそりもあらしとをしれ 御 和 云

      輔親

    お ほち㌔ちむまこすけちかみよまてにいた﹀きまつるすへら御神 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ これは輔親祭主になりてはしめて御なをらひたまはりけるにようつにたへぬ身なれはおそりあるよしを申けれはまへ にさふらふ人につきて詫宣したまひけるとそまうしつたへたるなをらひとは伊勢國にて神のまへにてさけのみものくなとするを申なり泉式部保昌にわすられてきふねにまいりてよめる寄       いつイ     もの思へはさわの蛍も我身よりあくかれにける玉かとそ見る 明 神の御返し     おく山にたきりて落る滝つせに玉ちるはかり物なおもひそ       一       82 これはみやしろのうちにごゑのきこえけるとそ式部まうしける      一 貫 之 か馬にのりていつみの国におはしますありとほしの明神の御まへをよるくらかりけれは神のおまへともしらてと        火イ をりけれは馬にはかにたふれていかにもおきあからすいかなる事にかとおとろき思てひのほかけにみれは神の鳥ゐの み えけれはいかなる神のおはしますそと尋ねけれはありとをしの明神と申てものとかめせさせ給神なりもし乗なから        かイ   とイ や 通 りたまひつると人のとひけれはいかにも神おはしますらむともしらてすきはへりにけりいかに○すへきやしろの       はイ ねきをよひてとひけれはそのねきた﹀ならぬさまになりて汝われか前を馬にのりなからとをるすへからく○しらされ        の欺       かそ歎 ちイ はゆるしつかはすへきなりしかあれと和亭に道をきはめたるものなりそのみ○をあらはしてすきはむま定て立事をえ

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ん か 是 御 神 の 詫 宣 なりといへり貫之たちまちに水をあみてこの寄をよみて御殿のはしらにをしつけておかみ入てとはりあるほとに馬おきて身ふるひしてたてりねきゆるしたふといひてさめにけり        もイ     あま雲の立かさなれる夜はなれはありとほしとはおもふへきかは 實綱か伊よ守にてはへりけるに寄このむものにて能因法師をくして伊よにくたりてはへりけるにそのとし世中に日て りしていかにも雨ふらさりけりそのなかにも伊与国ことのほかにやけて國内に水たえてのみなとするたになかりけれ は水にうゑて死ぬるものあまた有けり守実綱なけき思ひていのりさはきけれといかにもしるしもみえさりけれはおも ひ わ つらひて能因法師にかみは寄にめてたまふ物也三嶋明神に寄よみて参らせて雨いのれと申けれはことにきよ   一       ヨ めイ       にはかにイ      8 まいりていろくのみてくらにかき付てやしろに参りてふしおかみける程に○くもりふたかりて大雨ふりてたへかた   一 きまてやます     あまのかはなはしろ水にせきくたせあまくたります神ならは神 そのxち三日許をやみもせすふりて後には四五日計に一度ふりて国のうち思さまにそ成にけるよのすゑなれと神は猶 寄 をは捨させ給はぬとそ實綱申けるこれはよしなしことなれと神の御寄のつxきにさることありときこしめさんれう に かきて候也まして人のかたちしたらんものはこのみならふへきにやいきとしいきたるもの﹀何者かは寄をしらさる めにみえぬおにかみをもあはれとおもはせたけきものxふの心をもなくさむるものと古今の序にかxれたれとむかし 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ の 事 に や このころはさもみえすあさましけにおひたるおきな七人なみゐてをのくひとつつ﹀よめる寄       トイ     か ﹁う﹂そふれはたまらぬ物をとしといひてことしはいたく老にける哉          のイホリヱイ     をしてるやなには○みつ﹁は﹂にやく塩のからくも我はおひにける哉     お いらくのこんとしりせはかとさしてなしとこたへてあはさらましを          はイ      めくるイ     さかさまにとしをゆかなんとりもあへす過る齢やともにかへると     とりとむる︿ものにし/あらねは﹀とし月を︿めはれあなうしと/すくしつるかな﹀     と︾めあへすむへもとしとはいはれけりしかもつれなく過るよはひか       一       84     鏡 山いさ立寄て見てゆかん年へぬる身はおひやしぬると       一 是 は 老 たる人々のあつまりていたつらにおひぬる事をいひてよめる寄也此ころの人はあまたあつまりたりともをのつらひとりふたりやかくもよまん七人なからはおもひもかけしかし 人 の む す め の や つ に 成 ける寄     神 無月しくれふるにもくるx日の君まつ程はなかしとそおもふ これは十月はかりには﹀の物にまかりてをそくかへりけれはよめる寄也 五 節のまひひめのよめる寄

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   くやしくそあまつをとめと成にける雲路たつぬる人もなき世に 五 節の舞姫なれはおさなくこそはありけめこのころはさかしとやにくまむ またちのむほとのこもむかしは寄をよみけるにや     鶯 よなとさはなくそちやほしきこなへやほしきはxやこひしき これはおさなきちこをてxかま﹀はxにつけてをきたりけるかおやの物へまかりたりけるほとにつちしてちいさきな へ の か た をつくりたりけるをま﹀母わか子にはとらせてこのま﹀子にはとらせさりけれはほしと思ひけれとえこはさ りけるにうくひすのなきけれはよめるちなともほしかりけるほとにやおさなき人もちこ﹁と﹂も﹁x﹂むかしは寄を    一       85 よみけるとためしになん      一 乞食の人の家に常にきて物をこひけるを東面にゐたりける人はすさめさりけり西面に居たる人は時く物をとらすれ はきてよめる寄     をこなひをつとめて物のほしけれは西をそたのむくるxかたとて この﹀ちいよくあはれかりてつねに物とらせけるとかや       みイ                                せひ丸か寄       もイ     世 中はとてもかくても有ぬへし宮もわらやのはてしなけれは 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ これはあふさかのせきにゐてゆき﹀の人に物をこひてよをすくす物有けりさすかに琴なとひき人にあはれかられける        いふイ 物にてゆへつきたりける物にやあやしのくさのいほりをつくりてわらと物をかけてしつらひたりけるをみてあやしの すみかのさまやわらしてしつらひたるこそなとわらひけるをよめる寄也 賀朝法師の人のめにしのひてかよひ侍けるほとにおとこに見つけられてよみかけける       やまイ     身なくとも人にしられし世中のしられぬ○をしるよしもかな か へ し      もとのおとこ     世 中にしられぬやまに身なくともたにの心やいはておもはん      一       86 この比の人はさらに寄よましものを       一 ぬ す 人 ことにか﹀りてことのあらはれにけれはかくれゐてゐ中へまかりけるときにめにわするなと申けれはよめる寄     忘 るなといふになかる﹀涙川うき名をすxくせともならなむなしことにて遠江国へまかるにはつせ川をわたるとてよめる     は つ せ川わたる瀬さへやにごるらんよにすみかたきわか身と思へは さるおりにもむかしの人は寄をよみけれは此比の人には似さりけるとそみゆる 故 帥大納言の母高倉のあまうへと聞えし人のもとに参河守なりける人のちいさきめをたてまつりたりけるをまへにた

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られたりけるおき物のつしにをきてめつらしきものなりとてとりもちらさ﹀りけるかほともなくすくなく見えけれ       にイ はあやしかりてをきたりける人のきひしくたつね沙汰しけるにこと○女房のちかつきよりたりけるをうたかひてたつ ね いさかひけるをきxて                                 尼 上      イ同    うらなくていくのみるめはかりもせよいさかいをさへひらふへしやは                                 お い ける女房     め にちかくおきつ白浪か﹀らすはたちよるなをもとらすやあらまし      一                                                                                                                 87 又 同事にてせなかうたれんとしける時によめる寄       一     お ひ はて﹀雪のやまをはいた﹀けとしもと見るにそ身はひえにける この寄のとくにゆるされけりとそきこゆる 帥内大臣と申ける人の御もとにてにはかにしにけれはしとみのもとにかきのせておほちにをきたりけるに草の葉にを きたりける露のあしにさはりけるほとにほとxきすの鳴てすきけるをき﹀てよめる                                 河 内守重之     草 の はにかとてはしたり郭公しての山ちもかくや露けき 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ 良邉法師ゆきのふりける日しなんとしけれはよめる   して     死 出の山またみぬ道をあはれわか雪ふみ分てこえんとすらん うせける日よめる        業平中将     つ ゐ に ゆく道とはかねて聞しかと昨日けふとは思はさりしを イ大字       をりイ      るイ       そイ ムカシノ人ハイカナルオクニモ寄ヲヨミケレハソラコトノヤウニ○キコユルイ本 一本以下二十八字ナシ ﹁ よまれしものをと思へとさこそはありけりそらことならむやは﹂   よそイ お ほ か た 寄 をよむには題をよく心うへきなり題の文字は三文字四文字五文字ある題もあるをかならすよむへき文字か    一               字イ      8 ならすしもよむへからさる文字まはして心をよむへき文文さxえてよむへき文字あるをよくく心うへきなり心をま    一       以下術欺一本ナシ は してよむへき文字をあらはによみたるもわうし﹁た﹀あらはによむへき文字をまはしてよむへき文字をあらはによたるもわうし﹂た﹀あらはによむへき文字をまはしてよみたるもくたけてわろくきこゆとそふるき人まうしけるかうの事はならひつたふへきにあらすた﹀わか心をえてよむへき也題をもよみそのことくなからむおりの寄は思へは        よもイ や す か りぬへき事也たとへははるのあしたにいつしか寄をよまんとおもは﹀さほの山邊にかすみのころもをきせつれはる風にふきほころはせみねのこすゑをへたてつれは心をやりてあくからせむめのにほひにつけてうくひすをさそ ひ 子 日の松につけて心のひくかたなれは千年をすくさむ事をおもひ若なをかたみにつみためても心さしの程をみせの

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こりの雪の消うせぬるにわか身のはかなきことをなけき花咲ぬれは人の心もしつかならす白雲にまかへ春の雪かとお ほめき心なき風を恨み人ならぬ雨をいとひあをやきのいとにおもひよりぬれはおもひみたるともくりかへしこのもとたちよらん事をいひ草のもえ出るにつけてもさわらひをうたかひやよひにもなりぬれは山かつのそのふにたてるも 物のすかたにつけてもすける心をあはれひみちとせになるといふなるも﹀のことしはしめてさきそむるかとうたかひ 春のむなしくすきぬるにつけてもいたつらに年月を﹀くる事をなけきいつしかと時鳥をまちやすき夢をたにむすはす しらぬ山路に日をくらしおもはぬふせ屋によをあかすにつけてもよむへきふしはつきもせすさ月になりぬれはあやめ 草 に か xりぬれは人の心のうきにおほし身のほとをしらぬにひかせなかきねをたもとにかけ心さしをあさかの沼まて   一    本ノマ・      9    やイ       8 おもひにりおもひのきにふかせなとすへき也かくて﹁こゑ﹂みな月に成ぬれは時鳥に別れをおしみかきり有て身はく   一 もちにかへるともこゑはかりをはなきと﹀むへきことはをかたらひ﹁みな月﹂に﹁も成ぬれは﹂松かけのいはゐの水 を結ひあけても夏なきとしかとうたかひようつにあつかはしき身の有さまをなけきかやりひのくゆるにつけてもこと はのつきすへきにもあらす秋のはしめにもなりぬれははつ風のけしきも身にしみおきの葉のそよとこたふるにつけて も哀をもよほしたなはたのあふせを待つけてわたしもりをたつねかさxきのわたせる橋をもとめて雲のころもを引か さね給ふらんめつらしさも心をかしく程もなくあけぬる事をなけきなこりのこひしさをいひつくさんにも月の光はい  と歎      をイ つ こもわくましき事なれとあきは猶いかなるかけとおほえ山かつのふせやの内にては雲の上人をうらやみ玉のうてな 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ にてはあかしの浦をおもひやられ草むらの露をかそへはねうちかはしとふかりもかくれなきまてみゆ山のはよりたち い つるももみちすれはやとおほえ雲間の月の嵐にはれゆくもめつらしく物をおもひ人をこふるにつけてもすくれたる        もイ 心 ちそする木の葉の色付ぬれはにしきのひほをときあらしにたくひぬれはなみたをおとしみむろの山に散ぬれはたつ た の川に水をうしなひよしの河にみちぬれはわたらん事をなけき雨とふれとも水のまさらぬ事をよろこひ草むらのむ しのこゑくに人にしられはきの花つゆにすかられて庭もせにおれふしをみなへしなにめてられて行かふ人におられ 花 す﹀き風にしたかふ心なれはつま木こりにゆく山かつのいやしきをまねきぬしさたまらぬふちはかまをさ﹀かにの        みさほのイ       ほ也 い とにかけまかきのはつ霜にをきまとはされうつろふいうみさのえ﹁た﹂をたはめ人の心をあくからす冬のものはは   一       90 つゆきめつらしくふりていはほにもはなをさかせあしひたく屋のす﹀をもひきかへよもの山邊をかさり草のとさしふ   一 りとちつれは人しれすあけん春をまちみちかくれぬれはふみわけてとはん人をまち池のつららひまなくむすふほとに 成ぬれはたかせの舩もかよはすあしまにすたくかものうきねもたえぬ氷せきかたく成ぬれはたまものやとにくること    とイ たえぬ○うらむとし暮ぬれは.をくりむかふとなにいそくらんと思ひなからよのならひなれはをのつからつもりぬるこ とをなけきよむへきなりこひの寄をよみ身のことをいはんと思はんにはおもひよるへきことはなに﹀かあらんなつひ きのいとxもさ㌔かにのいと︾もおもひよりなはおもひたゆともかきたゆともくるにつけてもくりかへしとも心ほそ しとも又心なかしとも思ひみたるともかきみたるともわかてにかけしつはたにかけても折ふしにしたかひていひなか

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しつれはをのつから寄めきぬるもの也又そま山とも杣川ともとりか﹀りぬれは此暮とも夕くれとも日のくれかたにと もおつるいかたの過やらすともまたうみのふねなとにとりかxりぬれはつxきはおほかる物そかしよのうらめしさに       にイ つ けてもさほのさすかにともつなよはみとも又たえてあふましとも思ひこかるとも人の心のうきたる事をなけきつりうけなることをわか身にたとへあまのたくなはくりかへし人をうらみみちくるしほに袖をぬらしあさゆふみるめを か つきよにいきたるかひをひろひうつせかいのむなしき事をわか身によそへあみのひとめをつxみあまのとまやに旅をしてもかちをかこひにしてとまをむしろにしきあみのうけを草のまくらにむすふにつけてもいふへきことはつき もせぬもの也おとこは女をつまといひ女はおとこをつまといふにやこれをくせぬをはつまなしといふつまなしといは   一       91 んとてはあれたるやとxいひ津の国のまろやなとにつけていひつれはすへらかにきこゆくれ竹のといひつれはひと夜   一ことをおもひいてねにあらはれぬる事をなけきかはたけのといひてはなかれてのすゑのよひさしかるへきことを つ ﹀くへきなりよをもうらみ身をもなけかんとてもゆるとくさきにつけていふは草も木もいまめくみはへ出るをいへ はうちまかせて春夏よむへき也秋冬はその時におひ出ん草木につけてよむへきなりた﹀うはの空にはよむへからすほ に い つといふは心にこめしのひたることを思ひあまりて人にきかせあらはせるをいふ也これをいはんとては春は草の もえ出るにたとへ夏は時鳥の音にあらはれ秋は花薄のほにいつるによそへ山のはにさし出る月をなかめ冬は袖のつ        は らxのこほりてちれるにあらはれぬることを云へき也おもひみたる﹀と云○心にいかにせましとおもふことのあるを 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶ 思ひわつらひてなけくを云也それをよまむおりにはかるかやにたとへあさねかみによそへしのふもちすりなとにくら ふ へきなりかならすかくよむへしとにはあらすたとへはえおもひよらさらんおりにはこれをみて心をえてくさるへき       か欺かイ か おほかたかやうのことxもはつきせぬともいかてはかきつくしさふらふへき        はイは欺 お ほかた寄のよきといふは心をさきとしてめつらしきふしをもとめことはをかさりよむへきなり心あれ○とてことはさらされは寄おもてめてたしともきこえすことはかさりたれともさせるふしなけれはよしとも聞えすめてたきふし        本ノマ・ あれとも優なる心ことはくせねは又わうしけたかくとほしろきをひとつのこと﹀すへしこれらをくしたらん寄はよの す ゑ にはおほろけの人はおもひかくへきにもあらす金玉と云ものありその集の寄なとこそはこれらをくしたる寄なら   一                                                                                                                 92 めそれを御覧して心をえさせ給ふへき也これらをくしたりとみゆる寄少ししるし申へし      一     風 吹 はおきつ白浪たつ田山夜はにや君かひとりこゆらん しら浪と云はぬす人の名也さるもの﹀たつた山をおそろしくひとりやこゆらんとおほつかなさによめる寄也 ﹁或 本 云 伊 勢物語にくはしくみえたりと﹂云々     袖 ひちて結ひし水のこほれるを春立けふの風やとくらん     春 立 といふ許にやみよしの﹀山も霞てけさはみゆらん     ほ のくと︿あかしの/うらの﹀あさきりに︿しまかくれゆく/ふねをしそ思ふ﹀

(37)

      プリ     桜 散 この下風は寒からて空にしられぬ雪そ降ける     恋 せ しとみたらし河にせしみそき神はうけすも成にけるかな     紅 葉せぬときはの山にすむ鹿はをのれ鳴てや秋をしるらん     た の め つ xこぬ夜あまたに成ぬれはまたしと思ふそまつにまされる       も敏       き欺     吉 野 河 い は 波 た かく行水のはやくそ人を思ひ初てし     難 波 潟 塩 みちくれはかたをなみ盧へをさしてたつ鳴渡るとへに優なる吾      一       93     お もひ出る︿ときはの/やまの﹀いはつxし︿いはねはこそあれ/こひしきものを﹀      一     春 立 てあしたの原の雪みれはまたふる年の心ちこそすれけたかくとをしろき寄     よそにのみみてやxみなんかつらきの高天の山の嶺のしらくも     思 ひ兼いもかりゆけは冬の夜の川風寒み千鳥鳴なり よきふしに優なる事くしたる寄     す み 吉 のきしもせさらん物ゆへにねたくや人にまつといはれん 略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

(38)

略 本 系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶     胸 はふし袖は清見か関なれや姻も波もた㌔ぬ日そなきをさきとして詞をもとめたる歌 古 今          大伴黒主      まイ     吹 風 にあつらへつくる物ならは此一枝はよけといはれし     吹 風 は花のあたりをよきてふけ心つからやうつろふとみん     をそく出る月にも有かな足曳の山のあなたもおしむへらなり                        ﹁此寄或本無之﹂ よき亭にごはき詞そへる寄       一       94

春 霞 た て るやいつこみよしの﹀吉野の山に雪は降つ﹀      一          をイ     野 邊近くいゑゐしせれは鶯の鳴なる聲は朝なくきく 風 情 あまりすきたるうた       春さくイ     大 そらをおほふはかりの袖もかな散かふ花を風にまかせし       ハイ ルイ     水 うみに秋の山邊をうつしてははたはり廣き錦とやみん     春 雨 の ふ るは涙かさくら花散をおしまぬ人しなけれは 五 文 字こはき寄

(39)

    そへにけふ暮さらめやはと思へとも絶ぬは人の心也けり        もイ     た れ こめて春の行ゑもしらぬまに待し桜はうつろひにけり す ゑ な たらかなる寄         くもれイ     桜 花ちりかひまかへ老らくのこんといふなる道まとふかに     夢 路 には足もやすますかよへともうつ﹀に人め見る事はあらす     黒 髪 にしろかみましりおふるまてかxるこひにはいまたあはさるを

聞につみふかきうた      一

      95     此 世 にて君をみるめのかたからはこんよのあまと成てかつかん            あすしらぬ命成とも恨をかんこの世にてのみやましとおもへは けにときこゆる寄        身イ     恋しなん後は何せんいけるひのためこそ人はみまくほしけれ     有はてぬ命待まの程はかりうき事しけく思はすもかな        をイ     ありへんと思ひもかけぬ世中は中く身○そなけかさりけるくるしくいとほしき寄 略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

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略 本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶       とめイ     さ﹀のくまひのくま河に駒ととてしはし水かへ影をたにみん     夕やみは道たとくし月待てかへれわかせこそのまにもみんさし見せんとよめる寄     をはた﹀のいた﹀の橋のくつれなはけたよりゆかんこふなわかせこ       クルイ     山城のこはたの里にむまはあれと君を思へはかちよりそゆく       のイ     みちのくにとふのすかこもなxふには君をねさせてみふに我ねん お ひ た ﹀しきふしある寄      一       6        そよくイ           なとてわれ︿うた﹀ある/こひを∨はしめけん︿しとろにとこの/たちそ﹀くまてV       一     まてといふに立もとまらてしゐてゆくこまのあしおれまへのたなはし をこかましきふしある歌       れ欺イ ソ    きイ     うた﹀ねに恋しき人を夢にみておきてさくるなきかわひしさ     枕 より跡より恋のせめくれはとこなかにこそおきゐられけれ ひ た ふ るにきこゆる寄       にしイ     梓 弓思はすにしていりぬるを引とxめてそふすへかりける

(41)

   カツィ        た         ツライ     山ふしの苔の衣はた﹀ひとへかさねはうすしいさふたりねん   よをいとふ臓⋮       とイ     にくからても﹁人﹂は別﹁に﹂けりときこゆる寄     忘 れ なんと思ふ心のつくからに有しよりけにまつそ恋しき     あかてこそ思はん中ははなれなめそをたにのちのわすれ形みにもひはなちたるやうにてさすかにねちけたる寄       さにイ     心 有てとふにはあらす世中にありやなしやのきかまほしきそ     た のめこし言のは今はかへしてん程なき身にはをき所なし       一       97 ﹁ をんなはさうなとみゆることをたにあらかふにこそか﹀りたれ﹂いとおしくおいふしたる寄       一     人 しれす絶なましかは佗つ﹀もなき名そとたにいはまし物を     なき名そと人にはいひて有ぬへし心のとは﹀いか﹀こたへん ものに心得たりける人かなと聞ゆる寄    あまのかるもにすむ虫の我からとねをこそなかめよをはうらみし     大 か たの我身ひとつの憂からになへての世をも恨つるかなもひかけぬふしある寄 略本系﹁俊頼髄脳﹂の研究︵一︶

参照

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